JP4647083B2 - 脱墨パルプの製造方法及び再生紙の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱墨パルプの製造方法及び再生紙の製造方法に係り、さらに詳しくはフローテーション処理において発生したフロスや白水処理で回収したスカムに、オゾンガス処理してフロスやスカムを漂白する形態を含むものである。
【0002】
【従来の技術】
資源の有効利用という観点から、年々、再生紙の需要が増加している。再生紙は、新聞紙、雑誌等の印刷古紙から脱墨パルプを製造し、この脱墨パルプ(DIP)を単独で、あるいは他のパルプと混合して得た原料パルプを調成、抄紙し製造している。そして、古紙から脱墨パルプを製造するにあたっては、フローテーターを使用し、インクを加圧浮上させて除去するフローテーション処理により脱墨をするのが一般的である。このフローテーション処理に際しては、パルパーにより溶解を図った後、異物除去を行い、フローテーターにより脱墨処理し、次いで微細な異物除去を行なう精選処理をなし、分散処理後に、過酸化水素などにより漂白を行なうものを代表例として挙げることができる。
【0003】
ところで、従来は、フローテーション処理によって発生したフロス(フローテーターで浮上分離した泡であり、インキや夾雑物を含む。)やDIP系内の白水処理工程で分離したスカム(浮上分離したインキや夾雑物を含む。)は、パルプ排水や抄紙排水等と混合して、適宜処理を施し公共用水域に放流している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法は、フロスやスカム分が排水中に含まれるので、排水処理設備の負担が大きくなり、フロスやスカム中の繊維分や無機分を有効利用せず廃棄するものであり、色は暗色を呈する。
【0005】
そこで、本発明の課題は、フロスやスカム中の繊維分や無機分の再利用が可能となり、排水処理設備の負担を軽減し、もって環境に対する影響を軽減しつつ経済的に再生紙を得るようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
古紙から脱墨パルプを製造する過程において、フローテーション処理及び/又は白水処理を含み、
前記フローテーション処理において発生したフロス及び/又は前記白水処理において発生したスカムに、オゾンガス処理してフロス及び/又はスカムを漂白する工程を備え、
フロス及び/又はスカムを漂白して得られた反応液を抄紙設備に送り、抄紙で利用する原料とすることを特徴とする脱墨パルプの製造方法。
【0007】
<請求項2記載の発明>
古紙から脱墨パルプを製造し、その脱墨パルプの全量をまたは一部を原料パルプとして抄紙して再生紙を得る方法であって、
脱墨工程においてフローテーション処理及び/又は白水処理を含み、
前記フローテーション処理において発生したフロス及び/又は白水処理において発生したスカムに、オゾンガス処理してフロス及び/又はスカムを漂白し、
このフロス及び/又はスカムを漂白して得られた反応液を抄紙設備に送り、前記抄紙の原料として利用することを特徴とする再生紙の製造方法。
【0008】
<請求項3記載の発明>
前記オゾンガスの供給量を、前記フロス及び/又は前記スカム1リットル当たり0.35〜0.70g/Hrとする請求項1記載の脱墨パルプの製造方法。
【0009】
<請求項4記載の発明>
前記オゾンガスの供給量を、前記フロス及び/又は前記スカム1リットル当たり0.35〜0.70g/Hrとする請求項2記載の再生紙の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(フロス及びスカムの漂白について)
本発明は、古紙から脱墨パルプを製造する際のフローテーション処理や白水処理によって発生したフロスやスカムを漂白するために、オゾンガスを利用する。フロスやスカムが含有するインキや夾雑物の成分は、FAS(フォルムアミジンスルフォン酸)、H22、ハイドロサルファイト(ヒドロ亜硫酸ナトリウム、ヒドロ亜硫酸亜鉛、等)、ハイポ(次亜塩素酸ソーダ)、二酸化塩素等の漂白剤によって十分に漂白することができない。しかし、本発明のようにオゾンガスを供給すると、十分な漂白が可能となる。特に、オゾンガスの供給量をフロス1リットル当たり0.35〜0.70g/Hrとするのが好ましい。これは、フロス1リットル当たりオゾンガスの供給量が0.35g/Hr未満であると、フロスの漂白度が十分でなく、他方、0.70g/l・Hr超過であると、オゾン消費量に対するフロスの漂白度が飽和傾向になり経済的でないことによる。オゾン処理方法としては、その方法を何ら限定するものではなく、たとえば充填材を装入して反応塔にてフロスとオゾンガスとの接触効率を高めながら接触させる方法や、フロス液槽内に散気手段によりオゾンガスを散気する方法などを採用できる。
【0011】
(再生紙の製造方法及び再生紙の製造装置)
本発明に係る再生紙の製造方法及び再生紙の製造装置は、以上で説明したフロスの漂白方法を利用して行なうものである。図1に本実施の形態に係る再生紙の製造方法のフローシートを示した。
【0012】
まず、新聞紙、雑誌等の古紙は、パルパー等の離解機で離解し、次いで、スクリーン等の除塵装置で含有する異物を除去する(離解・除塵工程)。離解・除塵した古紙は、移送管11を通して、フローテーター1に送り、フローテーション処理を行なう。このフローテーション処理によって浮上分離したフロスFは、ポンプ5によって、移送管12を通して、遠心分離機やデカンター等のフロス濃縮手段3に送る。他方、フロスFを除去した後のフローテーター1内の濾液は、移送管13を通して、漂白工程に送り、漂白処理して脱墨パルプとする。
