JP2004123784A - 白色ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂を少なくとも1種以上混合してなる微細な気泡を含有する、比重0.7〜1.3のポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルム全体に対し、ポリスチレン系エラストマーを0.1〜20重量%含有することを特徴とするものである。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、白色ポリエステルフィルムに関するものである。更に詳しく述べれば、本発明は、優れた印刷特性、加工性を発現し、柔軟性、クッション性、耐カール、耐折れしわ性に優れる白色ポリエステルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
低比重ポリエステルフィルムは耐水性、吸湿寸法安定性、表面安定性、機械的強度等に優れていることから、これらの長所を活かして、例えば記録材料、印刷材料、包装材料、電子・電気材料などの様々な用途へ展開することが可能である。
【0003】
一般に、ポリエステル系フィルムは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルムと比べ、優れた耐熱性や機械的強度を示すが、剛性が高いためが故の不具合を生じることがある。具体的には、印刷や貼合せあるいはその後所望の形状に加工するなどの工程に適用する場合、あるいはその後の使用において、柔軟性が必要となることがある。特に他素材とラミネートする場合には、様々な環境で、外部応力を吸収するための柔軟性、クッション性が必要となることがある。また一方、各種カード、ラベル用のベースフィルムに用いる際には、優れた平面性やカールが少ないことが要求される。これはカールしたフィルムでは、例えば塗布や印刷、貼合せなどを行う工程で均一な加工ができないばかりか、給紙不良や詰まりなどの搬送性不良、出来上がりの平面性が劣るなどの問題が生じるためである。さらに印刷用途などに適用する際には、優れた耐折れしわ性も要求される。これは各種ロールでの折り返しなど様々な工程を経る際や、最終製品として使用される時に、負荷される外力に対して折曲げの跡やしわが容易に入ってしまうと外観が悪くなるばかりが製品としての品質、特性そのものが低下してしまうためである。
【0004】
これらの課題に対して、従来の技術では、ポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞をフィルム内部に多数含有する空洞含有ポリエステル系フィルムであって、ロール状に保存後のカール値が2mm以下で、かつ無荷重の状態で、(Tg+30)℃で30分間熱処理した後のカール値が0〜5mm以下であることを特徴とする空洞含有ポリエステル系フィルムが開示されており、カールを抑制する手法としては、(1)空洞の体積分率を小さくし、且つ各々の空洞サイズを小さく抑制しすることで、内部歪に耐えてカールの発生を抑制する方法、(2)フィルム厚み方向に空洞に分布を持たせる方法、(3)押し出し時の冷却差によるフィルム厚み方向の結晶化度の差に始まる各工程で付与されるフィルム表裏の構造差に起因するカールを制御するために、積極的にフィルム表裏の構造差を発生させ、必然的な構造差と補完しあってカール値をゼロに近づける方法、などが好適であるとしている(例えば、特許文献1参照)が、抜本的に課題を解決できる具体的手法はなく、また上記の様な多岐に渡る要求をすべて満足するものでもない。この様にかかる要求を高度に満足させることは極めて難しく、反面その様な優れたフィルムが強く要望されているのが実状である。
【0005】
【特許文献1】特開2001−342273号公報
(4頁右下〜5頁左上、段落0047)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、柔軟性とクッション性を維持しつつ、耐カール性、耐折れしわ性に優れた白色ポリエステルフィルムを提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する物である。すなわち、本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂を少なくとも1種以上混合してなる微細な気泡を含有する、比重0.7〜1.3のポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルム全体に対し、ポリスチレン系エラストマーを0.1〜20重量%含有することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり柔軟性とクッション性を維持しつつ、耐カール性、耐折れしわ性に優れた白色ポリエステルフィルムについて、鋭意検討し、ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂を少なくとも1種以上混合してなる微細な気泡を含有する、比重0.7〜1.3のポリエステルフィルムは、柔軟にすぎる傾向があることに着目し、ポリスチレン系エラストマーという特定なエラストマーを少量含有させてみたところ、意外にも、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0009】
