JP2004091493A - 外用基材組成物 - Google Patents

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Abstract

  【課題】 薬物の吸収性が高く、皮膚刺激性の低い外用剤を得ることができる外用基材組成物を提供する。
  【解決手段】 (メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれと共重合可能な単量体からなる共重合体、及びポリビニルアセタールからなる外用基材組成物。
【選択図】   なし

Description

 本発明は、外用基材組成物に関する。
 薬物を経皮的に投与する方法として、外用貼付剤が広く用いられている。しかしながら皮膚はバリア性が高く、薬物等を体内に吸収させることが困難であり、また、皮膚刺激がおこる等の問題があった。
 このような問題を解決するために、膏体を膨潤ゲル状態とすることによって、膏体中の薬物の拡散速度を高めて経皮吸収性を向上させ、また皮膚との密着性を高め粘着力を小さくすることで皮膚刺激を改善することがなされている。
 しかしながらこの方法では膏体を膨潤ゲル状態とするため、剥離後の皮膚に糊残りが生じるという問題がある。
 また皮膚刺激を改善するために、粘着剤組成を調整することも行われており、例えば特開平3−223212号公報では、アクリル系の架橋ゲルに液体成分を配合して膏体を可塑化することにより粘着性を調整し、皮膚刺激を改善することが開示されている。
 しかしながら、粘着剤組成を調整することによって薬物の放出性が低下したり、薬物の安定性が損なわれる等の問題がある。
特開平3−223212号公報
 本発明は、上記問題点を解決するものであり、その目的は、薬物の吸収性が高く、皮膚刺激性の低い外用剤を得ることができる外用基材組成物を提供する点である。
 本発明において共重合体成分である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数1〜18のアルキル基からなる(メタ)アクリル酸のエステルが用いられ、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
 本発明において上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な成分としては、例えば、ラクタム基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、又は水酸基を有する単量体等が挙げられる。
 上記カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸等のα、β不飽和カルボン酸などが挙げられる。
 上記ラクタム基を有する単量体としては、例えば、ビニルピロリドン等が挙げられる。
 上記アミノ基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体、ビニルピリジン、アリルアミンなどが挙げられる。
 上記アミド基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、アクロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド誘導体などが挙げられる。
 上記水酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ブチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等のアクリル酸エステル誘導体などが挙げられる。
 本発明の外用基材組成物は、上記共重合体にポリビニルアセタールが配合される。
 上記ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させて得られる。上記アセトアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド等が挙げられる。
 上記ポリビニルアルコールの重合度は、通常100〜5000であり、上記ポリビニルアセタールのアセタール化度は、通常5〜100モル%の範囲で調整される。
 上記ポリビニルアセタールはアルデヒドのアルキル基の炭素数が小さいほど、またアセタール化度が低くなるほど水溶性となり、アルデヒドのアルキル基の炭素数が大きいほど、またアセタール化度が高くなるほど疎水性となる。
 上記ポリビニルアセタールの量は、少なくなると凝集力を上げる効果が十分でなく、多くなると粘着性が低下するので、外用基材組成物中好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%である。添加量は、外用基材の粘着性、凝集性、透湿性さらに薬物の放出性を調節するために適宜調整される。
