JP2004091646A - 新規化合物、重合体、及びそれを含む光学要素、並びに重合体の製造方法 - Google Patents

新規化合物、重合体、及びそれを含む光学要素、並びに重合体の製造方法 Download PDF

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Naoyuki Nishikawa
西川 尚之
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Abstract

【課題】複数の架橋性基をするバナナ型液晶性(ベント型分子構造)を示す新規な架橋性化合物、液晶配向を架橋により固定化した安定な重合体、及びそれを含む光学要素、並びに重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で示される化合物、重合体、及びそれを光学要素、並びに重合体の製造方法である。
【化1】
Figure 2004091646

(式中、X、X、Y、Y、Y、及びYはそれぞれ独立して酸素原子、または硫黄原子を表し、Z、及びZはそれぞれ独立して単結合、酸素原子、または硫黄原子を示し、P、及びPはそれぞれ独立して重合性基を表す。L、及びLは独立してニ価の連結基を表し、環構造を含んでいてもよい。Cy、及びCyはそれぞれ独立して炭素数5乃至10の芳香族基、またはビフェニレン基を示し、それぞれ置換基を有していてもよい。式中のベンゼン環はそれぞれ置換基を有していてもよい。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学分野、エレクトロニクス分野で利用される機能性フィルム(例えば、光学フイルム、強誘電性フイルム、反強誘電性フイルム、圧電フイルム)や、機能性素子(例えば、非線形光学素子、電気光学素子、焦電素子、圧電素子、光変調素子)などに有用である新規な架橋性化合物、重合体、及びこれらを利用した光学要素、並びに重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベント型分子構造、すなわち分子を屈曲させる分子構造、を有する液晶化合物は一般にバナナ型液晶と呼ばれ、新規な強誘電性材料、反強誘電性材料、圧電材料、非線形光学材料、および電気光学材料として光学分野、エレクトロニクス分野で注目を集めている。
【0003】
非線形光学素子(電気光学素子)の用途としては、例えば、「光波光学」コロナ社(1998年)、200頁に記載されているように導波路型素子を作製して、光波の位相や強度を変調する光変調器、あるいは光スイッチとして利用されている。また、特開平9−22035号公報には、光信号発生装置に用いた例が開示されており、特開2001−264715号公報には電波−光信号変換装置を作製した例が開示されている。
【0004】
バナナ型液晶化合物としては、例えばJ. Mater. Chem.誌、第6巻、1231頁(1996年)、Jpn.J.Appl.Phys.誌、第36巻、6455頁(1997年)等には1,3−フェニルレン ビス [4−(4−n−アルキルフェニルイミノメチル)ベンゾエートや1,3−フェニルレンビス [4−(4−n−アルコキシフェニルイミノメチル)ベンゾエートなどが報告され、J. Mater. Chem.誌、第11巻、2946頁(2001年)には1,3−フェニルレン ビス [4−(4−n−アルコキシフェニルカルボキシスルファニル)ベンゾエートが報告されている。そして、例えばLiquid Crystals誌、第25巻、341頁(1998年)にはこれらのバナナ型液晶化合物を液晶相において電場を印加することにより高い非線形光学効果を獲得できることが報告されている。しかしながら、これらの非架橋性のバナナ型液晶化合物では高い非線形光学効果を持続するには電場を常時印加する必要があり、重合によりその液晶配向を固定できる架橋性のバナナ型液晶化合物の開発が望まれていた。
【0005】
架橋性のバナナ型化合物としては、Adv. Mater.誌、第13巻、321頁(2001年)に1,3−フェニルレン ビス [4−(4−n−アルコキシフェニルイミノメチル)ベンゾエートのジアクリレートの例が報告されている。そして、本化合物をバナナ型液晶化合物からなる液晶組成物に添加し、架橋することにより液晶配向を固定できることが報告されている。しかしながら、本化合物自身は非液晶性であるがゆえに液晶組成物への導入量が30モル%程度に制限されることや材料として強度的に十分に安定な膜や重合体を得ることができないという問題を有しており、やはり液晶性を示す架橋性バナナ型液晶化合物の開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的の一つは、複数の架橋性基をするバナナ型液晶性(ベント型分子構造)を示す新規な架橋性化合物、液晶配向を架橋により固定化した安定な重合体、及びそれを含む光学要素、並びに重合体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)から(4)の手段により達成された。
