JP2004129523A - 発酵食品及びその凝集処理方法 - Google Patents

発酵食品及びその凝集処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】十分なブロック強度を有し、かつ、風味が良い新たな植物性たんぱく質によるゲル化形態を有する発酵食品を提供し、もろみを用いて発酵させる発酵食品において、アルコール味のない新しい嗜好性を有し、かつ保存性に優れた発酵食品を提供しようというものであり、また、大豆乳凝集酵素を用いて連続的に凝集処理が可能な発酵食品製造のための植物性たんぱく質凝集処理方法を提供しようとするものである。
【解決手段】バチルス属の細菌の生産する大豆乳凝集活性を有する酵素を用いて凝集させた植物性タンパク質のゲル製品を、麹菌を含有するもろみを用いた発酵により得られる発酵食品とした。前記の植物性タンパク質のゲル製品を、麹菌を含有するもろみを用いて発酵後、さらに乳酸菌を用いて発酵させた。また、大豆乳凝集酵素が固定化されたバイオリアクターに、植物性タンパク質を流動させ、連続凝集処理を行うこととした。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凝集酵素を用いて凝集させた植物タンパク質のゲル製品を発酵させることにより得られる新規な発酵食品及びその凝集処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
大豆や小麦、米、トウモロコシ等から抽出、分離して得られる植物性タンパクは、従来より、水産練り製品、食肉加工品、挽き肉調理食品、ベーカリー製品、麺類、乳製品等に利用されてきた。 また近年では、分離大豆タンパクそのものを加工した、組立食品(疑似肉製品や、油揚げ・がんもどき・豆腐様製品、ヨーグルト様製品等)が開発されている。
【0003】
大豆は近年、各種の生理活性物質の存在が指摘され、単に栄養学的に優れているだけでなく、病気や疾患の抑制、回復に効果があると指摘されるようになってきた。
【0004】
大豆中には7.4%の配糖体が含有されており、その大部分は、サポニンとイソフラボノイドである。
【0005】
サポニンには、抗高脂血症、抗酸化、抗トロンビン作用を示すことが報告されている(北川、吉川・1983  化学と生物21:224〜232頁)。また、エイズウイルスなどの抑制効果も指摘されている(Fenwick,G.,Price,K・R.,Tsukamoto.C and Okubo.K 1991  ToxicSubstances in Crop plants,Royal Society of Chemistry)。
【0006】
また、イソフラボノイドには、植物性女性ホルモン様作用が報告され注目を集めており、特に更年期以降の女性に多発する骨粗鬆症の予防効果が顕著であることが指摘されている(Ishida,et al.I998 Biol.Pharm. Bull.21(1)62〜66)。さらにまた、更年期障害の一つである所謂「のぼせ」や男性の前立腺ガンの予防にも有効と言われている。
このように大豆中には、多様な生理活性物質が豊富に含有されていることが多くの研究から報告されている。
【0007】
また、これらの健康増進効果に注目し、上記の大豆に含まれるサポニン、イソフラボノイド特有の苦味や不快味、不快臭の問題を解決すべく、各種の発酵処理を施し、風味を改善した発酵食品の開発も各種行われており、多くの発明が開示されている。
【0008】
例えば、特開平7−236417号では、豆乳に動物起源レンネットを添加して乳酸発酵させることにより、口当たりの滑らかなヨーグルト様乳酸発酵食品の製造方法を開示したものである。
【0009】
また、特開平7−236417号では、原料大豆中の可溶製糖区分の60%以上を除去した豆乳を用いて乳酸発酵させることにより、凝固性を高め、中温性乳酸菌においても十分な凝固性を発揮できるようにしたチーズ様の発酵食品の製造方法を開示したものである。
【0010】
また、特開平11−31871号では、豆乳中で効果的に増殖できる乳酸菌を見出し、その乳酸菌により豆乳の不快味、不快臭を効果的に除去できる大豆発酵食品の製造方法を開示したものである。
【0011】
また、特開平8−317776号公報では、植物性タンパクを素材とした組立食品について開示されている。従来、加工時に調味料等を添加したり、あるいは、味付けや調理を経てから食されることが多かった課題を、麹菌の発酵作用により、植物タンパクの成分自体を芳香成分や旨味のある成分へ変化せしめることにより、新規な食素材、または食品を開発している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように、多くの大豆を用いた発酵食品が開発され、大豆特有の不快味や不快臭の改善がなされ、風味の良い発酵食品が開発されてきた。
【0013】
しかしながら、食品の形態としては、柔らかく、ヨーグルト状のものが多く、中にはチーズ状のものもあるが、ブロック強度が低く、外観を損ないやすいという問題があった。
【0014】
特開平8−317776号公報のタンパク質ゲル化手法によると、分離大豆タンパク等の植物タンパクと水のみでも加熱することにより、ゲル化し、ゲル製品が得られるが、良質の発酵食品を得るためには、固めにゲル化させることが好ましく、そのためには、硫酸カルシウム等の凝固剤を利用することが好ましいとされており、凝固剤の使用は、使用量の問題や凝集物の均一化の問題などが指摘される。
