JP2004126547A - 感光性樹脂前駆体組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)耐熱性樹脂前駆体ポリマー、(b)感放射線性化合物、(c)一般式(1)および/または一般式(2)で表される溶剤を含有することを特徴とする感光性樹脂前駆体組成物。
【化1】
(一般式(1)のR1は炭素数1から3までのアルキル基を示し、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立して水素または炭素数1から3までのアルキル基を示す。lは0から3までの整数を示す。一般式(2)のR6〜R10はそれぞれ独立して水素または炭素数1から3までのアルキル基を示す。j、kは0から3までの整数を示す。ただしj+k≧2である。)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などに適した、塗布均一性の優れた感光性樹脂前駆体組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には耐熱性が優れ、また卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂が用いられている。一方でパターン作成工程の簡略化、工程短縮及び歩留まり向上の観点からポリイミド樹脂前駆体組成物自身に感光性を付与する技術が注目を集めており、さらに最近安全性、取扱性、環境面への配慮からアルカリ現像液で現像可能なポジ型感光性樹脂前駆体組成物が開発されている。
【0003】
通常、これら感光性樹脂前駆体組成物はシリコンウエハー、ガラス等の基板にスピンコートし、溶剤を加熱留去する方法により膜が形成される。用いられる溶剤としては一般に良溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられるが、これらの溶剤は沸点が200℃以上と高いためスピンコート時に揮発しにくく、加熱処理で一気に蒸発するため塗布均一性を良くすることが困難であった。一方揮発しやすい溶剤を用いると樹脂の溶解性が低く、異物の析出が見られたり、また溶解してもスピンコート時にストリエーションが出るなどの問題があるため実用には不向きであった。
【0004】
他方、クレゾールノボラック樹脂にはジアセトンアルコールを用いている例(例えば特許文献1参照)があるが、ポリイミド樹脂前駆体に代表される耐熱性樹脂前駆体は元来溶媒に対する溶解性が小さく、ジアセトンアルコールを直接用いても、ジアセトンアルコールの溶解性を活かすことができなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−128848号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の欠点を考慮し、本発明は、特定の耐熱性樹脂前駆体と感放射性化合物を特定の溶剤に溶解することで得られる樹脂組成物であり、当該樹脂組成物は異物の析出や塗布ムラがなく、塗膜均一性に優れる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(a)耐熱性樹脂前駆体ポリマー、(b)感放射線性化合物、(c)一般式(1)および/または一般式(2)で表される溶剤を含有することを特徴とする感光性樹脂前駆体組成物である。
【0008】
【化8】
【0009】
(一般式(1)のR1は炭素数1から3までのアルキル基を示し、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立して水素または炭素数1から3までのアルキル基を示す。lは0から3までの整数を示す。一般式(2)のR6〜R10はそれぞれ独立して水素または炭素数1から3までのアルキル基を示す。j、kは0から3までの整数を示す。ただしj+k≧2である。)
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における耐熱性樹脂前駆体ポリマーとは、加熱あるいは適当な触媒により、イミド環、オキサゾール環、チアゾール環などの環状構造を形成し、耐熱性ポリマーを形成し得る。環構造となることで、耐熱性、耐溶剤性が飛躍的に向上する。好ましくはポリイミド前駆体のポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリベンゾオキサゾール前駆体のポリヒドロキシアミドが挙げられるが、これらに限定されない。ポジ型の感光性を付与させるためには一般式(3)で表される構造単位を主成分とするポリマーであることがより好ましく、ネガ型の感光性を付与させるためには一般式(4)で表される構造単位を主成分とするポリマーであることがより好ましい。
【0011】
上記一般式(3)は、水酸基を有したポリアミド酸を表しており、この水酸基の存在によって、アルカリ現像液に対する溶解性が水酸基を有さないポリアミド酸よりも良好になる。特に、アルカリ現像液に対する溶解性を向上させる点で、水酸基の中でもフェノール性の水酸基が好ましい。また、フッ素原子を一般式(3)中に10重量%以上有することで、アルカリ水溶液で現像する際に、膜の界面に撥水性が適度に出るために、界面のしみこみなどが抑えられる。しかしながら、フッ素原子含有量が20重量%を越えると、アルカリ現像液に対する溶解性が低下すること、熱処理により環状構造にしたポリマーの耐有機溶媒性が低下すること、発煙硝酸に対する溶解性が低下するために好ましくない。このように、フッ素原子は10重量%以上20重量%以下含まれることが好ましい。
【0012】
上記一般式(3)中、R11は酸二無水物またはジカルボン酸の構造成分を表しており、R11は芳香族環を含有し、かつ、水酸基を1個〜4個有した、2個以上の炭素原子を有する2価〜8価の有機基であることが好ましく、炭素数6〜30の3価または4価の有機基がさらに好ましい。
【0013】
具体的には、一般式(5)に示される構造が好ましく、この場合、R18、R20は得られるポリマーの耐熱性の点で芳香族環を含んだものが好ましく、その中でも特に好ましい構造としてトリメリット酸、トリメシン酸、ナフタレントリカルボン酸残基などを挙げることができる。またR19は炭素数3〜20より選ばれる水酸基を有した3価〜6価の有機基が好ましい。さらに、水酸基はアミド結合の隣りの位置にあることが好ましい。このような例として、フッ素原子を含んだ、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、フッ素原子を含まない、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノ−フェノール、2,5−ジアミノフェノール、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼンのアミノ基が結合したものなどを挙げることができる。
【0014】
また、R21、R22は水素、あるいは炭素数1〜20までの有機基が良く、それぞれ同じでも異なっていても良い。炭素数20より大きくなるとアルカリ現像液に対する溶解性が低下する。o、sは1または2をあらわしており、rは1〜4までの整数を表している。rが5以上になると、得られる耐熱性樹脂膜の特性が低下する。
【0015】
一般式(3)のR11(COOR13)m(OH)pが一般式(5)で表される化合物の中で、好ましい化合物は下記に示した構造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
【化9】
【0017】
また、アルカリ現像液に対する溶解性、感光性能、耐熱性を損なわない範囲で、水酸基を有していないテトラカルボン酸、ジカルボン酸で変性することもできる。この例としては、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸やそのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族のテトラカルボン酸やそのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。これらは、酸成分の50モル%以下の変性が好ましいが、さらに好ましくは30モル%以下である。50モル%より多い変性を行うと、アルカリに対する溶解性、感光性が損なわれる恐れがある。
【0018】
上記一般式(3)中、R12はジアミンの構造成分を表している。この中で、R12の好ましい例は、得られるポリマーの耐熱性の点より、芳香族を有し、かつ水酸基および/またはカルボキシル基を有するものが好ましく、具体的な例としてはフッ素原子を有した、ビス(アミノ−ヒドロキシ−フェニル)ヘキサフルオロプロパン、フッ素原子を有さない、ジアミノジヒドロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒドロキシ−ジアミノ−ピリミジン、ジアミノフェノール、ジヒドロキシベンチジン、ジアミノ安息香酸などの化合物や一般式(6)、(7)、(8)に示す構造のものをあげることができる。
【0019】
この中で、一般式(6)のR23、R25、一般式(7)のR27、一般式(8)のR30は、得られるポリマーの耐熱性の点で、芳香族環、水酸基を有した有機基が好ましい。一般式(6)のR24、一般式(7)のR26、R28、一般式(8)のR29は、得られるポリマーの耐熱性の点で、芳香族環を有した有機基が好ましい。また一般式(6)のt、uは1あるいは2の整数を示し、一般式(7)のv、一般式(8)のwは1〜4までの整数を示す。
【0020】
一般式(3)のR12(COOR14)f(OH)qが一般式(6)で表されるときの具体例を下記に示す。
【0021】
【化10】
【0022】
また、一般式(3)のR12(COOR14)f(OH)qが一般式(7)で表されるときの具体例を下記に示す。
【0023】
【化11】
【0024】
一般式(3)のR12(COOR14)f(OH)qが一般式(8)で表されるときの具体例を下記に示す。
【0025】
【化12】
【0026】
