JP2004090135A - ロボットの関節部構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的簡単な構成で済ませながらも、第1のアームに対する第2のアームの回動範囲を十分に広げる。
【解決手段】第3アーム5のフレーム9の先端に、第2アーム6のフレーム12を軸J4を中心に回転可能に連結し、サーボモータ13、減速機14、出力軸15、連結板11を介して回転駆動する。関節部を通されるエア配管を、フレキシブルチューブ17から構成し、出力軸15の先端側の内周側に、スパイラル状に緩やかに巻回して配置する。関節部を通される複数本の電線からなる配線を、フレキシブルなフラットケーブル18から構成し、出力軸15の先端側の外周側に、緩やかに巻回して配置する。フレキシブルチューブ17の巻回部分17aと、フラットケーブル18の巻回部分18aとの間を内外周に仕切るような円筒状の仕切板19を設け、フラットケーブル18の巻回部分18aの外周側に円筒状のカバー20を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】第3アーム5のフレーム9の先端に、第2アーム6のフレーム12を軸J4を中心に回転可能に連結し、サーボモータ13、減速機14、出力軸15、連結板11を介して回転駆動する。関節部を通されるエア配管を、フレキシブルチューブ17から構成し、出力軸15の先端側の内周側に、スパイラル状に緩やかに巻回して配置する。関節部を通される複数本の電線からなる配線を、フレキシブルなフラットケーブル18から構成し、出力軸15の先端側の外周側に、緩やかに巻回して配置する。フレキシブルチューブ17の巻回部分17aと、フラットケーブル18の巻回部分18aとの間を内外周に仕切るような円筒状の仕切板19を設け、フラットケーブル18の巻回部分18aの外周側に円筒状のカバー20を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1のアームに対し第2のアームを出力軸によって回転されるように連結すると共に、エア配管及び配線をそれら第1及び第2のアーム内を通すようにしたロボットの関節部構造に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば複数のアームを順に回動可能に連結した多関節型ロボットにおいては、アーム内に、信号を送受したりあるいは駆動用電源を供給するための配線や、アーム先端のハンド等に駆動用のエアを供給するためのエアチューブを通すようにしている。このとき、第1のアームに対し第2のアームを回転可能に連結し、例えば第1のアーム側に設けられたモータ等の駆動源により第2のアームを回転させるようにした関節部において、前記配線やエアチューブを、回転軸の周囲部を通す構成の場合、挟み込みにより配線やチューブを傷付けたり断線(チューブの破断)したりすることを未然に防止するために、第1のアームに対する第2のアームの回動範囲が比較的狭い範囲に限定される事情がある。
【0003】
そこで、従来では、第2のアームの第1のアームに対する回動範囲を広げる(例えば1回転(360度)以上の回転を可能とする)ために、関節部におけるアーム間の回転伝達にクランクシャフトを用いる構成が採用されていた。このクランクシャフトは、湾曲したシャフト部とその先端の回転軸を中心としたリング状の連結部とを有して構成され、配線及びエアチューブをその連結部の中空部を通すようにしていた。
【0004】
これにより、配線及びエアチューブが、回転軸心部分を通されることになって、第2のアームの回動範囲を広げることができる。しかしながら、このようなクランクシャフトを用いた関節部構造でも、配線やエアチューブの捩りの問題から、第1のアームに対する第2のアームの回動範囲は、その構造上、1回転程度が限度であり、それ以上の広い回動範囲を得ることは不可能であった。
【0005】
このような問題点を解決する手段として、例えば特開平9−123083号公報には、回転伝達を行う軸部の周囲に、円筒状のハウジングを回転自在に設け、そのハウジングにエアー通路を設けると共に、ハウジングの外周に、フラットケーブルからなる配線を緩やかに巻回するようにしたロボットの関節部構造が示されている。ところが、この構成では、エアー配管側の構成が複雑となると共に、ハウジングのエアー通路を高精度で加工する必要があるため、高価となる欠点があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、エア配管及び配線を第1及び第2のアーム内を通すようにしたものにあって、比較的簡単な構成で済ませながらも、第1のアームに対する第2のアームの回動範囲を十分に広げることができるロボットの関節部構造を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のロボットの関節部構造は、エア配管及び配線を第1及び第2のアーム内を通すようにしたものにあって、エア配管をフレキシブルなチューブから構成すると共に、配線の少なくとも一部をフレキシブルなフラットケーブルから構成し、出力軸の周囲のうち内周側及び外周側の一方に、前記エア配管をスパイラル状に緩やかに巻回して配置すると共に、内周側及び外周側の他方に、前記配線のフラットケーブル部分を緩やかに巻回して配置したところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0008】
これによれば、第1のアームに対して第2のアームが回動すると、配線のフレキシブルなフラットケーブルからなる巻回部分が、その回転方向に応じて巻きが締まったり、巻きがより緩んだりする方向に変位し、これと共に、フレキシブルなチューブからなるエア配管の巻回部分が、やはりその回転方向に応じて巻きが締まったり、巻きがより緩んだりする方向に変位することになる。これにて、それら配線及びエア配管が、捩じれたり、過大な力で引張られたり、アームのフレーム等に挟み込まれたりすることなく、第2のアームの相対回転に追従できるので、第1のアームに対する第2のアームの1回転を越える回動範囲を容易に得ることができ、多回転させることも可能となる。