【0015】
本発明の目的は、十分なブロック強度を有し、かつ、風味が良い新たな植物性たんぱく質によるゲル化形態を有する発酵食品を開発することにある。
【0016】
また、発酵過程において、もろみを用いて発酵する方法は、特開平8−317776号公報に開示されているが、もろみには、紅麹菌、黄麹菌の他に、エタノール、あるいは、蒸留酒等を用いており、それらはアルコールを含有していることで活性が低下している麹由来のプロテアーゼ等の酵素によって、タンパク質が限定的に分解を受けるため、うにのような香りと旨味等と表現される独特の風味を熟成させると共に、その食品の保存性を高めている。
【0017】
しかし、一方、アルコールの含有は、消費者のアルコール嗜好面でその食品の好き嫌いが明確であり、さらに子供が食するには問題がある等、万人向きの食品として不適であった。
【0018】
また、上記発明において、残存するもろみの処理については、まったく明示されていない。減圧などによるアルコールの除去も考えられるが、アルコール含有量の低下により保存性の低下となる。
【0019】
また、味の面では、ウニの風味を呈しているが、麹由来の発酵食品臭があるため万人向きの食品としては不十分であった。
【0020】
本発明の他の目的は、もろみを用いて発酵させる発酵食品において、アルコール味のない新しい嗜好性を有し、かつ保存性に優れた発酵食品を提供しようというものである。
【0021】
また、本発明では、大豆乳凝集酵素を用いて連続的に凝集処理が可能な発酵食品製造のための植物性たんぱく質凝集処理方法を提供しようとするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、植物性たんぱく質のゲル化について、長年にわたり、研究開発に取り組んだ結果、細菌より大豆乳凝集酵素活性の高い酵素を分離精製し、それを大豆乳凝集剤として利用することにより、従来使用されている硫酸カルシウムやニガリに比べて堅く、均一な粒子の凝集物が得られること。
【0023】
また、アルコール味のない新しい嗜好性食品素材を得るべく、特開平8−317776号公報、すなわち、植物性タンパク質のゲル製品に麹菌を付着、発酵させることによる発酵食品に着目し、さらなる研究を行った結果、減圧によるアルコールの除去後、さらに乳酸菌を用い、発酵することにより、嗜好性、及び保存性に優れた食品が得られることを見出した。
【0024】
また、大豆乳凝集処理方法について鋭意取り組んだ結果、本酵素を固定化したバイオリアクターを用いることにより、連続して大豆乳凝集物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0025】
すなわち、本発明は、バチルス属の細菌の生産する大豆乳凝集活性を有する酵素を用いて凝集させた植物性タンパク質のゲル製品を、麹菌を含有するもろみを用いた発酵により得られる発酵食品としたものである。
【0026】
該細菌は、大豆乳凝集活性の高いバチルス属の細菌であればいずれでも良く、Bacillus pumilusなどが好ましい。
【0027】
該大豆乳凝集活性を有する酵素は、上記の細菌が生産する大豆乳の凝集活性を有する酵素であればいずれでも良く、アルカリセリンプロティナーゼ(APRP)などであり、サチライシンAPRPなどが好ましい。
【0028】
該植物性たんぱく質は、分離大豆タンパクや小麦タンパク等を単独または組み合わせて利用することができる。
【0029】
細菌より大豆乳凝集酵素活性の高い酵素を分離精製し、それを大豆乳凝集剤として利用することにより、堅く、均一な粒子の植物性たんぱく質の凝集物を得ることができるものである。
【0030】
該発酵に用いるもろみは、紅麹菌、黄麹菌などの麹菌とエタノールあるいは、蒸留酒、泡盛などより調整される。すなわち、もろみは、麹菌を蒸し米で育成させ麹とし、これにエタノールあるいは焼酎、泡盛などの蒸留酒を混合して調整する。
【0031】
このもろみを用いて植物性タンパク質ゲル化製品を発酵させる。例えば、前記のゲル化製品を2〜4cm程度のブロック状に加工し、これを前記のもろみに浸漬し、3ヶ月程度発酵、熟成させると、ブロック状の発酵食品となる。
【0032】
この発酵食品は、チーズ様の可塑性であり、ウニの香りと旨味を有する独特の風味と食感を有した発酵食品となる。
【0033】
また、本発明は、前記の植物性タンパク質のゲル製品を、麹菌を含有するもろみを用いて発酵後、さらに乳酸菌を用いて発酵させることにより得られることを特徴とする発酵食品である。
【0034】
乳酸菌による発酵は、乳酸菌が接種された発酵溶液を作成し、この発酵溶液に、上記の麹菌を含有するもろみを用いて発酵させた後のゲル化製品を浸漬、または塗布して発酵させる。
【0035】
乳酸発酵は、20〜45℃で、2〜20時間、好ましくは、3〜6時間行う。
【0036】
該乳酸菌は、市販の乳酸菌などで良く、例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ストレプトカッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・フェルベチックス、ラクトバチルス・カゼイン、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・ラクティス、ロイコノストック・クレモリス、ストレプトコッカス・ダイアセチラクティス等の単一菌あるいは混合菌であり、またこれらは通常の方法で前培養したものをスターターとして培養溶液に添加する。
