JP2004131367A - ガラス体の高純度化方法及び高純度ガラス体 - Google Patents

ガラス体の高純度化方法及び高純度ガラス体 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスパイプの変形を高次元で抑制しつつ高純度化を実施できるガラスパイプの高純度化方法を提供する。
【解決手段】ガラス体の高純度化方法は、ガラスパイプ11を1300℃未満の範囲内の温度に加熱しながらガラスパイプ11に対して接触した電極1,2から、ガラスパイプ11の略径方向に電圧を印加する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス体の高純度化方法及び高純度ガラス体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信技術の進歩に伴い、光ファイバの利用が高まってきている。光ファイバの主な製造方法としては、VAD法(Vapor phase Axial Deposition:気相軸付法)、OVD法(Outer Vapor phase Deposition:外付法)、MCVD法(Modified Chemical Vapor phase Deposition:内付法)がある。特に、高ビットレート化、波長多重度の高度化により、情報伝達容量の高密度化が高まっており、光ファイバの偏波分散の低減が強く望まれている。
【0003】
光ファイバの製造に際しては、通常はプリフォームと呼ばれる成形体を高速で線引きすることによって所望の光ファイバを得るという方法がとられている。従って、光ファイバの形状は、プリフォームの形状および品質を引き継いでしまうため、プリフォームの形成に際しては、極めて高精度の形状および品質制御が求められている。
【0004】
例えばMCVD法は、ガラス管からなる内付け用パイプの内壁にガラス微粒子(すす)を堆積する方法であるが、このガラス管はそのまま用いられるため、非円率および偏心率が小さく、肉厚が均一で、特性の優れたものである必要がある。非円率または偏肉の大きなガラス管から作製された光ファイバは偏波分散(PMD)が大きな値となってしまう。
【0005】
従来、加熱したガラスインゴットに炭素ドリルなどの穿孔部材を回転しつつ押し付けることにより、石英パイプを形成する熱間炭素ドリル圧入法が提案されている(特開平7−109135号)。
【0006】
また、この他、円柱状の石英ガラスロッドを回転させながら、先端を加熱軟化させ、ロッド先端面の中心部に穿孔部材の先鋭端を係合させてこの先鋭端の周縁を穿孔部材に対して回転し、引き抜く方法も提案されている(特許第2798465号)。
【0007】
しかしながら、このようにして得られるガラス管には、ガラスインゴットの製造工程時や穿孔部材による穿孔工程時に不純物が混入している場合が多く、近年、光ファイバの高性能化がさらに求められるに伴い、従来に比して、より高純度のガラス管が必要とされている。
【0008】
特許2726729号には、溶融石英のチューブを1000℃以上の温度(実施例では、1500℃,1600℃,2100℃)で加熱しながら、電圧を印加することによって、金属不純物イオンをチューブの外部壁面で拡散させる技術が記載されており、これにより、溶融石英のチューブの高純度化が図れるとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして得られる溶融石英のチューブは、熱が加わったことに起因するチューブの変形が大きく、これを形状の精度が高次元で要求されるガラスパイプに適用しようとする場合には、前記したチューブの高純度化に次いで、一般に、チューブを所望の形状に再加工するための後成形加工工程を追加する必要がある。通常、後成形加工工程では、チューブの内径および外径を長手方向に一定とするために、全長を測定した上で、それに基づいてチューブの内周面および外周面に対して成形加工が必要となり、チューブの製造コストを著しく上昇させる要因と成り得る。また、チューブの変形状態によっては、所望の形状のチューブの製造が非常に困難である。
【0010】
また、ガラスパイプの孔を形成する前のガラスロッドに対しても、高い形状精度や高純度の品質が求められているが、高温に加熱されることによる変形を抑えつつ、製造時に混入した不純物を除去することは困難であった。
【0011】
本発明の目的は、ガラス体の変形を高次元で抑制しつつ高純度化を実施できるガラス体の高純度化方法及び高純度ガラス体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成することのできる本発明に係るガラス体の高純度化方法は、円柱形状または円筒形状のガラス体の長手方向の少なくとも一部分に対して、外周面側に接触して配置された少なくとも一対の電極から、ガラス体の略径方向に電圧を印加するものである。
【0013】
また、電極は、ガラス体の円周方向に、陽極と陰極とをそれぞれ複数配置し、各陽極及び各陰極の電位をそれぞれ設定することが好ましい。
また、ガラス体と、電極とを、ガラス体の円周方向に相対的に揺動させることが好ましい。
【0014】
また、電圧を印加した後に、ガラス体の外周面から所定深さまでの領域を除去する表面除去工程を有することが好ましい。
【0015】
また、上記目的を達成することのできる本発明に係るガラス体の高純度化方法は、円筒形状のガラス体を、その中心軸を回転軸として1rpm以上100rpm以下の範囲内の回転速度で回転させながら、ガラス体の長手方向の少なくとも一部分に対して、ガラス体の外周面側と内周面側とに配置された電極から、ガラス体の略径方向に電圧を印加するものである。また、回転速度は、1rpm以上20rpm以下の範囲内とすることが好ましい。
【0016】
また、電極をガラス体に接触させずに、電圧を印加することができる。
また、電極の少なくとも一部を前記ガラス体に接触させることができる。
【0017】
また、電圧の電圧勾配を、ガラス体の内周面側から外周面側に向けて負の勾配とするとともに、電圧を印加した後に、ガラス体の外周面から所定深さまでの領域を除去する表面除去工程を有することが好ましい。
もしくは、電圧の電圧勾配を、ガラス体の外周面側から内周面側に向けて負の勾配とするとともに、電圧を印加した後に、ガラス体の内周面から所定深さまでの領域を除去する表面除去工程を有することが好ましい。
【0018】
また、ガラス体の有効部の長手方向全体に対して、同時に電圧を印加することが好ましい。
もしくは、ガラス体に対して、長手方向に順次電圧を印加することが好ましい。
また、ガラス体に対して、長手方向に順次電圧を印加しつつ、電圧を印加した箇所を順次冷却することが好ましい。
【0019】
また、ガラス体の略径方向に電圧を印加する場合には、ガラス体の有効部の長手方向の長さが500mm以上であることが好ましい。
【0020】
また、上記目的を達成することのできる本発明に係るガラス体の高純度化方法は、円柱形状または円筒形状のガラス体の長手方向の第1端面及び第2端面に接触して配置された電極から、ガラス体の長手方向に電圧を印加するものである。
【0021】
また、電圧の電圧勾配を、ガラス体の第1端面から第2端面に向かう方向で負の勾配とするとともに、電圧を印加した後に、ガラス体の第2端面から所定深さまでの領域を除去する端部除去工程を有することが好ましい。
【0022】
また、ガラス体の長手方向に電圧を印加する場合には、ガラス体の有効部の長手方向の長さが500mm未満であることが好ましい。
【0023】
また、円柱形状のガラス体の、電圧を印加する部分を、1450℃未満の温度になるように加熱して、電圧を印加することが好ましい。
あるいは、ガラス体の電圧を印加する部分を、1300℃未満の温度になるように加熱して、電圧を印加することが好ましい。
また、ガラス体の電圧を印加する部分を、450℃以上の温度になるように加熱して、電圧を印加することが好ましい。
もしくは、ガラス体の電圧を印加する部分を、600℃以上の温度になるように加熱して、電圧を印加することが好ましい。
もしくは、ガラス体の電圧を印加する部分を、900℃以上の温度になるように加熱して、電圧を印加することが好ましい。
【0024】
また、ガラス体の有効部に含まれる不純物陽イオンの含有濃度を0.01重量ppm以下にすることが好ましい。
【0025】
また、上記目的を達成することのできる本発明に係る高純度ガラス体は、ガラス体の略径方向に電圧を印加する上記のガラス体の高純度化方法により高純度化処理を施されており、外径100mm以上かつ有効部の長手方向の長さが500mm以上である。