かかる白色ポリエステルフィルムであれば、記録材料、印刷材料、包装材料、電子・電気材料などの様々な用途に好適に使用することができるものである。
【0010】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、基本的にポリエステルを主体として構成されている。
【0011】
かかるポリエステルとしては、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であるが、エチレンテレフタレート及び/またはエチレンナフタレート単位を主構成成分とするものが、、さらに、かかるポリエステルの融点としては、210℃〜280℃であることが好ましく、更に好ましくは220〜270℃のものが、耐熱性、製膜性等の点から好ましく使用される。
【0012】
本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートが、強度、耐熱性、耐水性および耐薬品性等に優れているため、特に好ましく用いられる。
【0013】
また、本発明では、フィルムの比重が0.7〜1.3、好ましくは0.8〜1.1であることが必須である。比重が0.7より小さい場合、印刷特性、白色性等は向上するが、フィルム強度の低下、製膜性の悪化を引き起こすことがある。また、比重が1.3を越える場合、クッション性、断熱性、印刷性等が低下したり、フィルムの白色性が不十分となり易いため好ましくない。
【0014】
本発明におけるポリスチレン系エラストマーの含有量は、特に柔軟性、クッション性、耐カール性、耐折れしわ性の上から、さらには耐熱性、製膜性の点から、該フィルム全体に対し0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜5重量%含有されていることが必要である。ポリスチレン系エラストマーの含有量がかかる範囲、特に0.1重量%に満たない場合は、柔軟性、クッション性を維持しながら、耐折れしわ性、耐カール性を向上させるという効果が得られにくくなる。本発明におけるスチレン系エラストマー添加が、上記の様々な効果を発現する理由としては、弾性体としての特性を有するスチレン系エラストマーがポリエステル及び非相溶性樹脂混合体中に製膜を阻害することなく均一に分散し、さらにスチレン系エラストマー自身が、該フィルムの延伸により少なくとも一方向の変形が可能であり、二軸延伸、熱処理後に変形形態が維持され、衝撃吸収機能を効果的に発揮できることによると考えられる。
【0015】
本発明で云うポリスチレン系エラストマーとしては、スチレンを含有するエラストマー、たとえば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー)、SEP(スチレン−エチレン/プロピレンコポリマー)などが使用される。中でもSEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー)が、耐熱性、押出性、製膜安定性、耐折れしわ性の向上効果の上から特に好ましく使用される。
【0016】
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいては、微細な気泡を含有するポリエステル層の少なくとも片面に、ポリエステル層を設けたものが好ましく、特に、両面にポリエステル層を設けたものが好ましく使用される。すなわち、かかる複合構成にすることにより、製膜性の安定化をはかることができる上に、長時間製膜している間に製膜装置と接触する部分(ドラム、ロール、コーターなど)を汚染することがあるが、かかる問題を解消することができるという効果があり、取扱性などの実用性向上、あるいは経時安定性などの点からも、より望ましい効果を奏するものである。
【0017】
また本発明においては、微細な気泡を含有するポリエステル層と積層するポリエステル層の各層に用いられるポリエステルの種類は、同一であっても、異なっていてもよい。なお、微細な気泡を含有するポリエステル層と積層ポリエステル層を積層する方法としては、溶融製膜中の共押出により複合化する方法、あるいはそれぞれ別々に製膜した後、ラミネートする方法のいずれでもよいが、コストなどの点で前者の方法がより好ましい。
【0018】
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいては、10〜500μmの範囲の厚さを有するものが好ましく、より好ましくは20〜300μmの範囲の厚さのものが、製膜性の点からよい。また、かかる白色ポリエステルフィルムを、さらに積層フィルム構造にしたい場合、その積層フィルム層の各層の厚みは、フィルム比重を0.7〜1.3の範囲内に制御し、かつ安定な製膜を維持する点から、好ましくは1〜50μm、より好ましくは2〜30μmの範囲とするものである。
【0019】
かかる積層構造とする場合には、ハンドリング性、白色性付与の点から該積層ポリエステル層が粒子を含有していることが好ましい。
【0020】