【0037】
また、本発明は、前記の植物性たんぱく質の凝集過程において、大豆乳凝集酵素が固定化されたバイオリアクターに、植物性タンパク質を流動させ、連続凝集処理を行うことを特徴とする植物性たんぱく質の凝集処理方法である。
【0038】
バイオリアクターは、酵素を触媒とする生化学的反応や、微生物が行う微生物学的反応を利用した有用物質の生化学的合成や物質変換を行うものである。そのバイオプロセスは、省資源,省エネルギー的であり、環境汚染対策も容易であるという利点を有して折り、既に、工業規模で応用がなされており、近年の世界的な資源環境問題の高まりと相まって、今後大きな成長が期待されている。
【0039】
このバイオプロセスは、酵素や微生物の固定化技術の開発により、連続的または半連続的な物質合成や物質変換が可能となり、高効率化が達成されている。
【0040】
また、酵素などの固定化法としては、従来から、包括法、物理的吸着法、共有結合法等多くの方法が知られており、充填作業が容易な球状に担体を成形する方法として、水溶性高分子多糖類と多価金属イオンを含有する水性媒体を用いる方法などが提案されている。また、生物反応槽内部において担体を流動させるために攪拌や曝気などが行われる。
【0041】
本発明のような凝集処理に用いられるバイオリアクターとしては、完全混合槽型、充填層型、膜型、流動層型、及び横型等の反応器(リアクター)が挙げられるが、いずれにしても、担体に大豆乳凝集酵素または、大豆乳凝集酵素を生産する微生物を担持させ、豆乳を流動させて、連続的に反応させ、凝集処理できるようにした流動層型のものが好ましい。
【0042】
また、大豆乳凝集酵素の凝集反応を効果的に作用させるために、上記のバイオリアクターには、流量調整機能や攪拌・曝気機能の外に、pH調整機能および反応温度調整機能を設けると良い。
【0043】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に示す本実施例は、植物性たんぱく質として豆乳を用い、沖縄独特の大豆発酵食品である「とうふよう」の製造に応用した例について説明する。
【0044】
とうふようは、室温で乾燥させた木綿豆腐を麹と泡盛を含むもろみに漬け込んで熟成させたものである。麹菌には、Monascus属やAspergillus属が使用される。一般には塩味が薄く、甘みがあり、ソフトチーズ様のなめらかな組織と粘弾性を有する植物たんぱく質食品であり、近年、現代人の嗜好やニーズに合致した食品として注目を集めている。
【0045】
そもそもとうふようは、琉球王朝時代に中国(福建省)から伝来したとされており、沖縄で改良されてできたものといわれている。このため、その製造方法は、特定の地域でのみ伝承され、門外不出の秘伝として細々と継承されてきたものであり、経験と勘に基づく製造法であった。
【0046】
このようなとうふようを一般的な食品として広く普及させるには、生産量の増大、品質の向上、およびその安定化などに対応する製造技術の改善が必要であり、本発明者らは、この大きな課題に取り組み、原料に用いる豆腐の製造工程が非常に複雑であり大型化には不適切であることを克服するために、酵素法による大豆たんぱくカードの調整に着目し、大豆乳凝集酵素を生産する細菌(Bacillus pumilus)の分離培養を行い、その細菌が生産する酵素であるアルカリセリンプロティナーゼ(APRP)を用いて豆乳の凝集処理を効果的に行うようにしたものである。
【0047】
この大豆乳凝集酵素により凝集されたタンパク質カードは、従来の豆腐に比べて組織が均一で、かつ堅いという、非常に有効な特徴を有しており、しかもこのたんぱく質カードは、ペプチドに由来する苦味を呈しないという特徴も兼ね備えており、とうふよう製造に適していることが分かった。
【0048】
〔試験例〕
以下に、大豆乳凝集酵素を用いて凝集した大豆たんぱくカードのテクステャー解析試験について示す。
【0049】
〔大豆乳の調整〕
普通中粒大豆(フクユタカ:平成5年産、福岡)500gをイオン交換水で洗浄し、イオン交換水中にて一晩浸漬を行った。充分吸水した大豆の水切りを行い、10倍加水量、すなわち5,000mlのイオン交換水を加水し、家庭用ミキサー(日立製;VA−W36形)を用いて3分間磨砕した。磨砕汁へ少量の豆腐用シリコーン消泡剤(信越化学工業製;シリカペット)を添加し、95〜100℃で5分間保持した後、布でろ過して不溶物(おから)を除去し、大豆乳を調製した。得られた大豆乳はオートクレーブにかけず,3時間以内に実験に供した。
【0050】
使用する際、0.2Mリン酸二水素カリウムを用いて大豆乳のpHを6.1に調整し、屈折計を用いて可溶性固形物含量(Brix)を7.0%となるようにイオン交換水を加えた。
【0051】
〔大豆タンパクカードの調製〕
得られた大豆乳3,500mlを加熱し、65℃になった時点で大豆乳擬集酵素(大豆乳凝集酵素活性,50units)および硫酸カルシウム・2水和物(最終濃度5〜50mM)を添加し、同温にて15分間酵素反応を行った。その後、75℃まで加熱し、同温にて10分間加熱処理を行った。(酵素反応・加熱処理の際、攪拌機を用いて常時200r.p.m.で攪拌した。)
【0052】
