JP2004123579A - トラン誘導体、およびそれを用いた光学材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】非線形光学素子、電気光学素子、および圧電素子を作製するのに好適な材料としてトラン誘導体を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表される化合物。
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR3−Ar−(R3は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基等を示し、Arは炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数5〜10のヘテロアリール基を示す)で表される基を示す。また、R1とR2は互いに連結して環を形成してもよい。R1とR2がアルキル基、又はR3がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を示す場合、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等は水酸基、アミノ基等あるいは架橋反応可能な置換基を有していてもよい。R4は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基等を示す。R5は水素原子、あるいは炭素数1〜6のアルキル基を示す。Eは複数の電子求引性基を有するエチレン基を示す。)
【選択図】 なし
【解決手段】下記式(I)で表される化合物。
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR3−Ar−(R3は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基等を示し、Arは炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数5〜10のヘテロアリール基を示す)で表される基を示す。また、R1とR2は互いに連結して環を形成してもよい。R1とR2がアルキル基、又はR3がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を示す場合、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等は水酸基、アミノ基等あるいは架橋反応可能な置換基を有していてもよい。R4は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基等を示す。R5は水素原子、あるいは炭素数1〜6のアルキル基を示す。Eは複数の電子求引性基を有するエチレン基を示す。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オプトエレクトロニクス、およびフォトニクス分野で有用な新規な非線形光学材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高度な情報化社会の進展に伴い、情報の伝送、処理、および記録に対して光技術を用いる試みが多数なされている。そのような状況において、非線形光学効果を示す材料(非線形光学材料)がオプトエレクトロニクス、およびフォトニクス分野において注目されている。非線形光学効果とは、物質に強電場(光電場)を加えたとき、生じた電気分極と加えた電場の間で非線形な関係を示す現象であり、非線形光学材料とは、このような非線形性を顕著に示す材料を指す。
二次の非線形応答を利用した非線形光学材料として、第二高調波を発生する材料や電場の一次に比例して屈折率変化を引き起こすポッケルス効果(一次電気光学効果)を示す材料などが知られており、特に後者は電気光学(EO)光変調素子やフォトリフラクティブ素子への応用が検討されている。
【0003】
これらの非線形光学材料は、従来は無機非線形材料を中心に材料探索や素子作成が行われてきたが、近年は、1)大きな非線形を示す、2)応答速度の速さ、3)光損傷しきい値が高い、4)多種多様な分子設計が可能、5)製造適性に優れることなどから有機材料が注目を集めている。これまで検討されてきた代表的な有機材料としては、4−N,N−ジメチルアミノ−4’−ニトロスチルベン(DANS)、4−N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ−4’−ニトロアゾベンゼン(DR1)等が挙げられる。
【0004】
それらの中でジフェニルアセチレン誘導体(トラン誘導体)もまた有用な材料として期待され、電子受容基としてシアノ基、ニトロ基、メチルスルホニル基、メトキシカルボニル基、メチルカルボニル基、あるいはフェニルカルボニル基を有するアミノトラン誘導体が知られており(例えば、非特許文献1、2参照。)、ニトロアミノトランを側鎖とする高分子非線形光学材料(例えば、非特許文献3参照。)も知られている。さらに、ジフェニルアセチレン基の一方のベンゼン環に複数の電子供与性基を有し、もう一方のベンゼン環に直接結合した複数の電子求引性基を有するトラン誘導体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
一般に有機結晶は無機結晶と比較して硬度が低く、素子等への加工に問題を有することから、非線形光学分子高分子マトリックス中に分散させること、あるいは非線形光学応答基を有する高分子材料を用いることが検討されている。そして、二次の非線形光学効果の発現には分極が反転対称中心を欠く必要があり、非線形光学効果を示す分子あるいは非線形光学応答基を材料中で電場により双極子を配向させて反転対称中心を欠く構造(非中心対称性構造)に配置することが広くなされている。ただし、これまでに開発されてきた有機非線形光学材料は光素子として応用するには実用上不十分なものであり、光素子化に適した材料の開発が望まれていた。
【0006】
【非特許文献1】
J.Am.Che.Soc.誌、第113巻、7658頁(1991年)
【非特許文献2】
Mol.Cryst.Liq.Cryst.誌、第368巻、671頁(2001年)
【非特許文献3】
J.Opt.Soc.Am.B誌、第10巻、1894頁(1993年)
【特許文献1】
特開平8−184867号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解消するため、非線形光学素子、電気光学素子、および圧電素子を作製するのに好適な光学材料に用いるトラン誘導体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記式(I)で表わされる化合物により前記課題が達成されることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、
【0009】
(1) 下記式(I)で表される化合物。
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR3−Ar−(R3は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基を示し、Arは炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数5〜10のヘテロアリール基を示す。)で表される基を示す。また、R1とR2は互いに連結して環を形成してもよい。R1とR2がアルキル基、又はR3がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、若しくはアルキルアミノ基を示す場合、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、および該アルキルアミノ基は水酸基、アミノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン基あるいは架橋反応可能な置換基を有していてもよい。R4は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。R5は水素原子、あるいは炭素数1〜6のアルキル基を示す。Eは複数の電子求引性基を有するエチレン基を示す。)
(2) Eで表される複数の電子求引性基を有するエチレン基が、下記式(Ia)で表される基であることを特徴とする(1)項に記載の化合物。
【0012】
【化6】
【0013】
(式中、nは0〜5の整数であり、Dは電子求引性基を表す。)
(3) Eで表される複数の電子求引性基を有するエチレン基が下記式(IIa−1)〜(IIa−4)から選択されることを特徴とする前記(1)又は(2)項に記載の化合物。
