JP3912528B2 - ガラス管の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス管の製造方法および製造装置に係り、特に軟化させたガラス材に拡径部材を挿通してガラス管を成形するガラス管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
円柱状の石英ガラスロッドをその長尺軸を中心として回転させながら、その先端を加熱軟化させ、ロッド先端面の中心部に穿孔用部材の先鋭端を係合させて該先端の周縁を該穿孔用部材に対して回転引き抜きする石英ガラス製シリンダーを製造する方法がある(特許文献1参照)。
【0003】
この方法では、図23に示すように、石英製のガラスロッド100を用意し、出口側をダミーシリンダー123で支持し回転しながら、ガラスロッド100の先端面の中心部に駒131を備えた穿孔部材130をあて、駒の先端の周囲のガラスロッドを加熱手段140にとりつけられたヒータ141で加熱軟化させる。ここでガラスロッド100の両端は第1の送りテーブル111のチャック112および、ダミーシリンダー123を介して第2の送りテーブル121のチャック122に取付けられる。またこれら第1および第2の送りテーブル111、121はそれぞれ入口側基台110および出口側基台120にとりつけられる。またこの穿孔部材130の駒131は支持ロッド133を介して固定部材135によって出口側基台120に固定されており、いわば片持ち方式の拡径部材となっている。ここで142はヒータ用の基台である。
【0004】
別に、大型石英ガラスインゴットの中心を熱間炭素ドリル圧入法により孔明けし、外径50〜300mm、外径/内径比1.1〜7、厚さ10mm以上、厚さ誤差2%以下に正確に外周研削する大型石英ガラス管の製造方法がある(特許文献2参照)。
【0005】
別に、微粒子状ガラスを出発材料上に堆積させて堆積体とし、この堆積体から出発材料を引き抜いてパイプ状堆積体とした後、このパイプ状堆積体を加熱処理して透明ガラス管を製造する方法がある(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特許第2798465号公報
【特許文献2】
特開平7−109135号公報
【特許文献3】
特開昭61−168544号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、偏心がなく、均一で特性の優れたガラス管を提供することは難しく、その解決が課題となっていた。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、偏心率が小さく、肉厚が均一で、特性の優れたガラス管を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のガラス管の製造方法では、管状のガラス材の温度を軟化点以上にしながら、前記ガラス材の孔に拡径部材を挿通して前記孔の径を拡大する。
【0009】
前記ガラス管の製造方法において、拡径部材を少なくともその後端で支持しながらガラス材の孔の径を拡大するのがよい。拡径部材をその両端で支持しながらガラス材の孔の径を拡大するのが好ましい。
【0010】
また、本発明のガラス管の製造装置は、管状のガラス材を周囲から加熱する加熱部材、前記ガラス材に挿通可能な拡径部材、前記拡径部材の両端を支持する支持部材、前記拡径部材を前記ガラス材の孔に挿通させるように前記拡径部材と前記ガラス材とを相対的に移動させる手段を含む。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、管状のガラス材の温度を軟化点以上にしながら、前記ガラス材の孔に拡径部材を挿通して前記孔の径を拡大してガラス管を製造する方法に関する。
【0012】
この構成によれば、拡径部材がガラス材の孔に沿って挿通され、しかもガラス材の温度が軟化点以上にされているので、拡径部材が受ける抵抗は大幅に低減され、拡径部材の軌道がガラス材の孔の中心からずれることが抑えられる。すなわちガラス管の孔の偏心率を小さくすることができる。また、拡径部材およびガラス材に過剰な力がかかることもなくそれらが破損するおそれも減ぜられる。
【0013】
なお、管状のガラス材の入手方法については、限定されない。他より購入してもよく、自作してもよい。ガラスロッドを穿孔したものでもよく、管となるように成形されたものでもよい。ロッドの周囲にガラス微粒子を堆積させてロッドを引き抜いて焼結して管状のガラス材としてもよく、比較的細径の管状のガラス基材(ガラスチューブ)を出発材としてその周囲にガラス微粒子を堆積させて焼結して管状のガラス材としてもよい。ガラス微粒子の堆積には、VAD法、OVD法いずれについても適用可能である。
【0014】
ガラス材の孔に拡径部材を挿通するときに、ガラス材と拡径部材とは相対的に回転してもよい。一方または双方を回転してもよい。双方を回転するとき、回転方向は同じ方向であってもよく、逆の方向であってもよい。双方とも回転しない、あるいは双方を相対的な回転速度がゼロとなるように回転してもよい。
【0015】
引き抜きロッドの周りにガラス微粒子を堆積してガラス微粒子堆積体を形成し、前記ガラス微粒子堆積体から前記引き抜きロッドを引き抜いて中空体を形成し、前記中空体を焼結して管状のガラス材を得ることができる。
【0016】
このとき、不均一な収縮が起こり、ガラス材の孔が変形して非円化したとしても、その後に拡径部材により前記孔を拡大するときに円形の孔として最終的に非円率を小さくすることができる。
また、引き抜きロッドを引き抜くときに中空体の孔の内面に傷が付いたとしても、その後にガラス材の孔が拡大されるときにその傷はなくなる。
