JP2004084088A - 脱インキパルプの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は脱インキパルプ製造における浸漬工程のpH条件を中性化して、排水負荷を軽減すると同時に良好にインキを剥離する方法を提供する。
【解決手段】離解工程、浸漬工程、脱インキ工程を含む印刷古紙の脱インキパルプの製造方法において、該浸漬工程がpH6〜8の中性条件下で過酸化水素およびオゾンを併用して処理される段を有し、浸漬工程中の過酸化水素およびオゾンを併用して処理される段のパルプ濃度が8〜40%である脱インキパルプの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】離解工程、浸漬工程、脱インキ工程を含む印刷古紙の脱インキパルプの製造方法において、該浸漬工程がpH6〜8の中性条件下で過酸化水素およびオゾンを併用して処理される段を有し、浸漬工程中の過酸化水素およびオゾンを併用して処理される段のパルプ濃度が8〜40%である脱インキパルプの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は脱インキパルプの製造方法に関し、さらに詳しくは、印刷古紙パルプから脱インキパルプを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷工程から脱インキパルプを製造する方法には、一般に印刷古紙の離解工程とアルカリ浸漬工程を経由し、フローテーター等でパルプとインキを分離する方法が多く用いられる。即ち、係る一般脱インキ法では、印刷古紙をパルパー等の離解機でアルカリ性薬品及び界面活性剤よりなる脱インキ剤と共に離解したのち古紙パルプとし、該パルプにさらにアルカリ性薬品、過酸化水素および界面活性剤を添加して10〜35%のパルプ濃度でアルカリ浸漬(アルカリソーキング)をおこない、パルプ繊維を膨潤させ、インキをパルプ繊維から剥離する。次にフローテーション工程では気泡にインキ粒子を付着、浮上させてインキ粒子をパルプから分離する。
【0003】
アルカリ浸漬工程は、古紙の離解工程の後、アルカリ性薬品、過酸化水素および界面活性剤を添加して10〜35%のパルプ濃度でおこない、パルプ繊維を膨潤させ、印刷インキをパルプ繊維から剥離させている。しかし、該アルカリ浸漬処理をおこなうことにより、脱インキを促進させるばかりでなく、クレーやタルク、二酸化チタンなどの填料、デンプン、ポリビニルアルコールなどの紙力増強剤、ラテックス、酸化デンプン、炭酸カルシウムなどの塗工組成物および微細繊維などが洗浄脱水処理などで排出されるばかりか、アルカリによるパルプの膨潤溶解作用によりパルプの一部が溶解するため、この排水中のCOD(化学的酸素要求量)は1000〜4000ppm、対生産パルプあたり1〜4%に達する。そのため、脱インキ工程の排水を公共用水域に放流する前には、排水汚泥負荷の削減をする必要があり、凝集処理薬品や活性汚泥処理等の設備費、ランニングコストがかかるという問題点があった。この排水負荷を軽減する目的で、浸漬工程を中性領域の条件で実施しようとすると、パルプ繊維の膨潤が十分でなく、印刷インキの剥離が不十分となり、この工程に続くフローテーション工程でインキの浮上分離がし難く、脱インキパルプの白色度が上がらないといった品質上の問題点があった。
【0004】
さらに、パルプの過酸化水素漂白は、通常添加率0.1〜4%、pH9以上のアルカリ性で実施されているが、これは過酸化水素がアルカリ性で活性化され、良好な漂白性が得られるためとされており、浸漬工程におけるアルカリ性薬品の使用は不可欠となっている。反応温度は一般に40〜90℃、好ましくは50〜80℃である。
【0005】
古紙の再生処理におけるオゾンの利用は、感熱記録紙古紙や着色古紙について多く検討されており、特開平5−148783号公報、特開平5−239783号公報(U.S.特許第5211809号明細書に対応)、特開平6−28789号公報等が知られているが、これらはオゾン単独で使用しており、中性条件下で過酸化水素と併用しているものではない。また、特表平8−501132号公報ではオゾンおよび過酸化水素を使用して古紙パルプを漂白しているが、これもオゾン、過酸化水素は単独で使用しており、併用しているものではない。印刷古紙の脱インキ処理としてオゾンを使用する例は、特開7−189154号公報が知られているが、これは中性〜アルカリ性でオゾン処理しているものの、過酸化水素との併用では効果が相殺されるとなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
