JP2004115372A - 粉末含有エアゾール組成物および粉末含有エアゾール製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、粉末1〜20重量%、沸点が5℃以下である液化ガス10〜60重量%を含有する粉末含有エアゾール組成物に関する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末含有エアゾール組成物および該粉末含有エアゾール組成物を充填した粉末含有エアゾール製品に関する。さらに詳しくは、たとえば各種医薬品、医薬部外品、化粧品、などとして好適に使用しうる人体用の粉末含有エアゾール組成物および該粉末含有エアゾール組成物を充填した粉末含有エアゾール製品に関する。さらには、制汗用エアゾール製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、制汗剤にはエアゾールやポンプ、ロールオン、スティック、クリーム、シートなど多くの商品形態があるが、エアゾール製品の場合は、液化ガスの気化熱を利用して冷却感を付与することができるため好適に用いられている。
【0003】
エアゾール式制汗剤の組成物としては、主に粉末(有効成分)、油分、液化石油ガスなどの液化ガス80〜95重量%からなる。前記制汗剤用のエアゾール組成物は粉末を配合しているため、バルブの孔(ハウジング導入孔やベーパータップ孔、ステム孔)や噴射ボタンの噴射孔などで詰まりやすくなる。これを回避するために、前述のバルブや噴射ボタンの孔径を通常のエアゾール組成物を噴射する場合よりも大きくしている。また、前記孔径を大きくすることにより液化ガスの消費量が多くなるため液化ガスを多く配合しているが、液化ガスとして燃焼性の高い液化石油ガスを使用しているため、火気に対する安全性が低くなる。そこで、エアゾール製品の安全性を考慮して、エアゾール容器内部のベーパー(気相部)をハウジング内に導入して噴射物中の液濃度を低くし、火炎長を短くできるベーパータップ付きのバルブを用いている。しかしながら前記構成にすることにより、バルブや噴射ボタンの通路内をエアゾール組成物が通過するときの流速が大きくなるため、噴射の勢いが強くなり、噴射したエアゾール組成物が皮膚面で飛散しやすく、付着性が悪い問題がある。また多量に液化ガスを配合しているため、皮膚表面で過冷却となり痛みを感じることがある。
【0004】
また、従来、粉末の分散安定性、定量噴射性を改良するために、粉末および、イソブタンとイソペンタンの液化ガス噴射剤からなる組成物を充填したエアゾール製品が開示されている(特許文献1参照)。しかし、イソペンタンの配合量が少ないため、噴射後に気化するまでの時間が短く、制汗用エアゾール製品として使用した場合に皮膚の冷却効果が持続しないという問題があった。
【0005】
このように、粉末の目詰まりがなく、かつ、エアゾール組成物の皮膚への付着率が高い粉末含有エアゾール製品、特に制汗用エアゾール製品は存在しなかった。また、使用後の皮膚の冷却効果が持続する粉末含有エアゾール製品、特に制汗用エアゾール製品は存在しなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−201465号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粉末の目詰まりがなく、かつ、粉末含有エアゾール組成物の皮膚への付着率が高い粉末含有エアゾール製品を提供することを目的とする。さらには、粉末含有エアゾール組成物を制汗剤とした場合に、使用後の制汗効果が持続する制汗用エアゾール製品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粉末0.1〜20重量%、沸点が5℃以下である液化ガス10〜60重量%を含有する粉末含有エアゾール組成物に関する。
【0009】
粉末含有エアゾール組成物は、沸点が20〜40℃である炭化水素25〜70重量%を含有することが好ましい。
【0010】
粉末含有エアゾール組成物は、前記沸点が20〜40℃である炭化水素と沸点が5℃以下である液化ガスとの配合比が80/20〜25/75であることが好ましい。
【0011】
本発明は、前記粉末含有エアゾール組成物をエアゾール容器に充填した粉末含有エアゾール製品であって、該粉末含有エアゾール製品を皮膚に噴射したとき、粉末の付着率が50重量%以上である粉末含有エアゾール製品に関する。
【0012】
前記粉末含有エアゾール製品は、前記粉末の付着率が70重量%以上であることが好ましい。
【0013】
本発明は、前記粉末含有エアゾール組成物をエアゾール容器に充填した粉末含有エアゾール製品であって、0.1〜5秒間噴射した場合において同一の付着形状を示す粉末含有エアゾール製品に関する。
【0014】
前記粉末含有エアゾール製品は、実質的に、エアゾール容器内部の気相部を粉末および原液と混合せずに噴射するバルブを備えていることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の粉末含有エアゾール組成物は、粉末0.1〜20重量%、沸点が5℃以下である液化ガス10〜60重量%を含有することを特徴としている。
【0016】