【0017】
ここで、引き抜きロッドとガラスロッドとからターゲットロッドを構成し、該ターゲットロッドの周囲にガラス微粒子を堆積することが好ましい。引き抜きロッドはガラスロッドに着脱可能とする。
【0018】
引き抜きロッドは、該ロッド上に堆積しようとするガラス微粒子よりも熱膨張係数の大きい材料で構成されていることが好ましい。この材料としてはカーボンが挙げられる。ガラス微粒子の堆積中は、ガラス微粒子堆積体および引き抜きロッドの温度は数百℃〜千数百℃の温度となる。これを室温付近まで冷却すると、熱膨張係数の差により両者の間に隙間ができる。この状態では引き抜きロッドを容易に引き抜くことができ、中空体の内面に傷が発生するおそれも減ぜられる。引き抜きロッドはテーパ形状をなすように形成するのが望ましい。
【0019】
ガラス微粒子堆積体を焼結する温度は1400〜1600℃が好ましい。この温度範囲であれば、良好に焼結、透明化される。ガラス材にフッ素が含まれる場合は、1400〜1500℃程度の不活性ガス雰囲気中で加熱するとガラス微粒子堆積体中のガスが良好に排出され透明度の高いガラス管を製造できる。ガラス材にフッ素が含まれない場合は、1500〜1600℃程度の不活性ガス雰囲気中で加熱するとよい。
【0020】
出発材である管状のガラス基材の周りにガラス微粒子を堆積してガラス微粒子堆積体を形成し、前記ガラス微粒子堆積体を焼結して管状のガラス材を得ることができる。出発材である管状のガラス基材の外径が比較的細くても、その周囲にガラス微粒子を堆積させて所望の外径となすことができる。
【0021】
ガラスロッドを穿孔して管状のガラス材を得ることができる。
【0022】
管状のガラス材の少なくとも一端に把持パイプを融着し、前記把持パイプを保持することで前記ガラス材を支持して前記ガラス材の孔の径を拡大することができる。
【0023】
ガラス材を直接保持すると、保持箇所の表面に傷がついたり汚れたり、あるいは前記保持箇所の孔の径を拡大できない場合がある。つまり、保持箇所は良品とならないおそれがあるが、把持パイプを保持することでこれらの不具合を解消できる。
【0024】
この把持パイプは一端のみに融着してもよいが、両端に融着すれば、より安定にガラス材を保持でき、ガラス材の孔径を拡大するときに孔が偏心または非円するのを防ぐことができて好ましい。
【0025】
ガラスロッドを一端に残している場合は、他端に把持パイプを融着して両端で保持するとよい。ガラス材の孔の径を拡大するときに、該ガラス材の粘度が103Pa・s乃至1010 2Pa・sであるので、把持パイプの粘度も同様の範囲内の値であれば、該把持パイプは自己変形に至らず拡径部材を圧入できるので好ましい。
【0026】
把持パイプの内径を、拡径部材の外径とほぼ等しくして、両者が同心となるように融着すれば、拡径部材をガラス材に挿通するときに、把持パイプが拡径部材のガイドとして作用する。これにより、拡径部材の中心軸とガラス材の中心軸とを一致させることが容易となり、偏心率を小さくすることが容易となる。
【0027】
ガラス微粒子堆積体から管状のガラス材を得る方法において、フッ素をガラス微粒子堆積体に添加してもよい。
【0028】
ガラス微粒子合成時または焼結前の加熱時にフッ素を含む化合物をガラス微粒子堆積体に供給してガラス微粒子堆積体にフッ素を添加することができる。ガラス管にフッ素を添加することで屈折率分布が複雑なガラス管を製造することができる。フッ素を含む化合物にはCF、C、SiF、SFが挙げられる。
【0029】
ガラス微粒子堆積体を焼結する前または後にガラス微粒子堆積体を塩素系ガス雰囲気にさらして水酸基を除去することが好ましい。水酸基の除去は、焼結前であれば、引き抜きロッドを引き抜く前後のいずれに行ってもよい。塩素系ガスには塩素または四塩化ケイ素を含む不活性ガスが挙げられる。水酸基を除去することで、水酸基による光の吸収のない品質の良好なガラス管を提供することができる。水酸基の除去のためには、ガラス微粒子堆積体を1000〜1200℃に加熱するとよい。1000℃に満たないと水酸基の除去が十分でなく、1200℃を超えるとガラス微粒子堆積体が一部収縮し始めるおそれがある。
【0030】
また、管状のガラス材の端面に、拡径部材を所定の位置に案内できるように構成された位置決め凹部を設け、前記凹部に拡径部材を当接させて前記ガラス材の孔の径の拡大を開始するようにしてもよい。
【0031】
例えば、図2に示すように、管状のガラス材10の出口側端面に位置決め凹部11を設ける。ガラス材10は出口側端面で把持パイプ21に融着されている。
拡径部材6は支持部材7により支持されてガラス材10に当接する。拡径部材6は凹部11にまず当接してガラス材10の軸に垂直な方向への摺動が規制される。これによりガラス材10の孔の径が拡大されるときに、該孔が偏心することが抑えられる。位置決め凹部は拡径部材の軸がガラス材の軸と一致するように拡径部材を案内できるように構成することが好ましい。位置決め凹部は円柱形状でもよいが、先細り形状のものが好ましく、円錐台、多角錐台、球面もしくは扁平球面の一部、曲母線が回転してなる曲面などを挙げることができる。
【0032】
また、拡径部材をその両端で支持しながらガラス材の孔の径を拡大することが好ましい。
【0033】
拡径部材をその両端で支持する支持部材は、ガラス材の孔径よりも細い外径を有し、ガラス材の孔に挿通可能なものを使用する。
拡径部材をその両端で支持するには、図3に示すように先細り形状の拡径部材6の先端と後端にそれぞれ棒状の支持部材7a、7bを取り付け、該支持部材7a、7bを固定手段20a、20bで保持してもよい。拡径部材と支持部材とを一体成形して棒の一部が膨らんだ形状としてもよい。
