JP2004091885A - 薄膜製造装置およびその装置を用いた薄膜製造方法 - Google Patents

薄膜製造装置およびその装置を用いた薄膜製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単位時間あたりの処理能力、すなわちスループットの高い薄膜製造装置を提供する。
【解決手段】薄膜製造装置は、反応室と、反応室内に反応ガスを導入するガス導入部と、反応室内の反応ガスを排気する排気部と、反応室内に設けられ互いに対向する第1および第2電極と、第1および第2電極の間に高周波電圧を印加する高周波電源部と、第1および第2電極の間に各電極から間隔をおいて設けられる導電性の少なくとも1つの基板支持板とを備え、基板支持板はその両面にそれぞれ基板を保持し、各基板に薄膜を同時に形成できるように構成されている。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄膜製造装置およびその装置を用いた薄膜製造方法に関し、詳しくは、プラズマCVD法を利用する薄膜製造装置と薄膜製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上にシリコン系薄膜を形成する方法として、反応ガスをプラズマエネルギーで分解し、基板上に堆積させて薄膜を形成するプラズマCVD法が知られている。
プラズマCVD法によって製造されるシリコン系薄膜としては、結晶、非晶質、微結晶または多結晶のシリコン薄膜、水素化シリコン薄膜、炭化シリコン薄膜、窒化シリコン薄膜、酸化シリコン薄膜等が挙げられる。
これらのシリコン系薄膜は、各種電子デバイスに用いられているが、代表的な適用例としては薄膜太陽電池が挙げられる。
【0003】
薄膜太陽電池に用いられるシリコン系薄膜は、通常、シラン系ガスを含む反応ガスを用い、高周波プラズマCVD法によって約100〜300℃に加熱された基板上に堆積・形成される。
基板としては、ガラス、ステンレスまたは樹脂フィルムなどが用いられるが、電力用太陽電池の場合、受光面積を広くとる必要から面積の大きな基板が用いられる。
面積の大きな基板上にシリコン系薄膜を形成する場合、平行平板型プラズマCVD装置が主に用いられている。
平行平板型プラズマCVD装置としては、反応室と、反応室内に設けられ互いに平行に対向する一対の平板電極とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−250431号公報(第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
通常、平行平板型プラズマCVD装置において、薄膜を形成すべき基板は、ヒータを内蔵した一方の平板電極上に設置される。
そして、対向する平板電極との間に高周波電圧が印加されると反応室内に反応ガスのプラズマが発生し、基板上に薄膜が形成される。
【0006】
しかし、このような平行平板型プラズマCVD装置では、一対の平板電極に対して1枚の基板しか設置することができない。
このため、単位時間あたりにより多くの枚数の基板に対して薄膜形成を行えるプラズマCVD装置が求められている。
この発明は以上のような事情を考慮してなされたものであり、単位時間あたりの処理能力、すなわちスループットの高い薄膜製造装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、反応室と、反応室内に反応ガスを導入するガス導入部と、反応室内の反応ガスを排気する排気部と、反応室内に設けられ互いに対向する第1および第2電極と、第1および第2電極の間に高周波電圧を印加する高周波電源部と、第1および第2電極の間に各電極から間隔をおいて設けられる導電性の少なくとも1つの基板支持板とを備え、基板支持板はその両面にそれぞれ基板を保持し、各基板に薄膜を同時に形成できるように構成されたことを特徴とする薄膜製造装置を提供するものである。
【0008】
つまり、この発明による薄膜製造装置は、第1および第2電極の間に各電極から間隔をおいて導電性の基板支持板が設けられ、この基板支持板の両面にそれぞれ基板が保持される。
このため、第1および第2電極間に高周波電圧が印加されると、基板支持板は第1電極と第2電極のほぼ中間の電位となり、第1および第2電極と基板支持板の間にそれぞれプラズマ放電が生起される。