印刷古紙からインキを除去し排水負荷を軽減したパルプを得ようとする場合、アルカリソーキング工程を弱アルカリ性から弱酸性の中性領域の条件で実施する必要があるが、通常の処理ではパルプの繊維の膨潤が十分でなく、印刷インキの剥離が不十分となり問題となる。即ち、本発明は脱インキパルプ製造における浸漬工程および(または)漂白工程のpH条件を中性化して、排水負荷を軽減すると同時に良好にインキを剥離する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、古紙パルプの脱インキ処理において、中性条件下で過酸化水素およびオゾンを用いた処理をおこなうことにより、上記目的が達成されることを見出した。即ち、本発明は以下の発明を包含する。
【0008】
(1)離解工程、浸漬工程、脱インキ工程(フローテーション工程および(または)洗浄工程)を含む印刷古紙の脱インキパルプの製造方法において、該浸漬工程が中性条件下で過酸化水素およびオゾンを併用して処理される段を有することを特徴とする脱インキパルプの製造方法。
【0009】
(2)該浸漬工程がpH6〜8の中性条件下で実施される段を有することを特徴とする前項(1)記載の脱インキパルプの製造方法。
【0010】
(3)浸漬工程中の過酸化水素およびオゾンを併用して処理される段のパルプ濃度が8〜40%である前項(1)または(2)記載の脱インキパルプの製造方法。
【0011】
本発明による過酸化水素−オゾン併用処理は、脱インキパルプ製造工程のうち浸漬工程にて実施され、続く脱インキ工程で大きな脱インキ効果が得られる。
【0012】
本発明においては、パルプのオゾン処理は中性条件でおこなわれる。即ち、pH6〜8の範囲であり、特に酸性薬品、アルカリ性薬品などでパルプpHを調整する必要はない。オゾンの使用量は対絶乾パルプ0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜2質量%であり、過酸化水素の使用量は対絶乾パルプ0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。反応温度は室温〜80℃、好ましくは室温〜70℃である。
【0013】
オゾン処理時のパルプスラリー温度は、オゾンの反応性が極めて激しく、短時間でオゾンの反応が終了するため特に制限されないが、一般に5〜95℃、好ましくは室温〜70℃である。処理時間はオゾンの使用量、オゾン濃度およびパルプの処理濃度等に依存するが、短時間でオゾンの反応が終了するため、一般に0.1〜60分である。オゾンは水に溶けにくい気体であるため、オゾンとパルプとの接触を良くする目的で、オゾン処理時のパルプ濃度は出来るだけ高濃度であることが望ましく、中濃度から高濃度パルプといわれる8〜40%であることが望ましい。また、前述のようにオゾンは水に溶けにくく、極めて反応性に富む気体であるため、処理効率を高めるために、パルプを攪拌混合することが望ましい。攪拌混合時の攪拌回転数はパルプ濃度にもよるが、10〜2000rpmが攪拌効率および高速回転によるパルプ繊維の強度低下防止の観点から望ましい。
【0014】
パルプのオゾン処理は通常、リグニン含有量のわずかな化学パルプの漂白に使用されている。これは、リグニンを多量に含む機械パルプの漂白にオゾン漂白を採用する場合、多量のリグニンを酸化分解するためには多量のオゾンで処理する必要があるが、オゾンの反応性が極めて激しく、塩素、二酸化塩素のようなリグニンとの選択的反応性に乏しいため、セルロースもリグニンと同様に酸化分解されてしまい、パルプ強度の低下をもたらすからである。本発明では機械パルプを多量に含有する新聞古紙、雑誌古紙等の印刷古紙を処理の対象とすることが可能である。これは本発明のオゾン処理が、これら印刷古紙に含まれる機械パルプのリグニンを積極的にオゾンで酸化分解して漂白しようとするものではなく、中性で短時間、過酸化水素と共に処理することにより、パルプ繊維表面のインキを細かく酸化分解して剥離させ、続くフローテーション工程または洗浄工程で除去しようとするものであり、パルプ繊維のセルロースに対するオゾンの作用が極めて小さいからである。
【0015】
本発明が対象としている古紙としては、新聞紙、チラシ、雑誌、書籍、事務用紙、その他複写機、OA機器から生ずる印刷紙などを含む。