【0014】
【化7】
【0015】
(式中、R6、R7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、あるいは炭素数6〜10のアリール基を示す。Dは電子求引性基を示す。)
(4) Eで表される複数の電子求引性基を有するエチレン基が下記式(IIb−1)〜(IIb−6)から選択されることを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の化合物。
【0016】
【化8】
【0017】
(式中、R6、R7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、あるいは炭素数6〜10のアリール基を示す。R8、R9はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR10−Ar−(R10は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基を示し、Arは炭素数6〜10のアリール基、炭素数5〜10のヘテロアリール基を示す。)で表される基を示す。また、R8とR9は互いに連結して環を形成してもよい。R8とR9がアルキル基、又はR10がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、あるいはアルキルアミノ基を示す場合、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、および該アルキルアミノ基は水酸基、アミノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン基あるいは架橋反応可能な置換基を有していてもよい。)
(5) 前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の化合物であることを特徴とする非線形光学材料。
(6) 前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の化合物が架橋反応可能な基を持つ場合であって、その架橋反応可能な基を重合した重合体を構成成分の一種とすることを特徴とする非線形光学材料。
(7) 前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の化合物であることを特徴とする電気光学材料。
(8) 前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の化合物が架橋反応可能な基を持つ場合であって、その架橋反応可能な基を重合した重合体を構成成分の一種とすることを特徴とする電気光学材料。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、下記式(I)で表される化合物について説明する。
【0019】
【化9】
【0020】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR3−Ar−(R3は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基を示し、Arは炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数5〜10のヘテロアリール基を示す。)で表される基を示す。また、R1とR2は互いに連結して環を形成してもよい。R1とR2がアルキル基、又はR3がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、若しくはアルキルアミノ基を示す場合、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、および該アルキルアミノ基は水酸基、アミノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン基あるいは架橋反応可能な置換基を有していてもよい。R4は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。R5は水素原子、あるいは炭素数1〜6のアルキル基を示す。Eは複数の電子求引性基を有するエチレン基を示す。)
【0021】
前記式(I)において、R1、R2は炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR3−Ar−で表される基を示すことが好ましい。R1、R2が置換基を有する場合、その置換基はヒドロキシ基、エステル基(アルキルカルボニルオキシ基)、あるいは架橋可能な置換基を有していることが好ましい。ここで、架橋可能な置換基としては特に限定はされないが、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、グリシジル基、ビニルオキシ基等が特に好ましい例として挙げられる。
次に、R1、R2がアルキル基を示す場合、その炭素数は1〜15であることが好ましく、1〜10であることが特に好ましい。また、R1とR2が互いに連結して環を形成することもまた好ましい例であり、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等を形成することが特に好ましい。
【0022】
R1、R2がR3−Ar−を示す場合、R3は炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基が好ましく、Arはフェニル基が好ましい。R3が置換基を有する場合、その置換基はヒドロキシ基、エステル基(アルキルカルボニルオキシ基)、あるいは架橋可能な置換基を有していることが好ましい。
R4は水素原子、あるいは炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、R5は水素原子が好ましい。
【0023】
Eは複数の電子求引性基を有するエチレン基を示す。式(I)において、Eで表される複数の電子求引性基を有するエチレン基が、下記式(Ia)で表される基である化合物が好ましい。
【0024】
【化10】
【0025】
式中、nは0〜5の整数であり、Dは電子求引性基を表す。nは0〜3が好ましく、0〜2がより好ましい。なお式中の括弧内の基を含んで環を形成してもよく、好ましくは5員〜6員環が好ましい。本発明において、電子求引性の尺度として、ハメット則のσp値が正の値を有することを適用する。なおハメット則についてはChem. Rev. 1991, 91, 165−195の記載を適用できる。すなわちDはハメット則のσp値で表せば、σp値が正の値を有する置換基でなければならない。この条件を満たす限り、置換基の種類は特に限定されないが、シアノ基、ニトロ基、アルキルカルボニル基(−COR)、アルコキシカルボニル基(−COOR)、アルキルスルホニル基(−SO2R)、アルコキシスルホニル基(−SO2OR)等の置換基が好ましい。そして、より好ましいEの例としては、下記の式(IIa−1)〜(IIa−4):
【0026】
【化11】
【0027】
(式中、R6、R7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、あるいは炭素数6〜10のアリール基を示す。Dは電子求引性基を示す。)で示されるエチレン基が挙げられ、特に好ましい例としては下記の式(IIb−1)〜(IIb−6):
【0028】
【化12】
【0029】
(式中、R6、R7は前記と同義である。R8、R9はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR10−Ar−(R10は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基を示し、Arは炭素数6〜10のアリール基、炭素数5〜10のヘテロアリール基を示す。)で表される基を示す。また、R8とR9は互いに連結して環を形成してもよい。R8とR9がアルキル基、又はR10がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、あるいはアルキルアミノ基を示す場合、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、および該アルキルアミノ基は水酸基、アミノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルコキシ基、ハロゲン基あるいは架橋反応可能な置換基を有していてもよい。)で表されるエチレン基が挙げられる。
【0030】