前記粉末含有エアゾール組成物は、噴射直後(噴射対象物に付着するまでの間)は噴射した粉末含有エアゾール組成物の大部分が液滴の状態で存在するため、噴射の勢いが弱く皮膚への刺激が少なくなり、また皮膚への付着性に優れる。さらに皮膚に付着した粉末含有エアゾール組成物はゆっくりと気化するため、従来の制汗剤用エアゾール製品のような短時間での多量の液化ガスの気化による過冷却はなく、適度な冷却感が得られ、かつ持続する効果がある。
【0017】
前記粉末は、粉末自体が有効成分として作用したり、有効成分をわきの下や背中、首、腕、脚などの噴射対称面で付着しやすくするなどの目的で用いられる。前記粉末としては、アルミニウムクロロハイドレート、アラントインアルミニウムクロロハイドレート、硫酸アルミニウムカリウム、酸化亜鉛等の制汗剤、タルク、カオリン、シリカ、ウンデシレン酸亜鉛、無水珪酸、珪酸マグネシウム、マイカ、雲母チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の無機粉末、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の有機粉末を挙げることができる。これらの粉末は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。
【0018】
前記粉末の平均粒子径は、10〜100μm、さらには15〜50μmであることが好ましい。前記粉末の平均粒子径が10μm未満の場合は、長期間静置したときなどの場合に粉末が容器底部で固くケーキングし易くなり、再分散性が悪く均一な組成物を噴射し難くなる。さらに皮膚などの噴射対称面で飛散しやすくなり、付着性が悪く、粉末の効果が充分発揮できない。一方100μmを越えるとバルブや噴射ボタンの通路や孔部で詰まりやすく、またステムとステムラバー5との間に挟まった場合に漏洩量が多くなる。さらに噴射の途中で粉末が沈降しやすくなり、均一な組成物を噴射し難くなる。
【0019】
前記粉末の配合量は、粉末含有エアゾール組成物中0.1〜20重量%であることが必要であるが、0.5〜15重量%であることが好ましく、さらには1〜10重量%であることが好ましい。粉末の配合量が0.1重量%未満の場合は、粉末の効果が得られにくく、所望の効果を得るためには多量に噴射する必要がある。一方20.0重量%を越えるとバルブや噴射ボタンの通路や孔部で堆積したり詰まりやすくなり、またステムとステムラバー5との間に挟まりやすくなり漏洩量が多くなる。特に、バルブとして定量噴射型バルブを用いる場合は、定量室内の粉末量が多くなるため粉末が定量室内でケーキングしやすく、またバルブの作動性が悪くなり定量性が悪くなりやすい。
【0020】
前記沸点が5℃以下である液化ガスは、粉末含有エアゾール組成物の噴射剤として作用し、噴射した粉末含有エアゾール組成物の噴霧粒子径や噴射の勢いを調整して皮膚への付着性を向上させる、冷却感を調整するなどの目的で用いられる。前記沸点が5℃以下である液化ガスとしてはノルマルブタン(−0.5℃)、イソブタン(−11.7℃)、プロパン(−42.1℃)、ジメチルエーテル(−20℃)およびこれらの混合物などがあげられる。
【0021】
前記液化ガスの沸点は5℃以下、さらには0℃以下であることが好ましい。前記液化ガスの沸点が5℃を越えると圧力が低くなりすぎ、低温状態では適切な噴射形態が得られ難く、また全量噴射できない場合がある。
【0022】
前記液化ガスの配合量は、粉末含有エアゾール組成物中10〜60重量%であることが必要であるが、さらには20〜50重量%であることが好ましい。前記液化ガスの配合量が10重量%未満の場合は、充分な冷却感が得られにくく使用感が低下する。一方60重量%を越えると、噴射の勢いが強くなり皮膚への刺激や皮膚表面での飛散が大きくなるとともに、冷却効果が強くなりすぎ、使用感が悪くなる。
【0023】
本発明の粉末含有エアゾール組成物は、噴射したときの噴射物の大きさ(噴霧粒子径)や噴射の勢いを調整して皮膚への付着性を向上させ、また、粉末含有エアゾール組成物が皮膚に付着した後の気化する時間を調整し、冷却感を調整するなどの目的で前記沸点が20〜40℃である炭化水素を配合することが好ましい。前記沸点が20〜40℃である炭化水素としては、ノルマルペンタン(36.1℃)、イソペンタン(27.9℃)およびこれらの混合物などがあげられる。
【0024】
これらの中で、イソペンタンが、皮膚に付着した噴射物の気化する時間や冷却効果を調整しやすい点で、好ましい。
【0025】
前記炭化水素の沸点は20〜40℃、さらには25〜38℃であることが好ましい。前記沸点が20℃未満の場合は、噴射途中で気化する量が多くなり付着性が悪くなる。また皮膚上での気化する時間が短くなり冷却感が強くなりやすい。一方、40℃を越えると蒸発潜熱が小さくなり適度な冷却感が得られにくい。また気化する時間が長くなりすぎ使用感が悪くなる。
【0026】
前記沸点が20〜40℃である炭化水素の配合量は、粉末含有エアゾール組成物中25〜70重量%であることが好ましく、さらには30〜65重量%であることが好ましい。前記炭化水素の配合量が25重量%未満の場合は、皮膚表面での飛散が多く付着性が悪くなる。一方70重量%を越えると皮膚表面での乾燥が遅くなり、垂れ易くなる。また該炭化水素は引火点が低いため、燃焼性が高くなり火気に対する安全性が低下する。
