JP3761008B2 - 熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムおよび熱転写受像シート - Google Patents

熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムおよび熱転写受像シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムおよび熱転写受像シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の熱転写受像シートとしては、天然紙もしくは天然紙の表面に記録層を形成したものが知られている。しかしこの方法では、表面平滑性が不十分なものしか得られない。これに対し、受像シートの平滑性を向上させるため、薄手のポリプロピレン系合成紙と天然紙とを貼り合わせたものや、厚手のポリプロピレン系合成紙を基材として用い、これらの表面に記録層を設けたものが広く用いられている。これは、ポリプロピレン系合成紙では、天然紙では得られない表面平滑性を有しており、かつ適度なクッション性も併せ持っているからである。そして、適度なクッション性を有していることにより、熱転写時の加熱ヘッド/転写リボン/受像シート間で均一かつ十分な接触ができるようになり、均一かつ高濃度の印刷物が得られるようになる。しかし、ポリプロピレン系合成紙を基材として用いた場合には、ポリプロピレン系合成紙が極めて塑性変形しやすく、かつ可撓性に乏しいため、受像紙を軽くたわませただけで表面に折れシワが入り、印刷物の品位を著しく損なってしまうという重大な欠点があった。
【0003】
これに対し、ポリプロピレン系合成紙の代わりにポリエステル系空洞含有フィルムを用いる方法も提案されている。しかし、ポリエステル系空洞含有フィルムは、一般にポリプロピレン系合成紙よりも剛性が大きく、クッション性が不十分である。従って、ポリエステル系空洞含有フィルムを用いてポリプロピレン系合成紙を用いた場合と同等の画像濃度を得るためには、クッション性を確保するために空洞含有率をポリプロピレン系合成紙の空洞含有率より高めなければならない。その結果、空洞の大きさが著しく大きくなって、表面の平滑性が損なわれたり、表面に容易に折れシワが生じやすくなるという本末転倒の結果となってしまう。更に、空洞含有率を大きくした場合には、製造安定性が著しく不良となるため、工業スケールで安定してこれを製造する事は極めて困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の欠点すなわち、表面平滑性に優れ、十分な画像濃度が得られ、かつ耐折れシワ性に優れた受像シートが得られないという問題を解決せんとするものである。
【0005】
ポリエステルに該ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂を少なくとも1種以上混合した重合体混合物を2軸延伸・熱処理することによって得られる見かけ比重が0.7〜1.3の微細空洞含有ポリエステル系フィルムであって、前記微細空洞含有ポリエステル系フィルムは、微細空洞含有層(A層)の少なくとも片面に無機微粒子を20〜60重量%含有するポリエステル層(B層)が接合されてなり、B層の厚みが1〜20μmで、かつフィルム全体厚みの30%未満であり、かつ前記のポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、環状オレフィン−エチレン共重合体系樹脂あることを特徴とする熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムである。
【0006】
本発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる方法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造することができる。かかるポリエステルの代表例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2、6−ナフタレートなどが挙げられる。このポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであっても良い。いずれにしても本発明においては、エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位あるいはエチレン−2、6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。
【0007】
本発明の微細空洞含有層(A層)に用いられるポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂はポリスチレン系樹脂;ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、環状オレフィン−エチレン共重合体系樹脂から選ばれるポリオレフィン系樹脂ポリアクリル系樹脂ポリカーボネート樹脂ポリスルホン系樹脂セルロース系樹脂あげられる。特にポリスチレン系樹脂あるいはポリメチルペンテン、ポリプロピレン、環状オレフィン−エチレン共重合体系樹脂から選ばれるポリオレフィン系樹脂好んで用いられる。