【0016】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、実施例は本発明を何ら限定するものではない。本実施例、比較例中では、百分率(%)は白色度以外はすべて質量%を意味し、また、薬品添加率は、対絶乾パルプあたりの質量%で示した。パルプの白色度はISO2469に準拠して測定した。更に、手抄きシート表面の画像解析により、残留カーボンインキの累計面積率(残カーボン%)を求めた。具体的には(株)ピアス社製画像解析装置を使用し、白色度測定用シートを用いて残インキ面積を求めた。
【0017】
実施例1
OA古紙を試験用パルパーで水のみを用いて濃度4%で10分間離解し、パルプ濃度20%に脱水した。この離解パルプのパルプ濃度が薬品添加後に10%となるように脱イオン水を用いて調整した。珪酸ソーダを対パルプ2%添加し、pHを7.6に調整し、次いで過酸化水素を対パルプ1.5%添加した(パルプ濃度10%)。続いて、パルプをミキサーで攪拌しながらオゾンを対パルプ0.5%添加し、60℃で60分間反応させた。
続いて、パルプの2500倍量の脱イオン水で洗浄した完全洗浄パルプについて白色度、残インキ面積を求めた。結果を表1に示した。残インキ面積については、比較例5(ブランク)の値を100%とした時の相対値で示した。
【0018】
実施例2
実施例1において、過酸化水素およびオゾンを添加する前のpHを6.3に調整した以外は実施例1の条件を用いて過酸化水素−オゾン処理をした。結果を表1に示した。
【0019】
実施例3
実施例1と同様に離解したパルプをpH7.5に調整し、薬品添加後のパルプ濃度が35%になるように脱水した。pH7付近に調整した珪酸ソーダ−過酸化水素溶液をパルプに霧吹きで吹きかけ、珪酸ソーダを対パルプ2%、過酸化水素を対パルプ1.5%添加した(パルプ濃度35%)。続いて、パルプを攪拌しながらオゾンを対パルプ0.5%添加し、室温で2分間反応させた後、60℃に保持した(トータル60分)。続いて実施例1と同様に洗浄をした。結果を表1に示した。
【0020】
比較例1
実施例1において、オゾンを無添加とした以外は実施例1の条件を用いて過酸化水素処理をおこなった。過酸化水素処理条件を以下に示した。
パルプ濃度 :10%
過酸化水素添加量 :1.5%
珪酸ソーダ添加量 :2%
パルプスラリーpH :8.0
処理温度 :60℃
処理時間 :60分
結果を表1に示した。
【0021】
比較例2
比較例1において、通常のアルカリソーキング工程でのパルプpHである9.5に調整した以外は比較例1の条件を用いて過酸化水素処理をおこなった。結果を表1に示した。
【0022】
比較例3
実施例1において、過酸化水素およびオゾンを添加する前のpHを9.5に調整した以外は実施例1の条件を用いて過酸化水素−オゾン処理をおこなった。結果を表1に示した。
【0023】
比較例4
実施例1において、過酸化水素を無添加とした以外は実施例1の条件を用いてオゾン処理をおこなった。オゾン処理条件を以下に示した。
パルプ濃度 :10%
オゾン添加量 :0.5%
パルプスラリーpH :8.0
処理温度 :60℃
処理時間 :60分
結果を表1に示した。
【0024】
比較例5(ブランク)
実施例1について、離解パルプについて完全洗浄をおこなった。結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
表1から明らかなように、中性条件でオゾンと過酸化水素を併用する効果として、単独使用時(比較例1、4)と比較して、白色度で1.5〜3ポイント高くなっており、残インキ面積は半分以下となっている(実施例1、2、3)。また、現在用いられているアルカリソーキング工程(比較例2)と比較すると、白色度では1pt低いものの、残インキ面積はほぼ同等の効果が得られた。またアルカリソーキング工程にオゾンを添加すると、むしろ効果が相殺されている(比較例2、3)。未洗浄のパルプを比較した場合には白色度、残インキ面積とも単独使用時との差が小さくなっているため、オゾンと過酸化水素を併用することでパルプに付着しているインキ粒子に作用し、インキの剥離を促進しているためと考えられる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、古紙パルプの脱インキ処理において、中性条件でオゾンおよび過酸化水素の併用処理をおこなうことにより、残留インキの減少したより高白色度なパルプを得ることが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は脱インキパルプの製造方法に関し、さらに詳しくは、印刷古紙パルプから脱インキパルプを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷工程から脱インキパルプを製造する方法には、一般に印刷古紙の離解工程とアルカリ浸漬工程を経由し、フローテーター等でパルプとインキを分離する方法が多く用いられる。