本発明のポリエステルには特性を損ねない範囲で他の共重合成分を含有しても良く、ジカルボン酸成分としては、例えば、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、エイコ酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマ−酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能酸等を挙げることができる。一方、グリコ−ル成分としては、例えば、プロパンジオ−ル、ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。さらに、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルを共重合しても良い。特にグリコール成分としてジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルを適量含有することにより、ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂を含有せしめる際に微分散化効果を発現し、さらに、帯電防止性と画像耐久性を付与するために塗布層を設ける際にその効果を向上させ、加工適性を向上させる点等から好ましく使用される。
【0021】
なお、これらのジカルボン酸成分、グリコ−ル成分は2種以上を併用してもよく、2種以上のポリエステルをブレンドして使用しても良い。さらに、このポリエステルの中には、必要に応じて、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、有機の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
【0022】
ポリエステルフィルム中に微細な気泡を含有せしめる方法としては、(1) ポリエステルに発泡剤を含有せしめ、押出や製膜時の加熱により発泡、あるいは化学的分解により発泡させて気泡を形成する方法、(2) ポリエステルの押出時にガスまたは気化可能物質を添加する方法、(3) ポリエステルに該ポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂(非相溶樹脂)を添加し、それを一軸または二軸延伸することにより微細な気泡を発生させる方法、(4) 前記の非相溶樹脂の代わりに気泡形成性の無機系微粒子を多量添加する方法等が一般に用いられる。本発明の目的の範囲内であれば、いずかの方法を併用してもよいが、製膜性、内部に含有せしめる気泡の量の調整し易さ、より微細で均一な大きさの気泡の形成し易さ、さらに軽量性などの総合的な点から、上記(3)の非相溶樹脂の使用が必要である。
【0023】
本発明における微細な気泡とは、フィルム自身に断熱性やクッション性を付与せしめることに寄与することができるものであり、なかでもポリエステル中に含有させた該非相溶樹脂を核として生成されたものが好ましく使用される。さらに、低比重性、製膜性、耐折れしわ性の点から断面(厚み方向)を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)などによって観察したとき、気泡部分の断面積(ただし、気泡生成の核となる非相溶樹脂部分は除く)の平均値が1〜25μm2であるものが好ましく、より好ましくは1.5〜20μm2、さらに2〜15μm2であることが好ましい。
【0024】
本発明でいう非相溶樹脂とは、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂であって、かつ該ポリエステルに対して非相溶性を示す熱可塑性樹脂であり、ポリエステル中では粒子状に分散し、延伸によりフィルム中に気泡を形成せしめる効果が大きい樹脂が好ましい。より具体的に述べれば、非相溶樹脂とは、ポリエステルと上記非相溶樹脂とを溶融した系を、公知の方法、好ましくは、示差走査熱量計(DSC)、動的粘弾性測定等で測定した場合に、ポリエステルに相当するガラス転移温度(以降、Tgと省略する)以外に該非相溶樹脂に相当するTgが観察される樹脂である。
【0025】
このような非相溶樹脂の融点は、ポリエステルの融点よりも低温であって、かつ製膜時にフィルムを熱固定して配向させる際の温度(熱処理温度)よりも高温であることが好ましい。かかる点から該非相溶樹脂の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらの非相溶樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶樹脂を併用してもよい。これらの中でも、臨界表面張力の小さなポリプロピレン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィン樹脂が好ましく、さらにはポリメチルペンテンが最も好ましく使用される。該ポリメチルペンテンは相対的にポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、添加量当たりの気泡形成の効果が大きいという特徴があり、非相溶樹脂として特に好ましいものである。
【0026】
ポリエステル中の非相溶樹脂の含有量は、1〜35重量%が好ましく、より好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは3〜25重量%の範囲内である。添加量が上記範囲より少ない場合には、フィルムの白色性や隠蔽性などを向上させることが難しく、逆に添加量が上記範囲より多い場合には、延伸時にフィルム破れ等が生じやすくなって、生産性が低下する場合がある。
