以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4に本発明の膜状部材取付構造の一実施形態を示す。この膜状部材取付構造は、メッシュ等の膜状部材2と、内側に膜状部材2が張られて固定され椅子の座又は背凭れを構成するフレーム組部材4とを備え、フレーム組部材4は、膜状部材2が張られる一方のフレーム4aと、一方のフレーム4aに組み合わされる他方のフレーム4bにより構成され、一方のフレーム4aと他方のフレーム4bとの間に膜状部材2の周縁を挟み込むことにより膜状部材2の周縁を隠すようにしている。例えば、膜状部材2と、膜状部材2の周縁を表側と裏側とから挟み込み押し込むことによって膜状部材2にテンションを与えるとともに係止部3の擦り抜けを妨げて膜状部材2の弛みを防止する嵌合分離可能なフレーム組部材4とから構成したもので、椅子の座又は背凭れの構造に用いて好適である。以下においては、本発明の取付構造を椅子の座(座の一部である場合を含む。以下、単に「座1」と記す)に適用した形態を説明する。
この膜状部材取付構造における支持フレーム4は、嵌め込みが可能な一対の二重構造のフレーム4a,4b組から成り、両フレーム4a,4bの間に膜状部材2の一部を挟み込み嵌め込むことによって同時にこの膜状部材2をフレーム4a,4bを嵌め込む方向に相対的に押し込みながら膜状部材2にテンションをかける。また、膜状部材取付後におけるフレーム組部材4は、フレーム4a,4b組の隙間を膜状部材2が擦り抜けるのを妨げて膜状部材2の弛みを防止する。よって、膜状部材2にテンションを付与するための膜状部材取付構造とは別個の付帯設備が不要になるので、張力付与の作業が簡単になると共に製造コストを低減することができる。また、フレーム組部材4が分解組立可能になるので、膜状部材2のみを取り替えることができるようになる。
本実施形態では、膜状部材2は周縁あるいは該周縁よりも内側に肉厚の係止部3を備えると共に、フレーム組部材4は、膜状部材2の係止部3よりも内側を挟み込み、嵌合動作時に係止部3を引っ掛けて膜状部材2を押し込むと共に係止部3の擦り抜けを妨げて膜状部材2の弛みを防止するようにしている。このため、両フレーム4a,4bの間に膜状部材2の係止部3の内側を挟み込み嵌め込むことによって同時にこの膜状部材2の係止部3をフレーム4a,4bを嵌め込む方向に相対的に押し込みながら膜状部材2にテンションをかける。また、膜状部材取付後におけるフレーム組部材4は、膜状部材2を表側と裏側とから挟み込むことに加え、フレーム4a,4b組の隙間を係止部3が擦り抜けるのを妨げて膜状部材2の弛みを防止する。
まず、膜状部材2について説明する。本実施形態の膜状部材2は、周縁をフレーム組部材4で囲繞したとき座面として好適な弾性を発揮する材質、例えば伸縮性と通気性に富むメッシュシート(以下「メッシュシート2」と記して説明する)によって形成されたシート状弾性材である。メッシュシート2は、座面として適度に変形して着座者を受け支える。
メッシュシート2としては、オレフィン系樹脂製あるいはポリエステル製のシートが好適である。座1の全体がオレフィン系樹脂製である場合には、分別廃棄することなくそのままリサイクルすることができる。本実施形態では、ポリエステル糸とエラストマ性ポリエステル糸との織物によって構成されたポリエステル製シート(例えば、デュポン社製 商品名ダイメトロール)からなるメッシュシート2を採用している。メッシュシート2は、メッシュから成るため高い通気性を得て座り心地の良い快適な座1を得ることができる。