ガラス体の略径方向に電圧が印加された高純度ガラス体は、有効部の長手方向の長さが長い場合に、その長さによって高純度化処理が妨げられないため、良好に高純度化処理がなされている。
【0026】
また、上記目的を達成することのできる本発明に係る高純度ガラス体は、ガラス体の長手方向に電圧を印加する上記のガラス体の高純度化方法により高純度化処理を施されており、外径100mm以上かつ有効部の長手方向の長さが500mm未満である。
ガラス体の長手方向に電圧が印加された高純度ガラス体は、有効部の長手方向の長さが短い場合に、その長さが短いことによって良好に高純度化処理がなされている。
【0027】
また、高純度ガラス体は、ガラス体の有効部における、不純物陽イオンの含有濃度が、0.01重量ppm以下であることが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明に係るガラス体の高純度化方法の第1実施形態は、円筒形状のガラス体(以下、ガラスパイプと呼ぶ)に対して、外周面側に接触させた一対または複数対の電極から略径方向に電圧を印加して、その電圧勾配によってガラス体に含まれる不純物を一方の電極側に移動させるものである。
【0029】
本実施形態の高純度化方法を実施できる高純度化装置について以下に説明する。
第1の高純度化装置100は、図1の概略縦断面図に示すように、長尺状の基台21と、ガラスパイプ11を囲繞できるように基台21の長手方向に沿って特定距離で配置された加熱手段22と、電源51とを有している。
基台21は、長手方向が略鉛直方向となるように配置されており、加熱手段22の上方には、ガラスパイプ11の一端部を把持できる第1チャック31が第1テーブル32を介して基台21に対して取付けられている。加熱手段22の下方には、ガラスパイプ11の他端部を把持できる第2チャック41が第2テーブル42を介して基台21の外に取付けられている。第1チャック31及び第2チャック41は、それぞれモータ(図示せず)により、互いが同期して回転することによって、ガラスパイプ11がその中心軸を回転軸として回転できるように構成されている。
また、第2テーブル42は、ガラスパイプ11の第1チャック31及び第2チャック41に対する脱着を容易とするために、鉛直方向に移動可能に構成されている。
【0030】
さらに、加熱手段22の内側には、ガラスパイプ11の外周を挟むように配置された一対の電極1,2が設けられている。これら電極1,2は、加熱手段22と同程度の長さを有しており、ガラスパイプ11の有効部11aの長手方向にわたって全体的に接触でき得る長さである。電極1,2は、基台21に設置された電極支持部3により支持されている。この電極支持部3は、電極1,2をそれぞれガラスパイプ11の径方向に開閉するように移動させることができ、第1,第2チャック31,41に把持されたガラスパイプ11に対して、挟み込むように接触させることができる。また、電極1,2は、ガラスパイプ11に接触する面が、ガラスパイプ11の外周面と同様の曲率で湾曲した形状となっている。これにより、電極1,2とガラスパイプとの間で、所望の接触面積を得ることができる。
【0031】
電源51は、通常、直流電源とされており、例えば、プラス極から出た導電線が電極2に接続され、マイナス極から出た導線線が電極1に接続されている。すなわち、電極2は陽極とされ、電極1は陰極とされている。なお、陽極と陰極は、逆であっても良い。電極1,2の素材としては、グラファイトや表面処理グラファイトなどを挙げることができる。特に、電極1,2の素材は、ガラスパイプ11に接触することを考慮すると表面処理グラファイトであることが好ましい。表面処理グラファイトの具体例としては、表面に熱分解炭素(PyC)、金属炭化物(NbC,TaC,TiC,ZrC)、または炭化ケイ素(SiC)が設けられたグラファイトを好適に挙げることができる。このような表面処理グラファイトを用いることで、電極1,2からガラスパイプ11に不純物が侵入することを防止できる。
【0032】
加熱手段22は、円筒状の発熱体を有しており、この発熱体は、例えば抵抗加熱方式により発熱させることができる。
また、加熱手段22が備えている発熱体の素材は、カーボン等を好適に例示できる。
ここで、グラファイト等のカーボンは、不純物の含有量が1ppm以下であるのが好ましく、これにより、ガラスパイプ11に不純物が侵入しにくくなる。
【0033】
また、例えば第1チャックの上端部31Aには、把持されたガラスパイプ11の中空と連通できるガス管84が設けられており、ガス管84は流路の開閉を実施できるバルブ82を介して内側ガス供給装置83に接続されている。さらに、例えば第2チャック41の下端には、把持されたガラスパイプ11の中空と連通できるガス管63が設けられており、ガス管63は、流路の開閉を実施できるバルブ61を介して吸気ポンプ81に接続されている。
【0034】
また、第1の高純度化装置100は、基台21の上方から下方に向けて、外側ガスG2を吹き出すガス吹き出し口27が設けられている。
【0035】
次に、第1の高純度化装置100を使用する本発明の第1実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法について説明する。
第2チャック41と加熱手段22とが充分に離れた状態で、ガラスパイプ(石英パイプ)11の上端を第1チャック31にて把持する。なお、このとき電極1,2は電極支持部3の駆動により開いた状態となっている。
【0036】
ここで、ガラスパイプ11は、高純度化する有効部11aの上下にダミーパイプ11bが接続されてなるものである。ダミーパイプは、通常、純度の低い廉価なパイプとされており、高純度化後には有効部11aから切り離される。有効部11aは、略全域が、加熱手段22からの熱を受けて1300℃未満の温度に加熱され得る長さとされている。第1チャック31,第2チャック41で把持される部分はダミーパイプ11bである。また、有効部11aの素材は、光ファイバ用として、通常、SiOを99.99重量%以上含有する高純度のSiOとされているが、フッ素や塩素、ホウ素、ゲルマニウム等の屈折率調整用の添加物を含有していても良い。この場合には、SiOの濃度は、これらの添加物の分量に応じて低くなる。なお、これらの添加物は、本明細書中における不純物陽イオンの範疇には含まれないものとする。
【0037】
次いで、第2テーブル42を、加熱手段22に向けて鉛直方向に移動させ、ガラスパイプ11の下端を、第2チャック41にて把持する。そして、電極1,2を電極支持部3によりガラスパイプ11に向けて移動させ、図2に示すように、ガラスパイプ11に対して外周の一部を挟むように接触させる。
【0038】
次いで、バルブ82を閉状態,バルブ61を開状態にして、吸気ポンプ81を作動させて、ガラスパイプ11の中空からのガスの排気を行った後、バルブ82を開状態,バルブ61を閉状態にして、内側ガス供給装置83を作動させて、該中空へ内側ガスG1を供給する。バルブ82は、必要に応じて閉状態とされる。内側ガスG1は、アルゴン等の希ガスや窒素ガスなどとされている。ガラスパイプ11の中空内における内側ガスG1の圧力は、内側ガスG1の供給量などを調整することによって、−0.5kPa・gage〜−1.5kPa・gageとされるのが好ましい。内側ガスG1の圧力は陽圧であることがさらに好ましく、その場合、0.1kPa・gage〜1.0kPa・gageとする。
【0039】
次いで、基台21の上方から下方に向けて、アルゴン等の希ガスや窒素ガスなどの外側ガスG2を流動させながら、加熱手段22を作動させてガラスパイプ11を1300℃未満の温度で加熱するとともに、電源51を作動させて電極1,2からガラスパイプ11に対して電圧を印加する。電圧は、通常、直流電圧であり、1kV〜50kVの範囲内で設定するのが好ましい。外側ガスG2の流量は、10リットル/分〜20リットル/分、外側ガスG2の圧力は、0.1kPa・gage〜1.0kPa・gageとされるのが好ましい。また、内側ガスG1の圧力と外側ガスG2の圧力がほぼ等しいことが好ましい。
【0040】
ここでは、図2に示すように、陽極である電極2と、陰極である電極1とが、対向するようにガラスパイプ11の外周面側に接触して配置される。これにより、ガラスパイプ11には、電圧勾配の方向がガラスパイプ11の略径方向となる電圧が印加される。また、電圧勾配は、電極2が接触する側から電極1が接触する側に向けて負の勾配となっている。なお、電圧の電圧勾配の方向がガラスパイプ11の略径方向になるとは、ガラスパイプ11の内周面側と外周面側との間で半径方向に電圧差が生じることの他、ガラスパイプ11の直径方向に電圧差が生じることも含まれる。本実施形態では、電極1,2の間で、ガラスパイプ11の直径方向に電圧勾配が発生する。
