JP2004095259A - 平型ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】シース剥離性と引張強度を備えた平型ケーブルを提供する。
【解決手段】導体11に絶縁体12を被覆した絶縁線心13を並列に配置し前記絶縁線心13相互間を分離するスリット16を備えた内部シース14で被覆し、前記内部シース14を一括して外部シース15で被覆し、前記外部シース15を発泡化してなる。
【選択図】 図1
【解決手段】導体11に絶縁体12を被覆した絶縁線心13を並列に配置し前記絶縁線心13相互間を分離するスリット16を備えた内部シース14で被覆し、前記内部シース14を一括して外部シース15で被覆し、前記外部シース15を発泡化してなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平型ケーブルに係り、特にVVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)、EEF(ポリエチレン絶縁耐熱ポリエチレンシースケーブル)、CEF(架橋ポリエチレン絶縁耐燃ポリエチレンシースケーブル)等の平型ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
家屋の第一支持点から積算電力計までの引込口配線および屋内配線電力用ケーブルとしては、取扱が容易で、耐候性、耐熱性に優れていることから従来から平型ケーブルが一般に使用されている。この平型ケーブル1は、図3に示す如く、導体2の上に絶縁体(ビニル系樹脂)3を被覆した絶縁線心4を2本並べ、この上にさらにシース5を被覆した構造となっている。このような平型ケーブル1は、絶縁線心4を2本並べた上へのシース5の被覆は押出成形金型によって行われる。
【0003】
このようにして製造された平型ケーブル1は、家屋の第一支持点から積算電力計までの引込口配線、あるいは、積算電力計から配電盤によって配線ブロック毎に分岐されたブレーカに接続される幹線に用いた際に電気工事者によって分岐接続したり、コンセントを接続したりして端末処理が行われる。この端末処理を行うに当たっては、平型ケーブル1のシース5を剥離し、シース5を除去し、2本の絶縁線心4を露出することが必要である。この2本の絶縁線心4の露出は、2本の絶縁線心4を分けるように2本の絶縁線心4の間にカッターナイフ等の刃物を切り入れ、シース5をケーブル長手方向に切り割いて行い、しかる後、シース5を剥離するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の平型ケーブル1にあっては、端末処理を行う場合、シース5を剥離し絶縁線心3の絶縁体2を剥離する必要がある。このシース5の剥離に際しては、シース5にカッターナイフ等の刃物を用いて切り込みを入れて剥離する長さ分切り込まなくてはならず、容易にシースを剥離することができず作業性が悪いという問題を有している。
【0005】
また、このような従来の平型ケーブル1にあっては、端末処理を行う場合、シース5を剥離し絶縁線心3の絶縁体2を剥離する必要がある。このシース5の剥離に際しては、シース5にカッターナイフ等の刃物を用いて切り込みを入れなければならず、シース5に切り込みを入れる際に、カッターナイフ等の刃物の刃で絶縁線心4の絶縁体3を傷付けることがあり、端末部の絶縁性が低下したり、甚だしいときには導体2に傷を付けることがあるという問題を有している。
【0006】
このため、従来の平型ケーブル1のシース5に発泡剤を配合して発泡化させて、シース5の引裂荷重を低減させ、シースの剥離特性や施工性の向上を図ったものがあるが、発泡率を上昇させると平型ケーブル1としての引張強度が低下してしまうことから、平型ケーブル1の引張強度を保った状態でシース5の引裂荷重を低減させることが困難となっていた。
【0007】
本発明の目的は、シース剥離性と引張強度を備えた平型ケーブルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の平型ケーブルは、導体に絶縁体を被覆した絶縁線心を並列に配置し、前記絶縁線心相互間を分離するスリットを備えた内部シースで被覆し、前記内部シースを一括して外部シースで被覆し、前記外部シースを発泡化してなることを特徴としている。
このように構成することにより、請求項1に記載の発明によると、絶縁線心相互間を分離するスリットを備えた内部シースを一括して外部シースで被覆しているので、外部シースに切り込みを入れることで容易にシースを引裂くことが可能となり、かつ外部シースを発泡化させているので、外部シースに容易に切り込みを入れることができ、シースの剥離性が向上し、平型ケーブルの取扱い性を良好とすることができる。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の平型ケーブルは、外部シースの発泡率を、1〜15%にしたものである。