【0027】
なお、前記沸点が20〜40℃の炭化水素は、噴射の勢いや冷却感などの使用感を調整するために、沸点が5℃以下の液化ガスと所定の配合比(重量比)にて配合することが好ましい。前記配合比は炭化水素/液化ガス=80/20〜25/75、さらには75/25〜30/70、特に70/30〜50/50であることが好ましい。前記配合比が80/20よりも大きい場合は、圧力が低くなりすぎ低温時噴射しがたくなる。また噴霧粒子が大きくなりすぎて皮膚表面に均一に付着させ難く、さらに垂れ落ちやすくなる。一方25/75よりも小さい場合は噴射の勢いが強く、また乾燥時間が短くなりすぎ冷却感が持続しないなど、使用感が低下する。なお、沸点が20〜40℃である炭化水素と液化ガスは、予め所定の配合比に調製した混合物を充填しても良く、個々に充填しても良い。
【0028】
また本発明の粉末含有エアゾール組成物には、製品の目的や効果などに応じて有効成分や油成分、アルコール類、加圧剤などを配合することができる。
【0029】
前記有効成分としては、プロピレングリコール、グリセリン、1、3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾール、銀などの殺菌(抗菌)・防腐剤、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチルなどの消臭・防臭剤、l−メントール、カンフルなどの清涼剤、酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどの紫外線吸収剤、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ビタミンD2、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類、エラストラジオール、エチニルエストラジオールなどのホルモン類、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの各種抽出液、サリチル酸メチル、カンフル、ジフェンヒドラミン、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェン、クロタミトンなどの消炎鎮痛剤、アラントイン、グリチルレチン酸、アズレンなどの抗炎症剤、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェミラミンなどの抗ヒスタミン剤、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミド、ジメチルフタレートなどの害虫忌避剤などがあげられる。なお前記有効成分は、シリカやゼオライトなどの多孔性粉末に担持させて配合しても良い。
【0030】
前記有効成分の配合量は、粉末含有エアゾール組成物中0.01〜20重量%であることが好ましく、さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。
【0031】
前記有効成分の配合量が0.01重量%未満の場合は、有効成分の効果が得られにくく、所望の効果を得るためには多量に噴射する必要がある。一方20重量%を超えると有効成分によっては濃度が高くなりすぎ、人体に悪影響を及ぼす場合がある。
【0032】
前記油成分は、粉末の粉末含有エアゾール組成物中での分散性を向上させる分散剤として、また粉末を噴射対処面に付着しやすくするなどの目的で用いられる。
【0033】
前記油成分としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、デカなど)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などの界面活性剤、
ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール、
スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸、
メチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、
ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジエトキシエチル、コハク酸ジエトキシエチルなどのエステル油、
ミツロウ、ラノリン、カンデリラロウ、パラフィンワックスなどのロウ(ワックス類)、
ツバキ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂があげられる。
【0034】
前記油成分の配合量は、粉末含有エアゾール組成物中0.01〜20重量%が好ましく、さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。前記油成分の配合量が0.01重量%未満の場合は、油成分を配合する分散効果や付着効果などが得られにくい。一方20重量%を越えるとべたつき感が強くなったり乾燥性が悪くなるなど、使用感が低下しやすい。
【0035】