このメッシュシート2の周縁あるいは周縁よりも内側には、図3に示すように周回する肉厚の係止部3が形成されている。係止部3は、図2に示すように、メッシュシート2がフレーム組部材4に挟み込まれたときフレーム組部材4のストッパ6に引っ掛かってメッシュシート2が体重等の荷重を受けて内側に向かってずれるのを妨げる抜け止めとして機能する。この係止部3は少なくとも嵌合時のフレーム組部材4の内側フレーム4aと外側フレーム4bとの間の隙間より厚く形成され、ストッパ6に引っ掛かっている限りは隙間から擦り抜けることができずにメッシュシート2にテンションを付与し続ける。即ち、フレーム4a,4bの間には係止部3の厚さよりも狭く且つメッシュシート2の厚さよりも広い隙間が形成され、この隙間を通ってメッシュシート2が引き出されている。また、係止部3は、フレーム組部材4の平面形状と同じかそれに相似した形状、またはそれらに近似した形状(例えば矩形、円形等)であって、原則としてテンション付与前の大きさがフレーム組部材4の大きさ(より詳しくは、フレーム組部材4に設けられたストッパ6の設置範囲)より小さいか、大きくてもこれと同程度の大きさとなるようにメッシュシート2の縁に連続的に周状に形成される。
したがって、フレーム組部材4に保持されたときのメッシュシート2には、フレーム組部材4の形状・大きさと係止部3の形状・大きさ、及びメッシュシート2自体の材質等によって定まる一定のテンションが付与される。この場合、係止部3を連続形成することにより、メッシュシート2にほぼ均一なテンションを付与することが好ましい。
このような係止部3は、例えばメッシュシート2の周縁に縫い付けた縫製玉縁によって簡単に構成することができる。玉縁は、例えば丸紐を図3に示すようにメッシュシート2の周縁に縫い付け周回させて形成できる。この場合、伸縮性に富むゴム性の丸紐を使用してもよい。係止部3を縫製とした場合、ミシン等でメッシュシート2に後付けできるので容易に製作できる。あるいは、メッシュシート2の周縁とその近辺を折り返して縫っても同じように玉縁を形成することができる。この場合、折り返しの中に丸紐等を織り込んでもよい。
ただし、係止部3は連続的でなくてもよく、断続的な環状とするなど、周回形状を適宜変更してメッシュシート2に部分的に異なる不均一なテンションを意図的に付与するようにしてもよい。例えば、メッシュシート2の周囲に一定間隔で断続した不連続の係止部3を形成し、部位によって異なるテンションを付与するようにしてもよい。あるいは、図10に示すように矩形状のメッシュシート2の四辺に別個の係止部3を設けるようにしても良い。この場合は、メッシュシート2を四方から引っ張ることができるので、中央部で張りが最も強く、かつ四隅に向かうにつれて張りが弱くなる座1を得ることができる。
また、縫う以外には、例えば図24に示すようにメッシュシート2と異なる部材(例えば樹脂部材)を接着、溶着、溶融、ホチキス止めなどにより固着して係止部3を形成することもできる。この場合、特に図示しないが、メッシュシート2を表裏から挟み付けて一体化する一対の雌雄フックを周状かつ等間隔に複数組設けることによって係止部3とすることもできる。
なお、係止部3はいずれもメッシュシート2の周縁に設けられることが好ましいがこれは常に厳密な意味での周縁である必要はない。本発明の係止部3は、周縁よりも内側に設けられた場合であっても上述の場合と同様の作用効果を奏するので、この作用を害しない範囲内であれば係止部3の位置は限定されない。
フレーム組部材4は、メッシュシート2の周縁内側を表側と裏側とから挟み込んでこのメッシュシート2にテンションを与えるとともに係止部3の擦り抜けを妨げてメッシュシート2の弛みを防止する部材で、嵌合分離可能な一対の内側フレーム4aおよび外側フレーム4bから成る。本実施形態の場合、図3に示すように両フレーム4a,4bとも環状フレームとし、図4に示すように丸い座1を構成するようにしている。
本実施形態ではフレーム組部材4が内側フレーム4aおよび外側フレーム4bから成るので、座面に垂直な嵌合面14a,14bを有する。そして、外側フレーム4bの下部に形成されたストッパ6に係止部3を引っ掛けた状態で外側フレーム4bを内側フレーム4aに上から被せることにより、膜状部材2が内側フレーム4aの嵌合面14aに沿って下方に引き延ばされて膜状部材2にテンションが発生する。