このようにして得られた擬集物を金属製のフープ(10×10×10cm)に流し込み、4Kg/cm2 となるように15分間圧搾し、大豆タンパクカードを得た。
【0053】
得られたタンパクカードは室温に戻した後、2cm角に切断し、物性測定用の試料として用いた。
【0054】
〔大豆タンパクカードの物性測定法〕
(1)テクスチャー試験
テクスチャー試験には、コンピューター接続型レオメーターシステム(株式会社山電製;レオナーRE−3305)を使用した。クリアランスは試料の高さの80%とし、プランジャーは直径40mmで、試料台を2回(1mm/sec)上下運動させた時、試料の変形による応力を測定した。
【0055】
データの解析には、A/D変換ボード(株式会社山電製;ADI−2)を内蔵したパーソナルコンピュータ(セイコーエプソン株式会社製;PC−286VF)、およびテクスチセー測定解析プログラム(株式会社山電製)を用いた。
【0056】
(2)クリープ試験
クリープ試験には、テクスチャー試験同様レオナーRE−3305を使用した。試料にかける荷重を200gもしくは、300gとし、プランジャーは直径40mm、試料台速度は5mm/sec、測定時間を5分間で圧縮変形させ、時間経過とその時の試料の歪を測定した。
【0057】
データの解析には、A/D変換ボードを内蔵したパーソナルコンピュータ、およびクリープ測定解析プログラムを用いて、マックスウェル模型と2つのフォークト模型を直列に接続したときの6要素粘弾性に対応させ解析した。
【0058】
(3)破断強度試験
破断強度試験には、テクスチャー試験同様レオナーRE−3305を使用した。クリアランスは試料の高さの20%とし、プランジャーは直径5mで、試料台を一定速度(1mm/sec)で圧縮変形させ、破断する時の試料にかかる応力と変形量を測定した。
【0059】
データの解析には、A/D変換ボードを内蔵したパーソナルコンピュータ、および破断強度測定解析プログラムを用いた。
【0060】
〔大豆タンパクカードのテクスチャー解析〕
各種硫酸カルシウム濃度の大豆タンパクカードを調製したが、大豆乳凝集酵素無添加区における硫酸カルシウム濃度5mMでは、大豆タンパクカード調製の際、大豆タンパクの凝集は確認できたものの、離水性が悪く圧搾形成が困難で物性測定は不可能であった。
【0061】
しかし、酵素添加区では大豆乳凝集酵素を添加することで離水性が増し、物性測定可能な試料が調製できた。このことより、硫酸カルシウム添加量が少ない場合、すなわち、低濃度(5mM)硫酸カルシウム添加区では、酵素無添加区では離水性が悪く、カードの圧搾形成が不可能であったのに対し、酵素処理することで離水性が増し、カードの圧搾形成が可能となった。
【0062】
そこで、各種硫酸カルシウム濃度の大豆タンパクカードを調製し、それをテクスチャー試験に供した。
【0063】
図1は、試料に一定速度で一定変形(クリアランス;試料高の80%)を与えた時の応力の変化を示したもので、縦軸を応力、横軸を変形とした典型的なテクスチャープロファイルである。
【0064】
各試料を測定し、得られたテクスチャー曲線よりかたさ、凝集性、ガム性、もろさ、脆性度および付着性を求めた。
【0065】
まず、大豆タンパクカードのかたさに及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を調べ、その結果を図2にまとめた。
【0066】
図2に示したように、大豆乳凝集酵素添加区のかたさは、いずれも酵素無添加区のそれよりも高い値を示した。また、酵素無添加区では、硫酸カルシウム濃度7.5mMおよび10mMでは12〜13×10  dyne/cmの比較的やわらいカードであったが、15mMでは17×10dyne/cmとかたさの急激な増加が見られた。
【0067】
それに対し酵素添加区では、硫酸カルシウム濃度5mMでは10×10dyne/cmのやわらかいカードであったが、7.5mMおよび10mMでは29〜30×10dyne/cmのかたいカードが得られ、硫酸力ルシウム濃度5mMから7.5mMにかけて急激なかたさの増大がみられた。
【0068】
すなわち、大豆タンパクカードのかたさは、大豆乳凝集酵素を添加することにより、いずれの硫酸カルシウム濃度のカードにおいても増加し、さらに、低濃度(7.5mM)の硫酸カルシウム濃度では、かたさの急激な増加が顕著に見られた。
【0069】
次に、大豆タンパクカードの凝集性に及ほす硫酸カルシウム濃度の影響を調べ、その結果を図3に示した。
【0070】
擬集性とは、製品のボディーを形成している内部間結合の強さを示す。図3に示したように、大豆タンパクカードの凝集性は、酵素処理あるいは硫酸カルシウム濃度によらず、0.87付近でほとんど一定の値を示した。
【0071】
この事より、大豆タンパクカードの凝集性は、酵素添加あるいは硫酸カルシウム濃度の影響を受けないことが分かった。
【0072】
また、両カードは高い値の凝集性を示したことから、強い内部間結合によるしっかりしたボディーを有する物性であることが分かった。
【0073】
Szczeniak氏によれば、凝集性は、ガム性等に関与することが知られている。すなわち、ガム性は、かたさと凝集性の積で表され、半固形状の食品を飲み込める状態まで圧縮破壊するのに要するエネルギーと解釈される。
【0074】
図2に示したように、凝集性は両カードとも一定であるため、ガム性はかたさと同様な傾向を示した。
【0075】
