JP2004121969A - 冷却水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】補給水が供給される開放循環冷却水系の水処理方法において、原水の一部をカチオン交換樹脂で軟化する軟化工程と、該軟化工程の軟化水の一部を前記冷却水系に供給する軟化水補給工程と、前記軟化工程の軟化水の他の一部を用いて食塩水を調製する食塩水調製工程と、該食塩水調製工程の食塩水を電解して遊離残留塩素を生成させる電解残留塩素生成工程を有し、該電解残留塩素生成工程の遊離残留塩素含有水を前記冷却水系に添加することを特徴とする冷却水の処理方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ビル空調、一般工場、石油化学コンビナートなどの熱交換器の冷却水系において、スケールや微生物による障害を防止し、熱交換器を効率的に運転するために有効な冷却水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水資源の不足や有効利用の観点から、冷却水の使用量を削減するために、濃縮運転によるブロー量の削減など、冷却水の高度利用が行われている。このように冷却水を高度に利用する場合には、溶存塩類や栄養源の濃縮などにより、循環冷却水の水質が悪化し、細菌、黴、藻類などの微生物群に、土砂、塵芥などが混ざり合って形成されるスライムが発生しやすくなり、熱交換器における熱効率の低下や、通水の悪化を引き起こし、またスライム付着下部において、機器や配管の局部腐食を誘発する。通常、このようなスライム処理には、遊離ハロゲンを生成する薬剤や、ヒドラジン、有機ハロゲン化合物などを冷却水に添加することが行われている。しかし、これらの薬剤を添加しても、気散や系内で消耗されて有効成分が一定せず、効果が安定しないのが実状である。
このような課題に対して、冷却水中に含まれる塩化物イオンを電解し、次亜塩素酸を発生させる殺菌方法が提案されている。この方法によれば、安定してスライム処理を行うことができるが、冷却水を電解するために、電極表面に炭酸カルシウムやりん酸カルシウムなどの難溶性の無機系スケールが付着しやすく、電解効率が著しく低下する。この改良を目的として、電極への電圧印加の前段において、イオン交換装置などの硬度除去手段に通水する方法が提案されている。この方法は、冷却水をイオン交換樹脂などに通水して硬度成分を除去し、電極へのスケール付着を低減することにより、電解効率の低下防止を狙ったものである。しかし、電解する水は冷却水であるために、濃縮された冷却水中のシリカや溶存有機物などの汚れが電極面に付着して電解効率が低下したり、塩化物イオン濃度の変動により発生する次亜塩素酸濃度が変動するために、安定した殺菌処理が行えないなど、実用的には一層の改善が求められている。
【特許文献1】
特開昭61−283391号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開2001−314862号公報(第2頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ビル空調、一般工場、石油化学コンビナートなどの熱交換器の冷却水系において、スケールや微生物による障害を防止し、熱交換器を効率的に運転するために有効な冷却水の処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、開放循環冷却水系において、原水の一部を軟化して得られる軟化水の一部を冷却水系に供給することにより、冷却水中のカルシウム硬度を特定の範囲に保つとともに、軟化水の他の一部を用いて調製した食塩水を電解して遊離残留塩素を生成させ、この遊離残留塩素含有水を冷却水系に添加することにより、電極にスケールが付着することもなく、効果的に冷却水系のスライムとスケールの発生を防止し、さらに金属の腐食をも抑制し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)補給水が供給される開放循環冷却水系の水処理方法において、原水の一部をカチオン交換樹脂で軟化する軟化工程と、該軟化工程の軟化水の一部を前記冷却水系に供給する軟化水補給工程と、前記軟化工程の軟化水の他の一部を用いて食塩水を調製する食塩水調製工程と、該食塩水調製工程の食塩水を電解して遊離残留塩素を生成させる電解残留塩素生成工程を有し、該電解残留塩素生成工程の遊離残留塩素含有水を前記冷却水系に添加することを特徴とする冷却水の処理方法、