【0009】
このとき、それらエア配管(チューブ)及び配線(フラットケーブル)の巻回部分は、出力軸の内周側及び外周側に配置されるので、それらの配置スペースが軸方向に大形化することを防止することができる。また、エア配管として安価なフレキシブルチューブを採用でき、エアー通路を高精度で加工するといったことは不要なので、比較的簡単で安価に済ませることができる。
【0010】
従って、請求項1のロボットの関節部構造によれば、比較的簡単な構成で済ませながらも、第1のアームに対する第2のアームの回動範囲を十分に広げることができるという優れた効果を奏する。尚、本発明にいう第1のアームとは、ある一つのアーム、第2のアームとは、そのアームに連結される別のアームといった意味であり、ロボット全体の中での特定の位置や順序のアームを示すものでないことは勿論である。
【0011】
ここで、本発明においては、配線のうち巻回部分には、フレキシブルなフラットケーブルを採用することにより、要求される機能を確保することができるのであるが、フラットケーブルは比較的幅広なものとなるため、関節部以外の他の部分においては、フラットケーブルとすることにより、アーム内の所定のスペースに配線を通しにくくなる等のデメリットが生ずる場合がある。そこで、配線を、巻回部分のみをフレキシブルなフラットケーブルから構成し、その外側の各アーム内に配置される部分を一般ケーブルから構成すれば(請求項2の発明)、そのようなデメリットを未然に防止することができる。
【0012】
また、上記したエア配管の巻回部分と、配線の巻回部分との間に、それらを仕切る円筒状の仕切板を設けることができる(請求項3の発明)。これによれば、仕切板により内外周が仕切られて、エア配管の巻回部分が配置される空間と、配線の巻回部分が配置される空間との間が仕切られた状態となるので、それらエア配管及び巻線を配置(巻回)する作業が容易となると共に、内周側のものの巻き緩む際の空間が確保され、互いに干渉することが防止される。このとき、仕切板に、エア配管又は配線の巻回部分の軸方向の変位を規制するずれ防止部を設けるようにすれば(請求項4の発明)、エア配管又は配線の巻回部分の軸方向のずれを防止することができ、より効果的となる。
【0013】
外周側に位置する配線又はエア配管の巻回部分の外周側に、円筒状のカバーを設けることもできる(請求項5の発明)。これによれば、外周側に位置する配線又はエア配管の巻回部分の外周側への変位を規制できて、その配線又はエア配管がアームのフレーム等に接触して傷付くといったことを未然に防止することができる。
【0014】
このとき、カバーに、配線又はエア配管の巻回部分の軸方向の変位を規制するずれ防止部を設けるようにすれば(請求項6の発明)、エア配管又は配線の巻回部分の軸方向のずれを防止することができ、より効果的となる。また、カバーに、外周側に位置する配線又はエア配管の巻回部分の端部を保持する保持部を設けることもでき(請求項7の発明)、これにより、外周側に位置する配線又はエア配管の巻回部分の外周側をカバーにより覆い、且つ、その巻回部分の端部を保持部に保持させた状態で配設することができる。さらに、カバーに、配線のうちフラットケーブルからなる巻回部分とその外側の一般ケーブル部分とを接続するためのコネクタ部を設けることもでき(請求項8の発明)、これにより、フラットケーブルの組付け及びその後の一般ケーブル部分との接続が容易となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を垂直多関節(6軸)型ロボットに適用した一実施例について、図面を参照しながら説明する。図3は、本実施例におけるロボットの本体1の外観構成を示しており、まず、このロボット本体1の全体構成について簡単に述べる。
【0016】
即ち、設備の設置面に設置されるベース2上には、第1アーム3が、垂直方向に延びる軸J1を中心に回転(旋回)されるように連結されている。前記第1アーム3の先端には、第2アーム4が、水平方向に延びる軸J2を中心として回転(旋回)されるように連結されている。前記第2アーム4の先端には、第3アーム5が、水平方向に延びる軸J3を中心として回転(旋回)されるように連結されている。
【0017】
前記第3アーム5の先端には、第4アーム6が、軸J4を中心に同軸回転されるように連結されている。前記第4アーム6の先端には、第5アーム7が、軸J5を中心に回転(旋回)されるように連結されている。前記第5アーム7の先端には、第6アーム8が、軸J6を中心に同軸回転されるように連結されている。図示はしないが、前記第6アーム8の先端のフランジ面には、エアーにより駆動されるハンド等のツールが取付られるようになっている。
【0018】
また、前記各アーム3〜8は、夫々サーボモータ(後に一部のみ図示)により駆動されるようになっており、それら各サーボモータは、マイコン等から構成される図示しないロボットコントローラにより制御されるようになっている。さらに、このロボットコントローラは、前記ハンド等のツールを駆動するためのエアー配管に設けられたバルブ等も制御するようになっている。
【0019】
次に、図1及び図2は、前記第3アーム5と第4アーム6とを連結する軸J4の関節部、特に第3アーム5部分の構成を示しており、この関節部は、本実施例に係る関節部構造を備えている。この場合、第3アーム5が、本発明にいう第1のアームとして機能し、第4アーム6が、本発明にいう第2のアームとして機能するようになっている。以下、この関節部構造について述べる。
【0020】
図1は、この関節部の縦断面の概略構成を正面から示しており、図2は、第3アーム5の先端面の構成を概略的に示している。ここで、第3アーム5の外殻を構成する金属(鋳物)製のフレーム9は、その先端部(図1で右側)が角筒状に構成され、図2にも示すように、その端面部には、円形の開口部9aが設けられている。そして、このフレーム9の端面の開口部9aの内周部に、軸受10が、その外輪が該フレーム9に固定された状態で設けられている。さらに、図2にも示すように、前記軸受10の内輪には、円板状の連結板11が固定されるようになっている。