【0034】
拡径に際しては、ガラス材10の両端に把持パイプ21a、21bを融着し、該把持パイプ21a、21bをそれぞれ固定手段22a、22bで保持する。支持部材7a、7bの固定部材20a、20bとガラス材の固定手段22a、22bとの一方または両方を基台24aまたは24bの上で移動させて、拡径部材6とガラス材10とを相対的に移動させ、拡径部材6をガラス材10の孔9に挿通させる。27a、27bはチャック、30は発熱体(加熱手段)である。
【0035】
管状のガラス材の温度を軟化点以上にするには、該ガラス材の周囲に配置したヒータやバーナ等の加熱手段で加熱するとよい。このとき、管状のガラス材の温度は、1300〜2700℃とするのが好ましい。さらには、1300〜2300℃あるいは1800〜2600℃とすることが特に好ましい。特に、ガラス材にフッ素が添加されている場合は、2500℃を超えるとガラス材が柔らかくなり過ぎて垂れ易くなるので、2500℃以下とすることが好ましい。なお、1800℃に満たないと、拡径部材を挿通させるときの抵抗が大きく、ガラス管の孔がガラス管の中心からずれ易くなる。1300℃に満たないと、ガラス材の材質にかかわらず、拡径部材を挿通させるときの抵抗が大きく、ガラス材又は拡径部材が破損してしまうことがある。2700℃を越えると、フッ素が添加されていないガラス材の場合も軟化してしまい、偏心を生じることになる。
【0036】
さらにまた、ガラス材の孔を拡大する際には、図4に示すように、ガラス材10の周囲を成形部材25により支持するのが好ましい。7は支持部材である。特にガラス部材の温度が1800℃を超える場合にはこのような成形部材25を用いて支持することが好ましい。2000℃を超える場合に成型部材25を用いて支持するとさらに好ましい。成形部材によりガラス材の外形の変化を押さえることができる。ガラス管の外径を成形部材の内径に規制することもできる。
【0037】
さらに、成形部材としては、所望の間隔を持つように平行に配設された平板、断面円形の穴を有するダイス、ガラス管の形状に合わせた断面円弧の溝が付された板などが適用可能である。上記成形部材として平板を用いる場合には、ガラス材を回転しながら拡径を行うのが好ましい。
【0038】
また、拡径部材または成形部材は、反応性が低くガラス管の汚染の原因となりにくい材質からなることが好ましい。例えば、黒鉛(グラファイト)、硬度の高いカーボン、シリコンカーバイド(SiC)、ボロンナイトライド(BN)、またはアルミナが挙げられる。高純度カーボン(熱分解カーボン)、炭化ケイ素(SiC)、金属炭化物などのコーティングをしたものであってもよい。拡径部材または成形部材の直接ガラスと接触する箇所は、その表面を高純度化処理した材料を用いるのが望ましい。
【0039】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
カーボンからなる引き抜きロッドをガラスロッドに着脱可能に接続してターゲットロッドを形成する。該ターゲットロッドのまわりにガラス微粒子を堆積し、ガラス微粒子堆積体を形成する。このガラス微粒子堆積体を冷却すると、ガラス微粒子堆積体と引き抜きロッドの間に隙間ができる。この状態で引き抜きロッドを引き抜き、中空体を形成する。この中空体を焼結して管状のガラス材を得る。このガラス材を加熱して軟化点以上の温度とする。ガラス材の孔の一端から拡径部材を挿通し、孔の径を拡大してガラス管を製造する。
【0040】
まず、管状のガラス材の形成工程について説明する。
図1に示すように、外径20mmの石英ガラスからなるガラスロッド1に形成されたスリット1sに、外径20mmのカーボンからなる引き抜きロッド2の嵌合片2tを挿通して、ピン3で固定してターゲットロッドを形成する。このターゲットロッドを堆積チャンバー内に装着する。水素、酸素、四塩化ケイ素ガスおよび不活性ガスをバーナ4から噴射し、火炎を形成させる。水素および酸素の量はガラス微粒子堆積体の堆積面温度が800℃以上1000℃以下になるように調整する。四塩化ケイ素ガスは酸水素火炎中でガラス微粒子となる。このガラス微粒子が高速でターゲットロッドに吹き付けられ、嵩密度0.3g/cm程度、外径150mmのガラス微粒子堆積体が形成される。
【0041】
ガラス微粒子堆積体5をターゲットロッドと共に冷却する。ピン3を外して、ガラスロッド1を残して、引き抜きロッド2のみをガラス微粒子堆積体5から引き抜く。こうして孔の径が20mmの中空体5aが形成され、その一端にはガラスロッド1が残っている。中空体5aの搬送時にはガラスロッド1を把持するとよい。中空体を直接触れずに保持できるのでガラス微粒子堆積体を傷つけるまたは汚すおそれがない。
【0042】
図5に示すように、ガラスロッド1を搬送部材41に固定し、搬送部材41を移動させて中空体5aを加熱炉40へ導入する。炉心管42内を5.0vol%の塩素を含むヘリウム雰囲気中として、10mm/分の速度で中空体5aを加熱炉40の上から下へ搬送して1000℃に加熱したヒータ36を通過させ、中空体5aを脱水する。中空体5aに含まれる水酸基が除去される。
【0043】
塩素の供給を止め、加熱炉40内にヘリウムのみを供給して炉心管42内をヘリウム雰囲気にして中空体5aを引き上げる。10mm/分の速度で中空体5aを加熱炉40の上から下へ搬送して1500℃に加熱したヒータ36を通過させ、中空体5aを加熱、焼結する。図6に示すように、中空体5aはヒータ36を通過した後では透明化され内径14mm外径60mmの透明な管状のガラス材10となる。
【0044】
