JP2004116154A - 小規模事業用建物及びその建築工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】短期間の大量出会い工事となるのを解消することができ、しかも容易に解体や移設等を行うことができる小規模事業用建物及びその建築工法を得る。
【解決手段】小規模店舗10は、べた基礎12の非売場部16、18に建物ユニット20を取外し可能に据付けた後、間柱26、壁パネル28を取外し可能に取付け、最後に屋根ユニット32、サッシ28を取外し可能に設置することにより構成されている。これらはいずれも予め工場生産されるものであるため、現場作業を減らすことができる。よって、短期間の大量出会い工事となるのを解消することができ、しかも前記要素は取外し可能であるから、容易に解体や移設等を行うことができる。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンビニエンスストアやドラッグストアのような小規模で独立した店舗として用いるのに好適な小規模事業用建物及びその建築工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今では、コンビニエンスストアやドラッグストア等の小規模店舗が数多く建てられている。この種の小規模店舗はビルやマンションの一階を利用して建てられることもあるが、立地条件や商業環境等が良好であれば、独立した店舗として建てられることも多い。
【0003】
この種の独立店舗型の小規模店舗は簡易な工法で短期間で建築されるのが通例であることから、建築工事、電気工事、空調工事といった種々の工事が建方初日から三日以内の大量出会い工事となることが多い。
【0004】
また、簡易な工法で建築されるといっても、現場で組み立てる部品点数は依然として多く、いきおい組付工数も多くなる。このことは、逆に見れば、解体や移設する際の作業工数が増えることでもあり、特にこの種の小規模店舗では解体や移設はつきものであることから、設置・解体・移設のすべての場面での迅速な工事が望まれる。
【0005】
先行技術文献調査をした結果では、下記特許文献1が摘出されたが、ユニット住宅内に柱や梁が存在しない広い空間を形成するために、一階ユニットを離間して配置し、両者の上端部間にユニット支持梁を掛け渡し、その上に二階ユニットを設置することにより、当該二階ユニットの下方に広い空間が形成されるというもので、この技術を適用しても本発明が解決するしようとする課題は解決できない。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−170265号公報(図1及び図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、短期間の大量出会い工事となるのを解消することができ、しかも容易に解体や移設等を行うことができる小規模事業用建物及びその建築工法を得ることが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明に係る小規模事業用建物は、予め工場生産されると共にべた基礎上の非主用途部に取外し可能に設置された複数の建物ユニットと、予め工場生産されると共にべた基礎上の主用途部の外縁に沿って取外し可能に立設された複数の柱と、予め工場生産されると共にべた基礎上の主用途部の外縁に沿って前記柱と重複しないように取外し可能に立設された複数の壁パネルと、を含んで構成されている、ことを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の本発明に係る小規模事業用建物は、請求項1記載の発明において、前記建物ユニット、前記柱、前記壁パネルの上端部には、予め工場生産された屋根ユニットが取外し可能に設置されている、ことを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の本発明に係る小規模事業用建物は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記べた基礎の前記非主用途部の床面は、当該非主用途部に設置された建物ユニットの床面と前記べた基礎の前記主用途部の床面との高さが一致するように、所定量だけ下げられている、ことを