JP2004019025A - 脱墨パルプの製造方法及び再生紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フロス中のインキ成分を分離して繊維分や無機分の再利用を図り、歩留まり向上を図る。また、排水処理設備の負担を軽減する。
【解決手段】古紙から脱墨パルプを製造する過程において、フローテーション処理工程3又は白水処理工程9を含み、前記フローテーション処理工程3又は前記白水処理工程9において発生したフロスに、超音波処理工程10を含むインキ分離処理によりインキを分離し、インキを分離した繊維及び填料のうち少なくとも繊維を再生紙製造用の脱墨パルプとする。
【選択図】図1
【解決手段】古紙から脱墨パルプを製造する過程において、フローテーション処理工程3又は白水処理工程9を含み、前記フローテーション処理工程3又は前記白水処理工程9において発生したフロスに、超音波処理工程10を含むインキ分離処理によりインキを分離し、インキを分離した繊維及び填料のうち少なくとも繊維を再生紙製造用の脱墨パルプとする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱墨パルプの製造方法、及び再生紙の製造方法に係り、さらに詳しくはフローテーション処理において発生したフロスや白水処理で回収したスカム(以下両者を一括して「フロス」と言う。)を、超音波処理してインキを除去する形態を含むものである。
【0002】
【従来の技術】
資源の有効利用という観点から、年々、再生紙の需要が増加している。再生紙は、新聞紙、雑誌等の印刷古紙から脱墨パルプを製造し、この脱墨パルプ(DIP)を単独で、あるいは他のパルプ(ブロークも含むことがある)と混合して得た原料パルプを調成、抄紙し製造している。そして、古紙から脱墨パルプを製造するにあたっては、フローテーターを使用し、インクを加圧浮上させて除去するフローテーション処理により脱墨をするのが一般的である。このフローテーション処理に際しては、パルパーにより溶解を図った後、粗選工程において異物除去などを行い、フローテーターにより脱墨処理し、次いで微細な異物除去を行なう精選処理をなし、分散処理後に、漂白工程において過酸化水素などにより漂白を行なうものを代表例として挙げることができる。
【0003】
ところで、従来は、フローテーション処理によって発生したフロス(フローテーターで浮上分離した泡であり、インキや夾雑物を含む。)やDIP系内の白水処理工程で分離したフロス(=スカム。浮上分離したインキや夾雑物を含む。)は、パルプ排水や抄紙排水等と混合して、適宜処理を施し公共用水域に放流している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法は、フロス分が排水中に含まれるので、排水処理設備の負担が大きくなり、フロス中の繊維分や無機分(填料など)を有効利用せず廃棄するもので、具体的には脱水処理後の残渣分はボイラにより燃焼処理していたものである。
【0005】
他方で、フロスには繊維、填料及びインキが含まれているが、そのフロス中の繊維や填料を回収して再利用しようとする場合、繊維や填料にインキが付着もしくは接着しているために、インキの分離が十分にできず、脱墨パルプの白色度を十分に高くすることができない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、フロス中のインキ成分を分離して繊維分や無機分の再利用を可能とし、歩留まりの向上を図ることにある。また、排水処理設備の負担を軽減し、もって環境に対する影響を軽減しつつ経済的に再生紙を得るようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
印刷古紙を原料とする脱墨パルプの製造方法において、
フローテーション処理及び/又は白水処理で発生する印刷古紙由来のインキ、繊維及び填料を含有するフロスを、超音波処理工程を含むインキ分離処理によりインキを分離し、
インキを分離した繊維及び填料のうち少なくとも繊維を再生紙製造用の脱墨パルプとすることを特徴とする脱墨パルプの製造方法。
【0008】
<請求項2記載の発明>
インキ分離処理が、超音波処理工程のほか、その前段及び又は後段に設ける第2のフローテーション処理、あるいはダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理を含む請求項1記載の脱墨パルプの製造方法。
【0009】
<請求項3記載の発明>
印刷古紙を原料とする脱墨パルプを得て、これを再生紙の原料とする再生紙の製造方法において、
フローテーション処理及び/又は白水処理で発生する印刷古紙由来のインキ、繊維及び填料を含有するフロスを、超音波処理工程を含むインキ分離処理によりインキを分離し、