式中のR6、R7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、あるいは炭素数6〜10のアリール基を示すが、炭素数1〜6の低級アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。R8、R9は炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。R8、R9が置換基を有する場合、その置換基はヒドロキシ基、エステル基(アルキルカルボニルオキシ基)、あるいは架橋可能な置換基を有していることが好ましい。ここで、架橋可能な置換基としては特に限定はされないが、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、グリシジル基、ビニルオキシ基等が特に好ましい例として挙げられる。R8、R9がR10−Ar−を示すとき、R10は炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基が好ましく、Arはフェニル基が好ましい。R10が置換基を有する場合、その置換基はヒドロキシ基、エステル基(アルキルカルボニルオキシ基)、あるいは架橋可能な置換基を有していることが好ましい。
【0031】
式(I)において、電子求引性基は連結基としてエチレン基及びそれを含む基を介してベンゼン環に結合している。
連結基の導入によって、ベンゼン環に直接電子求引性基を導入するよりも、共役系が拡張され、非線形光学効果が向上する。とりわけ、式(IIa−1)〜(IIa−4)の導入が本発明では好ましい。式(IIa−2)〜(IIa−4)において環を形成することにより、クロモフォアの安定性が向上する。
【0032】
以下に本発明の化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
以下に本発明の化合物の製造方法について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明のアミノトラン化合物は、例えば、公知の方法(例えば非特許文献4参照。)で得ることができる式(III)で表される化合物を出発物質として反応スキーム1の方法により合成することができる。
【0038】
【非特許文献4】
Chem.Europ.j.誌、第4巻、2129−2135頁、1998年
【0039】
反応スキーム1
【0040】
【化17】
【0041】
(式中、R1、R2、Eは前記と同義を示す。Xは臭素原子、あるいはヨウ素原子を示し、E’はメチン源を示す。)
【0042】
第1工程では、式(III)で表される化合物を溶媒に溶解し、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、トリフェニルホスフェン、ヨウ化銅を存在下において、トリメチルシリルアセチレンと反応させることにより式(IV)で表される化合物に変換することができる。ここで用いる溶剤としては、ピペリジン、ジアルキルアミン、トリエチルアミンなどの2級、もしくは3級のアミン系溶剤が好適である。トリメチルシリルアセチレンの使用量は式(III)で表される化合物に対して0.5〜4当量の範囲で用いることが好ましく、0.8〜2当量の範囲で用いることが特に好ましい。用いるビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドの使用量は式(III)で表される化合物に対し、0.5〜20モル%が好ましく、1〜10モル%がさらに好ましい。反応温度は、通常−20℃から用いる溶媒の沸点までであり、好ましくは50℃〜100℃である。反応時間は通常10分〜1日間であり、好ましくは1時間〜12時間である。
【0043】
第2工程では、テトラn−ブチルアンモニウム フルオライドのTHF溶液(1M)で処理することにより、式(IV)の化合物をテトラn−ブチルアンモニウム フルオライドのTHF溶液(1M)で処理し、式(V)の化合物に変換できる。
第3工程では、上記で得られた式(V)の化合物を4−ハロゲノベンズアルデヒドと反応させることにより、式(VI)で表される化合物に変換できる。ここで用いる溶剤としては、ピペリジン、ジアルキルアミン、トリエチルアミンなどの2級、もしくは3級のアミン系溶剤が好適である。上記得られた式(V)の化合物の使用量は上記4−ハロゲノベンズアルデヒドに対して0.5〜4当量の範囲で用いることが好ましく、0.8〜2当量の範囲で用いることが特に好ましい。用いるビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドの使用量は上記4−ハロゲノベンズアルデヒドに対し、0.5〜20モル%が好ましく、1〜10モル%がさらに好ましい。反応温度は、通常−20℃から用いる溶媒の沸点までであり、好ましくは50℃〜100℃である。反応時間は通常10分〜1日間であり、好ましくは1時間〜12時間である。
【0044】
第4工程では、上記で得られた式(VI)の化合物を適切なメチン源と塩基存在下において反応させることにより、式(I)で表される化合物に変換することができる。ここで用いる有機溶剤は特に限定されないが、エタノール、メタノール等のアルコール系溶剤が好ましい例として挙げることができる。ここで用いる塩基としては添加してもしなくともよい。用いる場合はアミン類が好ましい例として挙げられ、ピペリジンが特に好ましい。反応温度は、通常−20℃〜溶媒の沸点であり、好ましくは0℃〜50℃である。反応時間は通常10分〜1日間であり、好ましくは10分〜6時間である。
【0045】
また、R1、R2がそれぞれ置換基を有するアルキル基、あるいは置換基を有するアリール基を示す場合は、必要に応じてあらかじめ置換基の前駆体となる基を導入し、適切な工程で目的とする置換基に変換してもよい。また、必要に応じて保護、および脱保護の工程を採用してもよい。
【0046】
本発明の非線形光学材料、電気光学材料、および圧電材料は以下に示す方法により製造できる。
【0047】
例えば、1)本発明のアミノトラン化合物とそれを保持する高分子媒体を含む組成物、あるいは本発明のアミノトラン化合物の重合体を含む組成物を溶媒に溶解し、2)支持体等に塗布して乾燥させ、3)配向処理を施すことにより製造できる。
【0048】
本発明のアミノトラン化合物とそれを保持する高分子媒体を含む組成物、あるいは本発明のアミノトラン化合物の重合体を含む組成物を溶媒に溶解する工程において、用いる高分子媒体は特に限定されないが、例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)等のアクリル系高分子、フッ素化ポリイミド等のイミド系高分子、ポリカーボネート等を例として挙げることができる。また、用いる溶剤としては特に限定されないが、例えば酢酸エチル等のエステル類系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、およびこれらの混合溶剤等が挙げられる。
次に、塗布工程において、支持体等は特に限定されないが、ガラス基板、高分子フィルム、反射板などが例として挙げることができる。塗布方式としては、公知の方法、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等が採用される。
【0049】
また、配向処理において、コロナポーリング、およびコンタクトポーリング法を採用することができる。
また、重合性基を持つ本発明の化合物は、架橋し、重合体として非線形光学材料として用いることができる。すなわち、1)支持体等に本発明のアミノトラン化合物を含むモノマー組成物を塗布し、2)配向させ、3)架橋することにより製造することができる。このとき、本発明のアミノトラン化合物は重合性の置換基を有していることが好ましい。
【0050】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
実施例1(化合物1の製造)
第1工程
ピペリジン80mLに4−ジメチルアミノブロモベンゼン(3.87g)、トリメチルシリルアセチレン(3.98g)、ヨウ化銅(41mg)、トリフェニルホスフェン(102mg)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(40mg)を加え、90℃に加温した。4時間攪拌した後、反応液を減圧下で濃縮し、水を加えた後にヘキサンで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下において濃縮した後、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製(溶出液:ヘキサン:酢酸エチル=95:5)し、2.7gの4−ジメチルアミノフェニル トリメチルシリルアセチレンを得た。
