JP4105446B2 - 重合性化合物およびそのマトリックスを用いた光学素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はオプトエレクトロニクス、およびフォトニクス分野で有用な新規な非線形光学材料として有用な化合物、及び電気光学素子等の非線形光学効果を利用する各種素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高度な情報社会の進展に伴い、情報の伝送、処理、及び記録に対して光技術を用いる試みが多数なされている。そのような現状において、非線形光学効果を示す非線形光学材料がオプトエレクトロニクス、及びフォトニクス分野において注目されている。非線形光学効果とは、物質に強電場を加えた時、生じた電気分極と加えた電場の間で非線形的な応答を示す現象であり、非線形光学材料とは、このような非線形性を顕著に示す材料を指す。
二次の非線形応答を利用した非線形光学材料として、第二高調波を発生する材料や印加電場強度の一次に比例して屈折率変化を引き起こすポッケルス効果(一次電気光学効果)を示す材料などが知られており、特に後者は電気光学(EO)光変調素子への応用が検討されている。
【0003】
これらの非線形光学材料は、従来は無機非線形光学材料を中心に材料探索や素子作成が行われてきたが、近年は、1)大きな非線形を示す、2)応答速度の速さ、3)光損傷しきい値が高い、4)多種多様な分子設計が可能、5)製造適性に優れることなどから有機材料が注目を集めている。しかしながら、二次の非線形光学効果の発現には、電場により誘起される分極が反転対称心を欠く必要がある。したがって、非線形光学効果を示す分子あるいは非線形光学応答基を材料中で反転対称心を欠く構造に配置する必要がある。
【0004】
従来の技術によれば、非線形光学効果を示す分子、あるいは非線形光学応答基を反転対称心を欠く構造に配置させるには、有機ポリマー中に非線形光学効果を示す分子あるいは非線形光学応答基を導入し、例えば電場により双極子を配向させることが広く利用されている。この電場による配向制御をポーリング(poling)とよび、ポーリングされた有機ポリマーを電場配向ポリマー(ポールドポリマー)とよぶ。すなわち、ベースポリマーのガラス転移点以上の温度で高電圧を印加することで、二次の非線形光学効果を示す分子あるいは応答基の双極子を配向させたのち、冷却して電場による双極子の配向を凍結させる手法である。例えば、SPIE誌、第1213巻、7頁(1990年)には、本方法により製造された電気光学(EO)光変調素子の例が記述されている。しかしながら、これらの材料は時間とともに熱的に配向緩和を起こし、電気光学的特性が劣化していく、安定性に欠けるものであり、実用化や広い範囲への応用が可能となるものではなく、その解決が望まれていた(例えば、Mol. Cryst. Liq. Cryst.誌、第189巻、3頁(1990年)参照)。
【0005】
また、例えば、Thin Solid Film誌、第210巻、195頁(1992年)には両親媒性で非線形光学効果を示す化合物として2-アミノ-5-ニトロピリジンの重合性長鎖アルキルアミノ誘導体を合成し、LB膜を形成させた後に重合により配向固定させた例が報告されている。しかしながら、LB法を用いた素子の作成では、ピンポールなどの欠陥や工業的製造適性の欠如などが問題視されていた。
さらに、例えば、Handbook of Liquid Crystals誌、第3巻、第IV章、第4項(1998年)等には非線形光学活性基を側鎖に有する液晶高分子を用いた例が報告されているが、いずれも十分な長期安定性を確保するに至っておらず、さらなる改善が望まれていた。
【0006】
次に、例えばNew J. Chem.誌、第24巻、977頁(2000年)、特開平7−179856号公報等にはベンゾフラン誘導体が開示されている。また、特表平11−502855号公報等にはベンゾチオフェン誘導体が開示されている。しかしながら、いずれも本発明のような化合物の具体的な例示は無く、本発明を示唆するものではない。例えば前記、特開平7−179856号公報及び特表平11−502855号公報に例示されている化合物はいずれも非線形光学特性の発現を目的として開発されたものではなく、また重合性化合物すなわち化合物の両末端に重合反応可能な置換基を2個以上有する化合物は例示されていない。従って、これらに開示されている化合物はいずれも三次元的にマトリックスを形成できるものではなく、非線形光学特性を発現する基を有していたとしても、配向緩和を抑制する事ができないため有用性に欠ける。また、New J. Chem.誌に記載されているベンゾフラン類は非線形光学特性を有するものの、重合性化合物ではないため、本発明のように三次元マトリックスにより配向を固定化することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、配向緩和が無い、あるいはそれが抑制された有機材料による非線形光学材料に有用な新規な重合性化合物、及びそのマトリックスを用いた光学素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、下記の材料により本発明の目的が達成できる事を見いだした。
すなわち、
(1)下記一般式(I)または(II) で示される重合性化合物。
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】
【0011】
(それぞれの式中、Xは−O−、あるいは−S−を示し、Ar1,Ar2はそれぞれ独立に単結合、あるいは芳香族環、ビフェニル基、あるいはターフェニル基を示す。但し、Ar1,Ar2は同時に単結合ではない。Dは酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)あるいは電子供与性基、Aは電子吸引性基、S1,S2はそれぞれ独立して二価の連結基、P1,P2はそれぞれ独立して重合性基を示す。)
(2)Xが−O−である前記(1)項記載の重合性化合物。
(3)Ar1が単結合、Ar2がベンゼン環である前記(1)または(2)項に記載の重合性化合物。
(4)S1,S2がそれぞれ独立して炭素数2から12のアルキレン基である前記(1)から(3)項に記載の重合性化合物。
(5)P1,P2の重合性基が、それぞれ独立してアクリロイルオキシ基、またはメタアクリロイルオキシ基である前記(1)から(4)項に記載の重合性化合物。
(6)Dが酸素原子(−O−)又は硫黄原子(−S−)あるいは置換イミノ基(−NR−:ただしRは炭素数1〜6の低級アルキル基、あるいは水素原子、あるいはP1−S1−で示される置換基を示し、環構造を有するイミノ基であってもよい。)であり、Aがエステル基(−COO−)、スルホニル基(−SO2−)又はスルホキシ基(−SO3−)から選択される電子吸引性基である事を特徴とする前記(1)から(5)項に記載の重合性化合物。
(7)非線形光学材料を用いる光学素子において、非線形光学材料が下記一般式(I)または(II) で示される重合性化合物のマトリックスであることを特徴とする光学素子。
【0012】
【化7】
【0013】
【化8】
【0014】
(それぞれの式中、Xは−O−、あるいは−S−を示し、Ar1,Ar2はそれぞれ独立に単結合、あるいは置換基を有していてもよい芳香族環、置換基を有していてもよいビフェニル基、あるいは置換基を有していてもよいターフェニル基を示す。但し、Ar1,Ar2は同時に単結合ではない。Dは酸素原子(−O−)あるいは硫黄原子(−S−)あるいは電子供与性基、Aは電子吸引性基、S1,S2はそれぞれ独立して二価の連結基、P1,P2はそれぞれ独立して重合性基を示す。)
(8)光学素子が、非線形光学素子、電気光学素子、波長変換素子である前記(7)項に記載の光学素子。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
まず、前記一般式(I)、(II)中のAr1及びAr2どちらか一方が単結合であることが好ましい。Ar1またはAr2は、2価の基であって、炭素数6乃至12の芳香環、ビフェニル基、ターフェニル基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル基、ターフェニル基が更に好ましい。本発明において、Ar1、Ar2は置換基を有していてもよい。Ar1、Ar2が置換基を有した芳香環を示す場合、その好ましい置換基の例としては、炭素数1乃至6の低級アルキル基、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられる。