(1) 下記一般式(I)で示される化合物。
【0008】
【化2】
Figure 2004091646
【0009】
(式中、X、X、Y、Y、Y、及びYはそれぞれ独立して酸素原子、または硫黄原子を表し、Z、及びZはそれぞれ独立して単結合、酸素原子、または硫黄原子を示し、P、及びPはそれぞれ独立して重合性基を表す。L、及びLは独立して二価の連結基を表し、環構造を含んでいてもよい。Cy、及びCyはそれぞれ独立して炭素数5乃至10の芳香族基、またはビフェニレン基を示し、それぞれ置換基を有していてもよい。式中のベンゼン環はそれぞれ置換基を有していてもよい。)
【0010】
(2) 前記(1)に記載の化合物を繰返し単位として含む重合体。
(3)前記(2)に記載の重合体を含む光学要素。
(4)前記(1)に記載の化合物を、光、電場、又は磁場の印加により、配向させて架橋重合することを特徴とする重合体の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、下記一般式(I)で示される化合物について説明する。
【0012】
【化3】
Figure 2004091646
【0013】
(式中、X、X、Y、Y、Y、及びYはそれぞれ独立して酸素原子、または硫黄原子を表し、Z、及びZはそれぞれ独立して単結合、酸素原子、または硫黄原子を示し、P、及びPはそれぞれ独立して重合性基を表す。L、及びLは独立して二価の連結基を表し、環構造を含んでいてもよい。Cy、及びCyはそれぞれ独立して炭素数5乃至10の芳香族基、またはビフェニレン基を示し、それぞれ置換基を有していてもよい。式中のベンゼン環はそれぞれ置換基を有していてもよい。)
【0014】
前記一般式(I)において、X、X、Y、Y、Y、及びYはそれぞれ独立して酸素原子、または硫黄原子を表すが、Y、Y、Y、及びYは酸素原子が好ましい。Z、およびZは、それぞれ独立して単結合、酸素原子、または硫黄原子を表すが、酸素原子であることが好ましい。P、及びPはそれぞれ独立して重合性基を表す。その中でアクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、グリシジル基、ビニルオキシ基等が好ましい例として挙げられ、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基が特に好ましい。L及びLはそれぞれ独立して二価の連結基を表すが、炭素数2から20の二価の連結基が好ましい例として、炭素数4から10のアルキレン基が特に好ましい例として挙げられる。また、該連結基はヘテロ原子を含んでいてもよく、環構造を含んでいてもよく、置換基を有していてもよい。この時、好ましい置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン原子が挙げられる。
【0015】
Cy、及びCyはそれぞれ独立して炭素数5乃至10の芳香族基、またはビフェニレン基を示すが、フェニレン基、あるいはビフェニレン基が好ましく、フェニレン基が特に好ましい。また、Cy、及びCyはそれぞれ置換基を有していてもよいが、置換基を有する場合には炭素数1乃至6の低級アルキル基、炭素数1乃至6の低級アルコキシル基、ハロゲン原子が好ましく、メチル基、塩素原子、臭素原子であることが特に好ましい。また、デヒドロナフタレン環を構成する芳香環は環上に置換基を有していてもよいが、置換基を有する場合には炭素数1乃至6の低級アルキル基、炭素数1乃至6の低級アルコキシル基、ハロゲン原子が好ましく、メチル基、塩素原子、臭素原子であることが特に好ましい。
【0016】
前記一般式(I)において、X、X、Y、Y、Y、及びYが共に酸素原子、Cy、及びCyが1,4−フェニレン基、Z及びZが酸素原子、L及びLは炭素数2から20のアルキレン基、P、及びPがアクリロイルオキシ基である組み合わせが最も好ましい。
【0017】
以下に本発明の化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
【化4】
Figure 2004091646
【0019】
【化5】
Figure 2004091646
【0020】
【化6】
Figure 2004091646
【0021】
以下に本発明の架橋性化合物(液晶性化合物)の製造法について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の架橋性液晶化合物は、例えば、Angew. Makromol. Chem.誌、第183巻、45頁(1990年)に記載の方法に準じて得ることができる一般式(III)の化合物を出発物質として反応スキーム1の方法により合成することができる。
【0022】
【化7】
Figure 2004091646
【0023】
(式中、X、X、Y、Y、Y、Y、Z、Z、P、P、L、L、Cy、Cyは前記と同義である。)
【0024】
