JPH11100785A - オゾンによるピッチトラブル防止方法 - Google Patents

オゾンによるピッチトラブル防止方法

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JPH11100785A
JPH11100785A JP26305097A JP26305097A JPH11100785A JP H11100785 A JPH11100785 A JP H11100785A JP 26305097 A JP26305097 A JP 26305097A JP 26305097 A JP26305097 A JP 26305097A JP H11100785 A JPH11100785 A JP H11100785A
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pulp
pitch
paper
white water
papermaking
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JP26305097A
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English (en)
Inventor
Junko Sonoyama
順子 園山
Yuuko Fujita
夕子 藤田
Hidetaka Taneda
英孝 種田
Koichi Tabei
宏一 田部井
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パルプの製造工程あるいは製紙工程におい
て、ピッチトラブルを有効に防止するとともに、パルプ
および紙の製品品質を改善する。 【解決手段】 パルプ、製紙原料、白水のうちの一つ以
上に対し、0.001%〜3%の添加濃度でオゾン処理
を行い、ピッチを変性および低減させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルプおよび/ま
たは紙を製造する工程において、ピッチを含有するもの
に対し、オゾン処理することによって、工程中のピッチ
トラブルを防止する方法、および改質されたピッチを含
有するパルプおよび/または紙の製造方法、および改質
されたピッチを含有するパルプおよび/または紙に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】木材には、樹脂分、いわゆるピッチ成分
として知られる脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸トリグリセリド
などの中性物質等々が含まれている。木材を機械的にす
りつぶして製造されるメカニカルパルプや酸性〜中性の
薬液による蒸解で得られる亜硫酸パルプでは、木材成分
がほとんど変化せずにパルプ中に残留する。このため、
ピッチトラブルは、これらのピッチ成分を多く含むパル
プを多量に使用する場合に引き起こされやすい。また、
このほかの前記亜硫酸パルプ以外のケミカルパルプや高
収率ケミカルパルプの中にも、ピッチ成分の変化が少な
いもの、あるいはピッチ成分に変化があっても洗浄不良
等のためパルプからうまく取り除かれていないもの等が
あり、メカニカルパルプや亜硫酸パルプに比べその程度
は低いものの、やはりはピッチトラブルの要因となって
いる。
【0003】原木あるいはパルプから持ち込まれたピッ
チは、パルプ製造工程および/または製紙工程におい
て、希釈あるいは洗浄を受けることによって、その一部
をパルプ白水中あるいは製紙白水中にも拡散する。この
ように、パルプのほか、パルプ白水、製紙用填料等が添
加された製紙原料、製紙白水に含まれることとなったピ
ッチは、パルプ製造機械あるいは製紙機械の各所に凝
集、付着し、用具の汚れや紙汚れ、紙切れなどのピッチ
トラブルを起こす。特に、製紙工程においては昨今の紙
の保存性の問題やコストダウンの観点から、従来のタル
ク等を主体填料とする酸性抄紙から炭酸カルシウム等を
主体填料とする中性抄紙への移行が急速に進行してお
り、これによって起こるピッチ成分の白水中への溶出や
繊維への定着性の低下やピッチの粘着性の増加などのた
めに、ピッチトラブルがますます多発することが考えら
れる。
【0004】また、これらパルプ製造工程や製紙工程上
の種々のトラブルのほか、パルプ原料中に残留したピッ
チは、製紙用パルプやそれを用いて製造される紙製品の
品質を低下させる。また、製紙以外の用途、例えば、化