【0041】
図2に、電圧勾配が発生した状態におけるガラスパイプ11の半径方向の断面図を模式図にて示す。
この電圧勾配により、ガラスパイプ11に含有されている不純物陽イオンC(リチウムイオン,ナトリウムイオン,カリウムイオン等のアルカリ金属イオンや銅イオンなど)は、図2(a)に示すように、陰極である電極1が接触したガラスパイプ11の外周面側方向に移動する。
【0042】
そして、この電圧の印加を一定時間継続することによって、図2(b)に示すように、ガラスパイプ11に含有されている不純物陽イオンCを、陰極である電極1が接触した部分の近傍に集中させて偏在させることができる。
【0043】
このとき、ガラスパイプ11は、少なくとも電圧を印加する部分、すなわち有効部11aが1300℃未満の温度となるように加熱されると良い。ガラスパイプ11が加熱されて温度が上昇するにしたがって、ガラスパイプ11内に含まれる不純物陽イオンの拡散係数が上がり、電圧勾配が負となっている方向に移動しやすくなる。
【0044】
ガラスパイプ11の加熱温度が低い状態では、電極1,2から不純物がガラスパイプ11内に混入しにくく、電極1,2として用いる材質を選定する際の自由度が広くなる。ただし、電圧を印加する処理時間を長く設ける必要が生じたり、不純物陽イオンの種類によっては、ガラスパイプ11内を移動させることが困難になったりする。
【0045】
ガラスパイプ11の加熱温度が高い状態では、電圧を印加する処理時間を短くすることができる。ただし、ガラスパイプ11が変形しやすくなるとともに、電極1,2の材質によっては、不純物がガラスパイプ11内に混入しやすくなるため、電極1,2として用いることのできる材質が、例えば上述したような表面処理グラファイト等が望ましい。
【0046】
好ましくは、有効部11aが450℃以上の温度となるように加熱する。より好ましくは、有効部11aが600℃以上の温度となるように加熱する。さらに好ましくは、有効部11aが900℃以上の温度となるように加熱する。450℃以上の温度であれば、アルカリ金属の除去が容易であり、600℃以上の温度であれば、2価の金属イオン(Cu2+等)の除去が概ね容易であり、900℃以上の温度であれば、鉄イオン(Fe3+)やニッケルイオン(N2+)の除去が容易である。
ただし、ガラスパイプ11が1300℃を超える温度に曝されると、ガラスパイプ11の変形が著しくなり、高純度化後のガラスパイプ11に対して、内径および外径を長手方向に一定とするための後加工工程を追加する必要性が極めて高くなる。
したがって、ガラスパイプ11に対する加熱温度の好ましい下限値は450℃あるいは600℃であり、上限値は1300℃未満である(以下の実施形態でも同様)。
【0047】
電圧を印加する工程では、第1チャック31と第2チャック41とを同期して回転させつつ、その回転方向を短周期的に反転させることによって、ガラスパイプ11を、その中心軸を回転軸として電極1,2に対して円周方向に揺動させると良い。例えば、図3に示すように、ガラスパイプ11の外周面のうち、半周づつの領域(図中の破線Xで区切られた領域)がそれぞれ電極1,2に接触するようにガラスパイプ11を揺動させることで、ガラスパイプ11内の径方向の断面の全域にわたって満遍なく電圧を印加することができ、不純物陽イオンの移動を効果的に促すとともに、ガラスパイプ11の外周面付近の広い範囲に不純物陽イオンを偏在させることができる。したがって、不純物陽イオンを外周面付近の浅い領域内に偏在させることができ、高純度化された領域を効果的に大きくすることができる。
【0048】
また、ガラスパイプを揺動させることにより、ガラスパイプ11が加熱手段22から受ける熱を周方向でより均一化することができる。よって、ガラスパイプ11の温度が周方向で不均一となることに起因するガラスパイプ11の変形をより確実に低減できる。高純度化装置における加熱手段がガラスパイプの周方向に連続して設けられない場合には、揺動させることが特に好ましい。
【0049】
電圧を印加する工程の後には、ガラスパイプ11の外周面から所定深さまでの領域を除去する表面除去工程を実施すると良い。これにより、ガラスパイプ11の外周面側に偏在した不純物陽イオンを除去でき、高純度化された部分のみを残したガラスパイプ11を得ることができる。表面除去工程は、公知の機械的切削加工処理やフッ酸等の化学エッチング処理、または火炎研磨処理などを使用することによって実施できる。
【0050】
以上説明した第1実施形態に係るガラス体(ガラスパイプ)の高純度化方法における好適な実施条件を以下に示す。
ガラスパイプの外径:120mm
ガラスパイプの内径:10mm〜15mm
ガラスパイプの長手方向長さ:1200mm
加熱手段の温度:1200℃
印加電圧:40kV
電圧印加工程時間:30時間
表面除去工程において除去されるガラスパイプの外周面からの深さ:1.5mm
電極(1つあたり)の幅:48mm
ここでいう電極の幅とは、例えば図2に示したような、ガラス体の断面方向において、電極がガラス体に接触する部分を接線方向に直線的に測った長さを指す。
このような条件により高純度化処理を行ったガラスパイプ11は、有効部11aに含まれる不純物陽イオンの含有濃度を0.01重量ppm以下とすることができる。
【0051】
また、第1実施形態に係るガラス体の高純度化方法における、加熱温度と印加電圧と処理時間との関係の一例を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 2004131367
【0053】
表1に示す例1の場合は、アルカリ金属の不純物陽イオンを移動させることができる。例2の場合は、アルカリ金属の他、2価以下の金属イオンを移動させることができる。例3の場合は、例1,例2で移動可能な不純物陽イオンに加えて、他の不純物陽イオンも移動させることができる。
【0054】
なお、図1に示した第1の高純度化装置100は、一対の電極1,2を用いてガラスパイプ11に対して電圧を印加するものである。この場合、電極(1つあたり)の幅は、ガラス体の外径の20%〜40%とすることが好ましい。
また、電極を複数対設けて電圧を印加するように構成しても良い。例えば、図4に示す模式図のように、陽極となる電極1a,1b,1cと陰極となる電極2a,2b,2cとからなる三対の電極を設けても良い。このとき、ガラスパイプ11の外周面の半分の領域に電極1a,1b,1cを配置し、もう半分の領域に電極2a,2b,2cを配置する。この場合、電極(1つあたり)の幅は、ガラス体の外径の10%〜30%とすることが好ましい。そして、それぞれ対となっている電極1a,2a、電極1b,2b、電極1c,2cに印加する電圧をそれぞれ設定すると良い。例えば、三対の電極のうち中央に位置する電極1b,2bには、30kVの電圧を印加し、他の電極である電極1a,2a、及び電極1c,2cには、25kVの電圧を印加する。これにより、電極1bが接触している箇所を中心に効果的に不純物陽イオンを移動させて偏在させることができる。
【0055】
また、図5に示すように、電圧を印加する工程では、図3を参照して説明したように、ガラスパイプ11を、その中心軸を回転軸として電極1,2に対して円周方向に揺動させると良い。これにより、不純物陽イオンの移動を効果的に促すとともに、ガラスパイプ11の外周面付近の広い範囲に不純物陽イオンを偏在させることができる。
【0056】
図4を参照して説明した実施形態に係るガラス体(ガラスパイプ)の高純度化方法における好適な実施条件を以下に示す。
ガラスパイプの外径:120mm
ガラスパイプの内径:10mm〜15mm
ガラスパイプの長手方向長さ:1200mm
加熱手段の温度:1100℃
印加電圧(電極1b,2b):30kV
印加電圧(電極1a,2a、1c,2c):25kV
電圧印加工程時間:30時間
表面除去工程において除去されるガラスパイプの外周面からの深さ:1.5mm
電極(1つあたり)の幅:36mm
このような条件により高純度化処理を行ったガラスパイプ11は、有効部11aに含まれる不純物陽イオンの含有濃度を0.008重量ppm以下とすることができる。
【0057】
