JP2004113503A - ネット部材の張り構造及び張り方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ネット部材の周縁部を、比較的軽力をもって、簡単に、かつ均一の張力をもって、フレームに固定しうるようにしたネット部材の張り構造及び張り方法を提供する。
【解決手段】硬質のフレーム1の表面と外側面とを覆うようにして、フレーム1に被せたネット部材2の周縁を、ネット部材2に張力を付与して、フレーム1の裏面に取り付けたネット部材の張り構造において、フレーム1の表面と外側面との交差部に、その稜線の方向を向く凹溝17を設け、この凹溝17に、軟質材からなる縁材18の一部を嵌合し、縁材18の他部でネット部材2を外方に押し出すようにする。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子における座や背凭れ等に適用しうるネット部材の張り構造及び張り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
閉結構造の座フレームに、弾性変形可能な高張力プラスチック等のネット部材(多孔板を含む)を張設した従来の椅子の座構造においては、通常、ネット部材の周縁部を、座フレームの上面および外側面に重合した後、座フレームの下面に沿って内方へ折り曲げ、この折り曲げ部を、当板等を介して、締付けねじ等より、座フレームに固定している(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−244103号公報(第1〜2頁、第1図)。
【特許文献2】
特開2002−165672号公報(第1〜3頁、第4図)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来の座構造においては、ネット部材を一定の張力をもって展張し、かつその周縁部を、座フレームに均一に重合して、締付けねじ等で固着することは容易ではなく、多大の技術と力と手間を要し、かつ締付け部等に、しわやたるみが発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、ネット部材の周縁部を、比較的軽力で、簡単に、かつ均一の張力をもって、フレームに固定しうるようにしたネット部材の張り構造及び張り方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 硬質のフレームの表面と外側面とを覆うようにして、前記フレームに被せたネット部材の周縁を、ネット部材に張力を付与して、前記フレームの裏面に取り付けたネット部材の張り構造において、前記フレームの表面と外側面との交差部に、その稜線の方向を向く凹溝を設け、この凹溝に、軟質材からなる縁材の一部を嵌合し、前記縁材の他部でネット部材を外方に押し出すようにする。
【0007】
(2) 上記(1)項において、縁材を、可撓性を有する合成樹脂製の線材により形成する。
【0008】
(3) 上記(1)または(2)項において、凹溝及び縁材を、フレームの全周に設ける。
【0009】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、ネット部材の外周縁に止着した係止縁材を、フレームの外周部裏面に設けた係止溝内に挿入し、前記フレームの外周部裏面を覆うネット部材の周縁部及び前記係止縁材を締付枠により前記フレームの外周部裏面に向かって押圧することにより、前記係止縁材を、フレームにおける係止溝内へ押圧保持する。
【0010】
(5) 上記(4)項において、フレームにおける凹溝の表面寄りの縁に、外向きの突条を設け、これと締付枠の外周部に設けた保護フランジとの間に、縁材とその外周を取り巻いて垂下するネット部材の垂下部分とを挟むようにする。
【0011】
(6) 上記(4)または(5)項において、係止溝と係止縁材の対向面に、両者の嵌合度が一定以上となったときに、互いに弾性係合して、抜け止めしうる可撓係止爪と係合孔を設ける。
【0012】
(7) 上記(4)〜(6)に項において、フレームと締付枠の対向面のいずれか一方に、受圧用溝を、同じく他方に食い込み突条を設け、フレームと締付枠を結合した際、ネット部材の周辺部が、受圧用溝と食い込み突条とにより挟圧されて、張力が付与されるようにする。