学繊維・セロファン・プラスチック・合成糊料等の原料
となる溶解用亜硫酸パルプにおいては、作業性やセルロ
ース品質を低下させるピッチそのものが少ないことが望
まれている。
【0005】これらピッチトラブルに対して従来から行
われている防止方法としては、伐採後の丸太を長期間に
わたって屋外に放置させる方法(シーズニング)や、パ
ルプの洗浄強化・パルプの篩別分級による方法、アルカ
リ、界面活性剤、酵素、あるいはタルクなどの無機填料
よるピッチ成分の吸着等の薬品を使用する方法等があ
る。
【0006】これらピッチトラブル防止方法のうちシー
ズニングに関しては、木材中のピッチ成分は減少する
が、シーズニングを行うためには、3ヶ月から6ヶ月
間、又はそれ以上の長期間、大量の木材を放置できるだ
けの広大な土地が必要であるという問題を抱え、ピッチ
成分が完全になくなるまでシーズニングすることは現実
には難しい。また、上記のその他のピッチトラブル防止
方法についても、洗浄や篩別分級等の物理的処理による
ピッチ成分の除去、あるいは薬品による分散や吸着等が
不完全で、どれもピッチトラブルの根本的な解決にはな
っていないのが実状である。
【0007】以上のように、中性抄紙の急速な進行、さ
らにこれに加えて工場排水規制の強化に伴う白水クロー
ズド化の進行等も、前述のピッチトラブル並びに製紙用
パルプやそれを用いて製造される紙製品の品質に関する
問題を更に深刻化させると予想される。このことから、
これらの解決法が非常に重要な課題となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、パル
プの製造工程あるいは製紙工程において、ピッチトラブ
ルを、より有効に防止するとともに、ここから得られる
パルプ中あるいはそれを用いて製造される紙製品中に含
まれる残留ピッチに基づく品質の低下を防止する方法を
提供することにある。また、パルプが製紙用途以外に使
用される、例えば亜硫酸パルプである場合においても、
セルロース品質を向上させる方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、パルプ製
造工程あるいは製紙工程において、ピッチ成分のうち主
に疎水性の高い物質が凝集し、ピッチトラブルが起こっ
ていることに着目し、これらの成分をオゾンで処理する
ことにより低分子化させ、極性基を生成させ、凝集を防
ぎ、あわせてピッチ量そのものを低減させることによっ
てピッチトラブルの防止ならびにパルプやそれを用いて
製造される紙製品品質の改善あるいは向上ができること
を見いだし、本発明を完成した。本発明は、パルプ製造
工程および/または製紙工程において、ピッチを含有す
るもの、すなわちパルプ、パルプ白水、製紙用填料等が
添加された製紙原料、製紙白水に対し、オゾンを加え、
これによりピッチを変性および低減させることによっ
て、ピッチトラブルをより有効に防止し、かつ品質の改
善されたパルプ製品および紙製品を得ることが達成され
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明におけるピッチは、木材中
の樹脂分、いわゆるピッチ成分として知られる脂肪酸、
樹脂酸、脂肪酸トリグリセリドなどの中性物質等、およ
びこれらがパルプおよび/または紙の製造工程で使用さ
れる熱や薬品によって一部変性を受けたもの、さらには
これら樹脂分やその一部が変性したものにパルプおよび
/または紙の製造工程において混入してくる無機物や有
機物と複合したものと定義されるものである。混入して
くる無機物としては、蒸解・漂白用薬品や製紙用填料・
顔料、あるいは設備の腐食に起因する材料金属化合物等
がある。また、有機物としては、木材由来の樹皮・木繊
維や、蒸解・漂白用助剤として使用される有機薬品類、
および製紙工程で使用される有機薬品類、あるいは脱墨
パルプから混入するインク物質や高分子粘着性物質(ガ
ムピッチ等)がある。これら樹脂分やその一部が変性し
たものとパルプおよび/または紙の製造工程において混
入してくる無機物や有機物との比率については、樹脂分
やその一部が変性したものの比率が高いほど本発明の効
果が大きい傾向にはあるが、特に制限されるものではな
い。なお、この樹脂分やその一部が変性したものの比率
については、ジクロロメタンやアルコール・ベンゼン等
の溶剤による抽出によって測定することができる。
【0011】本発明は、GP・RGP・TMP等の機械
パルプ、SCP・CTMP等の高収率ケミカルパルプ、