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の本発明に係る小規模事業用建物は、予め工場生産されると共にべた基礎上の所定位置に建物外縁に沿って取外し可能に立設された複数の柱と、予め工場生産されると共に対向する前記柱の上端部間に取外し可能に掛け渡された複数の屋根ユニットと、予め工場生産されると共に隣合う前記柱間にそれぞれ取外し可能に取付けられた複数の外装材と、を有することを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の本発明に係る小規模事業用建物は、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、前記屋根ユニットには、当該屋根ユニットの工場生産時に空調設備・配管並びに電設配線が予め組み込まれている、ことを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の本発明に係る小規模事業用建物の建築工法は、べた基礎上の非主用途部に予め工場生産された建物ユニットを取外し可能に設置する建物ユニット工程と、べた基礎上の主用途部の外縁に沿って予め工場生産された複数の柱と複数の壁パネルとを重複しないように取外し可能に立設する柱・壁パネル工程と、前記建物ユニット、前記柱、前記壁パネルの上端部に予め工場生産された屋根ユニットを取外し可能に設置する屋根工程と、を有することを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の本発明に係る小規模事業用建物の建築工法は、べた基礎上の所定位置に建物外縁に沿って予め工場生産された複数の柱を取外し可能に立設する柱工程と、対向する前記柱の上端部間に予め工場生産された屋根ユニットを取外し可能に掛け渡して設置する屋根工程と、隣合う前記柱間に予め工場生産された複数の外装材をそれぞれ取付ける外装材工程と、を有することを特徴としている。
【0015】
請求項1記載の本発明によれば、べた基礎上の非主用途部には、予め工場生産された複数の建物ユニットが取外し可能に設置される。また、べた基礎上の主用途部には、その外縁に沿って、予め工場生産された複数の柱が取外し可能に立設される。さらに、基礎上の主用途部には、その外縁に沿って、予め工場生産された複数の壁パネルが柱と重複しないように取外し可能に立設される。
【0016】
このようにして構成される本発明に係る小規模事業用建物では、建物ユニット、柱、壁パネルのすべてが予め工場生産されるため、現場での組付作業となる部品点数を大幅に削減することができる。従って、短期間で容易に小規模事業用建物を建築することができる(即ち、工場生産化率アップによる短工期化を図ることができる)と共に、解体及び移設等も容易に行うことができる。
【0017】
さらに、現場での作業工数が大幅に削減されるため、建方初日から三日以内の大量出会い工事も緩和される。
【0018】
請求項2記載の本発明によれば、上記建物ユニット、柱、壁パネルの上端部には、予め工場生産された屋根ユニットが取外し可能に設置される。
【0019】
このようにして構成される本発明に係る小規模事業用建物では、建物ユニット、柱、壁パネルだけでなく、屋根ユニットも予め工場生産されるため、現場での組付作業となる部品点数を更に削減することができる。従って、より短期間で容易に小規模事業用建物を建築することができる(即ち、工場生産化率アップによる短工期化を図ることができる)と共に、解体及び移設等も容易に行うことができる。
【0020】
さらに、現場での作業工数が大幅に削減されるため、建方初日から三日以内の大量出会い工事も更に緩和される。
【0021】
請求項3記載の本発明によれば、べた基礎の非主用途部の床面は、当該非主用途部に設置された建物ユニットの床面とべた基礎の主用途部の床面との高さが一致するように、所定量だけ下げられているため、小規模事業用建物が建築された状態では、建物ユニットの床面とべた基礎の主用途部の床面との段差が無くなる。従って、台車を使って商品を移動させる際等にスムーズに移動させることができ、作業性を向上させることができる。
【0022】
請求項4記載の本発明によれば、基礎上の所定位置には、予め工場生産された複数の柱が建物外縁に沿って取外し可能に立設される。また、対向する柱の上端部間には、予め工場生産された複数の屋根ユニットが取外し可能に掛け渡されて設置される。さらに、隣合う柱間には、予め工場生産された複数の外装材がそれぞれ取外し可能に取付けられる。