【0016】
前記一般式(I)、(II)中のDは酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、−NH−、あるいは−NR−(Rは炭素数が1乃至6の置換基またはP1−S1−で示される基が好ましく、特に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられる。)、あるいは下記に示される基
【0017】
【化9】
【0018】
等が好ましく、特に好ましくは酸素原子が挙げられる。Aの好ましい例としては、カルボニル基(−CO−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、スルホニル基(−SO2−)、またはスルホニルオキシ基(−SO3−)等が挙げられるが、カルボニルオキシ基及びスルホニルオキシ基が特に好ましい。
【0019】
前記一般式(I)、(II)のS1及びS2で示される連結基の炭素数は2乃至12が好ましく、炭素数2乃至6が更に好ましい。また、S1及びS2は環構造を有していても良く、環構造を有する場合にはシクロヘキサン環が好ましい。更に、好ましい連結基の例としてはアルキレン基が挙げられる。該連結基は1個または複数個の置換基を有していても良い。この時、好ましい置換基としては、炭素数が1乃至4の置換基及びハロゲン原子等が挙げられ、特に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。また、置換基を有する炭素原子が不斉炭素となる時は、その立体配置はR,S及びその任意の混合体のいずれでも良い。
【0020】
前記一般式(I)、(II)中、P1及びP2は重合性基を示すが、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、グリシジル基、ビニルオキシ基等が好ましい例として挙げられ、アクリロイルオキシ基及びメタアクリロイルオキシ基が特に好ましい。
一般式(I)又は(II)において、D−Ar1−ベンゾテオフェン環又はベンゾフラン環−Ar2−Aの部分が非線形光学応答基としての作用を発現する。
前記一般式(I)、(II)で示される化合物の具体例としては、下記のような化合物を挙げる事ができる。
【0021】
【化10】
【0022】
【化11】
【0023】
【化12】
【0024】
【化13】
【0025】
本発明の特に好ましい例の化合物は例えば以下に示すスキーム1乃至4の方法によって合成できる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
スキーム1
【0026】
【化14】
【0027】
(式中、Ar1,Ar2,Dは前記と同義である。Kは脱離基、Yは保護基、Rはアルキル基を示す。)
【0028】
スキーム1の方法では、化合物I及びIIで示される化合物(化合物Iに対し、化合物IIは当量比で1乃至3当量が好ましく、更に好ましくは1乃至1.5当量である。)を出発原料とし、塩基I存在下(塩基Iは化合物IIに対し、1乃至4当量が好ましく、更に好ましくは1乃至2当量である。)において有機溶媒中、50〜150℃程度の過熱下において好適に反応が進行し、化合物IIIに示される化合物が得られる。化合物Iにおける保護基Yは、例えばDがアミノ基の場合、tert−ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンゾイルカルボニル基(Dbz)基、アセチル基(Ac)等が挙げられる。Dがこれ以外の置換基の場合、プロテクティブ・グループス・イン・オルガニック・ケミストリー,(プレナムプレス)(ロンドンとニューヨーク,1973)[Protective Groups in Organic Chemistry,Plenum Press];グリーン・ティー・ダブリュ著(Green,T.W.),プロテクティブグループス・イン・オルガニック・シンセシス,(ウィリー,ニューヨーク,1981)[ Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley New York,1981];及びペプチド類,Vol.I,シュレーダーとルブケ著(アカデミックプレス(ロンドンとニューヨーク)1965)[Peptides,Vol.I,Schrooder and Lubke,Academic Press(London and New York,1965)]に記載されている方法に従って保護及び脱保護を行った。化合物IIにおける脱離基Kの例としては、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、あるいはアリールスルホニルオキシ基が挙げられ、アルキル基Rの例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。用いる有機溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。塩基Iとしては無機及び有機塩基を採用することができ、好ましい塩基の例としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、アンモニア等が挙げられる。
【0029】
次に得られた化合物IIIを塩基II存在下(ただし塩基IIは化合物IIIに対し、1乃至4当量が好ましく、更に好ましくは1乃至2当量である。)、室温100℃程度の温度で撹拌すると好適に反応が進行し、化合物IVに示される化合物が得られる。塩基IIとしては無機及び有機塩基を採用することができ、好ましい塩基の例としては、tert−ブトキシカリウム、tert−ブトキシナトリウム、ナトリムメトキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム等が挙げられる。
【0030】
最後に塩基III存在下(ただし塩基IIIは化合物IVに対し、1乃至4当量が好ましく、更に好ましくは1乃至2当量である。)、化合物IVを加水分解することにより化合物Vが得られる。好ましい塩基IIIとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。スキーム2
【0031】
【化15】
【0032】
(式中、Ar1,Ar2,S1,S2,P1,P2は前記と同義である。Yは保護基、Kは脱離基を示す。)
【0033】
続いてスキーム2において、上記で得られた化合物Vに対し有機溶媒中、塩化チオニル(SOCl2)(化合物Vに対し、1乃至3当量が好ましく、更に好ましくは1乃至1.5当量である。)を作用させた後、HO−S2−Pで示される化合物(化合物Vに対し、1乃至3当量が好ましく、更に好ましくは1乃至1.5当量である。)を反応させると化合物VIが得られる。
【0034】
次に、前記のプロテクティブ・グループス・イン・オルガニック・ケミストリー,(プレナムプレス)(ロンドンとニューヨーク,1973)に記載されている方法により保護基Yを脱保護して化合物VIIが得られる。
最後に、塩基I(化合物VIIに対し、1乃至4当量が好ましく、更に好ましくは1乃至2当量である。)存在下、K−S1−P1で示される化合物(化合物VIIに対し、1乃至3当量が好ましく、更に好ましくは1乃至1.5当量である。)を50℃〜150℃程度の過熱下で反応させると目的とする化合物VIIIが得られる。この化合物における脱離基Kの例としては、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、あるいはアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。塩基Iとしては無機及び有機塩基を採用することができ、好ましい塩基の例としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。
スキーム3
【0035】
【化16】
【0036】
(式中、Ar1,Ar2,Dは前記と同義である。Tはハロゲン原子、Yは保護基、Rはアルキル基を示す。)
【0037】