あるいは硫酸塩パルプ・ソーダパルプ・亜硫酸パルプ等
のケミカルパルプ、更には脱墨パルプ等の各種パルプを
製造する工程および/またはこれらのパルプを原料とし
て紙を製造する工程に適用できる。また、製紙工程にお
いては、これらのいずれか1種または2種以上が混合さ
れたものが使用されてるが、本法の適用においては配合
種の数および配合比率等に関して、特に制限はないが、
機械パルプおよび亜硫酸パルプの比率が高い場合にその
効果が大きい。
【0012】また、概して漂白パルプに比べ、ピッチ成
分の変性が少ない未漂白パルプの方が本発明の効果が大
きい傾向にはあるが、漂白・未漂白、あるいは漂白シー
ケンス等によって特段の制限を受けることなく実施でき
る。
【0013】本発明に用いるパルプの原料となるチップ
の樹種についても、特に制限はなく、針葉樹、広葉樹、
更には非木材原料のいずれにも適用できる。また、脱墨
パルプあるいはその原料となる古紙を使用する場合に
は、機械パルプの混合割合の多い新聞古紙や中質古紙に
対する効果が大きい。
【0014】パルプ、パルプ白水、製紙用填料等が添加
された製紙原料、製紙白水、を処理するためのオゾン
は、いかなる発生装置で製造されるものでも、本発明の
方法に使用できる。
【0015】オゾン処理のための装置としては、パルプ
原料、製紙用紙料あるいは白水中に含まれるピッチとオ
ゾンとを効率良く接触させる機能を持つものであれば、
特に制限されるものではない。パルプ原料あるいは製紙
用紙料の濃度によって適宜選択するが、極く一般的には
固形分濃度6%未満の低濃度の場合には攪拌羽根形式や
ポンプ形式の混合機等が、また6%〜20%位の中濃度
の場合にはハイインテンシティ形式の混合機等が、更に
20%を超える高濃度の場合には押出し形式や捏和形式
の混合機等が使用できる。
【0016】オゾン処理時のpHは2〜9、温度は20
〜50℃の範囲が好適である。オゾンを、パルプスラリ
ー、製紙用紙料あるいは回収紙料に対して添加する場合
は、パルプあるいは製紙用紙料に対し、0.001〜3
%の範囲であることが好ましい。一般にオゾンの添加量
が多くなれば、反応もよく進むが、製紙原料に対し1%
もあれば十分である。
【0017】また、パルプ製造および製紙工程では、多
量の水を使用しているが、大部分は循環・再使用してい
る。これらの循環白水であるパルプ白水や製紙白水は、
ピッチ成分を含んでいるので、循環白水に対してオゾン
処理を適用することによっても、ピッチトラブルを防止
するとともに、パルプやそれを用いて製造される紙製品
品質を改善することができる。特にpHが中性からアル
カリ性の条件下では、脂肪酸や樹脂酸等の酸性成分は、
可溶化し、白水中に多く存在するため、白水をオゾン処
理することは効果が大きい。この場合のオゾン添加は、
白水に対し、10ppm〜1000ppmの範囲である
ことが好ましい。
【0018】パルプの製造工程や紙の製造工程におい
て、オゾンの添加は、ピッチを含有するもの、すなわち
パルプ、パルプ白水、製紙用填料等が添加された製紙原
料、製紙白水、の中から選ばれる一つ以上で実施でき
る。例えば、パルプのみに添加する場合、あるいはパル
プと製紙原料の両方に添加する場合、更にはパルプ、パ
ルプ白水、製紙用填料等が添加された製紙原料、製紙白
水のすべてに添加する場合等、特に制限されることはな
く、任意に選択できる。またパルプ、パルプ白水、製紙
用填料等が添加された製紙原料、製紙白水のそれぞれに
対しても、1箇所に限定されることなく複数箇所添加す
ることができる。これらは、製造するパルプや紙の種
類、あるいはパルプの製造工程や紙の製造工程における
フロー等の状況に合わせて任意に決定することができ
る。
【0019】また、従来からピッチトラブル防止法とし
て知られている、丸太やチップのシーズニングによる方
法、パルプの洗浄強化・パルプの篩別分級による方法、
アルカリ、界面活性剤、酵素、あるいはタルクなどの無
機填料よるピッチ成分の吸着等の薬品を使用する方法等
と組み合わせることについても特に制限されることはな
い。更にオゾン以外の酸化剤、具体的には、過酸化物
(過酸化水素、過酸化ソーダ、過酢酸等)、次亜塩素酸
塩、二酸化塩素等による処理との組合せについても特に
制限されることはない。例えば、オゾン処理後、オゾン
以外の酸化剤で処理する場合、あるいはオゾン以外の酸
化剤で処理後、オゾン処理する場合等である。
【0020】
【作用】本発明による方法は、オゾンによってピッチ成
分を分解あるいは低分子化させるほか、ピッチ成分が持