(2)電解する食塩水の塩化物イオン濃度が、0.6g/L以上飽和濃度以下である第1項記載の冷却水の処理方法、及び、
(3)軟化水補給工程において、冷却水のカルシウム硬度が少なくとも5mgCaCO3/Lとなるように、軟化工程の軟化水の一部を冷却水系に供給する第1項記載の冷却水の処理方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の冷却水の処理方法は、補給水が供給される開放循環冷却水系の水処理方法において、原水の一部をカチオン交換樹脂で軟化する軟化工程と、該軟化工程の軟化水の一部を前記冷却水系に供給する軟化水補給工程と、前記軟化工程の軟化水の他の一部を用いて食塩水を調製する食塩水調製工程と、該食塩水調製工程の食塩水を電解して遊離残留塩素を生成させる電解残留塩素生成工程を有し、該電解残留塩素生成工程の遊離残留塩素含有水を前記冷却水系に添加する冷却水の処理方法である。本発明方法においては、食塩水調製工程で調製される食塩水の塩化物イオン濃度が0.6g/L以上飽和濃度以下であることが好ましい。また、軟化水補給工程において、循環冷却水のカルシウム硬度が少なくとも5mgCaCO3/Lとなるように、軟化水を供給することが好ましい。
本発明の冷却水の処理方法によれば、ビル空調、一般工場、石油化学コンビナートなどの開放循環冷却水系に適用し、循環する冷却水系の熱交換器本体、循環水のピット、冷却塔、ポンプ、付帯装置、配管などへのスケールとスライムの付着による障害を防止し、かつ金属の腐食を抑制することができる。
【0006】
本発明方法において、軟化工程に用いる装置に特に制限はなく、例えば、カチオン交換樹脂を充填したカラムを単独に用いて通水することができ、あるいは、アニオン交換樹脂を充填したカラムとカチオン交換樹脂を充填したカラムを直列に接続して通水することもできる。カチオン交換樹脂のイオン交換基は、カルシウム、マグネシウムなどの硬度成分が除去できれば特に制限はなく、例えば、−SO3Naなどの強酸性基、−COOHなどの弱酸性基などを挙げることができる。イオン交換樹脂の粒子径は、任意に選定することができる。カラムへのカチオン交換樹脂の充填量に特に制限はなく、対象とする冷却水系の規模、原水の水質、運転条件、メンテナンス条件などに応じて適宜選定することができる。充填量が多いと、再生までに長時間運転することができる。カチオン交換樹脂の再生方法に特に制限はなく、例えば、食塩水、酸などを用いて再生することができるが、食塩水を用いてNa形に再生することが好ましい。
本発明方法においては、原水の一部をカチオン交換樹脂で軟化し、軟化水の一部を原水とともに冷却水系に供給する。軟化水と原水の比率に特に制限はないが、冷却水のカルシウム硬度が少なくとも5mgCaCO3/Lとなる比率であることが好ましい。冷却水のカルシウム硬度が5mgCaCO3/L未満であると、装置の金属部分の腐食速度が大きくなるおそれがある。冷却水のカルシウム硬度の調整は、循環冷却水をイオン交換処理することによっても行うことができるが、循環冷却水では水の汚れによりイオン交換樹脂が劣化するおそれがあるので、原水を軟化することが好ましい。
【0007】
本発明方法においては、軟化工程の軟化水の他の一部を用いて食塩水を調製し、食塩水を電解槽に通水することにより、遊離残留塩素を生成させる。遊離残留塩素の生成に、軟化水を用いて調製した食塩水を用いることにより、電解槽の電極表面へのスケールの付着を防止することができる。電解する食塩水の塩化物イオン濃度に特に制限はないが、0.6g/L以上飽和濃度以下であることが好ましい。電解する食塩水の塩化物イオン濃度が0.6g/L未満であると、遊離残留塩素の生成効率が低下するおそれがある。電解する食塩水が過飽和状態であると、配管、ポンプ、バルブ、電極などへ食塩が析出するおそれがある。電解する食塩水の塩化物イオン濃度の調整方法に特に制限はなく、例えば、食塩水タンクで軟化水に食塩を溶解して飽和食塩水又は高濃度食塩水を調製し、飽和食塩水又は高濃度食塩水を軟化水又は原水で希釈して電解することができる。また、食塩水タンクで調製した食塩水は、イオン交換樹脂の再生に用いることができる。電解用の食塩水と、イオン交換樹脂の再生用の食塩水を共用することにより、冷却水の処理設備を簡略化することができる。