なお、脱水、焼結は中空体の下から上に向けて行っているが、方向については限定されない。また、加熱、焼結時の雰囲気としては、ヘリウム雰囲気に限定されるものではなく、ヘリウムガスのかわりにアルゴン、窒素等の他の不活性ガスを用いてもよい。ただし、焼結工程ではヘリウムを用いると透明なガラス材が得られて好ましい。
【0045】
次に、この管状のガラス材を用いた拡径工程について説明する。 図7に示すように内径16mm程度の石英ガラス製把持パイプ21をガラス材10の一端に融着する。
その後、図8に示すように、ガラスロッド1と把持パイプ21とをそれぞれ保持し、外径16mmのカーボン製の拡径部材6を把持パイプ21側から挿入する。拡径部材6が当接する部分のガラス材10の周囲にヒータ35がくるようにヒータ35とガラス材10との位置を調整する。ヒータ35の温度を1800〜2700℃に加熱し、拡径部材6が当接する部分のガラス材の温度を軟化点以上とする。図9に示すように、拡径部材とガラス材とを相対的に移動させ、拡径部材をガラス材の他端へ直線的に移動させ、ガラス材の孔を挿通させる。ヒータ35および拡径部材6を図8の右へ移動させる、あるいはガラス材10を左へ移動させる。三者を移動させてもよい。ヒータ35と拡径部材6との距離はほぼ一定に保つ。軟化されたガラス材が拡径部材に押されて孔9の径が拡径部材6の外径まで広がり、拡径された孔46を有するガラス管47が製造される。ガラス材が純石英製である場合、2100℃〜2500℃に加熱するのが好ましい。ガラス材を2200℃以上に加熱する場合は拡径部材の外側はダイス45などの成形部材でガラス材10を支持して、製造されたガラス管47の外径が一定となり、かつガラス管47が曲がらないようにするのが特に好ましい。
【0046】
ガラス材の孔の径の拡大が終了すれば、ガラス管47の有効部長L1を確保してガラス管47の端部を切断して把持パイプ21およびガラスロッド1を切り離して、ガラス管47が完成する。ここでは、把持パイプ21を用いているため、ガラス管47の有効部長L1を十分に大きく確保することができる。
【0047】
このようにして形成されたガラス管の偏心率(偏肉率ともいう)を測定した。
偏心率は図10に示すように、1直径上にあるガラス管の最大肉厚a、最小肉厚bをそれぞれ測定し、下式
偏心率(%)=(a−b)÷{(a+b)/2}×100
で求めた。
【0048】
また、非円率は、
非円率(%)=(長軸−短軸)÷{(長軸+短軸)/2}×100
で求めた。
【0049】
その結果、この方法で形成されたガラス管は全長にわたり、偏心率1.0%、非円率0.10%と良好であった。また、孔内面に傷が形成されていることもなかった。
【0050】
そして有効範囲L1でこのガラス管を切断し、MCVD法の出発材として用いる。四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニムおよび酸素を供給し、出発材を1600℃〜1900℃に加熱し、ガラス管の内面にゲルマニウムが添加されたガラス微粒子堆積層を複数形成する。ガラス層毎にゲルマニウムの添加量を変えることで各層の屈折率を適宜調整して所望の屈折率分布を有するガラス管を得る。このガラス管を中実化して光ファイバ用のガラス母材を形成する。このガラス母材を加熱しながら所望の速度で線引すると光ファイバが得られる。
この方法で得られた光ファイバの偏波分散(PMD)の値は0.12ps/km1/2と良好であった。
【0051】
なお、前記第1の実施の形態では、ターゲットロッドにガラス微粒子を堆積させるときに、VAD法を用いたが、OVD法を用いてもよい。
OVD法では、図13に示すようにバーナ44を、ガラスロッド1と引き抜きロッド2とからなるターゲットロッドの軸方向に相対的に往復させ、かつターゲットロッドをその軸の周りに回転させて、ガラス微粒子をターゲットロッドに堆積させる。例えば、嵩密度0.5g/cm程度、外径150mmのガラス微粒子堆積体5を形成する。図13ではバーナを複数示したが一つでもよい。
【0052】
他の工程はVAD法でガラス微粒子堆積体を形成した場合と同様に行い、ガラス管が完成する。
【0053】
OVD法で形成されたガラス管の偏心率と非円率とを測定した。その結果、この方法で形成されたガラス管は全長にわたり、偏心率0.84%、非円率0.08%と良好であった。また、このガラス管からMCVD法により作製したガラス母材から得られたシングルモード光ファイバのPMDは0.11ps/km1/2と良好であった。また、孔内面に傷が形成されていることもなかった。
【0054】
本実施の形態では、引き抜きロッドの材質としてカーボンを用いたが、形成するガラスの組成に応じて変更可能であり、アルミナ、ジルコニアなども適用可能である。
【0055】
(第2の実施の形態)
焼結工程までは第1の実施の形態と同様である。
ガラス微粒子堆積体を形成し、脱水焼結工程を経て得られた管状のガラス材からガラスロッドを引き抜いて、図11に示すように把持パイプ21a、21bをガラス材10の両端に融着する。把持パイプ21a、21bの内径およびカーボン製の拡径部材6の外径はともに16mmとする。図12に示すように、拡径部材6を一方の把持パイプ21aからガラス材10の孔に入れて、他端へ挿通させる。ガラス材、拡径部材、ヒータの移動は第1の実施の形態と同様である。最後にガラス管の有効部長L2を確保してガラス管の両端を切断して把持パイプを切り離す。
【0056】
この方法では、第1の実施の形態でガラスロッドがガラス材の中に入り込む分をも有効部長とすることができ、さらなるガラス材の有効利用が可能である。
【0057】
(第3の実施の形態)