っている二重結合部分を開裂させて極性基を生成させ、
ピッチ成分の凝集・堆積を防止するものであり、しか
も、反応後のピッチ成分は、パルプ製造工程あるいは製
紙工程で除去することなく、既存の操業に対しても不都
合な影響を与えることがない。
【0021】ピッチトラブルの原因となるピッチ堆積の
メカニズムについては、未だ明らかにされていないこと
が多いが、一般にはピッチトラブルは、ピッチ成分の
量、ピッチ成分の安定性、ピッチの粘着性やピッチの形
状などに影響される場合が多い。固体表面への吸着現象
は、固体表面と吸着物との間にファンデルワールス力が
働くことに起因すると考えられる。疎水性あるいは非極
性の分子は、疎水性あるいは非極性の表面に吸着されや
すく、逆に親水性あるいは極性分子は、親水性あるいは
極性表面に吸着されやすい。従って、パルプ製造工程や
製紙工程におけるピッチ堆積のメカニズムは、疎水性あ
るいは非極性成分の分子や部分が、タンクやパイプなど
の金属表面や製紙工程プレス部のセンターロールなど
の、疎水性あるいは非極性表面に付着することによって
起こると考えられる。本発明のピッチ堆積防止の機構
は、パルプ原料あるいは白水中に存在するピッチ成分に
対して、オゾンを反応させてピッチ成分の一部を分解し
量的に低減させるとともに、あわせて低分子化および極
性基を生成させることにより、ピッチの疎水性を低減さ
せ、疎水性の金属製パイプやタンク壁などへの堆積を阻
止するものである。
【0022】また、前述したように、ピッチ量そのもの
が低減するほか、残存ピッチについてもこれらの凝集が
防止されることで、トラブルとなる大きさの集塊を生じ
ることもなく微細な状態で存在することとなる。更に、
最終的に微少な状態でパルプ中あるいはそれを用いて製
造される紙製品中に残存するピッチについても、オゾン
処理によって改質されていることから、もはや従来のよ
うなピッチトラブルを引き起こすこともなく、その結
果、安定して高品質の製品が得られるものと考えられ
る。
【0023】
【実施例】以下に実施例に従って本発明を説明する。な
お、実施例1〜4においては、オゾン処理を施さなかっ
た場合をブランクとして示した。
【0024】[実施例1]磨砕パルプ(Ground
Wood Pulpのことで、以下「GP」と称す
る。)の製造工程から得られるパルプの圧搾水(以下
「GP白水」と称する。)をガラス槽(縦約7cm×横
約13cm×高さ約22cm)に1L添加し、オゾン発
生装置により発生させたオゾンをガラス槽の中へ所定時
間導入し、GP白水を処理した。製造工程から得られた
GP白水のpHは5.0であったが、オゾン処理前に希
硫酸もしくは水酸化ナトリウムで所定のpH(表1、表
2)に調整した。オゾン処理後のGP白水は、ジクロロ
メタンを用いて抽出し、得られた抽出物の定量を行っ
た。定量後、ガスクロマトグラフィーによって抽出物中
の代表的なピッチ成分である脂肪酸および樹脂酸の定量
を行った。処理条件および結果は表1、表2に示す。表
1、表2から、オゾン処理によってGP白水中の脂肪酸
や樹脂酸が減少し、ジクロロメタン抽出物量も減少して
いることが明らかである。この結果から、ピッチ成分は
オゾンによりジクロロメタン溶媒では抽出されない極性
成分に変化していることが分かる。
【0025】[実施例2]アカマツ材から製造されたG
Pの2%懸濁液4Lを撹拌機付きの反応槽に入れ、オゾ
ンを添加した。パルプの懸濁液は、水酸化ナトリウム溶
液あるいは硫酸であらかじめpH2に調整した。オゾン
処理では、オゾン濃度が約30mg/Lの気体を4.5
L/分の流量で反応槽に送った。オゾン処理後の試料は
実施例1と同様に、抽出と抽出物の分析を行った。処理
条件および結果は表3に示す。表3に示したように、パ
ルプ懸濁液をオゾンで処理することによりパルプ原料に
含まれるピッチ成分が効率よく分解されていることが明
らかである。
【0026】[実施例3]実施例1に準じてpH5でオ
ゾン処理を行ったGP白水から凍結乾燥により得た固形
分のジクロロメタン抽出物に対して、中和に必要な水酸
化カリウム量を求めた。乾燥試料を正確に秤量し、ベン
ゼン/エタノール:2/1の混合溶剤100mLで溶解
し、フェノールフタレイン溶液数滴添加し、カセイカリ
−エタノール溶液で滴定する。滴定の終点は、指示薬の
薄桃色が30秒間続いたときと定める(農芸化学実験書
II、 p709、 京都大学農芸化学教室編、 産業図書
(株)発行)。処理条件および結果は表4に示す。表4
から、オゾン処理後の試料は、ブランクより中和に必要