本発明方法において、食塩水の電解に用いる電極の材料に特に制限はないが、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの白金族を好適に用いることができる。これらの中で、白金の単体又はその酸化物及びイリジウムの単体又はその酸化物のいずれか少なくとも一種類を主材料とする電極は、塩化物イオンの利用効率が高いので特に好適に用いることができる。電極に印加する直流電源は、電圧10〜40V、電流3A以上であることが好ましい。従来の電解装置では、電極表面へのスケール付着を低減するために、一定時間ごとに極性の反転が必要であり、そのために電極の消耗が著しく、電極のメンテナンスに多大な費用がかかっていた。しかし、本発明方法によれば、原水を軟化した軟化水で食塩水を調製して電解槽に通水するために、電極面でのスケール付着が極めて少なく、電極の極性反転が不要で、その結果、電極の寿命は格段に伸びる。
【0008】
本発明方法において、食塩水の電解により生成する遊離残留塩素は、塩化物イオンが酸化された次亜塩素酸である。冷却水の残留塩素濃度は、0.1〜1mgCl/Lであることが好ましく、0.3〜0.7mgCl/Lであることがより好ましい。冷却水の遊離残留塩素濃度が0.1mgCl/L未満であると、十分なスライム防止効果が得られないおそれがある。冷却水の遊離残留塩素濃度が1mgCl/Lを超えると、装置の金属部分が腐食するおそれがある。
図1は、本発明の冷却水の処理方法の実施の一態様の系統図である。冷却塔1のピット2からポンプ3により冷却水が送り出され、熱交換器4で熱の伝達を受けて冷却塔に返送され、開放循環冷却水系を構成している。原水の一部が、カチオン交換樹脂塔5に通水されて軟化され、軟化水の一部はライン6を経由し、原水と混合されて補給水となり、冷却水系に供給される。軟化水の他の一部は、ライン7を経由して食塩水タンク8に供給され、食塩水タンクに食塩が投入されて食塩水が調製される。食塩水タンクからポンプ9により食塩水が抜き出され、電解槽10に供給される。電解槽に供給される食塩水は、必要に応じてライン11から軟化水が送られ、希釈される。電解槽において生成した遊離残留塩素を含む遊離残留塩素含有水は、ライン12を経由して冷却水系に供給される。食塩水タンク8の食塩水は、ライン13を経由してカチオン交換樹脂塔5に送られ、カチオン交換樹脂の再生に使用される。
【0009】
本発明方法においては、必要に応じて、殺菌剤などのスライムコントロール剤、スケール防止剤、防食剤などを併用することができる。スライムコントロール剤としては、例えば、遊離ハロゲンを発生する無機化合物、ヒドラジン、有機ハロゲン化合物などを挙げることができる。スケール防止剤としては、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸と他のビニルモノマーとのコポリマー、ポリマレイン酸、マレイン酸や無水マレイン酸と他のビニルモノマーとのコポリマー、ポリイタコン酸、イタコン酸と他のビニルモノマーとのコポリマーなどの有機ポリマー、ニトリロトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチリデンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、ヘキサメタリン酸ソーダなどのりん系化合物などを挙げることができる。防食剤としては、例えば、クロム酸塩、亜鉛塩などの重金属塩、上記のりん系化合物、アニオン性の有機ポリマーなどを挙げることができる。
本発明の冷却水の処理方法においては、カチオン交換樹脂で軟化した水で食塩水を調製し、その食塩水を電解装置に供給することにより、一定濃度以上の食塩水を電解することができる。電極表面にスケールが付着しないので、遊離残留塩素の生成効率が大幅に向上し、安定した殺菌効果が得られ、スライムが発生しない。また、軟化水を冷却水系に補給するために、配管や伝熱面などの系内のスケール障害も防止することができる。さらに、原水と軟化水を一定比率で冷却水系に補給し、一定以上のカルシウム硬度を維持して運転することにより、金属部分の腐食も抑えることができる。