前記アルコール類は、乾燥性や粉末の分散性を調整する、さらには前記液化ガスや炭化水素を溶解させてエアゾール容器内部の圧力を調整し噴射の勢いや付着性、冷却感などを調整するなどの目的で用いられ、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコールなどの低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールなどがあげられる。
【0036】
前記アルコール類の配合量は、粉末含有エアゾール組成物中0.1〜50重量%であることが好ましく、さらには1〜40重量%であることが好ましい。前記アルコール類の配合量が0.1重量%未満の場合はアルコール類を配合する効果が得られにくい。一方、50重量%を超えると皮膚表面などで液垂れしやすくなり、付着性が悪くなる。
【0037】
前記加圧剤は、温度変化による圧力変化を小さくし、噴射状態を保つなどの目的で用いられ、炭酸ガス、窒素ガス、亜酸化窒素ガス、圧縮空気などの圧縮ガスがあげられる。
【0038】
本発明の粉末含有エアゾール組成物は、前記粉末、沸点が5℃以下である液化ガスを含有し、該粉末含有エアゾール組成物をエアゾール容器に充填することにより粉末含有エアゾール製品が得られる。
【0039】
本発明の粉末含有エアゾール組成物を充填する、前記エアゾール容器としては、容器本体とその容器本体の開口部に固着するバルブとからなる。
【0040】
前記容器本体は従来公知のものであり、アルミニウムやブリキなどの金属やポリエチレンテレフタレートなどの樹脂、耐圧ガラスなどを有底筒状に成型し、その口部にバルブ装着部を形成している。
【0041】
前記バルブは、容器本体の開口部にクリンプ(あるいはクリンチ)されるマウンティングカップと、該マウンティングカップ中央に保持されるハウジングと、ハウジング内に上下動自在に収容されるステムと、ステムのステム孔を開閉するステムラバーと、ステムを常時上向きに付勢するスプリングと、ハウジングの下端から容器底部に伸びているディップチューブとからなる。
【0042】
本発明の粉末含有エアゾール製品に用いるバルブは、従来公知のバルブを用いても良いが、前記ステムが、ステムラバーと摺動する円筒状の摺動部と、該摺動部の下部に設けられ、ステムラバーの内径の一部が密に当接する傾斜部とを有すことが好ましい。前記ステムがステムラバーと摺動する円筒状の摺動部を備えていることにより、ステムを押し下げて粉末含有エアゾール組成物を噴射してもステムとステムラバー内径面との間に隙間が生じないため、粉末含有エアゾール組成物中の粉末がステム孔付近を通過するときにステムとステムラバーとの間に挟まることがなく、繰り返し使用しても漏洩しない。また噴射時にステム孔付近に粉末が付着あるいは堆積した場合であっても、ステムは前記摺動部の下部にステムラバーの内径の一部が密に当接する傾斜部を備えているため、ステムが上昇する際に付着あるいは堆積した粉末をステムラバーによりかき落とし、詰まりや漏洩を防止することができる。
【0043】
また、実質的にエアゾール容器内部の気相部を噴射通路(ディップチューブからハウジング、ステム孔に至るまでの通路)に導入せずに噴射することができるバルブを用いることが好ましい。前記バルブとしては、ハウジングにべーパータップ孔を備えていないものがあげられるが、本発明の粉末含有エアゾール組成物を全量噴射することができる範囲のベーパータップ孔を設けてもよい。該バルブを用いることにより、粉末含有エアゾール組成物中の液化ガス量を少なくすることが可能となり、噴射の勢いを弱くして付着性を向上させる、皮膚表面での飛散を少なくして同一の付着形状とする、皮膚への刺激を少なくする、過冷却を防止できる、という効果を有する。
【0044】
なお、噴射の途中からエアゾール容器内部の気相部を導入することができるバルブを用いてもよい。この場合、エアゾール組成物中の液化ガス量を少なくすることができると共に、火炎長、特に逆火を短くすることができ、火気に対する安全性が高くなるという効果が得られる。
【0045】
また、ステムを押し下げている状態では気相部の導入を遮断し、ステムが元の位置にある状態ではハウジング内部と気相部とを連通させる手段を備えたバルブを用いてもよい。該バルブとしては、たとえば特開平8−187455号公報、特開平8−198351号公報などに記載されているバルブを用いることができる。該バルブを用いることにより、バルブを押し下げていない状態ではハウジング内部が容器内の気相部と連通しているため、チューブ内にあるエアゾール組成物を攪拌することができる。
【0046】
さらに前記バルブに定量噴射機構を備えた定量噴射型バルブを用いることができる。定量噴射機構としては、たとえば定量室内にパウダー溜まり部と攪拌部材を備えている定量バルブ(特開2001−114360号公報)や、炭酸ガスなどの溶解性圧縮ガスを配合し、溶解性圧縮ガスの気化により定量室内を攪拌させる定量バルブ(特開2001−335083号公報)、多孔性粉体を配合し、多孔性粉体の沸石効果により定量室内を攪拌させる定量バルブ(特開2001−335086号公報)、パウダー溜まり部に内容物が流入し、定量室内を攪拌させるバイパスを備えた定量バルブ(特開2001−300366号公報)などがあげられる。
