JP2004107540A - エピハロヒドリンゴム組成物及びエピハロヒドリンゴム架橋成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】適度な架橋速度を保持しながら貯蔵安定性に優れ、圧縮永久ひずみの小さな架橋物を与えるエピハロヒドリンゴム組成物を提供すること。
【解決手段】(A)エピハロヒドリンゴム100重量部、(B)ジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物0.1〜5重量部、(C)チオイミド遅延剤またはスルホンアミド遅延剤0.1〜10重量部および(D)無定形珪酸マグネシウム0.5〜30重量部を含有してなるエピハロヒドリンゴム組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)エピハロヒドリンゴム100重量部、(B)ジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物0.1〜5重量部、(C)チオイミド遅延剤またはスルホンアミド遅延剤0.1〜10重量部および(D)無定形珪酸マグネシウム0.5〜30重量部を含有してなるエピハロヒドリンゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエピハロヒドリンゴム組成物に関し、詳しくは、貯蔵安定性と迅速な架橋性とを併せ持ち、圧縮永久ひずみの小さな架橋物を与えるエピハロヒドリンゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エピハロヒドリンゴムの架橋剤として、従来、エチレンチオウレアが使用されていた。しかし、同化合物に受酸剤として配合される鉛化合物が環境を汚染する問題を有することから、近年、非鉛系の受酸剤を使用できる架橋剤が求められるようになった。その結果、トリアジンチオール化合物、チアジアゾール化合物などの架橋剤が見直されて使用されるようになり、それに伴い、エピハロヒドリンゴム架橋成形体は、耐油性、耐候性、耐オゾン性及び抗ガス透過性などの、従来から優れている特性に加えて、耐熱性が向上し、圧縮永久ひずみ率が縮小した。その結果、エピハロヒドリンゴム架橋成形体は、ホース、チューブ、ダイヤフラム、ガスケット、O−リング、タイヤのインナーライナー、電線被覆材などの各種ゴム製品に広範に使用されるようになり、特に自動車用ゴム製品に好適に使われる材料となった。
【0003】
しかしながら、トリアジンチオール化合物、チアジアゾール化合物などの架橋剤を用いるエピハロヒドリンゴム組成物には、架橋速度が不十分であるという難点がある。これらの架橋剤を使用する配合については、かつて、周期律表第2族金属の炭酸塩もしくは酸化物または第12族金属炭酸塩を配合することが提案された(特許文献1参照)。しかし、この方法によると貯蔵中に架橋が進行して粘度が上昇し、加工が困難になる問題があった。
最近、トリアジンチオール化合物またはチアジアゾール化合物を架橋剤とする架橋性組成物の貯蔵安定性を改善するために、ゼオライト化合物を配合することが提案された(特許文献2参照)。しかし、この架橋性組成物は圧縮永久ひずみの大きな架橋物を与える傾向があり、その点を改良するために架橋剤を増量したり架橋促進剤を添加したりすると、スコーチを起こしやすくなるという問題がある。
また、ハロゲン含有ゴムに、結晶性珪酸カルシウムなどの珪素化合物を配合して架橋物の耐熱性を向上することが提案されている(特許文献3参照)。しかし、珪素化合物を配合すると、架橋物の架橋密度が不十分になったり、圧縮永久ひずみが大きくなったりする場合があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭56−102955号公報
【特許文献2】
特開2000−63685号公報
【特許文献3】
特開昭62−177063号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、適度な架橋速度を保持しながら貯蔵安定性に優れ、圧縮永久ひずみの小さな架橋物を与えるエピハロヒドリンゴム組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究した結果、エピハロヒドリンゴムに、架橋剤としてトリアジンチオール化合物を、架橋遅延剤としてスルホンアミド遅延剤を加え、その上に受酸剤として無定形珪酸マグネシウムを配合して成るゴム組成物により上記目的が達成されることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして本発明によれば、下記(1)〜(4)の発明が提供される。
(1) (A)エピハロヒドリンゴム100重量部、(B)ジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物0.1〜5重量部、(C)チオイミド遅延剤またはスルホンアミド遅延剤0.1〜10重量部および(D)無定形珪酸マグネシウム0.5〜30重量部を含有してなるエピハロヒドリンゴム組成物。
(2) さらに(E)炭酸カルシウム1〜20重量部を含有してなる上記(1)記載のエピハロヒドリンゴム組成物。
(3) さらに(F)架橋促進剤0.1〜5重量部を含有してなる上記(1)または(2)記載のエピハロヒドリンゴム組成物。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエピハロヒドリンゴム組成物を型内に射出して装填する工程と、
型内に装填されたエピハロヒドリンゴム組成物を温度130〜220℃で一次架橋する工程と、
一次架橋物を脱型し、必要に応じて温度130〜220℃にて1〜48時間加熱して二次架橋する工程と、を有するエピハロヒドリンゴム架橋成形体の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明組成物で(A)成分として使用するエピハロヒドリンゴムは、エピハロヒドリン単量体〔以下、「単量体(a1)」と記すことがある。〕の開環重合体、または、単量体(a1)およびこれと共重合可能な単量体との開環共重合体である。
単量体(a1)としては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、2−メチルエピクロルヒドリンなどが挙げられるが、なかでもエピクロルヒドリンが好ましい。
エピハロヒドリンゴムを構成する全単量体単位に対する単量体(a1)単位含有量は特に限定されないが、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは25〜90モル%、特に好ましくは30〜85モル%である。単量体(a1)単位含有量が少なすぎると架橋物の吸湿性が高くなる場合があり、多すぎると架橋物の耐寒性が劣る場合がある。
【0008】
単量体(a1)と共重合可能な単量体としては、オキシラン単量体が挙げられ、中でも、アルキレンオキシド〔以下、「単量体(a2)」と記すことがある。〕が好ましい。単量体(a2)の具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシ−4−クロロペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシ−イソブタン、2,3−エポキシ−イソブタンなどの、直鎖又は分岐鎖状アルキレンオキシド;1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカンなどの環状アルキレンオキシド;などが挙げられる。これらの中でも、直鎖状アルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドが最も好ましい。上記アルキレンオキシドは、水素の一部がハロゲンで置換されたものであってもよい。
【0009】
エピハロヒドリンゴムを構成する全単量体単位に対する単量体(a2)単位含有量は特に限定されないが、好ましくは0〜80モル%、より好ましくは10〜75モル%、特に好ましくは15〜70モル%である。単量体(a2)単位含有量が多すぎると成型時に架橋物が発泡しやすくなり、また、架橋物の吸湿性が高くなるため、成型方法や使用条件によっては使用できない場合がある。