一般式(6)のR23、R25は炭素数2〜20より選ばれる水酸基を有した3価〜4価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性の点で芳香族環を有したものが好ましい。具体的にはヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などを表す。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族基も使用することができる。R24は炭素数2〜30までの2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性の点で芳香族を有した2価の基がよく、例はフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などをあげることができる。これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。
【0027】
一般式(7)のR26、R28は炭素数2〜20までの2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性の点で、芳香族を有した2価の基がよく、例はフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などをあげることができるが、これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。R27は、炭素数3〜20より選ばれる水酸基を有した3価〜6価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性の点より、芳香族環を有したものが好ましい。具体的にはヒロドキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などがあげられる。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族基も使用することができる。
【0028】
一般式(8)のR29は炭素数2〜20より選ばれる2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性の点で、芳香族を有した2価の基がよく、例はフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などをあげることができるが、これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。R30は炭素数3〜20より選ばれる水酸基を有した3価〜6価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性の点で、芳香族環を有したものが好ましい。具体的にはヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などがあげられる。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族基も使用することができる。
【0029】
また、1〜40モル%の範囲の、他のジアミン成分を用いて変性することもできる。これらの例は、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、アミノフェノキシベンゼン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(トリフルオロメチル)ベンチジン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホンあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。これらジアミン成分を40モル%より多く共重合すると、得られるポリマーの耐熱性が低下する。
【0030】
一般式(3)のR13、R14は水素、または炭素数1〜20の有機基を表している。得られるポジ型感光性樹脂前駆体溶液の安定性、本発明の溶剤への溶解性の点で、R13、R14は有機基が好ましいが、アルカリ現像液の溶解性の点からは水素が好ましい。本発明においては、水素原子とアルキル基を混在させることができる。このR13、R14の水素と有機基の量を制御することで、アルカリ現像液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有したポジ型感光性樹脂前駆体組成物を得ることができる。好ましい範囲は、R13、R14の10%〜90%が水素原子である。より好ましい範囲は10%から50%の範囲である。水素原子の割合が50%より大きいと本発明のポリマーの溶剤に対する溶解性が低下し、90%を越えるとポリマーがスピンコート時に析出するなど塗布性に問題が出る恐れがある。水素原子の割合が10%未満であるとポリマーのアルカリ現像液に対する溶解速度が低下するため感度低下を招くおそれがある。R13、R14の炭素数が20を越えるとアルカリ現像液に溶解しなくなる。以上よりR13、R14は、炭素数1〜16までの炭化水素基を1つ以上含有し、その他は水素原子であることが好ましい。
【0031】
また一般式(3)のm、fは0〜2までの整数を示している。m、f、pが0のとき一般式(3)はポリヒドロキシアミドを示し、ポリベンゾオキサゾール前駆体を示す。この場合R11は得られるポリマーの耐熱性の点より、芳香族を有した3価〜4価の基がよい。具体的にはヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などを表す。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族基も使用することができる。R12は得られるポリマーの耐熱性の点より、芳香族を有した2価の基がよく、例はフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などをあげることができるが、これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。
【0032】
また、一般式(3)のmが2、fが1または2のとき、一般式(3)はジアミンの構造成分にカルボキシル基を有するポリアミド酸を示す。この場合R11としては、ピロメリット酸二無水物、3,3‘,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3‘,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2‘,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3‘,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3‘,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3‘,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3‘,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3‘,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物等の芳香族系テトラカルボン酸二酸無水物が好ましい。R12は得られるポリマーの耐熱性の点より、芳香族を有した3価〜8価の基がよく、好ましい具体例は、例えば、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メチレン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)エーテル、4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4‘−ジアミノ−5,5’−ジカルボキシ−2,2‘−ジメチルビフェニル等の芳香族系ジアミン化合物が挙げられる。
【0033】
一般式(3)のnは本発明のポリマーの構造単位の繰り返し数を示しており、10〜100000の範囲であることが好ましい。nが小さすぎると、パターン形状、現像性、耐熱性などが劣化しやすい。nが大きすぎると、現像性、感度、解像度などが悪化する傾向がある。本発明において、nの値は、(a)成分の重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いてポリスチレン換算で測定し、得られた重量平均分子量を、(a)成分を構成する構造単位1個あたりの分子量で割ることにより求められる。(a)成分の樹脂の好ましい重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いポリスチレン換算で測定した値が、3000〜100000であり、より好ましくは5000〜50000である。
【0034】
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲で 一般式(3)のR11、R12にシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどがあげられる。
【0035】
上記一般式(4)は、ネガ型を付与させる際に好適な炭素炭素不飽和二重結合を有するポリアミド酸またはポリアミド酸エステルを表している。また、フッ素原子を一般式(4)中に10重量%以上有することもできる。フッ素原子含有量が20重量%を越えると、熱処理により環状構造にしたポリマーの耐有機溶媒性が低下すること、発煙硝酸に対する溶解性が低下するために好ましくない。従って、フッ素原子は10重量%以上20重量%以下含まれることが好ましい。
【0036】
上記一般式(4)中、R15は酸二無水物の構造成分を表しており、この酸二無水物は芳香族環を含有し、かつ、2個以上の炭素原子を有する2価〜8価の有機基であることが好ましく、炭素数6〜30の3価または4価の有機基がさらに好ましい。具体的には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0037】
また、感光性能、耐熱性を損なわない範囲で、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸やそのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族のテトラカルボン酸やそのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などで変性することもできる。これらは、酸成分の50モル%以下の変性が好ましいが、さらに好ましくは30モル%以下である。50モル%より大きい変性を行うと、感光性が損なわれる恐れがある。