ガラス微粒子合成時にCFを同時に供給した他は、第1の実施の形態のOVD法の場合と同様にして、嵩密度0.4g/cm、外径120mmのガラス微粒子堆積体を形成する。その後は透明化処理後の温度を1450℃とした他は、第1の実施の形態と同様にしてガラス管を形成する。この方法で得られたガラス管の偏心率と非円率とを測定したところ、それぞれ0.75%、0.31%と良好であった。またガラス管の比屈折率はSiOに対して0.05%低いものとなっていた。
フッ素を添加することにより、ガラスの屈折率を下げることができる。本実施の形態では、OVD法によりガラス微粒子堆積体を作製するので、各層ごとにCF4の添加量を調整するあるいは添加しないことで、第1の実施の形態よりも複雑な屈折率分布を有するガラス管を製造することができる。
【0058】
(第4の実施の形態)
中空体を加熱炉に入れ、水酸基を除去した後にSiFを含むHe雰囲気にて1300℃に保持し、その後1450℃にして中空体を透明化する。他は第1の実施の形態と同様にしてガラス管を形成する。この方法で得られたガラス管の偏心率、非円率は0.9%、0.06%と良好であった。またフッ素添加により、ガラス管の比屈折率はSiOに対して0.3%程度低い屈折率となっていた。また、このガラス管からMCVD法により作製したガラス母材から得られたシングルモードファイバのPMDは0.08ps/km1/2であった。
【0059】
(比較例1)
第1の実施の形態と同様の方法で形成した中空体の形状を測定した結果、偏心率は1.1%と悪くはなかったが、非円率は3.1%であった。この中空体を脱水、焼結して管状のガラス材とし、そのガラス材をそのまま出発材とし、MCVD法によりガラス材の内面にGeOなどのドーパントを含むガラス層を形成して中実化して光ファイバ母材を得た。この光ファイバ母材を線引して光ファイバとした。該光ファイバのPMDは0.25ps/km1/2と大きく、このガラス管は光ファイバの材料としては不良であった。
【0060】
本比較例では、中空体を焼結して管状のガラス材とした後、該ガラス材の温度を軟化点以上としてその孔の径を拡大することをしていない。従って前記ガラス材の非円率が悪いままとなっており、光ファイバの材料としては不良であった。
【0061】
(比較例2)
外径60mmの中実のガラスインゴットを用意し、図14(a)に示したように、把持パイプ107に装着した。図14(b)に示したように、外径16mmのカーボンドリル108をガラスインゴット105の一端に押し当て、カーボンドリル108が当接する部分のガラスインゴット105をヒータ106で加熱して軟化させ、かつガラスインゴット105を回転させながらカーボンドリル108を軟化したガラスインゴットに圧入した。図14(c)に示すように、ガラスインゴット105の他端までカーボンドリル108を貫通させてガラスインゴット105に孔を開けて管状のガラス材を製造した。
この時得られたガラス管の形状を測定した結果、非円率は0.6%と悪くはなかったが、偏心率は2.7%であった。比較例1と同様に得られたガラス材をそのまま出発材としてMCVD法以降の工程を行い光ファイバを製造した。当該光ファイバのPMDは0.29ps/km1/2と大きく、このガラス管は、光ファイバの材料としては不良であった。本比較例では、本発明のように管状のガラス材を軟化点以上に加熱して孔の径を拡大する工程を経ていないので、偏心率が悪いままとなっている。
【0062】
これら実施の形態と比較例との比較からも本発明の方法によれば、非円率および偏心率が大幅に低減され極めて高精度の形状を有するガラス管を得ることができることがわかる。
【0063】
(第5の実施の形態)
さらにまた、管状のガラス基材のまわりにガラス微粒子を堆積し、ガラス微粒子堆積体を形成してもよい。他の工程は前記第1の実施の形態と同様にしてガラス管を形成する。
例えば、図15に示すように、内径11mm、外径13mmであって金属系不純物1ppm以下の合成石英からなる出発材である管状のガラス基材50を用意し、3リットル/分の原料ガス(四塩化ケイ素ガス)、40リットル/分の水素および60リットル/分の酸素をバーナ4に供給してVAD法により管状のガラス基材50のまわりにガラス微粒子を堆積する。例えば、嵩密度0.25g/cm程度、外径150mmのガラス微粒子堆積体5を形成する。
【0064】
他の工程については第1の実施の形態と同様に行い、脱水、焼結工程を経て、孔径が9mmに、外径が60mmになるように形成したガラス材10を形成する。そして、ガラス微粒子堆積体5の両端で管状のガラス基材50を切断して把持パイプを融着する。
【0065】
そして、ヒータ35の温度を2300℃として、拡径部材6の周囲のガラス材10を加熱し、径16mmの拡径部材6を回転させながらガラス材10に圧入して孔9を押し広げる。このようにして孔の径を9mmから16mmに拡張する。
【0066】
この方法で得られたガラス管47の偏心率および非円率を測定した。その結果、全長にわたり、偏心率0.75%、非円率0.25%と良好であった。
【0067】
なおこのガラス管をMCVD法の出発材として使用する場合は、OH基やパイプ不純物の影響を防ぐため、あらかじめ孔径が17.4mm程度になるまで化学的エッチングをしておくようにするのが望ましい。
【0068】
本実施の形態では、管状のガラス基材にガラス微粒子を堆積するのにVAD法による例を示したが、OVD法を適用することも可能である。
【0069】
(第6の実施の形態)
外径60mmの中実のガラスインゴットを用意し、ヒータの温度を2400℃として前記ガラスインゴットを加熱し、外径5mmのカーボンドリルからなる穿孔治具を該ガラスインゴットに圧入して他は比較例2と同様にして管状のガラス材を作製する。第5の実施の形態でガラス材の孔の径を拡大したのと同様にして、外径16mmの拡径部材を使用してヒータ温度を2300℃として前記ガラス材の孔径を拡張し、ガラス管を作成する。