【0021】
一方、前記第4アーム6の外殻を構成するフレーム12の基端側(図1で左側)は、円筒状に構成され、その基端面に位置する端板12aが前記連結板11の複数箇所のボルト穴11a(図2参照)にボルト締めされることにより、該連結板11(ひいては軸受10の内輪)に連結され、以て、第4アーム6が前記第3アーム5に対して軸J4を中心に回転可能に連結されている。
【0022】
そして、図1に示すように、前記第3アーム5のフレーム9内には、前記第4アーム6を回転駆動するための4軸用のサーボモータ13及び減速機14が配設される。前記サーボモータ13は、前記フレーム9に一体的に設けられたモータ取付部9bに図で右向きに取付けられており、その回転軸に前記減速機14が連結されている。詳しく図示はしないが、この減速機14は、例えば周知のハーモニックドライブ(登録商標)から構成され、その出力側に軸J4を回転軸心とした出力軸(シャフト)15が連結されている。
【0023】
前記出力軸15は、前記モータ取付部9bに軸受16を介して支持され、その先端が前記連結板11に連結されている。これにより、サーボモータ13の回転が減速機14により減速されて出力軸15に伝達され、連結板11を介して第4アーム6が回転駆動されるようになっているのである。
【0024】
さて、この第3アーム5と第4アーム6とを連結する関節部においては、先端のハンド等に駆動用のエアを供給するために設けられるエア配管17、及び、第4アーム6以降に配設される図示しないサーボモータに駆動用電源を供給したり信号を送受したりするための複数本の電線からなる配線18が、第3アーム5から第4アーム6に向けて通されるようになっている。本実施例では、それらエア配管17及び配線18は、この関節部において次のように配置されている。
【0025】
即ち、図1に示すように、前記エア配管17は、フレキシブルチューブ(以下、フレキシブルチューブ17と称する)から構成されている。また、本実施例では、前記配線18は、その全体が、複数本の電線を横方向に並べてつなげたフレキシブルなフラットケーブル(以下、フラットケーブル18と称する)から構成されている。
【0026】
そして、前記フレキシブルチューブ17は、関節部において、前記出力軸15の先端側の周囲のうち内周側に位置して、例えば右回り(時計回り方向)にスパイラル(螺旋)状に緩やかに(出力軸15の外周面との間に隙間をもって)巻回して配置されている(このスパイラル状部分を巻回部分17aと称する)。このとき、図2にも示すように、前記連結板11及び第4アーム5のフレーム12の端板12aの図で上部には、内周寄り部分に位置して、前記フレキシブルチューブ17が通される湾曲状のチューブ挿通孔11b及び12bが夫々互いにラップするように形成されている。尚、前記チューブ挿通孔11b及び12bは、フレキシブルチューブ17の巻回部分17aの先端側の端部を、例えば摩擦力により保持する機能も有している。
【0027】
一方、前記フラットケーブル18は、関節部において、前記出力軸15の先端側の周囲のうち外周側に位置して、緩やかに(巻回層間に隙間をもって)巻回して配置されている(この巻回された部分を巻回部分18aと称する)。このとき、図2にも示すように、前記連結板11及び第4アーム5のフレーム12の端板12aの図で下部には、外周寄り部分に位置して、前記フラットケーブル18が通される湾曲状のケーブル挿通孔11c及び12cが夫々互いにラップするように形成されている。尚、前記ケーブル挿通孔11c及び12cは、フラットケーブル18の巻回部分18aの内周側の端部を保持する機能も有している。
【0028】
また、本実施例では、前記フレキシブルチューブ17の巻回部分17aと、フラットケーブル18の巻回部分18aとの間を内外周に仕切るような仕切板19が設けられる。この仕切板19は、プラスチックから先端側(図1で右側)にフランジ部(鍔部)19aを有した円筒状に形成され、そのフランジ部19aが前記連結板11に固定されて設けられている。
【0029】
従って、前記フラットケーブル18の巻回部分18aは、仕切板19の外周側に隙間をもって配置されていることになる。尚、この仕切板19のフランジ部19aには、前記フラットケーブル18が挿通される挿通孔19bが、前記ケーブル挿通孔11c及び12cにラップするように形成されている。
【0030】
さらに、本実施例では、前記フラットケーブル18の巻回部分18aの外周側には、カバー20が設けられる。このカバー20は、円筒状に形成されると共に、基端側(図1で左側)に、前記仕切板19よりもやや大きい径の円形開口部を有したリング状の底板20aを一体に有している。このカバー20は、その先端部が前記第3アーム5のフレーム9に固定されている。
【0031】
このとき、前記底板20aが、フラットケーブル18の巻回部分18aの軸方向(図1で左方向)の変位を規制するずれ防止部として機能するようになっている。また、前記底板20aの下部には、前記フラットケーブル18の巻回部分18aの基端側(外周側)端部が通される挿通孔20bが形成され、この挿通孔20bは、フラットケーブル18の巻回部分18aの外周側の端部を、例えば摩擦力により保持する保持部としても機能するようになっている。
【0032】
尚、組付けにあたっては、フレキシブルチューブ17を出力軸15の周囲に緩やかに巻回した後、予め外周にフラットケーブル18を緩やかに巻回しておいた仕切板19を連結板11に取付け、その後、カバー20をフレーム9に取付けるといった手順をとることができる。また、前記仕切板19の基端部の内周面側、あるいは出力軸15の途中部に、フレキシブルチューブ17の巻回部分17aの基端側端部を保持する保持部を設けたり、巻回部分17aの軸方向(図1で左右方向)の変位を規制するずれ防止部を設けることもできる。