インキを分離した繊維及び填料のうち少なくとも繊維を再生紙製造用の脱墨パルプとするとともに、
前記印刷古紙の由来種類により得た脱墨パルプを、再生紙の種別に応じてパルプ原料とすることを特徴とする再生紙の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、古紙から脱墨パルプを製造する際のフローテーション処理や白水処理によって発生したフロス中の繊維や填料を回収して再利用しようとするものである。
【0011】
この場合において、繊維や填料にインキが付着もしくは接着しているために、インキの色に起因して脱墨パルプまたは再生パルプの白色度が低いものとなり、再利用の障害となる。
【0012】
本発明においては、フローテーション処理工程及び/又は前記白水処理工程において発生したフロスを、そのままもしくは水を加えた後に、さらに必要により脱墨剤を添加した状態で、超音波(洗浄)処理する。これにより、インキを分離し、インキを分離した繊維及び填料のうち少なくとも繊維を再生紙製造用の脱墨パルプとする。
【0013】
フロスを含む処理液に超音波振動子により、望ましくは15〜30KHzの周波数、20〜50μmの振幅により超音波振動を与える。この振動による衝撃波により、インキ粒子分が繊維や填料から分離し、液の上層に分離する。したがって、インキ粒子分は脱墨パルプ製造工程系外において処理し、繊維や填料などは脱墨パルプ製造工程、たとえば漂白工程の前後のいずれか一方もしくは両方に戻して脱墨パルプの原料とする。
【0014】
インキ粒子分については、燃焼ボイラに導き熱源、たとえば蒸気発生や発電のための燃焼ボイラに導き熱源として利用することが好ましい。
【0015】
一方、超音波処理により浮上したインキ粒子分について、さらに溶剤を添加して、油層分と水層分とに油水分離し、前記油層分は脱墨パルプ製造工程系外において処理し、繊維や填料などは前記水層分として分離し、脱墨パルプ製造工程に戻して脱墨パルプの原料とすることもできる。この場合における油層分については、油層分から溶剤を蒸発分離し、分離した溶剤は回収して油水分離用の溶剤として再利用し、蒸発分離に伴う残渣は燃焼ボイラに導き熱源、たとえば蒸気発生や発電のための燃焼ボイラに導き熱源として利用することができる。
【0016】
ここで、溶剤としては、水との溶解性を持つメタノールやエタノールは使用できず、水との溶解性を示さない又は低く、揮発性の高い灯油、n−ヘキサン、トルエン、ベンゼンなどを挙げることができるが、経済性の観点から灯油またはn−ヘキサンが望ましく、特に灯油が経済性及び油水分離効率の観点から好適である。
【0017】
溶剤の添加によりインキ成分は溶剤に抽出または溶解されるので、これによりインキ及び溶剤は油層分とし、繊維と填料などは水層分として油水分離する。この油水分離手段としては、溶剤のフロスへの添加により油分を下層に水層を上層に水層を浮上分離操作するほか、フロス液を撹拌機などにより流動化してその促進を図る、比重差を利用したたとえば遠心分離などにより方法などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0018】
上記超音波処理は、超音波振動設備を直列に配置し、前段で処理したものを後段でさらに高分離効率で分離するように、複数回繰り返して行うことができる。これにより回収した繊維及び填料の白色度を高めることができる。溶剤の添加及び/又は油水分離についても同様である。
【0019】
上記超音波処理しインキ分を除去した後の液に対して、第2のフローテーション処理、あるいはダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理を行うことができる。
【0020】
この場合における第2のフローテーション処理は、先に行ったフローテーション処理よりもインキの分離効率が高いものが選定される。ダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理と組み合わせることが効果的であることを知見している。
【0021】
ダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理とは、紙繊維のリサイクル使用に起因する、繊維劣化や微細繊維増加による紙力、紙質の低下の問題、脱墨後のインキ粒子、クレイ分残溜による白色度不足の問題などに対応して開発された洗浄設備であり、たとえばワイヤ速度900m/minでの高速で走る特殊な三重構成のプラスチックワイヤと、グルーブドロールとの組合せによる遠心力とニップ圧とにより、新聞古紙や上質古紙特にコート印刷されたいわゆる色上古紙から、インキ粒子、灰分などを除去して白色度を高め、微細繊維を分離して紙質低下の防止に寄与します。
【0022】
