JP2004143016A - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロッドインチューブ法において大型長尺のロッドを一次母材から延伸して作成する際に、延伸終了間際の延伸済み外径の増大を防いで延伸終了時のテーパ部分を石英管への挿入開始端として利用することができる光ファイバ母材の製造方法を提供する。
【解決手段】大型の石英棒材1を加熱延伸して長尺のロッド2とする際に、チューブに挿入して融着一体化するのに必要な長さだけ延伸したら、延伸温度を下げ且つ延伸速度を大きくする。このようにすることにより、ロッド2の下端部分に外径増大部が形成されることを防ぐことができる。従って、ロッド2をチューブに挿入するときに、ロッド2の下端部がチューブの入り口に引っかかって挿入できなかったり、チューブ内面に接触して傷を付けたりすることが生じない。
【選択図】図2
【解決手段】大型の石英棒材1を加熱延伸して長尺のロッド2とする際に、チューブに挿入して融着一体化するのに必要な長さだけ延伸したら、延伸温度を下げ且つ延伸速度を大きくする。このようにすることにより、ロッド2の下端部分に外径増大部が形成されることを防ぐことができる。従って、ロッド2をチューブに挿入するときに、ロッド2の下端部がチューブの入り口に引っかかって挿入できなかったり、チューブ内面に接触して傷を付けたりすることが生じない。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石英ガラスを材料とする光ファイバの母材の製造工程は、一般には、コア部分とクラッド部分の一部とからなる一次母材を製造する工程と、この一次母材の外側にさらにクラッド部分を形成する工程とからなっている。この一次母材の形成方法には、主なものとしてVAD法、OVD法、MCVD法の3つがある。一次母材の外側にさらにクラッド部分を形成する方法としては、OVD法のような外付け法とロッドインチューブ法とが知られている。
【0003】
上記ロッドインチューブ法は、クラッドとなる石英ガラス管に一次母材を挿入し、融着一体化および延伸して光ファイバ母材とする方法である。このとき一次母材の径は石英ガラス管内径よりも1〜2mm小さくしておかないと、一次母材が石英ガラス管を傷つけてしまったり引っかかって挿入できなかったり、あるいはコアが光ファイバ母材の中心からずれてしまったりして、不良品となり歩留まりが低下する。また、一次母材の挿入先端は、石英ガラス管へ挿入し始めるときに石英ガラス管内に確実に接触しないように先細り形状であることが好ましい。一般には、上記一次母材を加熱延伸して形成する際の延伸終端が先細り形状となるので、この延伸終端側から石英ガラス管に挿入する。
【0004】
このロッドインチューブ法において、近年コストダウンの目的で、一次母材をまず大径のものとして、次に加熱延伸して所望の径の一次母材とすることにより長尺化させることが行われている。長尺化させたときには、一次母材の径は石英ガラス管内径よりも3〜5mm小さくしておく必要がある。
【0005】
上記大径の一次母材の加熱延伸は、一次母材を鉛直に保持して上部から加熱を始め、上端を上方に引き上げて行きながら加熱部分を下方に移動させていく上方延伸が通常の方法である。このとき、延伸後の長手方向において径を一定にするために、加熱温度と上方への延伸速度とは一定にしている。
【0006】
ここで、加熱延伸前の上記大径の一次母材の下端部は先細り形状となっていてその先端には、延伸装置にチャッキングするためのより細い作業用の石英棒が接続されている。また、加熱用のヒータは大径の一次母材を溶融させるため、幅広い加熱領域(ヒートゾーン)を有している。従って、この一次母材を上部から加熱延伸していって下端部に近づくと、ヒートゾーンが幅広いため、大径の部分とともにこの先細り形状部分さらに作業用石英棒の部分も加熱されてしまう。これら先細り形状部分および作業用石英棒は、大径の部分より温度が上がりやすく、また単位断面積当たりの延伸張力も大径の部分よりも大きいので、大径の部分よりも先に延伸されてしまう。このため、一次母材の下端近傍部分が延伸される前に作業用の石英棒が延伸されて、一次母材下端近傍の大径部分は充分延伸されないで他の部分よりも延伸後の外径が大きくなる。
【0007】
このような一次母材下端近傍の大径部分の延伸後の外径を他の部分と同等の外径とするには、第一に延伸速度を他の部分に比べて増減させる方法(例えば、特許文献1参照。)、第二に酸水素炎で成形する方法、第三に機械的に切断除去する方法、第四に一次母材の延伸最終時点で延伸速度を著しく大きくして延伸後の外径が増大する部分を皆無とする方法とが考えられる。
【0008】
【特許文献1】