また、両フレーム4a,4bの嵌合面14a,14bの一部にはテーパ7が設けられている。すなわち、図1に示すように、内側フレーム4aの上部外周側にはテーパ7aが設けられ、外側フレーム4bの上部内周側にはこれと同形状でテーパ7aに被さるテーパ7bが設けられている。したがって、外側フレーム4bを内側フレーム4aのテーパ7aのある側から被せることはできるが反対側(テーパ7aのない側)から被せることはできない。また、外側フレーム4bが裏返しになっていれば、両フレーム4a,4bを嵌合させようとしてもテーパ7a、7bのある部分どうしが干渉して内側フレーム4aに外側フレーム4bを被せることができない。なお、本実施形態のテーパ7a(7b)は上端から途中までがテーパ形状で途中から下端までが径一定の筒状であるが、嵌合面の上端から下端まで連続するテーパ形状であっても構わない。
このようなテーパ部7a,7bは、両フレーム4a,4bの嵌め合わせをより容易にすることに加え、両フレーム4a,4b間の隙間を徐々に無くし両フレーム4a,4bを確実に嵌合させるという作用を奏する。なお、この図2では説明の便宜上フレーム4a,4b間に本来は存在しない隙間を示しているが実際に僅かに隙間ができるようにしても構わない。メッシュシート2が厚い場合は、少なくともメッシュシート2を挟み込んだ状態で両フレーム4a,4bを嵌め合わせられる間隔以上となるように隙間幅を適宜変更する。
さらに、フレーム組部材4には係止部3を収容可能な凹部5を設けておくことが好ましい。本実施形態では、図1に示すように外側フレーム4bの内周下側縁の隅肉を環状に落として凹部5としている。この場合、係止部3が凹部5から擦り抜けるのを防ぐストッパ6の機能は、凹部5の天井面と内側フレーム4aの外周面とが担保する。つまり、凹部5の天井面と内側フレーム4aの外周面とが係止部3を引っ掛けて隙間から擦り抜けるのを防止する。
なお、図2に二点鎖線で示すように、内側フレーム4aの外周下端縁の肉を落として凹部5とすることもできる。例えば両フレーム4a,4bに深さの等しい凹部5を設けた場合、係止部3は両凹部5のストッパ(この場合、両凹部5の天井面)6に引っ掛かる。また、内側フレーム4aにのみ凹部5を設けた場合、係止部3はフレーム嵌合時に内側へ移動してこの凹部5に収まる。
フレーム組部材4としては、椅子に取り付けなくてもメッシュシート2が座1として必要なテンションを得られるように単体で支持できるものを用いる。この場合、座1を椅子フレームに取り付けるときにメッシュシート2に更なるテンションを与える必要がないので取付作業を容易にすることができる。もちろん、フレーム組部材4は座1としての剛性も備えるものとする。なお、フレーム組部材4を例えば図5に示すような断面がブランケット形状のL字形(あるいはこれに近似した断面が屈曲した形状)の環状フレームで形成することは座1としての剛性を得やすいという点で好ましい。
また、フレーム組部材4の底面側には、図1及び図2に示すようにフレーム組部材4の両フレーム4a,4bの嵌合状態を維持する固定プレート8が設けられる。本実施形態の場合、内側フレーム4aおよび外側フレーム4bの底面側に取り付けられる複数のボルト9によって固定プレート8をフレーム組部材4に固定している。なお、固定プレート8は、両フレーム4a,4bにボルト止めされればフレーム組部材4をより堅固に固定することができるが、本実施形態のように両フレーム4a,4bにたがの作用を奏させている場合は、少なくとも外側フレーム4bに固定されていれば、両フレーム4a,4bの嵌合状態を長期にわたって維持し、内側フレーム4aが外側フレーム4bから抜け出るのを防止することができる。