【0010】
(A)成分のエピハロヒドリンゴムは、単量体(a1)と共重合可能なオキシラン単量体の少なくとも一部として、架橋性官能基を有する下記単量体(a3)を共重合成分として含んでいてもよい。単量体(a3)としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル基を有する化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエートなどのグリシジルエステル基を有する化合物;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−3−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのエポキシ基含有不飽和炭化水素;などが挙げられる。これらの中でも、アリルグリシジルエーテルを用いると、架橋物が耐オゾン性に優れるので好ましい。
【0011】
エピハロヒドリンゴム中の単量体(a3)単位含有量は特に限定されないが、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。単量体(a3)単位含有量が多すぎると、架橋物の破断伸びが低くなりすぎる場合がある。
【0012】
エピハロヒドリンゴム(A)のムーニー粘度〔ML1 + 4 (100℃)〕は、通常、30〜160、好ましくは40〜120である。ムーニー粘度が低すぎても高すぎても配合剤との混練加工性が低下する。
【0013】
本発明においては、エピハロヒドリンゴム(A)として、上記のエピハロヒドリン単量体(a1)単独の開環重合体と、エピハロヒドリン単量体(a1)およびこれと共重合可能な単量体(a2)との開環共重合体とを、ブレンドして用いるのが好ましい。その場合のブレンド比は、エピハロヒドリン単量体(a1)の開環重合体とエピハロヒドリン単量体(a1)およびこれと共重合可能な単量体(a2)との開環共重合体との重量比が好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0014】
本発明組成物は、架橋剤(B)成分としてジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物を含有する。
ジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物にはそれらの誘導体が含まれる。それらの誘導体は特に限定されず、例えば、チオール基(−SH)を二級または三級アミンに置換した化合物や、チオール基の水素をカルボニル基に置換した化合物などが挙げられる。また、ジアジン環にベンゼン環や複素環が縮合した環構造をとることもできる。
ジアジンチオール化合物の例としては、1,2−ジアジン−3,6−ジチオール、1,3−ジアジン−2,5−ジチオール、1,4−ジアジン−2,3−ジチオール、6−メチルアミノ−1,4−ジアジン−2,3−ジチオール、S,S−6−メチルキノキサリン−2,3−ジイルジチオカーボネートなどが挙げられ、1種単独でまたは2種以上併せて使用される。
トリアジンチオール化合物の具体例としては、1,3,5−トリアジントリチオール、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−メチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−エチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジプロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ヘキシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−デシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールなどを挙げることができ、1種でまたは2種以上併せて使用される。
【0015】
本発明においてジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物(B)の配合量は、(A)成分のエピハロヒドリンゴム100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部で、より好ましくは0.5〜2重量部である。(B)成分の配合量が過度に少ないと架橋物の機械的強度が十分でなく、逆に過度に多いとエピハロヒドリンゴム組成物の架橋前の貯蔵安定性が不十分になる可能性がある。
【0016】
本発明のエピハロヒドリンゴム組成物は、(C)成分としてチオイミド遅延剤(c1)またはスルホンアミド遅延剤(c2)を含有する。これらは共に分子構造に=NS−を有する化合物で、架橋反応を遅延させる作用を有する。
チオイミド遅延剤(c1)は、下記式(I)の部分構造を分子内に有する化合物である。
【0017】
【化1】
【0018】
硫黄原子には炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基、アリール基もしくは炭素数1〜8のアルキル基を有するアラルキル基が結合する。アシル基の由来元である二塩基酸は限定されないが、炭素数4〜10の二塩基酸が好ましい。
チオイミド遅延剤の例としては、N―2−エチルヘキシルチオフタルイミド、N−シクロヘキシルチオフタルイミド、N−シクロヘキシルチオマレイミド、N−4−t−ブチルフェニルチオスクシンイミドなどが挙げられ、1種単独でまたは2種以上併せて使用される。中でもN−シクロヘキシルチオフタルイミドが入手しやすいので好ましい。
【0019】
スルホンアミド遅延剤(c2)は、N−フェニル−N−トリクロロメチルチオベンゼンスルホンアミドまたはN−イソプロピルチオ−N−シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルホンアミドであり、バイエル社(ドイツ)のスコーチ防止剤「Vulkalent E/C、スルホンアミド誘導体」も(c2)に含まれる。これらは1種単独でまたは2種以上併せて使用される。中でもN−フェニル−N−トリクロロメチルチオベンゼンスルホンアミドが好ましい。
【0020】
チオイミド遅延剤またはスルホンアミド遅延剤(C)の配合量は、(A)成分のエピハロヒドリンゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは
0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。(C)成分の配合量が過度に少ないとエピハロヒドリンゴム組成物の架橋時に必要な誘導期間が得られずにスコーチが起こり易くなり、逆に過度に多いと架橋時の架橋速度が遅くなり、また、ブルームが生ずる可能性がある。
【0021】
本発明組成物に、(C)成分の架橋遅延作用をさらに増強する目的で、遅延助剤として有機酸や、強酸と弱塩基の塩などを配合して、架橋反応が酸性雰囲気下で行われるようにすることが好ましい。有機酸の具体例としては、フタル酸、無水フタル酸などのカルボン酸またはカルボン酸無水物が挙げられ、強酸と弱塩基の塩の具体例としては、無水硫酸アルミニウム、含水カリウム・アルミニウム硫酸塩(カリミョウバン)などが挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上併せて使用される。上記遅延助剤の使用量は、(C)成分のチオイミド遅延剤またはスルホンアミド遅延剤100重量部に対して、好ましくは20〜200重量部、より好ましくは50〜100重量部である。上記酸性物質の配合量が過度に多いと架橋時の架橋密度が上がらず、架橋物の諸物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0022】
本発明のエピハロヒドリンゴム組成物は、架橋反応の際に副生する塩化水素などのハロゲン化水素を捕捉する受酸剤(D)成分として、無定形珪酸マグネシウムを含有する。
無定形珪酸マグネシウムは、下記一般式
aMgO・bSiO2・cH2O
で表わすことができ、本発明においては、好ましくは1≦a<4、0.2≦b<4、かつ、0.4≦c<10で、さらに、b=3に対して、aが好ましくは1または2であり、a=2、すなわちa:b=2:3であるのが最も好ましい。