即ち、係る一般脱インキ法では、印刷古紙をパルパー等の離解機でアルカリ性薬品及び界面活性剤よりなる脱インキ剤と共に離解したのち古紙パルプとし、該パルプにさらにアルカリ性薬品、過酸化水素および界面活性剤を添加して10〜35%のパルプ濃度でアルカリ浸漬(アルカリソーキング)をおこない、パルプ繊維を膨潤させ、インキをパルプ繊維から剥離する。次にフローテーション工程では気泡にインキ粒子を付着、浮上させてインキ粒子をパルプから分離する。
【0003】
アルカリ浸漬工程は、古紙の離解工程の後、アルカリ性薬品、過酸化水素および界面活性剤を添加して10〜35%のパルプ濃度でおこない、パルプ繊維を膨潤させ、印刷インキをパルプ繊維から剥離させている。しかし、該アルカリ浸漬処理をおこなうことにより、脱インキを促進させるばかりでなく、クレーやタルク、二酸化チタンなどの填料、デンプン、ポリビニルアルコールなどの紙力増強剤、ラテックス、酸化デンプン、炭酸カルシウムなどの塗工組成物および微細繊維などが洗浄脱水処理などで排出されるばかりか、アルカリによるパルプの膨潤溶解作用によりパルプの一部が溶解するため、この排水中のCOD(化学的酸素要求量)は1000〜4000ppm、対生産パルプあたり1〜4%に達する。そのため、脱インキ工程の排水を公共用水域に放流する前には、排水汚泥負荷の削減をする必要があり、凝集処理薬品や活性汚泥処理等の設備費、ランニングコストがかかるという問題点があった。この排水負荷を軽減する目的で、浸漬工程を中性領域の条件で実施しようとすると、パルプ繊維の膨潤が十分でなく、印刷インキの剥離が不十分となり、この工程に続くフローテーション工程でインキの浮上分離がし難く、脱インキパルプの白色度が上がらないといった品質上の問題点があった。
【0004】
さらに、パルプの過酸化水素漂白は、通常添加率0.1〜4%、pH9以上のアルカリ性で実施されているが、これは過酸化水素がアルカリ性で活性化され、良好な漂白性が得られるためとされており、浸漬工程におけるアルカリ性薬品の使用は不可欠となっている。反応温度は一般に40〜90℃、好ましくは50〜80℃である。
【0005】
古紙の再生処理におけるオゾンの利用は、感熱記録紙古紙や着色古紙について多く検討されており、特開平5−148783号公報、特開平5−239783号公報(U.S.特許第5211809号明細書に対応)、特開平6−28789号公報等が知られているが、これらはオゾン単独で使用しており、中性条件下で過酸化水素と併用しているものではない。また、特表平8−501132号公報ではオゾンおよび過酸化水素を使用して古紙パルプを漂白しているが、これもオゾン、過酸化水素は単独で使用しており、併用しているものではない。印刷古紙の脱インキ処理としてオゾンを使用する例は、特開7−189154号公報が知られているが、これは中性〜アルカリ性でオゾン処理しているものの、過酸化水素との併用では効果が相殺されるとなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
印刷古紙からインキを除去し排水負荷を軽減したパルプを得ようとする場合、アルカリソーキング工程を弱アルカリ性から弱酸性の中性領域の条件で実施する必要があるが、通常の処理ではパルプの繊維の膨潤が十分でなく、印刷インキの剥離が不十分となり問題となる。即ち、本発明は脱インキパルプ製造における浸漬工程および(または)漂白工程のpH条件を中性化して、排水負荷を軽減すると同時に良好にインキを剥離する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、古紙パルプの脱インキ処理において、中性条件下で過酸化水素およびオゾンを用いた処理をおこなうことにより、上記目的が達成されることを見出した。即ち、本発明は以下の発明を包含する。
【0008】
(1)離解工程、浸漬工程、脱インキ工程(フローテーション工程および(または)洗浄工程)を含む印刷古紙の脱インキパルプの製造方法において、該浸漬工程が中性条件下で過酸化水素およびオゾンを併用して処理される段を有することを特徴とする脱インキパルプの製造方法。
【0009】
(2)該浸漬工程がpH6〜8の中性条件下で実施される段を有することを特徴とする前項(1)記載の脱インキパルプの製造方法。
【0010】