【0027】
また本発明において、非相溶樹脂の分散径を小さくすると、延伸により発生する気泡をより微細化することができ、結果的にフィルムの白色性や製膜性を向上させることができるので、前述したポリエステルと非相溶樹脂の他に、さらに分散剤を添加することが、より好ましい結果を与える。かかる分散剤としては、カルボキシル基やエポキシ基等の極性基やポリエステルと反応性のある官能基をもったオレフィン系の重合体または共重合体や、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、界面活性剤、熱接着性樹脂等を用いることができる。もちろん、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
【0028】
かかる分散剤は、あらかじめ重合反応において、分散剤を共重合化したポリエステルとして使用しても、直接そのまま使用してもよい。
【0029】
本発明における分散剤の添加量は、0.05〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜7重量%、さらに好ましくは0.2〜5重量%である。添加量が0.05重量%より少ない場合、気泡を微細化する効果が小さくなることがある。また、添加量が10重量%より多い場合には、逆に、非相溶樹脂を添加する効果が小さくなり、白色性の低下やコスト上昇などの問題が発生しやすい。
【0030】
また、本発明においてはポリエステルに酸化防止剤を、好ましくは0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%含有せしめることにより一層安定したポリマー押出、製膜を行うことが可能となる。酸化防止剤としては特にヒンダードフェノール系の酸化防止剤が分散性の点から好ましい。
【0031】
本発明で微細な気泡を含有するポリエステル層を構成するポリエステルにポリスチレン系エラストマーを含有させる方法は特に限定されないが、例えばポリエステルにポリスチレン系エラストマーを配合・添加する方法等により得られる。具体的にはポリエステルとポリスチレン系エラストマーとを直接、あるいは予めブレンダー、ミキサーなどで混合した後、通常あるいはベント式の一軸、二軸押出機を用いて溶融混練する方法、架橋剤とポリスチレン系エラストマーをポリエステルに溶融混練する方法あるいはポリエステルフィルムを製造する際に、ポリエステルとポリスチレン系エラストマーを配合し、溶融押出する方法等を挙げることができる。また非相溶性樹脂と併せてスチレン系エラストマーをポリエステルに配合・添加しても良い。
【0032】
本発明において、各ポリエステル層に使用する粒子は、気泡形成性を有していても、有していなくてもよく、粒子の種類としては無機粒子、有機粒子、有機/無機複合粒子等を使用できる。ここで無機粒子としては例えば湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウムおよびフッ化カルシウム等を例示することができる。
【0033】
また、本発明で使用する粒子は、ポリエステル中での平均粒子径が0.05〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。粒子の平均粒子径が上記範囲外である場合、凝集などによる無機系微粒子の均一分散性不良、あるいは粒子自身によってフィルム表面の光沢または平滑性が低下する場合があるので好ましくない。
【0034】
また各ポリエステル層中における粒子の添加量は、1〜35重量%が好ましく、より好ましくは2〜30重量%、さらには3〜25重量%の範囲にあることが最も好ましい。添加量が上記範囲より少ない場合には、ハンドリング性、加工性、フィルムの白色性、隠蔽性(光学濃度)などの特性を向上させることが難しく、逆に、添加量が上記範囲より多い場合には平滑性が低下しやすくなるなるだけでなく、延伸時にフィルム破れや後加工の際に粉発生等の不都合を生じる場合がある。これらの点から使用する無機粒子としては酸化チタン、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、珪酸アルミが特に好適であるが、中でも炭酸カルシウムが好ましい。
【0035】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、製膜工程中あるいは製膜後に特性を損なわない範囲で塗布を施してもよい。
【0036】
本発明では、より高度な白色性を与えるためにポリエステル中に蛍光増白剤を含有せしめることができる。蛍光増白剤とは、太陽光中や人工光中の紫外線を吸収し、これを紫〜青色の可視光線に変え輻射する機能を保持し、その蛍光作用により高分子物質の明度を低下させることなく白色性を助長させる化合物である。蛍光増白剤としては、商品名“ユビテック”(チバガイギー社)、“OB−1”(イーストマン社)、“TBO”(住友精化(株))、“ケイコール”(日本曹達(株))、“カヤライト”(日本化薬(株))、“リューコプア”EGM(クライアントジャパン(株))等を用いることができる。蛍光増白剤は、特に限定されるものではなく、単独、場合によっては2種以上の併用であってもよいが、本発明では、特に耐熱性に優れ、前述のポリエステルとの相溶性がよく均一分散できると共に、着色が少なく樹脂に悪影響を及ぼさない蛍光増白剤の選択が望ましい。