スキーム3において化合物IXは特表平11−502855号公報に記載の方法で合成する事ができる。この化合物IXとY−D−Ar1−B(OH)2で示される化合物(化合物IXに対し、1乃至3当量が好ましく、更に好ましくは1乃至2当量である。)とをテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(化合物IXに対し、0.3乃至5モル%が好ましく、更に好ましくは1乃至3モル%である。)を用いた反応(鈴木カップリング反応)により反応させると化合物Xが得られる。保護基Yの例としては、tert−ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンゾイルカルボニル基(Dbz)基、アセチル基(Ac)等が挙げられる。
【0038】
次に化合物Xに対して塩基III(化合物xに対し、1乃至4当量が好ましく、更に好ましくは1乃至2当量である。)を作用させた後、T2と反応させると化合物XIが得られる。ハロゲン原子Tはヨウ素原子または臭素原子が好ましい。
次に、化合物XIと(HO)2B−Ar2−CO2−Rで示される化合物(化合物XIに対し、1乃至3当量が好ましく、更に好ましくは1乃至2当量である。)とを鈴木カップリング反応により反応させると化合物XIIが得られる。最後に、前記のプロテクティブ・グループス・イン・オルガニック・ケミストリー,(プレナムプレス)(ロンドンとニューヨーク,1973)に記載されている方法に従って化合物XIIの保護基Yを脱保護すれば化合物XIIIを得られる。
スキーム4
【0039】
【化17】
【0040】
(式中、Ar1,Ar2,S1,S2,P1,P2,は前記と同義である。Yは保護基、Kは脱離基を示す。)
【0041】
スキーム4では前記スキーム2記載の方法と同様の方法で化合物XIIIから目的化合物XVIを合成する事ができる。
【0042】
次に、本発明の光学素子の好ましい一実施態様について説明する。
前記一般式で表される重合性分子を少なくとも構成成分の一部として含有してなる層を一枚の基板上、あるいは一対の基板間に設けたものが好ましい。該重合性分子を少なくとも構成成分の一部として含有してなる層には、前記分子を重量で80%以上、好ましくは90%以上含む事が望ましい。必要に応じて適切な重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、架橋剤などを添加しても良い。
【0043】
基板としてはガラスや透明プラスチック基板等の透明基板が好ましい例として挙げられ、必要に応じて基板上に透明電極層、および絶縁膜等を設けてもよい。透明電極は有してもいなくても良いが、基板上にITOを蒸着したものが好ましいが、特にこれに限定される事は無い。絶縁膜は有してもいなくても良いが、絶縁膜を有する場合はポリイミド系やポリビニルアルコールの絶縁膜が好ましい例として挙げられる。また、基板を一対で用いる場合には、必要に応じてスペーサー、シール剤等を用いてもよい。
【0044】
非線形光学応答基と複数個の重合反応可能な官能基を同時に有する分子を少なくとも構成成分の一部として含有してなる層を一枚の基板上に設ける方法としては、周知の方法が採用される。塗布する方法としては、公知の方法、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等が採用される。基板間に注入する方法としては、ディスペンサー方式、ベルジャー法などの一般的な方法が採用される。
【0045】
次に、非線形光学応答基と複数個の重合反応可能な官能基を同時に有する分子を少なくとも構成成分の一部として含有してなる層に外部電場、あるいは外部磁場を印加する事によって該重合性分子を配向させる。配向法としては外部電場を用いる方法が好ましく、コンタクトポーリング法(平面電極ポーリング法、電極サンドイッチポーリング法)やコロナポーリング法を採用する事が好ましい。
これらのポーリング法は「光・電子機能有機材料ハンドブック」、朝倉書店発行(1995年)に記載されている。外部電場、あるいは外部磁場の印加は融点前後の温度範囲で行うのが好ましい。用いる外部電場、あるいは外部磁場の強度は、用いる該重合性分子の配向制御に適切な強度が採用される。
【0046】
最後に、非線形光学応答基と複数個の重合反応可能な官能基を同時に有する該重合性分子を配向させた状態において、外部電場、あるいは外部磁場印加下、該重合性分子を二次元的に重合し、その重合鎖が全体として三次元的に絡み合い、マトリックス形成することにより非線形光学応答基の配向を固定し、目的とする非線形光学材料を得ることができる。重合反応には、熱あるいは電磁波による公知の種々の重合法が採用できるが、紫外光による光重合開始剤を用いるラジカル重合が特に好ましい。
以上のようにして得られた非線形光学応答層を一枚の絶縁膜を有していてもいなくても良い透明電極基板上に設けた非線形光学材料においては、非線形光学応答層の上層に更なる電極層を設けても良い。その例としては、アルミニウムや金などの金属を蒸着させた電極が挙げられる。
図1及び2に本発明における非線形光学材料の層構造の典型的な例を示す。
図1及び図2において、1は本発明の重合性化合物のマトリックスからなる層(非線形光学応答層)、2は絶縁層、3は透明電極基板を示す。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが,本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0048】
実施例1
4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドの合成
【0049】
【化18】
【0050】
2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾアルデヒド(16.1g, 105.8mmol)及びメチル 4-(ブロモエチル)ベンゾエート (24.5g, 107.0mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)280mlに溶解させ、炭酸カリウム(34.6g, 250mmol)を添加した。100℃において10時間撹拌した後、水400mlを加え酢酸エチルにて抽出した。飽和食塩水で洗浄した後、抽出液を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。その後、ヘキサン/酢酸エチルにより再結晶して30.1gの4-(2-フォルミル-5-メトキシ-フェノキシメチル)-ベンゾイック アシド メチル エステルの白色結晶を得た。
【0051】
次に、4-(2-フォルミル-5-メトキシ-フェノキシメチル)-ベンゾイック アシドメチル エステル(30.1g, 99.9mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)300mlに溶解させ、ter−ブトキシカリウム(12.9g, 115mmol)を徐々に添加した。室温で8時間撹拌した後、水を加えた。沈殿を濾過し、水で洗浄して4-(6-メトキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド メチル エステルの白色固体11.9gを得た。
【0052】
次に、4-(6-メトキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド メチル エステル(11.9g, 42.2mmol)をジクロロメタン150mlに溶解させ、ボロントリブロマイド(BBr3)の1.0mol/Lジクロロメタン溶液100ml(100mmol)を氷冷下において滴下した後、室温にて4時間撹拌した。その後反応液に水を加え、生じた沈殿を濾過し、水で洗浄することにより4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド 25.1gを得た。
FAB-MS (M+H)+ = 254
1H NMR (DMSO-d6 , 300MHz, δ) : 6.78-6.81(dd, J = 8.4, 2.1Hz, 1H), 6.99-7.00(d, J = 1.5Hz, 1H), 7.46-7.49(d, J = 8.4Hz, 1H), 7.47(s, 1H), 7.93-7.96(d, J = 8.4Hz, 1H), 8.01-8.04(d, J = 8.4Hz, 1H)
【0053】
実施例2
4-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシドの合成
【0054】
【化19】