その構造は、図2に示すように、たとえば芯間距離約2mのブレストロール21とクーチロール22の間に展張されたエンドレスのワイヤループ23と、坪量を均一にしワイヤの蛇行を防止するためのチューブノズル付ヘッドボックス24、ディスチャージコンベヤ25、ワイヤ洗滌シャワー26およびこれらをクローズドするフード27、パン28より成り、駆動装置(図示せず)により駆動されるものである。
【0023】
ストックはヘッドボックス24のチューブノズルからたとえば約10m/secの高速で、ブレストロール21(グループドゴムロール)溝部に噴射され、直ちに遠心力により水分と共に異物を分離し、ワイヤ23上に高坪量の繊維マットを形成する。たとえば約7%になったマットはそのまま進んでクーチロール22(プレーンゴムロール)に達し、二度目の遠心力とニップ圧により約10%に脱水され、ドクタープレードによりクーチロール22表面からディスチャージコンベヤ25上にかき落され、機外へ搬出されるようになっている。
【0024】
本発明において、脱墨パルプを得る際に使用する古紙としては、新聞古紙、雑誌古紙、上物古紙などあらゆるインキを含む古紙が対象となる。
【0025】
本発明に係る脱墨パルプ及び再生紙の製造方法について、図1に代表的フローシートを図1に示した。
【0026】
まず、古紙は、パルパー等の離解機で離解し(離解工程1)、次いで、スクリーン等の除塵装置で含有する異物を除去する(粗選工程2)。除塵した古紙は、フローテーター3に送り、フローテーション処理を行なう。このフローテーション処理によって浮上分離したフロスFは、ポンプなどによって、油水分離手段10に送る。他方、フロスFを除去した後のフローテーター3での濾液は、精選工程4(この精選工程は場合により省略することもできる)、漂白工程5へ順に送り、漂白処理して脱墨パルプとする。フローテーターを組み合わせて2段フローテーション処理することも可能である。
【0027】
また、フローテーター3での濾液(白水)は白水処理工程9に送り、ここで、フロスを分離し、白水については離解工程1及び/又はフローテーター3前段に返送することもできる。
【0028】
フローテーター3でのフロスF及び/又は白水処理工程9でのフロスは、超音波処理工程10においてインキ分を分離する。分離液は、漂白工程5の前段及び又は後段(及び/又は精選工程4の前段)に供給する。
【0029】
先に触れたように、インキ分について、油水分離工程11を付加することができ、この油水分離工程11において、灯油などの溶剤を添加し、油層分と水層分とに分離し、水層分は脱墨パルプ処理工程に返送する。油層分については、油層分から溶剤を蒸発缶などによる蒸発分離などにより溶剤回収し(溶剤回収工程12)、分離した溶剤は油水分離用の溶剤として再利用し、蒸発分離に伴う残渣は燃焼ボイラ13に導き熱源、たとえば蒸気発生や発電のための燃焼ボイラ13に導き熱源として利用する。
【0030】
他方、インキ分について、2次フローテーション処理工程14に送ること、あるいはダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理工程15に送ることができる。
【0031】
上記過程により得た脱墨パルプは、さらに填料を添加する等して調整し(調成工程6)、抄紙設備(抄紙工程7)に送る。抄紙した後は、仕上工程8に送り、仕上げ処理して再生紙とする。
【0032】
なお、本発明の実施にあたり、離解工程、除塵工程、漂白工程や、調成工程、仕上工程等は、公知の設備を採用し、また組み合わせも適宜選択できる。また本実施の形態で示した順序に限定するものでもない。さらに、必要により公知の工程を付加して処理することもできる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳説する。
(実施例1及び比較例1)
上物古紙を原料とする脱墨パルプの製造設備において、フローテーターから発生するフロスをサンプリングし、そのフロス300ml中に超音波振動子を挿入し、20KHzの周波数、40μmの振幅により超音波振動を与えた。その後、超音波振動子を外し、浮上したインキ分を分液ロートを使用して除去した。ろ過液はろ紙によりろ過した。その際に、温度、圧力は常温及び常圧とした。ろ過物の白色度、水層分の濃度、無機物の濃度、有機物の濃度を測定し、超音波処理を行わないもの(比較例1)と比較した。
【0034】
(実施例2及び比較例2)
新聞古紙を原料とする場合においても、同様の実験及び評価を行った。
【0035】
(実施例3及び比較例3)
雑誌古紙を原料とする場合においても、同様の実験及び評価を行った。
【0036】
(実施例4及び比較例4)
上物古紙を原料とする脱墨パルプの製造設備における白水処理によって発生するフロスについて、実施例1と同様の実験及び評価を行った。
【0037】
(実施例5)
実施例1において、分離したインキ分についてさらに油水分離を行った。
【0038】
(実施例6)