【0008】
ただし、A層中に含まれるポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂としてより好ましいものとしては、例えば以下のものが挙げられる。すなわち、ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂として少なくともポリスチレン系樹脂および環状オレフィン−エチレン共重合体系樹脂を含み、ポリスチレン系樹脂と環状オレフィン−エチレン共重合体系樹脂との混合割合が2対8〜8対2体積比である場合、およびポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂として少なくともポリスチレン系樹脂および環状オレフィン−エチレン共重合体系樹脂およびそれ以外のポリオレフィン系樹脂(C)を含み、ポリスチレン系樹脂と環状オレフィン−エチレン共重合体系樹脂との混合割合が2対8〜8対2体積比であり、かつポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂(C)との混合割合が2対8〜8対2体積比である場合があげられる。そして、これらの樹脂組成を満足することにより、良好な耐折れシワ性を維持しつつ、微細空洞含有率を高めてクッション性を向上させることが可能となる。つまり、より高度なレベルで、本発明の効果すなわち表面平滑性、画像濃度、耐折れシワ性を得る事が可能となるのである。
【0009】
そして、上記の構成比率よりもポリスチレン系樹脂の比率が大きい場合には、フィルムのクッション性が不十分となり、十分な画像濃度を得ることが困難となる。逆に、上記の構成比率よりもポリスチレン系樹脂の比率が小さい場合には、耐折れシワ性が不十分なものとなりやすく、また表面平滑性も損なわれる傾向にある。
【0010】
また、上記のポリオレフィン系樹脂(C)例えばポリプロピレンあるいはポリメチルペンテン等の樹脂を併用添加した場合には、フィルムの製造工程でのハンドリング性の向上効果が得られる。そのため、工業的に本発明の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムを安定して製造するためには、上記のポリオレフィン系樹脂(C)の併用添加が好ましい。
【0011】
これらの非相溶樹脂のポリエステルに対する混合量は、目的とする空洞の量によって異なってくるが、全体に対して6重量%〜30重量%が好ましく、特に8〜20重量%が好ましい。6重量%未満では、空洞の生成量を多くすることに限界があり、目的の画像濃度が得られない。逆に、30重量%以上では、フィルムの延伸性が著しく損なわれ、また耐熱性や強度、腰の強さが損なわれるため好ましくない。
【0012】
また、フィルム中には、隠蔽性等を向上させるため、ポリエステル中あるいは非相溶樹脂中に無機または有機の粒子を必要に応じて添加してもよい。添加可能な粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼイライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、有機白色顔料等が例示されるが特に限定されるものではない。
【0013】
本発明の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムは、フィルム全体として、見掛け比重が 0.7〜1.3 の範囲であることを要する。そして、見かけ比重が1.3 を超える場合にはそのクッション性が不十分となり、熱転写印刷時に十分な画像濃度が得られない。逆に見かけ比重が0.7 に満たない場合には、十分な画像濃度は得られるものの、表面に容易に折れシワが入るようになり、また表面平滑性も損なわれる。
【0014】
本発明の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムは、微細空洞含有層(A層)の少なくとも片面に無機微粒子を20〜60重量%含有するポリエステル層(B層)が接合されていることを要する。これは、本発明の最も重要な用件である。すなわち、従来技術においては、微細空洞含有層の表面にポリエステル層を形成した場合には、熱転写印刷時の画像濃度が低下する事はあっても向上することはないというのが一般的な認識であった。ところが、本発明らは、B層中に無機微粒子を20〜60重量%含有させることにより、通常では考えられない効果、すなわち熱転写印刷時の画像濃度が著しく向上するという事実を見出し、本発明に至ったものである。本発明では、このB層の効果により、熱転写受像シート表面に折れシワを生じさせない範囲のクッション性で、十分な熱転写印刷時の画像濃度が得られるのである。
【0015】
そして、熱転写印刷時の画像濃度を有意に向上させて本発明の目的を達成するためには、B層中に含まれる無機微粒子の濃度は、20重量%以上でなければならない。これは、B層中に含まれる無機微粒子濃度が20重量%に満たない場合には、熱転写印刷時の画像濃度の向上効果は乏しくなるからである。一方、B層をフィルム表面に均一に形成し、安定した画像濃度の向上効果を得る点から、B層中に含まれる無機微粒子の濃度の上限は60重量%以下である。無機微粒子の濃度が60重量%を超えた場合には、樹脂の流動特性が著しく変化し、B層を微細空洞含有層に均一に接合することが困難となる。