(3)浸漬工程中の過酸化水素およびオゾンを併用して処理される段のパルプ濃度が8〜40%である前項(1)または(2)記載の脱インキパルプの製造方法。
【0011】
本発明による過酸化水素−オゾン併用処理は、脱インキパルプ製造工程のうち浸漬工程にて実施され、続く脱インキ工程で大きな脱インキ効果が得られる。
【0012】
本発明においては、パルプのオゾン処理は中性条件でおこなわれる。即ち、pH6〜8の範囲であり、特に酸性薬品、アルカリ性薬品などでパルプpHを調整する必要はない。オゾンの使用量は対絶乾パルプ0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜2質量%であり、過酸化水素の使用量は対絶乾パルプ0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。反応温度は室温〜80℃、好ましくは室温〜70℃である。
【0013】
オゾン処理時のパルプスラリー温度は、オゾンの反応性が極めて激しく、短時間でオゾンの反応が終了するため特に制限されないが、一般に5〜95℃、好ましくは室温〜70℃である。処理時間はオゾンの使用量、オゾン濃度およびパルプの処理濃度等に依存するが、短時間でオゾンの反応が終了するため、一般に0.1〜60分である。オゾンは水に溶けにくい気体であるため、オゾンとパルプとの接触を良くする目的で、オゾン処理時のパルプ濃度は出来るだけ高濃度であることが望ましく、中濃度から高濃度パルプといわれる8〜40%であることが望ましい。また、前述のようにオゾンは水に溶けにくく、極めて反応性に富む気体であるため、処理効率を高めるために、パルプを攪拌混合することが望ましい。攪拌混合時の攪拌回転数はパルプ濃度にもよるが、10〜2000rpmが攪拌効率および高速回転によるパルプ繊維の強度低下防止の観点から望ましい。
【0014】
パルプのオゾン処理は通常、リグニン含有量のわずかな化学パルプの漂白に使用されている。これは、リグニンを多量に含む機械パルプの漂白にオゾン漂白を採用する場合、多量のリグニンを酸化分解するためには多量のオゾンで処理する必要があるが、オゾンの反応性が極めて激しく、塩素、二酸化塩素のようなリグニンとの選択的反応性に乏しいため、セルロースもリグニンと同様に酸化分解されてしまい、パルプ強度の低下をもたらすからである。本発明では機械パルプを多量に含有する新聞古紙、雑誌古紙等の印刷古紙を処理の対象とすることが可能である。これは本発明のオゾン処理が、これら印刷古紙に含まれる機械パルプのリグニンを積極的にオゾンで酸化分解して漂白しようとするものではなく、中性で短時間、過酸化水素と共に処理することにより、パルプ繊維表面のインキを細かく酸化分解して剥離させ、続くフローテーション工程または洗浄工程で除去しようとするものであり、パルプ繊維のセルロースに対するオゾンの作用が極めて小さいからである。
【0015】
本発明が対象としている古紙としては、新聞紙、チラシ、雑誌、書籍、事務用紙、その他複写機、OA機器から生ずる印刷紙などを含む。
【0016】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、実施例は本発明を何ら限定するものではない。本実施例、比較例中では、百分率(%)は白色度以外はすべて質量%を意味し、また、薬品添加率は、対絶乾パルプあたりの質量%で示した。パルプの白色度はISO2469に準拠して測定した。更に、手抄きシート表面の画像解析により、残留カーボンインキの累計面積率(残カーボン%)を求めた。具体的には(株)ピアス社製画像解析装置を使用し、白色度測定用シートを用いて残インキ面積を求めた。
【0017】
実施例1
OA古紙を試験用パルパーで水のみを用いて濃度4%で10分間離解し、パルプ濃度20%に脱水した。この離解パルプのパルプ濃度が薬品添加後に10%となるように脱イオン水を用いて調整した。珪酸ソーダを対パルプ2%添加し、pHを7.6に調整し、次いで過酸化水素を対パルプ1.5%添加した(パルプ濃度10%)。続いて、パルプをミキサーで攪拌しながらオゾンを対パルプ0.5%添加し、60℃で60分間反応させた。
続いて、パルプの2500倍量の脱イオン水で洗浄した完全洗浄パルプについて白色度、残インキ面積を求めた。結果を表1に示した。残インキ面積については、比較例5(ブランク)の値を100%とした時の相対値で示した。
【0018】
実施例2
実施例1において、過酸化水素およびオゾンを添加する前のpHを6.3に調整した以外は実施例1の条件を用いて過酸化水素−オゾン処理をした。結果を表1に示した。
【0019】