な水酸化カリウム量は多く、オゾン処理により極性基が
増加していることが明白である。
【0027】[実施例4]ピッチ成分として代表的な脂
肪酸(オレイン酸、GLサイエンス社製)と樹脂酸(ア
ビエチン酸、和光純薬工業社製)のそれぞれ10gをイ
ソプロパノール100mLおよびアセトン60mL、水
5mLの混合溶媒に溶解させる。それぞれの溶液を1:
2の容積比で混合し、モデルピッチ溶液を作成する。樹
脂成分の合計量が0.8gに相当する量のモデル溶液を
GP白水2Lに添加し、激しく攪拌して懸濁・分散させ
る。この樹脂分を分散させたGP白水をオゾンで所定時
間処理する。オゾン処理は、オゾン濃度が約30mg/
Lの気体を4.5L/分の流量で反応槽に送って行っ
た。このオゾン処理後のピッチ分散GP白水を粘着性測
定試料に供する。ピッチ分散GP白水のpHを硫酸又
は、水酸化ナトリウムでpH7.5に調整後、1Lのビ
ーカーに入れ、その中央に円周が約22cm高さが7c
mの円筒のステンレス板を水面から2.5cmでるよう
にセットし、バイブロミキサー(米ヘイドン社製リニテ
ーター)で30分攪拌した。その後、ステンレス板を引
き出し、乾燥して重量増加分を求め、ステンレス板表面
に堆積したピッチ分量を求めた。ブランクに対する百分
率と共に表5に示した。
【0028】[実施例5]国産アカマツGP:外国産針
葉樹TMP(ThermomechanicalPul
p):新聞古紙パルプを、20:30:50の比率で混
合したパルプを原料とし、填料としてホワイトカーボン
(微粒子ケイ酸塩)とタルクの混合物を合計で対パルプ
原料1.5%添加して抄造する新聞マシンにおいて発生
する新聞マシン白水を分取して、オゾン処理を行った。
図1に示す定量ポンプ(2)を用いて実機新聞マシン白
水タンク(1)より白水を3L/時でオゾン処理槽
(3)に連続して送液した。白水のpは5前後であった
ので、特に調整は行わないままで、オゾン発生装置
(5)からのオゾンをオゾン供給用定量ポンプ(6)を
用いて30mg/分の速度で添加した。オゾン添加後の
白水は、続くピッチ付着量測定槽(8)にオーバーフロ
ー方式で送液した後、ピッチ付着量測定槽(8)からも
オーバーフロー方式で排水した。オゾン処理槽(3)及
びそれに続くピッチ付着量測定槽(7)はいずれも回転
速度が可変の撹拌機(4及び8)を備え、かつ上部側面
にオーバーフロー用枝管を備えたガラス製の円筒容器を
用いた。これらは、それぞれ内径10cm、有効高さ約
12.7cm、有効容量約1Lである。また、ピッチ付
着量測定槽内の中央には、実施例4で用いたのと同じ円
筒のステンレス板を水面から2.5cmでるようにして
セットした。前記の白水のオゾン処理装置に24時間送
液後、ステンレス板を引き出し、乾燥して重量増加分を
求め、ステンレス板表面に堆積したピッチ分量を求め
た。このピッチについては更に、電気炉で600℃、3
時間処理し、灰分を求めた。これらの結果を表6に示
す。
【0029】[比較例1]オゾン処理槽(3)において
オゾンを添加しない以外は、実施例5と全く同じオゾン
処理装置を用い、同じ新聞マシン白水を24時間送液し
た。送液後、ステンレス板を引き出し、実施例5と同じ
方法で堆積したピッチ分量、灰分を求めた。これらの結
果を表6に示す。実施例5と比較例1の対比から明らか
なように、新聞マシン白水のオゾン処理によってピッチ
の付着量が大幅に低減することが認められる。
【0030】
【発明の効果】本発明の実施により、ピッチ成分をパル
プ製造工程あるいは製紙工程において除去する必要もな
く、ピッチ成分の堆積を防止し、堆積ピッチによって引
き起こされる装置や配管の詰まり、紙切れなどのピッチ
トラブルを防止することができ、安定した操業が可能と
なる。また、本発明によるパルプを用いて製造した紙製
品における品質(強度特性、印刷特性等)の改善のほ
か、パルプが製紙用途以外に使用される、例えば亜硫酸
パルプである場合においては、セルロース品質向上も達
成できる。
【0031】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例5及び比較例1の新聞マシン白水のオ
ゾン処理テストにおける装置の概略を示したものであ
る。
【符号の説明】