【0016】
また、B層の厚みは、1〜20μmかつフィルム全体厚みの30%未満であることを要する。B層の厚みが1μmに満たない場合には、フィルム表面積あたりの無機微粒子濃度のバラツキが大きくなるため、画像濃度にムラが生じ、印刷物がザラついた印象を与える。すなわち、均一な画像濃度の向上効果を得る事が出来なくなる。一方、B層厚みが20μmを超える場合には、微細空洞含有層のクッション効果がB層表面まで到達せず、熱転写印刷時の画像濃度の向上を達成することが出来ない。同様に、B層の厚みがフィルム全体厚みの30%を超える場合にも、フィルム全体のクッション性が不十分なものとなり、熱転写印刷時の画像濃度の向上を達成することが出来ない。
【0017】
本発明のB層中に添加される無機微粒子は、特に制限されるものではなく任意である。添加可能な無機微粒子としては、例えば二酸化チタンや炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、二酸化珪素、酸化アルミニウム、タルク、カオリンなどが挙げられる。またこれらの無機粒子は必要に応じて表面処理をしても構わない。その処理剤としては酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化亜鉛、シリコン系樹脂、シロキサン系樹脂、フッ素系樹脂、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤、ポリオールやポリビニルピリジンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
中でも、好ましい粒子としては、二酸化チタンがあげられる。用いられる二酸化チタンとしては、ルチル型、アナタース型いずれでもよく、また前記の表面処理を施したものでもよい。二酸化チタン微粒子が好ましい理由としては、フィルム表面に効果的に白色度と光沢を付与できるためである。
【0019】
他の好ましい粒子としては、硫化亜鉛があげられる。この場合も、前記の表面処理を施したものでもよい。硫化亜鉛微粒子が好ましい理由としては、やはりフィルム表面に効果的に白色度と光沢を付与できるためである。
【0020】
また、A層およびB層には、必要に応じて着色剤、耐光剤、蛍光剤、帯電防止剤などを添加することも可能である。
【0021】
本発明の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えば以下のようにして製造することが出来る。
【0022】
まず、A層とB層とを接合する方法としては、例えば、共押出法、ラミネート法、コーティング法等が挙げられる。そのなかでも、A層とB層の樹脂を別々の押出機に供給した後、溶融状態で積層して同一のダイから押し出す共押出法が最も好ましい。
【0023】
こうして得られた未延伸シートは、更に速度差をもったロール間での延伸(ロール延伸)やクリップに把持して拡げていくことによる延伸(テンター延伸)や空気圧によって拡げることによる延伸(インフレーション延伸)などによって2軸配向処理される。配向処理することにより、ポリエステルと非相溶性樹脂との界面で剥離が生じ、微細空洞が多数発現する。
【0024】
未延伸シートを延伸・配向処理する条件は、空洞の生成と密接に関係する。以下では、最も好んで用いられる逐次2軸延伸方法、特に未延伸シートを長手方向次いで幅方向に延伸する方法を例にとり、延伸・配向条件を説明する。まず、第1段の縦延伸工程では、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。ただし、非相溶性樹脂界面に空洞を多数発現させるためには、延伸温度をポリエステルの2次転移温度Tg+50℃以下で、3〜5倍に延伸する。次いで1軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方向にポリエステルの融点Tm−10℃以下の温度で、2.5 〜5倍に延伸する。
【0025】
このようにして得られた2軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター中で行うのが好ましく、ポリエステルの融点Tm−50℃〜Tmの範囲で行うのが好ましい。
【0026】
また、本発明の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムは、少なくともそのいずれか一方の表面に塗布層を有していても構わない。そして、塗布層を設けることにより、インキやコーティング剤などの塗れ性や接着性を改良することができる。塗布層を構成する化合物としては、ポリエステル系樹脂が好ましいが、この他にも、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹脂などの通常のポリエステルフィルムの接着性を向上させる手段として開示されている化合物等が適用可能である。
【0027】