特許第3151358号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第一の方法では大径の一次母材を焼結させて作製するときの透明度が各一次母材によって異なるために、延伸速度の増減比率を一次母材毎に調整する必要があり非常に効率が悪く、調整を誤ると外径が増大してしまう。第二の方法では、酸水素炎のバーナーで加熱、切断した分一次母材の長さが不足してしまうとともに、切断部分近傍に昇華した石英がヒュームとなって付着し、これが原因で石英ガラス管との界面に気泡が入ってしまい、不良製品となる。第三の方法では、切断部が直角となり、石英ガラス管内に挿入するときにガラス管を傷つけやすい。第四の方法では、機械的に容易に切断できる約10mmの径になるまで先細り形状に延伸すると、先細り部分が1mぐらい必要となり延伸設備をそれだけ大型にしなければならず設備コストが増大する。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロッドインチューブ法において大型長尺のロッドを一次母材から延伸して作成する際に、延伸終了間際の延伸済み外径の増大を防いで延伸終了時のテーパ部分を石英管への挿入開始端として利用することができる光ファイバ母材の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、一次母材の加熱延伸の終端部分では、既に加熱延伸し終えた部分に比べてヒートゾーンが狭くなるように加熱延伸条件を制御することとした。
【0012】
具体的には、請求項1に係る発明は、ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法を対象とする。
【0013】
そして、コア部分を含む石英棒材を加熱延伸してロッドとする棒材延伸工程と、上記ロッドを石英のチューブに挿入する挿入工程と、挿入された上記ロッドを上記チューブと融着一体化させる一体化工程と、を備えており、上記棒材延伸工程では、加熱延伸により所定量の延伸長となった後に延伸温度を下げ且つ延伸速度を大きくして上記ロッドの延伸終端を先細り状とするものとする。
【0014】
このような製造方法であれば、ロッドがチューブに挿入されて融着一体化されるのに十分な長さである所定量の延伸長にまでなったときは、延伸温度を下げ且つ延伸速度を増すことにより延伸可能なヒートゾーンを狭くして、延伸終端部に外径の増大部分が形成されることを防止し、チューブに挿入しやすい先細り形状の先端を形成することができる。
【0015】
ここで、所定量の延伸長とは、チューブの長さから換算された長さであって、先細り状の部分の長さと合わせて光ファイバ母材として高い歩留まりとなる長さである。
【0016】
次に、請求項2に係る発明は、ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法を対象とする。
【0017】
そして、コア部分を含む石英棒材を加熱延伸してロッドとする棒材延伸工程と、上記ロッドを石英のチューブに挿入する挿入工程と、挿入された上記ロッドを上記チューブと融着一体化させる一体化工程と、を備えており、上記棒材延伸工程では、上記石英棒材の一端を引っ張り、他端を該引っ張り速度よりも小さい速度であって該一端の引っ張りの向きと同じ向きに移動させて延伸を行い、加熱延伸により所定量の延伸長となった後に延伸温度を下げ且つ石英棒材他端の移動の向きを逆向きにして上記ロッドの延伸終端を先細り状とするものとする。
【0018】
請求項2の製造方法であれば、ロッドの延伸終端をチューブへの挿入に適した形状に簡単に形成することができる。また、所定量の延伸長になったときに、加熱によるヒートゾーンに存する石英棒材の断面積が、上記一端側よりも他端側の方が大きいときには、断面積が大きい側の石英棒材を先にヒートゾーンから外に出すことができ先細り状の部分の長さを短くすることができて好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
本実施形態の製造工程は、図1に示すように、VAD法により一次母材を形成し、ロッドインチューブ法によりクラッド形成する光ファイバ母材(プリフォーム)の製造工程である。最初の煤付けとは、スート(石英ガラス粒子)を棒状に積もらせる工程である。次に棒状のスートを焼結して石英棒材(一次母材)とする焼結工程を経て、棒材延伸工程でその石英棒材を加熱延伸してロッドとする。なお、これらの工程のどこかで石英棒材若しくはロッドの構造評価を行って、必要なチューブ(石英管)の厚みを決定する。その次が、該ロッドをチューブの中に挿入する挿入工程である。そして、一体化工程で挿入したロッドとチューブの隙間を真空ポンプで低圧状態にして加熱し、両者を融着一体化させて、同時に加熱延伸して所望の径のプリフォームとする。
【0021】
なお、上記の工程でロッドとガラス管の融着一体化と延伸とは別の工程にしてもよく、融着一体化と延伸とを同時に行わなくてもよい。また、OVD法やMCVD法を用いて石英棒材を作製してもよい。
【0022】
プリフォームは、図には示していないが、次の線引き工程で加熱延伸されて光ファイバとなる。
【0023】
本発明は、図1における棒材延伸工程に特徴があるので、以下詳しく説明する。
【0024】
石英棒材を延伸しているところを横から見たのが図2である。石英棒材1を大型にすると生産性が上がるが、チューブ内に挿入するためには、延伸して径を小さくする必要がある。ここでは、100mm径で有効長750mmの石英棒材1を炉5で加熱して延伸し、50mm径で長さ3000mmのロッド2としている。