このように構成することにより、請求項2に記載の発明によると、シースの切裂き荷重を小さく抑えつつ、適度な引張強度を備えた平型ケーブルを得ることができるので、平型ケーブルの施工性、取扱い性を向上させることができる。
【0010】
この外部シース15の発泡率を1〜15%とするのは、平型ケーブルとしての良好な引裂荷重と引張特性を得るためである。発泡率が1%未満であると外部シース15の引張強度を大きくすることはできるが、シースを引裂く際に必要な荷重が大きくなって、外部シースを引裂きしづらくなってしまい、シース剥離性が悪くなってしまう。また、発泡率が15%以上であると、外部シース15を容易に引裂くことは可能となるが、平型ケーブルとしての引張強度が不足する。
【0011】
また、この外部シースの発泡率は、8〜15%であることが好ましい。発泡率が8〜15%の範囲内であると、外部シースの引裂荷重を小さくすることができるので、外部シースを容易に剥離させることが可能となり、かつ外部シースに適度な引張強度をもたせることができるからである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る平型ケーブルの実施の形態の一例を図1、図2により詳細に説明する。
【0013】
本実施の形態において対象とする平型ケーブル10は、VVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)、EEF(ポリエチレン絶縁耐燃ポリエチレンシースケーブル)、CEF(架橋ポリエチレン絶縁耐燃ポリエチレンシースケーブル)等、各種平型構造の全てのケーブルである。
【0014】
図1は、本発明に係る平型ケーブルの一実施の形態を示す斜視図であって、図2は、図1に示す平型ケーブルに外部シースが施される前の状態を示す斜視図である。
図1において、平型ケーブル10は、導体11の上に絶縁体(例えば、ビニル系樹脂)12を被覆して構成される絶縁線心13を2本並べ、この2本並べた絶縁線心13の上に、内部シース14を被覆し、該内部シース14の上に、外部シース15を設けた構造となっている。
【0015】
ここで、この平型ケーブル10の内部シース14には、図2に示すようにスリット16が設けられている。このスリット16は、前記絶縁線心13相互間に設けられているものであって、このスリット16によって、内部シース14が2本の絶縁線心13間で分離されている。また、このスリット16は、前記絶縁線心13に内部シース14を被覆する工程において、この内部シース14を押出加工する際に同時に設けられているものであって、例えば心口金等で設けられている。
【0016】
そして、このように2つに分離された内部シース14は、一括して外部シース15で被覆されている。この外部シース15は、前記内部シース14の外周を覆うように被覆されているものであって、前記内部シース14を分離するスリット16にも外部シース15が入り込んだ状態となっている。すなわち、外部シース15は、前記スリット16で分離された2つの内部シース14を結合した状態となっている。また、この外部シース15は、押出被覆等によって被覆されている。
【0017】
また、本発明に係る平型ケーブル10の外部シース15は、シース被覆された後に発泡化されている。このシース15は、ベース樹脂に発泡剤を練り込み配合することによって発泡化された状態となっている。本実施の形態において、この発泡剤としてはADCA(アゾジカルボアミド)等を使用することができる。この発泡剤の配合量は、使用する平型ケーブルの外部シースを構成する素材や、ベース樹脂の硬度等によっても異なるが、いずれも1%未満のごく微量となっている。例えば、ベース樹脂がPVCコンパウンドからなるVVFにおいては、ベース樹脂100に対して発泡剤を0.01%配合した場合、シースの発泡率は15%となっている。そして、この発泡剤を、外部シースの発泡率が1〜15%、好ましくは8〜15%の範囲内となるように配合する。
【0018】
このように、被覆された外部シース15を発泡化させることによって、外部シースの引裂き荷重を軽減させることが可能となっている。
【0019】
ここで、2本の絶縁線心を備えて、シース被覆された平型ケーブルを例に、
実施例1が、2本の絶縁線心を備え、該絶縁線心相互間を分離するスリットを備えた内部シースを有し、該内部シースを一括して発泡率10%の外部シースで被覆したVVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)からなる平型ケーブル、
実施例2が、2本の絶縁線心を備え、該絶縁線心相互間を分離するスリットを備えた内部シースを有し、該内部シースを一括して発泡率10%の外部シースで被覆したEEF(ポリエチレン絶縁耐燃ポリエチレンシースケーブル)からなる平型ケーブル、