【0052】
第2工程
得られた4−ジメチルアミノフェニル トリメチルシリルアセチレンをテトラn−ブチルアンモニウム フルオライドのTHF溶液(1M)で処理し、1.45gの4−ジメチルアミノフェニルアセチレンを得た。
【0053】
第3工程
得られた4−ジメチルアミノフェニルアセチレン(1.45g)を40mLのトリエチルアミンに溶解し、4−ブロモベンズアルデヒド(1.85g)、ヨウ化銅(28mg)、トリフェニルホスフェン(12mg)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(8mg)を加え、90℃に加温した。8時間攪拌した後、反応液を減圧下で濃縮し、水を加えた後に酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下において濃縮した。残留物をアセトニトリルより再結晶を行い、1.7gの4−ジメチルアミノフェニル 4’−ホルミルフェニルアセチレンを得た。
【0054】
第4工程
得られた4−ジメチルアミノフェニル 4’−ホルミルフェニルアセチレン(249mg)を10mLのエタノールに溶解し、シアノ酢酸エチル(120mg)、ピペリジン(3滴)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液をろ過し、得られたろ物をアセトニトリルより再結晶して57mgの化合物1を得た(収率5.8%(4工程合計))。
【0055】
得られた生成物の各測定値は以下のとおりである。
1H−NMR (δ、CDCl3) 1.40 (3H, t) , 3.02(6H, s), 4.39 (2H, q), 6.67 (2H, d), 7.44 (2H, d), 7.58 (2H, d), 7.96 (2H, d), 8.21 (1H, s)
Fab MASS M+=344
【0056】
実施例2(化合物2の製造)
実施例1において、シアノ酢酸エチルをマロノニトリルに変え、あとは実施例1に準じて化合物2を合成した。
【0057】
得られた生成物の各測定値は以下のとおりである。
1H−NMR (δ、CDCl3) 3.02(6H,s), 6.67 (2H, d), 7.42 (2H, d), 7.58 (2H, d), 7.70 (1H, s,) 7.87 (2H, d)
Fab MASS M+=297
【0058】
実施例3(化合物3の製造)
実施例1において、4−ジメチルアミノブロモベンゼンを4−ジヒドロキシエチルアミノヨードベンゼンに変え、あとは実施例1に準じて化合物3を合成した。
【0059】
得られた生成物の測定値は以下のとおりである。
Fab MASS M+=404
【0060】
化合物4も実施例1と同様の方法により合成することができる。
【0061】
実施例4(化合物5の製造)
実施例3の方法により得られた化合物3を(360mg)とジイソプロピルエチルアミン(390mg)を2mLのDMFに溶解し、アクリル酸クロリド(270mg)を加え、室温で8時間攪拌した。反応液に水を加え、得られた沈殿を集め、アセトニトリルにより再結晶して20mgの化合物5を得た。
【0062】
得られた生成物の測定値は以下のとおりである。
Fab MASS M+=512
【0063】
化合物6も実施例4と同様の方法により合成できる。
【0064】
実施例5(化合物7の製造)
実施例1において、4−ジメチルアミノブロモベンゼンを4−[ビス(4−メトキシフェニル)アミノ]ヨードベンゼンに変え、あとは実施例1に準じて化合物7を合成した。
【0065】
得られた生成物の各測定値は以下のとおりである。
1H−NMR (δ、CDCl3) 1.40 (3H, t) , 3.81 (6H,s), 4.39 (2H, q), 6.8−6.9 (6H, m), 7.10 (4H, d), 7.33 (2H, d), 7.57 (2H, d), 7.97 (2H, d), 8.21 (1H, s)
Fab MASS M+=528
【0066】
実施例6(化合物8の製造)
実施例1において、4−ジメチルアミノブロモベンゼンを4−[ビス(4−メトキシフェニル)アミノ]ヨードベンゼンに変え、シアノ酢酸エチルをマロノニトリルに変えあとは実施例1に準じて化合物8を合成した。
得られた生成物の測定値は以下のとおりである。
Fab MASS M+=481
【0067】
実施例7(化合物9の製造)
実施例1において、4−ジメチルアミノブロモベンゼンを4−(4−ヒドロキシピペリジノ)ヨードベンゼンに変えあとは実施例1に準じて化合物8を合成した。
得られた生成物の測定値は以下のとおりである。
1H−NMR (δ、CDCl3) 1.41 (3H, t), 1.6−1.8(2H, m), 2.0−2.2(2H, m), 3.0−3.1(2H,m), 3.6−3.7(2H, m), 3.9−4.0(1H, m), 4.39 (2H, q), 6.95 (2H, d), 7.58 (2H, d), 7.65 (2H, d), 8.04 (2H, d), 8.25 (1H, s)
Fab MASS M+=400
【0068】
実施例8(化合物10の製造)
実施例1において、4−ジメチルアミノブロモベンゼンを4−(4−ヒドロキシピペリジノ)ヨードベンゼンに変え、シアノ酢酸エチルをシアノ酢酸メチルに変えたあとは実施例1に準じて化合物10を合成した。
得られた生成物の測定値は以下のとおりである。
1H−NMR (δ、CDCl3) 1.6−1.7(2H, m), 2.0−2.1(2H, m), 3.0−3.1(2H,m), 3.6−3.7(2H, m), 3.9−4.0 (1H, m), 3.94 (3H, s), 6.89 (2H, d), 7.44 (2H, d), 7.58 (2H, d), 7.97 (2H, d), 8.22 (1H, s)
Fab MASS M+=386
【0069】
化合物11から17の化合物も実施例1から5に示した方法に準じて合成できる。
【0070】
実施例9(非線形光学材料(電気光学材料、又は圧電材料)の製造1)
ガラス基盤上に下記の組成の塗布液をスピンコート(750rpm、20s)により塗布した。そして、減圧、50℃において乾燥後、および110℃まで加熱し、コロナポーリング法に従い、直流電源装置(関西電子社製)を用いて電圧印加(タングステン針、1.5cm)を行い、その後、電圧を印加しながら冷却して非線形光学材料を製造した。なお、配向度の制御は、印加電圧(4kV〜10kV)により行い、分光光度計(島津社製)を用いた吸光度測定(配光度=1−(ポーリング後の吸光度)/(ポーリング前の吸光度))により決定し、様々な配向度を有する非線形光学材料を製造した。
上記で得られた試料に対し、YAGレーザーの赤外光(1.06μm)を照射して第二高調波の発生(SHG)を確認し、その強度を用いメーカー・フリンジ法(非特許文献5)により測定した。
【0071】
【非特許文献5】
J.Opt.Soc.Am.誌、第B6巻、733頁、1989年
【0072】
【0073】
実施例10(非線形光学材料(電気光学材料又は圧電材料)の製造2)
化合物7を用いて実施例6と同様の方法により非線形光学材料を作製した。
【0074】
比較例1(DR1色素による非線形光学材料の製造)
ガラス基盤上に下記の組成の塗布液をスピンコート(750rpm、20s)により塗布した。そして、減圧、50℃において乾燥後、および110℃まで加熱し、コロナポーリング法に従い、直流電源装置(関西電子社製)を用いて電圧印加(タングステン針、1.5cm)を行い、その後、電圧を印加しながら冷却して非線形光学材料を製造した。なお、配向度は、分光光度計(島津社製)を用いた吸光度測定(配光度=1−(ポーリング後の吸光度)/(ポーリング前の吸光度))により決定した。
上記で得られた試料に対し、YAGレーザーの赤外光(1.06μm)を照射して第二高調波の発生(SHG)を確認し、その強度を用いメーカー・フリンジ法(非特許文献5)により測定した。
【0075】
【0076】
図1に上記、実施例9及び10で得られた非線形光学材料と比較例1で得られた非線形光学材料の配向度に対するSHG強度を示す。図1から明らかなように、実施例で得られた非線形光学材料の方が比較例に比べ、同じ配向度では高いSHG強度を示すことが分かる。
この結果より、本発明の化合物が高い非線形光学効果を示すことが示され、非線形光学素子、あるいは電気光学素子への応用に有用な非線形光学材料、あるいは電気光学材料として有用なことが明らかとなった。
【0077】
【発明の効果】
本発明の化合物は、高い非線形光学効果を示す非線形光学材料、あるいは電気光学材料を提供することができる。