【0033】
次に、上記構成の作用について述べる。上記した第3アーム5と第4アーム6とを連結する関節部構造においては、フレキシブルチューブ17及びフラットケーブル18が通された状態で、第3アーム5に対し第4アーム6が回転されるのであるが、今、第4アーム6が第3アーム5に対し一方向に回転(例えば右回転)すると、フレキシブルチューブ17の巻回部分17aが、例えば巻きが締まる方向に変位し、これと共に、フラットケーブル18の巻回部分18aについても、例えば巻きが締まる方向に変位する。
【0034】
これに対し、第4アーム6が第3アーム5に対し反対方向に回転(例えば左回転)すると、今度は、フレキシブルチューブ17の巻回部分17aが、例えば巻きがより緩む方向に変位し、これと共に、フラットケーブル18の巻回部分18aについても、例えば巻きがより緩む方向に変位する。
【0035】
これにて、それらフレキシブルチューブ17及びフラットケーブル18が、捩じれたり、過大な力で引張られたり、フレーム9,12等に挟み込まれたりすることなく、第4アーム6の回転に追従することができるのである。この場合、巻回部分17a及び18aを十分に緩やかに巻回して構成することによって、第4アーム6の第3アーム5に対する回動範囲を広くとることができ、第3アーム5対する第4アーム6の1回転を越える回動範囲を容易に得ることができ、多回転させることも可能となるのである。
【0036】
このとき、それらフレキシブルチューブ17の巻回部分17a及びフラットケーブル18の巻回部分18aは、出力軸15の内周側及び外周側に夫々配置されるので、それらの配置スペースが軸方向に大形化することを防止することができる。また、エア配管として安価なフレキシブルチューブ17を採用でき、エアー通路を高精度で加工するといったことは不要なので、比較的簡単な構成で安価に済ませることができる。
【0037】
そして、フレキシブルチューブ17の巻回部分17aとフラットケーブル18の巻回部分18aとの間に設けられた仕切板19により内外周が仕切られるようにしたので、巻回部分17aの巻きが緩む際の空間が確保されると共に、巻き緩んだ際に必要以上に外周側に変位することを防止できる。また、外周側に位置するフラットケーブル18の巻回部分18aを配置(巻回)する作業が容易となり、その巻回部分18aの巻きが締まる際に必要以上に内周側に変位することを防止できる。巻回部分17aと巻回部分18aとが互いに干渉して絡み合ったりすることが防止されることは勿論である。
【0038】
さらに、フラットケーブル18の巻回部分18aの外周側に、円筒状のカバー20を設けるようにしたので、巻回部分18aの外周側への変位を規制できて、その巻回部分18aが金属製のフレーム9等に接触して傷付くといったことを未然に防止することができる。しかも、カバー20の底板20aにより、巻回部分18aの軸方向のずれを防止することができ、巻回部分18aの端部を保持させた状態で配設することができる。
【0039】
このように本実施例によれば、第3アーム5に対して第4アーム6を回転可能に連結すると共に、エア配管17及び配線18をそれらアーム5,6内を通すようにした関節部構造にあって、アームの回動範囲が比較的狭い範囲に限定されてしまう従来のものと異なり、比較的簡単な安価な構成で済ませながらも、第3アーム5に対する第4アーム6の回動範囲を十分に広げることができ、多回転をも可能とすることができる等の優れた効果を得ることができるものである。
【0040】
尚、上記実施例では、配線全体をフラットケーブル18から構成するようにしたが、少なくとも巻回部分18aのみをフラットケーブルから構成すれば、要求される機能を確保することができる。この場合、フラットケーブルは比較的幅広なものとなるため、アーム内の所定のスペースに配線を通しにくくなる等のデメリットが生ずるケースがあるので、そのようなケースでは、配線を、巻回部分のみをフレキシブルなフラットケーブルから構成し、その外側の各アーム内に配置される部分を一般ケーブルから構成すれば良い。さらにこのとき、前記カバー20に、配線のうちフラットケーブルからなる巻回部分とその外側の一般ケーブル部分とを接続するためのコネクタ部を設けるようにすれば、フラットケーブルの組付け及びその後の一般ケーブル部分との接続が容易となる。
【0041】
また、上記実施例では、フレキシブルチューブ17を内周側に配置し、フラットケーブル18を外周側に配置するようにしたが、その配置は逆であっても良い。さらには、上記実施例では、フレキシブルチューブ17を1本のみ通す構成としたが、2本以上のエア配管を通す場合でも、同様にそれらエア配管をフレキシブルチューブから構成し、それらをまとめてスパイラル状に緩やかに巻回して配置すれば良い。
【0042】
その他、上記実施例では、第3アーム5と第4アーム6とを連結する関節部に本発明を適用するようにしたが、他の関節部についても同様の構成を採用することが可能である。また、仕切板19やカバー20についても、必要に応じて設ければ良い。さらには、ロボット本体のアームの全体的な構成や、各アームの形状、サーボモータや減速機、軸受の配置や構成などの細部についても、様々な変形が可能であるなど、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、第3アームと第4アームとを連結する関節部の構成を示す縦断正面図
【図2】第3アームの先端面を示す側面図
【図3】ロボット本体の外観構成を示す正面図
【符号の説明】