実施例1において、分離したインキ分についてさらに2次フローテーション処理を行った。
【0039】
(実施例7)
実施例1において、分離したインキ分についてさらにダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理離を行った。
【0040】
上記各例における結果を表1に示す。なお、白色度はJIS P 8123により測定し、各濃度は乾燥法により測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から、繊維及び填料から超音波処理によりインキ分を分離することにより、超音波処理を行わない場合に比較して、ろ過物の白色度は10%以上高まることが知見された。これにより、分離液は、脱墨パルプとして、あるいは再生紙用の再生パルプ原料として問題なく再利用することができ、歩留まり向上に大きく寄与することが判明した。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、フロス中のインキ成分を分離して繊維分や無機分の再利用を可能とし、歩留まりの向上を図ることができる。また、排水処理設備の負担を軽減し、もって環境に対する影響を軽減しつつ経済的に再生紙を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る再生紙の製造方法のフローシートである。
【図2】ブルニップシックニングウォッシャーの概要図である。
【符号の説明】
1…離解工程、2…粗選工程、3…フローテーター、4…精選工程、5…漂白工程、6…調成工程、7…抄紙工程、8…仕上工程、9…白水処理工程、10…超音波処理工程、11…油水分離工程、12…溶剤回収工程、13…燃焼ボイラ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱墨パルプの製造方法、及び再生紙の製造方法に係り、さらに詳しくはフローテーション処理において発生したフロスや白水処理で回収したスカム(以下両者を一括して「フロス」と言う。)を、超音波処理してインキを除去する形態を含むものである。
【0002】
【従来の技術】
資源の有効利用という観点から、年々、再生紙の需要が増加している。再生紙は、新聞紙、雑誌等の印刷古紙から脱墨パルプを製造し、この脱墨パルプ(DIP)を単独で、あるいは他のパルプ(ブロークも含むことがある)と混合して得た原料パルプを調成、抄紙し製造している。そして、古紙から脱墨パルプを製造するにあたっては、フローテーターを使用し、インクを加圧浮上させて除去するフローテーション処理により脱墨をするのが一般的である。このフローテーション処理に際しては、パルパーにより溶解を図った後、粗選工程において異物除去などを行い、フローテーターにより脱墨処理し、次いで微細な異物除去を行なう精選処理をなし、分散処理後に、漂白工程において過酸化水素などにより漂白を行なうものを代表例として挙げることができる。
【0003】
ところで、従来は、フローテーション処理によって発生したフロス(フローテーターで浮上分離した泡であり、インキや夾雑物を含む。)やDIP系内の白水処理工程で分離したフロス(=スカム。浮上分離したインキや夾雑物を含む。)は、パルプ排水や抄紙排水等と混合して、適宜処理を施し公共用水域に放流している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法は、フロス分が排水中に含まれるので、排水処理設備の負担が大きくなり、フロス中の繊維分や無機分(填料など)を有効利用せず廃棄するもので、具体的には脱水処理後の残渣分はボイラにより燃焼処理していたものである。
【0005】
他方で、フロスには繊維、填料及びインキが含まれているが、そのフロス中の繊維や填料を回収して再利用しようとする場合、繊維や填料にインキが付着もしくは接着しているために、インキの分離が十分にできず、脱墨パルプの白色度を十分に高くすることができない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、フロス中のインキ成分を分離して繊維分や無機分の再利用を可能とし、歩留まりの向上を図ることにある。また、排水処理設備の負担を軽減し、もって環境に対する影響を軽減しつつ経済的に再生紙を得るようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
印刷古紙を原料とする脱墨パルプの製造方法において、
フローテーション処理及び/又は白水処理で発生する印刷古紙由来のインキ、繊維及び填料を含有するフロスを、超音波処理工程を含むインキ分離処理によりインキを分離し、
インキを分離した繊維及び填料のうち少なくとも繊維を再生紙製造用の脱墨パルプとすることを特徴とする脱墨パルプの製造方法。
【0008】