以上に説明した本発明に係る第1実施形態のガラス体の高純度化方法によれば、ガラスパイプの変形を抑制しつつ高純度化を実施でき、ガラスパイプの内径および外径を長手方向に一定とするための後成形加工工程(ガラスパイプの部分又は全体的な内周面および外周面に対する切削加工や、部分又は全体的な縮拡径など)を省略できるので、高純度化されたガラスパイプの製造コストを非常に低減できる。ここでいう切削加工とは、例えばNC旋盤等で、ガラス体を長手方向にその外径が均一となるように加工することを指す。なお、上記の表面除去工程は、エッチングや外周研削により、変形が抑制されつつ高純度化がなされたガラスパイプの外周面を所定深さで除去する工程である。これは所定深さを除去する工程に限られ、変形による後成形加工工程と比較して実施が極めて容易な工程である。
【0058】
(第2実施形態)
上述したガラス体の高純度化方法の第1実施形態は、ガラスパイプの有効部の長手方向全体に対して、同時に電圧を印加する態様であったが、本発明に係るガラス体の高純度化方法の第2実施形態は、ガラスパイプに対して、外周面側に接触させた電極からの略径方向への電圧の印加を、長手方向に順次行うものである。
【0059】
第2の高純度化装置200には、図6の概略縦断面図に示すように、第1の高純度化装置100が具備する加熱手段22に代えて、長手方向の長さが短く設定された加熱手段23が設けられるとともに、電極1,2に代えて、電極5,6が加熱手段23と同程度の長さであるように構成されている。
また、第2の高純度化装置200は、第1の高純度化装置100が具備する第1テーブル32及び第2テーブル42に代えて、それぞれ、第1テーブル35及び第2テーブル45を有している。第1テーブル35及び第2テーブル45はモータ(図示せず)を備えており、基台21に沿いながら、それぞれ所定速度で鉛直方向に移動可能に構成されている。
【0060】
次に、第2の高純度化装置200を使用する本発明の第2実施形態に係るガラス体の高純度化方法を、主として、第1実施形態との相違点を挙げることにより説明する。
【0061】
第1実施形態と同様に、ガラスパイプ11の端部を、第1チャック31及び第2チャック41にて把持する。有効部11aの長手方向の長さは、加熱手段23の長手方向の長さよりも充分に長く、有効部11aの一部領域が加熱手段23からの熱を受けて1300℃未満の温度となるように加熱され得る長さとなっている。
【0062】
第2実施形態では、第1テーブル35及び第2テーブル45を基台21に沿って移動させて、ガラスパイプ11を加熱手段23に対して相対移動させることによって、1300℃未満の温度に加熱するとともに、略径方向への電圧の印加を、ガラスパイプ11の全域に対して実施できる。なお、ガラスパイプ11の代わりに加熱手段を動かしても良い。
【0063】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、ガラスパイプ11を、その中心軸を回転軸として、電極5,6に対して円周方向に揺動させながら実施するのが好ましい。また、電圧印加工程の後に、上記の表面均一除去工程を実施しても良い。
以上に説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0064】
なお、図6に示すように、第2実施形態では、加熱手段23の上部近傍に冷却手段が設けられていると良く、ガラスパイプ11のうち、加熱手段23により加熱されるとともに電圧が印加されて不純物陽イオンが偏在化された部分に対して、強制的に冷却を行うと良い。
冷却手段は、図6に示すように不活性ガスやクリーンエア等の冷却用の気体をガラスパイプ11に向けて噴出するものや、あるいは水冷のジャケット(図示せず)がガラスパイプ11の周囲を覆うものであっても良い。また、冷却は、ガラスパイプ11の冷却箇所が800℃以下、あるいは500℃以下の温度となるように行うことが好ましい。
【0065】
このように、不純物陽イオンが偏在した直後のガラスパイプ11に対して、偏在した不純物陽イオンが再びガラスパイプ11内に拡散してしまう前に、不純物陽イオンの拡散係数が充分に低くなって移動しにくくなる温度まで強制的に冷却を行うことにより、不純物陽イオンがガラスパイプの外周に偏在したままとすることができる。したがって、本発明に係るガラス体の高純度化方法の効果を最大限に得ることができる。
【0066】
なお、上記第1及び第2実施形態において、高純度化処理を行う対象のガラス体として、円筒形状のガラスパイプを例に挙げて説明したが、円柱形状のガラス体(以下、ガラスロッドと呼ぶ)を対象とすることもできる。その場合、ガラスパイプを高純度化する場合と同様の装置及び方法により高純度化を行うことができる。ただし、ガラスパイプの内側に流す内側ガスを用いる必要がない。
【0067】
図7に示すように、ガラスロッドを高純度化するために好適に用いられる第3の高純度化装置100aは、図1に示す第1の高純度化装置100から、内側ガスG1を用いるための構成を除いたものである。
ガラスロッド16は、高純度化する有効部16aの上下にダミーロッド16bが接続されてなるものである。有効部16aは、上述したガラスパイプ11の有効部11aと同様の材質であり、ダミーロッド16bは、上述したガラスパイプ11のダミーパイプ11bと同様の材質である。
【0068】
また、この図7に示した第3の高純度化装置100aは、有効部16aの長手方向の全体に対して同時に電圧を印加する場合に用いられるが、ガラスロッド16に対しても、略径方向の電圧を長手方向に順次印加する方法を採用できる。例えば、図6を参照して説明したように、ガラスパイプ11に対して略径方向の電圧を長手方向に順次印加する場合と同様にして、ガラスロッド16に対しても高純度化処理を行うことができる。
【0069】
また、ガラスロッドは、内側に空間が形成されているガラスパイプと異なり、中実のガラス体であるため、ガラスパイプと比較して熱による変形が起こりにくい。そのため、高純度化する際の加熱温度の上限を、ガラスパイプより高く設定することができる。ガラスロッドにおいて、加熱される温度の好ましい上限値は、1450℃である。
例えば、第1実施形態において示した例1から例3(表1参照)に対して、第1実施形態とほぼ同様の条件下でガラスロッドを高純度化処理する場合には、例えば加熱温度を1400℃として、印加電圧を40kVとすると、処理時間は24時間となり、例3と同様の不純物陽イオンを移動させることができる。
【0070】
(第3実施形態)
本発明に係るガラス体の高純度化方法の第3実施形態は、ガラスパイプに対して、外周面側と内周面側とに配置された電極から略径方向に電圧を印加して、その電圧勾配によってガラス体に含まれる不純物を外周面側あるいは内周面側に移動させるものである。
第4の高純度化装置300は、図8の概略縦断面図に示すように、長尺状の基台21と、ガラスパイプ11を囲繞できるように基台21の長手方向に沿って特定距離で配置された加熱手段22と、電源51とを有している。基台21は、長手方向が略鉛直方向となるように配置されており、加熱手段22の上方には、ガラスパイプ11の一端部を把持できる第1チャック31が第1テーブル32を介して基台21に対して取付けられている。加熱手段22の下方には、ガラスパイプ11の他端部を把持できる第2チャック41が第2テーブル42を介して基台21の外に取付けられている。第1チャック31及び第2チャック41は、それぞれモータ(図示せず)により、互いが同期して回転することによって、ガラスパイプ11がその中心軸を回転軸として回転できるように構成されている。
また、第2テーブル42は、ガラスパイプ11の第1チャック31及び第2チャック41に対する脱着を容易とするために、鉛直方向に移動可能に構成されている。
【0071】
第1チャック31の上方には、電極固定部材33が取付けられており、長尺状の内側電極12は、第1チャックの上端部31Aを突き抜ける導電性の電極接続部14を介して電極固定部材33に把持されている。ここで、内側電極12は、鉛直方向下向きに加熱手段22の下端近傍に至るまで延びるように構成されている。内側電極12は、その横断面における最大外径が、高純度化処理に供されるガラスパイプ11の内径よりも小さくなるように設定されており、ガラスパイプ11と内側電極12とが接触しないように構成されている。
【0072】
また、例えば第1チャックの上端部31Aには、把持されたガラスパイプ11の中空と連通できるガス管84が設けられており、ガス管84は流路の開閉を実施できるバルブ82を介して内側ガス供給装置83に接続している。さらに、例えば第2チャック41の下端には、把持されたガラスパイプ11の中空と連通できるガス管63が設けられており、ガス管63は、流路の開閉を実施できるバルブ61を介して吸気ポンプ81に接続している。