図面中、1はロボット本体、5は第3アーム(第1のアーム)、6は第4アーム(第2のアーム)、15は出力軸、17はフレキシブルチューブ(エア配管)、17aは巻回部分、18はフラットケーブル(配線)、18aは巻回部分、19は仕切板、20はカバー、20aは底板(ずれ防止部)を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1のアームに対し第2のアームを出力軸によって回転されるように連結すると共に、エア配管及び配線をそれら第1及び第2のアーム内を通すようにしたロボットの関節部構造に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば複数のアームを順に回動可能に連結した多関節型ロボットにおいては、アーム内に、信号を送受したりあるいは駆動用電源を供給するための配線や、アーム先端のハンド等に駆動用のエアを供給するためのエアチューブを通すようにしている。このとき、第1のアームに対し第2のアームを回転可能に連結し、例えば第1のアーム側に設けられたモータ等の駆動源により第2のアームを回転させるようにした関節部において、前記配線やエアチューブを、回転軸の周囲部を通す構成の場合、挟み込みにより配線やチューブを傷付けたり断線(チューブの破断)したりすることを未然に防止するために、第1のアームに対する第2のアームの回動範囲が比較的狭い範囲に限定される事情がある。
【0003】
そこで、従来では、第2のアームの第1のアームに対する回動範囲を広げる(例えば1回転(360度)以上の回転を可能とする)ために、関節部におけるアーム間の回転伝達にクランクシャフトを用いる構成が採用されていた。このクランクシャフトは、湾曲したシャフト部とその先端の回転軸を中心としたリング状の連結部とを有して構成され、配線及びエアチューブをその連結部の中空部を通すようにしていた。
【0004】
これにより、配線及びエアチューブが、回転軸心部分を通されることになって、第2のアームの回動範囲を広げることができる。しかしながら、このようなクランクシャフトを用いた関節部構造でも、配線やエアチューブの捩りの問題から、第1のアームに対する第2のアームの回動範囲は、その構造上、1回転程度が限度であり、それ以上の広い回動範囲を得ることは不可能であった。
【0005】
このような問題点を解決する手段として、例えば特開平9−123083号公報には、回転伝達を行う軸部の周囲に、円筒状のハウジングを回転自在に設け、そのハウジングにエアー通路を設けると共に、ハウジングの外周に、フラットケーブルからなる配線を緩やかに巻回するようにしたロボットの関節部構造が示されている。ところが、この構成では、エアー配管側の構成が複雑となると共に、ハウジングのエアー通路を高精度で加工する必要があるため、高価となる欠点があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、エア配管及び配線を第1及び第2のアーム内を通すようにしたものにあって、比較的簡単な構成で済ませながらも、第1のアームに対する第2のアームの回動範囲を十分に広げることができるロボットの関節部構造を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のロボットの関節部構造は、エア配管及び配線を第1及び第2のアーム内を通すようにしたものにあって、エア配管をフレキシブルなチューブから構成すると共に、配線の少なくとも一部をフレキシブルなフラットケーブルから構成し、出力軸の周囲のうち内周側及び外周側の一方に、前記エア配管をスパイラル状に緩やかに巻回して配置すると共に、内周側及び外周側の他方に、前記配線のフラットケーブル部分を緩やかに巻回して配置したところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0008】
これによれば、第1のアームに対して第2のアームが回動すると、配線のフレキシブルなフラットケーブルからなる巻回部分が、その回転方向に応じて巻きが締まったり、巻きがより緩んだりする方向に変位し、これと共に、フレキシブルなチューブからなるエア配管の巻回部分が、やはりその回転方向に応じて巻きが締まったり、巻きがより緩んだりする方向に変位することになる。これにて、それら配線及びエア配管が、捩じれたり、過大な力で引張られたり、アームのフレーム等に挟み込まれたりすることなく、第2のアームの相対回転に追従できるので、第1のアームに対する第2のアームの1回転を越える回動範囲を容易に得ることができ、多回転させることも可能となる。
【0009】
このとき、それらエア配管(チューブ)及び配線(フラットケーブル)の巻回部分は、出力軸の内周側及び外周側に配置されるので、それらの配置スペースが軸方向に大形化することを防止することができる。また、エア配管として安価なフレキシブルチューブを採用でき、エアー通路を高精度で加工するといったことは不要なので、比較的簡単で安価に済ませることができる。
【0010】
従って、請求項1のロボットの関節部構造によれば、比較的簡単な構成で済ませながらも、第1のアームに対する第2のアームの回動範囲を十分に広げることができるという優れた効果を奏する。尚、本発明にいう第1のアームとは、ある一つのアーム、第2のアームとは、そのアームに連結される別のアームといった意味であり、ロボット全体の中での特定の位置や順序のアームを示すものでないことは勿論である。
【0011】
ここで、本発明においては、配線のうち巻回部分には、フレキシブルなフラットケーブルを採用することにより、要求される機能を確保することができるのであるが、フラットケーブルは比較的幅広なものとなるため、関節部以外の他の部分においては、フラットケーブルとすることにより、アーム内の所定のスペースに配線を通しにくくなる等のデメリットが生ずる場合がある。そこで、配線を、巻回部分のみをフレキシブルなフラットケーブルから構成し、その外側の各アーム内に配置される部分を一般ケーブルから構成すれば(請求項2の発明)、そのようなデメリットを未然に防止することができる。
【0012】
また、上記したエア配管の巻回部分と、配線の巻回部分との間に、それらを仕切る円筒状の仕切板を設けることができる(請求項3の発明)。これによれば、仕切板により内外周が仕切られて、エア配管の巻回部分が配置される空間と、配線の巻回部分が配置される空間との間が仕切られた状態となるので、それらエア配管及び巻線を配置(巻回)する作業が容易となると共に、内周側のものの巻き緩む際の空間が確保され、互いに干渉することが防止される。このとき、仕切板に、エア配管又は配線の巻回部分の軸方向の変位を規制するずれ防止部を設けるようにすれば(請求項4の発明)、エア配管又は配線の巻回部分の軸方向のずれを防止することができ、より効果的となる。