比較例1が、2本の絶縁線心を備え、該絶縁線心を一括してシースで被覆したVVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)からなる平型ケーブル、
比較例2が、2本の絶縁線心を備え、該絶縁線心を一括してシースで被覆したEEF(ポリエチレン絶縁難燃ポリエチレンシースケーブル)からなる平型ケーブル、
の引裂荷重の測定結果を比較して表1に示している。
【0020】
【表1】
表1において、シース引裂荷重(N)は、平型ケーブルの2本の絶縁線心を分けるように2本の絶縁線心の間にカッターナイフ等の刃物を切り入れ、シースに切り込みを入れ、しかる後、この切り込み分けたシースの両端を左右に引っ張り、シースが引裂かれたときの荷重(N)を測定したものである。
【0021】
表1からVVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)についての測定結果を見る。
比較例1は、VVFからなるシースに、絶縁線心の間に至るまでカッター等の刃物を切り入れて、シースを引裂いたときの荷重(N)である。この比較例1においては、絶縁線心を取り出すために、カッター等の刃物をシース内部の絶縁線心間に至るまで切り入れてシースを分離させ、この分離させたシースを左右に引っ張ったところ、シース引裂きにかかる荷重は17Nであった。
【0022】
一方、実施例1は、VVFからなる外部シースを発泡率10%で発泡化させて、この外部シースにカッター等の刃物を切り入れて、シースを引裂いたときの荷重(N)である。この実施例1においては、内部シースがスリットによって分離された状態であるので、カッター等の刃物で外部シースを切り開くことで、容易にシース引裂きをすることが可能となり、シース引裂きにかかる荷重は8Nであった。
【0023】
すなわち、実施例1と比較例1とのシース引裂き荷重(N)を比較すると、比較例1の引裂き荷重は17Nであるのに対し、実施例1の引裂き荷重は8Nとなっていて、比較例1よりも実施例1の引裂荷重が下回っており、シースの引裂に必要な力が小さくて済むことが判る。
【0024】
また、表1からEEF(ポリエチレン絶縁難燃ポリエチレンシースケーブル)についての測定結果を見る。
比較例2は、EEFからなるシースに、絶縁線心の間に至るまでカッター等の刃物を切り入れて、シースを引裂いたときの荷重(N)である。この比較例2においては、絶縁線心を取り出すために、カッター等の刃物をシース内部の絶縁線心間に至るまで切り入れてシースを分離させ、この分離させたシースを左右に引っ張ったところ、シース引裂きにかかる荷重は30Nであった。
【0025】
一方、実施例2は、EEFからなる外部シースを発泡化させ、カッター等の刃物を切り入れて、シースを引裂いたときの荷重(N)である。この実施例2においては、内部シースがスリットによって分離された状態であるので、カッター等の刃物で外部シースを切り開くことで、容易にシース引裂きをすることが可能となり、シース引裂きにかかる荷重は19Nであった。
【0026】
すなわち、実施例2と比較例2とのシース引裂き荷重(N)を比較すると、比較例2の引裂き荷重は30Nであるのに対し、実施例2の引裂き荷重は19Nとなっていて、比較例2よりも実施例2の引裂荷重が下回っており、シースの引裂に必要な力が小さくて済むことが判る。
【0027】
なお、本実施の形態においては、2心からなる平型ケーブルを例に挙げて説明しているが、2心以上(3心、4心、5心等)のものの場合も、平型ケーブルであれば本実施の形態と同様に構成することが可能である。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0029】
請求項1に記載の発明によれば、スリットを設けて分離してなる内部シースを一括して外部シースで被覆し、かつ外部シースを発泡化したので、外部シースにカッター等の刃物で切り込みを入れ易く、シースの剥離性を向上させ、平型ケーブルの取扱い性を向上させることができる。
【0030】
請求項2に記載の発明によると、外部シースの発泡率を1〜15%とすることで、シースの切裂き荷重を小さく抑えつつ、適度な引張強度を備えた平型ケーブルを得ることができるので、平型ケーブルの施工性、取扱い性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る平型ケーブルの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る平型ケーブルの外部シースが施される前の状態を示す斜視図である。
【図3】従来の平型ケーブルを示す断面図である。
【符号の説明】
10………………………………平型ケーブル
11………………………………導体
12………………………………絶縁体
13………………………………絶縁線心
14………………………………内部シース
15………………………………外部シース
16………………………………スリット
【発明の属する技術分野】