無定形珪酸マグネシウムは、広角X線回析における結晶ピークの面積より算出した結晶化度が、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下のものである。珪酸マグネシウムの結晶化度が高すぎるとエピハロヒドリンゴム組成物の架橋密度が十分に上がらない。また、無定形珪酸マグネシウムは、比表面積が好ましくは20m2 /g以上、より好ましくは30m2 /g以上、特に好ましくは40m2 /g以上のものである。無定形珪酸マグネシウムの比表面積が小さすぎると架橋速度が遅くなる場合がある。一方、入手が容易であることから、比表面積が500m2 /g以下のものが好ましく、400m2 /g以下のものがより好ましい。
上記の無定形珪酸マグネシウムとしては、抗酸剤(医薬品)などとして一般的に用いられているものを使用することができる。
【0023】
本発明において無定形珪酸マグネシウム(D)の配合量は、(A)成分のエピハロヒドリンゴム100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部である。無定形珪酸マグネシウム(D)の配合量が過度に少ないとエピハロヒドリンゴム架橋物の架橋密度が小さくなったり、耐熱老化性が低下するおそれがあり、逆に過度に多いとエピハロヒドリンゴム組成物がスコーチを起こしたり、架橋物の引張り強さや伸びが不十分になる可能性がある。
【0024】
無定形珪酸マグネシウムに加えて、従来から使用されているその他の受酸剤を併用してもよい。その他の受酸剤の例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、硼酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜燐酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム(結晶性)、ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、メタホウ酸カルシウム、メタホウ酸バリウムなどの周期律表第2族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、珪酸塩、硼酸塩、亜燐酸塩およびメタホウ酸塩;酸化錫、塩基性炭酸錫、ステアリン酸錫、塩基性亜燐酸錫、塩基性亜硫酸錫、酸化ケイ素、ステアリン酸ケイ素などの周期律表第14族金属の酸化物;塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜燐酸塩、塩基性亜硫酸塩などの塩基性塩;ハイドロタルサイト類;周期律表第1族金属または周期律表第2族金属の珪酸アルミン酸;などが挙げられる。
【0025】
本発明においては、上記の従来から使用されている受酸剤の中でも特に炭酸カルシウム(E)を、無定形珪酸マグネシウム(D)と併用することが好ましい。炭酸カルシウム(E)は、無定形珪酸マグネシウム(D)の酸捕捉作用を高める。
炭酸カルシウム(E)の配合量は、(D)成分の無定形珪酸マグネシウム100重量部に対して、20〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部である。炭酸カルシウム(E)の配合量が過度に少ないと十分な架橋密度が得られない可能性があり、逆に多すぎると、組成物の加工性等が低下する。
【0026】
また、本発明のエピハロヒドリンゴム組成物には、(F)成分として架橋促進剤を配合することが好ましい。架橋促進剤は、架橋剤の架橋反応速度を速めるとともに架橋物の架橋密度を高めて機械的強度を向上する作用を有する物質である。かかる架橋助剤としては、ゴム加工に際して架橋剤の反応を促進させるために通常配合される物質であれば特に限定されないが、チオウレア促進剤、グアニジン促進剤、チアゾール促進剤、スルフェンアミド促進剤、チウラム促進剤またはジチオカルバミン酸促進剤が好ましく使用される。
【0027】
チオウレア促進剤は、一般式(RNH)2C=Sの構造を有する化合物で、N,N’−ジメチルチオウレア、N,N’−ジエチルチオウレア、N,N’−ジブチルチオウレア、N,N’−ジフェニルチオウレア、N,N’−ジ(o−トリル)チオウレアなどが例示され、1種単独でまたは2種以上併せて使用される。
【0028】
グアニジン促進剤は、一般式(RNH)2C=NHの構造を有する化合物で、ジフェニルグアニジン、ジ(o−トリル)グアニジンなどが例示され、1種単独でまたは2種以上併せて使用される。
【0029】
チアゾール促進剤は、ベンゼン環縮合チアジン環のチアゾール塩またはチオエーテルであり、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、(ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、(N,N−ジエチルジチオカルバモイル)ベンゾチアゾールなどが挙げられ、1種単独でまたは2種以上併せて使用される。
【0030】
スルフェンアミド促進剤は、第1アミンまたは第2アミンの2−ベンゾチアジルスルフェンアミドで、N−エチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどが挙げられる。
【0031】
チウラム促進剤は、チウラム(H2NSC−)のアミンのモノ、ジ、テトラないしヘキサスルフィド誘導体である。
チウラム化合物の具体例としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどが挙げられる。
【0032】
ジチオカルバミン酸促進剤は、ジチオカルバミン酸およびその誘導体である。該誘導体は特に限定されないが、好ましいものとしてジチオカルバミン酸金属塩、同金属塩とアミン類との錯塩もしくは複塩が挙げられる。該金属としては、亜鉛、銅、カドミウム、鉛、ビスマス、鉄、コバルト、テルル、セレンなどを挙げることができる。
このようなジチオカルバミン酸誘導体の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジメチルジチオカルバミン酸テルル、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−オクチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオカルバミン酸亜鉛、メチルベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、メチルシクロヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛などを挙げることができる。これらは、1種単独で使用しても2種類以上を混合して使用してもよい。
【0033】
架橋促進剤(F)の配合量は、(B)成分のジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物100重量部に対して、20〜200重量部、好ましくは50〜100重量部である。架橋促進剤(F)の配合量が過度に多いと圧縮永久ひずみが大きくなるおそれがある。
【0034】
本発明のエピハロヒドリンゴム組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、補強材、充填剤、老化防止剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤などの添加剤を配合してもよい。
【0035】
また、上記エピハロヒドリンゴム組成物には、必要に応じて、エピハロヒドリンゴム以外のゴム、エラストマー、樹脂などをさらに配合してもよい。例えば、天然ゴム、アクリルゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどのゴム;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどのエラストマー;ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂;などを配合することができる。