【0070】
この方法で製造したガラス管の非円率は0.65%、偏心率は0.7%であり、このガラス管から光ファイバを作製したところ、PMDは、0.09ps/km1/2と良好であった。
このように、第6の実施の形態では、比較例2と同様にして作製した管状のガラス材の孔を拡大することにより偏心率のよいガラス管を製造することができ、該ガラス管を材料として作製された光ファイバのPMDは良好である。
【0071】
(第7の実施の形態)
純石英ロッドを孔開け機で穿孔する。孔開け機に使用するツールとしては、図16に示すような円筒状のツール51がある。外径60mmの純石英ロッドに孔径5mmの孔を孔開け機で形成して管状のガラス材を得る。この後は前記第6の実施の形態と同様に前記ガラス材を加熱しながら、拡径部材を回転させて孔に挿通し16mmまで孔径を拡大する。
【0072】
この方法で製造したガラス管の偏心率と非円率とを測定したところそれぞれ。0.87%、0.35%と良好であった。
【0073】
なお、ツール51としては図16に示した金属性の円筒であってその端部51aにダイヤモンドコーティングがなされ回転しながらロッドに接触して穿孔するものや、端部から超音波を発振して該超音波により穿孔するもの(図示せず)が使用可能である。
【0074】
(第8の実施の形態)
第8の実施の形態では、拡径部材の両端部を支持した状態すなわち両持ち状態で、管状のガラス材を加熱し、孔の径を拡大しながら、このガラス材と拡径部材とを相対的に移動させる。
【0075】
本実施の形態に係る装置は、図3および図18に示すように、ガラス材10を加熱手段26で順次加熱する。ガラス材が軟化した箇所に、拡径部材6を押し当てることによって、ガラス材10の孔径を拡大する。この拡径部材6には、その先端中心を支持する先端支持部材7aと、他端側を支持する後端支持部材7bとが繋がれている。そして、ガラス材10を10rpmで回転し、拡径部材6を先端支持部材7aおよび後端支持部材7bとともに、ガラス材10の回転方向に回転数5rpmで回転しつつ孔の拡径を行う。
【0076】
そして、この装置は、入口側基台24aと出口側基台24bと、これらの間に位置し発熱体30を支持するヒータ支持台23とを具備した加熱手段26とを備えている。この先端支持部材7aおよび後端支持部材7bの先端はそれぞれ回転可能に入口側固定部材20aおよび出口側固定部材20bに固定されている。また、これら入口側固定部材20aおよび出口側固定部材20bは、入口側基台24a、出口側基台24bにそれぞれ固定されている。
【0077】
ガラス材10の両端はそれぞれ把持パイプ21a、21bを介して、固定手段22a、22bにそれぞれ固定されている。
【0078】
拡径部材6とガラス材10とを相対的に移動させる手段は、基台24a、24b上を固定手段22a、22bがモータ等により同期して自走するようにしてもよく、基台上にボールネジを設け、該ボールネジに螺合するネジ穴を固定手段22a、22bに設けて、該ボールネジを該ネジ穴に通して該ボールネジをモータ等で回転させて固定手段22a、22bがボールネジにそって移動するようにしてもよい。
【0079】
拡径終了端側の把持パイプ21bは、チャック27bを介して固定手段22bに固定されている。また拡径開始端側の把持パイプ21aは、チャック27aを介して固定手段22aに固定されている。また、チャック27aおよびチャック27bはモータ(図示せず)に接続されており、同期して回転せしめられる。このチャックの回転により、把持パイプを介してガラス材10は前述の回転速度で回転される。
【0080】
一方、入口側固定部材20aおよび出口側固定部材20bは、モータ(図示せず)を備えており、該モータによって先端支持部材7aおよび後端支持部材7bを介して拡径部材6を回転させる。
【0081】
次にこの装置を用いて所望の孔径を有するガラス管(石英パイプ)を製造する方法について説明する。
まず、ガラス材10の外径に対する拡径部材6の外径の比が0.5程度となるように、ガラス材10および拡径部材6を選択する。
【0082】
そして図18(a)に示すように、出口側基台24bに固定された出口側固定部材20bに後端支持部材7bの先端を固定する。このとき入口側基台24a上の固定手段22aおよび入口側固定部材20aは、それぞれ入口側基台24aの左端まで移動されている。また固定手段22bは出口側基台24b上の拡径開始位置に置かれているが、チャック27bは開放状態に維持され、その中を後端支持部材7bが貫通している。
【0083】
そして図18(b)に示すように、固定手段22aにチャック27aを介して把持パイプ21aの一端を固着し、先端支持部材7aの先端側から、矢印A方向に固定手段22aを移動していく。そして、チャック27bの位置まで把持パイプ21bの端が到達すると、ガラス材10が水平となるように高さ調整を行い、把持パイプ21bを固定手段22bのチャック27bに固定する。
【0084】
このとき先端支持部材7aはガラス材の孔を貫通していく。そして入口側固定部材20aを先端支持部材7aの先端まで移動する。入口側固定部材20aは図18(b)に示したX,Y,Z直交座標の3方向に移動可能なように構成されている。ガラス材10と、先端支持部材7aおよび後端支持部材7bの中心軸とが一致するように入口側固定部材20aの位置を微調整して、先端支持部材7aを入口側固定部材20aに固定する。なお、拡径部材6、先端支持部材7aおよび後端支持部材7bは中心軸が一致するように高精度に位置決めされて相互が固定されているものとする。
【0085】
なお、この例では、ガラス材を固定し、このガラス材の中心軸に合わせて拡径部材の位置を調整したが、先に拡径部材の位置を調整して水平となるように固定し、この後にガラス材を、拡径部材と同軸的に保持されるように固定してもよい。