<請求項2記載の発明>
インキ分離処理が、超音波処理工程のほか、その前段及び又は後段に設ける第2のフローテーション処理、あるいはダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理を含む請求項1記載の脱墨パルプの製造方法。
【0009】
<請求項3記載の発明>
印刷古紙を原料とする脱墨パルプを得て、これを再生紙の原料とする再生紙の製造方法において、
フローテーション処理及び/又は白水処理で発生する印刷古紙由来のインキ、繊維及び填料を含有するフロスを、超音波処理工程を含むインキ分離処理によりインキを分離し、
インキを分離した繊維及び填料のうち少なくとも繊維を再生紙製造用の脱墨パルプとするとともに、
前記印刷古紙の由来種類により得た脱墨パルプを、再生紙の種別に応じてパルプ原料とすることを特徴とする再生紙の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、古紙から脱墨パルプを製造する際のフローテーション処理や白水処理によって発生したフロス中の繊維や填料を回収して再利用しようとするものである。
【0011】
この場合において、繊維や填料にインキが付着もしくは接着しているために、インキの色に起因して脱墨パルプまたは再生パルプの白色度が低いものとなり、再利用の障害となる。
【0012】
本発明においては、フローテーション処理工程及び/又は前記白水処理工程において発生したフロスを、そのままもしくは水を加えた後に、さらに必要により脱墨剤を添加した状態で、超音波(洗浄)処理する。これにより、インキを分離し、インキを分離した繊維及び填料のうち少なくとも繊維を再生紙製造用の脱墨パルプとする。
【0013】
フロスを含む処理液に超音波振動子により、望ましくは15〜30KHzの周波数、20〜50μmの振幅により超音波振動を与える。この振動による衝撃波により、インキ粒子分が繊維や填料から分離し、液の上層に分離する。したがって、インキ粒子分は脱墨パルプ製造工程系外において処理し、繊維や填料などは脱墨パルプ製造工程、たとえば漂白工程の前後のいずれか一方もしくは両方に戻して脱墨パルプの原料とする。
【0014】
インキ粒子分については、燃焼ボイラに導き熱源、たとえば蒸気発生や発電のための燃焼ボイラに導き熱源として利用することが好ましい。
【0015】
一方、超音波処理により浮上したインキ粒子分について、さらに溶剤を添加して、油層分と水層分とに油水分離し、前記油層分は脱墨パルプ製造工程系外において処理し、繊維や填料などは前記水層分として分離し、脱墨パルプ製造工程に戻して脱墨パルプの原料とすることもできる。この場合における油層分については、油層分から溶剤を蒸発分離し、分離した溶剤は回収して油水分離用の溶剤として再利用し、蒸発分離に伴う残渣は燃焼ボイラに導き熱源、たとえば蒸気発生や発電のための燃焼ボイラに導き熱源として利用することができる。
【0016】
ここで、溶剤としては、水との溶解性を持つメタノールやエタノールは使用できず、水との溶解性を示さない又は低く、揮発性の高い灯油、n−ヘキサン、トルエン、ベンゼンなどを挙げることができるが、経済性の観点から灯油またはn−ヘキサンが望ましく、特に灯油が経済性及び油水分離効率の観点から好適である。
【0017】
溶剤の添加によりインキ成分は溶剤に抽出または溶解されるので、これによりインキ及び溶剤は油層分とし、繊維と填料などは水層分として油水分離する。この油水分離手段としては、溶剤のフロスへの添加により油分を下層に水層を上層に水層を浮上分離操作するほか、フロス液を撹拌機などにより流動化してその促進を図る、比重差を利用したたとえば遠心分離などにより方法などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0018】
上記超音波処理は、超音波振動設備を直列に配置し、前段で処理したものを後段でさらに高分離効率で分離するように、複数回繰り返して行うことができる。これにより回収した繊維及び填料の白色度を高めることができる。溶剤の添加及び/又は油水分離についても同様である。
【0019】
上記超音波処理しインキ分を除去した後の液に対して、第2のフローテーション処理、あるいはダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理を行うことができる。
【0020】
この場合における第2のフローテーション処理は、先に行ったフローテーション処理よりもインキの分離効率が高いものが選定される。ダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理と組み合わせることが効果的であることを知見している。
【0021】
ダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理とは、紙繊維のリサイクル使用に起因する、繊維劣化や微細繊維増加による紙力、紙質の低下の問題、脱墨後のインキ粒子、クレイ分残溜による白色度不足の問題などに対応して開発された洗浄設備であり、たとえばワイヤ速度900m/minでの高速で走る特殊な三重構成のプラスチックワイヤと、グルーブドロールとの組合せによる遠心力とニップ圧とにより、新聞古紙や上質古紙特にコート印刷されたいわゆる色上古紙から、インキ粒子、灰分などを除去して白色度を高め、微細繊維を分離して紙質低下の防止に寄与します。
【0022】
その構造は、図2に示すように、たとえば芯間距離約2mのブレストロール21とクーチロール22の間に展張されたエンドレスのワイヤループ23と、坪量を均一にしワイヤの蛇行を防止するためのチューブノズル付ヘッドボックス24、ディスチャージコンベヤ25、ワイヤ洗滌シャワー26およびこれらをクローズドするフード27、パン28より成り、駆動装置(図示せず)により駆動されるものである。
【0023】
ストックはヘッドボックス24のチューブノズルからたとえば約10m/secの高速で、ブレストロール21(グループドゴムロール)溝部に噴射され、直ちに遠心力により水分と共に異物を分離し、ワイヤ23上に高坪量の繊維マットを形成する。たとえば約7%になったマットはそのまま進んでクーチロール22(プレーンゴムロール)に達し、二度目の遠心力とニップ圧により約10%に脱水され、ドクタープレードによりクーチロール22表面からディスチャージコンベヤ25上にかき落され、機外へ搬出されるようになっている。
【0024】
本発明において、脱墨パルプを得る際に使用する古紙としては、新聞古紙、雑誌古紙、上物古紙などあらゆるインキを含む古紙が対象となる。
【0025】
本発明に係る脱墨パルプ及び再生紙の製造方法について、図1に代表的フローシートを図1に示した。
【0026】
まず、古紙は、パルパー等の離解機で離解し(離解工程1)、次いで、スクリーン等の除塵装置で含有する異物を除去する(粗選工程2)。除塵した古紙は、フローテーター3に送り、フローテーション処理を行なう。このフローテーション処理によって浮上分離したフロスFは、ポンプなどによって、油水分離手段10に送る。他方、フロスFを除去した後のフローテーター3での濾液は、精選工程4(この精選工程は場合により省略することもできる)、漂白工程5へ順に送り、漂白処理して脱墨パルプとする。フローテーターを組み合わせて2段フローテーション処理することも可能である。
【0027】
また、フローテーター3での濾液(白水)は白水処理工程9に送り、ここで、フロスを分離し、白水については離解工程1及び/又はフローテーター3前段に返送することもできる。
【0028】
フローテーター3でのフロスF及び/又は白水処理工程9でのフロスは、超音波処理工程10においてインキ分を分離する。分離液は、漂白工程5の前段及び又は後段(及び/又は精選工程4の前段)に供給する。
【0029】
先に触れたように、インキ分について、油水分離工程11を付加することができ、この油水分離工程11において、灯油などの溶剤を添加し、油層分と水層分とに分離し、水層分は脱墨パルプ処理工程に返送する。油層分については、油層分から溶剤を蒸発缶などによる蒸発分離などにより溶剤回収し(溶剤回収工程12)、分離した溶剤は油水分離用の溶剤として再利用し、蒸発分離に伴う残渣は燃焼ボイラ13に導き熱源、たとえば蒸気発生や発電のための燃焼ボイラ13に導き熱源として利用する。
【0030】
他方、インキ分について、2次フローテーション処理工程14に送ること、あるいはダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理工程15に送ることができる。
【0031】
上記過程により得た脱墨パルプは、さらに填料を添加する等して調整し(調成工程6)、抄紙設備(抄紙工程7)に送る。抄紙した後は、仕上工程8に送り、仕上げ処理して再生紙とする。
【0032】
なお、本発明の実施にあたり、離解工程、除塵工程、漂白工程や、調成工程、仕上工程等は、公知の設備を採用し、また組み合わせも適宜選択できる。また本実施の形態で示した順序に限定するものでもない。さらに、必要により公知の工程を付加して処理することもできる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳説する。
(実施例1及び比較例1)
上物古紙を原料とする脱墨パルプの製造設備において、フローテーターから発生するフロスをサンプリングし、そのフロス300ml中に超音波振動子を挿入し、20KHzの周波数、40μmの振幅により超音波振動を与えた。その後、超音波振動子を外し、浮上したインキ分を分液ロートを使用して除去した。ろ過液はろ紙によりろ過した。その際に、温度、圧力は常温及び常圧とした。ろ過物の白色度、水層分の濃度、無機物の濃度、有機物の濃度を測定し、超音波処理を行わないもの(比較例1)と比較した。