【0038】
上記一般式(4)のR16はジアミンの構造成分を表している。この中で、R16の好ましい例は、得られるポリマーの耐熱性より芳香族を有するものが好ましい。具体例は、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、メチルパラフェニレンジアミン、メチルメタフェニレンジアミン、ジメチルパラフェニレンジアミン、ジメチルメタフェニレンジアミン、トリメチルパラフェニレンジアミン、トリメチルメタフェニレンジアミン、テトラメチルパラフェニレンジアミン、テトラメチルメタフェニレンジアミン、トリフルオロメチルパラフェニレンジアミン、トリフルオロメチルメタフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルパラフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルメタフェニレンジアミン、メトキシパラフェニレンジアミン、メトキシメタフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシパラフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシメタフェニレンジアミン、フルオロパラフェニレンジアミン、フルオロメタフェニレンジアミン、クロロパラフェニレンジアミン、クロロメタフェニレンジアミン、ブロモパラフェニレンジアミン、ブロモメタフェニレンジアミン、カルボキシパラフェニレンジアミン、カルボキシメタフェニレンジアミン、メトキシカルボニルパラフェニレンジアミン、メトキシカルボニルメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノメチルフェニル)メタン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)メタン、ビス(アミノエチルフェニル)メタン、ビス(アミノクロロフェニル)メタン、ビス(アミノジメチルフェニル)メタン、ビス(アミノジエチルフェニル)メタン、ジアミノジフェニルプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノエチルフェニル)プロパン、ビス(アミノクロロフェニル)プロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノエチルフェニル)スルホン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジエチルフェニル)スルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ビス(アミノメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノエチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジエチルフェニル)エーテル、ジメチルベンジジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ジクロロベンジジン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)エーテル、ビス(アミノフェノキシフェニル)メタン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン化合物、または、それら水添化合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記化合物は単独種であっても良いし、2種以上の混合であっても良い。
【0039】
また、1〜40モル%の範囲の、他のジアミン成分を用いて変性することもできる。これらの例としては、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、アミノフェノキシベンゼン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(トリフルオロメチル)ベンチジン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホンあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物など、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。このようなジアミン成分を40モル%より大きい範囲で共重合すると得られるポリマーの耐熱性が低下する。
【0040】
一般式(4)のR17は炭素炭素不飽和二重結合を有する有機基を示す。炭素炭素不飽和二重結合を有する有機基としては、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルなどが挙げられるが、これに限定されない。さらに感光性能を上げるため、次のようなモノマーを添加することもできる。アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノブチル、メタクリル酸ジメチルアミノヘキシル、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、アクリロイルピペリジン、メタクリロイルピペリジン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、メタリルアミン、ビニルピリジン、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、パラ(またはメタ)アジド安息香酸ジメチルアミノエチルエステル、パラ(またはメタ)アジド安息香酸ジエチルアミノエチルエステル、パラ(またはメタ)アジド安息香酸ジメチルアミノプロピルエステル、パラ(またはメタ)アジド安息香酸ジエチルアミノプロピルエステル、パラ(またはメタ)アジドスルホニル安息香酸ジメチルアミノエチルエステル、パラ(またはメタ)アジドスルホニル安息香酸ジエチルアミノエチルエステル、パラ(またはメタ)アジドスルホニル安息香酸ジメチルアミノプロピルエステル、パラ(またはメタ)アジドスルホニル安息香酸ジエチルアミノプロピルエステル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、メチレンビスメタクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドに示される化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。また上記添加化合物は単独種であっても良いし、2種以上の混合であっても良い。
【0041】
一般式(4)のhは本発明のポリマーの構造単位の繰り返し数を示しており、10〜100000の範囲であることが好ましい。
【0042】
また、現像後のパターンにおいてさらに高い感度、高い解像度を得るために、ポリアミド酸誘導体に光開始剤や光増感剤を添加するのが好ましく、各々別々に用いても、同時に用いても構わない。
【0043】
添加に適した光開始剤は、N−フェニルジエタノールアミン、N−フェニルグリシン、ミヒラーズケトンなどの芳香族アミン、3−フェニル−5−イソオキサゾロンに代表される環状オキシム化合物、1−フェニルプロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムに代表される鎖状オキシム化合物、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ジベンジルケトン、フルオレノンなどのベンゾフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】
添加に適した増感剤は、アジドアントラキノン、アジドベンザルアセトフェノンなどの芳香族モノアジド、3,3’−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)などのクマリン化合物、ベンズアントロン、フェナントレンキノンなどの芳香族ケトンなど一般に光硬化性樹脂に使用されるもの、その他電子写真の電荷移動剤として使用されるものであれば好ましく使用できる。
【0045】
光開始剤や増感剤はポリマーに対して0.01〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜20重量%添加するのが好ましい。この範囲を外れると感光性が低下したり、ポリマーの機械特性が低下したりするので注意を要する。これらの光開始剤や増感剤は、単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0046】
本発明の耐熱性樹脂前駆体ポリマーは一般式(3)または(4)で表される構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいはブレンド体であっても良い。その際、一般式(3)または(4)で表される構造単位を50モル%以上含有していることが好ましく、90モル%以上含有していることがより好ましい。共重合あるいはブレンドに用いられる構造単位の種類および量は最終加熱処理によって得られるポリイミド系ポリマの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0047】
また、本発明は、一般式(3)または(4)のポリマーの末端に末端封止剤を反応させることができる。末端封止剤は、モノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などを用いることができる。末端封止剤を反応させることにより、(a)成分の構造単位の繰り返し数、すなわち分子量を好ましい範囲に制御できる点で好ましい。また、(a)成分の末端に末端封止剤を反応させることにより、末端基として種々の有機基を導入することができる。一般式(3)のポリマーに末端封止剤を反応させた例は、一般式(9)〜(12)で表される構造を有する樹脂から選ばれた樹脂が好ましく、一般式(4)のポリマーに末端封止剤を反応させた例は、一般式(13)〜(16)で表される構造を有する樹脂から選ばれた樹脂が好ましい。