【0055】
まず、特表平11−502855号公報に記載の方法により2-ブロモ-6-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェンを合成した。続いて、トルエン(200ml)中の2-ブロモ-6-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェン(12.2g, 50.0mmol)溶液に4-メトキシカルボフェニルボロニック アシド(9.9g, 55.0mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム (1.13g, 1.00mmol)を順次加えた。この溶液に2N炭酸ナトリウム溶液50mlを加えた。得られた混合液を5時間熱還流した。冷却すると、白色の4-(6-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシド メチル エステルが生成した。この固体を濾過により集め、酢酸エチルにて洗浄した。一方、濾液は酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水にて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターにより更なる4-(6-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシド メチル エステルを得、これを濾過により集めた。生成物の総収量は11.7g(収率81%)であった。
【0056】
次に、4-(6-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシド メチル エステル (10.0g, 33.5mmol)をジクロロメタン130mlに溶解させ、ボロントリブロマイド(BBr3)の1.0mol/Lジクロロメタン溶液80ml(80mmol)を氷冷下において滴下した後、室温にて4時間撹拌した。その後反応液に水を加え、生じた沈殿を濾過し、水で洗浄することにより4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド7.8g(収率87%)を得た。
FAB-MS (M+H)+ = 270
【0057】
実施例3:
4-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物3)の合成
【0058】
【化20】
【0059】
4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド(1.46g, 5.74mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)15mlに溶解し、炭酸カリウム(6.22g, 45.0mmol)を添加した。アクリル アシド 4-メタンスルフォニルオキシ ブチル エステル(5.11g, 23.0mmol)を添加し、120℃にて12時間撹拌した。その後反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水及び飽和食塩水にて洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。ロータリーエバポレーターにて濃縮し、この濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)にて精製し、4-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル 1.2gを得た。
【0060】
FAB-MS (M+H)+ = 506
1H NMR (CDCl3, 300MHz, δ) : 1.66-1.78(m, 8H), 3.69-3.73(t, J = 6.2Hz, 2H), 4.19-4.23(t, J = 6.5Hz, 2H), 4.24-4.28(t, J = 6.1Hz, 2H), 4.35-4.39(t, J = 6.1Hz, 2H), 5,82-5.86(dd, J = 10.3, 1.5Hz, 1H), 6.09-6.17(dd, J = 17.4, 10.2Hz, 1H), 6.39-6.46(dd, J = 18.6, 1.2Hz, 1H), 6.80-6.83(d, J = 7.5Hz, 1H), 7.03-7.;7.07(dd, J = 10.4, 2.0Hz, 2H), 7.42-7.44(d, J = 8.4Hz, 1H), 7.84-7.87(d, J = 8.6Hz, 2H), 8.07-8.09(d, J = 8.7Hz, 2H)
【0061】
実施例4:
4-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル]-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物4)の合成
【0062】
【化21】
【0063】
4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド を4-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシドに変え、実施例3の方法に従って合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 522
【0064】
実施例5:
4-(6-アクリロイルオキシメトキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドアクリロイルオキシメチル エステル(化合物1)の合成
【0065】
【化22】
【0066】
アクリル アシド 4-メタンスルフォニルオキシ- ブチル エステルをアクリル アシド メタンスルフォニルオキシメチル エステルに変え、実施例3の方法に従って合成した。融点108℃(DSCにて測定)。
FAB-MS (M+H)+ = 422
【0067】
実施例6:
4-(6-アクリロイルオキシメトキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイックアシド アクリロイルオキシメチル エステル(化合物2)の合成
【0068】
【化23】
【0069】
4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド を4-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシドに変え、実施例5の方法に従って合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 438
【0070】
実施例7:
4-[6-(6-アクリロイルオキシ-ヘキシルオキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 6-アクリロイルオキシ-ヘキシル エステル(化合物5)の合成
【0071】
【化24】
【0072】
アクリル アシド 4-メタンスルフォニルオキシ ブチル エステルをアクリル アシド 6-メタンスルフォニルオキシ-ヘキシル エステルに変え、実施例3の方法に従って合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 562
【0073】
実施例8:
4-[6-(6-アクリロイルオキシ-ヘキシルオキシ)-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル]-ベンゾイック アシド 6-アクリロイルオキシ-ヘキシル エステル(化合物6)の合成
【0074】
【化25】
【0075】
4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを4-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシドに変え、実施例3の方法に従って合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 578
【0076】
実施例9:
4-[6-(12-アクリロイルオキシ-ドデシルオキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 12-アクリロイルオキシ-ドデシル エステル(化合物7)の合成