【0036】
上記エピハロヒドリンゴム組成物の調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。ゴム成分およびその他の配合剤の配合順序は特に限定されないが、先ず、熱によって他成分と反応したり分解したりしにくい成分を、バンバリミキサー等で十分に混ぜ合わせた後、熱によって他成分と反応したり分解したりし易い成分、例えばポリアジン化合物などを、ロール等を用いて、反応や分解を起こさない温度で短時間で混合するという手順を採るのが好ましい。
【0037】
本発明のエピハロヒドリンゴム組成物を用いて射出成形により架橋成形体を製造する方法としては、製品1個分の又は数個分の所定形状をした型内(キャビティ)にエピハロヒドリンゴム組成物を射出して装填する工程と、型内に装填された該組成物を温度130〜220℃で一次架橋する工程と、一次架橋物を脱型し、必要に応じて温度130〜220℃にて1〜48時間加熱して二次架橋する工程、とを有する成形方法を採る。
射出装填工程は、例えば、押出機などでエピハロヒドリンゴム組成物の練り生地を帯状にし、又はそれを裁断して粒状にして射出成形機のフィードホッパーに仕込み、シリンダーで90℃以下の温度に加熱して可塑化し、インラインスクリュー又はプランジャーでノズルを通して射出して型のキャビティ内に装填する。一次架橋工程では、型内ゴム圧力を数10〜100MPaとする。一次架橋物を脱型した後、必要に応じてさらにオーブン、熱風、蒸気などで加熱して二次架橋する。
【0038】
本発明のエピハロヒドリンゴム組成物は貯蔵安定性と迅速な架橋性とを併せ持ち、加工時にスコーチが起こりにくい。また、架橋物は圧縮永久ひずみが小さく、通常、60%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下である。
射出成形によって、板状、球状、棒状、円柱状、筒状、フィルムやシート状、繊維状などの種々の形状の成形品が、また、必要に応じて、射出成形後、積層、ワニス塗布、ペイント塗布、化学メッキ、真空などの二次加工を施して多層成形品を製造することができる。本発明のエピハロヒドリンゴム組成物を射出成形して得られる架橋物の使用例としては、ホース、チューブ、ダイヤフラム、パッキン、ガスケットなどが挙げられ、中でも、ホース、チューブ、ダイヤフラムにより好適に使用され、ホースとしては、特に自動車燃料ホースとして好適に使用できる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。これらの例中の〔部〕及び〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。
試験法は下記によった。
(1)ムーニー粘度〔ML1 + 4 (100℃)〕
エピクロルヒドリンゴムのムーニー粘度はJIS K 6300に従って、100℃で測定した。
(2)貯蔵安定性
エピクロルヒドリンゴム組成物の貯蔵安定性は、エピクロルヒドリンゴム組成物を調製後にムーニー粘度〔ML1 + 4 (100℃)〕を測定し、また、温度23℃、湿度55%で7週間置く間に1週間毎にムーニー粘度を測定した。7週間後のムーニー粘度の変化が小さければ貯蔵安定性が高い。
【0040】
(3)圧縮永久ひずみ
エピクロルヒドリンゴム組成物を180℃、20分間のプレスによって成形、架橋し、15cm×15cm×2mmの成形品を得、さらに二次架橋のために150℃のオーブン内に1時間放置して作成したシートを用いて、圧縮永久ひずみをJIS K 6262に従って135℃、72時間の条件で測定した。
【0041】
(4)引張り強度、伸び、表面硬度
エピクロルヒドリンゴム組成物を180℃、20分間のプレスによって成形、架橋し、15cm×15cm×2mmの成形品を得、さらに二次架橋のために150℃のオーブン内に1時間放置して作成したシートを用い、所定の形状に打ち抜いた試験片を用いてJIS K6251の引張試験に従って引張強度及び破断伸び(伸び)を、また、JIS K6253の硬さ試験に従って硬さをそれぞれ測定した。
【0042】
(5)射出成形性評価
脱型した一次架橋物を観察して、射出成形性の評価を次に記す基準で記号に表した。
○:ヒケ、そりおよびバリ粘着が全くない。
△:ヒケ、そりまたはバリ粘着が僅かで、成形品として容認可能。
×:ヒケ、そりまたはバリ粘着が著しい。
【0043】
実施例1
エピクロルヒドリンゴム1(エピクロルヒドリン単独重合体、ムーニー粘度55)60部、エピクロルヒドリンゴム2(エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン単位50モル%、エチレンオキサイド単位50モル%、ムーニー粘度60)40部および無定形珪酸マグネシウム1(協和化学工業製 キョーワード630:aMgO・bSiO2にて、a:b=2:3、BET比表面積約115m2/g、広角X線回折で結晶の回折ピークは認められない。)を3部配合して、バンバリーで混練した。
次に、この混練物に1,3,5−トリアジントリチオール(ポリアジンチオール化合物)0.9部、スルホンアミド誘導体(Vulkalent E/C、Bayer社製)0.75部、炭酸カルシウム(受酸助剤)5部、カリウム・アルミニウム含水硫酸塩(カリミョウバン:遅延助剤)0.5部およびジフェニルグアニジン(架橋促進剤)0.6部を添加し、ロールを用いて混練してエピクロルヒドリンゴム組成物を調製した。このゴム組成物を用いて貯蔵安定性、架橋物の引張り強度、伸び、表面硬度および射出成形性評価を試験した。測定結果を表1に示す。
【0044】
実施例2〜5、比較例1〜4
表1に示す成分および部数の配合内容で、実施例1と同様にしてエピクロルヒドリンゴム組成物を調製し、実施例1と同様にして各試験を行った。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
注
*1 エピクロロヒドリンゴム3:エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン単位45モル%、エチレンオキサイド単位50モル%、アリルグリシジルエーテル単位5モル%、ムーニー粘度75。
*2 無定形珪酸マグネシウム2:協和化学工業製 キョーワード600:aMgO・bSiO2にて、a:b=1:3、BET比表面積約150m2/g、広角X線回折で結晶の回折ピークは認められない。
*3 結晶性珪酸マグネシウム(通常の珪酸マグネシウム):広角X線回折で結晶の回折ピークが認められる。
*4 水酸化アルミニウムゲル:a(CaO)・Al2O3・bCO2・cH2O(0.05<a<0.15、0.5<b<0.6、4.5<c<5.0)で示される構造を有する。BET比表面積約60m2/g、広角X線回折で結晶の回折ピークは認められない。
【0047】
表1が示すように、無定形珪酸マグネシウムを受酸剤に用いる本発明のエピクロロヒドリンゴム組成物は、いずれも貯蔵安定性に優れる上、引張り強度および伸びに優れ、圧縮永久ひずみの小さい一次架橋物を与えた。また、射出成形性も優れていた(実施例1〜5)。