【0025】
具体的には、石英棒材1の下端の径の細い作業棒部分8を下側チャック6で把持して固定する。石英棒材1上端には作業棒3が接続7されており、その作業棒3の上端を上側チャック4で把持する。下側チャック6を上方へ送り出すことにより、石英棒材1を炉5で加熱して柔らかくして、上側チャック4を上方へ引っ張っていくことで延伸していく。ロッド2の径は、下側チャック6の送り出し速度と上側チャック4の引っ張り速度とにより決まる。この時、ロッド2が3mを越える長尺であるため、上方へ延伸することが取り扱いの点から好ましいが、設備の配置を上下逆にして下方へ延伸しても構わない。
【0026】
石英棒材1の延伸を進めていって、下端部分が炉5に入ったら(図6(a))、炉5の温度(延伸温度)を下げてヒートゾーン20を狭くする(図6(b))。その後、延伸速度をそれまでの1.1〜2倍に徐々に大きくしていって(図6(c)、図6(d))、最終的には直径が10mm以下になったら、ニッパ等で機械的に切断する。このとき、延伸速度が大きくなって延伸された部分は既に延伸されている部分よりも径が小さくなっているが、既にチューブとの挿入一体化のために必要な所定量の延伸長は、一定の径で延伸が終わっているため融着一体化には影響がない。また、このように延伸の最後に延伸速度を大きくすることにより、ロッド2の下端部に外径増大部が形成されることを防ぎ、逆にロッド2下端部は他の部分よりも細い先細り状部21となる。この先細り状部21はチューブとの融着一体化のときに必要なダミー部分となる。石英棒材1の長さは、コア部分が含まれた有効長がちょうど上記必要な所定量の延伸量に相当するように予め形成されている。なお、本工程中には、作業棒3とロッド2との接続状態をそのまま保持しておき、ロッド2上部と作業棒3とのいかなる部分も切断して再接続、または別の作業棒に繋ぎ換えることはしないことが、ロッド2の撓みや偏心を防ぐ点から好ましい。
【0027】
次に、図3に示すようにロッド2の検査を行う。延伸終了後、ロッド2上部を上側チャック4により把持し、鉛直状態を保ったままロッド2を検査工程に移動させる。あるいはロッド2は移動させずに、測定器10をロッド2の所に持ってきて検査する。ロッド2の移動は、例えば上側チャック4を天井に敷設したホイストにより、あるいはフォーク等を用いることにより行えばよい。ロッド2は軸方向を水平にすると重力による撓みで割れる虞があるので、その移動方法は、ロッド2の鉛直状態を保持できる方法が好ましい。なお、前工程の終了から本工程が終了する間は、作業棒3とロッド2との接続状態をそのまま保持しておき、ロッド2上部と作業棒3とのいかなる部分も切断して再接続、または別の作業棒に繋ぎ換えることはしないことが、ロッドの撓みや偏心を防ぐ点から好ましい。
【0028】
検査は、ロッド2を鉛直状態に保ったまま、延伸されたロッド2の中心のコア部が規定の屈折率を有するか等を測定器10(例えば、PK社のPK2600)で計測して行われる。
【0029】
次にロッド2を図4に示すようにチューブ11に挿入する。挿入直前に、ロッド2の表面をHFエッチングや火焔研磨等で処理し、汚れや傷を除去することが好ましい。なお、検査工程終了から挿入工程終了までの間もロッド2を鉛直状態のまま移動あるいは保持しておくが、挿入ステージでは、上側チャック4を挿入チャック14に替える。また、検査工程の終了から挿入工程が終了する間は、作業棒3とロッド2との接続状態をそのまま保持しておき、ロッド2上部と作業棒3とのいかなる部分も切断して再接続、または別の作業棒に繋ぎ換えることはしないことが、ロッドの撓みや偏心を防ぐ点から好ましい。
【0030】
チューブ11の上部(ロッド2が挿入される開口がある側)には、チューブ11の支持のためにチューブ11よりも内径が大きい補助管12がチューブ11と同軸で接続され、この補助管12上部は把持部材9により把持され、鉛直状態が保たれている。具体的には、チューブ11は、外径182mm、内径54mm、長さ2000mmであり、補助管12は、外径182mm、内径62mm、長さ800mmである。
【0031】
ロッド2の中心軸とチューブ11の中心軸とを一致させてから、ロッド2を下げていって補助管12の中へ、引き続いてチューブ11の中へ挿入する。途中で2つの中心軸がずれないように高い精度でチャック14を下降させていき、ロッド2を挿入する。ロッド2の挿入側の先端は、先細り状部21であるので、挿入開始そ容易に行うことができる。また、ロッド2の下端近傍に外径増大部分が存しないので、チューブ11の途中に引っかかったり、擦って傷を付けることはない。
【0032】
ここで石英棒材の延伸工程以降ずっとロッド2は鉛直な状態を保ったままであり、かつ、作業棒3とロッド2との接続状態をそのまま保持していると、ロッド2の中心軸が偏心していないため、ロッド2がチューブ11の内壁に接触することは起こらない。
【0033】
次に、図5に示すように、ロッド2とチューブ11との全体の融着一体化と延伸とを同時に行う。
【0034】