なお、固定プレート8をフレーム組部材4に固定する方法には、上述のようにボルト9によって締め付ける他、例えば図6に示すようにフレーム組部材4に形成された係合爪15により引っ掛ける場合も含まれる。この場合、係合爪15を固定プレート8の係止孔16に貫通させてワンタッチで固定することができる。これによれば、部品点数を減らすことができ、またフレーム組部材4の固定プレート8への固定作業を容易化することができる。さらに固定プレート8をフレーム組部材4に固定する方法には、フレーム組部材4のいずれか一方と固定プレート8とを予め一体成形したり、または接着しておく手段が含まれる。例えば図7に示すように、固定プレート8を内側フレーム4aとあらかじめ一体化しておけばあとは固定プレート8と外側フレーム4bとを固定するだけでよく、部品も少なくて済む。
また、上述した座1を他の構造物、例えば椅子フレーム17に固定するには、例えばねじ止めにより行う。例えば図7に示す座1を椅子フレーム17に固定するには、図8に示すように両フレーム4a,4bの嵌合状態を維持すると共に椅子フレーム17に固定する固定手段であるボルト9によりねじ止めする。この場合、座1を椅子フレーム17に固定できると同時に、各フレーム4a,4b同士の嵌合を固定することができる。
ここまで述べた本実施形態のメッシュシート2の取付構造によれば、メッシュシート2の組み付けがきわめて簡単である。すなわち、図3に示すように内側フレーム4aにメッシュシート2を予張力なしで位置合わせし、この上から外側フレーム4bを嵌め込むことにより、図1に示すように外側フレーム4bの下面によって(より具体的には凹部5のストッパ6によって)環状の係止部3を均一かつ同時に押し下げ、メッシュシート2にテンションを付与することができる。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、本実施形態では座に適用した場合について主に説明したがこれに特に限られず背凭れやその他の構造物に適用することもできる。また、メッシュシート2としてポリエステル製メッシュシートを使用したが、これには限られず膜状で座1として必要な弾力性及び強度を備えていれば良く、例えばナイロン製のメッシュシート2にすることができる。
さらに、本実施形態では膜状部材2の好適例としてメッシュシートを挙げたが、座1として必要な弾力性及び強度を備えるフィルム、ビニル、布地あるいは不織布などのような他の部材をメッシュシートと同じように膜状部材2としてフレーム組部材4に取り付け、使用することができる。この場合、一体化した膜状部材2およびフレーム組部材4を座1とすることはもちろん、張られた膜を必要とするあらゆる構造に利用することができる。フィルムとしては、例えばポリ塩化ビニリデン製のフィルム(商品名:サランラップ)を使用することができる。
また、本実施形態ではフレーム組部材4を円形としたがこれはフレーム組部材4ひいては座1の一形状例にすぎず、形状は特にこれに限定されない。例えば、図5に示すようにフレーム形状を矩形としてもよいし、あるいは特に図示しないが多角形、長円、楕円、そら豆形など種々の形状とすることができる。更に、上述した種々の形状の環状フレームには限定されず、場合によっては少なくとも2本の直線状のフレーム材を相対向させて配置し、それらの間で膜状部材2を張架させるようにしても良い。例えば、前後方向に配置された座の左右の一対のフレームの間で、左右方向に張力を与えて膜状部材2を取り付けることもできる。
また、縫製の糸材や接着剤をオレフィン系樹脂あるいはポリエステル製から成るようにすることにより座1の構成部材を全てオレフィン系樹脂製あるいはポリエステル製にした場合、各パーツ毎に分離せずにそのまま廃棄したり、あるいは粉砕・溶融して射出原材料などとして再生することが可能となり、リサイクルできて好ましい。