【0077】
【化26】
【0078】
アクリル アシド 4-メタンスルフォニルオキシ ブチル エステルをアクリル アシド 12-メタンスルフォニルオキシ-ドデシル エステルに変え、実施例3の方法に従って合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 730
【0079】
実施例10:
4-[6-(12-アクリロイルオキシ-ドデシルオキシ)-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル]-ベンゾイック アシド 12-アクリロイルオキシ-ドデシル エステル(化合物8)の合成
【0080】
【化27】
【0081】
アクリル アシド 4-メタンスルフォニルオキシ- ブチル エステルをアクリル アシド 12-メタンスルフォニルオキシ-ドデシル エステルに変え、実施例4の方法に従って合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 746
【0082】
実施例11
4-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 6-アクリロイルオキシ-ヘキシル エステル(化合物9)の合成
【0083】
【化28】
【0084】
4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド (5.0g, 19.7mmol)をテトラヒドロフラン (THF) 50mlに溶解させ、塩化チオニル (3.5g, 29.5mmol)を滴下した。50℃にて3時間撹拌後、アクリル アシド 6-ヒドロキシ-ヘキシルエステル (6.6g, 38.4mmol)及びジイソプロピルエチルアミン (10.2g, 78.8mmol)を添加し、70℃にて12時間撹拌した。リン酸緩衝液を加え酢酸エチルにて抽出した。その抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製し、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド 6-アクリロイルオキシ-ヘキシル エステル (4.58g,収率 57%)を得た。
最後に、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド 6-アクリロイルオキシ-ヘキシル エステル及びアクリル アシド 4-メタンスルフォニルオキシ-ブチル エステルを用いて、実施例2の方法に従って目的とする4-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 6-アクリロイルオキシ-ヘキシル エステルを得た。
FAB-MS (M+H)+ = 535
【0085】
実施例12
4-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル]-ベンゾイック アシド 6-アクリロイルオキシ-ヘキシル エステル(化合物10)の合成
【0086】
【化29】
【0087】
4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを4-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシドに変え、実施例11の方法に従って合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 550
【0088】
実施例13:
4-[5-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物11)の合成
【0089】
【化30】
【0090】
2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾアルデヒドを2-ヒドロキシ-5-メトキシ-ベンゾアルデヒドに変え、実施例1の方法に従って4-(5-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドをまず合成した。
その後、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド を4-(5-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドに変え、後は実施例3の方法に従って目的とする4-[5-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステルを合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 506
1H NMR (CDCl3, 300MHz, δ) : 1.87-1.94(m, 8H), 4.05-4.6(m, 2H), 4.23-4.27(m, 2H), 4.37-4.42(m, 2H), 5,81-5.86(dd, J = 9.6, 1.5Hz, 1H), 6.11-6.17(dd, J = 17.4, 8.4Hz, 1H), 6.39-6.46(dd, J = 17.4, 1.2Hz, 1H), 6.90-6.94(dd J = 7.5, 1.2Hz, 1H), 7.04-7.08(dd, J = 9.6, 2.7Hz, 2H), 7.40-7.43(d, J = 8.4Hz, 1H), 7.89-7.91(d, J = 8.4Hz, 2H), 8.09-8.12(d, J = 8.7Hz, 2H)
【0091】
実施例14:
4-[5-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル]-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物12)の合成
【0092】
【化31】
【0093】
4-(5-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを4-(5-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシドに変え、実施例13の方法に従って4-[5-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル]-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステルを合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 522
【0094】
実施例15:
4-[5-(12-アクリロイルオキシ-ドデシルオキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 12-アクリロイルオキシ-ドデシル エステル(化合物13)の合成
【0095】
【化32】
【0096】
4-(5-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを4-(5-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシドに変え、実施例9の方法に従って合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 730
【0097】
実施例16:
4-[5-(12-アクリロイルオキシ-ドデシルオキシ)-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル]-ベンゾイック アシド 12-アクリロイルオキシ-ドデシル エステル(化合物14)の合成
【0098】
【化33】
【0099】
4-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシドを4-(5-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ベンゾイック アシドに変え、実施例10の方法に従って合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 746
【0100】
実施例17:
4'-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ビフェニル-4-カルボキシリック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物15)の合成
【0101】
【化34】
【0102】
まず、メチル 4-(ブロモエチル)ベンゾエートを4'-ブロモメチル-ビフェニル-4-カルボキシリック アシド メチル エステルに変え、実施例1の方法に従って4'-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ビフェニル-4-カルボキシリック アシドを合成した。
次に、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを4'-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ビフェニル-4-カルボキシリック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物15を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 582
【0103】
実施例18:
4'-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル]-ビフェニル-4-カルボキシリック アシド 4-アクリロイルオキシ-ブチルエステル(化合物16)の合成
【0104】
【化35】
【0105】
まず、4-メトキシカルボニルフェニルボロニック アシドを4'-メトキシカルボニル-ビフェニル-4-カルボキシリック アシドに変え、実施例1の方法に従って4'-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ビフェニル-4-カルボキシリック アシドを合成した。
次に、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを4'-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ビフェニル-4-カルボキシリック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物16を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 598
【0106】
実施例19:
4-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-[1,1';4',1'']ターフェニル-4''-カルボキシリック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物17)の合成
【0107】
【化36】
【0108】
まず、メチル 4-(ブロモエチル)ベンゾエートを4-ブロモメチル-[1,1';4',1'']ターフェニル-4''-カルボキシリック アシドに変え、実施例1の方法に従って4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-[1,1';4',1'']ターフェニル-4''-カルボキシリック アシドを合成した。
次に、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-[1,1';4',1'']ターフェニル-4''-カルボキシリック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物17を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 658
【0109】
実施例20:
4-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル]-[1,1';4',1'']ターフェニル-4''-カルボキシリック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物18)の合成
【0110】
【化37】
【0111】
まず、4-メトキシカルボニルフェニルボロニック アシドを4-メトキシカルボニル-[1,1';4',1'']ターフェニル-4''-カルボキシリック アシド メチル エステルに変え、実施例2の方法に従って4-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-[1,1';4',1'']ターフェニル-4''-カルボキシリック アシドを合成した。
次に、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを4-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-[1,1';4',1'']ターフェニル-4''-カルボキシリック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物18を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 674
【0112】
実施例21:
6-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ナフタレン-2-カルボキシリック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物19)の合成
【0113】
【化38】
【0114】
まず、メチル 4-(ブロモエチル)ベンゾエートを6-ブロモメチル-ナフタレン-2-カルボキシリック アシド メチル エステルに変え、実施例1の方法に従って6-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ナフタレン-2-カルボキシリック アシドを合成した。
その後、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを6-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ナフタレン-2-カルボキシリック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物19を合成した。
FAB-MS (M+H)+ =556
【0115】
実施例22:
6-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル]-ナフタレン-2-カルボキシリック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物20)の合成
【0116】
【化39】
【0117】
まず、4-メトキシカルボニルフェニルボロニック アシドを6-メトキシカルボニルフェニル-ナフタレン-2-カルボキシリック アシドに変え、実施例1の方法に従って6-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ナフタレン-2-カルボキシリック アシドを合成した。
その後、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを6-(6-ヒドロキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-ナフタレン-2-カルボキシリック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物19を合成した。
FAB-MS (M+H)+ =572
【0118】
実施例23:
6-[4-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-フェニル]-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物21)の合成
【0119】
【化40】
【0120】
まず、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾアルデヒドを3-ヒドロキシ-4'-メトキシ-ビフェニル-4-カルボアルデヒドに変え、実施例1の方法に従って6-(4-ヒドロキシ-フェニル)-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシドを合成した。