 前記外用基材組成物には、必要に応じて治療効果を有する薬物を添加してもよい。上記薬物としては、特に限定されず、例えば、硝酸イソソルビド、インドメタシン、サリチル酸グリコール等が挙げられる。
 また上記外用基材組成物には、必要に応じて可塑化剤を添加してもよい。
 上記可塑化剤としては、例えば、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ステアリル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、セバチン酸ジエチル、ミリスチン酸グリセリン、オレイン酸グリセリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オレイン酸ソルビタン等の脂肪酸エステル;オリーブ油、ヤシ油等の油脂;安息香酸ベンジル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル等の環状エステル;スクワレン、スクワラン、ゲラニオール、パラフィン、ワセリン等の炭化水素;オレイン酸、ミリスチン酸等の酸;ヘキシルデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ベンジルアルコール、(ポリ)エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール、ブチレングリコール、オレイルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類などが挙げられる。
 上記可塑化剤の量は、多くなると基材との相溶性が悪くなり、凝集力の低下により成形性が悪くなるので、外用基材組成物中0〜50重量%が好ましい。
 上記可塑化剤を添加することにより、基材を柔らかくし、薬物の放出性を高めたり、貼付剤としたときに密着性を向上させて低粘着力での貼付性を確保し、刺激性を低減化させることができる。
 さらに上記基材には、必要に応じて、架橋剤、充填剤、酸化防止剤、吸収助剤等を添加してもよい。
 本発明の外用基剤組成物の製造方法としては、例えば、前記共重合体とポリビニルアセタールを溶剤に溶解または分散し混合する方法、前記共重合体とポリビニルアセタールを溶融加熱し混合する方法等が挙げられる。
 上記のようにして得られる組成物は軟膏基材として用いたり、必要に応じて薬物等を添加混合し、フィルム状に成形して支持体を貼り合わせて貼付剤とすることができる。
 本発明の外用基材組成物は上述のとおりであり、微粘着性のフィルム形成能を有するため、軟膏基材だけでなく容易に貼付剤用基材に利用でき、貼付剤とした場合は薬物の皮膚透過性に優れ、適度な凝集性及び粘着性が得られるので、剥離時の糊残りや痛み、発赤がなく、低刺激性の製剤が得られる。
 以下、本発明の非限定的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
 なお、実施例及び比較例において粘度の測定は、ブルックフィールド型粘度計で、温度20℃、回転数30rpmで行った。
(実施例1)
 アクリル酸エチル50重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル40重量部、及びビニルピロリドン10重量部をセパラブルフラスコに仕込み、濃度45重量%となるように酢酸エチルを添加し、さらに過酸化ラウロイル0.3重量部を添加して90℃で24時間重合した。この液にさらに酢酸エチルを添加し、固形分20重量%、粘度7300cpsの共重合体液Aを得た。
 上記共重合体液A300重量部、ポリビニルブチラール(エスレックBL−S、アセタール化度70モル%、粘度20cps〔エタノール:トルエン=1:1の10重量%溶液で測定〕、積水化学社製)10重量部、ミリスチン酸イソプロピル20重量部、及び硝酸イソソルビド10重量部を均一に混合し、ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、60℃で30分間乾燥して厚み70μmの貼付剤を作製した。
 (実施例2)
 実施例1において、共重合体液Aを250重量部、ポリビニルブチラールを20重量部としたこと以外は同様にして貼付剤を作製した。
 (比較例1)
 実施例1において、共重合体液Aを350重量部とし、ポリビニルブチラールを添加しなかったこと以外は同様にして貼付剤を作製した。
 (比較例2)
 実施例1において、共重合体液Aを450重量部、ポリビニルブチラール及びミリスチン酸イソプロピルを添加しなかったこと以外は同様にして貼付剤を作製した。
 上記実施例1〜2及び比較例1〜2で作製した貼付剤につき、保持力試験、皮膚透過性試験及び貼付試験を行った。
〔保持力試験〕
 JIS Z 0237(1980)に準拠し、測定温度40℃、荷重1kg、接着面積25mm×25mmの条件で、重りが落下するまでの時間を測定した。落下時間が長いものほど凝集力が高いことを示す。結果を表1に示す。