実施例3
実施例1と同様に離解したパルプをpH7.5に調整し、薬品添加後のパルプ濃度が35%になるように脱水した。pH7付近に調整した珪酸ソーダ−過酸化水素溶液をパルプに霧吹きで吹きかけ、珪酸ソーダを対パルプ2%、過酸化水素を対パルプ1.5%添加した(パルプ濃度35%)。続いて、パルプを攪拌しながらオゾンを対パルプ0.5%添加し、室温で2分間反応させた後、60℃に保持した(トータル60分)。続いて実施例1と同様に洗浄をした。結果を表1に示した。
【0020】
比較例1
実施例1において、オゾンを無添加とした以外は実施例1の条件を用いて過酸化水素処理をおこなった。過酸化水素処理条件を以下に示した。
パルプ濃度 :10%
過酸化水素添加量 :1.5%
珪酸ソーダ添加量 :2%
パルプスラリーpH :8.0
処理温度 :60℃
処理時間 :60分
結果を表1に示した。
【0021】
比較例2
比較例1において、通常のアルカリソーキング工程でのパルプpHである9.5に調整した以外は比較例1の条件を用いて過酸化水素処理をおこなった。結果を表1に示した。
【0022】
比較例3
実施例1において、過酸化水素およびオゾンを添加する前のpHを9.5に調整した以外は実施例1の条件を用いて過酸化水素−オゾン処理をおこなった。結果を表1に示した。
【0023】
比較例4
実施例1において、過酸化水素を無添加とした以外は実施例1の条件を用いてオゾン処理をおこなった。オゾン処理条件を以下に示した。
パルプ濃度 :10%
オゾン添加量 :0.5%
パルプスラリーpH :8.0
処理温度 :60℃
処理時間 :60分
結果を表1に示した。
【0024】
比較例5(ブランク)
実施例1について、離解パルプについて完全洗浄をおこなった。結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
表1から明らかなように、中性条件でオゾンと過酸化水素を併用する効果として、単独使用時(比較例1、4)と比較して、白色度で1.5〜3ポイント高くなっており、残インキ面積は半分以下となっている(実施例1、2、3)。また、現在用いられているアルカリソーキング工程(比較例2)と比較すると、白色度では1pt低いものの、残インキ面積はほぼ同等の効果が得られた。またアルカリソーキング工程にオゾンを添加すると、むしろ効果が相殺されている(比較例2、3)。未洗浄のパルプを比較した場合には白色度、残インキ面積とも単独使用時との差が小さくなっているため、オゾンと過酸化水素を併用することでパルプに付着しているインキ粒子に作用し、インキの剥離を促進しているためと考えられる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、古紙パルプの脱インキ処理において、中性条件でオゾンおよび過酸化水素の併用処理をおこなうことにより、残留インキの減少したより高白色度なパルプを得ることが出来る。
Claims (3)
- 離解工程、浸漬工程、脱インキ工程を含む印刷古紙の脱インキパルプの製造方法において、該浸漬工程が中性条件下で過酸化水素およびオゾンを併用して処理される段を有することを特徴とする脱インキパルプの製造方法。
- 該浸漬工程がpH6〜8の中性条件下で実施される段を有することを特徴とする請求項1記載の脱インキパルプの製造方法。
- 浸漬工程中の過酸化水素およびオゾンを併用して処理される段のパルプ濃度が8〜40%である請求項1または2に記載の脱インキパルプの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002243610A JP2004084088A (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | 脱インキパルプの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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-
2002
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WO2008123130A1 (ja) * | 2007-03-20 | 2008-10-16 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | 印刷古紙の脱墨方法 |
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