【0023】
このようにして構成される本発明に係る小規模事業用建物では、柱、屋根ユニット、外装材のすべてが予め工場生産されるため、現場での組付作業となる部品点数を大幅に削減することができる。従って、短期間で容易に小規模事業用建物を建築することができる(即ち、工場生産化率アップによる短工期化を図ることができる)と共に、解体及び移設等も容易に行うことができる。
【0024】
さらに、現場での作業工数が大幅に削減されるため、建方初日から三日以内の大量出会い工事も緩和される。
【0025】
加えて、本発明に係る小規模事業用建物の場合、複数の柱と複数の屋根ユニットのみによって構造的な強度が確保されることになるため、逆に見れば、レイアウト等の内部空間の用い方はフレキシブルなものとなる。従って、内部の改装工事等が定期的或いは比較的多く行われる業種の場合には、改装費用等を削減することができるメリットがあり、小規模事業用建物の付加価値を高める効果がある。
【0026】
請求項5記載の本発明によれば、上述した屋根ユニットには当該屋根ユニットの工場生産時に空調設備・配管並びに電設配線が予め組み込まれているため、現場での空調工事や電気工事等を大幅に削減することができる。従って、建方初日から三日以内の大量出会い工事の大幅解消を図ることができる。また、現場での作業も大幅に減るため、建築・解体・移設時の工期短縮に大きく貢献することができる。さらに、工場生産時に屋根ユニット内に空調設備・配管並びに電設配線を予め組み込む構成とすることにより、品質管理を徹底することができ、小規模事業用建物の品質を高めることができる。
【0027】
請求項6記載の本発明によれば、まず、建物ユニット工程で、べた基礎上の非主用途部に予め工場生産された建物ユニットが取外し可能に設置される。次いで、柱・壁パネル工程で、べた基礎上の主用途部の外縁に沿って予め工場生産された複数の柱と複数の壁パネルとが重複しないように取外し可能に立設される。次いで、屋根工程で、建物ユニット、柱、壁パネルの上端部に予め工場生産された屋根ユニットが取外し可能に設置される。
【0028】
このようにして構成される本発明に係る小規模事業用建物の建築工法では、建物ユニット、柱、壁パネルのすべてが予め工場生産されるため、現場での組付作業となる部品点数を大幅に削減することができる。従って、短期間で容易に小規模事業用建物を建築することができる(即ち、工場生産化率アップによる短工期化を図ることができる)と共に、解体及び移設等も容易に行うことができる。
【0029】
さらに、現場での作業工数が大幅に削減されるため、建方初日から三日以内の大量出会い工事も緩和される。
【0030】
請求項7記載の本発明によれば、まず、柱工程で、べた基礎上の所定位置に建物外縁に沿って予め工場生産された複数の柱が取外し可能に立設される。次いで、屋根工程で、対向する前記柱の上端部間に予め工場生産された屋根ユニットが取外し可能に掛け渡されて設置される。次いで、外装材工程で、隣合う前記柱間に予め工場生産された複数の外装材がそれぞれ取付けられる。
【0031】
このようにして構成される本発明に係る小規模事業用建物の建築工法では、柱、屋根ユニット、外装材のすべてが予め工場生産されるため、現場での組付作業となる部品点数を大幅に削減することができる。従って、短期間で容易に小規模事業用建物を建築することができる(即ち、工場生産化率アップによる短工期化を図ることができる)と共に、解体及び移設等も容易に行うことができる。
【0032】
さらに、現場での作業工数が大幅に削減されるため、建方初日から三日以内の大量出会い工事も緩和される。
【0033】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図6を用いて、本発明に係る小規模事業用建物及びその建築工法の一実施形態について説明する。
【0034】