【0073】
電源51は、通常、直流電源とされており、プラス極から出た導電線が電極接続部14に接続している。内側電極12及び電極接続部14の素材としては、上述したグラファイトや表面処理グラファイトなどを挙げることができる。特に、内側電極12の素材は、表面処理グラファイトであることが好ましい。
一方、電源51のマイナス極から出た導電線は、加熱手段22が備える発熱体に接続している。発熱体の素材は、カーボン等を好適に例示できる。
ここで、グラファイト等のカーボンは、不純物の含有量が1ppm以下であるのが好ましく、これにより、ガラスパイプ11に不純物が侵入されにくくなる。
【0074】
また、第4の高純度化装置300は、基台21の上方から下方に向けて、外側ガスG2を吹き出すガス吹き出し口27が設けられている。
【0075】
次に、第4の高純度化装置300を使用する本発明の第3実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法について説明する。
第2チャック41と加熱手段22とが充分に離れた状態で、ガラスパイプ(石英パイプ)11の上端を、ガラスパイプ11の中空に内側電極12が収容されるように、第1チャック31にて把持する。
ここで、ガラスパイプ11は、第1実施形態で説明したものと同様のものである。
次いで、第2テーブル42を、加熱手段22に向けて鉛直方向に移動し、ガラスパイプ11の下端を、第2チャック41にて把持する。ここでは、ガラスパイプ11の中心軸と内側電極12の中心軸とはほぼ一致しており、ガラスパイプ11が内側電極12に対して接触しないように取付けられる。
【0076】
次いで、バルブ82を閉状態,バルブ61を開状態にして、吸気ポンプ81を作動させて、ガラスパイプ11の中空からのガスの排気を行った後、バルブ82を開状態,バルブ61を閉状態にして、内側ガス供給装置83を作動させて、該中空へ内側ガスG1を供給する。バルブ82は、必要に応じて閉状態とされる。内側ガスG1は、アルゴン等の希ガスや窒素ガスなどとされている。ガラスパイプ11の中空内における内側ガスG1の圧力は、内側ガスG1の供給量などを調整することによって、−0.5kPa・gage〜−1.5kPa・gageとされるのが好ましい。もしくは、内側ガスG1の圧力は陽圧であることが好ましく、その場合、0.1kPa・gage〜1.0kPa・gageとする。
【0077】
次いで、基台21の上方から下方に向けて、アルゴン等の希ガスや窒素ガスなどの外側ガスG2を流動させながら、加熱手段22を作動させてガラスパイプ11を1300℃未満の温度で加熱するとともに、電源51を作動させてガラスパイプ11に対して電圧を印加することにより、電圧印加工程を実施する。電圧は、通常、直流電圧であり、1kV〜50kVの範囲とするのが好ましい。外側ガスG2の流量は、10リットル/分〜20リットル/分、外側ガスG2の圧力は、0.5kPa・gage〜1.5kPa・gageとされるのが好ましい。
【0078】
ここでは、陽極である内側電極12と、陰極である加熱手段22とが、対向するようにガラスパイプ11の内側と外側に配置されるとともに、内側電極12とガラスパイプ11との間に内側ガスG1が介在し、陰極とガラスパイプ11との間に外側ガスG2が介在している。これにより、ガラスパイプ11には、電圧勾配の方向がガラスパイプ11の略径方向となる電圧が印加される。また、電圧勾配は、ガラスパイプ11の内周面側から外周面側に向けて負の勾配となっている。なお、本実施形態において、電圧の電圧方向がガラスパイプ11の略径方向になるとは、内側電極12がガラスパイプ11の中心軸からずれるなどして、電圧勾配の方向がガラスパイプ11の径方向からわずかにずれる場合も包含するものである。
これにより、ガラスパイプ11に含有されている不純物陽イオンCは、図8の要部断面図である図9(a)に示すように、ガラスパイプ11の外周面方向に移動する。
【0079】
そして、電圧印加工程を一定時間継続することによって、ガラスパイプ11に含有されている不純物陽イオンCを、ガラスパイプ11の外周面から拡散させ、外側ガスG2の流動を利用して第1の高純度化装置100から排出させるか、図9(b)の要部断面図に示すように、ガラスパイプ11の外周面近傍にて偏在させることができる。
また、前記したように、ガラスパイプ11は、1300℃未満の温度で加熱されると良い。
【0080】
本実施形態において、電圧印加工程は、第1チャック31と第2チャック41とを同期して回転させることによって、ガラスパイプ11を、その中心軸を回転軸として1rpm以上100rpm以下の範囲内の回転速度で回転させながら実施する。なお、ここでは、ガラスパイプ11の中心軸と前記回転軸とが多少ずれている場合も含むものとする。
回転速度を1rpm以上とすることによって、ガラスパイプ11が加熱手段22から受ける熱を周方向でより均一することができる。よって、ガラスパイプ11の温度が周方向で不均一となることに起因するガラスパイプ11の変形を効果的に低減できる。特に、高純度化装置における加熱手段がガラスパイプの周方向に連続して設けられない場合は、上記回転速度範囲内でガラスパイプを回転させるのが好ましい。
一方、回転速度を100rpm以下とすることによって、遠心力に起因するガラスパイプ11の変形を効果的に抑制できる。特に、回転速度を20rpm以下とすると、遠心力に起因するガラスパイプ11の変形をより確実に抑制でき、好ましい。
【0081】
電圧印加工程の後には、必要に応じて、ガラスパイプ11の外周面から所定深さまでの領域を均一に除去する表面均一除去工程を実施することができ、これにより、ガラスパイプ11の高純度化をより確実に行うことができる。
【0082】
第3実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法における好適な実施条件を以下に示す。
ガラスパイプの外径:75mm〜150mm
ガラスパイプの内径:52.5mm〜105mm
ガラスパイプの長手方向長さ:1000mm〜1500mm
電圧印加工程時間:20時間〜30時間
表面均一除去工程において除去されるガラスパイプの外周面からの深さ:0.1mm〜0.3mm
【0083】
以上に説明した本発明の第3実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法によれば、ガラスパイプの変形を抑制しつつ高純度化を実施でき、ガラスパイプの内径および外径を長手方向に一定とするための後成形加工工程(ガラスパイプの内周面および外周面に対する切削や、部分又は全体的な縮拡径など)を省略できるので、高純度化されたガラスパイプの製造コストを非常に低減できる。なお、必要に応じて追加される前記表面均一除去工程は、変形が抑制されつつ高純度化がなされたガラスパイプの周面を所定深さで除去する工程である。これは所定深さを均一に除去する工程に限られ、変形による後成形加工工程と比較して実施が極めて容易な工程である。なお、それぞれの電極がガラスパイプに接するようにしても良い。
【0084】
(第4実施形態)
第5の高純度化装置400には、図10の概略縦断面図に示すように、第4の高純度化装置300が具備する加熱手段22に代えて、長手方向長さが短く設定された加熱手段23が設けられるとともに、内側電極12に代えて、内側電極13が加熱手段23と同程度の長さであるように構成されている。
また、第5の高純度化装置400は、第4の高純度化装置300が具備する第1テーブル32及び第2テーブル42に代えて、それぞれ、第1テーブル35及び第2テーブル45を有している。第1テーブル35及び第2テーブル45はモータ(図示せず)を備えており、基台21に沿いながら、それぞれ所定速度で鉛直方向に移動可能に構成されている。
【0085】
次に、第5の高純度化装置400を使用する本発明の第4実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法を、主として、第3実施形態との相違点を挙げることにより説明する。
【0086】
第3実施形態と同様に、ガラスパイプ(石英パイプ)11の端部を、ガラスパイプ11の中空に内側電極13が収容されるように、第1チャック31及び第2チャック41にて把持する。有効部11aの長手方向長さは、加熱手段23の長手方向長さよりも充分に長く、有効部11aの一部領域が加熱手段22からの熱を受けて1300℃未満の温度に加熱され得る長さとなっている。
【0087】