【0013】
(8) ネット部材の張り方法において、表面と外側面との交差部に、その稜線の方向を向く凹溝を設けた閉結構造の硬質のフレームの表面と外側面とを覆うように、ネット部材を前記フレームに被せ、かつネット部材の周縁を、ネット部材に張力を付与して、前記フレームの裏面に取り付けた後、軟質材からなる縁材を、前記フレームの表面とネット部材の内面との間に、フレームの内側から順次押し入れて、前記凹溝に係合させ、前記凹溝から突出した縁材の突出部分により、ネット部材を外方に押し出すことにより、ネット部材にさらに張力を付与することを特徴とするネット部材の張り方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を、図1に示す椅子(A)の座(B)に適用した場合の実施の一形態を、図2以下に基いて説明する。なお本発明は、椅子(A)の背凭れ(C)にも、等しく適用しうるものである。
【0015】
図2、図3に示すように、座(B)は、閉結構造とした方形枠状の座フレーム(フレーム)(1)の外周部の上面(表面)に、高張力プラスチック等のネット部材(2)の周辺部を重合した後、この周辺部を、下方へ折り曲げて、座フレーム(1)の外周部の外側面に重合し、さらに座フレーム(1)の下面(裏面)に沿って内方へ折り曲げ、この内向折曲げ部(2a)の下面に、座フレーム(1)とほぼ相似形をなす締付枠(3)を重合し、ボルト(4)をもって、締着して形成されている。
【0016】
そのため、座フレーム(1)の外周部の下面、および締付枠(3)の複数の対応個所には、それぞれ、ねじ孔(5)と通孔(6)が穿設されている。
【0017】
ネット部材(2)における前記内向折曲げ部(2a)は、座フレーム(1)の外周部の下面と締付枠(3)の上面との間に、次のようにして挟支保持されている。
【0018】
座フレーム(1)の外周部(7)は硬質の厚肉部となっておりこの外周部(7)の下面(裏面)には、内側から、上向きの環状逃げ溝(8)、係止用環状溝(9)および受圧用環状溝(10)が設けられている。
【0019】
内側の環状逃げ溝(8)と中間の係止用環状溝(9)の間の隔壁(11)はやや薄肉となっており、その下端適所には、隔壁(11)の長手方向に対をなして並ぶ多数の上向き切込み(12a)(12a)を設け、隣接する上向き切込み(12a)(12a)の間を、下面が外上方を向く傾斜面とした可撓係止爪(12)としてある。
係止用環状溝(9)の頂壁には、透孔(9a)が穿設されている。この透孔(9a)は、ここに先細体を挿入して、係止縁材(13)を、容易に係止用環状溝(9)から外すためのものである。
【0020】
外側の受圧用環状溝(10)は、緩傾斜の台形断面となっている。
【0021】
ネット部材(2)の周縁部には、その全長に沿って、座フレーム(1)における厚肉の外周部(7)の外側面および下面に沿って巻回した後、前記係止用環状溝(9)内へ下方から進入しうる断面L形の係止縁材(13)が止着され、係止縁材(13)の角部における前記可撓係止爪(12)と対応する位置には、係合孔(14)が穿設されている。
【0022】
ネット部材(2)の幅、従ってその対向する係止縁材(13)(13)間の間隔は、後述のようにネット部材(2)を張設した際、その張力が、一定かつ所望の値となるように定められている。
【0023】
締付枠(3)の上面は、座フレーム(1)の厚肉の外周部(7)へ下方から嵌合しうる凹溝状となっており、その上面要所には、座フレーム(1)の下面における外側の受圧用環状溝(10)へ、ネット部材(2)を挟支した状態で嵌入しうる断面台形の食い込み突条(15)が形成されている。
【0024】
締付枠(3)の外周縁には、座フレーム(1)へ取付けた際、座フレーム(1)の下部周縁に重合しうる上向きの保護フランジ(16)が設けられている。
【0025】
本発明の技術的特徴として、座フレーム(1)の上面(表面)と外側面との交差部に、その稜線の方向を向く凹溝(17)を設け、この凹溝(17)に、軟質材からなる縁材(18)の一部を嵌合し、この縁材(18)の他部でネット部材(2)を外方に押し出すようにしている。
【0026】
凹溝(17)及び縁材(18)は、座フレーム(1)の全周に設けるのが好ましい。