この結果、基板支持板の両面に保持された基板にそれぞれ薄膜が同時に形成され、単位時間あたりの処理能力、すなわちスループットの向上が図られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明による薄膜製造装置は、反応室と、反応室内に反応ガスを導入するガス導入部と、反応室内の反応ガスを排気する排気部と、反応室内に設けられ互いに対向する第1および第2電極と、第1および第2電極の間に高周波電圧を印加する高周波電源部と、第1および第2電極の間に各電極から間隔をおいて設けられる導電性の少なくとも1つの基板支持板とを備え、基板支持板はその両面にそれぞれ基板を保持し、各基板に薄膜を同時に形成できるように構成されたことを特徴とする。
【0010】
この発明による薄膜製造装置は、例えば、プラズマCVD法によってシリコン系薄膜を製造するのに用いられる。
シリコン系薄膜としては、例えば、シリコンを主成分とする結晶質から非晶質までの薄膜を挙げることができ、反応ガスとしてはシリコン元素を含有するガスを用いることができる。
具体的には、反応ガスとしてシラン(SiH)、ジシラン(Si)などを用いることができ、これらのシラン、ジシランを水素(H)やヘリウム(He)などで希釈してもよい。
【0011】
また、この発明による薄膜製造装置で製造されるシリコン系薄膜には、他にも炭化ケイ素(SiC)膜、窒化ケイ素(SiN)膜、酸化ケイ素(SiO)膜、SiGe膜などが挙げられる。
炭化ケイ素膜を製造する場合には、反応ガスとしてシリコン元素を含有するガスの他に炭素元素を含有するCH、Cなどのガスを同時に導入する。
窒化ケイ素膜を製造する場合には、反応ガスとしてシリコン元素を含有するガスの他に窒素元素を含有するNH、NOなどのガスを同時に導入する。
酸化ケイ素膜を製造する場合には、反応ガスとしてシリコン元素を含有するガスの他に酸素元素を含有するNO、COなどのガスを同時に導入する。
SiGe膜を製造する場合には、反応ガスとしてシリコン元素を含有するガスの他にゲルマニウム元素を含有するGeHなどのガスを同時に導入する。
さらに、これらシリコン系薄膜には導電性を制御するために不純物を導入させてもよく、n型とする場合にはPHなど、p型とする場合にはBなどの不純物元素を含有するガスを同時に導入する。
【0012】
また、この発明による薄膜製造装置において、反応容器としては、少なくとも内部を真空に排気可能なものを用いることができる。
基板支持板としては、基板の外形より大きく、かつ、第1および第2電極と同等の寸法を有する平らな板状のものを用いることができ、その両面には基板を保持するための保持手段が設けられていてもよい。保持手段としては、例えば基板を係止するために基板保持板の両面の四隅に設けられたツメなどであってもよい。
また、基板支持板の材料としては導電性のアルミニウム、ステンレス、カーボンなどを用いることができる。
【0013】
また、この発明による薄膜製造装置において、第1および第2電極は板状であって互いに平行に配置され、基板支持板は第1および第2電極に対して平行となるように配置されることが好ましい。
というのは、第1および第2電極が平行でない場合、第1および第2電極間に生じる電界が不均一になり、均一な膜厚・膜質の薄膜を形成しづらくなるからである。
【0014】
また、この発明による薄膜製造装置において、薄膜製造装置内で基板支持板は、第1および第2電極に対して絶縁されていることが好ましい。
というのは、基板支持板が一方の電極と電気的に接続され、一定の電位に維持されると第1および第2電極間の電界が不均一になり、均一な膜厚・膜質の薄膜を形成しづらくなるからである。
【0015】
また、この発明による薄膜製造装置において、基板支持板は、反応室に対して搬入・搬出可能に設けられてもよい。
なお、この発明において基板支持板は一定の電位に維持される必要がなく、また接地させる必要もない。
従って、基板支持板は、その搬入・搬出の際に反応室に対していかなる電気的接続もなされる必要がなく、基板支持板を反応室に対して搬入・搬出可能とすることはこの発明において比較的容易である。
【0016】
また、基板支持板を反応室に対して搬入・搬出可能とした構成において、薄膜製造装置は、基板支持板および基板を予め所定温度に加熱する加熱室と、加熱された基板支持板および基板を反応室へ搬入する搬送部材をさらに備えることが好ましい。
【0017】
つまり、この発明では、第1および第2電極の間に各電極から間隔をおいて設けられる基板支持板に基板が保持されるので、従来のように一方の電極上に基板を載置した状態で加熱を行うことができない。