【0047】
定量噴射型バルブ用いることにより、使いすぎを防止できる、噴射量がわかるという効果を有する。
【0048】
前記エアゾール容器に、バルブのスプリングの付勢方向に対する強制位置決め部を備えていることが好ましい。これにより、ステムとステムラバーによるシール位置が固定されるため、シール性が高くなり、漏洩が少なくなるという効果を有する。
【0049】
また前記バルブに装着される噴射ボタンとしては特に限定されないが、エアゾール組成物を噴射したとき、噴射パターンを広くすることができ、また均一に付着させることができる点からメカニカルブレークアップ機構を備えたものが好ましい。
【0050】
本発明の粉末含有エアゾール製品の噴射時間は特に限定されないが、0.1〜5秒間であることが好まく、0.2〜3秒間であることがより好ましい。0.1秒間より短いと、噴射量が少なく、皮膚表面での付着量が少なくなり、5秒間より長いと、皮膚表面に効果的に付着しにくくなる(重ね塗り状態)傾向にある。
【0051】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の粉末含有エアゾール製品に用いられるバルブについて、いくつか説明するが、以下に示すバルブに限定されるものではない。
【0052】
バルブの実施の形態1
図1および図2に本発明の粉末含有エアゾール製品に用いられるバルブの一実施の形態を示す。図1および図2は粉末含有エアゾール製品のバルブ近傍を示した断面図であり、図1は使用していない(噴射停止の)状態、図2は使用中(噴射中)の状態をそれぞれ示している。
【0053】
図1に示すバルブは、容器本体の開口部にクリンプ(あるいはクリンチ)されるマウンティングカップ3と、該マウンティングカップ3中央に保持されるハウジング4と、ハウジング内に上下動自在に収容されるステム1と、ステム1のステム孔(連通孔)2を開閉するステムラバー5と、ステム1を常時上向きに付勢するスプリング6と、ハウジングの下端から容器底部に伸びているディップチューブ8とからなる。
【0054】
ステム1は、たとえば金属や合成樹脂などからなる軸状の部材であり、円筒形のステム本体1a、ステム本体1aに連続する円錐形の傾斜部1b、および傾斜部1bに連続する円筒形のステム基部1cからなり、傾斜部1bにおいて円錐形の頂角θは20〜80°とされている(ステム1の斜視図および断面図である図3を参照)。また、傾斜部1bの下方あるいはステム基部1cに突起1dが設けられ、ステム1の軸方向と平行に突出している。
【0055】
一方、ステムラバー5は弾性材料から作られた板状の部材であり、中央に貫通穴が設けられている。ステムラバー5の材料としては、たとえばニトリルゴムやブチルゴム、クロロプレンゴムなどの合成ゴム、あるいは天然ゴムがあげられるが、ステム1との摺動が円滑であり内容物による膨潤が小さい点でニトリルゴムが好ましく、とくにアクリロニトリルを30重量%以上含有する、たとえば中高ニトリル、高ニトリル、極高ニトリルなどのニトリルゴムがとくに好ましい。
【0056】
本実施の形態のバルブでは、このステムラバー5が、ハウジング4とマウンティングカップ3とに挟まれる形でエアゾール容器内外の境界に固定され、ステム1が、傾斜部1b側が容器内、ステム本体1a側が容器外となるようにステムラバー5の貫通穴に気密にかつ摺動可能に挿入されている。そして、図1に示した噴射停止状態においては、突起1dがステムラバー5に当接し、ステム1の容器外方向への移動を規制するストッパとして作用している。該ストッパーにより、ステム1が押し下げられた後にスプリング6の付勢力により元の位置に戻るとき、ステム1の上昇位置を固定することができる。従来、ステムの作動毎にステムとステムラバー5の位置関係にバラツキが生じ、漏洩の原因の一つになっていたが、該ストッパーによりステム1とステムラバー5との位置関係(シール関係)が固定されるため、ステム1とステムラバー5との間のシール性が高くなる。さらにステム1の傾斜部1bがステムラバー5の内径面に密に当接しているため、ステムラバー5とステム1とのあいだのシール性がより強化され好ましい。
【0057】
ところで、ステム本体1aには連通孔2が形成されており、連通孔2の一端は非貫通の導通孔7を介して容器外へとつながっている。また、連通孔2のもう一端はステム本体1aの円筒面表面に露出し、図1に示した噴射停止状態においては容器の外(ステムラバー5より上部)に位置している。したがって、この状態では連通孔2および導通孔7は容器内の空間に接続されてはいない。
【0058】
この図1の状態から、噴射ボタンなどを操作してステム1を容器内方向に押し込むと、連通孔2がバルブのハウジング内の空間と連通する(図2参照)。このとき、ディップチューブ8、ハウジング4、連通孔2および導通孔7を経由する噴射通路が形成され、内容物がこの通路を通って噴射される。その後、ステム1の押し下げを解除すると、容器内の圧力およびスプリング6の働きによりステム1が図1の状態に復帰し、噴射が停止する。
【0059】