無定形珪酸マグネシウム(D)に代えて、結晶性珪酸マグネシウムを用いると、架橋反応自体が進行しなかった(比較例3)。(D)成分の代わりに無定形珪酸カルシウムを添加して炭酸カルシウム(E)を省くと、経時につれてムーニー粘度が上昇して貯蔵安定性を損ない、架橋物は圧縮永久ひずみが小さくなるものの、伸びを低下させた(比較例2)。(D)成分の代わりに酸化マグネシウムを添加して炭酸カルシウム(E)を省く処方の組成物も、ムーニー粘度の経時増粘を一層顕著にし、比較例2と同様の特性の架橋物を与えた(比較例4)。(D)成分の代わりに水酸化アルミニウムゲルを用いて炭酸カルシウム(E)を省いた組成物は、本発明組成物より貯蔵安定性が低く、伸びの劣る架橋物を与えた(比較例2)。無定形珪酸マグネシウムを使用しない比較例においては、いずれも一次架橋物にヒケ、そり、バリなどが見られた(比較例1〜4)。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、適度な架橋速度を保持しながら貯蔵安定性に優れ、圧縮永久ひずみの小さな架橋物を与えるエピハロヒドリンゴム組成物を提供することにある。該架橋物は自動車の燃料系ホース、チューブ、ダイヤフラム等に好適に使用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明はエピハロヒドリンゴム組成物に関し、詳しくは、貯蔵安定性と迅速な架橋性とを併せ持ち、圧縮永久ひずみの小さな架橋物を与えるエピハロヒドリンゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エピハロヒドリンゴムの架橋剤として、従来、エチレンチオウレアが使用されていた。しかし、同化合物に受酸剤として配合される鉛化合物が環境を汚染する問題を有することから、近年、非鉛系の受酸剤を使用できる架橋剤が求められるようになった。その結果、トリアジンチオール化合物、チアジアゾール化合物などの架橋剤が見直されて使用されるようになり、それに伴い、エピハロヒドリンゴム架橋成形体は、耐油性、耐候性、耐オゾン性及び抗ガス透過性などの、従来から優れている特性に加えて、耐熱性が向上し、圧縮永久ひずみ率が縮小した。その結果、エピハロヒドリンゴム架橋成形体は、ホース、チューブ、ダイヤフラム、ガスケット、O−リング、タイヤのインナーライナー、電線被覆材などの各種ゴム製品に広範に使用されるようになり、特に自動車用ゴム製品に好適に使われる材料となった。
【0003】
しかしながら、トリアジンチオール化合物、チアジアゾール化合物などの架橋剤を用いるエピハロヒドリンゴム組成物には、架橋速度が不十分であるという難点がある。これらの架橋剤を使用する配合については、かつて、周期律表第2族金属の炭酸塩もしくは酸化物または第12族金属炭酸塩を配合することが提案された(特許文献1参照)。しかし、この方法によると貯蔵中に架橋が進行して粘度が上昇し、加工が困難になる問題があった。
最近、トリアジンチオール化合物またはチアジアゾール化合物を架橋剤とする架橋性組成物の貯蔵安定性を改善するために、ゼオライト化合物を配合することが提案された(特許文献2参照)。しかし、この架橋性組成物は圧縮永久ひずみの大きな架橋物を与える傾向があり、その点を改良するために架橋剤を増量したり架橋促進剤を添加したりすると、スコーチを起こしやすくなるという問題がある。
また、ハロゲン含有ゴムに、結晶性珪酸カルシウムなどの珪素化合物を配合して架橋物の耐熱性を向上することが提案されている(特許文献3参照)。しかし、珪素化合物を配合すると、架橋物の架橋密度が不十分になったり、圧縮永久ひずみが大きくなったりする場合があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭56−102955号公報
【特許文献2】
特開2000−63685号公報
【特許文献3】
特開昭62−177063号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、適度な架橋速度を保持しながら貯蔵安定性に優れ、圧縮永久ひずみの小さな架橋物を与えるエピハロヒドリンゴム組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究した結果、エピハロヒドリンゴムに、架橋剤としてトリアジンチオール化合物を、架橋遅延剤としてスルホンアミド遅延剤を加え、その上に受酸剤として無定形珪酸マグネシウムを配合して成るゴム組成物により上記目的が達成されることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして本発明によれば、下記(1)〜(4)の発明が提供される。
(1) (A)エピハロヒドリンゴム100重量部、(B)ジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物0.1〜5重量部、(C)チオイミド遅延剤またはスルホンアミド遅延剤0.1〜10重量部および(D)無定形珪酸マグネシウム0.5〜30重量部を含有してなるエピハロヒドリンゴム組成物。
(2) さらに(E)炭酸カルシウム1〜20重量部を含有してなる上記(1)記載のエピハロヒドリンゴム組成物。
(3) さらに(F)架橋促進剤0.1〜5重量部を含有してなる上記(1)または(2)記載のエピハロヒドリンゴム組成物。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエピハロヒドリンゴム組成物を型内に射出して装填する工程と、
型内に装填されたエピハロヒドリンゴム組成物を温度130〜220℃で一次架橋する工程と、
一次架橋物を脱型し、必要に応じて温度130〜220℃にて1〜48時間加熱して二次架橋する工程と、を有するエピハロヒドリンゴム架橋成形体の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明組成物で(A)成分として使用するエピハロヒドリンゴムは、エピハロヒドリン単量体〔以下、「単量体(a1)」と記すことがある。〕の開環重合体、または、単量体(a1)およびこれと共重合可能な単量体との開環共重合体である。
単量体(a1)としては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、2−メチルエピクロルヒドリンなどが挙げられるが、なかでもエピクロルヒドリンが好ましい。
エピハロヒドリンゴムを構成する全単量体単位に対する単量体(a1)単位含有量は特に限定されないが、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは25〜90モル%、特に好ましくは30〜85モル%である。単量体(a1)単位含有量が少なすぎると架橋物の吸湿性が高くなる場合があり、多すぎると架橋物の耐寒性が劣る場合がある。
【0008】
単量体(a1)と共重合可能な単量体としては、オキシラン単量体が挙げられ、中でも、アルキレンオキシド〔以下、「単量体(a2)」と記すことがある。〕が好ましい。単量体(a2)の具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシ−4−クロロペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシ−イソブタン、2,3−エポキシ−イソブタンなどの、直鎖又は分岐鎖状アルキレンオキシド;1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカンなどの環状アルキレンオキシド;などが挙げられる。これらの中でも、直鎖状アルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドが最も好ましい。上記アルキレンオキシドは、水素の一部がハロゲンで置換されたものであってもよい。
【0009】
エピハロヒドリンゴムを構成する全単量体単位に対する単量体(a2)単位含有量は特に限定されないが、好ましくは0〜80モル%、より好ましくは10〜75モル%、特に好ましくは15〜70モル%である。単量体(a2)単位含有量が多すぎると成型時に架橋物が発泡しやすくなり、また、架橋物の吸湿性が高くなるため、成型方法や使用条件によっては使用できない場合がある。
【0010】
(A)成分のエピハロヒドリンゴムは、単量体(a1)と共重合可能なオキシラン単量体の少なくとも一部として、架橋性官能基を有する下記単量体(a3)を共重合成分として含んでいてもよい。単量体(a3)としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル基を有する化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエートなどのグリシジルエステル基を有する化合物;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−3−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのエポキシ基含有不飽和炭化水素;などが挙げられる。これらの中でも、アリルグリシジルエーテルを用いると、架橋物が耐オゾン性に優れるので好ましい。
【0011】
エピハロヒドリンゴム中の単量体(a3)単位含有量は特に限定されないが、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。単量体(a3)単位含有量が多すぎると、架橋物の破断伸びが低くなりすぎる場合がある。