融着一体化を行うために、補助管12上端に予め被せた減圧用キャップ17を真空ポンプに繋ぎ、チューブ11とロッド2との隙間を低圧状態とする。その状態で、チューブ11とロッド2の下端から炉16で加熱すると、両者の隙間が消失して融着一体化する。それと同時に下方に延伸して所望の径のプリフォーム15とする。
【0035】
(実施形態2)
実施形態2は実施形態1とは棒材延伸工程のみが異なり、他の工程は同じであるので、棒材延伸工程のみを説明する。
【0036】
石英棒材1の延伸を進めていって、下端部分が炉5に入ったら(図7(a))、炉5の温度(延伸温度)を下げてヒートゾーン20を狭くし、下側チャック6の移動の向きを上方向から下方向に変える(図7(b))。この下側チャック7の移動の向きの変更方法は、石英棒材1の下端部分が炉5に入ったら、上下のチャック4,6の動きを止めて、数秒から数十秒後に下側チャック6を下側に移動させ始め、さらにこれまでの延伸速度の約10倍程度まで下側チャック6の移動速度を大きくする方法である。なお、石英棒材1を十分に細く延伸したら、実施形態1と同様に切断する。
【0037】
このように延伸することにより、先細り状部21を比較的短くすることができる。
【0038】
なお、上記の説明の製造方法は例であって本発明はこれらの方法に限定されない。石英棒材1の延伸の最後に、加熱温度を下げてから延伸速度を大きくしてもよいし順序を逆にしてもよいし、延伸速度を大きくすることと加熱温度を下げることとを同時に行ってもよい。また、途中に別の工程が入ってもよいし、各工程の加工方法も別の方法で行っても構わない。石英棒材1、ロッド2及びチューブ11のサイズも特に限定されない。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
実施形態1に示した方法で、100mm径で有効長750mmの石英棒材を加熱して延伸し、50mm径で長さ3000mmのロッドとした。
【0040】
(実施例2)
実施形態2に示した方法で、100mm径で有効長750mmの石英棒材を加熱して延伸し、50mm径で長さ3000mmのロッドとした。
【0041】
(比較例1)
実施形態1に示した方法のうち棒材延伸工程において、予め決められた量(所定量の延伸長プラス約100mm)の延伸が終了するまでは延伸温度を一定に保ち且つ延伸速度を一定とし、その後に延伸速度を大きくして100mm径で有効長750mmの石英棒材を加熱して延伸し、50mm径で長さ3000mmのロッドとした。
【0042】
(比較例2)
実施形態1に示した方法のうち棒材延伸工程において、予め決められた量(所定量の延伸長プラス約100mm)の延伸が終了するまでは延伸速度を一定にし、その後に延伸速度を大きくして100mm径で有効長750mmの石英棒材を加熱して延伸し、50mm径で長さ3000mmのロッドとした。
【0043】
これら方法で延伸して得られた各ロッドの外径分布グラフを図8に示す。横軸は、延伸終端(直径が10mmとなったところ)からの軸方向の距離を示している。比較例1では、ロッド先端からの位置が200〜240mmのところで外径が53mmを大きく越えて54mm以上となり、石英チューブ内径(54mm)よりも大きくなってしまって石英チューブに挿入することが不可能となった。比較例2では、最大外径が約52mmとなり、石英チューブに挿入する際に接触して石英チューブ内面を傷つけてしまった。実施例1,2は外径が50mmを越えることがなく、石英チューブへの挿入も良好に行われた。特に、実施例2では、先細り形状部の長さが200mmであって、実施例1の300mmよりも短く、歩留まりが大幅に向上した。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に述べる効果を奏する。
【0045】
石英棒材を延伸してロッドとする際に、所定量まで延伸し終えたら延伸温度を下げて且つ延伸速度を大きくすることによりヒートゾーンを狭くしているので、ロッドの終端部に外径増大部分が形成されることを防ぐことができる。従って、ロッドをチューブに挿入するときの引っかかりや接触を防ぐことができ、高品質の光ファイバ母材を提供できる。また、石英棒材のコア部が含まれた有効部分を無駄なく使うことができ歩留まりを向上させることができ、全体としてコストを下げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバ母材の製造工程のフローを示す図である。
【図2】石英棒材を延伸しているところの概略側面図である。
【図3】ロッドを検査しているところの概略側面図である。
【図4】ロッドをチューブに挿入しているところの概略側面図である。
【図5】ロッドとチューブとの融着一体化および延伸しているところの概略側面図である。
【図6】実施形態1の石英棒材の下端部を延伸しているところの概略側面図である。
【図7】実施形態2の石英棒材の下端部を延伸しているところの概略側面図である。
【図8】実施例および比較例におけるロッドの外径分布のグラフである。
【符号の説明】
1 石英棒材
2 ロッド
7 接続部
11 チューブ
15 プリフォーム(光ファイバ母材)