【0048】
【化13】
【0049】
【化14】
【0050】
一般式(9)〜(16)のR31は、−CR32R33−、−CH2O−および−CH2SO2−より選ばれる2価の基を示す。R32、R33は水素原子および炭素数1から10までの炭化水素基より選ばれる1価の基を示す。なかでも水素原子または炭素数1から4の炭化水素基が好ましく、特に好ましくは水素原子、メチル基またはt−ブチル基である。gは0から10までの整数であり、好ましくは0から4の整数である。
【0051】
Xおよび/またはYで表される有機基を有することにより、一般式(1)または(2)の有機溶媒に対する溶解性がさらに良好になる。
【0052】
一般式(9)、(10)、(13)、(14)における−NH−(R31)g−Xは、末端封止剤である1級モノアミンに由来する成分であり、一般式(11)、(12)、(15)、(16)における−CO−(R31)g−Yは、末端封止剤である酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物に由来する成分である。
【0053】
末端封止剤に用いられるモノアミンは、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、4−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−ヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−ヒドロキシナフタレン、1−カルボキシ−8−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−4−アミノナフタレン、1−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−カルボキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−カルボキシナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−4−アミノナフタレン、2−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−カルボキシナフタレン、2−アミノニコチン酸、4−アミノニコチン酸、5−アミノニコチン酸、6−アミノニコチン酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、3−アミノ−O−トルイック酸、アメライド、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、5−アミノ−8−メルカプトキノリン、4−アミノ−8−メルカプトキノリン、1−メルカプト−8−アミノナフタレン、1−メルカプト−7−アミノナフタレン、1−メルカプト−6−アミノナフタレン、1−メルカプト−5−アミノナフタレン、1−メルカプト−4−アミノナフタレン、1−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−メルカプト−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−メルカプトナフタレン、2−メルカプト−7−アミノナフタレン、2−メルカプト−6−アミノナフタレン、2−メルカプト−5−アミノナフタレン、2−メルカプト−4−アミノナフタレン、2−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−メルカプトナフタレン、3−アミノ−4,6−ジメルカプトピリミジン、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、2,4−ジエチニルアニリン、2,5−ジエチニルアニリン、2,6−ジエチニルアニリン、3,4−ジエチニルアニリン、3,5−ジエチニルアニリン、1−エチニル−2−アミノナフタレン、1−エチニル−3−アミノナフタレン、1−エチニル−4−アミノナフタレン、1−エチニル−5−アミノナフタレン、1−エチニル−6−アミノナフタレン、1−エチニル−7−アミノナフタレン、1−エチニル−8−アミノナフタレン、2−エチニル−1−アミノナフタレン、2−エチニル−3−アミノナフタレン、2−エチニル−4−アミノナフタレン、2−エチニル−5−アミノナフタレン、2−エチニル−6−アミノナフタレン、2−エチニル−7−アミノナフタレン、2−エチニル−8−アミノナフタレン、3,5−ジエチニル−1−アミノナフタレン、3,5−ジエチニル−2−アミノナフタレン、3,6−ジエチニル−1−アミノナフタレン、3,6−ジエチニル−2−アミノナフタレン、3,7−ジエチニル−1−アミノナフタレン、3,7−ジエチニル−2−アミノナフタレン、4,8−ジエチニル−1−アミノナフタレン、4,8−ジエチニル−2−アミノナフタレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
これらのうち、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、3,4−ジエチニルアニリン、3,5−ジエチニルアニリン等が好ましい。
【0055】
末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物およびモノ活性エステル化合物から選ばれた化合物は、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物等の酸無水物、2−カルボキシフェノール、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、2−カルボキシチオフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−8−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−4−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−3−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−8−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−4−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−3−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−2−カルボキシナフタレン、2−カルボキシベンゼンスルホン酸、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸、2−エチニル安息香酸、3−エチニル安息香酸、4−エチニル安息香酸、2,4−ジエチニル安息香酸、2,5−ジエチニル安息香酸、2,6−ジエチニル安息香酸、3,4−ジエチニル安息香酸、3,5−ジエチニル安息香酸、2−エチニル−1−ナフトエ酸、3−エチニル−1−ナフトエ酸、4−エチニル−1−ナフトエ酸、5−エチニル−1−ナフトエ酸、6−エチニル−1−ナフトエ酸、7−エチニル−1−ナフトエ酸、8−エチニル−1−ナフトエ酸、2−エチニル−2−ナフトエ酸、3−エチニル−2−ナフトエ酸、4−エチニル−2−ナフトエ酸、5−エチニル−2−ナフトエ酸、6−エチニル−2−ナフトエ酸、7−エチニル−2−ナフトエ酸、8−エチニル−2−ナフトエ酸等のモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物および、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、3−ヒドロキシフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、1,2−ジカルボキシナフタレン、1,3−ジカルボキシナフタレン、1,4−ジカルボキシナフタレン、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、1,8−ジカルボキシナフタレン、2,3−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン、2,7−ジカルボキシナフタレン等のジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物、が挙げられる。
【0056】
これらのうち、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物等の酸無水物、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸、3−エチニル安息香酸、4−エチニル安息香酸、3,4−ジエチニル安息香酸、3,5−ジエチニル安息香酸等のモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物およびテレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン等のジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物等が好ましい。
【0057】
末端封止剤に用いられるモノアミンの導入割合は、全アミン成分に対して、0.1〜60モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜50モル%である。末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物およびモノ活性エステル化合物から選ばれた化合物の導入割合は、ジアミン成分に対して、0.1〜100モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜90モル%である。複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入しても良い。
【0058】