次に、大豆タンパクのもろさおよび脆性度におよぼす硫酸カルシウム濃度の影響を調べ、その結果を図4および図5に示した。
【0076】
酵素無添加区では、硫酸カルシウム濃度5mMあるいは、7.5mMから25mMまでほぼ一定のもろさおよび脆性度を示し、50mMで幾分もろくなった。
【0077】
しかしながら、酵素添加区では、硫酸カルシウム濃度15mM付近でピークとなり、無添加区に比べかなりもろかった。
【0078】
鎌田らは,トリプシンによる限定分解大豆グロブリンを用いてゲルを調製し、テクスチャー解析を行ったところ、限定分解物は未処理のものにない「もろさ」を持つという特徴があった。
【0079】
本研究で用いた大豆タンパクカードは複合系であるが、鎌田らの調製したβコングリシニン、あるいはグリシニンの単純系ゲル同様、酵素処理することにより「もろさ」が付与された。
【0080】
最後に、大豆タンパクカードの付着性に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を調べ、その結果を図6に示した。
【0081】
付着性は、かたさ同様、硫酸カルシウム濃度15mMでピークの山なりの形を取り、25mMから50mMにかけての変化は緩やかであった。酵素を添加することにより、大豆タンパクカードの付着性は増大することが分かった。
【0082】
以上のことより、酵素法によるカード、すなわち、酵素処理を施して調製した大豆タンパクカードは、無添加区のカードに比べ、かたく強靭でゴムのような物性を有し、かつ、付着性の高い製品であったが、その反面もろいことが分かった。
【0083】
〔大豆タンパクカードのクリープ解析〕
各種硫酸カルシウム濃度の大豆タンパクカードを調製し、それをクリープ試験に供した。
【0084】
クリープ試験は、一定応力のもとで試料の変形量を測定するものである。そこで、図9に縦軸を歪み、横軸を時間とした典型的なクリーププロファイルを示した。
【0085】
ところで、クリープ試験は、応力の異なる条件で測定する場合があり、それでは物性値が比較できない。
【0086】
そこで、物性値を比較する際、よくコンプライアンスが用いられる。コンプライアンスとは、単位応力あたりの歪みであり、歪みを応力で除して得られる。また、コンプライアンスを構成しているものは、フック体弾性率・フォーク体弾性率・ニュートン体粘性率の逆数であり、フック体弾性率は瞬間変形、フォークト体弾性率は遅延変形、ニュートン体粘性率は定常流動を表す。
【0087】
コンプライアンスにおよばす硫酸カルシウム濃度の影響を調べ、その結果を図8に示した。図80より、酵素添加区・無添加区を比べると、コンプライアンス値の絶対量は硫酸カルシウム濃度に関係なく、酵素添加区の方が低い値を示した。
【0088】
すなわち、単位応力あたりの歪みが小さいことは、酵素添加区の方がかたいことを意味している。
【0089】
また、個々の成分で見ると、酵素添加区におけるフック体弾性率・フォークト体弾性率・ニュートン体粘性率のコンプライアンス値(JHOOK,JVOIGT,JNEWTON 以下JH,JV,JNと略す)は、酵素無添加区におけるそれより低い値を示すことから、酵素添加区のカードは、無添加区のそれに比べ、しっかりした綱目の構造による強いスプリングを有する物性で、しかも遅延変形・流動変形し難いカードであることが分かった。
【0090】
また、各試験区でコンプライアンス値を比較したところ、酵素無添加区におけるコンプライアンス各成分は、硫酸カルシウム濃度15mMで低い値を示し、それを中心にV字型に減少し増大した。
【0091】
しかしながら、酵素添加区におけるコンプライアンス各成分の変化は、無添加区程には大きくなかった。
【0092】
大豆タンパクカードのコンプライアンス百分率におよぽす硫酸カルシウムの影響を調べ、その結果を図11に示した。
【0093】
図9より、酵素無添加区における全コンプライアンス(JTOTAL以下JTと略する)に占めるJHの割合は、ほぼ50%で一定であった。
【0094】
しかしながら、酵素添加区におけるJTに占めるJHの割合は、10mMまでほぼ50%で一定であったが、15mMより硫酸カルシウム濃度の増加にともないわずかに上昇した。
【0095】
また、酵素無添加区における硫酸カルシウム濃度5及び7.5mMの大豆タンパクカードのJTに占めるJHの割合は、硫酸カルシウム濃度15mMから50mMのそれの約3分の2であった。
【0096】
同様に、酵素添加区における硫酸カルシウム濃度7.5mMの大豆タンパクカードのJTに占めるJNの割合は、硫酸カルシウム濃度15mMから50mMのそれの約2分の1であった。
【0097】
以上のことより、大豆タンパクカードを調製するにあたり、酵素を添加することで、酵素無添加区のカードに比べてしっかりした綱目の構造による強いスプリングを有する物性で、しかも遅延変形・流動変形し難いカードを得ることが可能となった。
【0098】
〔大豆タンパクカードの破断強度解析〕
各種硫酸カルシウムの濃度の大豆タンパクカードを調製し、それを破断強度試験に供した。破断強度試験は、一定速度で一定距離(クリアランス;試料高の20%)圧縮変形させたときの歪みに対する応力の変化を測定したものである。
【0099】
そこで、縦軸に応力、横軸に歪みをとった典型的な応力−歪み曲線を図10に示した。図10より、破断時の応力が破断応力、その時の歪みの割合が破断歪、また、破断するのに要したエネルギーが破断エネルギーである。