【0013】
外周側に位置する配線又はエア配管の巻回部分の外周側に、円筒状のカバーを設けることもできる(請求項5の発明)。これによれば、外周側に位置する配線又はエア配管の巻回部分の外周側への変位を規制できて、その配線又はエア配管がアームのフレーム等に接触して傷付くといったことを未然に防止することができる。
【0014】
このとき、カバーに、配線又はエア配管の巻回部分の軸方向の変位を規制するずれ防止部を設けるようにすれば(請求項6の発明)、エア配管又は配線の巻回部分の軸方向のずれを防止することができ、より効果的となる。また、カバーに、外周側に位置する配線又はエア配管の巻回部分の端部を保持する保持部を設けることもでき(請求項7の発明)、これにより、外周側に位置する配線又はエア配管の巻回部分の外周側をカバーにより覆い、且つ、その巻回部分の端部を保持部に保持させた状態で配設することができる。さらに、カバーに、配線のうちフラットケーブルからなる巻回部分とその外側の一般ケーブル部分とを接続するためのコネクタ部を設けることもでき(請求項8の発明)、これにより、フラットケーブルの組付け及びその後の一般ケーブル部分との接続が容易となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を垂直多関節(6軸)型ロボットに適用した一実施例について、図面を参照しながら説明する。図3は、本実施例におけるロボットの本体1の外観構成を示しており、まず、このロボット本体1の全体構成について簡単に述べる。
【0016】
即ち、設備の設置面に設置されるベース2上には、第1アーム3が、垂直方向に延びる軸J1を中心に回転(旋回)されるように連結されている。前記第1アーム3の先端には、第2アーム4が、水平方向に延びる軸J2を中心として回転(旋回)されるように連結されている。前記第2アーム4の先端には、第3アーム5が、水平方向に延びる軸J3を中心として回転(旋回)されるように連結されている。
【0017】
前記第3アーム5の先端には、第4アーム6が、軸J4を中心に同軸回転されるように連結されている。前記第4アーム6の先端には、第5アーム7が、軸J5を中心に回転(旋回)されるように連結されている。前記第5アーム7の先端には、第6アーム8が、軸J6を中心に同軸回転されるように連結されている。図示はしないが、前記第6アーム8の先端のフランジ面には、エアーにより駆動されるハンド等のツールが取付られるようになっている。
【0018】
また、前記各アーム3〜8は、夫々サーボモータ(後に一部のみ図示)により駆動されるようになっており、それら各サーボモータは、マイコン等から構成される図示しないロボットコントローラにより制御されるようになっている。さらに、このロボットコントローラは、前記ハンド等のツールを駆動するためのエアー配管に設けられたバルブ等も制御するようになっている。
【0019】
次に、図1及び図2は、前記第3アーム5と第4アーム6とを連結する軸J4の関節部、特に第3アーム5部分の構成を示しており、この関節部は、本実施例に係る関節部構造を備えている。この場合、第3アーム5が、本発明にいう第1のアームとして機能し、第4アーム6が、本発明にいう第2のアームとして機能するようになっている。以下、この関節部構造について述べる。
【0020】
図1は、この関節部の縦断面の概略構成を正面から示しており、図2は、第3アーム5の先端面の構成を概略的に示している。ここで、第3アーム5の外殻を構成する金属(鋳物)製のフレーム9は、その先端部(図1で右側)が角筒状に構成され、図2にも示すように、その端面部には、円形の開口部9aが設けられている。そして、このフレーム9の端面の開口部9aの内周部に、軸受10が、その外輪が該フレーム9に固定された状態で設けられている。さらに、図2にも示すように、前記軸受10の内輪には、円板状の連結板11が固定されるようになっている。
【0021】
一方、前記第4アーム6の外殻を構成するフレーム12の基端側(図1で左側)は、円筒状に構成され、その基端面に位置する端板12aが前記連結板11の複数箇所のボルト穴11a(図2参照)にボルト締めされることにより、該連結板11(ひいては軸受10の内輪)に連結され、以て、第4アーム6が前記第3アーム5に対して軸J4を中心に回転可能に連結されている。
【0022】
そして、図1に示すように、前記第3アーム5のフレーム9内には、前記第4アーム6を回転駆動するための4軸用のサーボモータ13及び減速機14が配設される。前記サーボモータ13は、前記フレーム9に一体的に設けられたモータ取付部9bに図で右向きに取付けられており、その回転軸に前記減速機14が連結されている。詳しく図示はしないが、この減速機14は、例えば周知のハーモニックドライブ(登録商標)から構成され、その出力側に軸J4を回転軸心とした出力軸(シャフト)15が連結されている。
【0023】
前記出力軸15は、前記モータ取付部9bに軸受16を介して支持され、その先端が前記連結板11に連結されている。これにより、サーボモータ13の回転が減速機14により減速されて出力軸15に伝達され、連結板11を介して第4アーム6が回転駆動されるようになっているのである。
【0024】
さて、この第3アーム5と第4アーム6とを連結する関節部においては、先端のハンド等に駆動用のエアを供給するために設けられるエア配管17、及び、第4アーム6以降に配設される図示しないサーボモータに駆動用電源を供給したり信号を送受したりするための複数本の電線からなる配線18が、第3アーム5から第4アーム6に向けて通されるようになっている。本実施例では、それらエア配管17及び配線18は、この関節部において次のように配置されている。
【0025】