【0037】
ポリエステル層中における蛍光増白剤の含有量は、0.01〜1.5重量%が好ましく、より好ましくは0.03〜1重量%、さらには0.05〜0.5重量%の範囲にあることが最も好ましい。蛍光増白剤の含有量が上記範囲より少ないと十分な増白効果が得にくく、上記範囲を超える場合には均一分散性の低下や蛍光増白剤自身の着色により、かえって白色性や耐光性が低下しやすい等の問題がある。
【0038】
また、本発明の白色ポリエステルフィルムをシート基材として用いる際には、単独で用いても、他の素材と貼合わせて用いてもよいが、紙と貼合せて用いることが好ましい。貼合せの素材としては、例えば普通紙、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、樹脂含浸紙、エマルジョン含浸紙、ラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、グラシン紙、ラミネート紙などの紙、合成紙、不織布、あるいは他種フィルム等を用いることができる。ただし、本発明の白色積層ポリエステルフィルムを他の素材と貼合わせる場合、受容層を設ける面と反対側の面に貼合わせることが好ましい。
【0039】
本発明の白色ポリエステルフィルムの白色性としては、白色度が70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらには90%以上が最も好ましい。白色度が70%未満の場合、白色性が不十分であるため印刷後に暗い印象となりやすいため好ましくない。
【0040】
また隠蔽性については光学濃度が0.5以上であることが好ましく、より好ましくは0.55以上である。光学濃度をこの範囲に制御することで、貼合せ基材の影響を解消することができる。
【0041】
一方、色調b値は2以下であることが好ましく、より好ましくは1以下、さらには0以下であることが最も好ましい。色調b値が2より大きい場合、耐光性を満たしていてもフィルム自体が黄味がかった色であるため印字画像が古びた印象となりやすく、好ましくない。
【0042】
また本発明においては200℃で30秒緊張熱処理した後のフィルム比重の増加率が5%以下であることが好ましく、特に3%以下であることが好ましい。これは特に種々の加工を想定した場合、加工後に安定した特性を発現させるために重要な指標となることを見出したことから導き出したものであり、フィルムを構成するポリエステル、非相溶性樹脂の融点が210℃以上であること、製膜時の熱処理の最高温度を185℃以上とし、該温度で熱処理した後、140〜190℃での熱処理を巾方向に1〜10%弛緩処理しながら行うこと等が有効である。
【0043】
発明のポリエステルフイルムには、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、耐候剤、紫外線吸収剤などの添加剤を本発明の目的を損なわない程度において用いることができる。また、コロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ処理などの表面処理を必要に応じて施してもよい。さらに、本発明のフイルムに易接着処理剤、帯電防止剤離型剤、粘着剤、接着剤、難燃剤、紫外線吸収剤、顔料、染料などのコーティングや印刷を行なってもよく、その目的、方法については上記に限定されない。
【0044】
次に、本発明の白色積層ポリエステルフィルムの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではない。
【0045】
押出機(A)と押出機(B)を有する複合製膜装置において、ポリエステル層(B)を形成するため、真空乾燥した無機粒子を含有するポリエステルのチップとスチレン系エラストマー含有ポリエステルのチップ、非相溶樹脂含有のポリエステルチップとを、スチレン系エラストマーが2重量%、非相溶樹脂が5重量%となるように混合し、これを260〜300℃に加熱された押出機(B)に供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入する。この原料には、必要に応じて分散剤を0.05〜10重量%添加してもよい。一方、ポリエステル層(A)を積層するため、ポリエステルのチップおよび無機系微粒子のマスターチップを、無機系微粒子が5重量%となるよう混合し、充分に真空乾燥する。この原料には、必要に応じて蛍光増白剤を添加せしめてもよい。次に、この乾燥原料を、260〜300℃に加熱された押出機(A)に供給し、同様に溶融してTダイ複合口金内に導入し、押出機(A)のポリマーが押出機(B)のポリマーの表層(片面)あるいは両表層(両面)にくるように積層してシート状に共押出成形し、溶融積層シートを得る。
【0046】
この溶融積層シートを、表面温度20℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸積層フィルムを70〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。
【0047】