【0100】
そこで、大豆タンパクカードの破断応力におよぼす硫酸カルシウムの影響を調べ、その結果を図11に示した。
【0101】
図11より、酵素添加区におけるカードの破断応力は、無添加区のそれよりも上回った。酵素添加区のカードの破断応力の最高値は、16.2×10dyne/cm、酵素無添加区のそれは、15.5×10dyne/cmであった。
【0102】
次に、大豆タンパクカードの破断歪におよぼす硫酸カルシウムの影響を調べ、その結果を図12に示した。
【0103】
図12に示したように、大豆タンパクカードの酵素添加区における破断歪は、無添加区のそれよりも上回った。酵素添加区における大豆タンパクカードの破断歪は、硫酸カルシウム濃度10から50mMでほぼ一定であった。無添加区における破断歪は、約0.3から0.35の間で変化していた。
【0104】
最後に、大豆タンパクカードの破断エネルギーにおよぼす硫酸カルシウムの影響を図13に示した。
【0105】
図13より、酵素添加区における大豆タンパクカードの破断エネルギーは、硫酸カルシウム濃度15mMで、最高値約4.25×10erg/cmで、酵素無添加区のそれは、硫酸カルシウム濃度20mMで、最高値約3.94×10erg/cmを示した。
【0106】
この事より、酵素処理を施すことにより、酵素無添加区における各硫酸カルシウム濃度の破断エネルギーのボトムアップが生じた他、破断エネルギーのピークが低めの硫酸カルシウム濃度にシフトさせることが示唆された。
【0107】
以上の破断応力・破断歪・破断エネルギーの結果より、本酵素を用いて大豆タンパクカードを調製することで、酵素無添加のそれよりもかたいものが得られた。
【0108】
〔熟成大豆タンパクカードの物性解析〕
とうふよう製造に適した原料豆腐は、かたいしっかりした物性が必要とされるので、酵素法によるカード、すなわち、本酵素を用いて調製した大豆タンパクカードは、とうふようの製造に適すると期待される。
【0109】
そこで、各種濃度の硫酸カルシウムと、本酵素を組み合わせて大豆タンパクカードを調製し、それを用いて「とうふよう」の試作を行った。
【0110】
予備実験で「とうふよう」をもろみ(紅麹:泡盛=1:2)に漬け込んだところ、3,4週間では熟成が過度に進行していた。そこで熟成期間を2週間にしたところ、適度のかたさで適度に熟成が進んでいた。したがって、「とうふよう」の熟成期間は2週間とし、これを物性測定用の試料とした。
【0111】
「とうふよう」のテクスチャー試験の測定項目は、かたさ・凝集性・ガム性・もろさ・脆性度・付着性とし、各測定項目およぼす硫酸カルシウムの影響を調べ、その結果を図14〜図18に示した。
【0112】
「とうふよう」の各測定項目に関して、酵素添加区および無添加区を比較したところ、両者には大きな差異が見られなかった。
【0113】
「とうふよう」および大豆タンパクカード、すなわち、熟成カードおよび生カードで比較したところ、図14のかたさ・ガム性は、図2に示された結果の10分の1レベルで推移し、図15の凝集性は、0.4〜0.5となり、生カード(図3)よりも低い値を示した。
【0114】
このことより、生カードを熟成させたことで、かたいカードがやわらかい製品になることが分かった。
【0115】
図16のもろさでは、硫酸カルシウム濃度に関係なく、ゼロ付近の値を示した。熟成させることで、特に、生カード(図4)における酵素添加区の変化が著しかった。
【0116】
また、図17および図5より、熟成による脆性度の変化は、酵素無添加区ではわずかに増大したものの、酵素添加区では顕著な現象が確認された。
【0117】
生カード(図6)の付着性は、硫酸カルシウム濃度15mMでピークを示していたが、生カード、すなわち、「とうふよう」(図18)では硫酸カルシウム濃度20mMで最大の値を示した。また、熟成により付着性が増大することが分かった。
【0118】
「とうふよう」のクリアランスにおよぼす硫酸カルシウムの影響を調べ、その結果を図19に示した。「とうふよう」の酵素添加区および無添加区における最小クリアランス値は、それぞれ硫酸カルシウム濃度20mMおよび15mMであった。
【0119】
すなわち、酵素添加区および無添加区は、それぞれ硫酸カルシウム濃度20mMおよび15mMでかたい物性を示した。この事は、テクステャー試験のかたさ(図14)および後述する破断強度試験の破断応力(図21)の結果と一致した。
【0120】
「とうふよう」のクリランス百分率に及ぼす硫酸カルシウムの影響を調べ、その結果を図20に示した。
【0121】
図20および図9より、熟成させることでJT、(全クリアランス)に占めるJH、JNの占める割合は減少し、反対に、JTに占めるJVの割合は増大した。
【0122】
「とうふよう」の破断応力におよぼす硫酸ルシウムの影響を調べ、その結果を図21に示した。図21および図11より、熟成により「とうふよう」の破断強度は大幅に減少した。また、「とうふよう」の酵素添加区および無添加区の最大値は、それぞれ硫酸カルシウム濃度20mMおよび15mMで示した。すなわち、酵素添加区および無添加区は、それぞれ硫酸カルシウム濃度20mMおよび15mMでかたい物性を示した。この事は、テクスチャー試験のかたさ(図14)およびクリープ試験の結果(図19)と一致した。
【0123】