図1には、本実施形態に係る「小規模事業用建物」としての小規模店舗10の建方順序が概略的に示されている。また、図2〜図6には、本発明に係る小規模店舗10の具体例が示されている。以下においては、基本的には、本発明の概念を簡潔に表現した図1をベースにして本実施形態に係る小規模店舗10及びその建築工法について説明するものとし、必要に応じて図2〜図6を適宜参照することにする。また、後述する建物ユニットを総称する場合には「建物ユニット20」と記し、特定の建物ユニットを指す場合には図面に付したユニット番号を引用して「建物ユニット(1)20」と記すことにする(後述する屋根ユニット32についても同様)。
【0035】
図1に示されるように、小規模店舗10は独立した店舗であり、べた基礎12上に建てられる。このべた基礎12は、コンクリートをマット状に打設することにより形成する所謂マットスラブ工法と称される工法によって構成されている。べた基礎12の中央大半部分には「主用途部」としての売場部14が設けられており、又その両サイドには「非主用途部」としての非売場部(バックヤード)16、18が設けられている。
【0036】
非売場部16、18の床面16A、18Aは、売場部14の床面14Aに対して一段下げられている。正面右側の非売場部16には、建物ユニット(1)20乃至建物ユニット(4)20が据付けられている。また、正面左側の非売場部18には、建物ユニット(5)20が据付けられている。これらの建物ユニット(1)20乃至建物ユニット(5)20は、いずれも予め工場生産されたものであり、床、外壁、天井等がすべて完成した態になっている。また、前記段差は、建物ユニット20が非売場部16、18に据付けれたときに、当該建物ユニット20の床面20A(図5参照)と売場部14の床面14Aとの高さが一致するように設定されている。
【0037】
売場部14には、商品陳列棚22(図2参照)等が設置されるにようになっている。また、非売場部16における建物ユニット(1)20は事務室として、第2建物ユニット20は倉庫として、第3建物ユニット20はトイレとして、建物ユニット(4)20は別の商品陳列棚及び作業スペース24として、建物ユニット(5)20は商品格納スペースとして、それぞれ用いられるようになっている。なお、これらの建物ユニット(1)20乃至建物ユニット(5)20内に設置される設備であって、ユニット組立工場内で予め設置可能なもの(例えばトイレ等)については、工場内で設置される。
【0038】
図1に戻り、売場部14の正面側には、建物外縁に沿って所定の間隔で複数本の間柱26が立設されている。隣合う間柱26間には、サッシ28がそれぞれ取り付けられている。一方、売場部14の背面側(間柱26と対向する側)には、複数枚の壁パネル30が立設されている。これらの間柱26、サッシ28、及び壁パネル30は、予め工場生産されたものである。
【0039】
上述した建物ユニット20、間柱26、及び壁パネル30の上端部間には、大スパン(べた基礎14における正面側の建物外縁と背面側の建物外縁との距離に相当するスパン長)の複数の屋根ユニット32が据付けられている。屋根ユニット32は建物ユニット20と同様に予め工場生産されたものであり、ユニット組立工場内でトラス構造のフレーム、屋根等、必要なものすべてが組付けられた状態になっている。また、上記屋根ユニット32内には、図示しない空調設備・配管、電設配線等も予めユニット組立工場内で組付けられている。
【0040】
次に、上述した小規模店舗10の建築工法について説明し、当該説明を通して本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0041】
まず、図1(A)に示されるように基礎工事が行われる。基礎工事は前述したようにマットスラブ工法によって行われる。完成したべた基礎12は、売場部14と非売場部16、18とから成り、非売場部16、18は売場部14に対して一段下がった形状を成している。
【0042】
次いで、図1(B)に示されるように建物ユニット(バックヤードユニット)据付工事が行われる(本発明における「建物ユニット工程」に相当)。具体的には、ユニット組立工場で予め生産されて搬送車両で現場に搬入された建物ユニット(1)20乃至建物ユニット(5)20をクレーンを使って非売場部16、18の所定位置に順次吊り込んでいく。そして、図示しないアンカーボルトで建物ユニット(1)20乃至建物ユニット(5)20をべた基礎12に固定する。
【0043】
次いで、図1(C)に示されるように壁パネル及び間柱の設置工事が行われる(本発明における「柱・壁パネル工程」に相当)。具体的には、べた基礎12の売場部14の正面側の建物外縁に沿って必要本数の間柱26が立設される。また、べた基礎12の売場部14の背面側の建物外縁に沿って必要枚数の壁パネル30が立設される。