21 先細り状部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石英ガラスを材料とする光ファイバの母材の製造工程は、一般には、コア部分とクラッド部分の一部とからなる一次母材を製造する工程と、この一次母材の外側にさらにクラッド部分を形成する工程とからなっている。この一次母材の形成方法には、主なものとしてVAD法、OVD法、MCVD法の3つがある。一次母材の外側にさらにクラッド部分を形成する方法としては、OVD法のような外付け法とロッドインチューブ法とが知られている。
【0003】
上記ロッドインチューブ法は、クラッドとなる石英ガラス管に一次母材を挿入し、融着一体化および延伸して光ファイバ母材とする方法である。このとき一次母材の径は石英ガラス管内径よりも1〜2mm小さくしておかないと、一次母材が石英ガラス管を傷つけてしまったり引っかかって挿入できなかったり、あるいはコアが光ファイバ母材の中心からずれてしまったりして、不良品となり歩留まりが低下する。また、一次母材の挿入先端は、石英ガラス管へ挿入し始めるときに石英ガラス管内に確実に接触しないように先細り形状であることが好ましい。一般には、上記一次母材を加熱延伸して形成する際の延伸終端が先細り形状となるので、この延伸終端側から石英ガラス管に挿入する。
【0004】
このロッドインチューブ法において、近年コストダウンの目的で、一次母材をまず大径のものとして、次に加熱延伸して所望の径の一次母材とすることにより長尺化させることが行われている。長尺化させたときには、一次母材の径は石英ガラス管内径よりも3〜5mm小さくしておく必要がある。
【0005】
上記大径の一次母材の加熱延伸は、一次母材を鉛直に保持して上部から加熱を始め、上端を上方に引き上げて行きながら加熱部分を下方に移動させていく上方延伸が通常の方法である。このとき、延伸後の長手方向において径を一定にするために、加熱温度と上方への延伸速度とは一定にしている。
【0006】
ここで、加熱延伸前の上記大径の一次母材の下端部は先細り形状となっていてその先端には、延伸装置にチャッキングするためのより細い作業用の石英棒が接続されている。また、加熱用のヒータは大径の一次母材を溶融させるため、幅広い加熱領域(ヒートゾーン)を有している。従って、この一次母材を上部から加熱延伸していって下端部に近づくと、ヒートゾーンが幅広いため、大径の部分とともにこの先細り形状部分さらに作業用石英棒の部分も加熱されてしまう。これら先細り形状部分および作業用石英棒は、大径の部分より温度が上がりやすく、また単位断面積当たりの延伸張力も大径の部分よりも大きいので、大径の部分よりも先に延伸されてしまう。このため、一次母材の下端近傍部分が延伸される前に作業用の石英棒が延伸されて、一次母材下端近傍の大径部分は充分延伸されないで他の部分よりも延伸後の外径が大きくなる。
【0007】
このような一次母材下端近傍の大径部分の延伸後の外径を他の部分と同等の外径とするには、第一に延伸速度を他の部分に比べて増減させる方法(例えば、特許文献1参照。)、第二に酸水素炎で成形する方法、第三に機械的に切断除去する方法、第四に一次母材の延伸最終時点で延伸速度を著しく大きくして延伸後の外径が増大する部分を皆無とする方法とが考えられる。
【0008】
【特許文献1】
特許第3151358号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第一の方法では大径の一次母材を焼結させて作製するときの透明度が各一次母材によって異なるために、延伸速度の増減比率を一次母材毎に調整する必要があり非常に効率が悪く、調整を誤ると外径が増大してしまう。第二の方法では、酸水素炎のバーナーで加熱、切断した分一次母材の長さが不足してしまうとともに、切断部分近傍に昇華した石英がヒュームとなって付着し、これが原因で石英ガラス管との界面に気泡が入ってしまい、不良製品となる。第三の方法では、切断部が直角となり、石英ガラス管内に挿入するときにガラス管を傷つけやすい。第四の方法では、機械的に容易に切断できる約10mmの径になるまで先細り形状に延伸すると、先細り部分が1mぐらい必要となり延伸設備をそれだけ大型にしなければならず設備コストが増大する。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロッドインチューブ法において大型長尺のロッドを一次母材から延伸して作成する際に、延伸終了間際の延伸済み外径の増大を防いで延伸終了時のテーパ部分を石英管への挿入開始端として利用することができる光ファイバ母材の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、一次母材の加熱延伸の終端部分では、既に加熱延伸し終えた部分に比べてヒートゾーンが狭くなるように加熱延伸条件を制御することとした。
【0012】
具体的には、請求項1に係る発明は、ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法を対象とする。
【0013】