また、本発明の非線形光学材料、あるいは電気光学材料は高い非線形光学効果を示し、非線形光学素子、あるいは電気光学素子への応用に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例9、10で得られた本発明の非線形光学材料と比較例1で得られた非線形光学材料の配向度に対するSHG強度の関係を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、オプトエレクトロニクス、およびフォトニクス分野で有用な新規な非線形光学材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高度な情報化社会の進展に伴い、情報の伝送、処理、および記録に対して光技術を用いる試みが多数なされている。そのような状況において、非線形光学効果を示す材料(非線形光学材料)がオプトエレクトロニクス、およびフォトニクス分野において注目されている。非線形光学効果とは、物質に強電場(光電場)を加えたとき、生じた電気分極と加えた電場の間で非線形な関係を示す現象であり、非線形光学材料とは、このような非線形性を顕著に示す材料を指す。
二次の非線形応答を利用した非線形光学材料として、第二高調波を発生する材料や電場の一次に比例して屈折率変化を引き起こすポッケルス効果(一次電気光学効果)を示す材料などが知られており、特に後者は電気光学(EO)光変調素子やフォトリフラクティブ素子への応用が検討されている。
【0003】
これらの非線形光学材料は、従来は無機非線形材料を中心に材料探索や素子作成が行われてきたが、近年は、1)大きな非線形を示す、2)応答速度の速さ、3)光損傷しきい値が高い、4)多種多様な分子設計が可能、5)製造適性に優れることなどから有機材料が注目を集めている。これまで検討されてきた代表的な有機材料としては、4−N,N−ジメチルアミノ−4’−ニトロスチルベン(DANS)、4−N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ−4’−ニトロアゾベンゼン(DR1)等が挙げられる。
【0004】
それらの中でジフェニルアセチレン誘導体(トラン誘導体)もまた有用な材料として期待され、電子受容基としてシアノ基、ニトロ基、メチルスルホニル基、メトキシカルボニル基、メチルカルボニル基、あるいはフェニルカルボニル基を有するアミノトラン誘導体が知られており(例えば、非特許文献1、2参照。)、ニトロアミノトランを側鎖とする高分子非線形光学材料(例えば、非特許文献3参照。)も知られている。さらに、ジフェニルアセチレン基の一方のベンゼン環に複数の電子供与性基を有し、もう一方のベンゼン環に直接結合した複数の電子求引性基を有するトラン誘導体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
一般に有機結晶は無機結晶と比較して硬度が低く、素子等への加工に問題を有することから、非線形光学分子高分子マトリックス中に分散させること、あるいは非線形光学応答基を有する高分子材料を用いることが検討されている。そして、二次の非線形光学効果の発現には分極が反転対称中心を欠く必要があり、非線形光学効果を示す分子あるいは非線形光学応答基を材料中で電場により双極子を配向させて反転対称中心を欠く構造(非中心対称性構造)に配置することが広くなされている。ただし、これまでに開発されてきた有機非線形光学材料は光素子として応用するには実用上不十分なものであり、光素子化に適した材料の開発が望まれていた。
【0006】
【非特許文献1】
J.Am.Che.Soc.誌、第113巻、7658頁(1991年)
【非特許文献2】
Mol.Cryst.Liq.Cryst.誌、第368巻、671頁(2001年)
【非特許文献3】
J.Opt.Soc.Am.B誌、第10巻、1894頁(1993年)
【特許文献1】
特開平8−184867号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解消するため、非線形光学素子、電気光学素子、および圧電素子を作製するのに好適な光学材料に用いるトラン誘導体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記式(I)で表わされる化合物により前記課題が達成されることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、
【0009】
(1) 下記式(I)で表される化合物。
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR3−Ar−(R3は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基を示し、Arは炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数5〜10のヘテロアリール基を示す。)で表される基を示す。また、R1とR2は互いに連結して環を形成してもよい。R1とR2がアルキル基、又はR3がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、若しくはアルキルアミノ基を示す場合、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、および該アルキルアミノ基は水酸基、アミノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン基あるいは架橋反応可能な置換基を有していてもよい。R4は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。R5は水素原子、あるいは炭素数1〜6のアルキル基を示す。Eは複数の電子求引性基を有するエチレン基を示す。)
(2) Eで表される複数の電子求引性基を有するエチレン基が、下記式(Ia)で表される基であることを特徴とする(1)項に記載の化合物。
【0012】
【化6】
【0013】
(式中、nは0〜5の整数であり、Dは電子求引性基を表す。)
(3) Eで表される複数の電子求引性基を有するエチレン基が下記式(IIa−1)〜(IIa−4)から選択されることを特徴とする前記(1)又は(2)項に記載の化合物。
【0014】
【化7】
【0015】
(式中、R6、R7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、あるいは炭素数6〜10のアリール基を示す。Dは電子求引性基を示す。)
(4) Eで表される複数の電子求引性基を有するエチレン基が下記式(IIb−1)〜(IIb−6)から選択されることを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の化合物。
【0016】
【化8】
【0017】
(式中、R6、R7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、あるいは炭素数6〜10のアリール基を示す。R8、R9はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR10−Ar−(R10は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基を示し、Arは炭素数6〜10のアリール基、炭素数5〜10のヘテロアリール基を示す。)で表される基を示す。また、R8とR9は互いに連結して環を形成してもよい。R8とR9がアルキル基、又はR10がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、あるいはアルキルアミノ基を示す場合、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、および該アルキルアミノ基は水酸基、アミノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン基あるいは架橋反応可能な置換基を有していてもよい。)
(5) 前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の化合物であることを特徴とする非線形光学材料。
(6) 前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の化合物が架橋反応可能な基を持つ場合であって、その架橋反応可能な基を重合した重合体を構成成分の一種とすることを特徴とする非線形光学材料。
(7) 前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の化合物であることを特徴とする電気光学材料。