また塗布層を設ける方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式など通常用いられている方法が適用できる。塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能である。
【0028】
このようにして得られた熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムは、従来の熱転写受像シート用フィルムに対し、優れた耐折れシワ性を有しつつ、優れた表面の平滑性と画像濃度が得られる。
【0029】
本発明の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムを用い、熱転写受像シートを作成するためには、そのB層上に熱転写インクシートから移行してくるインクを受容するための記録層を形成すればよい。この場合、B層上に直接記録層を形成してもよいし、易接着層や白色度向上層あるいは帯電防止層等の下塗り層を介して形成してもよい。
【0030】
また、本発明の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムを単独で基材として用いてもよいし、他の基材と複合して用いてもよい。複合可能な他の基材としては、天然紙、各種合成樹脂フィルム、織布、不織布等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0031】
また、本発明の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムのB層面とは反対側の面に粘着加工を施し、熱転写印刷可能な粘着ラベルとして用いてもよい。
【0032】
【実施例】
次に本発明の実施例および比較例を示す。
本発明に用いる測定・評価方法を以下に示す。
【0033】
1)見かけ比重
フィルムを10cm×10cmの正方形に正確に切り出し、その厚みを50点測定して平均厚みt(単位μm)を求める。次にサンプルの重量を0.1mgまで測定し、w(単位g)とする。そして、下式によって見かけ比重を計算した。見かけ比重(−)=(w/t)×10000
【0034】
2)耐折れシワ性
熱転写受像シートを長さ5cm、幅1cmの短冊状に切り取り、直径5mmのガラス棒に巻き付け、しごく。その後サンプルを再度伸ばし、実体顕微鏡を用いて表面に発生した折れシワの状態を観察した。
【0035】
3)表面光沢度
日本電色工業社製 VGS−1001DPを用いて、60度での反射率を求めた。
【0036】
4)画像濃度
A6サイズにカットした熱転写受像シートに対し、市販の昇華転写インクリボン(株式会社キャラベルデータシステム製昇華転写プリンター用プリントセットP−PS100に付属)および市販のプリンタ(ボン電気株式会社製熱転写型ラベルプリンターBLP−323)を用いて、印字スピード100mm/秒、ヘッド電圧18Vで印字した。印字パターンには、C(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)、およびそれらを重ね印字したK(ブラック)の4色について、各色9mm×9mmの正方形のベタ文字を7個ずつ(計28個)A6シート内に配置したパターンを用いた。
印字後、マクベス濃度計(TR−927)を用いて、CMYK各色の反射濃度を計測し、4色の平均濃度で評価した。
【0037】
実施例1
(微細空洞含有ポリエステル系フィルムの作成)
A層の原料として、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂83.5重量%にメルトフローインデックス2.0のポリスチレン樹脂(三井東圧株式会社製トーポレックス570−57U)4重量%、メルトフローインデックス10の環状オレフィン−エチレン共重合体樹脂(三井石油化学工業株式会社製アペルAPL−6015)4重量%、メルトフローインデックス1.7のポリプロピレン樹脂(三井東圧株式会社製ノーブレンFO−50F)3.5重量%、更に平均粒径0.3μm(電顕法)のアナタース型二酸化チタン(富士チタン株式会社製TA−300)5重量%を混合したものを用いた。このときのポリスチレン樹脂と環状オレフィン−エチレン共重合体との混合割合は5対5体積比、またポリスチレン樹脂とポリプロピレン樹脂との混合割合は5対5体積比であった。
【0038】
一方、B層の原料としては、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂24.4重量%に平均粒径0.3μm(電顕法)のアナタース型二酸化チタン(富士チタン株式会社製TA−300)25重量%および蛍光増白剤(イーストマン社製OB−1)0.6重量%を混合したものを用いた。
【0039】
これらの原料を、各々別個のベント式2軸押出機に供給して混練し、共押出ダイを用いてA層とB層とを積層して押出した。次いで押出し物を静電気的に冷却回転ドラムに密着固加せしめ、各層の厚みがB/A=35/310μmの未延伸シートを作成した。
引き続き、得られた未延伸シートを加熱ロールを用いて85℃に加熱し、ロール間で3.4倍の縦延伸を行った。