また、本実施形態では係止部3がストッパ6に引っ掛かることと各フレーム4a,4bが膜状部材2を挟み付けることとにより膜状部材2の抜け止めを図っているが、これには限られず少なくとも係止部3がストッパ6に引っ掛かっていれば抜け止めを図ることができる。すなわち、係止部3がストッパ6に引っ掛かっていれば、各フレーム4a,4bの嵌合面14a,14bの隙間が膜状部材2より大きくても膜状部材2は緩むことはない。
一方、上述した実施形態では、図8に示すように椅子フレーム17とフレーム組部材4とをボルト9のみで固定しているが、これには限られず図9及び図10に示すように、椅子フレーム17がフレームパイプ18とこれに溶接された受け金具19とを有するものである場合に、各フレーム4a,4bを受け金具19にボルト9によりねじ止めすると同時に、フレーム組部材4に係合凹部20を形成して、これをフレームパイプ18に係止するようにしても良い。この場合、座1の椅子フレーム17への固定はボルト9および係合凹部20の2つにより行われるので、より強固に固定することができる。しかも、この座1は外側フレーム4bによりフレームパイプ18を覆い隠しているので、椅子の外観を良くすることができる。なお、ここでの内側フレーム4aは例えば金属製でプレス成形等により形成されたものとしている。
また、椅子フレーム17と座1とを固定するのはねじ止めに限られず、例えば、特に図示はしないがフレーム組部材4に係止爪を一体形成して、これを椅子フレーム17若しくは受け金具19側の受け部、例えば孔や凹部にワンタッチで係止するようにしても良い。
さらに、上述した実施形態では外側フレーム4bにメッシュシート2の係止部3を引っ掛ける凹部5を設けているが、これには限られず凹部5を設けなくても良い。この場合、例えば図11(A)に示すように係止部3を嵌合面14aに軽く引っ掛けておいて、外側フレーム4bの下面により係止部3を押し下げて、同図(B)に示すように膜状部材2にテンションを与える。
そして、上述した実施形態では外側フレーム4bが座1の外面に露出しているが、これには限られず図12および図13に示すようにフレーム組部材4の外側面にカバー21を取り付けるようにしても良い。これにより、フレーム4a,4bの境部分や固定プレート8または椅子フレーム17を隠して見栄えを良くすることができる。
ここで、フレームとしての剛性はフレーム組部材4のみで維持できるので、エラストマ製のカバー21でも利用することができる。エラストマ製のカバー21を採用した場合は、座1のクッション性や手触りを良くして座り心地を良くできると共に外観を良好にできる。また、カバー21としてプラスチックやその他の材質を使用して外観を良好にすることもできる。
また、カバー21のフレーム組部材4への取付は、図12に示すようにカバー21を外側フレーム4bに接着する方法や、図13に示すようにカバー21の内側面に形成した凸部22を外側フレーム4bに形成した凹部23に嵌合して固定する方法などがある。
また、上述の実施形態ではフレーム組部材4の外側フレーム4bの凹部5の天井面(あるいは外側フレーム4bの下端部)と内側フレーム4aの嵌合面との間でメッシュシート2の係止部3を引っ掛けるようにして外側フレーム4bの嵌入方向に押し込むようにしているが、これには特に限られず、係止部3が相対的に押し込まれるような態様も含まれる。例えば、フレーム組部材4の嵌合分離可能な両フレーム4c,4dのうちの一方のフレーム4dに嵌合凹部13を形成すると共に、該嵌合凹部13に嵌合すると共に嵌合動作時に膜状部材2を押し込むことにより膜状部材2にテンションを与える嵌合凸部10を他方のフレーム4cに形成するようにする。この場合、膜状部材2が嵌合凸部10により嵌合凹部13に押し込まれるので、1つの嵌合面のみに沿って膜状部材2が押し込まれる場合に比べて膜状部材2の引っ張り長さを約2倍にすることができる。このため、より高いテンションを得ることができる。