また、基板支持板、もしくはその周囲にヒータなどの加熱手段を設けることも困難である。
このため、加熱室と搬送部材を別途設け、加熱室で予め薄膜の形成に適した温度まで加熱してから搬送部材で反応室に搬入し薄膜形成を行うように構成することが好ましい。
【0018】
また、この発明は別の観点からみると、上記のこの発明による薄膜製造装置を用い、薄膜を形成すべき基板を基板支持板の両面に保持し、反応室内に反応ガスを供給し、第1および第2電極間に高周波電圧を印加して基板上に薄膜を形成する薄膜製造方法、あるいは、薄膜を形成すべき基板および基板支持板を加熱室内で加熱し、加熱された基板支持板および基板を搬送部材によって反応室へ搬入し、第1および第2電極間に高周波電圧を印加して基板上に薄膜を形成する薄膜製造方法を提供するものでもある。
【0019】
【実施例】
以下にこの発明の実施例による薄膜製造装置について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の複数の実施例において、共通する部材には同じ符号を用いて説明する。
【0020】
実施例1
図1はこの発明の実施例1による薄膜製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
図1に示されるように、実施例1による薄膜製造装置10は、反応室11と、反応室11内に反応ガスを導入するガス導入部17と、反応室11内の反応ガスを排気する排気部18と、反応室11内に設けられ互いに対向する第1および第2電極12,13と、第1および第2電極12,13の間に高周波電圧を印加する高周波電源部16と、第1および第2電極12,13の間に各電極から間隔をおいて設けられる導電性の少なくとも1つの基板支持板14とを備え、基板支持板14はその両面にそれぞれ基板15a,15bを保持し、各基板15a,15bに薄膜を同時に形成できるように構成されている。
【0021】
ここで、第1および第2電極12,13は板状であって互いに平行に配置され、基板支持板14は第1および第2電極12,13に対して平行で、かつ、間隔D1とD2がほぼ等しくなるように配置されている。
また、基板支持板14は、第1および第2電極12,13に対して電気的に絶縁されており、第1および第2電極12,13に対していかなる電気的な接続もなされていない。
基板15a,15bは、基板支持板14の両面の四隅にそれぞれ設けられたツメ19によって保持されている。
なお、反応ガスは、図示しないガス供給系に接続されたガス導入部17から中空構造とされた第1および第2電極内12,13に供給され、第1および第2電極12,13の対向面からシャワー状に導入される。また、反応を終えたガスは図示しない排気系に接続された排気部18から排出される。
【0022】
薄膜の形成にあたっては、基板支持板14に予め薄膜の形成に適した温度まで加熱した基板15a,15bをセットし、ガス導入部17を介して反応ガスを導入する。
その後、第1および第2電極12,13間に高周波電圧を印加すると、基板支持板14は第1電極12と第2電極13のほぼ中間の電位となる。
このため、第1電極12と基板支持板14との間、並びに、第2電極13と基板支持板14との間に電位差を生じ、それぞれプラズマ放電が生起される。
この結果、基板支持板14の両面に保持された基板15a,15bにそれぞれ薄膜が同時に形成される。つまり、単位時間あたりの処理能力が従来の2倍となり、スループットが大幅に改善される。
【0023】
なお、膜厚300nmの非晶質シリコン膜を形成する場合、各種条件を以下の表1のように設定する。
【0024】
【表1】
Figure 2004091885
【0025】
実施例2
図2はこの発明の実施例2による薄膜製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
図2に示されるように、実施例2による薄膜製造装置20は、上述の実施例1による薄膜製造装置に基板ホルダーおよび基板を加熱するための加熱室21を別途設けたものであり、その他の構成については同じである。
【0026】
ここで、基板支持板14は反応室11に対して搬入・搬出可能となるように独立した部材として設けられている。
また、加熱室21はその室内にヒーター22を備え、反応室11とゲートバルブ23を介して接続されている。
薄膜を形成すべき基板15a,15bは基板ホルダー14にセットされたうえで、加熱室21に収容され、薄膜の形成に適した温度まで加熱される。