本発明は、平型ケーブルに係り、特にVVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)、EEF(ポリエチレン絶縁耐熱ポリエチレンシースケーブル)、CEF(架橋ポリエチレン絶縁耐燃ポリエチレンシースケーブル)等の平型ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
家屋の第一支持点から積算電力計までの引込口配線および屋内配線電力用ケーブルとしては、取扱が容易で、耐候性、耐熱性に優れていることから従来から平型ケーブルが一般に使用されている。この平型ケーブル1は、図3に示す如く、導体2の上に絶縁体(ビニル系樹脂)3を被覆した絶縁線心4を2本並べ、この上にさらにシース5を被覆した構造となっている。このような平型ケーブル1は、絶縁線心4を2本並べた上へのシース5の被覆は押出成形金型によって行われる。
【0003】
このようにして製造された平型ケーブル1は、家屋の第一支持点から積算電力計までの引込口配線、あるいは、積算電力計から配電盤によって配線ブロック毎に分岐されたブレーカに接続される幹線に用いた際に電気工事者によって分岐接続したり、コンセントを接続したりして端末処理が行われる。この端末処理を行うに当たっては、平型ケーブル1のシース5を剥離し、シース5を除去し、2本の絶縁線心4を露出することが必要である。この2本の絶縁線心4の露出は、2本の絶縁線心4を分けるように2本の絶縁線心4の間にカッターナイフ等の刃物を切り入れ、シース5をケーブル長手方向に切り割いて行い、しかる後、シース5を剥離するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の平型ケーブル1にあっては、端末処理を行う場合、シース5を剥離し絶縁線心3の絶縁体2を剥離する必要がある。このシース5の剥離に際しては、シース5にカッターナイフ等の刃物を用いて切り込みを入れて剥離する長さ分切り込まなくてはならず、容易にシースを剥離することができず作業性が悪いという問題を有している。
【0005】
また、このような従来の平型ケーブル1にあっては、端末処理を行う場合、シース5を剥離し絶縁線心3の絶縁体2を剥離する必要がある。このシース5の剥離に際しては、シース5にカッターナイフ等の刃物を用いて切り込みを入れなければならず、シース5に切り込みを入れる際に、カッターナイフ等の刃物の刃で絶縁線心4の絶縁体3を傷付けることがあり、端末部の絶縁性が低下したり、甚だしいときには導体2に傷を付けることがあるという問題を有している。
【0006】
このため、従来の平型ケーブル1のシース5に発泡剤を配合して発泡化させて、シース5の引裂荷重を低減させ、シースの剥離特性や施工性の向上を図ったものがあるが、発泡率を上昇させると平型ケーブル1としての引張強度が低下してしまうことから、平型ケーブル1の引張強度を保った状態でシース5の引裂荷重を低減させることが困難となっていた。
【0007】
本発明の目的は、シース剥離性と引張強度を備えた平型ケーブルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の平型ケーブルは、導体に絶縁体を被覆した絶縁線心を並列に配置し、前記絶縁線心相互間を分離するスリットを備えた内部シースで被覆し、前記内部シースを一括して外部シースで被覆し、前記外部シースを発泡化してなることを特徴としている。
このように構成することにより、請求項1に記載の発明によると、絶縁線心相互間を分離するスリットを備えた内部シースを一括して外部シースで被覆しているので、外部シースに切り込みを入れることで容易にシースを引裂くことが可能となり、かつ外部シースを発泡化させているので、外部シースに容易に切り込みを入れることができ、シースの剥離性が向上し、平型ケーブルの取扱い性を良好とすることができる。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の平型ケーブルは、外部シースの発泡率を、1〜15%にしたものである。
このように構成することにより、請求項2に記載の発明によると、シースの切裂き荷重を小さく抑えつつ、適度な引張強度を備えた平型ケーブルを得ることができるので、平型ケーブルの施工性、取扱い性を向上させることができる。
【0010】
この外部シース15の発泡率を1〜15%とするのは、平型ケーブルとしての良好な引裂荷重と引張特性を得るためである。発泡率が1%未満であると外部シース15の引張強度を大きくすることはできるが、シースを引裂く際に必要な荷重が大きくなって、外部シースを引裂きしづらくなってしまい、シース剥離性が悪くなってしまう。また、発泡率が15%以上であると、外部シース15を容易に引裂くことは可能となるが、平型ケーブルとしての引張強度が不足する。
【0011】