引き続きテンターで120℃に加熱して3.8倍に横延伸し、幅固定して220℃で5秒間の熱処理を施し、更に220℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚み38μm(B/A=3/35μm)の微細空洞含有ポリエステル系フィルム(実施例1)を得た。
【0040】
(熱転写受像シートの作成)
上記の方法で得られた微細空洞含有ポリエステル系フィルムのB層面上に、下記組成の塗工液
水分散性共重合ポリエステル樹脂 : 2 部
水分散性アクリル・スチレン共重合樹脂: 5 部
水分散性イソシアネート系架橋剤 : 0.5部
水 : 67.4部
イソプロピルアルコール : 25 部
界面活性剤 : 0.1部
を乾燥後重量が3g/m2 となるように塗工し、150℃で30秒間熱処理して記録層を形成した。次いで、記録層とは反対側の面に、支持体として坪量150g/m2 の紙をドライラミネーション法により貼り合わせ、熱転写受像シートを作成した。
【0041】
実施例2
A層の原料として、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂83.8重量%にメルトフローインデックス2.0のポリスチレン樹脂(三井東圧株式会社製トーポレックス570−57U)4重量%、メルトフローインデックス10の環状オレフィン−エチレン共重合体樹脂(三井石油化学工業株式会社製アペルAPL−6015)4重量%、メルトフローインデックス9のポリメチルペンテン樹脂(三井石油化学工業株式会社製TPX DX−845)3.2重量%、更に平均粒径0.3μm(電顕法)のアナタース型二酸化チタン(富士チタン株式会社製TA−300)5重量%を混合したものを用いた。このときのポリスチレン樹脂と環状オレフィン−エチレン共重合体との混合割合は5対5体積比、またポリスチレン樹脂とポリメチルペンテン樹脂との混合割合は5対5体積比であった。
【0042】
一方、B層の原料としては、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂24.6重量%に平均粒径0.3μm(電顕法)の硫化亜鉛(BASF社製サクトリスHD−S)25重量%および蛍光増白剤(イーストマン社製OB−1)0.4重量%を混合したものを用いた。
これらの原料を用いることおよび各層の厚み構成が異なること以外は、実施例1と同様の方法で、厚み125μm(B/A=10/115μm)の微細空洞含有ポリエステル系フィルム(実施例2)を得た。
次いで、実施例1と全く同じ方法で記録層を形成し、熱転写受像シートとした。この場合、紙支持体は用いなかった。
【0043】
比較例1
熱転写受像シート用フィルムとして、見かけ比重0.6のポリプロピレン系合成紙(東洋紡製P−1590 39μm)を用いること以外は、実施例1と全く同様の方法で熱転写受像シート(比較例1)を作成した。
【0044】
比較例2
原料として固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂75重量%にメルトフローインデックス1.7のポリプロピレン樹脂(三井東圧株式会社製ノーブレンFO−50F)20重量%、更に平均粒径0.3μm(電顕法)のアナタース型二酸化チタン(富士チタン株式会社製TA−300)5重量%を混合したものを用い単層のフィルムとする事以外は、実施例1と同様の方法で、厚み38μmの微細空洞含有ポリエステル系フィルム(比較例2)、および熱転写受像シートを作成した。
【0045】
比較例3
A層の原料として、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂90重量%にメルトフローインデックス2.0のポリスチレン樹脂(三井東圧株式会社製トーポレックス570−57U)5重量%、平均粒径0.3μm(電顕法)のアナタース型二酸化チタン(富士チタン株式会社製TA−300)5重量%を混合したものを用いた。
それ以外は実施例1と同様の方法で、厚み38μmの微細空洞含有ポリエステル系フィルム(比較例3)、および熱転写受像シートを作成した。
【0046】
比較例4
A層の原料として、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂74重量%にメルトフローインデックス2.0のポリスチレン樹脂(三井東圧株式会社製トーポレックス570−57U)1重量%、メルトフローインデックス10の環状オレフィン-エチレン共重合体樹脂(三井石油化学工業株式会社製アペルAPL−6015)10重量%、メルトフローインデックス9のポリメチルペンテン樹脂(三井石油化学工業株式会社製TPX DX−845)10重量%、更に平均粒径0.3μm(電顕法)のアナタース型二酸化チタン(富士チタン株式会社製TA−300)5重量%を混合したものを用いた。このときのポリスチレン樹脂と環状オレフィン−エチレン共重合体との混合割合はおよそ1対9体積比、またポリスチレン樹脂とポリメチルペンテン樹脂との混合割合はおよそ1対12体積比であった。
それ以外は実施例1と同様の方法で、厚み38μmの空洞含有ポリエステル系フィルム(比較例4)、および熱転写受像シートを作成した。
【0047】
比較例5