【0044】
次いで、図1(D)に示されるように屋根ユニット据付工事が行われる(本発明における「屋根工程」に相当)。具体的には、ユニット組立工場で予め生産されて搬送車両で現場に搬入された屋根ユニット(1)32をクレーンを使って建物ユニット(1)20、(2)20の上端部に吊り込んでボルト及びナットで緊結していく。その後は、屋根ユニット(2)32乃至屋根ユニット(8)32について、建物ユニット(3)20及び建物ユニット(4)20の上端部、間柱26と壁パネル30の上端部、建物ユニット(5)20と間柱26と壁パネル30の上端部といったように順次同様の据付作業を行っていく。
【0045】
最後に、図1(D)に示されるように間柱26間に外装材であるサッシ28が取り付けられていく。これにより、小規模店舗10が完成する。
【0046】
一方、何らかの理由で小規模店舗10が不要になった場合や移設することになった場合には、上記と逆の手順によって、小規模店舗10を解体し、廃棄或いは移設すればよい。解体作業は、基本的には、ボルト接合の結合状態を解除するだけであるので、容易かつ迅速に行うことができる。
【0047】
このように本実施形態に係る小規模店舗10では、建物ユニット20、間柱26、壁パネル30、屋根ユニット32、サッシ28のすべてが予め工場生産されるため、又本実施形態に係る小規模店舗10の建築工法では、ユニット工法(正確には、建物ユニット20及びスパン長が長い大スパン工法による屋根ユニット32の二種類のユニットを用いたユニット工法)によって小規模店舗10を建築することとしたので、現場作業を大幅に削減することができる。従って、短期間の大量出会い工事となるのを解消することができ、又工期の短縮を図ることができる。さらに、これらの建物ユニット20、屋根ユニット32等は取外し可能に組付けられているので、容易に解体や移設等を行うことができる。
【0048】
また、本実施形態に係る小規模店舗10では、べた基礎12の両サイドの非売場部16、18を売場部14よりも一段下げ、売場部14の床面14Aと建物ユニット20の床面20Aとの高さを揃えたので、建物ユニット20の床面20Aとべた基礎12の売場部14の床面14Aとの段差が無くなる。従って、台車を使って商品を移動させる際等にスムーズに移動させることができ、作業性を向上させることができる。
【0049】
さらに、本実施形態に係る小規模店舗10では、屋根ユニット32の生産時に当該屋根ユニット32内に空調設備・配管並びに電設配線を予め組み込む構成としたので、現場での空調設備・配管工事や電設工事等を大幅に削減することができる。従って、建方初日から三日以内の大量出会い工事の大幅解消を図ることができる。また、現場での作業も大幅に減るため、建築・解体・移設時の工期短縮に大きく貢献することができる。さらに、工場生産時に屋根ユニット32内に空調設備・配管並びに電設配線を予め組み込む構成とすることにより、品質管理を徹底することができ、小規模店舗10の品質を高めることができる。
【0050】
〔第2実施形態〕
以下、図7〜図12を用いて、本発明に係る小規模事業用建物及びその建築工法の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0051】
これらの図、特には図11及び図12の軸組図に示されるように、本実施形態に係る「小規模事業用建物」としての小規模店舗50では、べた基礎52の上に建物外縁に沿って複数の間柱54及びラチス柱56を立設させると共に、正面側の建物外縁から背面側の建物外縁に亘る長さの複数の屋根ユニット58を掛け渡して設置することにより、軸組が構成されている点に特徴がある。つまり、前述した第1実施形態では、建物ユニット20及び壁パネル30を構造体の構成要素として機能させたが、本実施形態では、更にシンプルでフレキシブルなものにするべく、これらの構造体は使用せず、柱と屋根ユニットだけを構造体の構成要素として用いるというものである。なお、図9の二点鎖線は屋根ユニット(1)58乃至屋根ユニット(9)58のユニット境界線を示している。
【0052】
また、本実施形態では、上記の着想に基づくものなので、壁パネル30は使用しない代わりに、ラチス柱56を立設すると共に、隣合う柱(間柱54、ラチス柱56)間には外装材60を取り付けている。