その後、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを6-(4-ヒドロキシ-フェニル)-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物21を合成した。
FAB-MS (M+H)+ =506
【0121】
実施例24:
6-[4'-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ビフェニル-4-イル]-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物22)の合成
【0122】
【化41】
【0123】
まず、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾアルデヒドを3''-ヒドロキシ-4-メトキシ-[1,1';4',1'']ターフェニル-4''-カルボアルデヒドに変え、実施例1の方法に従って6-(4'-ヒドロキシ-ビフェニル-4-イル)-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシドを合成した。
その後、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを6-(4'-ヒドロキシ-ビフェニル-4-イル)-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物22を合成した。
FAB-MS (M+H)+ =582
【0124】
実施例25:
6-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ナフタレン-2-イル]-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物23)の合成
【0125】
【化42】
【0126】
まず、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾアルデヒドを2-ヒドロキシ-4-(6-メトキシ-ナフタレン-2-イル)-ベンゾアルデヒドに変え、実施例1の方法に従って6-(6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシドを合成した。
その後、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを6-(6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物23を合成した。
FAB-MS (M+H)+ =556
【0127】
実施例26
4-{6-[4-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-フェニル]-ベンゾフラン-2-イル}-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物24)の合成
【0128】
【化43】
【0129】
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒドを3-ヒドロキシ-4'-メトキシ-ビフェニル-4-カルバルデハイドに変え、実施例1の方法に従ってまず、4-[6-(4-ヒドロキシ-フェニル)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシドをまず合成した。
その後、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド を4-[6-(4-ヒドロキシ-フェニル)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物24を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 582
【0130】
実施例27
アクリル アシド 4-{2-[4-(4-アクリロイルオキシ-ブトキシスルフォニル)-フェニル]-ベンゾフラン-6-イルオキシ}-ブチル エステル(化合物25)の合成
【0131】
【化44】
【0132】
メチル 4-(ブロモエチル)ベンゾエートを4-ブロモメチル-ベンゼンスルフォニック アシド メチル エステルに変え、実施例1の方法に従って4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゼンスルフォニック アシドをまず合成した。
その後、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド を4-[6-(4-ヒドロキシ-フェニル)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物25を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 542
【0133】
実施例28:
4-{6-[(4-アクリロイルオキシ-ブチル)-エチル−アミノ]-ベンゾフラン-2-イル}-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物26)の合成
【0134】
【化45】
【0135】
まず、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾアルデヒドを4-ブロモ-2-ヒドロキシ-ベンゾアルデヒドに変え、実施例1の方法に従って4-(6-ブロモ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド メチル エステルをまず合成した。
次に、4-(6-ブロモ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド メチル エステル (14.8g, 44.7mmol)及びN-エチル−アセトアミド(4.67g, 53.6mmol)をトルエン100mlに溶解させた。この混合液にPd(dba)2 (260mg, 0.45mmol)及びトリ-tert-ブチルフォスフィン (91.0mg, 0.45mmol)を添加し、80℃にて撹拌した。10時間後、リン酸緩衝液を加えて酢酸エチルにて抽出した。この抽出液を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去後、シリガゲルクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製し、4-[6-(アセチル-エチル−アミノ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド メチル エステル (12.8g,収率 85%)を得た。
次に、4-[6-(アセチル-エチル−アミノ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイックアシド メチル エステル (12.5g, 37.9mmol)を塩化メチレン200mlに溶解させ氷冷下、BF3・Et2O (14.0g, 98.9mmol)を滴下した。室温で5時間撹拌後、表冷下、水を加え沈殿を濾過分取した。この沈殿を飽和炭酸水素ナトリウム水及び水で洗浄した後、真空加熱乾燥し、4-(6-エチルアミノ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド (10.2g, 36.1mmol)を得た。
最後に、実施例3の方法に従って4-(6-エチルアミノ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドとアクリル アシド 4-メタンスルフォニルオキシ‐ブチル エステルを反応させ、目的とする4-{6-[(4-アクリロイルオキシ-ブチル)-エチル−アミノ]-ベンゾフラン-2-イル}-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステルを得た。
FAB-MS (M+H)+ = 533
【0136】
実施例29:
4-{6-[(4-アクリロイルオキシ-ブチル)-イソプロピル−アミノ]-ベンゾフラン-2-イル}-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物27)の合成
【0137】
【化46】
【0138】