ポリマー中に導入された末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入されたポリマーを、酸性溶液に溶解し、ポリマーの構成単位であるアミン成分と酸無水成分に分解、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することにより、本発明に使用の末端封止剤を容易に検出できる。これとは別に、末端封止剤が導入されたポリマー成分を直接、熱分解ガスクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルおよびC13NMRスペクトル測定でも、容易に検出可能である。
【0059】
本発明の耐熱性樹脂前駆体ポリマーは公知の方法により合成される。ポリアミド酸またはポリアミド酸エステルの場合、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後アミンと縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸2無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、アミンと反応させる方法などで合成することができる。
【0060】
ポリヒドロキシアミドの場合、製造方法としては、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸を縮合反応させることで得ることが出来る。具体的には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のような脱水縮合剤と酸を反応させ、ここにビスアミノフェノール化合物を加える方法やピリジンなどの3級アミンを加えたビスアミノフェノール化合物の溶液にジカルボン酸ジクロリドの溶液を滴下するなどがある。
【0061】
本発明の感放射線性化合物とは、紫外線、遠紫外線、X線等の放射線に感応して酸を発生する化合物であり、具体的にはジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩、フェニルジアゾニウム塩などのオニウム化合物、キノンジアジド化合物、イミドスルフォネート誘導体、トシラート化合物、ベンジル誘導体のカルボナート化合物、ならびにトリアジン誘導体のハロゲン化合物などが挙げられる。このなかでも汎用性の面から一般的な紫外線である水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)に感光するキノンジアジド化合物が好ましい。
【0062】
キノンジアジド化合物は、フェノール性水酸基を有した化合物にナフトキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合した化合物が好ましい。ここで用いられるフェノール性水酸基を有する化合物としては、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP,DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A、46DMOC、46DMOEP、TM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、BisP−AP(商品名、本州化学工業(株)製)などの化合物に4−ナフトキノンジアジドスルホン酸あるいは5−ナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル結合で導入したものが好ましいものとして例示することが出来るが、これ以外の化合物を使用することもできる。
【0063】
4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適しており、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本発明は、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物のどちらも好ましく使用することが出来るが、露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニル、エステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用した、ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を得ることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を混合して使用することもできる。
【0064】
本発明で用いるナフトキノンジアジド化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物と、キノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応によって、合成することが可能であって、公知の方法により合成することができる。
【0065】
これらのナフトキノンジアジド化合物を使用することで解像度、感度、残膜率が向上する。また、ナフトキノンジアジド化合物の分子量が1500以上になると、その後の熱処理においてナフトキノンジアジド化合物が十分に熱分解しないために、得られる膜の耐熱性が低下する、機械特性が低下する、接着性が低下するなどの問題が生じる可能性がある。このような観点より、好ましいナフトキノンジアジド化合物の分子量は300〜1500である。さらに好ましくは、350〜1200である。また、ナフトキノンジアジド化合物の添加量は、ポリマー100重量部に対して、好ましくは1から50重量部であり、さらに好ましくは3から40重量部の範囲である。
【0066】
上記のナフトキノンジアジド化合物を添加することで、現像後の未露光部の膜減りが大幅に低下し、良好なパターンを短い現像時間で得ることが出来る。
【0067】
本発明で用いられる溶剤は一般式(1)または(2)で表されるヒドロキシケトン構造を有する。この溶剤を用いることで良好な塗布性が得られる。一般式(1)は直鎖構造を示し、一般式(2)は環状構造を示す。一般式(1)のR1は炭素数1から3までのアルキル基を示し、R2,R3、R4、R5はそれぞれ独立して水素または炭素数1から3までのアルキル基を示す。それぞれ炭素数が4以上になるとポリマーに対する溶解性が低下する。一般式(1)のlは0から3までの整数を示す。4以上になるとポリマーに対する溶解性が低下する。このような溶剤の好ましい具体例としては、アセトール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)などが挙げられる。これらの中で溶解性および揮発性の面からジアセトンアルコールが特に好ましい。
【0068】
一般式(2)のR6〜R10はそれぞれ独立して水素または炭素数1から3までのアルキル基を示す。それぞれ炭素数が4以上になるとポリマーに対する溶解性が低下する。一般式(2)のj、kは0から3までの整数を示す。4以上になるとポリマーに対する溶解性が低下する。安定な環構造を有するためにはj+k≧2である。このような溶剤の好ましい具体例は、2−ヒドロキシシクロブタノン、3−ヒドロキシシクロブタノン、2−ヒドロキシシクロペンタノン、3−ヒドロキシシクロペンタノン、2−ヒドロキシシクロヘキサノン、3−ヒドロキシシクロヘキサノン、4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2−ヒドロキシシクロヘプタノン、3−ヒドロキシシクロヘプタノン、4−ヒドロキシシクロヘプタノン、2−ヒドロキシシクロオクタノン、3−ヒドロキシシクロオクタノン、4−ヒドロキシシクロオクタノン、5−ヒドロキシシクロオクタノン等が挙げられる。
【0069】
本発明は、一般式(1)または(2)で表される溶剤を各々単独で用いることも、他の溶剤を混合して使用することもできる。また一般式(1)で表される溶剤と一般式(2)で表される溶剤の両方を有していても良い。樹脂を高濃度で用いる場合、樹脂の溶剤に対する溶解性が低下する可能性があるため、単独よりも混合して用いた方が好ましい。他の溶剤を混合する場合、一般式(1)または(2)で表される溶剤の含有量が溶剤全量の20重量%以上95重量%以下であることが好ましい。20重量%未満であると感光性樹脂前駆体組成物の塗布性が他の溶剤の溶解性、揮発性に大きく依存するため、一般式(1)または(2)で表される溶剤の効果が得られない可能性がある。95重量%より大きいと樹脂への溶解性が低下する可能性がある。このような面から、特に好ましい範囲としては30重量%以上90重量%以下である。
【0070】
混合する際に使用できる他の溶剤は、耐熱性樹脂前駆体ポリマーを溶解するものであれば特に限定されない。その例はN−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などが挙げられる。
【0071】
また、必要に応じて上記、感光性樹脂前駆体組成物の感度を向上させる目的で、フェノール性水酸基を有する化合物を添加することができる。
【0072】
このフェノール性水酸基を有する化合物は、たとえば、Bis−Z、BisOC−Z、BisOPP−Z、BisP−CP、Bis26X−Z、BisOTBP−Z、BisOCHP−Z、BisOCR−CP、BisP−MZ、BisP−EZ、Bis26X−CP、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisCR−IPZ、BisOCP−IPZ、BisOIPP−CP、Bis26X−IPZ、BisOTBP−CP、TekP−4HBPA(テトラキスP−DO−BPA)、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOFP−Z、BisRS−2P、BisPG−26X、BisRS−3P、BisOC−OCHP、BisPC−OCHP、Bis25X−OCHP、Bis26X−OCHP、BisOCHP−OC、Bis236T−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、BisRS−OCHP、(商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)が挙げられる。
【0073】