また、縁材(18)は、例えば軟質ポリウレタン等の、可撓性を有する合成樹脂製の線材により形成するのがよい。線径は、3〜10mm程度であるのが好ましい。
【0027】
ネット部材(2)を座フレーム(1)に取付けるには、まず、ネット部材(2)を、座フレーム(1)の輪郭に応じた形状寸度を有する表面部の周辺に、座フレーム(1)の厚肉外周部(7)の外側面を経て、下方内側へ巻き込んだときに、周縁部が厚肉部(7)の下面の中間の係止用環状溝(9)の付近まで来る形状寸度に裁断するとともに、その周縁にL形の係止縁材(3)の内側面を、接着その他適宜の手段で止着しておく。
【0028】
ついで、ネット部材(2)の周辺部を座フレーム(1)上へ重合するとともに、座フレーム(1)の外側面を経て、内方へ折り返えし、かつ周縁におけるL形の係止片(13)の起立片を、ネット部材(2)の周縁部とともに係止用環状溝(9)へ臨入させる。
【0029】
ついで、座フレーム(1)の下面に締付枠(3)を重合すると、係止縁材(13)は、ネット部材(2)の周縁部とともに、締付枠(3)により上方へ押されて、可撓係止爪(12)を乗り超え、可撓係止片(12)は係合孔(14)に係止して抜け止めする。
【0030】
またこの際、締付枠(3)の食い込み突条(15)が締付枠(1)の受圧用環状溝(10)内に進入していくため、ネット部材(2)の周辺部は、受圧用環状溝(10)内で強圧される。
【0031】
しかして、係止用環状溝(9)、および受圧用環状溝(10)は、締付枠(3)の全周に亘り、また係止縁材(13)は、ネット部材(2)の周縁の全周に亘っているから、ネット部材(2)のほぼ全面に亘って、均等な張力が作用し、ネット部材(2)は、体裁よく、かつ強固に張設される。
【0032】
その後、縁材(18)を、座フレーム(1)の上面とネット部材(2)の下面との間に、座フレーム(1)の内側から順次押し入れて、凹溝(17)の全周に亘って順次係合させ、凹溝(17)から突出した縁材(18)の突出部分により、ネット部材(2)を外方に押し出すことにより、ネット部材(2)にさらに張力を付与することができる。
【0033】
前記各溝(8)〜(10)は必ずしも環状でなくてもよく、部分的に切られているものでもよい。
【0034】
受圧用環状溝(10)を締付枠(3)の上面に、また食い込み突条(15)を、座フレーム(1)の外周部(7)の下面に設けてもよい。
【0035】
さらに、図8に示すように、凹溝(17)の上方に外向きの突条(19)を設け、これと締付枠(3)の保護フランジ(16)との間に、縁材(18)とその外周を取り巻いて垂下するネット部材(2)の垂下部分とを挟むようにすると、縁材(18)の外れや移動を阻止することができるだけでなく、ネット部材(2)の伸びをも防止することができる。
【0036】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明の効果は、次の如くである。
請求項1:ネット部材の周縁部をフレームの裏面に取り付けた後に、縁材を、その一部が凹溝に嵌合するまで、フレームとネット部材との間に押し込んで、ネット部材に張力を付与することができるので、ネット部材の周縁部を、軽力をもって、簡単にフレームの裏面に取り付けることができるとともに、ネット部材を均一な張力を持って張ることができる。
また、縁材が凹溝に嵌合しているので、縁材が妄りに移動することがない。
【0037】
請求項2:縁材を、その一端から順次凹溝に嵌合するように、フレームとネット部材との間に楽に押し込むことができ、作業性が向上するとともに、着座者にソフトな感じを与えることができる。
【0038】
請求項3:ネット部材を、フレームの全周に亘って均一に張らせることができるとともに、連続した1本の縁材を用意すればよいので、部品点数を少なくすることができる。
【0039】
請求項4:ネット部材の外周部を、フレームに、簡単かつ均一に取り付けることができる。
【0040】
請求項5:縁材の外れや移動を阻止することができるだけでなく、ネット部材の伸びをも防止することができる。
【0041】
請求項6:フレームに取り付けたネット部材が、妄りに外れたり弛んだりすることがない。
【0042】
請求項7:ネット部材に、さらなる張力を与えることができる。