そして、コア部分を含む石英棒材を加熱延伸してロッドとする棒材延伸工程と、上記ロッドを石英のチューブに挿入する挿入工程と、挿入された上記ロッドを上記チューブと融着一体化させる一体化工程と、を備えており、上記棒材延伸工程では、加熱延伸により所定量の延伸長となった後に延伸温度を下げ且つ延伸速度を大きくして上記ロッドの延伸終端を先細り状とするものとする。
【0014】
このような製造方法であれば、ロッドがチューブに挿入されて融着一体化されるのに十分な長さである所定量の延伸長にまでなったときは、延伸温度を下げ且つ延伸速度を増すことにより延伸可能なヒートゾーンを狭くして、延伸終端部に外径の増大部分が形成されることを防止し、チューブに挿入しやすい先細り形状の先端を形成することができる。
【0015】
ここで、所定量の延伸長とは、チューブの長さから換算された長さであって、先細り状の部分の長さと合わせて光ファイバ母材として高い歩留まりとなる長さである。
【0016】
次に、請求項2に係る発明は、ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法を対象とする。
【0017】
そして、コア部分を含む石英棒材を加熱延伸してロッドとする棒材延伸工程と、上記ロッドを石英のチューブに挿入する挿入工程と、挿入された上記ロッドを上記チューブと融着一体化させる一体化工程と、を備えており、上記棒材延伸工程では、上記石英棒材の一端を引っ張り、他端を該引っ張り速度よりも小さい速度であって該一端の引っ張りの向きと同じ向きに移動させて延伸を行い、加熱延伸により所定量の延伸長となった後に延伸温度を下げ且つ石英棒材他端の移動の向きを逆向きにして上記ロッドの延伸終端を先細り状とするものとする。
【0018】
請求項2の製造方法であれば、ロッドの延伸終端をチューブへの挿入に適した形状に簡単に形成することができる。また、所定量の延伸長になったときに、加熱によるヒートゾーンに存する石英棒材の断面積が、上記一端側よりも他端側の方が大きいときには、断面積が大きい側の石英棒材を先にヒートゾーンから外に出すことができ先細り状の部分の長さを短くすることができて好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
本実施形態の製造工程は、図1に示すように、VAD法により一次母材を形成し、ロッドインチューブ法によりクラッド形成する光ファイバ母材(プリフォーム)の製造工程である。最初の煤付けとは、スート(石英ガラス粒子)を棒状に積もらせる工程である。次に棒状のスートを焼結して石英棒材(一次母材)とする焼結工程を経て、棒材延伸工程でその石英棒材を加熱延伸してロッドとする。なお、これらの工程のどこかで石英棒材若しくはロッドの構造評価を行って、必要なチューブ(石英管)の厚みを決定する。その次が、該ロッドをチューブの中に挿入する挿入工程である。そして、一体化工程で挿入したロッドとチューブの隙間を真空ポンプで低圧状態にして加熱し、両者を融着一体化させて、同時に加熱延伸して所望の径のプリフォームとする。
【0021】
なお、上記の工程でロッドとガラス管の融着一体化と延伸とは別の工程にしてもよく、融着一体化と延伸とを同時に行わなくてもよい。また、OVD法やMCVD法を用いて石英棒材を作製してもよい。
【0022】
プリフォームは、図には示していないが、次の線引き工程で加熱延伸されて光ファイバとなる。
【0023】
本発明は、図1における棒材延伸工程に特徴があるので、以下詳しく説明する。
【0024】
石英棒材を延伸しているところを横から見たのが図2である。石英棒材1を大型にすると生産性が上がるが、チューブ内に挿入するためには、延伸して径を小さくする必要がある。ここでは、100mm径で有効長750mmの石英棒材1を炉5で加熱して延伸し、50mm径で長さ3000mmのロッド2としている。
【0025】
具体的には、石英棒材1の下端の径の細い作業棒部分8を下側チャック6で把持して固定する。石英棒材1上端には作業棒3が接続7されており、その作業棒3の上端を上側チャック4で把持する。下側チャック6を上方へ送り出すことにより、石英棒材1を炉5で加熱して柔らかくして、上側チャック4を上方へ引っ張っていくことで延伸していく。ロッド2の径は、下側チャック6の送り出し速度と上側チャック4の引っ張り速度とにより決まる。この時、ロッド2が3mを越える長尺であるため、上方へ延伸することが取り扱いの点から好ましいが、設備の配置を上下逆にして下方へ延伸しても構わない。
【0026】
石英棒材1の延伸を進めていって、下端部分が炉5に入ったら(図6(a))、炉5の温度(延伸温度)を下げてヒートゾーン20を狭くする(図6(b))。その後、延伸速度をそれまでの1.1〜2倍に徐々に大きくしていって(図6(c)、図6(d))、最終的には直径が10mm以下になったら、ニッパ等で機械的に切断する。このとき、延伸速度が大きくなって延伸された部分は既に延伸されている部分よりも径が小さくなっているが、既にチューブとの挿入一体化のために必要な所定量の延伸長は、一定の径で延伸が終わっているため融着一体化には影響がない。また、このように延伸の最後に延伸速度を大きくすることにより、ロッド2の下端部に外径増大部が形成されることを防ぎ、逆にロッド2下端部は他の部分よりも細い先細り状部21となる。この先細り状部21はチューブとの融着一体化のときに必要なダミー部分となる。石英棒材1の長さは、コア部分が含まれた有効長がちょうど上記必要な所定量の延伸量に相当するように予め形成されている。なお、本工程中には、作業棒3とロッド2との接続状態をそのまま保持しておき、ロッド2上部と作業棒3とのいかなる部分も切断して再接続、または別の作業棒に繋ぎ換えることはしないことが、ロッド2の撓みや偏心を防ぐ点から好ましい。