 〔皮膚透過性試験〕
 フランツ拡散セルにヘアレスマウス背部摘出皮膚を装着し、これに半径10mmの円形に打ち抜いた貼付剤を貼り付け、24時間後にリセプター液に透過した薬物の量を高速液体クロマトグラフィーで測定し、薬物透過率〔(薬物透過量/薬物投与量)×100〕を算出した。なおリセプター液は20%ポリエチレングリコール水溶液を用いた。結果を表1に示す。
 〔貼付試験〕
 男子5名の上腕内側に、20mm×20mmの試料を24時間貼付した。貼付後、試料を剥離し、皮膚への糊残り、剥離時の痛み、及び発赤の有無を観察し、以下の基準にしたがって評価した。結果を表1に示す。
・糊残り ○:5名とも糊残りなし、又は部分的な糊残りが2名以下
     △:3名以上に貼付部の周囲に部分的に糊残り有り
     ×:3名以上に貼付部位全面に糊残り有り
・痛み  ○:5名とも剥離時痛みなし、又はやや痛み有りが2名以下
     △:3名以上にやや痛み有り
     ×:3名以上に強い痛み有り
・発赤  ○:5名とも発赤なし、又はやや発赤ありが2名以下
     △:3名以上にやや発赤あり
     ×:3名以上に貼付部の周囲に明瞭な発赤有り
Figure 2004091493
 表1から明らかなように、ラクタム基含有のアクリル系粘着剤に可塑化剤を配合することにより、皮膚透過性は向上するが、凝集力の低下により貼付性が低下した。これにポリビニルアセタールを添加することにより、皮膚透過性が向上し、かつ貼付性が改善された。
 (実施例3)
 アクリル酸ブチル96重量部、及びアクリル酸4重量部をセパラブルフラスコに仕込み、濃度50重量%となるように酢酸エチルを添加し、さらに過酸化ラウロイル0.3重量部を添加して90℃で24時間重合した。この液にさらに酢酸エチルを添加し、固形分20重量%、粘度1600cpsの共重合体液Bを得た。
 上記共重合体液B325重量部、ポリビニルブチラール(エスレックBL−S、アセタール化度70モル%、粘度20cps〔エタノール:トルエン=1:1の10重量%溶液で測定〕、積水化学社製)10重量部、ミリスチン酸イソプロピル20重量部、及びインドメタシン5重量部を均一に混合し、ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、60℃で30分間乾燥して厚み50μmの貼付剤を作製した。
 (比較例3)
 実施例3において、共重合体液Bを475重量部とし、ポリビニルブチラール及びミリスチン酸イソプロピルを添加しなかったこと以外は同様にして貼付剤を作製した。
 上記実施例3及び比較例3で作製した貼付剤につき、前記と同様にして保持力試験、皮膚透過性試験及び貼付試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2004091493
 表2より、可塑剤を配合しても貼付性を低下させることなく、皮膚透過性を向上させ、刺激を低減化できた。
 (実施例4)
 アクリル酸ブチル96重量部、及びアクリル酸4重量部をセパラブルフラスコに仕込み、濃度50重量%となるように脱イオン水を添加し、ポリオキシエチレンドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムで乳化し、さらに過硫酸カリを添加して60℃で4時間重合した。この液にさらに脱イオン水を添加し、固形分50重量%、粘度650cpsの共重合体液Cを得た。
 上記共重合体液C148重量部、ポリビニルアセトアセタール(エスレックBL−S、20重量%水溶液、アセタール化度9モル%、粘度3000cps〔エタノール:トルエン=1:1の10重量%溶液で測定〕、積水化学社製)100重量部、及びサリチル酸グリコール6重量部を均一に混合し、ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、60℃で30分間乾燥して厚み70μmの貼付剤を作製した。
 (比較例4)
 実施例4において、共重合体溶液Cを188重量部とし、ポリビニルブチラールを添加しなかったこと以外は同様にして貼付剤を作製した。
 上記実施例4及び比較例4で作製した貼付剤につき、前記と同様にして貼付試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2004091493
 表3より、アセタール樹脂を配合することで、粘着性及び皮膚刺激性が改善された。

Claims (1)

  1.  (メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれと共重合可能な単量体からなる共重合体、及びポリビニルアセタールからなる外用基材組成物。
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