【0043】
請求項8:ネット部材の周縁部をフレームの裏面に取り付けた後に、縁材を、その一部が凹溝に嵌合するまで、フレームとネット部材との間に押し込んで、ネット部材に張力を付与することができるので、ネット部材の周縁部を、軽力をもって、簡単にフレームの裏面に取り付けることができるとともに、ネット部材を均一な張力を持って張ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される椅子を示す側面図である。
【図2】図1における座の下方斜視図である。
【図3】同じく分解斜視図である。
【図4】図2におけるIV−IV線拡大縦断面図である。
【図5】図4におけるネット部材の外縁部と可撓係止爪とを分離して示す拡大縦断面図である。
【図6】ネット部材の外縁部と座フレームの外周部下面要部を示す下方斜視図である。
【図7】図2におけるVII−VII線縦断面図である。
【図8】変形例における図4と同様の部分の拡大縦断面図である。
【符号の説明】
(1)座フレーム(フレーム)
(2)ネット部材
(2a)内向折曲げ部
(3)締付枠
(4)ボルト
(5)ねじ孔
(6)通孔
(7)外周部
(8)環状逃げ溝
(9)係止用環状溝
(9a)透孔
(10)受圧用環状溝
(11)隔壁
(12)可撓係止爪
(12a)上向き切込み
(13)係止縁材
(14)係合孔
(15)食い込み突条
(16)保護フランジ
(17)凹溝
(18)縁材
(19)突条

Claims (8)

  1. 硬質のフレームの表面と外側面とを覆うようにして、前記フレームに被せたネット部材の周縁を、ネット部材に張力を付与して、前記フレームの裏面に取り付けたネット部材の張り構造において、
    前記フレームの表面と外側面との交差部に、その稜線の方向を向く凹溝を設け、この凹溝に、軟質材からなる縁材の一部を嵌合し、前記縁材の他部でネット部材を外方に押し出すようにしたことを特徴とするネット部材の張り構造。
  2. 縁材を、可撓性を有する合成樹脂製の線材により形成した請求項1記載のネット部材の張り構造。
  3. 凹溝及び縁材を、フレームの全周に設けた請求項1または2記載のネット部材の張り構造。
  4. ネット部材の外周縁に止着した係止縁材を、フレームの外周部裏面に設けた係止溝内に挿入し、前記フレームの外周部裏面を覆うネット部材の周縁部及び前記係止縁材を締付枠により前記フレームの外周部裏面に向かって押圧することにより、前記係止縁材を、フレームにおける係止溝内へ押圧保持したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のネット部材の張り構造。
  5. フレームにおける凹溝の表面寄りの縁に、外向きの突条を設け、これと締付枠の外周部に設けた保護フランジとの間に、縁材とその外周を取り巻いて垂下するネット部材の垂下部分とを挟むようにした請求項4記載のネット部材の張り構造。
  6. 係止溝と係止縁材の対向面に、両者の嵌合度が一定以上となったときに、互いに弾性係合して、抜け止めしうる可撓係止爪と係合孔を設けたことを特徴とする請求項4または5記載のネット部材の張り構造。
  7. フレームと締付枠の対向面のいずれか一方に、受圧用溝を、同じく他方に食い込み突条を設け、フレームと締付枠を結合した際、ネット部材の周辺部が、受圧用溝と食い込み突条とにより挟圧されて、張力が付与されるようにしたことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のネット部材の張り構造。
  8. 表面と外側面との交差部に、その稜線の方向を向く凹溝を設けた閉結構造の硬質のフレームの表面と外側面とを覆うように、ネット部材を前記フレームに被せ、かつネット部材の周縁を、ネット部材に張力を付与して、前記フレームの裏面に取り付けた後、軟質材からなる縁材を、前記フレームの表面とネット部材の内面との間に、フレームの内側から順次押し入れて、前記凹溝に係合させ、前記凹溝から突出した縁材の突出部分により、ネット部材を外方に押し出すことにより、ネット部材にさらに張力を付与することを特徴とするネット部材の張り方法。
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