【0034】
(実施例2及び比較例2)
新聞古紙を原料とする場合においても、同様の実験及び評価を行った。
【0035】
(実施例3及び比較例3)
雑誌古紙を原料とする場合においても、同様の実験及び評価を行った。
【0036】
(実施例4及び比較例4)
上物古紙を原料とする脱墨パルプの製造設備における白水処理によって発生するフロスについて、実施例1と同様の実験及び評価を行った。
【0037】
(実施例5)
実施例1において、分離したインキ分についてさらに油水分離を行った。
【0038】
(実施例6)
実施例1において、分離したインキ分についてさらに2次フローテーション処理を行った。
【0039】
(実施例7)
実施例1において、分離したインキ分についてさらにダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理離を行った。
【0040】
上記各例における結果を表1に示す。なお、白色度はJIS P 8123により測定し、各濃度は乾燥法により測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から、繊維及び填料から超音波処理によりインキ分を分離することにより、超音波処理を行わない場合に比較して、ろ過物の白色度は10%以上高まることが知見された。これにより、分離液は、脱墨パルプとして、あるいは再生紙用の再生パルプ原料として問題なく再利用することができ、歩留まり向上に大きく寄与することが判明した。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、フロス中のインキ成分を分離して繊維分や無機分の再利用を可能とし、歩留まりの向上を図ることができる。また、排水処理設備の負担を軽減し、もって環境に対する影響を軽減しつつ経済的に再生紙を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る再生紙の製造方法のフローシートである。
【図2】ブルニップシックニングウォッシャーの概要図である。
【符号の説明】
1…離解工程、2…粗選工程、3…フローテーター、4…精選工程、5…漂白工程、6…調成工程、7…抄紙工程、8…仕上工程、9…白水処理工程、10…超音波処理工程、11…油水分離工程、12…溶剤回収工程、13…燃焼ボイラ。
Claims (3)
- 印刷古紙を原料とする脱墨パルプの製造方法において、
フローテーション処理及び/又は白水処理で発生する印刷古紙由来のインキ、繊維及び填料を含有するフロスを、超音波処理工程を含むインキ分離処理によりインキを分離し、
インキを分離した繊維及び填料のうち少なくとも繊維を再生紙製造用の脱墨パルプとすることを特徴とする脱墨パルプの製造方法。 - インキ分離処理が、超音波処理工程のほか、その前段及び又は後段に設ける第2のフローテーション処理、あるいはダブルニップシックニングウォッシャーによる洗浄処理を含む請求項1記載の脱墨パルプの製造方法。
- 印刷古紙を原料とする脱墨パルプを得て、これを再生紙の原料とする再生紙の製造方法において、
フローテーション処理及び/又は白水処理で発生する印刷古紙由来のインキ、繊維及び填料を含有するフロスを、超音波処理工程を含むインキ分離処理によりインキを分離し、
インキを分離した繊維及び填料のうち少なくとも繊維を再生紙製造用の脱墨パルプとするとともに、
前記印刷古紙の由来種類により得た脱墨パルプを、再生紙の種別に応じてパルプ原料とすることを特徴とする再生紙の製造方法。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2400054A2 (en) | 2005-02-09 | 2011-12-28 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | A method for treating process waters by cavitation |
JP2017190539A (ja) * | 2016-04-13 | 2017-10-19 | 日華化学株式会社 | 脱墨パルプの製造方法 |
CN107604736A (zh) * | 2017-10-20 | 2018-01-19 | 南京必蓝环境技术有限公司 | 一种白水梯级处理和回用工艺 |
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-
2002
- 2002-06-14 JP JP2002174010A patent/JP2004019025A/ja active Pending
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