続いて、長手方向に延伸したフィルムのポリエステル層(A)側にコロナ放電処理を施した後、該処理面に塗布層形成塗液を塗布する。この塗布層形成塗液を塗布されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜150℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に2〜5倍に延伸する。
【0048】
延伸倍率は、縦、横それぞれ2〜5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面積倍率が6倍未満であると得られるフィルムの白色性やフィルム強度が不十分となり、逆に面積倍率が20倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
【0049】
このようにして得られた二軸延伸積層フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150〜240℃で1〜30秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取ることにより、本発明の白色積層ポリエステルフィルムを得ることができる。なお、上記熱処理工程中では、必要に応じて横方向あるいは縦方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。また、二軸延伸は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また二軸延伸後に縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。
【0050】
このようにして得られた本発明の白色ポリエステルフィルムは、優れた柔軟性、クッション性を維持しながら、耐カール性、耐折れしわ性、耐熱性を発現することができる。
【0051】
従って、本発明の白色ポリエステルフィルムは、記録材料、印刷材料、包装材料、電子・電気材料などの様々な用途に好適に使用することができる。
【0052】
[特性の測定方法および評価方法]
本発明の特性値は、次の評価方法、評価基準により求められる。
【0053】
(1)フィルム内部の微細な気泡およびポリエステル層の厚み
フィルムの断面を、走査型電子顕微鏡S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて500〜5,000倍に拡大観察して撮影した断面写真より、微細な気泡の含有の有無を調べた。気泡含有の有無の判定は、断面写真の気泡部分の平均断面積を真円に換算したときの平均値として求めたとき1μm2以上ならば「気泡有り」、1μm2未満ならば「気泡無し」とした。ただし、2個以上の互いに隣接した気泡同士が連結している場合には、一つの気泡として計算した。また、断面写真より各ポリエステル層の厚み方向の長さを計測し、拡大倍率から逆算して各層の厚みを求めた。なお、気泡部分の断面積、各ポリエステル層の厚みを求めるに当たっては、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真を使用し、その平均値として算出した。
【0054】
(2)比重
フィルムを50mm×60mmの大きさにカットして得た試料サンプルを、高精度電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用い、JIS K−7112のA法(水中置換法)に準じて測定した。なお、測定は温度23℃、相対湿度65%の条件下にて行なった。
【0055】
またフィルムを四辺を枠貼りして固定し、200℃で30秒熱処理した後の比重を上記同様に測定し、比重の増加率を計算した。
【0056】
(3)クッション率
ダイヤルゲージ(三豊製作所社製)に標準測定子(No.900030)を取り付け、ダイヤルゲージスタンド(No.7001DGS−M)に設置する。ダイヤルゲージ押え部分に30gと300gの荷重をかけた時のそれぞれのフイルムの厚みをd30,d300 とすると、クッション率(%)=(d30−d300 )/d30とする。
【0057】
(4)柔軟性(弾性率、破断伸度)
弾性率、破断伸度についてASTM−D−882−81(A法)に準じて測定し、長手方向と幅方向の平均値を算出した。
【0058】
(5)耐カール性
本発明の白色ポリエステルフィルムと厚さ100μmの上質紙とを接着剤で貼り合わせ120℃で乾燥後、白色ポリエステルフィルム上に以下の受容層形成塗液をグラビアコーターにて塗布した後、140℃で1分間乾燥し、受容層の厚みが3μmであるシートを得た。該シートを100mm四方に切り出し、その平面に静置させた際にカールにより浮いた最大箇所の高さを求め、下記の通り判定し、B級以上を合格とした。
【0059】
A:0〜2.5mm
B:2.5〜5mm
C:5mmを越える
[受容層形成塗液]
ウレタン変性ポリエチレン水分散体(ウレタン変性比率=20重量%、アンモニア水溶液中で加熱することにより乳化させ、水分散体としたもの)を水で希釈し、固形分濃度を5%としたものである。
【0060】
(6)耐折れじわ性
白色積層ポリエステルフィルムの非塗布面(受容層形成面と反対面)に厚さ65μmの粘着剤付き上質紙(コクヨ(株)ワープロ用ラベルシート、タイ−2110−W)に均一に貼り合わせ、折れじわ評価用のシートを作製した。該シートを長さ200mm、幅15mmに切り出し、一端を固定し、200gの重りをワイヤーにて両サイドに繋げた直径5mmの鉄の円芯を軸にフィルム面を内側にして180度折り返しながら残る一端を200mm/秒で引張し、フィルム面上のしわの発生状態を実体顕微鏡で観察し、以下のように判定した。