【0086】
そして、加熱手段26を作動させ、ガラス材10の端部に拡径部材6を当接させ、その当接領域近傍が2300℃となるように加熱する。
【0087】
そして、モータを駆動し、ガラス材10および拡径部材6を同軸的にそれぞれ10rpm、5rpmで回転させるとともに、固定手段22a、22bをそれぞれ所望の速度で矢印A方向へ移動させる。
【0088】
このようにして、ガラス材10は、回転せしめられつつ、加熱手段26によって加熱されるとともに軟化され、図17に示したように、拡径部材6によってその孔の径が漸次拡大される。そして、最後に把持パイプ21a、21bを取り外し、ガラス管が完成する。
かかる方法によれば、拡径部材6が先端側でも支持されいわゆる両持ち状態となっているため、拡径部材の中心と出発材料である管状のガラス材の中心とを高精度に位置合わせすることができる。ガラス材の孔の径を拡大している間も支持部材が撓むことや振動することによる拡径部材の位置ずれなどがほとんどなく、拡径部材は精度よくその位置を保持される。このようにすることで、非円率の小さい孔を形成することができる。また、偏肉のないガラス管を再現性よく得ることが可能となる。
【0089】
なお、前記実施の形態ではヒータを用いた加熱炉について説明したが、誘導加熱方式など他の加熱方式を用いても良い。図17に例示した加熱手段26は誘導加熱方式のもので、ガラス材10を囲繞するように配置したカーボンからなる発熱体30を有している。発熱体30の周囲にコイル28が配置される。コイル28に電流を流すことで発熱体30を誘導加熱する。
【0090】
先端支持部材はガラス材の孔径より細ければよく、後端支持部材は拡径部材の最大径以下であればよく、1本でなくても、複数本で構成されていてもよい。例えばそれぞれの中心が正三角形をなすように位置せしめられた3本の先端支持部材を用いるようにすれば、より容易に位置決めが可能となる。またこれら支持部材としては中実部材のみならず、中空の支持部材を用いても良い。
【0091】
図19に断面拡大図を示すように、拡径部材6と先端支持部材7aとが着脱可能に形成されたものを用いてもよい。例えば、先端支持部材7aの先端に突出して形成された螺子部62に拡径部材6に形成された螺子穴61を螺合するように構成してもよい。この場合は、ガラス材をチャック27aに装着して固定した後、先端支持部材7aをガラス材10に挿通し、拡径部材6の先端の螺子穴61に螺合させることができ、ガラス材に先端支持部材を通すことが容易となる。
【0092】
先端支持部材は棒状のものに限らない。拡径部材の先端面に穴を形成しておき、この穴に糸などを取付け引っ張って、拡径部材の先端側の位置規制をおこなうようにしてもよい。
【0093】
(第9の実施の形態)
前記第8の実施の形態では、先端支持部材7aの先端は入口側固定部材20aで固定されているが、図20および図21に示すように、固定手段22aに設けられた摺動部材52のガイド穴53で軸方向にのみ位置規制するようにしてもよい。拡径部材6を回転する場合は、出口側固定部材20bのみに回転力を付与するようにする。先端支持部材7aは出口側固定部材20bの回転に伴い、摺動部材52と接しつつ回転する。
【0094】
かかる構成によれば、先端支持部材7aを支持するための固定部材を別に設ける必要がなくなるため、部材が少なくてすみ、構成が簡略化される。
【0095】
(第10の実施の形態)
前記第8または9の実施の形態では、内側から拡径するのみであるが、図22に示すようにガラス管材料の外径を規制するように軟化領域の外側に成形部材25を設けても良い。本実施の形態では成形部材25は加熱手段の発熱体30の内側に取付けられている。
【0096】
なお、軟化領域とは、必ずしもその温度が軟化点以上となっている領域に限定されるものではなく、ガラス材が、変形しうる状態に軟化していればよい。
本実施の形態によれば、特に外径制御がなされることにより、偏心率の小さいガラス管を形成することが可能となる。
【0097】
本発明は、ガラス材の中心の孔の径を拡大する場合に限定されることなく、応力保持部材を挿入して偏波保持ファイバを形成するための孔を拡径する場合など、ガラス管材料の中心以外の位置に孔を形成する場合にも適用可能である。この場合、偏心率は図10で説明した定義ではなく、目的とする孔中心と実際の孔中心とのずれDをもとに定義できる。例えば、目的とする孔の径をdとするとD/dを偏心率とすることができる。
【0098】
<実施例1>
VAD法によりシリカガラス円柱を作製し、該円柱に孔開け機で穴を開け外径70mmφ、内径15mmφの管状のガラス材を製造した。該ガラス材に外径70mm、内径45mmの把持パイプを融着接続し、これを前記第8の実施の形態に示したガラス管製造装置にセットした(図3参照)。ここでは最大径が35mmの拡径部材6を使用した。
【0099】
そして、加熱手段を作動させ、ガラス材10の片方の先端面に拡径部材6の縮径部を当接させ、その当接領域近傍が2300℃となるように加熱した。そして、拡径部材6をガラス材に当接させて孔の径を拡大しながら固定手段22a、22bを矢印方向に移動させてガラス管を引き抜き、外径75mm、内径35mmのガラス管を製造した。
【0100】
この方法により10本のガラス管を製造した。これらのガラス管の肉厚分布を超音波測定器により周方向と長手方向とで測定し、偏心率と肉厚分布の標準偏差を算出し、10本製造時における平均値を求めた。その結果、偏心率の平均値は0.80%であった。肉厚分布の標準偏差の平均値σは0.10mmであった。
【0101】
<実施例2>