第4実施形態では、第1テーブル35及び第2テーブル45を基台21に沿って移動させて、ガラスパイプ11を加熱手段23に対して相対移動させることによって、1300℃未満の温度に加熱するとともに電圧を印加する電圧印加工程を、ガラスパイプ11の全域に対して実施できる。ガラスパイプ11の代わりに加熱手段を動かしても良い。
【0088】
また、本実施形態においても、図6に示した冷却手段7を用いて、電圧を印加した後のガラスパイプ11を冷却すると良い。
【0089】
第4実施形態においても、第3実施形態と同様に、ガラスパイプ11を、その中心軸を回転軸として1rpm以上100rpm以下の範囲内の回転速度で回転させながら実施する。より好ましくは、回転速度を1rpm以上20rpm以下とする。また、電圧印加工程の後に、前記表面除去工程を実施しても良い。
以上に説明した第4実施形態によれば、第3実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0090】
第3実施形態及び第4実施形態においては、図11の概略断面図に示すように、加熱手段22,23と電源とを接続しない代わりに、ガラスパイプ11の外周面と加熱手段22,23との間に、電源と接続する外側電極15を別途配置しても良い。
【0091】
また、第3実施形態及び第4実施形態では、内側電極を陽極とし、外側電極あるいは加熱手段を陰極としたが、内側電極を陰極とし、外側電極あるいは加熱手段を陽極とする実施形態も例示できる。
この場合、ガラスパイプ11には、前記第3及び第4実施形態と同様に、電圧勾配の方向がガラスパイプ11の略径方向となる電圧が印加されるが、電圧勾配は、ガラスパイプ11の外周面側から内周面側に向けて負の勾配となる。
【0092】
これにより、ガラスパイプに含有されている不純物陽イオン(リチウムイオン,ナトリウムイオン,カリウムイオン等のアルカリ金属イオンや銅イオンなど)は、ガラスパイプの内周面方向に移動する。
よって、電圧印加工程の後に、ガラスパイプの内周面から所定深さまでの領域を除去する表面除去工程を実施することによって、ガラスパイプの高純度化をより確実に行うことができる。
【0093】
また、前記第3及び第4実施形態では、内側ガスをガラスパイプ11の中空内に封入するとともに、外側ガスを流動させる形態としたが、内側ガスをガラスパイプの中空内で流動させるとともに、外側ガスを基台内で流動させる形態であっても良い。
【0094】
また、前記実施形態では、電圧印加工程において内側ガスG1と外側ガスG2とを使用する形態を例示したが、本発明の実施形態のガラスパイプの高純度化方法はこれに限らない。
すなわち、例えば、内側ガスG1を使用せずに、中心軸を回転軸として回転するガラスパイプの内周面に対して内側電極を摺接させる形態、外側ガスG2を使用せずに、中心軸を回転軸として回転するガラスパイプの外周面に対して外側電極を摺接させる形態、及び、これらを組み合わせた形態(図12参照:この場合、内側ガスG1、外側ガスG2を必要としない。)なども例示できる。ガラスパイプに摺接する電極としては、電極からガラスパイプへの不純物の移動を確実に抑制するために、前掲の表面処理グラファイトを好適に例示できる。
【0095】
また、図13の概略断面図に示すように、加熱手段22,23と電源とを接続しない代わりに、ガラスパイプ11の外周面と加熱手段22,23との間に、電源と接続し、なおかつガラスパイプ11の外周面に接触する外側電極15を別途配置しても良い。
【0096】
また、図12に示した態様の実施形態に係るガラス体(ガラスパイプ)の高純度化方法における好適な実施条件を以下に示す。
ガラスパイプの外径:150mm
ガラスパイプの内径:10mm〜15mm
ガラスパイプの長手方向長さ:1500mm
加熱手段の温度:1100℃
印加電圧:30kV
電圧印加工程時間:30時間
表面均一除去工程において除去されるガラスパイプの外周面からの深さ:1.5mm
このような条件により高純度化処理を行ったガラスパイプ11は、有効部11aに含まれる不純物陽イオンの含有濃度を0.010重量ppm以下とすることができる。
【0097】
(第5実施形態)
第6の高純度化装置500は、図14の概略縦断面図に示すように、長尺状の基台71と、ガラスパイプ11を囲繞できるように基台71の長手方向に沿って特定距離で配置された加熱手段25と、電源52とを有している。基台71は、長手方向が略鉛直方向となるように配置されており、加熱手段25の上方には、ガラスパイプ11の一端部を把持できる第1チャック36が第1テーブル37を介して基台71に対して取付けられている。第1チャック36の内部には、ガラスパイプ11の端面と接触可能に第1電極65が設けられている。加熱手段25の下方には、ガラスパイプ11の他端部を把持できる第2チャック46が第2テーブル47を介して基台71に対して取付けられている。第2チャック46の内部には、ガラスパイプ11の端面と接触可能に第2電極66が設けられている。
【0098】
第1チャック36及び第2チャック46は、それぞれモータ(図示せず)を備えており、互いが同期して回転することによって、ガラスパイプ11がその中心軸を回転軸として回転できるように構成されている。
電源52は、通常、直流電源とされており、プラス極から出た導電線が第1電極65に接続している。一方、電源52のマイナス極から出た導電線は第2電極66に接続している。第1電極65及び第2電極66の素材としては、グラファイトや前掲の表面処理グラファイトなどを挙げることができる。
【0099】
次に、第6の高純度化装置500を使用する本発明に係るガラスパイプの高純度化方法の第5実施形態について説明する。
まず、片端に中心軸が揃うようにダミーパイプ19が融着接続されたガラスパイプ11を用意する。
ガラスパイプ11のダミーパイプ19側の端部を第2チャック46にて把持し、他端部を第1チャック36にて把持する。ここで、ガラスパイプの第1端面11A(ダミーパイプとは反対側の端面)は第1電極65に対して、ガラスパイプの第2端面11B(ダミーパイプ側の端面)は第2電極66に対して、それぞれ接触している。また、ガラスパイプ11の長手方向長さは、ガラスパイプ11の略全域が、加熱手段25からの熱を受けて1300℃未満の温度に加熱され得る長さとされている。
【0100】
次いで、加熱手段25を作動させてガラスパイプ11を1300℃未満の温度で加熱するとともに、電源52を作動させてガラスパイプ11に対して電圧を印加することにより、電圧印加工程を実施する。電圧は、通常、直流電圧であり、1kV〜50kVの範囲とするのが好ましい。
【0101】
ここでは、陽極である第1電極65と陰極である第2電極66とが、対向するようにガラスパイプ11の両端に配置されるとともに、ガラスパイプ11には、電圧勾配の方向がガラスパイプ11の中心軸の方向(長手方向)となる電圧が印加される。
また、電圧勾配は、ガラスパイプの第1端面11Aから第2端面11Bに向かう方向で負の勾配となっている。
【0102】
これにより、ガラスパイプ11に含有されている不純物陽イオンC(リチウムイオン,ナトリウムイオン,カリウムイオン等のアルカリ金属イオンや銅イオンなど)は、図14の要部断面図である図15(a)に示すように、ガラスパイプの第2端面11Bの方向に移動する。
【0103】
そして、電圧印加工程を一定時間継続することによって、ガラスパイプ11の不純物陽イオンCを、図15(b)に示すように、ダミーパイプ19にて偏在させることができる。
【0104】
電圧印加工程の後には、必要に応じて、ガラスパイプの第2端面11Bから所定深さまでの領域を除去する端部除去工程を実施することができ、第5実施形態においては、ダミーパイプ19をガラスパイプ11から除去することによって容易に実施できる。これにより、ガラスパイプ11の高純度化をより確実に行うことができる。
【0105】
第5実施形態のガラスパイプの高純度化方法における好適な実施条件を以下に示す。
ガラスパイプの外径:40mm〜75mm
ガラスパイプの内径:28mm〜52.5mm
ガラスパイプの長手方向長さ(ダミーパイプも含む):1000mm〜1500mm
ダミーパイプの長手方向長さ:50mm〜100mm
電圧印加工程時間:20時間〜30時間
【0106】
第5実施形態においても、第3実施形態と同様に、ガラスパイプ11を、その中心軸を回転軸として1rpm以上100rpm以下の範囲内の回転速度で回転させながら実施するのが好ましい。より好ましくは、回転速度を1rpm以上20rpm以下とする。
以上に説明した第5実施形態によれば、第3実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0107】