N-エチル−アセトアミドをN- イソプロピル ?アセトアミドに変え、実施例28の方法に従って合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 547
【0139】
実施例30:
4-{6-[ビス-(4-アクリロイルオキシ-ブチル)-アミノ]-ベンゾフラン-2-イル}-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物28)の合成
【0140】
【化47】
【0141】
まず、N-アセチル-3-アミノ-フェノールを出発原料として、New J. Chem. 誌、第24巻、977頁(2000年)に記載の方法により4-(6-アセチルアミノ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド メチル エステルを合成した。
次に、4-(6-アセチルアミノ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド メチル エステル (2.0g, 6.47mmol)を塩化メチレン70mlに溶解させ氷冷下、BF3・Et2O (2.7g, 19.4mmol)を滴下した。室温で5時間撹拌後、氷冷下、水を加え沈殿を濾過分取した。この沈殿を飽和炭酸水素ナトリウム水及び水で洗浄した後、真空加熱乾燥し、4-(6-アミノ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシド(1.15g,収率 76%)を得た。
最後に、4-(6-ヒドロキシ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドを4-(6-アミノ-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドに変え、実施例3の方法に従って目的とする化合物28を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 631
【0142】
実施例31:
4-[6-(4-アクリロイルオキシ-ブチルスルファニル)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物29)の合成
【0143】
【化48】
【0144】
2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾアルデヒドを2-ヒドロキシ-4-メチルスルファニル-ベンゾアルデヒドに変え、実施例1の方法に従って4-(6-メルカプト-ベンゾフラン-2-イル)-ベンゾイック アシドをまず合成した。
その後、実施例3の方法に従って目的とする化合物29を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 522
【0145】
実施例32:
4-{6-[4-(2-メチル-アクリロイルオキシ)-ブトキシ]-ベンゾフラン-2-イル}-ベンゾイック アシド 4-(2-メチル-アクリロイルオキシ)-ブチル エステル(化合物30)の合成
【0146】
【化49】
【0147】
アクリル アシド 4-メタンスルフォニルオキシ ブチル エステルをメタクリック アシド 4-メタンスルフォニルオキシ ブチル エステルに変え、実施例3の方法に従って化合物30を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 534
【0148】
実施例33:
4-{6-[4-(2-メチル-アクリロイルオキシ)-ブトキシ]-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル}-ベンゾイック アシド 4-(2-メチル-アクリロイルオキシ)-ブチル エステル(化合物31)の合成
【0149】
【化50】
【0150】
アクリル アシド 4-メタンスルフォニルオキシ ブチル エステルをメタクリック アシド 4-メタンスルフォニルオキシ ブチル エステルに変え、実施例4の方法に従って化合物31を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 550
【0151】
実施例34:
6-[4-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-フェニル]-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物32)の合成
【0152】
【化51】
【0153】
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾアルデヒドを3-ヒドロキシ-4'-メトキシ-ビフェニル-4-カルバルデハイドに変え、メチル 4-(ブロモエチル)ベンゾエートをブロモ-アセティック アシド メチル エステルに変え、実施例1の方法に従ってまず、6-(4-ヒドロキシ-フェニル)-ベンゾフラン-2-カルボキシリック アシドを合成した。
その後、実施例3の方法に従って目的とする化合物32を合成した。
FAB-MS (M+H)+ = 506
【0154】
実施例35:
絶縁膜としてポリイミド薄膜を塗布したITO透明電極部を有するガラス基板からなる4μmの空隙を有する水平配向セル(イー.エッチ.アイ製)に、4-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物3)(92.7重量部)、フェノチアジン(1.3重量部)、重合開始剤(イルガキュア651商品名、チバガイギー社製)(4重量部)、およびハイドロキノンモノメチルエーテル(2重量部)の割合の組成からなる構成材料を狭持した。次に、透明電極間に200Vの直流電圧を印加しながら得られた試料を80℃に保ち、UV照射(254nm, 10W/cm, 3min)を行って、図1に示す非線形光学材料を作成した。
上記で得られた試料に対し、YHGレーザーの赤外光(1.06μm)を照射し、第二高調波の発生を確認した。その試料の第二高調波の強度は6ヶ月後も保持された。
【0155】
実施例36:
絶縁膜としてポリイミド薄膜を塗布したITO透明電極部を有するガラス基板(ガラス基板厚さ0.7mm、ポリイミド薄膜厚さ0.3μm)上に4-[6-(4-アクリロイルオキシ−ブトキシ)-ベンゾフラン-2-イル]-ベンゾイック アシド 4-アクリロイルオキシ−ブチル エステル(化合物3)(92.7重量部)、フェノチアジン(1.3重量部)、イルガキュア651(4重量部)、およびハイドロキノンモノメチルエーテル(2重量部)の組成からなるメチルエチルケトン溶液をスピンコートにより塗布(1000rpm、20秒)し、減圧下にて12時間乾燥し樹脂層(厚さ1.0μm)を形成した。次に、得られた試料を60℃に保ち、コロナポーリング法を用いて電圧印加(印加電圧:5.0kV、20min)を行い、その後、電圧を印加しながらUV照射(254nm, 10W/cm, 3min)を行った。重合された非線形光学応答部の上にアルミニウム電極を蒸着により担持させ、両端に電極を有する図1に示す非線形光学材料を作成した。
上記で得られた試料に対し、YHGレーザーの赤外光(1.06μm)を照射し、第二高調波の発生及び電気光学効果を確認した。その試料の第二高調波及び電気光学効果の強度は6ヶ月後も保持された。
化合物3を化合物1、2、4〜30のいずれかの化合物に代えた以外は実施例35と全く同様にして、該化合物のマトリックスを狭持した試料を作成した。
いずれの試料も第二高調波を発生し、その強度が長期間保持されることを確認した。
【0156】
【発明の効果】
本発明により、電気光学効果または第二高調波発生の経時による減衰が著しく抑えられた、有機非線形光学材料が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非線形光学材料の層構造を示した一例の概略図である。
【図2】本発明の非線形光学材料の層構造を示した別の例の概略図である。
【符号の説明】
1 非線形光学応答層
2 絶縁膜
3 透明電極基板
Claims (2)
- 下記一般式(I)または(II)で示される重合性化合物。
- 非線形光学材料を用いる光学素子において、非線形光学材料が下記一般式(I)または(II)で示される重合性化合物のマトリックスであることを特徴とする光学素子。
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