また、この外部シースの発泡率は、8〜15%であることが好ましい。発泡率が8〜15%の範囲内であると、外部シースの引裂荷重を小さくすることができるので、外部シースを容易に剥離させることが可能となり、かつ外部シースに適度な引張強度をもたせることができるからである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る平型ケーブルの実施の形態の一例を図1、図2により詳細に説明する。
【0013】
本実施の形態において対象とする平型ケーブル10は、VVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)、EEF(ポリエチレン絶縁耐燃ポリエチレンシースケーブル)、CEF(架橋ポリエチレン絶縁耐燃ポリエチレンシースケーブル)等、各種平型構造の全てのケーブルである。
【0014】
図1は、本発明に係る平型ケーブルの一実施の形態を示す斜視図であって、図2は、図1に示す平型ケーブルに外部シースが施される前の状態を示す斜視図である。
図1において、平型ケーブル10は、導体11の上に絶縁体(例えば、ビニル系樹脂)12を被覆して構成される絶縁線心13を2本並べ、この2本並べた絶縁線心13の上に、内部シース14を被覆し、該内部シース14の上に、外部シース15を設けた構造となっている。
【0015】
ここで、この平型ケーブル10の内部シース14には、図2に示すようにスリット16が設けられている。このスリット16は、前記絶縁線心13相互間に設けられているものであって、このスリット16によって、内部シース14が2本の絶縁線心13間で分離されている。また、このスリット16は、前記絶縁線心13に内部シース14を被覆する工程において、この内部シース14を押出加工する際に同時に設けられているものであって、例えば心口金等で設けられている。
【0016】
そして、このように2つに分離された内部シース14は、一括して外部シース15で被覆されている。この外部シース15は、前記内部シース14の外周を覆うように被覆されているものであって、前記内部シース14を分離するスリット16にも外部シース15が入り込んだ状態となっている。すなわち、外部シース15は、前記スリット16で分離された2つの内部シース14を結合した状態となっている。また、この外部シース15は、押出被覆等によって被覆されている。
【0017】
また、本発明に係る平型ケーブル10の外部シース15は、シース被覆された後に発泡化されている。このシース15は、ベース樹脂に発泡剤を練り込み配合することによって発泡化された状態となっている。本実施の形態において、この発泡剤としてはADCA(アゾジカルボアミド)等を使用することができる。この発泡剤の配合量は、使用する平型ケーブルの外部シースを構成する素材や、ベース樹脂の硬度等によっても異なるが、いずれも1%未満のごく微量となっている。例えば、ベース樹脂がPVCコンパウンドからなるVVFにおいては、ベース樹脂100に対して発泡剤を0.01%配合した場合、シースの発泡率は15%となっている。そして、この発泡剤を、外部シースの発泡率が1〜15%、好ましくは8〜15%の範囲内となるように配合する。
【0018】
このように、被覆された外部シース15を発泡化させることによって、外部シースの引裂き荷重を軽減させることが可能となっている。
【0019】
ここで、2本の絶縁線心を備えて、シース被覆された平型ケーブルを例に、
実施例1が、2本の絶縁線心を備え、該絶縁線心相互間を分離するスリットを備えた内部シースを有し、該内部シースを一括して発泡率10%の外部シースで被覆したVVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)からなる平型ケーブル、
実施例2が、2本の絶縁線心を備え、該絶縁線心相互間を分離するスリットを備えた内部シースを有し、該内部シースを一括して発泡率10%の外部シースで被覆したEEF(ポリエチレン絶縁耐燃ポリエチレンシースケーブル)からなる平型ケーブル、
比較例1が、2本の絶縁線心を備え、該絶縁線心を一括してシースで被覆したVVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)からなる平型ケーブル、
比較例2が、2本の絶縁線心を備え、該絶縁線心を一括してシースで被覆したEEF(ポリエチレン絶縁難燃ポリエチレンシースケーブル)からなる平型ケーブル、
の引裂荷重の測定結果を比較して表1に示している。
【0020】
【表1】
表1において、シース引裂荷重(N)は、平型ケーブルの2本の絶縁線心を分けるように2本の絶縁線心の間にカッターナイフ等の刃物を切り入れ、シースに切り込みを入れ、しかる後、この切り込み分けたシースの両端を左右に引っ張り、シースが引裂かれたときの荷重(N)を測定したものである。
【0021】
表1からVVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)についての測定結果を見る。