【0012】
エピハロヒドリンゴム(A)のムーニー粘度〔ML1 + 4 (100℃)〕は、通常、30〜160、好ましくは40〜120である。ムーニー粘度が低すぎても高すぎても配合剤との混練加工性が低下する。
【0013】
本発明においては、エピハロヒドリンゴム(A)として、上記のエピハロヒドリン単量体(a1)単独の開環重合体と、エピハロヒドリン単量体(a1)およびこれと共重合可能な単量体(a2)との開環共重合体とを、ブレンドして用いるのが好ましい。その場合のブレンド比は、エピハロヒドリン単量体(a1)の開環重合体とエピハロヒドリン単量体(a1)およびこれと共重合可能な単量体(a2)との開環共重合体との重量比が好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0014】
本発明組成物は、架橋剤(B)成分としてジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物を含有する。
ジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物にはそれらの誘導体が含まれる。それらの誘導体は特に限定されず、例えば、チオール基(−SH)を二級または三級アミンに置換した化合物や、チオール基の水素をカルボニル基に置換した化合物などが挙げられる。また、ジアジン環にベンゼン環や複素環が縮合した環構造をとることもできる。
ジアジンチオール化合物の例としては、1,2−ジアジン−3,6−ジチオール、1,3−ジアジン−2,5−ジチオール、1,4−ジアジン−2,3−ジチオール、6−メチルアミノ−1,4−ジアジン−2,3−ジチオール、S,S−6−メチルキノキサリン−2,3−ジイルジチオカーボネートなどが挙げられ、1種単独でまたは2種以上併せて使用される。
トリアジンチオール化合物の具体例としては、1,3,5−トリアジントリチオール、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−メチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−エチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジプロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ヘキシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−デシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールなどを挙げることができ、1種でまたは2種以上併せて使用される。
【0015】
本発明においてジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物(B)の配合量は、(A)成分のエピハロヒドリンゴム100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部で、より好ましくは0.5〜2重量部である。(B)成分の配合量が過度に少ないと架橋物の機械的強度が十分でなく、逆に過度に多いとエピハロヒドリンゴム組成物の架橋前の貯蔵安定性が不十分になる可能性がある。
【0016】
本発明のエピハロヒドリンゴム組成物は、(C)成分としてチオイミド遅延剤(c1)またはスルホンアミド遅延剤(c2)を含有する。これらは共に分子構造に=NS−を有する化合物で、架橋反応を遅延させる作用を有する。
チオイミド遅延剤(c1)は、下記式(I)の部分構造を分子内に有する化合物である。
【0017】
【化1】
【0018】
硫黄原子には炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基、アリール基もしくは炭素数1〜8のアルキル基を有するアラルキル基が結合する。アシル基の由来元である二塩基酸は限定されないが、炭素数4〜10の二塩基酸が好ましい。
チオイミド遅延剤の例としては、N―2−エチルヘキシルチオフタルイミド、N−シクロヘキシルチオフタルイミド、N−シクロヘキシルチオマレイミド、N−4−t−ブチルフェニルチオスクシンイミドなどが挙げられ、1種単独でまたは2種以上併せて使用される。中でもN−シクロヘキシルチオフタルイミドが入手しやすいので好ましい。
【0019】
スルホンアミド遅延剤(c2)は、N−フェニル−N−トリクロロメチルチオベンゼンスルホンアミドまたはN−イソプロピルチオ−N−シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルホンアミドであり、バイエル社(ドイツ)のスコーチ防止剤「Vulkalent E/C、スルホンアミド誘導体」も(c2)に含まれる。これらは1種単独でまたは2種以上併せて使用される。中でもN−フェニル−N−トリクロロメチルチオベンゼンスルホンアミドが好ましい。
【0020】
チオイミド遅延剤またはスルホンアミド遅延剤(C)の配合量は、(A)成分のエピハロヒドリンゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは
0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。(C)成分の配合量が過度に少ないとエピハロヒドリンゴム組成物の架橋時に必要な誘導期間が得られずにスコーチが起こり易くなり、逆に過度に多いと架橋時の架橋速度が遅くなり、また、ブルームが生ずる可能性がある。
【0021】
本発明組成物に、(C)成分の架橋遅延作用をさらに増強する目的で、遅延助剤として有機酸や、強酸と弱塩基の塩などを配合して、架橋反応が酸性雰囲気下で行われるようにすることが好ましい。有機酸の具体例としては、フタル酸、無水フタル酸などのカルボン酸またはカルボン酸無水物が挙げられ、強酸と弱塩基の塩の具体例としては、無水硫酸アルミニウム、含水カリウム・アルミニウム硫酸塩(カリミョウバン)などが挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上併せて使用される。上記遅延助剤の使用量は、(C)成分のチオイミド遅延剤またはスルホンアミド遅延剤100重量部に対して、好ましくは20〜200重量部、より好ましくは50〜100重量部である。上記酸性物質の配合量が過度に多いと架橋時の架橋密度が上がらず、架橋物の諸物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0022】
本発明のエピハロヒドリンゴム組成物は、架橋反応の際に副生する塩化水素などのハロゲン化水素を捕捉する受酸剤(D)成分として、無定形珪酸マグネシウムを含有する。
無定形珪酸マグネシウムは、下記一般式
aMgO・bSiO2・cH2O
で表わすことができ、本発明においては、好ましくは1≦a<4、0.2≦b<4、かつ、0.4≦c<10で、さらに、b=3に対して、aが好ましくは1または2であり、a=2、すなわちa:b=2:3であるのが最も好ましい。
無定形珪酸マグネシウムは、広角X線回析における結晶ピークの面積より算出した結晶化度が、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下のものである。珪酸マグネシウムの結晶化度が高すぎるとエピハロヒドリンゴム組成物の架橋密度が十分に上がらない。また、無定形珪酸マグネシウムは、比表面積が好ましくは20m2 /g以上、より好ましくは30m2 /g以上、特に好ましくは40m2 /g以上のものである。無定形珪酸マグネシウムの比表面積が小さすぎると架橋速度が遅くなる場合がある。一方、入手が容易であることから、比表面積が500m2 /g以下のものが好ましく、400m2 /g以下のものがより好ましい。
上記の無定形珪酸マグネシウムとしては、抗酸剤(医薬品)などとして一般的に用いられているものを使用することができる。
【0023】