【0027】
次に、図3に示すようにロッド2の検査を行う。延伸終了後、ロッド2上部を上側チャック4により把持し、鉛直状態を保ったままロッド2を検査工程に移動させる。あるいはロッド2は移動させずに、測定器10をロッド2の所に持ってきて検査する。ロッド2の移動は、例えば上側チャック4を天井に敷設したホイストにより、あるいはフォーク等を用いることにより行えばよい。ロッド2は軸方向を水平にすると重力による撓みで割れる虞があるので、その移動方法は、ロッド2の鉛直状態を保持できる方法が好ましい。なお、前工程の終了から本工程が終了する間は、作業棒3とロッド2との接続状態をそのまま保持しておき、ロッド2上部と作業棒3とのいかなる部分も切断して再接続、または別の作業棒に繋ぎ換えることはしないことが、ロッドの撓みや偏心を防ぐ点から好ましい。
【0028】
検査は、ロッド2を鉛直状態に保ったまま、延伸されたロッド2の中心のコア部が規定の屈折率を有するか等を測定器10(例えば、PK社のPK2600)で計測して行われる。
【0029】
次にロッド2を図4に示すようにチューブ11に挿入する。挿入直前に、ロッド2の表面をHFエッチングや火焔研磨等で処理し、汚れや傷を除去することが好ましい。なお、検査工程終了から挿入工程終了までの間もロッド2を鉛直状態のまま移動あるいは保持しておくが、挿入ステージでは、上側チャック4を挿入チャック14に替える。また、検査工程の終了から挿入工程が終了する間は、作業棒3とロッド2との接続状態をそのまま保持しておき、ロッド2上部と作業棒3とのいかなる部分も切断して再接続、または別の作業棒に繋ぎ換えることはしないことが、ロッドの撓みや偏心を防ぐ点から好ましい。
【0030】
チューブ11の上部(ロッド2が挿入される開口がある側)には、チューブ11の支持のためにチューブ11よりも内径が大きい補助管12がチューブ11と同軸で接続され、この補助管12上部は把持部材9により把持され、鉛直状態が保たれている。具体的には、チューブ11は、外径182mm、内径54mm、長さ2000mmであり、補助管12は、外径182mm、内径62mm、長さ800mmである。
【0031】
ロッド2の中心軸とチューブ11の中心軸とを一致させてから、ロッド2を下げていって補助管12の中へ、引き続いてチューブ11の中へ挿入する。途中で2つの中心軸がずれないように高い精度でチャック14を下降させていき、ロッド2を挿入する。ロッド2の挿入側の先端は、先細り状部21であるので、挿入開始そ容易に行うことができる。また、ロッド2の下端近傍に外径増大部分が存しないので、チューブ11の途中に引っかかったり、擦って傷を付けることはない。
【0032】
ここで石英棒材の延伸工程以降ずっとロッド2は鉛直な状態を保ったままであり、かつ、作業棒3とロッド2との接続状態をそのまま保持していると、ロッド2の中心軸が偏心していないため、ロッド2がチューブ11の内壁に接触することは起こらない。
【0033】
次に、図5に示すように、ロッド2とチューブ11との全体の融着一体化と延伸とを同時に行う。
【0034】
融着一体化を行うために、補助管12上端に予め被せた減圧用キャップ17を真空ポンプに繋ぎ、チューブ11とロッド2との隙間を低圧状態とする。その状態で、チューブ11とロッド2の下端から炉16で加熱すると、両者の隙間が消失して融着一体化する。それと同時に下方に延伸して所望の径のプリフォーム15とする。
【0035】
(実施形態2)
実施形態2は実施形態1とは棒材延伸工程のみが異なり、他の工程は同じであるので、棒材延伸工程のみを説明する。
【0036】
石英棒材1の延伸を進めていって、下端部分が炉5に入ったら(図7(a))、炉5の温度(延伸温度)を下げてヒートゾーン20を狭くし、下側チャック6の移動の向きを上方向から下方向に変える(図7(b))。この下側チャック7の移動の向きの変更方法は、石英棒材1の下端部分が炉5に入ったら、上下のチャック4,6の動きを止めて、数秒から数十秒後に下側チャック6を下側に移動させ始め、さらにこれまでの延伸速度の約10倍程度まで下側チャック6の移動速度を大きくする方法である。なお、石英棒材1を十分に細く延伸したら、実施形態1と同様に切断する。
【0037】
このように延伸することにより、先細り状部21を比較的短くすることができる。
【0038】
なお、上記の説明の製造方法は例であって本発明はこれらの方法に限定されない。石英棒材1の延伸の最後に、加熱温度を下げてから延伸速度を大きくしてもよいし順序を逆にしてもよいし、延伸速度を大きくすることと加熱温度を下げることとを同時に行ってもよい。また、途中に別の工程が入ってもよいし、各工程の加工方法も別の方法で行っても構わない。石英棒材1、ロッド2及びチューブ11のサイズも特に限定されない。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