(8) 前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の化合物が架橋反応可能な基を持つ場合であって、その架橋反応可能な基を重合した重合体を構成成分の一種とすることを特徴とする電気光学材料。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、下記式(I)で表される化合物について説明する。
【0019】
【化9】
【0020】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR3−Ar−(R3は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基を示し、Arは炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数5〜10のヘテロアリール基を示す。)で表される基を示す。また、R1とR2は互いに連結して環を形成してもよい。R1とR2がアルキル基、又はR3がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、若しくはアルキルアミノ基を示す場合、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、および該アルキルアミノ基は水酸基、アミノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン基あるいは架橋反応可能な置換基を有していてもよい。R4は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。R5は水素原子、あるいは炭素数1〜6のアルキル基を示す。Eは複数の電子求引性基を有するエチレン基を示す。)
【0021】
前記式(I)において、R1、R2は炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR3−Ar−で表される基を示すことが好ましい。R1、R2が置換基を有する場合、その置換基はヒドロキシ基、エステル基(アルキルカルボニルオキシ基)、あるいは架橋可能な置換基を有していることが好ましい。ここで、架橋可能な置換基としては特に限定はされないが、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、グリシジル基、ビニルオキシ基等が特に好ましい例として挙げられる。
次に、R1、R2がアルキル基を示す場合、その炭素数は1〜15であることが好ましく、1〜10であることが特に好ましい。また、R1とR2が互いに連結して環を形成することもまた好ましい例であり、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等を形成することが特に好ましい。
【0022】
R1、R2がR3−Ar−を示す場合、R3は炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基が好ましく、Arはフェニル基が好ましい。R3が置換基を有する場合、その置換基はヒドロキシ基、エステル基(アルキルカルボニルオキシ基)、あるいは架橋可能な置換基を有していることが好ましい。
R4は水素原子、あるいは炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、R5は水素原子が好ましい。
【0023】
Eは複数の電子求引性基を有するエチレン基を示す。式(I)において、Eで表される複数の電子求引性基を有するエチレン基が、下記式(Ia)で表される基である化合物が好ましい。
【0024】
【化10】
【0025】
式中、nは0〜5の整数であり、Dは電子求引性基を表す。nは0〜3が好ましく、0〜2がより好ましい。なお式中の括弧内の基を含んで環を形成してもよく、好ましくは5員〜6員環が好ましい。本発明において、電子求引性の尺度として、ハメット則のσp値が正の値を有することを適用する。なおハメット則についてはChem. Rev. 1991, 91, 165−195の記載を適用できる。すなわちDはハメット則のσp値で表せば、σp値が正の値を有する置換基でなければならない。この条件を満たす限り、置換基の種類は特に限定されないが、シアノ基、ニトロ基、アルキルカルボニル基(−COR)、アルコキシカルボニル基(−COOR)、アルキルスルホニル基(−SO2R)、アルコキシスルホニル基(−SO2OR)等の置換基が好ましい。そして、より好ましいEの例としては、下記の式(IIa−1)〜(IIa−4):
【0026】
【化11】
【0027】
(式中、R6、R7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、あるいは炭素数6〜10のアリール基を示す。Dは電子求引性基を示す。)で示されるエチレン基が挙げられ、特に好ましい例としては下記の式(IIb−1)〜(IIb−6):
【0028】
【化12】
【0029】
(式中、R6、R7は前記と同義である。R8、R9はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、あるいはR10−Ar−(R10は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基を示し、Arは炭素数6〜10のアリール基、炭素数5〜10のヘテロアリール基を示す。)で表される基を示す。また、R8とR9は互いに連結して環を形成してもよい。R8とR9がアルキル基、又はR10がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、あるいはアルキルアミノ基を示す場合、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、および該アルキルアミノ基は水酸基、アミノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルコキシ基、ハロゲン基あるいは架橋反応可能な置換基を有していてもよい。)で表されるエチレン基が挙げられる。
【0030】
式中のR6、R7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、あるいは炭素数6〜10のアリール基を示すが、炭素数1〜6の低級アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。R8、R9は炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。R8、R9が置換基を有する場合、その置換基はヒドロキシ基、エステル基(アルキルカルボニルオキシ基)、あるいは架橋可能な置換基を有していることが好ましい。ここで、架橋可能な置換基としては特に限定はされないが、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、グリシジル基、ビニルオキシ基等が特に好ましい例として挙げられる。R8、R9がR10−Ar−を示すとき、R10は炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基が好ましく、Arはフェニル基が好ましい。R10が置換基を有する場合、その置換基はヒドロキシ基、エステル基(アルキルカルボニルオキシ基)、あるいは架橋可能な置換基を有していることが好ましい。
【0031】
式(I)において、電子求引性基は連結基としてエチレン基及びそれを含む基を介してベンゼン環に結合している。
連結基の導入によって、ベンゼン環に直接電子求引性基を導入するよりも、共役系が拡張され、非線形光学効果が向上する。とりわけ、式(IIa−1)〜(IIa−4)の導入が本発明では好ましい。式(IIa−2)〜(IIa−4)において環を形成することにより、クロモフォアの安定性が向上する。
【0032】
以下に本発明の化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
以下に本発明の化合物の製造方法について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明のアミノトラン化合物は、例えば、公知の方法(例えば非特許文献4参照。)で得ることができる式(III)で表される化合物を出発物質として反応スキーム1の方法により合成することができる。
【0038】
【非特許文献4】
Chem.Europ.j.誌、第4巻、2129−2135頁、1998年
【0039】
反応スキーム1
【0040】