【0013】
ここで、パルパーにより溶解を図った後、異物除去を行い、フローテーターにより脱墨処理し、次いで微細な異物除去を行なう精選処理をなし、分散処理後に、過酸化水素などにより漂白を行なうこともできる。この場合においては、フローテーターでのフロス、及び/または2段フローテーションの場合、ポストフローテーターでのフロスを漂白対象とすることができる。
【0014】
かくして得た脱墨パルプは、さらに填料を添加する等して調整し(調成工程)、移送管14を通して、抄紙設備2に送る。
【0015】
ところで、フロス濃縮手段3で濃縮したフロスFは、移送管15を通して、オゾン混入手段、本実施の形態では反応塔4に送る。反応塔4では、フロスFに対し、供給管20からのオゾンガスを混入し、このオゾンガスによってフロスFを漂白する。この際、余剰オゾンガスは、排出管21から排出するようになっている。漂白後のフロス(反応液)は、反応液移送手段、本実施の形態ではポンプ6によって、移送管16を通して、抄紙設備2に送る。抄紙設備2において、反応液は、パルプを薄めるための水とともに、又は、水に替えて使用する。このようにして抄紙した後は、仕上工程に送り、仕上げ処理して再生紙とする。
【0016】
なお、本発明は、フローテーション処理によって発生したフロスの漂白方法と、漂白したフロス(反応液)を抄紙設備で利用することとに特徴があるのであり、離解・除塵工程、漂白工程や、調成工程、仕上工程等は、公知の設備を採用し、また組み合わせも適宜選択できる。また本実施の形態で示した順序に限定するものでもない。さらに、必要により公知の工程を付加して処理することもできる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳説する。
(オゾンと他の漂白剤との対比)
本実施においては、雑誌古紙から脱墨パルプを製造する際に、フローテーターにおいて生成されたフロスを漂白することにした。オゾンガスの供給量は、89kg/t、または139.2kg/tとなるようにし、実施例1及び2とした。この際、フロスの温度は、40℃となるようにした。評価は、JISP8123に基づく白色度(%)によった。これに対し、他の漂白剤を用い、漂白温度、漂白時間を変え、比較例1〜10とし比較した。
【0018】
【表1】
Figure 0004647083
【0019】
表1から、漂白剤としてオゾンを用いると、他の漂白剤を用いるのと比較し、著しく白色度が向上することがわかる。
【0020】
(漂白時間)
さらに、図2に示す方法・量でオゾンを添加した場合における、フロスの白色度の経時変化を図3に示した。図3より、漂白時間が13時間を超えると、著しく白色度が増すことがわかる。なお、新聞古紙から脱墨パルプ(NDIP)を製造する際にフローテーターにおいて生成されたフロス(NDIPフロスと略す)を漂白した場合における、白色度の経時変化を図4に示した。この場合は、MDIPフロスの場合に比較して白色度の向上が著しく、漂白時間5時間で77.6%にまで向上した。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、フロスやスカム中の繊維分の再利用が可能となり、排水処理設備の負担を軽減し、もって環境に対する影響を軽減しつつ経済的に再生紙を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態に係る再生紙の製造方法のフローシートである。
【図2】 オゾン消費量の経時変化を示した図である。
【図3】 白色度の経時変化を示した図である(雑誌古紙の場合)。
【図4】 白色度の経時変化を示した図である(新聞古紙の場合)。
【符号の説明】
1…フローテーター、2…抄紙設備、3…濃縮手段、4…反応塔、5,6…ポンプ、11〜16…移送管、20…供給管、21…排出管。

Claims (4)

  1. 古紙から脱墨パルプを製造する過程において、フローテーション処理及び/又は白水処理を含み、
    前記フローテーション処理において発生したフロス及び/又は前記白水処理において発生したスカムに、オゾンガス処理してフロス及び/又はスカムを漂白する工程を備え、
    フロス及び/又はスカムを漂白して得られた反応液を抄紙設備に送り、抄紙で利用する原料とすることを特徴とする脱墨パルプの製造方法。
  2. 古紙から脱墨パルプを製造し、その脱墨パルプの全量をまたは一部を原料パルプとして抄紙して再生紙を得る方法であって、
    脱墨工程においてフローテーション処理及び/又は白水処理を含み、
    前記フローテーション処理において発生したフロス及び/又は白水処理において発生したスカムに、オゾンガス処理してフロス及び/又はスカムを漂白し、
    このフロス及び/又はスカムを漂白して得られた反応液を抄紙設備に送り、前記抄紙の原料として利用することを特徴とする再生紙の製造方法。
  3. 前記オゾンガスの供給量を、前記フロス及び/又は前記スカム1リットル当たり0.35〜0.70g/Hrとする請求項1記載の脱墨パルプの製造方法。
  4. 前記オゾンガスの供給量を、前記フロス及び/又は前記スカム1リットル当たり0.35〜0.70g/Hrとする請求項2記載の再生紙の製造方法。
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