【0053】
次に、本実施形態に係る小規模店舗50の建築工法について説明し、当該説明を通して本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0054】
まず、基礎工事が行われる。基礎工事は第1実施形態と同様にマットスラブ工法によって行われるが、本実施形態の場合は建物ユニット20を使用しないため、完成したべた基礎12の売場部14と非売場部16、18との間に段差は形成されない。
【0055】
次いで、間柱54及びラチス柱56の設置工事が行われる(本発明における「柱工程」に相当)。具体的には、べた基礎12上の建物外縁に沿って複数本の間柱54及びラチス柱56が立設されていく。
【0056】
次いで、屋根ユニット据付工事が行われる(本発明における「屋根工程」に相当)。具体的には、ユニット組立工場で予め生産されて搬送車両で現場に搬入された屋根ユニット58をクレーンを使って対向する間柱54、ラチス柱56の上端部間に吊り込んでボルト及びナットで緊結していく。そして最後に、隣合う間柱54、ラチス柱56間に外装材60が取り付けられていく。これにより、小規模店舗50が完成する。
【0057】
一方、何らかの理由で小規模店舗50が不要になった場合や移設することになった場合には、上記と逆の手順によって、小規模店舗50を解体し、廃棄或いは移設すればよい。解体作業は、ボルト結合の解除を基本とするので、容易かつ迅速に行うことができる。
【0058】
このように本実施形態に係る小規模店舗50では、間柱54及びラチス柱56から成る柱と屋根ユニット58(及び外装材60)のすべてが予め工場生産されるため、又本実施形態に係る小規模店舗50の建築工法では、ユニット工法(正確には、スパン長が長い大スパン工法による屋根ユニット32を用いたユニット工法)によって小規模店舗50を建築することとしたので、現場作業を大幅に削減することができる。従って、短期間の大量出会い工事となるのを解消することができ、又工期の短縮を図ることができる。
【0059】
また、複数の柱(間柱54、ラチス柱56)、複数の屋根ユニット58、外装材60等はすべて取外し可能に組付けられているので、容易に解体や移設等を行うことができる。
【0060】
さらに、本実施形態に係る小規模店舗50では、前述した第1実施形態のように建物ユニット20をべた基礎12の両サイドの非売場部16、18に設置しない構成であるため、当該非売場部を売場部よりも一段下げる必要がなくなる。従って、基礎工事がより一層簡単になる。加えて、建物ユニット20を非売場部16、18に設置しない構成であるため、間取り等を自在に変更することができる(フレキシブルである)というメリットがある。これらの利点は、本実施形態に係る小規模店舗50の最大の特長である。
【0061】
また、本実施形態に係る小規模店舗50においても、屋根ユニット58の生産時に当該屋根ユニット58内に空調設備・配管並びに電設配線を予め組み込む構成としたので、現場での空調設備・配管工事や電設工事等を大幅に削減することができる。従って、建方初日から三日以内の大量出会い工事の大幅解消を図ることができる。また、現場での作業も大幅に減るため、建築・解体・移設時の工期短縮に大きく貢献することができる。さらに、工場生産時に屋根ユニット58内に空調設備・配管並びに電設配線を予め組み込む構成とすることにより、品質管理を徹底することができ、小規模店舗50の品質を高めることができる。
【0062】
〔実施形態の補足説明〕
なお、本実施形態では、小規模店舗10、50に対して本発明を適用したが、これに限らず、事務所等に対しても本発明は適用可能であり、小規模事業用建物の範疇に含まれるものであればよい。例えば、本発明に係る小規模事業用建物を事務所に用いた場合には、所員が事業に係る事務処理を行うためのスペースが「主用途部」に相当し、会議室や応接室、更衣室等として使用するスペースが「非主用途部」に相当する。
【0063】
また、本実施形態では、屋根ユニット30、58を用いたが、請求項1記載の発明には、屋根ユニットを用いず、他の屋根構成を採ったものも含まれる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る小規事業用模建物及びその建築工法は、短期間の大量出会い工事となるのを解消することができ、しかも容易に解体や移設等を行うことができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る小規模店舗及びその建築工法の概念を示す工程図である。