【化17】
【0041】
(式中、R1、R2、Eは前記と同義を示す。Xは臭素原子、あるいはヨウ素原子を示し、E’はメチン源を示す。)
【0042】
第1工程では、式(III)で表される化合物を溶媒に溶解し、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、トリフェニルホスフェン、ヨウ化銅を存在下において、トリメチルシリルアセチレンと反応させることにより式(IV)で表される化合物に変換することができる。ここで用いる溶剤としては、ピペリジン、ジアルキルアミン、トリエチルアミンなどの2級、もしくは3級のアミン系溶剤が好適である。トリメチルシリルアセチレンの使用量は式(III)で表される化合物に対して0.5〜4当量の範囲で用いることが好ましく、0.8〜2当量の範囲で用いることが特に好ましい。用いるビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドの使用量は式(III)で表される化合物に対し、0.5〜20モル%が好ましく、1〜10モル%がさらに好ましい。反応温度は、通常−20℃から用いる溶媒の沸点までであり、好ましくは50℃〜100℃である。反応時間は通常10分〜1日間であり、好ましくは1時間〜12時間である。
【0043】
第2工程では、テトラn−ブチルアンモニウム フルオライドのTHF溶液(1M)で処理することにより、式(IV)の化合物をテトラn−ブチルアンモニウム フルオライドのTHF溶液(1M)で処理し、式(V)の化合物に変換できる。
第3工程では、上記で得られた式(V)の化合物を4−ハロゲノベンズアルデヒドと反応させることにより、式(VI)で表される化合物に変換できる。ここで用いる溶剤としては、ピペリジン、ジアルキルアミン、トリエチルアミンなどの2級、もしくは3級のアミン系溶剤が好適である。上記得られた式(V)の化合物の使用量は上記4−ハロゲノベンズアルデヒドに対して0.5〜4当量の範囲で用いることが好ましく、0.8〜2当量の範囲で用いることが特に好ましい。用いるビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドの使用量は上記4−ハロゲノベンズアルデヒドに対し、0.5〜20モル%が好ましく、1〜10モル%がさらに好ましい。反応温度は、通常−20℃から用いる溶媒の沸点までであり、好ましくは50℃〜100℃である。反応時間は通常10分〜1日間であり、好ましくは1時間〜12時間である。
【0044】
第4工程では、上記で得られた式(VI)の化合物を適切なメチン源と塩基存在下において反応させることにより、式(I)で表される化合物に変換することができる。ここで用いる有機溶剤は特に限定されないが、エタノール、メタノール等のアルコール系溶剤が好ましい例として挙げることができる。ここで用いる塩基としては添加してもしなくともよい。用いる場合はアミン類が好ましい例として挙げられ、ピペリジンが特に好ましい。反応温度は、通常−20℃〜溶媒の沸点であり、好ましくは0℃〜50℃である。反応時間は通常10分〜1日間であり、好ましくは10分〜6時間である。
【0045】
また、R1、R2がそれぞれ置換基を有するアルキル基、あるいは置換基を有するアリール基を示す場合は、必要に応じてあらかじめ置換基の前駆体となる基を導入し、適切な工程で目的とする置換基に変換してもよい。また、必要に応じて保護、および脱保護の工程を採用してもよい。
【0046】
本発明の非線形光学材料、電気光学材料、および圧電材料は以下に示す方法により製造できる。
【0047】
例えば、1)本発明のアミノトラン化合物とそれを保持する高分子媒体を含む組成物、あるいは本発明のアミノトラン化合物の重合体を含む組成物を溶媒に溶解し、2)支持体等に塗布して乾燥させ、3)配向処理を施すことにより製造できる。
【0048】
本発明のアミノトラン化合物とそれを保持する高分子媒体を含む組成物、あるいは本発明のアミノトラン化合物の重合体を含む組成物を溶媒に溶解する工程において、用いる高分子媒体は特に限定されないが、例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)等のアクリル系高分子、フッ素化ポリイミド等のイミド系高分子、ポリカーボネート等を例として挙げることができる。また、用いる溶剤としては特に限定されないが、例えば酢酸エチル等のエステル類系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、およびこれらの混合溶剤等が挙げられる。
次に、塗布工程において、支持体等は特に限定されないが、ガラス基板、高分子フィルム、反射板などが例として挙げることができる。塗布方式としては、公知の方法、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等が採用される。
【0049】
また、配向処理において、コロナポーリング、およびコンタクトポーリング法を採用することができる。
また、重合性基を持つ本発明の化合物は、架橋し、重合体として非線形光学材料として用いることができる。すなわち、1)支持体等に本発明のアミノトラン化合物を含むモノマー組成物を塗布し、2)配向させ、3)架橋することにより製造することができる。このとき、本発明のアミノトラン化合物は重合性の置換基を有していることが好ましい。
【0050】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
実施例1(化合物1の製造)
第1工程
ピペリジン80mLに4−ジメチルアミノブロモベンゼン(3.87g)、トリメチルシリルアセチレン(3.98g)、ヨウ化銅(41mg)、トリフェニルホスフェン(102mg)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(40mg)を加え、90℃に加温した。4時間攪拌した後、反応液を減圧下で濃縮し、水を加えた後にヘキサンで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下において濃縮した後、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製(溶出液:ヘキサン:酢酸エチル=95:5)し、2.7gの4−ジメチルアミノフェニル トリメチルシリルアセチレンを得た。
【0052】
第2工程
得られた4−ジメチルアミノフェニル トリメチルシリルアセチレンをテトラn−ブチルアンモニウム フルオライドのTHF溶液(1M)で処理し、1.45gの4−ジメチルアミノフェニルアセチレンを得た。
【0053】
第3工程
得られた4−ジメチルアミノフェニルアセチレン(1.45g)を40mLのトリエチルアミンに溶解し、4−ブロモベンズアルデヒド(1.85g)、ヨウ化銅(28mg)、トリフェニルホスフェン(12mg)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(8mg)を加え、90℃に加温した。8時間攪拌した後、反応液を減圧下で濃縮し、水を加えた後に酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下において濃縮した。残留物をアセトニトリルより再結晶を行い、1.7gの4−ジメチルアミノフェニル 4’−ホルミルフェニルアセチレンを得た。
【0054】
第4工程
得られた4−ジメチルアミノフェニル 4’−ホルミルフェニルアセチレン(249mg)を10mLのエタノールに溶解し、シアノ酢酸エチル(120mg)、ピペリジン(3滴)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液をろ過し、得られたろ物をアセトニトリルより再結晶して57mgの化合物1を得た(収率5.8%(4工程合計))。
【0055】
得られた生成物の各測定値は以下のとおりである。
1H−NMR (δ、CDCl3) 1.40 (3H, t) , 3.02(6H, s), 4.39 (2H, q), 6.67 (2H, d), 7.44 (2H, d), 7.58 (2H, d), 7.96 (2H, d), 8.21 (1H, s)
Fab MASS M+=344
【0056】
実施例2(化合物2の製造)
実施例1において、シアノ酢酸エチルをマロノニトリルに変え、あとは実施例1に準じて化合物2を合成した。
【0057】
得られた生成物の各測定値は以下のとおりである。
1H−NMR (δ、CDCl3) 3.02(6H,s), 6.67 (2H, d), 7.42 (2H, d), 7.58 (2H, d), 7.70 (1H, s,) 7.87 (2H, d)