この膜状部材取付構造は、例えば図14(A)に示すように下向きに突出する嵌合凸部としてのボス10を備えた上側フレーム4cと、内径がボス10の外径より大きい外側ボス11および外径がボス10の内径より小さい内側ボス12により形成されるボス10を嵌合する嵌合凹部としての溝13を備えた下側フレーム4dとで形成されるフレーム組部材4によって実施可能である。
この場合、図14(B)に示すように上側フレーム4cのボス10の外周面と下側フレーム4dの外側ボス11の上端面との間でメッシュシート2の係止部3を引っ掛けた状態で、その内側のメッシュシート2部分をボス10によって下側に押し込み、メッシュシート2にテンションを与えることができる。すなわち、押し込むフレームは一対のフレーム組のいずれでもよく、係止部3を相対的に押し込むことができればメッシュシート2にテンションを付与することができる。なお、図14(A)(B)に示した膜状部材取付構造において係止部3の擦り抜けを防止するストッパ6は、下側フレーム4dの外側ボス11の周状上端面と、ボス10の外周面である。また、上側フレーム4cには、下側フレーム4dの外側ボス11の外周を覆い隠して固定プレート8にボルト9により固定される外周部24が設けられている。
また、この膜状部材取付構造においては、下側フレーム4dに外側ボス11および内側ボス12により形成される溝13を設けているため、図14(B)に示すように、フレームの押し込みストロークの2倍に相当するテンションをメッシュシート2に付与することができる。したがって、フレーム組部材4を薄く形成する場合に有利となる。
そして、上述した図14に示す実施形態では膜状部材2を下側フレーム4dの溝13に押し込むボス10の外に下側フレーム4dの外周を覆う外周部24が設けられているが、この外周部24は場合によっては必要ない。例えば図15に示すように外周部24を有しないボス10のみを有する上側フレーム4cを使用しても良い。この場合、下側フレーム4dは、平面状の内側壁25と外側壁26と底部27とを備えて内側壁25および外側壁26が底部27に対して直交する断面コ字形状であり、金属製でプレス加工などにより形成されたものとしている。また、上側フレーム4cは全体がボス10を構成し、下側フレーム4dの嵌合凹部13の内面に沿ってほぼ全体が入り込む形状としている。
この場合、下側フレーム4dの外周縁に係止部3を軽く引っ掛けた状態で上側フレーム4cを下側フレーム4dに嵌合する。これにより、膜状部材2が嵌合凸部10により嵌合凹部13に押し込まれてテンションが与えられ、下側フレーム4dおよび上側フレーム4cの外周縁により係止部3が引っ掛けられて抜け止めされてテンションが維持される。また、ここでは各フレーム4c,4dの嵌合を固定するボルト9が膜状部材2を貫通するように設けられている。このため、膜状部材2は係止部3の引っ掛かりによる抜け止めの他にボルト9によっても抜け止めが図られる。なお、膜状部材2のボルト9が貫通する部位には予め透孔を形成しておいても良く、あるいは膜状部材2を挟み込んで位置決めしてからボルト9または治具によって透孔を形成するようにしても良い。
ここで、図15に示す実施形態では下側フレーム4dは内側壁25と外側壁26とが底部27に対して直交する断面コ字形状であるが、これには限られず図16に示すように内側壁25および外側壁26の各上部が開いた形状としても良い。
さらには、上述した図15および図16に示す実施形態では下側フレーム4dは内側壁25と外側壁26と底部27とを備えているが、これには限られず例えば図17に示すように下側フレーム4dが内側壁25および底部27のみを備えるものとしても良い。この場合、嵌合凹部13は内側壁25および底部27と各先端とを結ぶ断面三角形と成る。すなわち、膜状部材2は上側フレーム4cの嵌合により断面三角形の嵌合凹部13に押し込まれてテンションを掛けられる。