これらのうち、本発明の好ましいフェノール性水酸基を有する化合物は、たとえば、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−F等が挙げられる。これらのうち、特に好ましいフェノール性水酸基を有する化合物は、たとえば、Bis−Z、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisRS−2P、BisRS−3P、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−Fである。このフェノール性水酸基を有する化合物を添加することで、得られる樹脂組成物は、露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間で現像が容易になる。
【0074】
フェノール性水酸基を有する化合物の添加量は、ポリマー100重量部に対して、好ましくは1から50重量部であり、さらに好ましくは3から40重量部の範囲である。
【0075】
さらに、必要に応じて上記、感光性樹脂前駆体組成物と基板との塗れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエ−テル類を混合しても良い。また、2酸化ケイ素、2酸化チタンなどの無機粒子、あるいはポリイミドの粉末などを添加することもできる。
【0076】
さらにシリコンウエハーなどの下地基板との接着性を高めるために、シランカップリング剤、チタンキレート剤などを感光性耐熱性樹脂前駆体組成物のワニスに0.5から10重量%添加したり、下地基板をこのような薬液で前処理したりすることもできる。
【0077】
ワニスに添加する場合、メチルメタクリロキシジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、などのシランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤をワニス中のポリマーに対して0.5から10重量%添加する。
【0078】
基板を処理する場合、上記で述べたカップリング剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5から20重量%溶解させた溶液をスピンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などで表面処理をする。場合によっては、その後50℃から300℃までの温度をかけることで、基板と上記カップリング剤との反応を進行させる。
【0079】
次に、本発明の感光性耐熱性前駆体組成物を用いて耐熱性樹脂パターンを形成する方法について説明する。
【0080】
感光性耐熱性前駆体組成物を基板上に塗布する。基板としてはシリコンウエハー、セラミックス類、ガリウムヒ素、ガラス類、ITO基板などが用いられるが、これらに限定されない。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが通常、乾燥後の膜厚が、0.1から150μmになるように塗布される。
【0081】
次に感光性樹脂前駆体組成物を塗布した基板を乾燥して、感光性樹脂前駆体組成物皮膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50度から150度の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。
【0082】
次に、この感光性樹脂前駆体組成物皮膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。
【0083】
耐熱性樹脂のパタ−ンを形成するには、露光後、現像液を用いて露光部を除去することによって達成される。現像液は、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。現像後は水にてリンス処理をする。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしても良い。
【0084】
現像後、200度から500度の温度を加えて耐熱性樹脂皮膜に変換する。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分から5時間実施する。一例としては、130度、200度、350度で各30分づつ熱処理する。あるいは室温より400度まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
【0085】
本発明による感光性樹脂前駆体組成物により形成した耐熱性樹脂皮膜は、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の保護膜、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などの用途に用いられる。
【0086】
【実施例】
以下実施例および技術をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例中の感光性樹脂前駆体組成物の塗布性評価は以下の方法により行った。
【0087】
感光性ポリイミド前駆体膜の作製
6インチシリコンウエハー上に、感光性樹脂前駆体組成物(以下ワニスと呼ぶ)をプリベーク後の膜厚が7μmとなるように塗布し、ついでホットプレート(東京エレクトロン(株)製Mark−7)を用いて、120℃で3分プリベークし、感光性ポリイミド前駆体膜を得た。
【0088】
塗布外観
塗膜作成後、目視でストリエーション、ハジキなど異常がないか検査した。ストリエーションとはウエハー上に放射状のスジが見られる現象で、スピン回転によりワニス中のポリマーが析出した場合に見られる。ハジキはウエハー端部などからワニスが後退してウエハー一面に塗布されない状態である。
【0089】
膜厚の測定方法
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602を使用し、屈折率1.629で測定を行った。測定点は6インチシリコンウエハーの中心からオリフラと平行な方向に1cm間隔で−7cm〜+7cmの計15点とした。膜厚は15点の平均値(μm)であり、最大値と最小値の差をレンジ(μm)とした。膜厚均一性はレンジが小さい方が良好であり、レンジで膜厚均一性を評価した。
【0090】
異物検査方法
4インチシリコンウエハー上にワニスを500rpmで10sec、次いで3000rpmで30secでスピンコートし、90℃、2minでホットプレート上でプリベークした。日立電子エンジニアリング(株)製レーザー表面検査装置LS−5000を用い、0.27μm以上の異物数を測定し、異物の密度(個/cm2)を算出した。
【0091】
重量減少熱分解温度の測定方法
6インチシリコンウエハー上に、得られたワニスをプリベーク後の膜厚が約13μmとなるように塗布し、ついでホットプレート(東京エレクトロン(株)製Mark−7)を用いて、120℃で3分プリベークし、膜を得た。作製された膜を、光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンINH−21CDを用いて、窒素気流下(酸素濃度10ppm以下)、140℃で30分、その後350℃まで1時間で昇温して350℃で1時間熱処理をし、キュア膜を作製した。(株)島津製作所製熱重量測定装置TGA−50を用いてキュア膜15〜20mgを白金セルに入れ、窒素雰囲気下、250℃で30分間保持した後、10℃/minで800℃まで昇温した。250℃30分間保持の重量を初期重量とし、5%重量が減少した時の温度を求めた。
【0092】
合成例1 ヒドロキシル基含有酸無水物の合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)18.3g(0.05モル)とアリルグリシジルエーテル34.2g(0.3モル)をγ−ブチロラクトン(GBL)100gに溶解させ、−15℃に冷却した。ここにGBL50gに溶解させた無水トリメリット酸クロリド22.1g(0.11モル)を反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、トルエン1lに投入して酸無水物(a)を得た。
【0093】
【化15】
【0094】
合成例2 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(b)の合成
BAHF18.3g(0.05モル)をアセトン100ml、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに4−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mlに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色固体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
【0095】
固体30gを300mlのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセルソルブ250mlに分散させ、5%パラジウム−炭素を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、ジアミン化合物(b)を得た。得られた固体をそのまま反応に使用した。
【0096】
【化16】
【0097】
合成例3 ヒドロキシル基含有ジアミン(c)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール15.4g(0.1モル)をアセトン50ml、プロピレンオキシド30g(0.34モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここにイソフタル酸クロリド11.2g(0.055モル)をアセトン60mlに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させた。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。
【0098】
この沈殿をGBL200mlに溶解させて、5%パラジウム−炭素3gを加えて、激しく攪拌した。ここに水素ガスを入れた風船を取り付け、室温で水素ガスの風船がこれ以上縮まない状態になるまで攪拌を続け、さらに2時間水素ガスの風船を取り付けた状態で攪拌した。攪拌終了後、ろ過でパラジウム化合物を除き、溶液をロータリーエバポレーターで半量になるまで濃縮した。ここにエタノールを加えて、再結晶を行い、目的の化合物の結晶を得た。