Fab MASS M+=297
【0058】
実施例3(化合物3の製造)
実施例1において、4−ジメチルアミノブロモベンゼンを4−ジヒドロキシエチルアミノヨードベンゼンに変え、あとは実施例1に準じて化合物3を合成した。
【0059】
得られた生成物の測定値は以下のとおりである。
Fab MASS M+=404
【0060】
化合物4も実施例1と同様の方法により合成することができる。
【0061】
実施例4(化合物5の製造)
実施例3の方法により得られた化合物3を(360mg)とジイソプロピルエチルアミン(390mg)を2mLのDMFに溶解し、アクリル酸クロリド(270mg)を加え、室温で8時間攪拌した。反応液に水を加え、得られた沈殿を集め、アセトニトリルにより再結晶して20mgの化合物5を得た。
【0062】
得られた生成物の測定値は以下のとおりである。
Fab MASS M+=512
【0063】
化合物6も実施例4と同様の方法により合成できる。
【0064】
実施例5(化合物7の製造)
実施例1において、4−ジメチルアミノブロモベンゼンを4−[ビス(4−メトキシフェニル)アミノ]ヨードベンゼンに変え、あとは実施例1に準じて化合物7を合成した。
【0065】
得られた生成物の各測定値は以下のとおりである。
1H−NMR (δ、CDCl3) 1.40 (3H, t) , 3.81 (6H,s), 4.39 (2H, q), 6.8−6.9 (6H, m), 7.10 (4H, d), 7.33 (2H, d), 7.57 (2H, d), 7.97 (2H, d), 8.21 (1H, s)
Fab MASS M+=528
【0066】
実施例6(化合物8の製造)
実施例1において、4−ジメチルアミノブロモベンゼンを4−[ビス(4−メトキシフェニル)アミノ]ヨードベンゼンに変え、シアノ酢酸エチルをマロノニトリルに変えあとは実施例1に準じて化合物8を合成した。
得られた生成物の測定値は以下のとおりである。
Fab MASS M+=481
【0067】
実施例7(化合物9の製造)
実施例1において、4−ジメチルアミノブロモベンゼンを4−(4−ヒドロキシピペリジノ)ヨードベンゼンに変えあとは実施例1に準じて化合物8を合成した。
得られた生成物の測定値は以下のとおりである。
1H−NMR (δ、CDCl3) 1.41 (3H, t), 1.6−1.8(2H, m), 2.0−2.2(2H, m), 3.0−3.1(2H,m), 3.6−3.7(2H, m), 3.9−4.0(1H, m), 4.39 (2H, q), 6.95 (2H, d), 7.58 (2H, d), 7.65 (2H, d), 8.04 (2H, d), 8.25 (1H, s)
Fab MASS M+=400
【0068】
実施例8(化合物10の製造)
実施例1において、4−ジメチルアミノブロモベンゼンを4−(4−ヒドロキシピペリジノ)ヨードベンゼンに変え、シアノ酢酸エチルをシアノ酢酸メチルに変えたあとは実施例1に準じて化合物10を合成した。
得られた生成物の測定値は以下のとおりである。
1H−NMR (δ、CDCl3) 1.6−1.7(2H, m), 2.0−2.1(2H, m), 3.0−3.1(2H,m), 3.6−3.7(2H, m), 3.9−4.0 (1H, m), 3.94 (3H, s), 6.89 (2H, d), 7.44 (2H, d), 7.58 (2H, d), 7.97 (2H, d), 8.22 (1H, s)
Fab MASS M+=386
【0069】
化合物11から17の化合物も実施例1から5に示した方法に準じて合成できる。
【0070】
実施例9(非線形光学材料(電気光学材料、又は圧電材料)の製造1)
ガラス基盤上に下記の組成の塗布液をスピンコート(750rpm、20s)により塗布した。そして、減圧、50℃において乾燥後、および110℃まで加熱し、コロナポーリング法に従い、直流電源装置(関西電子社製)を用いて電圧印加(タングステン針、1.5cm)を行い、その後、電圧を印加しながら冷却して非線形光学材料を製造した。なお、配向度の制御は、印加電圧(4kV〜10kV)により行い、分光光度計(島津社製)を用いた吸光度測定(配光度=1−(ポーリング後の吸光度)/(ポーリング前の吸光度))により決定し、様々な配向度を有する非線形光学材料を製造した。
上記で得られた試料に対し、YAGレーザーの赤外光(1.06μm)を照射して第二高調波の発生(SHG)を確認し、その強度を用いメーカー・フリンジ法(非特許文献5)により測定した。
【0071】
【非特許文献5】
J.Opt.Soc.Am.誌、第B6巻、733頁、1989年
【0072】
【0073】
実施例10(非線形光学材料(電気光学材料又は圧電材料)の製造2)
化合物7を用いて実施例6と同様の方法により非線形光学材料を作製した。
【0074】
比較例1(DR1色素による非線形光学材料の製造)
ガラス基盤上に下記の組成の塗布液をスピンコート(750rpm、20s)により塗布した。そして、減圧、50℃において乾燥後、および110℃まで加熱し、コロナポーリング法に従い、直流電源装置(関西電子社製)を用いて電圧印加(タングステン針、1.5cm)を行い、その後、電圧を印加しながら冷却して非線形光学材料を製造した。なお、配向度は、分光光度計(島津社製)を用いた吸光度測定(配光度=1−(ポーリング後の吸光度)/(ポーリング前の吸光度))により決定した。
上記で得られた試料に対し、YAGレーザーの赤外光(1.06μm)を照射して第二高調波の発生(SHG)を確認し、その強度を用いメーカー・フリンジ法(非特許文献5)により測定した。
【0075】
【0076】
図1に上記、実施例9及び10で得られた非線形光学材料と比較例1で得られた非線形光学材料の配向度に対するSHG強度を示す。図1から明らかなように、実施例で得られた非線形光学材料の方が比較例に比べ、同じ配向度では高いSHG強度を示すことが分かる。
この結果より、本発明の化合物が高い非線形光学効果を示すことが示され、非線形光学素子、あるいは電気光学素子への応用に有用な非線形光学材料、あるいは電気光学材料として有用なことが明らかとなった。
【0077】
【発明の効果】
本発明の化合物は、高い非線形光学効果を示す非線形光学材料、あるいは電気光学材料を提供することができる。
また、本発明の非線形光学材料、あるいは電気光学材料は高い非線形光学効果を示し、非線形光学素子、あるいは電気光学素子への応用に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例9、10で得られた本発明の非線形光学材料と比較例1で得られた非線形光学材料の配向度に対するSHG強度の関係を示すグラフである。
Claims (8)
- 下記式(I)で表される化合物。
- Eで表される複数の電子求引性基を有するエチレン基が下記式(IIb−1)〜(IIb−6)から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物であることを特徴とする非線形光学材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物が架橋反応可能な基を持つ場合であって、その架橋反応可能な基を重合した重合体を構成成分の一種とすることを特徴とする非線形光学材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物であることを特徴とする電気光学材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物が架橋反応可能な基を持つ場合であって、その架橋反応可能な基を重合した重合体を構成成分の一種とすることを特徴とする電気光学材料。
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JP2002288059A JP2004123579A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | トラン誘導体、およびそれを用いた光学材料 |
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CN114957095A (zh) * | 2022-06-30 | 2022-08-30 | 江西科技师范大学 | 一种咔唑衍生物及其制备方法和应用 |
-
2002
- 2002-09-30 JP JP2002288059A patent/JP2004123579A/ja not_active Withdrawn
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