【0061】
A級:しわの発生が0〜2個/cm
B級:しわの発生が3〜5個/cm
C級:しわの発生が6〜8個/cm
D級:しわの発生が9個以上/cm
とした。A級、B級が実用に供するものである。
【0062】
(7)印刷性
本発明の白色積層ポリエステルフィルムの塗布面に以下の受容層形成塗液をマイクログラビアコーターにて塗工量が乾燥時で4g/m2となるように塗布し、感熱転写記録用の受容シートを得た。
[受容層形成塗液]
ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、バイロン200) 20部
シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、X−22−3000T) 2部
トルエン 39部
メチルエチルケトン 39部
次にカラープリンターとして「Professional Color Point 1835」(セイコー電子工業(株)製)を用い、専用のインキリボンを用いて、該受容シートの受容層形成面にテスト印字を行い、下記により判定した。
【0063】
A級:きれいであり良好。
【0064】
B級:僅かに「欠け」が見られるものの、おおむねきれいであり良好。
【0065】
C級:「欠け」や「つぶれ」が見られものがある。
【0066】
【実施例】
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
押出機(A)と押出機(B)を有する複合製膜装置において、ポリエステル層(A)を形成するため、平均粒子径0.23μmのルチル型酸化チタン粒子を5重量%含有するポリエチレンテレフタレート(融点256℃:以降PETと省略する)を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)側に供給し、常法により280℃で溶融してTダイ複合口金に導入した。
【0068】
一方、ポリエステル層(B)を形成するため、PETにポリメチルペンテン(融点235℃:以降PMPと省略する)を8重量%、さらに分散剤として分子量4,000のポリエチレングリコール(以降、PEGと省略する)を5重量%含有する共重合PETをPEGがポリエステル(B)層を構成する樹脂全体に対し1重量%となるように添加し、ポリスチレン系エラストマーとしてSEBS(旭化成(株)製タフテックH1062)を2重量%、ヒンダードフェノ−ル系酸化防止剤を0.1重量%添加したものを180℃で3時間真空乾燥した後に、押出機(B)側に供給し、常法により280℃で溶融して同様にTダイ複合口金に導入した。次いで、該口金内でポリエステル層(A)がポリエステル層(B)の両表層に積層されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとした。そして、該溶融積層シートを、表面温度30℃に保たれたドラム上に静電荷法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い80℃に加熱したロール群で予熱した後、90℃の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に1.5倍微延伸した後、2.2倍本延伸を行い、25℃のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。この一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の100℃のゾーンに導き予熱した後、連続的に115℃の加熱ゾーンで長手方向に垂直な方向(横方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで220℃の熱処理を施し、さらに188℃で2%横方向に弛緩処理を行った後、更に140℃で1%弛緩処理を行い、次いで均一に徐冷後に巻き取って、ポリエステル層(A)が片側3.5μm、ポリエステル層(B)が43μmの構成とした厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。また該白色ポリエステルフィルムの断面をSEMにて拡大観察することにより、ポリエステル層(B)の内部に微細な気泡を含有していることを確認した。この微細な気泡は、粒子状に分散せしめられたPMPを核として、その周囲に形成されており、長径が延伸方向、短径がフィルム厚み方向の楕円形であって、断面積の平均値は5μm2であった。
【0069】
かくして得られた白色ポリエステルフィルムの特性は、表1のとおりであって、良好な特性を発現することが分かる。
【0070】
(実施例2)
ポリスチレン系エラストマーとしてSEBS(旭化成(株)製タフテックH1062)を5重量%とする以外は実施例1と同様にして白色ポリエステルフィルムを得た。かくして得られた白色ポリエステルフィルムの特性は、表1のとおりであって、優れた特性を発現することが分かる。
【0071】
(実施例3)
ポリスチレン系エラストマーとしてSEBS(旭化成(株)製タフテックH1041)を10重量%とする以外は実施例1と同様にして白色ポリエステルフィルムを得た。かくして得られた白色ポリエステルフィルムの特性は、表1のとおりであって、優れた特性を発現することが分かる。