本発明において無定形珪酸マグネシウム(D)の配合量は、(A)成分のエピハロヒドリンゴム100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部である。無定形珪酸マグネシウム(D)の配合量が過度に少ないとエピハロヒドリンゴム架橋物の架橋密度が小さくなったり、耐熱老化性が低下するおそれがあり、逆に過度に多いとエピハロヒドリンゴム組成物がスコーチを起こしたり、架橋物の引張り強さや伸びが不十分になる可能性がある。
【0024】
無定形珪酸マグネシウムに加えて、従来から使用されているその他の受酸剤を併用してもよい。その他の受酸剤の例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、硼酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜燐酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム(結晶性)、ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、メタホウ酸カルシウム、メタホウ酸バリウムなどの周期律表第2族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、珪酸塩、硼酸塩、亜燐酸塩およびメタホウ酸塩;酸化錫、塩基性炭酸錫、ステアリン酸錫、塩基性亜燐酸錫、塩基性亜硫酸錫、酸化ケイ素、ステアリン酸ケイ素などの周期律表第14族金属の酸化物;塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜燐酸塩、塩基性亜硫酸塩などの塩基性塩;ハイドロタルサイト類;周期律表第1族金属または周期律表第2族金属の珪酸アルミン酸;などが挙げられる。
【0025】
本発明においては、上記の従来から使用されている受酸剤の中でも特に炭酸カルシウム(E)を、無定形珪酸マグネシウム(D)と併用することが好ましい。炭酸カルシウム(E)は、無定形珪酸マグネシウム(D)の酸捕捉作用を高める。
炭酸カルシウム(E)の配合量は、(D)成分の無定形珪酸マグネシウム100重量部に対して、20〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部である。炭酸カルシウム(E)の配合量が過度に少ないと十分な架橋密度が得られない可能性があり、逆に多すぎると、組成物の加工性等が低下する。
【0026】
また、本発明のエピハロヒドリンゴム組成物には、(F)成分として架橋促進剤を配合することが好ましい。架橋促進剤は、架橋剤の架橋反応速度を速めるとともに架橋物の架橋密度を高めて機械的強度を向上する作用を有する物質である。かかる架橋助剤としては、ゴム加工に際して架橋剤の反応を促進させるために通常配合される物質であれば特に限定されないが、チオウレア促進剤、グアニジン促進剤、チアゾール促進剤、スルフェンアミド促進剤、チウラム促進剤またはジチオカルバミン酸促進剤が好ましく使用される。
【0027】
チオウレア促進剤は、一般式(RNH)2C=Sの構造を有する化合物で、N,N’−ジメチルチオウレア、N,N’−ジエチルチオウレア、N,N’−ジブチルチオウレア、N,N’−ジフェニルチオウレア、N,N’−ジ(o−トリル)チオウレアなどが例示され、1種単独でまたは2種以上併せて使用される。
【0028】
グアニジン促進剤は、一般式(RNH)2C=NHの構造を有する化合物で、ジフェニルグアニジン、ジ(o−トリル)グアニジンなどが例示され、1種単独でまたは2種以上併せて使用される。
【0029】
チアゾール促進剤は、ベンゼン環縮合チアジン環のチアゾール塩またはチオエーテルであり、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、(ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、(N,N−ジエチルジチオカルバモイル)ベンゾチアゾールなどが挙げられ、1種単独でまたは2種以上併せて使用される。
【0030】
スルフェンアミド促進剤は、第1アミンまたは第2アミンの2−ベンゾチアジルスルフェンアミドで、N−エチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどが挙げられる。
【0031】
チウラム促進剤は、チウラム(H2NSC−)のアミンのモノ、ジ、テトラないしヘキサスルフィド誘導体である。
チウラム化合物の具体例としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどが挙げられる。
【0032】
ジチオカルバミン酸促進剤は、ジチオカルバミン酸およびその誘導体である。該誘導体は特に限定されないが、好ましいものとしてジチオカルバミン酸金属塩、同金属塩とアミン類との錯塩もしくは複塩が挙げられる。該金属としては、亜鉛、銅、カドミウム、鉛、ビスマス、鉄、コバルト、テルル、セレンなどを挙げることができる。
このようなジチオカルバミン酸誘導体の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジメチルジチオカルバミン酸テルル、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−オクチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオカルバミン酸亜鉛、メチルベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、メチルシクロヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛などを挙げることができる。これらは、1種単独で使用しても2種類以上を混合して使用してもよい。
【0033】
架橋促進剤(F)の配合量は、(B)成分のジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物100重量部に対して、20〜200重量部、好ましくは50〜100重量部である。架橋促進剤(F)の配合量が過度に多いと圧縮永久ひずみが大きくなるおそれがある。
【0034】
本発明のエピハロヒドリンゴム組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、補強材、充填剤、老化防止剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤などの添加剤を配合してもよい。
【0035】
また、上記エピハロヒドリンゴム組成物には、必要に応じて、エピハロヒドリンゴム以外のゴム、エラストマー、樹脂などをさらに配合してもよい。例えば、天然ゴム、アクリルゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどのゴム;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどのエラストマー;ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂;などを配合することができる。
【0036】
上記エピハロヒドリンゴム組成物の調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。ゴム成分およびその他の配合剤の配合順序は特に限定されないが、先ず、熱によって他成分と反応したり分解したりしにくい成分を、バンバリミキサー等で十分に混ぜ合わせた後、熱によって他成分と反応したり分解したりし易い成分、例えばポリアジン化合物などを、ロール等を用いて、反応や分解を起こさない温度で短時間で混合するという手順を採るのが好ましい。
【0037】
本発明のエピハロヒドリンゴム組成物を用いて射出成形により架橋成形体を製造する方法としては、製品1個分の又は数個分の所定形状をした型内(キャビティ)にエピハロヒドリンゴム組成物を射出して装填する工程と、型内に装填された該組成物を温度130〜220℃で一次架橋する工程と、一次架橋物を脱型し、必要に応じて温度130〜220℃にて1〜48時間加熱して二次架橋する工程、とを有する成形方法を採る。