【0099】
【化17】
【0100】
合成例4 ヒドロキシル基含有ジアミン(d)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール15.4g(0.1モル)をアセトン100ml、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに4−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mlに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させた。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。この後、合成例2と同様にして目的の化合物の結晶を得た。
【0101】
【化18】
【0102】
合成例5 キノンジアジド化合物(e)の合成
乾燥窒素気流下、ビスフェノールE10.7g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.86g(0.1モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン10.12gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、キノンジアジド化合物(e)を得た。
【0103】
【化19】
【0104】
合成例6 キノンジアジド化合物(f)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−SA(商品名、本州化学工業(株)製)、14.6g(0.05モル)と4−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド13.43g(0.05モル)、5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド17.46g(0.065モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン11.64gを用い、合成例5と同様にしてキノンジアジド化合物(f)を得た。
【0105】
【化20】
【0106】
合成例7 キノンジアジド化合物(g)の合成
乾燥窒素気流下、TrisOCR−PA(商品名、本州化学工業(株)製)、24.1g(0.05モル)と4−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド13.43g(0.05モル)、5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド20.15g(0.075モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン12.65gを用い、合成例5と同様にしてキノンジアジド化合物(g)を得た。
【0107】
【化21】
【0108】
合成例8 キノンジアジド化合物(h)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)、21.22g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド29.15g(0.125モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン12.65gを用い、合成例5と同様にしてキノンジアジド化合物(h)を得た。
【0109】
【化22】
【0110】
同様に、各実施例、比較例に使用したフェノール性水酸基を有する化合物および溶剤の構造を下記に示した。
【0111】
【化23】
【0112】
実施例1
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン6.02g(0.025モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gに溶解させた。ここにヒドロキシ基含有酸無水物(a)21.43g(0.03モル)をNMP14gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール7.14g(0.06モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間攪拌した。反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0113】
得られたポリマーの固体10gを計り、ジアセトンアルコール(DAA)15g、GBL15gに溶解させて得られたポリマー溶液に、キノンジアジド化合物(e)2g、フェノール性水酸基を有する化合物としてBis−Z(商品名、本州化学工業(株)製)1gを加えて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスAを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0114】
実施例2
乾燥窒素気流下、ヒドロキシル基含有ジアミン(b)15.11g(0.020モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gに溶解させた。ここにヒドロキシ基含有酸無水物(a)17.86g(0.025モル)をピリジン30gとともに加えて、60℃で6時間反応させた。反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0115】
得られたポリマー固体10gに、ナフトキノンジアジド化合物(f)2g、フェノール性水酸基を有する化合物としてBisP−RS(商品名、本州化学工業(株)製)2g、ビニルトリメトキシシラン1gとをDAA60gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスBを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0116】
実施例3
乾燥窒素気流下、ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(c)17.02g(0.045モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)をNMP50gに溶解させた。ここに3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物7.75g(0.025モル)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物4.41g(0.015モル)をNMP21gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で2時間反応させた。ここに無水マレイン酸0.98g(0.01モル)を加え、50℃で2時間攪拌後、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール14.7g(0.1モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間攪拌した。反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0117】
得られたポリマー固体10gにキノンジアジド化合物(g)1.6g、フェノール性水酸基を有する化合物としてTrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)0.8gとをアセトール9.2g、NMP13.8gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスCを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0118】
実施例4
乾燥窒素気流下、ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(d)6.08g(0.025モル)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.51g(0.0225モル)と1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.62g(0.0025モル)をNMP70gに溶解させた。ヒドロキシル基含有酸無水物(a)22.63g(0.035モル)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物4.41g(0.015モル)を室温でNMP25gとともに加え、そのまま室温で1時間、その後50℃で2時間攪拌した。ついで、グリシジルメチルエーテル17.6g(0.2モル)をNMP10gで希釈した溶液を加え、70℃で6時間攪拌した。反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0119】
得られたポリマー固体10gにキノンジアジド化合物(h)2.5g、フェノール性水酸基を有する化合物としてBIR−PC(商品名、旭有機材工業(株)製)2gとを3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン(HMB)13g、GBL30.5gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスDを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0120】
実施例5
乾燥窒素気流下、BAHF18.3g(0.05モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50g、グリシジルメチルエーテル26.4g(0.3モル)に溶解させ、溶液の温度を−15℃まで冷却した。ここにジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド14.7g(0.050モル)をGBL25gに溶解させた溶液を内部の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、6時間−15℃で攪拌を続けた。反応終了後、溶液を水3lに投入して白色の沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0121】