「とうふよう」の破断歪におよぼす硫酸カルシウムの影響を調べ、その結果を図22に示した。図22および図12より、熟成により酵素添加区における硫酸カルシウム濃度10mMおよび15mMの「とうふよう」の破断歪は幾分増大したが,20mM以上ではわずかな減少が見られ、7.5mMでは著しい減少が見られた。
【0124】
しかしながら、酵素無添加区における各種硫酸カルシウム濃度の「とうふよう」の破断歪は、いずれも減少した。
【0125】
「とうふよう」の破断エネルギーにおよぼす硫酸カルシウムの影響を調べ、その結果を図23に示した。図23および図13より、熟成により「とうふよう」の破断エネルギーは生カードの10分の1レベルに減少した。
【0126】
以上をまとめると、大豆タンパクカードを熟成させることにより、生カードに比べ、やわらかく、また付着性を有する「とうふよう」が得られた。また、「とうふよう」酵素添加区および無添加区を比較すると、さほど変化が見られなかった。
【0127】
以上の結果から、大豆乳凝集酵素を用いて凝集した大豆たんぱくカードは、従来の豆腐に比べて組織が均一であり、堅いという「とうふよう」に非常に適したものとなっていることが明らかとなった。
【0128】
近年、機能性食品の開発が活発となり、大豆タンパク質や小麦たんぱく質を素材とした組立食品などが種々試みられている。この組立食品は、農畜水産物からたんぱく質、油脂、等質などの特定の成分を取り出し、そのいくつかのものを素材として、着色、着香、調味を行い、成形した食品のことをいい、マーガリンやミートアナログなどが代表的な例とされている。
【0129】
発明者らは、紅麹を用い、この組立法で調整し、新しいとうふようの製造法を開発した。
【0130】
〔実施例1〕
(1)大豆乳の製造
大豆を10kgを水洗し、水道水に12時間浸漬して膨潤させる。
【0131】
水切りを行い、100リットルの水と共にミキサーにて磨砕する。
【0132】
磨砕汁を100℃にて5分間煮沸し、脱水装置にて固液分離し、不溶物(おから)を除去し、大豆乳を105リットル得た。
【0133】
(2)バイオリアクターによる凝集処理
上記の大豆乳を大豆乳凝集酵素(Bacills pumilusが生産するサチライシンAPRP)が固定されたバイオリアクターにて凝集処理する。
【0134】
前処理:大豆乳にpH調整剤として0.2Mリン酸二水素カリウムを注入し、pHを6.1に調整した。また、大豆乳の温度を65℃に調整した。これは、使用する大豆乳凝集酵素の凝集反応が最も早くなる条件に調整するものであり、pHは、5.5〜6.5であり、温度は、60℃〜70℃が好ましい。
【0135】
該バイオリアクターは、流動式のバイオリアクターであり、処理槽内に球状の担持体(大豆乳凝集酵素が固定された多孔性の球状粒)が多数充填されており、処理槽内を大豆乳が流動する際に、大豆乳凝集酵素と接触して大豆乳が凝集処理されるものである。大豆乳凝集酵素と大豆乳の接触効率を高めるために、処理槽内に攪拌手段やエアレーション手段を設けることが好ましい。
【0136】
(3)タンパクカードの製造
上記のバイオリアクターにより凝集処理された処理後の凝集物を圧搾装置にて、圧搾し、タンパクカード(10cm×10cm×10cm)を製造する。圧搾圧力は、4kg/cmとした。
【0137】
このタンパクカードは、放冷し、2cm角のブロック状に切断して×10cm×50cmとした。
【0138】
(4)もろみ発酵処理
上記のタンパクカードを2cm角のブロック状に切断して泡盛もろみに、2週間浸漬して発酵、熟成させた。
【0139】
泡盛もろみは、泡盛20kgに対して、紅麹10kgと食塩1kgを加えて調整した。
【0140】
(5)とうふよう
熟成終了後、タンパクブロックを泡盛もろみより取り出し、水洗して固形状発酵食品としての新たなとうふようが出来上がった。
【0141】
このとうふようは、紅麹色素に由来する深紅の色調を呈し、とうふように類似のなめらかなテクステャーと香味を有していた。
【0142】
〔実施例2〕
(1)上記の実施例1でできあがった固形状発酵食品を減圧装置にて、0.5気圧で2時間減圧した。この減圧処理において、泡盛に由来するアルコール分が除去された。
【0143】
(2)アルコール分が除去されたタンパクブロックを、温度が40℃に調整された乳酸発酵溶液に6時間浸漬して乳酸発酵させた。
【0144】
乳酸発酵溶液は、固形分濃度10%の脱脂乳溶液に、乳糖を2%となるように加え、これに乳酸菌ラクトバチルス・ブルガリカスと、ストレプトコッカス・サーモフィルスの混合ヨーグルトカルチャー(発売元クリスチャンハンセン社、デンマーク)の培養液20mlを添加して乳酸発酵溶液20リットルを調整した。
【0145】
乳酸発酵は、温度を40℃に保持して、6時間発酵し、pHが5.0前後となった。
【0146】
(3)乳酸発酵終了後、乳酸発酵溶液より、タンパクブロックを取り出して水洗し、固形発酵食品ができあがった。
【0147】
この新しい固形発酵食品は、紅麹色素に由来する深紅の色調であるが、やや白みがかった淡い紅色を呈し、とうふように類似のなめらかなテクステャーであるが、とうふようのようなアルコール風味はまったくなく、チーズ風味の子供から大人まで広く嗜好されると思われる香味を有していた。
【0148】
【発明の効果】
本発明の大豆乳凝集酵素を用いて凝集させることにより、従来より、食品用凝固剤として使用されている硫酸カルシウムやニガリなどに比べて、均一な凝集物を製造することができる。
【0149】