このとき、連通孔2の付近に付着していた粉末は、自然にあるいはステムラバー5に掻き落とされて落下する。本実施の形態のバルブにおいては、連通孔2の下方において、ステム1が頂角θ=20〜80°の円錐状に広がり傾斜が大であるため、粉末がスムースにハウジング内へと落下し、堆積を生じることがない。なお、頂角θが80°よりも大である場合、粉末がスムースに落下しなくなる傾向がある。一方、頂角θが20°よりも小さい場合、傾斜部1bとステムラバー5との当たりが弱くなり、シール機能が不足する可能性がある。したがって、傾斜部1bの頂角θは20〜80°が好ましく、さらには30〜70°が好ましい。また、突起1dをステム1の全周にわたって設けた場合、粉末の落下を妨げる可能性がある。そこで、図3に示したとおり、複数の突起1dを離間して設けるとよい。
【0060】
なお、ステム1とステムラバー5の間の気密の確保と円滑な摺動とを両立させるため、ステムラバー5の貫通穴の径をステム本体1aの径の0.6〜0.9倍、さらに好ましくは0.7〜0.85倍としておくとよい。貫通穴の径がステム本体1aの径の0.6倍よりも小さい場合、摺動がきつくなり操作感の悪化を招く。一方、貫通穴の径がステム本体1aの径の0.9倍よりも大きい場合、内容物によりステム1とステムラバー5の弾力性や硬度、大きさ(膨張や収縮)などに変化が生じた場合などで、シール性が悪化し気密を保てなくなる可能性がある。
【0061】
ところで、本実施の形態のバルブの特徴は、ステム1を係止するためのストッパを、ステム1とステムラバー5とのあいだの摺動部から離れた位置に設けたことにある。すなわち、ステム1とステムラバー5とのあいだの摺動部およびストッパの少なくとも2ヵ所において、ステム1とステムラバー5とが当接することが特徴である。これにより、粉末の付着や堆積によって連通孔2の閉塞やシール不良が生じかねない摺動部の近傍において、ステム1の係止機能を考慮することなくステム形状を選択することができ粉末の付着および堆積を確実に防止することが可能になる一方、別途設けるストッパにおいて噴射停止時のステム位置を確実に規定できるため、ステム1の係止位置がばらつくこともない。
【0062】
またこの形態のバルブは、ハウジング4にベーパータップ孔を備えていないため、エアゾール容器内部の気相部を前述の噴射通路に導入することなく噴射することができ、液化ガスの配合量を少なくすることが可能となり、噴射の勢いを弱くして付着性を向上させる。皮膚表面での飛散を少なくして同一の付着形状とすることができる。
【0063】
バルブの実施の形態2
図4に本発明の粉末含有エアゾール製品に用いられるバルブのほかの実施の形態を示す。図4は粉末含有エアゾール製品のバルブ近傍を示した断面図であり、使用していない(噴射停止の)状態を示している。
【0064】
図1〜3に示したバルブの実施の形態1では、ステム1の傾斜部1bとステム1の基部との間に、ステム1の軸方向と平行に突出する突起1dを設け、該突起1dがステムラバー5と当接してステム1の容器外方向への移動を規制するストッパーとして作用していたが、図4に示すバルブは、ステム基部1cに、ステム基部1cの表面から半径方向に突き出している複数の突起1eが設けられているステム1を用いている。ステム1の他の構成は、前記実施の形態1と同様である(図5参照)。
【0065】
さらに、本実施の形態では、ステムラバー5とハウジング4とのあいだに円環状の係止リング9が挟まれ、固定されている。そして、図4に示した噴射停止状態においては、突起1eが係止リング9に当接し、ステム1の容器外方向への移動を規制するストッパとして作用している。該ストッパーによる効果は前記実施の形態1と同じである。
【0066】
本実施の形態のバルブにおいても、連通孔2の付近に粉末が付着しても、自然にあるいはステムラバー5に掻き落とされて落下する。また連通孔2の下方において、ステム1が頂角θ=20〜80°の円錐状に広がり傾斜が大であるため、粉末がスムースにハウジング4内へと落下し、堆積を生じることがない。さらに、複数の突起1eを離間して設けているため、粉末は、突起1eによって妨げられることなく、突起1eと突起1eのあいだを通ってスムースにハウジング4内に落下する。
【0067】
なお、本実施の形態においては、ステムラバー5と係止リング9を別個の部品としているが、これらを一体に形成してももちろんよい。
【0068】
また、この形態のバルブも、ハウジング4にベーパータップ孔を備えていないため、前記実施の形態のバルブ1と同様に、付着性を向上させる、同一の付着形状とするなどの効果が得られる。
【0069】
バルブの実施の形態3
図6に本発明の粉末含有エアゾール製品に用いられるバルブの別の実施の形態を示す。図6は粉末含有エアゾール製品のバルブ近傍を示した断面図であり、使用していない(噴射停止の)状態を示している。
【0070】
前記バルブの実施の形態1、2は共に、ステム1のバルブ内部に収納される部分(傾斜部1b、ステム基部1c)に突起を設けていたが、図6に示すバルブは、ステム本体1aの表面に突起1fが設けられているステム1を用いている。他の構成は前記実施の形態1、2と同様である。
【0071】
さらに、本実施の形態では、バルブのマウンティングキャップ3に係止部材10が取り付けられており、図6に示した噴射停止状態において、突起1fが係止部材10に当接し、ステム1の容器外方向への移動を規制するストッパとして作用している。すなわち、エアゾール容器の外部にステム1の容器外方向への移動を規制するストッパー機能を設けている。該形態のバルブもストッパーによる効果を得ることができる。