B層の原料として、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂85重量%に平均粒径0.6μm(電顕法)の炭酸カルシウム粒子15重量%を混合したものを用いた。
それ以外は実施例2と同様の方法で、厚み125μmの空洞含有ポリエステル系フィルム(比較例5)、および熱転写受像シートを作成した。
【0048】
比較例6
各層の厚み構成が異なること以外は実施例1と同様の方法で、厚み38μm(B/A=0.5/37.5μm)の微細空洞含有ポリエステル系フィルム(比較例6)、および熱転写受像シートを作成した。
【0049】
比較例7
各層の厚み構成が異なること以外は比較例3と同様の方法で、厚み38μm(B/A=13/25μm)の微細空洞含有ポリエステル系フィルム(比較例7)、および熱転写受像シートを作成した。
【0050】
比較例8
各層の厚み構成が異なること以外は実施例2と同様の方法で、厚み125μm(B/A=25/100μm)の微細空洞含有ポリエステル系フィルム(比較例8)、および熱転写受像シートを作成した。
【0051】
比較例9
実施例1で得られた微細空洞含有ポリエステル系フィルムを用い、フィルムの表裏を逆転させたこと以外は、実施例1と全く同じ方法で熱転写受像シートを作成した。すなわち、B層面とは反対側の面に記録層を形成し、B層面に紙支持体をドライラミネーションした。
【0052】
以上の実施例および比較例について、表1にその特性を示した。
【0053】
【表1】
Figure 0003761008
【0054】
表1の測定結果から、以下のように考察する事ができる。
実施例1および実施例2のフィルムを基材として用いた熱転写記録シートでは、本発明で規定される要件を満足しているので、ポリプロピレン系合成紙を用いた熱転写記録シート(比較例1)と同等あるいはそれ以上の画像濃度が得られており、かつ折れシワ性に著しく優れており、また表面平滑性も良好であることが分かる。
【0055】
これに対し、B層を有しないポリエステル系空洞含有フィルム(比較例2)を基材として用いた場合には、ポリプロピレン系合成紙を用いた熱転写記録シート(比較例1)と同等の画像濃度を得るためにはフィルムの見かけ比重を極端に低下させる(フィルムの空洞含有率を極端に増大させる)必要が生じ、その結果、耐折れシワ性と表面平滑性が大きく悪化することが分かる。
【0056】
また、比較例3のフィルムは見かけ比重が本発明で規定される範囲よりも大きく、画像濃度が不十分となることが分かった。一方、見かけ比重が本発明で規定される範囲よりも小さいフィルム(比較例4)を基材として用いた場合には、耐折れシワ性および表面平滑性が不十分となることが分かった。更に、B層中に含まれる無機微粒子が本発明で規定される範囲よりも少ない場合(比較例5)には画像濃度が不十分となること、B層の厚みが本発明で規定される範囲よりも薄い場合(比較例6)には印刷物の濃度ムラによるザラつきが顕著となること、B層の厚みが本発明で規定される範囲よりも大きい場合(比較例7および比較例8)にも画像濃度が不十分になろことが分かった。
一方、たとえ本発明で規定される要件を満足しているフィルムを基材として用いた場合でも、B層面上に記録層を形成しない場合(比較例9)には、画像濃度が不十分となり、本発明の効果が発揮されないことが分かった。
【0057】
【発明の効果】
本発明の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムは、従来の熱転写受像シート用フィルムに対し、優れた耐折れシワ性を有しつつ、優れた表面の平滑性と画像濃度が得られる。

Claims (4)

  1. ポリエステルに該ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂を少なくとも1種以上混合した重合体混合物を2軸延伸・熱処理することによって得られる見かけ比重が0.7〜1.3の微細空洞含有ポリエステル系フィルムであって、前記微細空洞含有ポリエステル系フィルムは、微細空洞含有層(A層)の少なくとも片面に無機微粒子を20〜60重量%含有するポリエステル層(B層)が接合されてなり、B層の厚みが1〜20μmで、かつフィルム全体厚みの30%未満であり、かつ前記のポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、環状オレフィン−エチレン共重合体系樹脂あることを特徴とする熱転写受像シート用ポリエステル系フィルム。
  2. B層中に添加される無機微粒子が酸化チタン微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルム。
  3. B層中に添加される無機微粒子が硫化亜鉛微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルム。
  4. 請求項1〜3に記載の熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムのB層上に熱転写インクシートから移行してくるインクを受容するための記録層を形成してなる熱転写受像シート。
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