実施形態1に示した方法で、100mm径で有効長750mmの石英棒材を加熱して延伸し、50mm径で長さ3000mmのロッドとした。
【0040】
(実施例2)
実施形態2に示した方法で、100mm径で有効長750mmの石英棒材を加熱して延伸し、50mm径で長さ3000mmのロッドとした。
【0041】
(比較例1)
実施形態1に示した方法のうち棒材延伸工程において、予め決められた量(所定量の延伸長プラス約100mm)の延伸が終了するまでは延伸温度を一定に保ち且つ延伸速度を一定とし、その後に延伸速度を大きくして100mm径で有効長750mmの石英棒材を加熱して延伸し、50mm径で長さ3000mmのロッドとした。
【0042】
(比較例2)
実施形態1に示した方法のうち棒材延伸工程において、予め決められた量(所定量の延伸長プラス約100mm)の延伸が終了するまでは延伸速度を一定にし、その後に延伸速度を大きくして100mm径で有効長750mmの石英棒材を加熱して延伸し、50mm径で長さ3000mmのロッドとした。
【0043】
これら方法で延伸して得られた各ロッドの外径分布グラフを図8に示す。横軸は、延伸終端(直径が10mmとなったところ)からの軸方向の距離を示している。比較例1では、ロッド先端からの位置が200〜240mmのところで外径が53mmを大きく越えて54mm以上となり、石英チューブ内径(54mm)よりも大きくなってしまって石英チューブに挿入することが不可能となった。比較例2では、最大外径が約52mmとなり、石英チューブに挿入する際に接触して石英チューブ内面を傷つけてしまった。実施例1,2は外径が50mmを越えることがなく、石英チューブへの挿入も良好に行われた。特に、実施例2では、先細り形状部の長さが200mmであって、実施例1の300mmよりも短く、歩留まりが大幅に向上した。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に述べる効果を奏する。
【0045】
石英棒材を延伸してロッドとする際に、所定量まで延伸し終えたら延伸温度を下げて且つ延伸速度を大きくすることによりヒートゾーンを狭くしているので、ロッドの終端部に外径増大部分が形成されることを防ぐことができる。従って、ロッドをチューブに挿入するときの引っかかりや接触を防ぐことができ、高品質の光ファイバ母材を提供できる。また、石英棒材のコア部が含まれた有効部分を無駄なく使うことができ歩留まりを向上させることができ、全体としてコストを下げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバ母材の製造工程のフローを示す図である。
【図2】石英棒材を延伸しているところの概略側面図である。
【図3】ロッドを検査しているところの概略側面図である。
【図4】ロッドをチューブに挿入しているところの概略側面図である。
【図5】ロッドとチューブとの融着一体化および延伸しているところの概略側面図である。
【図6】実施形態1の石英棒材の下端部を延伸しているところの概略側面図である。
【図7】実施形態2の石英棒材の下端部を延伸しているところの概略側面図である。
【図8】実施例および比較例におけるロッドの外径分布のグラフである。
【符号の説明】
1 石英棒材
2 ロッド
7 接続部
11 チューブ
15 プリフォーム(光ファイバ母材)
21 先細り状部
Claims (2)
- ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法であって、
コア部分を含む石英棒材を加熱延伸してロッドとする棒材延伸工程と、
上記ロッドを石英のチューブに挿入する挿入工程と、
挿入された上記ロッドを上記チューブと融着一体化させる一体化工程と、を備えており、
上記棒材延伸工程では、加熱延伸により所定量の延伸長となった後に延伸温度を下げ且つ延伸速度を大きくして上記ロッドの延伸終端を先細り状とすることを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。 - ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法であって、
コア部分を含む石英棒材を加熱延伸してロッドとする棒材延伸工程と、
上記ロッドを石英のチューブに挿入する挿入工程と、
挿入された上記ロッドを上記チューブと融着一体化させる一体化工程と、を備えており、
上記棒材延伸工程では、上記石英棒材の一端を引っ張り、他端を該引っ張り速度よりも小さい速度であって該一端の引っ張りの向きと同じ向きに移動させて延伸を行い、加熱延伸により所定量の延伸長となった後に延伸温度を下げ且つ石英棒材他端の移動の向きを逆向きにして上記ロッドの延伸終端を先細り状とすることを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
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