加熱が完了した基板ホルダー14と基板15a,15bは、図示しない搬送部材によって反応室11へゲートバルブ23を介して搬入され、実施例1と同様に薄膜の形成がなされる。
【0027】
実施例3
図3はこの発明の実施例3による薄膜製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
図3に示されるように、実施例3による薄膜製造装置30は、実施例1による薄膜製造装置にさらにもう1つの基板支持板を追加したものであり、その他の構成については同じである。
すなわち、実施例3による薄膜製造装置30は、反応室11内に2つの基板支持板14a,14bを設けることにより、計4枚の基板15a,15b,15c,15dに対して同時に薄膜の形成を行うことができる。
【0028】
この場合、4枚の基板15a,15b,15c,15dのうち、互いに対向する基板15b,15cにはそれらの周辺部からしか反応ガスが供給されなくなるが、反応ガスの水素希釈率を高める、または反応圧力を低めに設定するなどの手法により、膜厚・膜質の均一化を図ることが可能である。
【0029】
なお、膜厚1000nmの微結晶シリコン膜を形成する場合、各種条件を以下の表2のように設定する。
【0030】
【表2】
Figure 2004091885
【0031】
【発明の効果】
この発明によれば、第1および第2電極の間に各電極から間隔をおいて導電性の基板支持板が設けられ、この基板支持板の両面にそれぞれ基板が保持されるので、第1および第2電極間に高周波電圧が印加されると、基板支持板は第1電極と第2電極のほぼ中間の電位となり、第1および第2電極と基板支持板の間にそれぞれプラズマ放電が生起され、基板支持板の両面に保持された基板に薄膜がそれぞれ同時に形成される。
この結果、単位時間あたりの処理能力、すなわちスループットの向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による薄膜製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
【図2】この発明の実施例2による薄膜製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
【図3】この発明の実施例3による薄膜製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
【符号の説明】
10・・・薄膜製造装置
11・・・反応室
12・・・第1電極
13・・・第2電極
14・・・基板支持板
15・・・基板
16・・・高周波電源部
17・・・ガス導入部
18・・・排気部
19・・・ツメ

Claims (7)

  1. 反応室と、反応室内に反応ガスを導入するガス導入部と、反応室内の反応ガスを排気する排気部と、反応室内に設けられ互いに対向する第1および第2電極と、第1および第2電極の間に高周波電圧を印加する高周波電源部と、第1および第2電極の間に各電極から間隔をおいて設けられる導電性の少なくとも1つの基板支持板とを備え、基板支持板はその両面にそれぞれ基板を保持し、各基板に薄膜を同時に形成できるように構成されたことを特徴とする薄膜製造装置。
  2. 第1および第2電極は板状であって互いに平行に配置され、基板支持板は第1および第2電極に対して平行となるように配置される請求項1に記載の薄膜製造装置。
  3. 基板支持板は、第1および第2電極に対して絶縁されている請求項1又は2に記載の薄膜製造装置。
  4. 基板支持板は、反応室に対して搬入・搬出可能に設けられる請求項1〜3のいずれか1つに記載の薄膜製造装置。
  5. 基板支持板および基板を予め所定温度に加熱する加熱室と、加熱された基板支持板および基板を反応室へ搬入する搬送部材をさらに備える請求項4に記載の薄膜製造装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の薄膜製造装置を用い、薄膜を形成すべき基板を基板支持板の両面に保持し、反応室内に反応ガスを供給し、第1および第2電極間に高周波電圧を印加して基板上に薄膜を形成する薄膜製造方法。
  7. 請求項5に記載の薄膜製造装置を用い、薄膜を形成すべき基板および基板支持板を加熱室内で加熱し、加熱された基板支持板および基板を搬送部材によって反応室へ搬入し、第1および第2電極間に高周波電圧を印加して基板上に薄膜を形成する薄膜製造方法。
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