【図2】第1実施形態の具体例に係る小規模店舗の平面見取図である。
【図3】図2の小規模店舗を正面側から見た立面図である。
【図4】図2の小規模店舗を側面側から見た立面図である。
【図5】小規模店舗の縦断面構造を示す図3に対応する断面図である。
【図6】小規模店舗の縦断面構造を示す図4に対応する断面図である。
【図7】第2実施形態の具体例に係る小規模店舗を正面側から見た立面図である。
【図8】図7の小規模店舗を側面側から見た立面図である。
【図9】小規模店舗の縦断面構造を示す図7に対応する断面図である。
【図10】小規模店舗の縦断面構造を示す図8に対応する断面図である。
【図11】小規模店舗の軸組構造を示す図9に対応する断面図である。
【図12】小規模店舗の軸組構造を示す図10に対応する断面図である。
【符号の説明】
10   小規模店舗(小規模事業用建物)
12   べた基礎
14   売場部(主用途部)
16   非売場部(非主用途部)
18   非売場部(非主用途部)
20   建物ユニット
26   間柱
30   壁パネル
32   屋根ユニット
50   小規模店舗(小規模事業用建物)
52   べた基礎
54   間柱(柱)
56   ラチス柱(柱)
58   屋根ユニット
60   外装材

Claims (7)

  1. 予め工場生産されると共にべた基礎上の非主用途部に取外し可能に設置された複数の建物ユニットと、
    予め工場生産されると共にべた基礎上の主用途部の外縁に沿って取外し可能に立設された複数の柱と、
    予め工場生産されると共にべた基礎上の主用途部の外縁に沿って前記柱と重複しないように取外し可能に立設された複数の壁パネルと、
    を含んで構成されている、
    ことを特徴とする小規模事業用建物。
  2. 前記建物ユニット、前記柱、前記壁パネルの上端部には、予め工場生産された屋根ユニットが取外し可能に設置されている、
    ことを特徴とする請求項1記載の小規模事業用建物。
  3. 前記べた基礎の前記非主用途部の床面は、当該非主用途部に設置された建物ユニットの床面と前記べた基礎の前記主用途部の床面との高さが一致するように、所定量だけ下げられている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の小規模事業用建物。
  4. 予め工場生産されると共にべた基礎上の所定位置に建物外縁に沿って取外し可能に立設された複数の柱と、
    予め工場生産されると共に対向する前記柱の上端部間に取外し可能に掛け渡された複数の屋根ユニットと、
    予め工場生産されると共に隣合う前記柱間にそれぞれ取外し可能に取付けられた複数の外装材と、
    を有することを特徴とする小規模事業用建物。
  5. 前記屋根ユニットには、当該屋根ユニットの工場生産時に空調設備・配管並びに電設配線が予め組み込まれている、
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の小規模事業用建物。
  6. べた基礎上の非主用途部に予め工場生産された建物ユニットを取外し可能に設置する建物ユニット工程と、
    べた基礎上の主用途部の外縁に沿って予め工場生産された複数の柱と複数の壁パネルとを重複しないように取外し可能に立設する柱・壁パネル工程と、
    前記建物ユニット、前記柱、前記壁パネルの上端部に予め工場生産された屋根ユニットを取外し可能に設置する屋根工程と、
    を有することを特徴とする小規模事業用建物の建築工法。
  7. べた基礎上の所定位置に建物外縁に沿って予め工場生産された複数の柱を取外し可能に立設する柱工程と、
    対向する前記柱の上端部間に予め工場生産された屋根ユニットを取外し可能に掛け渡して設置する屋根工程と、
    隣合う前記柱間に予め工場生産された複数の外装材をそれぞれ取付ける外装材工程と、
    を有することを特徴とする小規模事業用建物の建築工法。
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