【0072】
さらに、本実施の形態のバルブにおいても、連通孔2の付近に粉末が付着しても、自然にあるいはステムラバー5に掻き落とされて落下する。また、連通孔2の下方において、ステム1が頂角20〜80°の円錐状に広がり傾斜が大であるため、粉末がスムースにハウジング4内へと落下し、堆積を生じることがない。
【0073】
また、この形態のバルブも、ハウジング4にベーパータップ孔を備えていないため、前記実施の形態のバルブ1と同様に、付着性を向上させる、同一の付着形状とするなどの効果が得られる。
【0074】
バルブの実施の形態4
本発明で用いられるバルブは、前記バルブの実施の形態1、2および3のいずれにおいても、また従来公知のバルブにおいても、図7に示すとおり、ディップチューブ8の先端にエアライザ11を取り付けることができ、エアゾール容器内の内容物中に設けられている。エアライザ11は、合成樹脂や金属などでつくられた略U字型の中空部材であり、U字の端部にベーパー(気相部)導入口11aおよび内容物導出口11cが、U字の底部付近にはリキッド(液相部)導入口11bが形成されている。内容物導出口11cにディップチューブ8が接続され、ベーパー(気相部)導入口11aにエアチューブ12が接続されている。エアチューブ12の他端はエアゾール容器内の気相部にあり、噴射剤のベーパーが導入されるようになっている。
【0075】
噴射ボタンを操作しバルブを開放すると、噴射剤の圧力により、粉末を含むエアゾール組成物の液相中がリキッド導入口11bから導入され、ディップチューブ8およびバルブを経由して噴射される。噴射開始直後はエアチューブ12内に液相が存在しているため、エアチューブ12内の液相はリキッド導入口11bから導入された内容物と共に噴射される。次いで、エアチューブ12内の液相が噴射されてしまうと、エアゾール容器内の気相を、エアチューブ12およびベーパー導入口11aを経由してエアライザ11中へと導入し、液相と気相とが混合されて噴射される。
【0076】
すなわち、該機構を設けることにより、噴射直後はエアゾール組成物の液相部分を噴射し、一定の時間経過後に、液相に気相が混合された状態で噴射することができる。その結果、エアゾール組成物中の液化ガス量を少なくすることができると共に、火炎長、特に逆火を短くすることができ、火気に対する安全性が高くなるという効果が得られる。
【0077】
【実施例】
つぎに本発明の粉末含有エアゾール製品を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0078】
実施例1
表1に示す各成分のうち、粉末と油成分とをアルミニウム製の容器本体(満注量200ml)に充填したのち、液化ガスと炭化水素の混合物をアンダーカップ充填し、次いで、容器本体開口部に図1に示すバルブ(ステム孔径φ0.3、ハウジング下孔径φ0.3、ベーパータップ孔なし)を固着した。エアゾール容器内部の圧力は0.22MPa(25℃)であった。該エアゾール容器に噴射ボタンを取り付けてエアゾール製品を得た。なお、噴射ボタンは、噴孔径がφ0.51であり、メカニカルブレークアップ機構付のノズルを装着しているものを使用した。表1中のLPG0.27は、20℃での蒸気圧が0.27MPaである液化石油ガスをいう。以下に示す方法で付着率測定試験、使用感、スプレーパターン付着状態についての試験を行なった。結果を表2、表3に示す。
【0079】
(付着率測定試験)
得られた粉末含有エアゾール製品を25℃の恒温水槽に1時間保持し、以下の方法にて付着率を求めた。
▲1▼濾紙の初期重量を測定。
▲2▼濾紙へ1秒間噴射。
▲3▼濾紙を25℃にて30分間乾燥させ、乾燥重量を測定。
▲4▼(▲3▼の乾燥重量)−(▲1▼の初期重量)より付着量を算出。
▲5▼噴射量中の固形分量を計算し、固形分量と付着量との比から、付着率を算出。
【0080】
(使用感)
粉末含有エアゾール製品をわきの下に噴射し、下記の評価基準に基づき使用感を評価した。
◎:飛散や液垂れがなく、適度な冷却感が得られ、かつ持続した。
○:少量の液垂れがあるが、適度な冷却感が得られた。
△:液垂れが多く、かつ冷却感が弱い。
×:飛散が多く、過冷却により痛みを感じる。
【0081】
(スプレーパターンの測定)
噴射孔から2、5、10cmの各距離に設けた濾紙に対して、所定の時間噴射し、濾紙に付着した内容物の大きさ(スプレーパターン)を測定した。結果を表3に示す。表中の数値は縦×横であり単位はcmである。
【0082】
(付着状態の観察)
スプレーパターンの測定時に、噴射物が濾紙に付着する様子を観察した。
○:濾紙表面でのはね返りがなく、均一に付着している。
×:濾紙表面でのはね返りが多く、不均一に付着している。
【0083】
実施例2
噴射ボタンとして、噴射径がφ0.9であり、噴孔の通路がストレート形状であるノズルを装着しているものを用いた以外は、実施例1と同様に粉末含有エアゾール製品を作製し、付着率測定試験、使用感、スプレーパターン付着状態についての試験を行なった。結果を表2、表3に示す。
【0084】
実施例3〜7