即ち、図1に示すように、前記エア配管17は、フレキシブルチューブ(以下、フレキシブルチューブ17と称する)から構成されている。また、本実施例では、前記配線18は、その全体が、複数本の電線を横方向に並べてつなげたフレキシブルなフラットケーブル(以下、フラットケーブル18と称する)から構成されている。
【0026】
そして、前記フレキシブルチューブ17は、関節部において、前記出力軸15の先端側の周囲のうち内周側に位置して、例えば右回り(時計回り方向)にスパイラル(螺旋)状に緩やかに(出力軸15の外周面との間に隙間をもって)巻回して配置されている(このスパイラル状部分を巻回部分17aと称する)。このとき、図2にも示すように、前記連結板11及び第4アーム5のフレーム12の端板12aの図で上部には、内周寄り部分に位置して、前記フレキシブルチューブ17が通される湾曲状のチューブ挿通孔11b及び12bが夫々互いにラップするように形成されている。尚、前記チューブ挿通孔11b及び12bは、フレキシブルチューブ17の巻回部分17aの先端側の端部を、例えば摩擦力により保持する機能も有している。
【0027】
一方、前記フラットケーブル18は、関節部において、前記出力軸15の先端側の周囲のうち外周側に位置して、緩やかに(巻回層間に隙間をもって)巻回して配置されている(この巻回された部分を巻回部分18aと称する)。このとき、図2にも示すように、前記連結板11及び第4アーム5のフレーム12の端板12aの図で下部には、外周寄り部分に位置して、前記フラットケーブル18が通される湾曲状のケーブル挿通孔11c及び12cが夫々互いにラップするように形成されている。尚、前記ケーブル挿通孔11c及び12cは、フラットケーブル18の巻回部分18aの内周側の端部を保持する機能も有している。
【0028】
また、本実施例では、前記フレキシブルチューブ17の巻回部分17aと、フラットケーブル18の巻回部分18aとの間を内外周に仕切るような仕切板19が設けられる。この仕切板19は、プラスチックから先端側(図1で右側)にフランジ部(鍔部)19aを有した円筒状に形成され、そのフランジ部19aが前記連結板11に固定されて設けられている。
【0029】
従って、前記フラットケーブル18の巻回部分18aは、仕切板19の外周側に隙間をもって配置されていることになる。尚、この仕切板19のフランジ部19aには、前記フラットケーブル18が挿通される挿通孔19bが、前記ケーブル挿通孔11c及び12cにラップするように形成されている。
【0030】
さらに、本実施例では、前記フラットケーブル18の巻回部分18aの外周側には、カバー20が設けられる。このカバー20は、円筒状に形成されると共に、基端側(図1で左側)に、前記仕切板19よりもやや大きい径の円形開口部を有したリング状の底板20aを一体に有している。このカバー20は、その先端部が前記第3アーム5のフレーム9に固定されている。
【0031】
このとき、前記底板20aが、フラットケーブル18の巻回部分18aの軸方向(図1で左方向)の変位を規制するずれ防止部として機能するようになっている。また、前記底板20aの下部には、前記フラットケーブル18の巻回部分18aの基端側(外周側)端部が通される挿通孔20bが形成され、この挿通孔20bは、フラットケーブル18の巻回部分18aの外周側の端部を、例えば摩擦力により保持する保持部としても機能するようになっている。
【0032】
尚、組付けにあたっては、フレキシブルチューブ17を出力軸15の周囲に緩やかに巻回した後、予め外周にフラットケーブル18を緩やかに巻回しておいた仕切板19を連結板11に取付け、その後、カバー20をフレーム9に取付けるといった手順をとることができる。また、前記仕切板19の基端部の内周面側、あるいは出力軸15の途中部に、フレキシブルチューブ17の巻回部分17aの基端側端部を保持する保持部を設けたり、巻回部分17aの軸方向(図1で左右方向)の変位を規制するずれ防止部を設けることもできる。
【0033】
次に、上記構成の作用について述べる。上記した第3アーム5と第4アーム6とを連結する関節部構造においては、フレキシブルチューブ17及びフラットケーブル18が通された状態で、第3アーム5に対し第4アーム6が回転されるのであるが、今、第4アーム6が第3アーム5に対し一方向に回転(例えば右回転)すると、フレキシブルチューブ17の巻回部分17aが、例えば巻きが締まる方向に変位し、これと共に、フラットケーブル18の巻回部分18aについても、例えば巻きが締まる方向に変位する。
【0034】
これに対し、第4アーム6が第3アーム5に対し反対方向に回転(例えば左回転)すると、今度は、フレキシブルチューブ17の巻回部分17aが、例えば巻きがより緩む方向に変位し、これと共に、フラットケーブル18の巻回部分18aについても、例えば巻きがより緩む方向に変位する。
【0035】
これにて、それらフレキシブルチューブ17及びフラットケーブル18が、捩じれたり、過大な力で引張られたり、フレーム9,12等に挟み込まれたりすることなく、第4アーム6の回転に追従することができるのである。この場合、巻回部分17a及び18aを十分に緩やかに巻回して構成することによって、第4アーム6の第3アーム5に対する回動範囲を広くとることができ、第3アーム5対する第4アーム6の1回転を越える回動範囲を容易に得ることができ、多回転させることも可能となるのである。
【0036】
このとき、それらフレキシブルチューブ17の巻回部分17a及びフラットケーブル18の巻回部分18aは、出力軸15の内周側及び外周側に夫々配置されるので、それらの配置スペースが軸方向に大形化することを防止することができる。また、エア配管として安価なフレキシブルチューブ17を採用でき、エアー通路を高精度で加工するといったことは不要なので、比較的簡単な構成で安価に済ませることができる。
【0037】