比較例1は、VVFからなるシースに、絶縁線心の間に至るまでカッター等の刃物を切り入れて、シースを引裂いたときの荷重(N)である。この比較例1においては、絶縁線心を取り出すために、カッター等の刃物をシース内部の絶縁線心間に至るまで切り入れてシースを分離させ、この分離させたシースを左右に引っ張ったところ、シース引裂きにかかる荷重は17Nであった。
【0022】
一方、実施例1は、VVFからなる外部シースを発泡率10%で発泡化させて、この外部シースにカッター等の刃物を切り入れて、シースを引裂いたときの荷重(N)である。この実施例1においては、内部シースがスリットによって分離された状態であるので、カッター等の刃物で外部シースを切り開くことで、容易にシース引裂きをすることが可能となり、シース引裂きにかかる荷重は8Nであった。
【0023】
すなわち、実施例1と比較例1とのシース引裂き荷重(N)を比較すると、比較例1の引裂き荷重は17Nであるのに対し、実施例1の引裂き荷重は8Nとなっていて、比較例1よりも実施例1の引裂荷重が下回っており、シースの引裂に必要な力が小さくて済むことが判る。
【0024】
また、表1からEEF(ポリエチレン絶縁難燃ポリエチレンシースケーブル)についての測定結果を見る。
比較例2は、EEFからなるシースに、絶縁線心の間に至るまでカッター等の刃物を切り入れて、シースを引裂いたときの荷重(N)である。この比較例2においては、絶縁線心を取り出すために、カッター等の刃物をシース内部の絶縁線心間に至るまで切り入れてシースを分離させ、この分離させたシースを左右に引っ張ったところ、シース引裂きにかかる荷重は30Nであった。
【0025】
一方、実施例2は、EEFからなる外部シースを発泡化させ、カッター等の刃物を切り入れて、シースを引裂いたときの荷重(N)である。この実施例2においては、内部シースがスリットによって分離された状態であるので、カッター等の刃物で外部シースを切り開くことで、容易にシース引裂きをすることが可能となり、シース引裂きにかかる荷重は19Nであった。
【0026】
すなわち、実施例2と比較例2とのシース引裂き荷重(N)を比較すると、比較例2の引裂き荷重は30Nであるのに対し、実施例2の引裂き荷重は19Nとなっていて、比較例2よりも実施例2の引裂荷重が下回っており、シースの引裂に必要な力が小さくて済むことが判る。
【0027】
なお、本実施の形態においては、2心からなる平型ケーブルを例に挙げて説明しているが、2心以上(3心、4心、5心等)のものの場合も、平型ケーブルであれば本実施の形態と同様に構成することが可能である。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0029】
請求項1に記載の発明によれば、スリットを設けて分離してなる内部シースを一括して外部シースで被覆し、かつ外部シースを発泡化したので、外部シースにカッター等の刃物で切り込みを入れ易く、シースの剥離性を向上させ、平型ケーブルの取扱い性を向上させることができる。
【0030】
請求項2に記載の発明によると、外部シースの発泡率を1〜15%とすることで、シースの切裂き荷重を小さく抑えつつ、適度な引張強度を備えた平型ケーブルを得ることができるので、平型ケーブルの施工性、取扱い性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る平型ケーブルの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る平型ケーブルの外部シースが施される前の状態を示す斜視図である。
【図3】従来の平型ケーブルを示す断面図である。
【符号の説明】
10………………………………平型ケーブル
11………………………………導体
12………………………………絶縁体
13………………………………絶縁線心
14………………………………内部シース
15………………………………外部シース
16………………………………スリット
Claims (2)
- 導体に絶縁体を被覆した絶縁線心を並列に配置し、前記絶縁線心相互間を分離するスリットを備えた内部シースで被覆し、前記内部シースを一括して外部シースで被覆し、前記外部シースを発泡化してなる平型ケーブル。
- 前記外部シースの発泡率は、1〜15%である請求項1に記載の平型ケーブル。
Priority Applications (1)
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Country | Link |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2002
- 2002-08-30 JP JP2002252767A patent/JP2004095259A/ja active Pending
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