最初に、反応スキーム1に示した一般式(III)の化合物を一般式(IV)で表される化合物に変換し、続けて一般式(VI)で表される化合物に変換するする工程について説明する。第一工程として、メシルクロリドを有機溶媒中に溶解し、塩基存在化で一般式(IV)で表される化合物と反応させる。
【0025】
用いる有機溶媒の例としては酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、アセトニトリル等の一般の有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒が挙げられ、酢酸エチル、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、あるいはこれらの混合溶媒が特に好ましい。用いる塩基の例としては炭酸カリウム等やトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの一般の無機、あるいは有機塩基が挙げられるが、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が特に好ましい。
【0026】
メシルクロリド(MsCl)の使用量は一般式(III)で表される化合物に対して0.5から3当量の範囲で用いることが好ましく、0.8から1.5当量の範囲で用いることが特に好ましい。反応温度は、通常−20℃から用いる溶媒の沸点であり、好ましくは50度以下である。反応時間は通常10分〜1日間であり、好ましくは30分から12時間である。
【0027】
続けて第二工程として、一般式(VI)で表される化合物に塩基と共に反応液に一般式(V)で示される化合物を加え、一般式(VI)で示される化合物に変換する。ここで、メシルクロリドの使用量は、一般式(VI)で表される化合物に対して0.5から3当量の範囲で用いることが好ましく、0.8から1.5当量の範囲で用いることが特に好ましい。ここで用いる有機溶媒、塩基、反応時間等に関しては前述の一般式(VI)で表される化合物の合成と同じである。
【0028】
次に、一般式(VI)で表される化合物を一般式(IX)で示される化合物に変換する工程について説明する。第三工程として前述の一般式(VI)で表される化合物の合成と同様にして一般式(VII)で示される化合物に変換する。続けて、第四工程として一般式(VIII)で示される化合物と反応させ、一般式(IX)で示される化合物に変換する。ここで、一般式(VIII)で示される化合物の使用量は、一般式(VI)で表される化合物に対して0.7から1.5当量の範囲で用いることが好ましく、0.9から1.1当量の範囲で用いることが特に好ましい。ここで用いる有機溶媒、塩基、反応時間等に関しては前述の一般式(VI)で表される化合物の合成と同じである。
【0029】
最後に、第五工程として一般式(IX)で表される化合物を一般式(I)で表される化合物に変換する工程について説明する。一般式(VI)で表される化合物と同様にして合成した一般式(XIII)の化合物と一般式(IX)で表される化合物を有機溶媒中においてジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)で縮合させることにより一般式(I)で示される化合物に変換ることができる。ここで一般式(IX)で表される化合物の使用量は一般式(XIII)で表される化合物に対して0.7から2当量の範囲で用いることが好ましく、0.8から1.5当量の範囲で用いることが特に好ましい。ここで用いる有機溶媒、塩基、反応時間等に関しては前述の一般式(VI)で表される化合物の合成と同じである。
【0030】
上記の各工程において、好ましくない熱架橋を止めるため、少量のBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)、ニトロベンゼン等の重合禁止剤を添加してもよい。
【0031】
また、スキーム2に前記一般式(I)の化合物においてXとX、YとY、YとY、ZとZ、PとP、LとL、およびCyとCyがそれぞれ同一である本発明の化合物(一般式XIV)は、下記反応スキーム2に示すように前記一般式(VI)の化合物と一般式(VIII)の化合物との縮合反応により容易に合成することができる。
【0032】
【化8】
Figure 2004091646
【0033】
(式中、X、Y、Y、Z、P、L、Cyは前記と同義である。)
【0034】
反応スキーム2に示した工程は、前述の一般式(VI)で表される化合物と一般式(VIII)で示される化合物を有機溶媒中においてジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)で縮合させることにより一般式(X)で示される化合物に変換することができる。ここで一般式(VI)で表される化合物の使用量は一般式(VIII)で表される化合物に対して1.5から4当量の範囲で用いることが好ましく、1.8から3当量の範囲で用いることが特に好ましい。ここで用いる有機溶媒、塩基、反応時間等に関しては前述の一般式(VI)で表される化合物の合成と同じである。