また、上述した図14〜図17に示す実施形態では、下側フレーム4dに嵌合凹部13、上側フレーム4cに嵌合凸部10をそれぞれ形成しているが、これには限られず下側フレーム4dに嵌合凸部10、上側フレーム4cに嵌合凹部13をそれぞれ形成するようにしても良い。
そして、上述した実施形態では係止部3は膜状部材2の周縁に縫い付けた縫製玉縁から成るようにしているが、これには限られずメッシュシート2と異なる例えば合成樹脂製の部材から成るようにしても良い。この場合、例えば図24に示すように、メッシュシート2の周縁に外周側に飛び出した平板状の係止部3を接着すると共にステープル31で固定する。また、内側フレーム4aには、係止部3を縦に収容する凹部5が設けられている。
このフレーム組部材4に膜状部材2を取り付けるときは、まず図24(A)に示すように係止部3の先端を凹部5の上部(係止部3を引っ掛ける突起)に当てて膜状部材2に軽く張力を与えておく。そして、同図(B)に示すように、係止部3をその先端部を中心に回転させてほぼ水平に位置させる。これにより、係止部3が内側フレーム4aに係止される。さらに、同図(C)に示すように、外側フレーム4bを内側フレーム4aに対して座面側から嵌合する。このとき、係止部3をその先端部を中心に回転させることにより、膜状部材2に張力を与える。そして、同図(D)に示すように、外側フレーム4bを完全に押し下げて、係止部3を凹部5に完全に収容すると共に外側フレーム4bと内側フレーム4aとをボルト9により固定する。このとき、凹部5の上面が係止部3の先端部を抑えている。外側フレーム4bは係止部3及び膜状部材2の周縁を内側フレーム4aとの間に隠している。
ここで、組立後のフレーム組部材4では、膜状部材2に荷重が作用したときに同図(D)に示すように係止部3の下部が外周側に引っ張られる。このため、膜状部材2に荷重が作用しても外側フレーム4bには内周側から外周側への外力が作用するだけであり座面側に持ち上げる力は作用しないので、外側フレーム4bが内側フレーム4aから外れてしまうおそれは無い。したがって、フレーム組部材4から膜状部材2を取り外して交換可能でありながらも、通常の使用によりフレーム組部材4が分解してしまうおそれを無くすことができる。
図24に示す実施形態によれば、内側フレーム4aに凹部5が形成されていて、該凹部5の上面が係止部3の先端部を抑えているので、外側フレーム4bによって係止部3を上からは押さえる必要がない。このため、外側フレーム4bの薄型化を図ることができる。
一方、上述した図1〜図17に示す実施形態では、膜状部材2の周縁に係止部3を形成してるが、これには限られない。すなわち、係止部3は膜状部材2の縁を少なくとも一方のフレームに引っ掛けて固定する役割を果たすものであるので、係止部3を備えていなくても他の手段によりフレームに固定することができれば良い。例えば、一方のフレームに膜状部材2を接着、溶着、一体成形、ステープル止め、摩擦、係止のうちの少なくとも1つにより固定するようにすれば良い。この場合、各フレームを嵌合することにより膜状部材2が引っ張られてテンションを生ずると共に、嵌合後は膜状部材2が引っ張られた状態で維持されてテンションの低下が防止される。また、膜状部材2には何ら加工を加える必要が無いので、フレームおよび膜状部材2の固定を容易かつ低コストで実現することができる。
具体的には、例えば図18(A)に示すように軽く張った膜状部材2の縁部を外側フレーム4bの下面に接着し、同図(B)に示すようにこの外側フレーム4bを内側フレーム4aに被せて膜状部材2を内側壁25の上端からボス10で内側フレーム4aの側方が開放された溝13内へ押し込むように下げて引き延ばす。この場合に、外側フレーム4bが例えば合成樹脂製であれば、この外側フレーム4bを射出成形などにより形成する際に、既に形成されている膜状部材2を金型に入れて一体成形するようにしても良い。また、例えば図19(A)に示すように軽く張った膜状部材2の縁部を内側フレーム4aの底部27の外側寄りの部位に接着し、同図(B)に示すように外側フレーム4bを内側フレーム4aに被せて膜状部材2をボス10で内側フレーム4aの側方が開放された溝13内へ押し込むように下げて引き延ばす。