得られたポリマーの固体10gにナフトキノンジアジド化合物(f)2g、Bis−Z(商品名、本州化学工業(株)製)1gをDAA30g、GBL12gに溶解させて感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物のワニスEを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0122】
実施例6
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物24.82g、s−ブチルアルコール11.86g、トリエチルアミン0.40g、NMP110.03gを仕込み、60℃で24時間攪拌し反応させて、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジs−ブチルエステルを得た。次いで、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニル18.08gを滴下し、1時間反応させて、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジs−ブチルエステルジクロリドの溶液を得た。
【0123】
次いで、攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた0.5リットルのフラスコ中に、NMP47.97gを仕込み、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.33g、3、5−ジアミノ安息香酸7.67gを添加し、攪拌溶解した後、ピリジン24.05gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジs−ブチルエステルジクロリドの溶液を1時間で滴下した後、1時間攪拌を続けた。溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリアミド酸エステルのポリマーを得た。
【0124】
得られたポリマーの固体10gにナフトキノンジアジド化合物(f)2g、Bis−Z 1gをDAA18g、GBL12gに溶解させて感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物のワニスFを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0125】
実施例7
乾燥空気気流下、2リットルの4つ口フラスコにピロメリット酸二無水物52.3g(0.24モル)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物51.5g(0.16モル)、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル62.4g(0.48モル)、エタノール14.7g(0.32モル)、GBL320gを入れ、氷冷下、かきまぜながらピリジン64.2gを加えた。発熱終了後室温まで放冷し16時間放置した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド166gをGBL120gに溶かした溶液を氷冷下、かきまぜながら40分間で加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル74.5g(0.372モル)をGBL150gに懸濁したものを氷冷下、かきまぜながら60分間で加えた。室温で2時間かきまぜた後、エタノール30gを加えて1時間かきまぜ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)250gとテトラヒドロフラン400gを加えた後、沈殿を濾過で除き、得られた反応液を15リットルのエタノールに加え、生成した沈殿を濾別した後、真空乾燥してポリマー粉末を得た。これをDAA15g、NMP15gに溶解させて得られたポリイミド前駆体組成物をワニスGとした。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0126】
実施例8
実施例1のワニスAで用いた溶剤を、3−ヒドロキシシクロペンタノン(HCP)10g、DMAc20gとした他は、実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスHを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0127】
実施例9
実施例3のワニスCで用いた溶剤を、3−ヒドロキシシクロヘキサノン(HCH)15g、GBL15gとした他は、実施例3と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスIを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0128】
実施例10
乾燥窒素気流下、ヒドロキシル基含有ジアミン(b)13.60g(0.018モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.50g(0.002モル)をNMP50gに溶解させた。ここにヒドロキシ基含有酸無水物(a)17.86g(0.025モル)をピリジン30gとともに加えて、60℃で2時間反応させた。次に末端封止剤として4−エチニルアニリン0.59g(0.005モル)を加えさらに60℃で2時間反応させた。反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0129】
得られたポリマー固体10gに、ナフトキノンジアジド化合物(f)2g、フェノール性水酸基を有する化合物としてBisP−RS2g、ビニルトリメトキシシラン1gとをアセトール5g、DAA10g、GBL15gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスJを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0130】
実施例11
実施例10の末端封止剤の4−エチニルアニリン0.59gを3−アミノフェノール0.54g(0.005モル)とし、ワニスJの溶剤をHMB10g、乳酸エチル(EL)5g、NMP15gとした他は、実施例10と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスKを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査を行った。さらに前記のように重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0131】
比較例1
実施例1のワニスAで用いた溶剤を、NMP30gとした他は、実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスLを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0132】
比較例2
実施例2のワニスBで用いた溶剤をGBL60gとした他は、実施例2と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスMを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0133】
比較例3
実施例3のワニスCで用いた溶剤をDMAc2.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20.7gとした他は、実施例3と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスNを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0134】
比較例4
実施例4のワニスDで用いた溶剤をEL30gとした他は、実施例4と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスOを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査、重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0135】
比較例5
メタパラクレゾールノボラック樹脂(仕込みのメタクレゾール/パラクレゾール=55/45重量比、ポリスチレン換算分子量=10,000)90g、2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジドエステル(東洋合成工業(株)製;品名4NT−350)18g、界面活性剤(住友3M(株)製;品名FC−431)0.1gをDAA270gに溶解させてポジ型感光性レジストPを得た。得られたレジストを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性レジスト膜を作製し、塗布ムラを目視で検査し、膜厚測定、異物検査を行った。さらに、プリベーク後膜厚を約3μmとし、キュアを省いた他は、前記のように重量減少熱分解温度の測定を行った。
【0136】
【表1】
【0137】
【発明の効果】
本発明によれば、アルカリ水溶液で現像でき、塗布均一性に優れた感光性樹脂前駆体組成物を得ることができる。
Claims (10)
- (b)感放射線性化合物がキノンジアジド化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の感光性樹脂前駆体組成物。
- 一般式(3)のm、f、pが0であることを特徴とする請求項2記載の感光性樹脂前駆体組成物。
- 一般式(3)のmが2、fが1または2であることを特徴とする請求項2記載の感光性樹脂前駆体組成物。
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