【0035】
反応スキーム1、および2で示した各工程は必要に応じて重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、任意であるが、例えばフェノチアジン、ニトロベンゼンなどが採用される。
【0036】
本発明の架橋性バナナ型化合物(少なくととも二つ以上の架橋可能な官能基を有するベント型分子構造を持つ液晶化合物)を含む液晶組成物の重合体は、例えば、1)支持体等に本発明の重合性液晶化合物を含む組成物を塗布し、2)液晶域において配向させ、3)架橋することにより製造できる。
【0037】
ここで、支持体等は特に限定されないが、ガラス基板、金属基板、高分子フイルム、反射板などが例として挙げることができる。高分子フイルムの例としては、TAC(トリアセチルセルロース)などのセルロース系高分子フイルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)などのエステル系高分子フイルム等が挙げられる。支持体に関しては必要に応じて液晶配向層、金属蒸着層、透明電極層等を設けても良い。
【0038】
該液晶組成物に関しては、本発明の架橋性化合物以外に必要に応じて適切な重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、架橋剤、液晶配向助剤などを添加してもよい。加える添加剤の量は特に限定されないが、添加剤の総量が構成成分の30重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがさらに好ましい。塗布方式としては、公知の方法、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等が採用される。
【0039】
液晶組成物の配向させるには、様々な手法を採用することができる。例えば、前述の支持体等に事前に配向処理を施す方法を採用できる。この配向処理としては種々の一般的な方法が採用できるが、各種ポリイミド系配向膜、ポリビニルアルコール系配向膜等の液晶配向層を支持体等の上に設け、ラビングなどの配向処理行う方法が好ましい例として挙げられる。
【0040】
また、光、電場、あるいは磁場の印加により配向処理を行う方法も特に好ましい例として挙げられる。電場による配向処理としては直流電場を印加する方法、コロナ放電を利用する方法等を用いることができる。磁場による配向処理としては電磁石を利用する方法等を用いることができる。
【0041】
架橋反応には、熱あるいは電磁波による公知の種々の架橋法が採用できるが、紫外光による光重合開始剤を用いるラジカル重合が特に好ましい。以上にようにして製造した重合体を支持体から剥離、あるいは他の支持体等に転写して用いることも可能である。
【0042】
以上のように製造した重合体は、光学要素として利用できるが、具体的に光学要素とは、光学フイルム、強誘電性フイルム、反強誘電性フイルム、圧電フイルムなどの機能性フィルム等、また、非線形光学素子、電気光学素子、焦電素子、圧電素子、および光変調素子などの機能性素子の製造に有用な材料として利用できるものなどをいう。
【0043】
以下に本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
−実施例1(化合物1の製造)−
メシルクロリド(1.14g)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、Angew. Makromol. Chem.誌、第183巻、45頁(1990年)に記載の方法に準じて合成した4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシ安息香酸(2.64g)、ジイソプロピルエチルアミン(1.29g)のTHF溶液(5mL)を氷冷下において滴下した。氷冷下において2時間攪拌した後、4−メルカプト安息香酸(1.54g)を加え、8時間攪拌した。不溶物をろ別した後、反応液を減圧下において濃縮した。得られた残留物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した後、希塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下において濃縮した。得られた残留物をアセトニトリルで再結晶を施し、2.42gの4−[4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシベンゾイル]スルファニル安息香酸を得た。
【0045】
次に、得られた4−[4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシベンゾイル]スルファニル安息香酸(880mg)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(440mg)、ジメチルアミノピリジン(40mg)を20mLのジクロロメタンに溶解し、110mgのレゾルシノールを加えて室温で8時間攪拌した。反応液を減圧下において濃縮した後、得られた残留物をシリカゲルクロマトフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製し、さらにアセトニトリルで再結晶を施して155mgの化合物1を得た。