図22に示したように、70mmの間隔で平行に配置した2枚の炭素板を成型部材25として発熱体の内壁に装着した装置を用いるほかは、前記実施例1と同様にして10本のガラス管を製造した。
【0102】
これらのガラス管の肉厚分布を超音波測定器により周方向と長手方向とで測定し、偏心率と肉厚分布の標準偏差を算出し、10本製造時における平均値を求めた。その結果、偏心率の平均値は0.73%であった。肉厚分布の標準偏差の平均値σは0.08mmであった。
【0103】
<実施例3>
先端支持部材7aを使用せず、片持ち方式の拡径部材6を用いた他は実施例1と同様にして外径75mmφ、内径35mmφのガラス管を10本製造した。
これらのガラス管の肉厚分布を超音波測定器により周方向と長手方向とで測定し、偏心率と肉厚分布の標準偏差を算出し、10本製造時における平均値を求めた。その結果、偏心率の平均値は2.3%であった。肉厚分布の標準偏差の平均値σは0.50mmであった。
【0104】
実施例1と実施例3との比較から両持ち方式で拡径した場合肉厚のばらつきは80%も低減されたことがわかる。また、実施例2と実施例3との比較から、ダイスによって外径を制御しながら、両持ち方式で拡径した場合の肉厚のばらつきは84%も低減されたことがわかる。実施例3は第1の実施の形態で示した例よりも、ガラス材の外径が大きく、製造するガラス管の孔の径も大きいので、第1の実施の形態の例よりは偏心率が大きくなっている。しかし、比較例2よりは偏心率は小さい。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法によれば、ガラス管の孔の偏心は低減され、断面が真円に極めて近い高品質のガラス管を得ることが可能となる。また、拡径部材に過負荷がかからないので、拡径部材やガラス管が破損することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る管状のガラス材の製造工程に関して説明する図である。
【図2】ガラス材の端面に位置決め凹部を設け、該凹部に拡径部材を当接させた状態を示す図である。
【図3】拡径部材の両端を支持しながらガラス管を製造する工程を説明する図である。
【図4】ガラス材を外側から支持しながらガラス管を製造する工程を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る管状のガラス材の製造工程に関して説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る管状のガラス材の製造工程に関して説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る管状のガラス材の一端に把持パイプを融着した状態を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態を説明する図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態のガラス管製造工程を説明する図である。
【図10】偏心率を説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る管状のガラス材の両端に把持パイプを融着した状態を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態を説明する図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に使用する管状のガラス材の他の製造工程に関して説明する図である。
【図14】中実のガラスインゴットにカーボンドリルを開ける工程を説明する図である。図14(a)は中実のガラスインゴットの両端に把持パイプを融着した状態を示す図である。図14(b)は、中実のガラスインゴットの一端にカーボンドリルを当接させた状態を示す図である。図14(c)はガラスインゴットにカーボンドリルを貫通させた状態を示す図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態の管状のガラス材の製造工程を説明する図である。
【図16】孔開け機に使用するツールの一例を示す図である。
【図17】拡径部材がガラス材に当接する部分を示す図である。
【図18】本発明の第8の実施の形態を説明する図である。
【図19】拡径部材と先端支持部材の連結を説明する図である。
【図20】本発明の第9の実施の形態を説明する図である。
【図21】固定部材と先端支持部材とが摺動する部分を示す図である。
【図22】把持部材を両持ち構造としてガラス材を外側から支持しながらガラス管を製造する工程を説明する図である。
【図23】石英ガラス製シリンダーを製造する従来の方法を説明する図である。
【符号の説明】
1、100 ガラスロッド
2 引き抜きロッド
3 ピン
4、44 バーナ
5 ガラス微粒子堆積体
5a 中空体
6 拡径部材
7、7a、7b 支持部材
20a、20b 固定部材
21、21a、21b 把持パイプ
22a、22b 固定手段
27a、27b チャック

Claims (2)

  1. 管状のガラス材の温度を軟化点以上にしながら、前記ガラス材の孔に拡径部材を挿通し、前記拡径部材をその両端で支持しながら前記孔の径を拡大するガラス管の製造方法。
  2. 管状のガラス材を周囲から加熱する加熱部材と、前記ガラス材に挿通可能な拡径部材と、前記拡径部材の両端を支持する支持部材と、前記拡径部材を前記ガラス材の孔に挿通させるように前記拡径部材と前記ガラス材とを相対的に移動させる手段を含むガラス管の製造装置。
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