表1に示す各成分をもちいた以外は、実施例1と同様にエアゾール製品を作製し、付着率測定試験、使用感についての試験を行なった。結果を表2に示す。表1中のLPG0.25、LPG0.34、LPG0.49は、それぞれ20℃での蒸気圧が0.25、0.34、0.49MPaである液化石油ガスをいう。
【0085】
実施例8
表1に示す各成分を用い、ステム孔径φ0.5、ハウジング下孔径φ1.0、ベーパータップ孔径φ0.3を有するバルブを用いた以外は実施例1と同様にエアゾール製品を作製し、付着率測定試験、使用感についての試験を行なった。結果を表2に示す。
【0086】
比較例1
表1に示す各成分のうち、粉末と油成分とをアルミニウム製の容器本体(満注量200ml)に充填したのち液化石油ガスをアンダーカップ充填し、次いで、容器本体開口部に図1に示すバルブ(ステム孔径φ0.51×2、ハウジング下孔径φ0.76×φ0.64)を固着した。エアゾール容器内部の圧力は0.22MPa(25℃)であった。該エアゾール容器に噴射ボタンを取り付けてエアゾール製品を得た。なお、噴射ボタンは、実施例2と同じものを用いた以外は、実施例1と同様に粉末含有エアゾール製品を作製し、付着率測定試験、使用感、スプレーパターン付着状態についての試験を行なった。結果を表2、表3に示す。
【0087】
比較例2
表1に示す各成分を配合して、各成分のうち、粉末と油成分とをアルミニウム製の容器本体(満注量200ml)に充填したのち液化石油ガスと炭化水素との混合物をアンダーカップ充填し、次いで、容器本体開口部に図1に示すバルブ(ステム孔径φ0.3、ハウジング下孔径φ0.3、ベーパータップ孔なし)を固着した。エアゾール容器内部の圧力は0.22MPa(25℃)であった。該エアゾール容器に噴射ボタンを取り付けてエアゾール製品を得た。なお、噴射ボタンは、実施例2と同じものを用いた以外は、実施例1と同様に粉末含有エアゾール製品を作製し、付着率測定試験、使用感についての試験を行なった。結果を表2に示す。表1中のLPG0.20は、それぞれ20℃での蒸気圧が0.20MPaである液化石油ガスをいう。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
表2に示した結果から明らかなように、本発明のエアゾール組成物を充填したエアゾール製品(実施例1〜8)はいずれも付着率が高く、また使用感については、液垂れが少なく、適度な冷却感が得られた。一方、従来の一般的な制汗剤である比較例1は付着率が非常に低く、また使用感についても飛散が多く、冷却による痛みを感じ悪いものであった。
【0092】
【発明の効果】
本発明により、粉末の目詰まりがなく、かつ、粉末含有エアゾール組成物の皮膚への付着率が高い粉末含有エアゾール製品が得られる。さらには、粉末含有エアゾール組成物を制汗剤とした場合に、使用後の制汗効果が持続する制汗用粉末含有製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバルブの一実施の形態を示した断面図であり、噴射していない状態を示した図である。
【図2】本発明のバルブの一実施の形態を示した断面図であり、噴射している状態を示した図である。
【図3】図1および図2に示したバルブについて、ステムを拡大して示した斜視図(a)および断面図(b)である。
【図4】本発明のバルブのほかの実施の形態を示した断面図であり、噴射していない状態を示した図である。
【図5】図4に示したバルブについて、ステムを拡大して示した斜視図である。
【図6】本発明のバルブの別の実施の形態を示した断面図であり、噴射していない状態を示した図である。
【図7】本発明のバルブの一実施の形態を示した図であり、とくにエアライザの断面を示した図である。
【符号の説明】
1 ステム
2 連通孔
3 マウンティングカップ
4 ハウジング
5 ステムラバー
6 スプリング
7 導通孔
8 ディップチューブ
9 係止リング
10 係止部材
11 エアライザ
12 エアチューブ
Claims (7)
- 粉末0.1〜20重量%、沸点が5℃以下である液化ガス10〜60重量%を含有する粉末含有エアゾール組成物。
- 沸点が20〜40℃である炭化水素25〜70重量%を含有する請求項1記載の粉末含有エアゾール組成物。
- 前記沸点が20〜40℃である炭化水素と沸点が5℃以下である液化ガスとの配合比が80/20〜25/75である請求項1または2記載の粉末含有エアゾール組成物。
- 請求項1、2または3記載の粉末含有エアゾール組成物をエアゾール容器に充填した粉末含有エアゾール製品であって、該粉末含有エアゾール製品を皮膚に噴射したとき、粉末の付着率が50重量%以上である粉末含有エアゾール製品。
- 前記粉末の付着率が70重量%以上である請求項4記載の粉末含有エアゾール製品。
- 請求項1、2または3記載の粉末含有エアゾール組成物をエアゾール容器に充填した粉末含有エアゾール製品であって、0.1〜5秒間噴射した場合において同一の付着形状を示す粉末含有エアゾール製品。
- 実質的に、エアゾール容器内部の気相部を粉末および原液と混合せずに噴射するバルブを備えた請求項4、5または6記載の粉末含有エアゾール製品。
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