【0046】
H−NMR:(δ、CDCl)1.8−2.0(8H,m),4.10(4H,t),4.26(4H,t),5.84(2H,dd),6.14(2H,dd),6.42(2H,dd),6.97(4H,dd),7.20(2H,dd),7.22(1H,d),7.48(1H,t),7.68(4H,d),8.01(4H,d),8.26(4H,d)
Fab MASS:(M+H)=875
【0047】
相挙動:
【化9】
Figure 2004091646
【0048】
−実施例2(化合物2の製造)−
実施例1において、4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシ安息香酸を4−(10−アクリロイルオキシデシル)オキシ安息香酸に変え、あとは実施例1に準じて化合物2を合成した。
【0049】
H−NMR:(δ、CDCl)1.8−2.0(24H,m),1.67(4H,quant.),1.82(4H,quant.),4.04(4H,t),4.16(4H,t),5.83(2H,dd),6.13(2H,dd),6.42(2H,dd),6.97(4H,dd),7.20(2H,dd),7.21(1H,d),7.48(1H,t),7.68(4H,d),8.01(4H,d),8.26(4H,d)
Fab MASS:(M+H)=1043
【0050】
相挙動:
【化10】
Figure 2004091646
【0051】
−実施例3(化合物3の製造)−
実施例1において、4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシ安息香酸を2−メチル−4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシ安息香酸に変え、あとは実施例1に準じて化合物3を合成した。
【0052】
Fab MASS:(M+H)=903
【0053】
−実施例4(化合物4の製造)−
実施例1において、4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシ安息香酸を4−(10−メタクリロイルオキシ)デシルオキシ安息香酸に変え、あとは実施例1に準じて化合物4を合成した。
【0054】
Fab MASS:(M+H)=1071
【0055】
−実施例5(化合物5の製造)−
実施例1において、レゾルシノールを1,3−ベンゼンジチオールに変え、4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシ安息香酸を4−(10−アクリロイルオキシデシル)オキシ安息香酸に変え、あとは実施例1に準じて化合物5を合成した。
【0056】
Fab MASS:(M+H)=1075
【0057】
−実施例6(化合物6の製造)−
実施例1において、4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシ安息香酸を4−[4−(10−アクリロイルオキシデシル)オキシフェニル]安息香酸に変え、あとは実施例1に準じて化合物6を合成した。
【0058】
Fab MASS:(M+H)=1195
【0059】
−実施例7(化合物7の製造)−
実施例1において、4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシ安息香酸を2−(10−アクリロイルオキシデシル)オキシチオフェン−4−カルボン酸に変え、あとは実施例1に準じて化合物7を合成した。
【0060】
Fab MASS:(M+H)=1055
【0061】
−実施例8(化合物8の製造)−
実施例1において、4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシ安息香酸を4−(10−アクリロイルオキシデシル)スルファニル安息香酸に変え、あとは実施例1に準じて化合物8を合成した。
【0062】
Fab MASS:(M+H)=1075
【0063】
−実施例9(化合物9の製造)−
メシルクロリド(230mg)を1mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、実施例1の方法で得られた4−[4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシベンゾイル]スルファニル安息香酸(800mg)、ジイソプロピルエチルアミン(260mg)のTHF溶液(3mL)を氷冷下において滴下した。反応液を減圧下において濃縮し、シリカゲルクロマト(溶離液:ヘキサン:酢酸エチル=7:3)にて精製して460mgの4−[4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシベンゾイル]スルファニル安息香酸3−ヒドロキシフェニルを得た。