そして、フレキシブルチューブ17の巻回部分17aとフラットケーブル18の巻回部分18aとの間に設けられた仕切板19により内外周が仕切られるようにしたので、巻回部分17aの巻きが緩む際の空間が確保されると共に、巻き緩んだ際に必要以上に外周側に変位することを防止できる。また、外周側に位置するフラットケーブル18の巻回部分18aを配置(巻回)する作業が容易となり、その巻回部分18aの巻きが締まる際に必要以上に内周側に変位することを防止できる。巻回部分17aと巻回部分18aとが互いに干渉して絡み合ったりすることが防止されることは勿論である。
【0038】
さらに、フラットケーブル18の巻回部分18aの外周側に、円筒状のカバー20を設けるようにしたので、巻回部分18aの外周側への変位を規制できて、その巻回部分18aが金属製のフレーム9等に接触して傷付くといったことを未然に防止することができる。しかも、カバー20の底板20aにより、巻回部分18aの軸方向のずれを防止することができ、巻回部分18aの端部を保持させた状態で配設することができる。
【0039】
このように本実施例によれば、第3アーム5に対して第4アーム6を回転可能に連結すると共に、エア配管17及び配線18をそれらアーム5,6内を通すようにした関節部構造にあって、アームの回動範囲が比較的狭い範囲に限定されてしまう従来のものと異なり、比較的簡単な安価な構成で済ませながらも、第3アーム5に対する第4アーム6の回動範囲を十分に広げることができ、多回転をも可能とすることができる等の優れた効果を得ることができるものである。
【0040】
尚、上記実施例では、配線全体をフラットケーブル18から構成するようにしたが、少なくとも巻回部分18aのみをフラットケーブルから構成すれば、要求される機能を確保することができる。この場合、フラットケーブルは比較的幅広なものとなるため、アーム内の所定のスペースに配線を通しにくくなる等のデメリットが生ずるケースがあるので、そのようなケースでは、配線を、巻回部分のみをフレキシブルなフラットケーブルから構成し、その外側の各アーム内に配置される部分を一般ケーブルから構成すれば良い。さらにこのとき、前記カバー20に、配線のうちフラットケーブルからなる巻回部分とその外側の一般ケーブル部分とを接続するためのコネクタ部を設けるようにすれば、フラットケーブルの組付け及びその後の一般ケーブル部分との接続が容易となる。
【0041】
また、上記実施例では、フレキシブルチューブ17を内周側に配置し、フラットケーブル18を外周側に配置するようにしたが、その配置は逆であっても良い。さらには、上記実施例では、フレキシブルチューブ17を1本のみ通す構成としたが、2本以上のエア配管を通す場合でも、同様にそれらエア配管をフレキシブルチューブから構成し、それらをまとめてスパイラル状に緩やかに巻回して配置すれば良い。
【0042】
その他、上記実施例では、第3アーム5と第4アーム6とを連結する関節部に本発明を適用するようにしたが、他の関節部についても同様の構成を採用することが可能である。また、仕切板19やカバー20についても、必要に応じて設ければ良い。さらには、ロボット本体のアームの全体的な構成や、各アームの形状、サーボモータや減速機、軸受の配置や構成などの細部についても、様々な変形が可能であるなど、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、第3アームと第4アームとを連結する関節部の構成を示す縦断正面図
【図2】第3アームの先端面を示す側面図
【図3】ロボット本体の外観構成を示す正面図
【符号の説明】
図面中、1はロボット本体、5は第3アーム(第1のアーム)、6は第4アーム(第2のアーム)、15は出力軸、17はフレキシブルチューブ(エア配管)、17aは巻回部分、18はフラットケーブル(配線)、18aは巻回部分、19は仕切板、20はカバー、20aは底板(ずれ防止部)を示す。
Claims (8)
- 第1のアームに対して、該第1のアームに設けられた出力軸により回転されるように第2のアームを回転可能に連結すると共に、エア配管及び配線をそれら第1及び第2のアーム内を通すようにしたロボットの関節部構造であって、
前記エア配管をフレキシブルなチューブから構成すると共に、前記配線の少なくとも一部をフレキシブルなフラットケーブルから構成し、
前記出力軸の周囲のうち内周側及び外周側の一方に、前記エア配管をスパイラル状に緩やかに巻回して配置すると共に、内周側及び外周側の他方に、前記配線のフラットケーブル部分を緩やかに巻回して配置したことを特徴とするロボットの関節部構造。 - 前記配線は、前記巻回部分のみがフレキシブルなフラットケーブルから構成され、その外側の各アーム内に配置される部分は一般ケーブルから構成されることを特徴とする請求項1記載のロボットの関節部構造。
- 前記エア配管の巻回部分と前記配線の巻回部分との間には、それらを仕切る円筒状の仕切板が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のロボットの関節部構造。
- 前記仕切板には、前記エア配管又は配線の巻回部分の軸方向の変位を規制するずれ防止部が設けられていることを特徴とする請求項3記載のロボットの関節部構造。
- 前記外周側に位置する配線又はエア配管の巻回部分の外周側には、円筒状のカバーが設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のロボットの関節部構造。
- 前記カバーには、前記配線又はエア配管の巻回部分の軸方向の変位を規制するずれ防止部が設けられていることを特徴とする請求項5記載のロボットの関節部構造。
- 前記カバーには、前記外周側に位置する配線又はエア配管の巻回部分の端部を保持する保持部が設けられていることを特徴とする請求項5又は6記載のロボットの関節部構造。
- 前記カバーには、前記配線のうちフラットケーブルからなる巻回部分とその外側の一般ケーブル部分とを接続するためのコネクタ部が設けられていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載のロボットの関節部構造。
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