(第6実施形態)
第7の高純度化装置600には、図16の概略縦断面図に示すように、第6の高純度化装置500が具備する加熱手段25に代えて、長手方向長さが短く設定された加熱手段26が設けられている。第6の高純度化装置500が具備する第1テーブル37及び第2テーブル47に代えて、それぞれ、第1テーブル39及び第2テーブル49を有している。第1テーブル39及び第2テーブル49はモータ(図示せず)を備えており、基台71に沿いながら、それぞれ所定速度で鉛直方向に移動可能に構成されている。なお、ガラスパイプ11の代わりに加熱手段を移動させてもよい。
【0108】
次に、第7の高純度化装置600を使用する本発明の第6実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法を、主として、第5実施形態との相違点を挙げることにより説明する。
【0109】
第5実施形態と同様に、ガラスパイプ11の端部を第1チャック36及び第2チャック46にて把持する。ガラスパイプ11の長手方向長さは、加熱手段26の長手方向長さよりも充分に長く、ガラスパイプ11の一部領域が加熱手段26からの熱を受けて1300℃未満の温度に加熱され得る長さとなっている。
【0110】
第6実施形態では、第1テーブル39及び第2テーブル49を基台71に沿って移動させて、ガラスパイプ11を加熱手段26に対して相対移動させることによって、1300℃未満の温度に加熱するとともに電圧を印加する電圧印加工程を、ガラスパイプ11の全域に対して実施できる。
第5実施形態と同様、ガラスパイプ11に含有されている不純物陽イオンは、ガラスパイプの第2端面11Bの方向に移動することから、先ず、第1チャック36と加熱手段26とを近傍に配置して、ガラスパイプ11の上端部に対して電圧印加工程を実施し、続いて、ガラスパイプ11と加熱手段26とを相対移動させることによって、ガラスパイプ11の下側の領域に向けて電圧印加工程を実施するのが好ましい。これにより、効率良く、ガラスパイプ11内の不純物陽イオンをダミーパイプ19にて偏在させることができる。
また、本実施形態においても、図6に示した冷却手段7を用いて、電圧を印加した後のガラスパイプ11を冷却すると良い。
【0111】
第6実施形態においても、第3実施形態と同様に、ガラスパイプ11を、その中心軸を回転軸として1rpm以上100rpm以下の範囲内の回転速度で回転させながら実施するのが好ましい。より好ましくは、回転速度を5rpm以上20rpm以下とする。また、電圧印加工程の後に、必要に応じて、前記端部除去工程を実施することができ、第6実施形態においても、ダミーパイプ19をガラスパイプ11から除去することによって容易に実施できる。これにより、ガラスパイプ11の高純度化をより確実に行うことができる。
以上に説明した第6実施形態によれば、第3実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0112】
また、第5,第6実施形態において、ガラスパイプ11を用いる代わりに、円柱形状のガラスロッドを用いても良い。その場合、ガラスパイプ11を高純度化する場合と同様の装置及び方法によってガラスロッドの高純度化を行うことができるが、加熱温度の好ましい上限値は1450℃となる。
【0113】
なお、本発明において用いるガラス体は、ガラス体の長手方向(中心軸方向)に電圧を印加する場合には有効部の長さが500mm未満であると良い。有効部の長さが500mm以上のガラス体に対して不純物陽イオンを長手方向に移動させようとした場合、その移動距離が長くなってしまうことから、高純度化処理を行う時間が長くなってしまうとともに、印加電圧を大きくする必要が生じる。印加電圧が大きくなりすぎる(例えば50kVを超える)と、ガラス体に印加する前に放電してしまうおそれがある。
これに対して、ガラス体の略径方向に電圧を印加する場合には、有効部の長さが500mm以上であっても構わない。したがって、有効部の長さが長いガラス体に対しては、ガラス体の略径方向に電圧を印加する方が効率的に高純度化を実施することができる。
【0114】
また、このような方法で高純度化された外径100mm以上の高純度ガラス体は、比較的大型のガラス体である。また、ガラス体の有効部における不純物陽イオンの含有濃度が、0.01重量ppm以下となるように高純度化を行うと良い。例えば、各不純物陽イオン(リチウムイオン,ナトリウムイオン,カリウムイオン等のアルカリ金属イオンや銅イオンなど)の含有濃度が、それぞれ10重量ppb以下であることが好ましい。
このような高精度かつ大型の高純度ガラス体を光ファイバの母材として用いると、伝送特性が良好で、高品質な光ファイバを効率的に製造することができる。
【0115】
以下、ガラスパイプの高純度化方法として採用し得る態様について簡潔に述べる。
▲1▼ ガラスパイプを1000℃以上1300℃未満の範囲内の温度に加熱しながら前記ガラスパイプに対して電圧を印加する電圧印加工程を有する、ガラスパイプの高純度化方法。
▲2▼ 前記ガラスパイプを、その中心軸を回転軸として1rpm以上100rpm以下の範囲内の回転速度で回転させながら前記電圧印加工程を行う、前記▲1▼に記載のガラスパイプの高純度化方法。
▲3▼ 前記電圧の電圧勾配の方向を、前記ガラスパイプの略径方向とする前記▲1▼または前記▲2▼に記載のガラスパイプの高純度化方法。
▲4▼ 前記電圧勾配を、前記ガラスパイプの内周面側から外周面側に向けて負の勾配とするとともに、前記電圧印加工程に次いで、前記ガラスパイプの外周面から所定深さまでの領域を除去する表面均一除去工程を有する、前記▲3▼に記載のガラスパイプの高純度化方法。
▲5▼ 前記電圧勾配を、前記ガラスパイプの外周面側から内周面側に向けて負の勾配とするとともに前記電圧印加工程に次いで、前記ガラスパイプの内周面から所定深さまでの領域を除去する表面均一除去工程を有する、前記▲3▼に記載のガラスパイプの高純度化方法。
▲6▼ 前記電圧の電圧勾配の方向を、前記ガラスパイプの中心軸の方向とする前記▲1▼または前記▲2▼に記載のガラスパイプの高純度化方法。
▲7▼ 前記電圧勾配を、前記ガラスパイプの第1端面から第2端面に向かう方向で負の勾配とするとともに、前記ガラスパイプの第2端面から所定深さまでの領域を除去する端部除去工程を有する、前記▲6▼に記載のガラスパイプの高純度化方法。
【0116】
【実施例】
(実施例1)
前記第4の高純度化装置300に準ずる高純度化装置を使用して第3実施形態に係るガラスパイプの高純度化を以下の条件で行う。
ガラスパイプの外径:150mm
ガラスパイプの内径:105mm
ガラスパイプの長手方向長さ:1500mm
【0117】
上記ガラスパイプの組成は、不純物陽イオン(リチウムイオン,ナトリウムイオン,カリウムイオン及び銅イオンの総和)を0.1重量ppmで含有するSiOである。
ここで、不純物陽イオンの濃度は、ガラスパイプ全体に対する不純物陽イオンの含有量を意味し、以下も同様とする。
【0118】
また、上記ガラスパイプの長手方向の外径の変形を超音波測定器で測定し、標準偏差(以下、この標準偏差をガラスパイプ径標準偏差ともいう)を算出したところ、0.1mmである。
【0119】
内側ガス:アルゴン,−0.5kPa・gage
外側ガス:アルゴン,10リットル/分,1kPa・gage
加熱温度:1100℃
電圧:40kVの直流電圧
電圧印加工程時間:30時間
ガラスパイプの回転速度:30rpm
表面均一除去工程(化学エッチング)において除去されるガラスパイプの外周面からの深さ:0.24mm
【0120】
(実施例2)
加熱温度を1280℃とする以外は、実施例1と同様にガラスパイプの高純度化方法を行う。
【0121】
(比較例1)
加熱温度を1320℃とする以外は、実施例1と同様にガラスパイプの高純度化方法を行う。
【0122】
実施例及び比較例の高純度化方法を施した後におけるガラスパイプの結果を下表に示す。
【0123】
【表2】
Figure 2004131367
【0124】
表2に示すように、加熱温度が1300℃未満とされた実施例の高純度化方法によれば、不純物陽イオンが減少し、かつ、ガラスパイプ径標準偏差はほとんど変化しない。すなわち、ガラスパイプの変形が高次元で抑制されつつ、高純度化が実施される。実施例の高純度化方法により高次元されたガラスパイプは、そのままの状態で、例えば光ファイバ用としての形状精度及び純度を満足する。
一方、比較例1は、ガラスパイプ径標準偏差が増大する。これは、ガラスパイプの変形を意味し、そのままの状態では、例えば光ファイバ用としての形状精度を満足しない。