さらに、図20に示すように、フレームの一方に設けられると共に膜状部材2を引っ掛けて係止するボルト9を備えるようにしても良い。この場合、嵌合したフレーム4a,4b同士を固定するボルト9を利用して膜状部材2を固定できるので、部品の共用化を図ることができる。例えば内側フレーム4aの下側から外側フレーム4bをねじ止めするボルト9を使用する場合は、図20(A)に示すようにボルト9を内側フレーム4aの下側から上向きに突出させて、このボルト9に膜状部材2を軽く張らせて引っ掛ける。そして、同図(B)に示すように外側フレーム4bを内側フレーム4aに被せて膜状部材2をボス10で内側フレーム4aの側方が開放された溝13内へ押し込むように下げて引き延ばす。フレーム4a,4bの嵌合後は少なくともボルト9による係止によって膜状部材2のテンションが維持されるが、各フレーム4a,4bの間に膜状部材2を挟み付けて摩擦により抜け止めする力を高めることもできる。なお、膜状部材2のボルト9に係止する部位には予め透孔30を形成しておくことが好ましい。あるいは、膜状部材2が例えばメッシュシートである場合には、メッシュの目をボルト9に引っ掛けるようにしても良い。
また、フレーム4a,4bと膜状部材2とが接触する面の摩擦係数を大きくして膜状部材2の抜け止め力を更に強くしても良い。例えば図21に示すように、外側フレーム4bの下面に細かな凹凸28を多数形成して膜状部材2に対する摩擦係数を大きくする。これによれば、同図(B)に示すように各フレーム4a,4bの嵌合により膜状部材2を挟み付けたときに、テンションに対する強い抜け止め力を得ることができると共に、余り大きな力で膜状部材2を挟み付けなくても膜状部材2の抜け止めを図ることができる。
また、フレーム4a,4bに膜状部材2を係止する手法としては、図22に示すようにフレーム4a,4bの一方に形成された突起29に膜状部材2を引っ掛けて係止するようにしても良い。この場合は、フレーム組部材4以外の部材を使用せずに膜状部材2を係止できるので、フレーム4a,4bおよび膜状部材2の固定を低コストで実現することができる。例えば、図22(A)に示すように外側フレーム4bの下面に係止爪29を形成して、これに膜状部材2を引っ掛ける。そして、同図(B)に示すように、外側フレーム4bを内側フレーム4aに被せて膜状部材2をボス10で内側フレーム4aの側方が開放された溝13内へ押し込むように下げて引き延ばす。このとき、ボルト9により膜状部材2を貫通させて更に抜け止め力を強化しても良い。
さらに、フレーム4a,4bの一方に形成された突起29は、フレーム4a,4b同士を連結して嵌合を維持するものとしても良い。例えば図23に示すように外側フレーム4bに爪形状の突起29を形成すると共に、内側フレーム4aに突起29が係止される係止孔16を形成する。そして、同図(A)に示すように突起29に膜状部材2を軽く張った状態で係止して、同図(B)に示すように外側フレーム4bを内側フレーム4aに被せて膜状部材2をボス10で内側フレーム4aの側方が開放された溝13内へ押し込むように下げて引き延ばす。このとき、突起29を係止孔16に止め付けることにより、フレーム4a,4bが嵌合した状態で固定され、膜状部材2が挟み付けられて固定される。これによれば、フレーム組部材4以外の部材を使用せずに膜状部材2を固定できると共にフレーム4a,4b同士を固定できるので、膜状部材取付構造の低コスト化を図ることができる。