【0010】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
図1に示す系統からなる開放循環冷却水系を用いて試験運転を行った。
伝熱面積が0.25m2の熱交換器4を有する保有水量0.1m3の開放循環冷却水系で、濃縮倍数を6倍として90日間運転した。熱交換器チューブの材質は銅で、外径19mmのものを用いた。温水温度は80℃、冷却水入口温度は30℃、出口温度は40℃、冷却水の循環水流速は0.5m/sとした。
原水は水道水を使用し、全補給水量の20容量%は水道水をそのまま供給した。また、全補給水量の80容量%はNa形カチオン交換樹脂塔5に通水して軟化し、ライン6から冷却水系に補給した。カチオン交換樹脂は、6L用いた。カチオン交換樹脂塔を通水して軟化した水をライン7から食塩水タンク8に供給し、食塩(並塩)を投入、溶解して飽和食塩水を調製した。食塩水タンク8の飽和食塩水は、カチオン交換樹脂塔5に送りカチオン交換樹脂の再生に使用した。また、食塩水タンク8の飽和食塩水をポンプ9で引き抜き、ライン11から軟化水を導いて約10容量倍に希釈して電解槽10に供給し、直流電圧を印加して次亜塩素酸を発生させた。ポンプ9の流量は5mL/分とし、チタンの基板上に白金、イリジウムをコーティングした30dm2の電極を設けた電解槽10へは、直流24V、5Aを供給できる電源を用いた。電解槽10から流出する遊離残留塩素含有水を、ライン12から冷却水系に供給した。
原水、軟化水及び原水と軟化水を20:80(容量比)で混合した補給水の水質を、第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
90日間の運転終了後に、熱交換器チューブを取り外し、乾燥重量を測定してスケール付着量を求めた。運転期間中、表面積40dm2のゴム板3枚を冷却塔ピットに吊り下げて冷却水に浸漬し、試験終了後に乾燥重量を測定してスライム付着量を求めた。また、50mm×30mm×lmmの鉄テストピース3枚をアクリル樹脂製セルにネジ止めで固定し、循環冷却水の一部を流速1.5m/sで通水させ、試験終了後に錆を除去して乾燥重量を測定し、その重量減少から年当たりの厚さ減少に換算した腐食速度を求めた。
運転期間中、10日ごとに冷却水のpH、Mアルカリ度、全硬度、カルシウム硬度、塩化物イオン濃度、遊離残留塩素濃度をJIS K 0101にしたがって測定し、電極の外観を目視により観察した。10日目以降、pHは8.8〜9.0、Mアルカリ度は257〜268mgCaCO3/L、全硬度は29〜34mgCaCO3/L、カルシウム硬度は6〜8mgCaCO3/L、塩化物イオン濃度は80〜84mgCl−/L、遊離残留塩素濃度は0.4〜0.5mgCl/Lで安定し、電極に異常は認められなかった。
熱交換器チューブに、スケールは付着しなかった。ゴム板へのスライム付着量は、0.5mg/dm2であった。鉄テストピースの腐食速度は、0.05mm/年であった。
比較例1
図1と同じ装置を用い、補給水全量をカチオン交換樹脂に通水し、冷却水の全硬度及びカルシウム硬度を0にして運転した以外は、実施例1と同じ試験を行った。
10日目以降、pHは9.1〜9.2、Mアルカリ度は296〜306mgCaCO3/L、全硬度、カルシウム硬度ともに0mgCaCO3/L、塩化物イオン濃度は78〜80mgCl−/L、遊離残留塩素濃度は0.4〜0.5mgCl/Lで安定し、電極に異常は認められなかった。
熱交換器チューブに、スケールは付着しなかった。ゴム板へのスライム付着量は、0.5mg/dm2であった。鉄テストピースの腐食速度は、0.73mm/年であった。
比較例2
図2は、本比較例に用いた開放循環冷却水系の系統図である。