また、製造された凝集物は、従来の凝集物、たとえば、豆腐などに比べて組織が均一であるとともに堅く、ブロック強度が高くなり、崩れにくく、形態安定性が高いたんぱく質食品素材を提供できる。
【0150】
バイオリアクターを用いた凝集処理により、均一で、形態安定性の高い凝集物を大量生産することが可能となり、新たな組立食品開発への応用ができる。
【0151】
また、本発明の発酵食品は、植物タンパク素材そのものに、香味を持たせることができ、独特のウニに類似した風味を提供することができる。
【0152】
また、乳酸発酵により、アルコール風味のない、子供から老人まで好まれる風味の発酵食品となり、滋養食品、健康食品などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による大豆タンパクカードのテクスチャー曲線を示す図である。
【図2】本発明による大豆タンパクカードのかたさに及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図3】本発明による大豆タンパクカードの凝集性に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図4】本発明による大豆タンパクカードのもろさに及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図5】本発明による大豆タンパクカードの脆性度に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図6】本発明による大豆タンパクカードの付着性に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図7】本発明による大豆タンパクカードのクリープ曲線を示す図である。
【図8】本発明による大豆タンパクカードのコンプライアンスに及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図9】本発明による大豆タンパクカードのコンプライアンス百分率に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図10】本発明による大豆タンパクカードの応力−歪曲線を示す図である。
【図11】本発明による大豆タンパクカードの破断応力に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図12】本発明による大豆タンパクカードの破断歪に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図13】本発明による大豆タンパクカードの破断エネルギーに及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図14】本発明による熟成大豆タンパクカードのかたさ・ガム性に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図15】本発明による熟成大豆タンパクカードの凝集性に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図16】本発明による熟成大豆タンパクカードのもろさに及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図17】本発明による熟成大豆タンパクカードの脆性度に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図18】本発明による熟成大豆タンパクカードの付着性に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図19】本発明による熟成大豆タンパクカードのクリアランスに及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図20】本発明による熟成大豆タンパクカードのクリアランス百分率に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図21】本発明による熟成大豆タンパクカードの破断応力に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図22】本発明による熟成大豆タンパクカードの破断歪に及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。
【図23】本発明による熟成大豆タンパクカードの破断エネルギーに及ぼす硫酸カルシウム濃度の影響を示す図である。

Claims (3)

  1. バチルス属の細菌の生産する大豆乳凝集活性を有する酵素を用いて凝集させた植物性タンパク質のゲル製品を、麹菌を含有するもろみを用いた発酵により得られる発酵食品。
  2. 前記の植物性タンパク質のゲル製品を、麹菌を含有するもろみを用いて発酵後、さらに乳酸菌を用いて発酵させることにより得られることを特徴とする請求項1に記載の発酵食品。
  3. 前記の請求項1又は請求項2に記載の植物性たんぱく質の凝集過程において、大豆乳凝集酵素が固定化されたバイオリアクターに、植物性タンパク質を流動させ、連続凝集処理を行うことを特徴とする植物性たんぱく質の凝集処理方法。
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