【0064】
次に、得られた4−[4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシベンゾイル]スルファニル安息香酸3−ヒドロキシフェニル(460mg)、実施例1の方法において、4−(4−アクリロイルオキシブチル)オキシ安息香酸を4−(10−アクリロイルオキシデシル)オキシ安息香酸に変え、あとは実施例1に準じて得られた4−[4−(10−アクリロイルオキシデシル)オキシベンゾイル]スルファニル安息香酸(480Mg)を5mLのジクロロメタンに溶解し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(440mg)、ジメチルアミノピリジン(20mg)を加えて室温で8時間攪拌した。反応液を減圧下において濃縮した後、得られた残留物をシリカゲルクロマトフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製し、さらにアセトニトリルで再結晶を施して290mgの化合物9を得た。
【0065】
Fab MASS:(M+H)=959
【0066】
−実施例10(光学フイルムの製造例)−
日産化学(株)社製のポリイミド系配向膜(SE−150)を塗布したガラス基盤にラビング処理を施した後、下記の組成の塗布液をスピンコート(1000rpm、20s)により塗布した。そして、連続的に乾燥および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線を照射して、膜厚1.2μmの架橋膜を作成した。
偏光顕微鏡観察の結果、得られた架橋膜では架橋前の液晶配向が固定され、150℃まで加熱してもその配向に変化は見られなかった。
【0067】
Figure 2004091646
【0068】
−実施例11(圧電フイルムの製造例)−
ITO透明電極層を有するガラス基盤に下記の組成の塗布液をスピンコート(1000rpm、20s)により塗布し、連続的に乾燥した。次に、125℃まで加熱した後、105℃まで冷却した。続けてコロナ放電によるポーリング処理(5kV、30分)を施し、さらに紫外線を照射して、膜厚2.2μmの架橋膜(圧電フイルム)を作成した。
【0069】
Figure 2004091646
【0070】
−実施例12(非線形光学素子の製造例)−
一対のITO透明電極層を有するガラス基板からなる10μmの隙間を有するセル(E.H.C.Co.,Ltd.製)に120度において化合物1を注入した。次に、200Vの直流電場を印加し、100℃まで冷却した。12時間後、室温まで冷却して電場印加を停止し、架橋膜を得た。
得られた架橋膜に対してYAGレーザーの赤外光(1.06μm)を照射し、発生する第二高調波強度をメーカーフリンジ法により測定した結果を図1に示す。
【0071】
−実施例13(電気光学素子の製造例)−
実施例12と同様にして得られたITO透明電極層を有するガラス基盤に膜厚2.2μmの架橋膜を作成した。次に、架橋膜上にアルミニウムを蒸着し、電極を設置し、電気光学素子を作製した。得られた素子についてAppl.Phys.Chem.誌、第56巻、1734頁(1990年)記載の方法に準じて電気光学効果の発現を確認した。
【0072】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、複数の架橋性基をするバナナ型液晶性(ベント型分子構造)を示す新規な架橋性化合物、液晶配向を架橋により固定化した安定な重合体、及びそれを含む光学要素、並びに重合体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第二高調波(SH波)の強度変化を示した図(メーカーフリンジ図)である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で示される化合物。
    Figure 2004091646
    (式中、X、X、Y、Y、Y、及びYはそれぞれ独立して酸素原子、または硫黄原子を表し、Z、及びZはそれぞれ独立して単結合、酸素原子、または硫黄原子を示し、P、及びPはそれぞれ独立して重合性基を表す。L、及びLは独立してニ価の連結基を表し、環構造を含んでいてもよい。Cy、及びCyはそれぞれ独立して炭素数5乃至10の芳香族基、またはビフェニレン基を示し、それぞれ置換基を有していてもよい。式中のベンゼン環はそれぞれ置換基を有していてもよい。)
  2. 請求項1に記載の化合物を繰返し単位として含む重合体。
  3. 請求項2に記載の重合体を含む光学要素。
  4. 請求項1に記載の化合物を、光、電場、又は磁場の印加により、配向させて架橋重合することを特徴とする重合体の製造方法。
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