【0125】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラス体の変形を高次元で抑制しつつ高純度化を実施できるガラス体の高純度化方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガラス体の高純度化方法に使用できる第1の高純度化装置の概略縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るガラス体の高純度化方法を説明する図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るガラス体の高純度化方法の他の態様を説明する図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るガラス体の高純度化方法の他の態様を説明する図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るガラス体の高純度化方法の他の態様を説明する図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るガラス体の高純度化方法に使用できる第2の高純度化装置の概略縦断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態及び第4実施形態の変形例に係るガラス体の高純度化方法に使用できる第3の高純度化装置の概略縦断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法に使用できる第4の高純度化装置の概略縦断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法を説明する図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法に使用できる第5の高純度化装置の概略縦断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態及び第4実施形態の変形例を説明する概略断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法を説明する図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法を説明する図である。
【図14】本発明の第5実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法に使用できる第6の高純度化装置の概略縦断面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法を説明する図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係るガラスパイプの高純度化方法に使用できる第7の高純度化装置の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1,2 電極
11 ガラスパイプ
11A ガラスパイプの第1端面
11B ガラスパイプの第2端面
16 ガラスロッド

Claims (26)

  1. 円柱形状または円筒形状のガラス体の長手方向の少なくとも一部分に対して、外周面側に接触して配置された少なくとも一対の電極から、前記ガラス体の略径方向に電圧を印加するガラス体の高純度化方法。
  2. 前記電極は、前記ガラス体の円周方向に、陽極と陰極とをそれぞれ複数配置し、各前記陽極及び各前記陰極の電位をそれぞれ設定する請求項1に記載のガラス体の高純度化方法。
  3. 前記ガラス体と、前記電極とを、前記ガラス体の円周方向に相対的に揺動させる請求項1または請求項2に記載のガラス体の高純度化方法。
  4. 前記電圧を印加した後に、前記ガラス体の外周面から所定深さまでの領域を除去する表面除去工程を有する請求項1から3の何れか1項に記載のガラス体の高純度化方法。
  5. 円筒形状のガラス体を、その中心軸を回転軸として1rpm以上100rpm以下の範囲内の回転速度で回転させながら、前記ガラス体の長手方向の少なくとも一部分に対して、前記ガラス体の外周面側と内周面側とに配置された電極から、前記ガラス体の略径方向に電圧を印加するガラス体の高純度化方法。
  6. 前記円筒形状のガラス体を、その中心軸を回転軸として1rpm以上20rpm以下の範囲内の回転速度で回転させながら、前記電圧を印加する請求項5に記載のガラス体の高純度化方法。
  7. 前記電極を前記ガラス体に接触させずに、電圧を印加する請求項5または6に記載のガラス体の高純度化方法。
  8. 前記電極の少なくとも一部を前記ガラス体に接触させた状態で、電圧を印加する請求項5または6に記載のガラス体の高純度化方法。
  9. 前記電圧の電圧勾配を、前記ガラス体の内周面側から外周面側に向けて負の勾配とするとともに、前記電圧を印加した後に、前記ガラス体の外周面から所定深さまでの領域を除去する表面除去工程を有する請求項5から8の何れか1項に記載のガラス体の高純度化方法。
  10. 前記電圧の電圧勾配を、前記ガラス体の外周面側から内周面側に向けて負の勾配とするとともに、前記電圧を印加した後に、前記ガラス体の内周面から所定深さまでの領域を除去する表面除去工程を有する請求項5から8の何れか1項に記載のガラス体の高純度化方法。
  11. 前記ガラス体の有効部の長手方向全体に対して、同時に電圧を印加する、請求項1から10の何れか1項に記載のガラス体の高純度化方法。
  12. 前記ガラス体に対して、長手方向に順次前記電圧を印加する、請求項1から10の何れか1項に記載のガラス体の高純度化方法。
  13. 前記ガラス体に対して、長手方向に順次前記電圧を印加しつつ、前記電圧を印加した箇所を順次冷却する請求項12に記載のガラス体の高純度化方法。
  14. 前記ガラス体の有効部の長手方向の長さが500mm以上である請求項1から13の何れか1項に記載のガラス体の高純度化方法。
  15. 円柱形状または円筒形状のガラス体の長手方向の第1端面及び第2端面に接触して配置された電極から、前記ガラス体の長手方向に電圧を印加するガラス体の高純度化方法。
  16. 前記電圧の電圧勾配を、前記ガラス体の第1端面から第2端面に向かう方向で負の勾配とするとともに、前記電圧を印加した後に、前記ガラス体の第2端面から所定深さまでの領域を除去する端部除去工程を有する請求項15に記載のガラス体の高純度化方法。
  17. 前記ガラス体の有効部の長手方向の長さが500mm未満である請求項15または16に記載のガラス体の高純度化方法。
  18. 前記円柱形状の前記ガラス体の、前記電圧を印加する部分を、1450℃未満の温度になるように加熱して、前記電圧を印加する請求項1から4,15から17の何れか1項に記載のガラス体の高純度化方法。
  19. 前記ガラス体の前記電圧を印加する部分を、1300℃未満の温度になるように加熱して、前記電圧を印加する請求項1から17の何れか1項に記載のガラス体の高純度化方法。
  20. 前記ガラス体の前記電圧を印加する部分を、450℃以上の温度になるように加熱して、前記電圧を印加する請求項18または19に記載のガラス体の高純度化方法。
  21. 前記ガラス体の前記電圧を印加する部分を、600℃以上の温度になるように加熱して、前記電圧を印加する請求項18または19に記載のガラス体の高純度化方法。
  22. 前記ガラス体の前記電圧を印加する部分を、900℃以上の温度になるように加熱して、前記電圧を印加する請求項18または19に記載のガラス体の高純度化方法。
  23. 前記ガラス体の有効部に含まれる不純物陽イオンの含有濃度を0.01重量ppm以下にする、請求項1から22の何れか1項に記載のガラス体の高純度化方法。
  24. 請求項1から14の何れか1項に記載のガラス体の高純度化方法により高純度化処理を施した、外径100mm以上かつ有効部の長手方向の長さが500mm以上である高純度ガラス体。
  25. 請求項15から17に記載のガラス体の高純度化方法により高純度化処理を施した、外径100mm以上かつ有効部の長手方向の長さが500mm未満である高純度ガラス体。
  26. 前記ガラス体の有効部における、不純物陽イオンの含有濃度が、0.01重量ppm以下である請求項24または25に記載の高純度ガラス体。
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