射出装填工程は、例えば、押出機などでエピハロヒドリンゴム組成物の練り生地を帯状にし、又はそれを裁断して粒状にして射出成形機のフィードホッパーに仕込み、シリンダーで90℃以下の温度に加熱して可塑化し、インラインスクリュー又はプランジャーでノズルを通して射出して型のキャビティ内に装填する。一次架橋工程では、型内ゴム圧力を数10〜100MPaとする。一次架橋物を脱型した後、必要に応じてさらにオーブン、熱風、蒸気などで加熱して二次架橋する。
【0038】
本発明のエピハロヒドリンゴム組成物は貯蔵安定性と迅速な架橋性とを併せ持ち、加工時にスコーチが起こりにくい。また、架橋物は圧縮永久ひずみが小さく、通常、60%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下である。
射出成形によって、板状、球状、棒状、円柱状、筒状、フィルムやシート状、繊維状などの種々の形状の成形品が、また、必要に応じて、射出成形後、積層、ワニス塗布、ペイント塗布、化学メッキ、真空などの二次加工を施して多層成形品を製造することができる。本発明のエピハロヒドリンゴム組成物を射出成形して得られる架橋物の使用例としては、ホース、チューブ、ダイヤフラム、パッキン、ガスケットなどが挙げられ、中でも、ホース、チューブ、ダイヤフラムにより好適に使用され、ホースとしては、特に自動車燃料ホースとして好適に使用できる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。これらの例中の〔部〕及び〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。
試験法は下記によった。
(1)ムーニー粘度〔ML1 + 4 (100℃)〕
エピクロルヒドリンゴムのムーニー粘度はJIS K 6300に従って、100℃で測定した。
(2)貯蔵安定性
エピクロルヒドリンゴム組成物の貯蔵安定性は、エピクロルヒドリンゴム組成物を調製後にムーニー粘度〔ML1 + 4 (100℃)〕を測定し、また、温度23℃、湿度55%で7週間置く間に1週間毎にムーニー粘度を測定した。7週間後のムーニー粘度の変化が小さければ貯蔵安定性が高い。
【0040】
(3)圧縮永久ひずみ
エピクロルヒドリンゴム組成物を180℃、20分間のプレスによって成形、架橋し、15cm×15cm×2mmの成形品を得、さらに二次架橋のために150℃のオーブン内に1時間放置して作成したシートを用いて、圧縮永久ひずみをJIS K 6262に従って135℃、72時間の条件で測定した。
【0041】
(4)引張り強度、伸び、表面硬度
エピクロルヒドリンゴム組成物を180℃、20分間のプレスによって成形、架橋し、15cm×15cm×2mmの成形品を得、さらに二次架橋のために150℃のオーブン内に1時間放置して作成したシートを用い、所定の形状に打ち抜いた試験片を用いてJIS K6251の引張試験に従って引張強度及び破断伸び(伸び)を、また、JIS K6253の硬さ試験に従って硬さをそれぞれ測定した。
【0042】
(5)射出成形性評価
脱型した一次架橋物を観察して、射出成形性の評価を次に記す基準で記号に表した。
○:ヒケ、そりおよびバリ粘着が全くない。
△:ヒケ、そりまたはバリ粘着が僅かで、成形品として容認可能。
×:ヒケ、そりまたはバリ粘着が著しい。
【0043】
実施例1
エピクロルヒドリンゴム1(エピクロルヒドリン単独重合体、ムーニー粘度55)60部、エピクロルヒドリンゴム2(エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン単位50モル%、エチレンオキサイド単位50モル%、ムーニー粘度60)40部および無定形珪酸マグネシウム1(協和化学工業製 キョーワード630:aMgO・bSiO2にて、a:b=2:3、BET比表面積約115m2/g、広角X線回折で結晶の回折ピークは認められない。)を3部配合して、バンバリーで混練した。
次に、この混練物に1,3,5−トリアジントリチオール(ポリアジンチオール化合物)0.9部、スルホンアミド誘導体(Vulkalent E/C、Bayer社製)0.75部、炭酸カルシウム(受酸助剤)5部、カリウム・アルミニウム含水硫酸塩(カリミョウバン:遅延助剤)0.5部およびジフェニルグアニジン(架橋促進剤)0.6部を添加し、ロールを用いて混練してエピクロルヒドリンゴム組成物を調製した。このゴム組成物を用いて貯蔵安定性、架橋物の引張り強度、伸び、表面硬度および射出成形性評価を試験した。測定結果を表1に示す。
【0044】
実施例2〜5、比較例1〜4
表1に示す成分および部数の配合内容で、実施例1と同様にしてエピクロルヒドリンゴム組成物を調製し、実施例1と同様にして各試験を行った。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
注
*1 エピクロロヒドリンゴム3:エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン単位45モル%、エチレンオキサイド単位50モル%、アリルグリシジルエーテル単位5モル%、ムーニー粘度75。
*2 無定形珪酸マグネシウム2:協和化学工業製 キョーワード600:aMgO・bSiO2にて、a:b=1:3、BET比表面積約150m2/g、広角X線回折で結晶の回折ピークは認められない。
*3 結晶性珪酸マグネシウム(通常の珪酸マグネシウム):広角X線回折で結晶の回折ピークが認められる。
*4 水酸化アルミニウムゲル:a(CaO)・Al2O3・bCO2・cH2O(0.05<a<0.15、0.5<b<0.6、4.5<c<5.0)で示される構造を有する。BET比表面積約60m2/g、広角X線回折で結晶の回折ピークは認められない。
【0047】
表1が示すように、無定形珪酸マグネシウムを受酸剤に用いる本発明のエピクロロヒドリンゴム組成物は、いずれも貯蔵安定性に優れる上、引張り強度および伸びに優れ、圧縮永久ひずみの小さい一次架橋物を与えた。また、射出成形性も優れていた(実施例1〜5)。
無定形珪酸マグネシウム(D)に代えて、結晶性珪酸マグネシウムを用いると、架橋反応自体が進行しなかった(比較例3)。(D)成分の代わりに無定形珪酸カルシウムを添加して炭酸カルシウム(E)を省くと、経時につれてムーニー粘度が上昇して貯蔵安定性を損ない、架橋物は圧縮永久ひずみが小さくなるものの、伸びを低下させた(比較例2)。(D)成分の代わりに酸化マグネシウムを添加して炭酸カルシウム(E)を省く処方の組成物も、ムーニー粘度の経時増粘を一層顕著にし、比較例2と同様の特性の架橋物を与えた(比較例4)。(D)成分の代わりに水酸化アルミニウムゲルを用いて炭酸カルシウム(E)を省いた組成物は、本発明組成物より貯蔵安定性が低く、伸びの劣る架橋物を与えた(比較例2)。無定形珪酸マグネシウムを使用しない比較例においては、いずれも一次架橋物にヒケ、そり、バリなどが見られた(比較例1〜4)。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、適度な架橋速度を保持しながら貯蔵安定性に優れ、圧縮永久ひずみの小さな架橋物を与えるエピハロヒドリンゴム組成物を提供することにある。該架橋物は自動車の燃料系ホース、チューブ、ダイヤフラム等に好適に使用できる。
Claims (4)
- (A)エピハロヒドリンゴム100重量部、(B)ジアジンチオール化合物またはトリアジンチオール化合物0.1〜5重量部、(C)チオイミド遅延剤またはスルホンアミド遅延剤0.1〜10重量部および(D)無定形珪酸マグネシウム0.5〜30重量部を含有してなるエピハロヒドリンゴム組成物。
- さらに(E)炭酸カルシウム1〜20重量部を含有してなる請求項1記載のエピハロヒドリンゴム組成物。
- さらに(F)架橋促進剤0.1〜5重量部を含有してなる請求項1または2記載のエピハロヒドリンゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のエピハロヒドリンゴム組成物を型内に射出して装填する工程と、
型内に装填されたエピハロヒドリンゴム組成物を温度130〜220℃で一次架橋する工程と、
一次架橋物を脱型し、必要に応じて温度130〜220℃にて1〜48時間加熱して二次架橋する工程と、を有するエピハロヒドリンゴム架橋成形体の製造方法。
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