(1)・・実機新聞マシン白水タンク (2)・・白水送液用定量ポンプ (3)・・オゾン処理槽 (4)・・回転速度可変速式撹拌機 (5)・・オゾン発生装置 (6)・・オゾン供給用定量ポンプ (7)・・ピッチ付着量測定槽 (8)・・可変速式撹拌機 (9)・・円筒のステンレス板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田部井 宏一 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ製造工程および/または製紙工程
    において、ピッチを含有するものをオゾン処理すること
    を特徴とする、ピッチトラブル防止方法。
  2. 【請求項2】 前記ピッチを含有するものが、メカニカ
    ルパルプ、高収率ケミカルパルプ、ケミカルパルプ、古
    紙パルプから選ばれる1種以上のパルプを混合したもの
    であることを特徴とする請求項1に記載のピッチトラブ
    ル防止方法。
  3. 【請求項3】 前記ピッチを含有するものが、パルプ、
    パルプ白水、製紙原料、製紙白水の中から選ばれる一つ
    以上であることを特徴とする、請求項1および2に記載
    のピッチトラブル防止方法。
  4. 【請求項4】 パルプ製造工程および/または製紙工程
    において、ピッチを含有するものをオゾン処理すること
    を特徴とする、改質されたピッチを含有するパルプおよ
    び/または紙の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ピッチを含有するものが、メカニカ
    ルパルプ、高収率ケミカルパルプ、ケミカルパルプ、古
    紙パルプから選ばれる1種以上のパルプを混合したもの
    であることを特徴とする請求項4に記載の改質されたピ
    ッチを含有するパルプおよび/または紙の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ピッチを含有するものが、パルプ、
    パルプ白水、製紙原料、製紙白水の中から選ばれる一つ
    以上であることを特徴とする、請求項4および5に記載
    の改質されたピッチを含有するパルプおよび/または紙
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 パルプ製造工程および/または製紙工程
    において、ピッチを含有するものをオゾン処理すること
    によって得られる、改質されたピッチを含有するパルプ
    および/または紙。
  8. 【請求項8】 前記ピッチを含有するものが、メカニカ
    ルパルプ、高収率ケミカルパルプ、ケミカルパルプ、古
    紙パルプから選ばれる1種以上のパルプを混合したもの
    であることを特徴とする請求項7に記載の改質されたピ
    ッチを含有するパルプおよび/または紙。
  9. 【請求項9】 前記ピッチを含有するものが、パルプ、
    パルプ白水、製紙原料、製紙白水の中から選ばれる一つ
    以上であることを特徴とする、請求項7および8に記載
    の改質されたピッチを含有するパルプおよび/または
    紙。
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JP (1) JPH11100785A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002155483A (ja) * 2000-11-17 2002-05-31 Daio Paper Corp 脱墨パルプの製造方法、再生紙の製造方法、及び再生紙の製造装置
JP2003096682A (ja) * 2001-09-26 2003-04-03 Oji Paper Co Ltd 漂白パルプの製造方法及び該パルプ含有電子写真用転写紙
JP2008533319A (ja) * 2005-03-17 2008-08-21 アシュランド・ライセンシング・アンド・インテレクチュアル・プロパティー・エルエルシー 白水系における堆積物の形成を測定及び調節する方法
WO2010029214A1 (en) * 2008-09-10 2010-03-18 Upm-Kymmene Corporation A method for manufacturing mechanical pulp and a use of the mechanical pulp
JP2010242233A (ja) * 2009-04-01 2010-10-28 Daio Paper Corp 新聞用紙

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