【0072】
(実施例4)
ポリスチレン系エラストマーとしてSBS(旭化成(株)製タフプレン315)を2重量%とする以外は実施例1と同様にして白色ポリエステルフィルムを得た。かくして得られた白色ポリエステルフィルムの特性は、表1のとおりであって、実施例1と比較すると若干特性は低下するが、良好な特性を発現することが分かる。
【0073】
(比較例1)
押出機(A)と押出機(B)を有する複合製膜装置において、ポリエステル層(A)を形成するため、平均粒子径0.23μmのルチル型酸化チタン粒子を5重量%含有するポリエチレンテレフタレート(融点256℃:以降PETと省略する)を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)側に供給し、常法により280℃で溶融してTダイ複合口金に導入した。
【0074】
一方、ポリエステル層(B)を形成するため、PETにポリメチルペンテン(融点235℃:以降PMPと省略する)を8重量%、さらに分散剤として分子量4,000のポリエチレングリコール(以降、PEGと省略する)を5重量%含有する共重合PETをPEGがポリエステル(B)層を構成する樹脂全体に対し1重量%となるように添加し、たものを180℃で3時間真空乾燥した後に、押出機(B)側に供給し、常法により280℃で溶融して同様にTダイ複合口金に導入した。次いで、該口金内でポリエステル層(A)がポリエステル層(B)の両表層に積層されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとした。そして、該溶融積層シートを、表面温度30℃に保たれたドラム上に静電荷法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い80℃に加熱したロール群で予熱した後、88℃の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.5倍本延伸を行い、25℃のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。この一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の100℃のゾーンに導き予熱した後、連続的に115℃の加熱ゾーンで長手方向に垂直な方向(横方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで190℃の熱処理を施した後、150℃で3%弛緩処理を行い、次いで均一に徐冷後に巻き取って、ポリエステル層(A)が片側3.5μm、ポリエステル層(B)が43μmの構成とした厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。また該白色ポリエステルフィルムの断面をSEMにて拡大観察することにより、ポリエステル層(B)の内部に微細な気泡を含有していることを確認した。この微細な気泡は、粒子状に分散せしめられたPMPを核として、その周囲に形成されており、長径が延伸方向、短径がフィルム厚み方向の楕円形であって、断面積の平均値は4.6μm2であった。
【0075】
かくして得られた白色ポリエステルフィルムの特性は、表1のとおりであって、総合的な特性を満足することができないことが分かる。
【0076】
【表1】
【0077】
表1から明らかなように、実施例1〜4のものは、比較例のものに比して、いずれも優れた耐カール性、耐折れしわ性を示すことが分かる。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた柔軟性、クッション性、耐カール性、耐折れしわ性、耐熱性を発現する白色ポリエステルフィルムを提供することができるので、記録材料、印刷材料、包装材料、電子・電気材料などの様々な用途用の素材として好適に使用することができる。
Claims (4)
- ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂を少なくとも1種以上混合してなる微細な気泡を含有する、比重0.7〜1.3のポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルム全体に対し、ポリスチレン系エラストマーを0.1〜20重量%含有することを特徴とする白色ポリエステルフィルム。
- 該ポリエステルフィルムが、2軸延伸・熱処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の白色ポリエステルフィルム。
- 該ポリスチレン系エラストマーが、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー(SEBS)であることを特徴とする請求項1または2に記載の白色ポリエステルフィルム。
- 該白色ポリエステルフィルムが、少なくとも片面にポリエステル層を設けてなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の白色ポリエステルフィルム。
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