補給水の原水は水道水を使用し、全補給水量の20容量%は水道水をそのまま供給した。また、全補給水量の80容量%はNa形カチオン交換樹脂5に通水して軟化し、ライン6から冷却水系に補給した。カチオン交換樹脂は、6L用いた。カチオン交換樹脂を通して軟化した水をライン7から食塩水タンク8に供給し、食塩(並塩)を投入、溶解して飽和食塩水を調製し、カチオン交換樹脂5の再生に使用した。また、ライン14から循環冷却水をポンプ9で引き抜いて、電解槽10に導き、直流電圧を印加して次亜塩素酸を発生させた。ポンプ9の流量は5mL/分とし、チタン基板上に白金、イリジウムをコーティングした30dm2の電極を設けた電解槽10へは、直流24V、5Aを供給できる電源を用いた。電解槽10から流出する遊離残留塩素含有水を、ライン12から冷却水系に供給した。
実施例1と同様にして、10日ごとに冷却水の水質を分析し、スケール付着量、スライム付着量及び鉄テストピースの腐食速度を測定した。
10日目以降、pHは8.9〜9.0、Mアルカリ度は254〜272mgCaCO3/L、全硬度は27〜34mgCaCO3/L、カルシウム硬度は5〜9mgCaCO3/L、塩化物イオン濃度は78〜83mgCl−/Lであり、遊離残留塩素濃度は0.3mgCl/Lから0.1mgCl/L以下に低下した。20日目から電極にスケールが付着しはじめ、60日目には電極一面にスケールが付着した。
熱交換器チューブに、スケールは付着しなかった。ゴム板へのスライム付着量は、13mg/dm2であった。鉄テストピースの腐食速度は、0.06mm/年であった。
運転期間中の冷却水の水質及び電極の外観を、第2表に示す。
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
【表4】
【0016】
第2表に見られるように、食塩水を電解して遊離残留塩素を生成させた実施例1と比較例1では、90日間の運転期間を通じて電極に異常はなく、冷却水の遊離残留塩素濃度0.4〜0.5mgCl/Lが維持されている。これに対して、循環冷却水を電解した比較例2では、20日目から電極にスケールが付着しはじめて遊離残留塩素濃度も低下し、60日目には電極一面にスケールが付着し、70日目には遊離残留塩素濃度は0.1mgCl/L以下になっている。
実施例1及び比較例1〜2のスケール付着量、スライム付着量及び鉄腐食速度を、第3表に示す。
【0017】
【表5】
【0018】
第3表に見られるように、冷却水のカルシウム硬度を6〜8mgCaCO3/Lとした実施例1、0mgCaCO3/Lとした比較例1、5〜9mgCaCO3/Lとした比較例2では、いずれも90日間の運転でスケールは全く付着していない。しかし、補給水の全量をカチオン交換樹脂に通水してカルシウム硬度を完全に0にした比較例1では、鉄の腐食速度が大きい。また、循環冷却水を電解し、電極にスケールが付着して冷却水の遊離残留塩素濃度が低下した比較例2では、スライムの付着量が多い。
【0019】
【発明の効果】
本発明の冷却水の処理方法によれば、ビル空調、一般工場、石油化学コンビナートなどの熱交換器の冷却水系において、スケールの発生を防止するとともに、微生物によるスライム障害と金属の腐食を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の実施の一態様の系統図である。
【図2】図2は、比較例に用いた装置の系統図である。
【符号の説明】
1 冷却塔
2 ピット
3 ポンプ
4 熱交換器
5 カチオン交換樹脂塔
6 ライン
7 ライン
8 食塩水タンク
9 ポンプ
10 電解槽
11 ライン
12 ライン
13 ライン
14 ライン
Claims (3)
- 補給水が供給される開放循環冷却水系の水処理方法において、原水の一部をカチオン交換樹脂で軟化する軟化工程と、該軟化工程の軟化水の一部を前記冷却水系に供給する軟化水補給工程と、前記軟化工程の軟化水の他の一部を用いて食塩水を調製する食塩水調製工程と、該食塩水調製工程の食塩水を電解して遊離残留塩素を生成させる電解残留塩素生成工程を有し、該電解残留塩素生成工程の遊離残留塩素含有水を前記冷却水系に添加することを特徴とする冷却水の処理方法。
- 電解する食塩水の塩化物イオン濃度が、0.6g/L以上飽和濃度以下である請求項1記載の冷却水の処理方法。
- 軟化水補給工程において、冷却水のカルシウム硬度が少なくとも5mgCaCO3/Lとなるように、軟化工程の軟化水の一部を冷却水系に供給する請求項1記載の冷却水の処理方法。
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