JP2007314894A - 脱インキパルプの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インキ剥離工程の後工程に洗浄工程を有する、印刷古紙に対して脱インキ剤を用いる脱インキパルプの製造方法において、アルカリ性薬品の使用量を大幅に削減した上で、未剥離インキの少ない脱インキパルプ製造方法の提供。
【解決手段】インキ剥離工程の後工程に洗浄工程を有する脱インキパルプの製造方法であって脱インキ剤が15℃〜45℃の非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の混合物であり、pH7.0〜9.5にて行われる、インキ剥離工程で脱インキ剤を存在させる。
【選択図】なし

Description

本発明は脱インキパルプの製造方法に関し、さらに詳しくは、印刷古紙から脱インキパルプを製造する方法に係わり、特にインキ剥離工程の後工程に洗浄工程を有する古紙パルプの脱インキ方法に係わる。
印刷古紙から脱インキパルプを製造する方法には、一般に印刷古紙の離解工程とアルカリソーキング工程を経由し、フローテーター等でパルプとインキを分離する方法が多く用いられる。即ち、係る一般脱インキ法では、印刷古紙をパルパー等の離解機でアルカリ性薬品及び界面活性剤よりなる脱インキ剤と共に離解したのち古紙パルプとし、該パルプにさらにアルカリ性薬品、過酸化水素および界面活性剤を添加してアルカリソーキング(アルカリ浸漬)を行い、パルプ繊維を膨潤させ、インキを分離する。
次に、フローテーション工程では気泡にインキ粒子を付着、浮上させてインキ粒子をパルプから分離する。
古紙の離解工程において、アルカリ性薬品および界面活性剤は、パルプ繊維を膨潤させ、印刷インキをパルプ繊維から剥離させる目的で添加されている。しかし、該アルカリ処理を行なうことにより、脱インキを促進するばかりでなく、クレーやタルク、二酸化チタンなどの填料、デンプン、ポリビニルアルコールなどの紙力増強剤、ラテックス、酸化デンプン、炭酸カルシウムなどの塗工組成物および微細繊維などが洗浄脱水処理などで排出されるばかりか、アルカリによるパルプの膨潤溶解作用によりパルプの一部が溶解するため、この排水中のCOD(化学的酸素要求量)は大幅に増加する。そのため、脱インキ工程の排水を公共用水域に放流する前には、大量に希釈または清澄化する必要があり、凝集処理薬品や設備費、ランニングコストがかかるという問題点があった。この排水負荷を軽減する目的で、脱インキ処理を弱アルカリ性から中性領域の条件で実施しようとすると、パルプ繊維の膨潤が十分でなく、印刷インキの剥離が不十分となり、この工程の後に続くフローテーション工程で印刷インキの浮上分離がしにくく、脱インキパルプの白色度が上がらないといった品質上の問題点があった。
また、フローテーション工程での脱インキ効率を向上させるため、パルプからのインキ剥離、分散力と、フローテーターにおけるインキの泡への吸着性、インキ同士の凝集性という、相反する効果のバランスを取った脱墨剤を添加しているため、インキ剥離工程で、パルプへの浸透性やインキ剥離性を著しく高めた界面活性剤は添加できず、印刷インキの剥離が不十分となる問題点があった。
ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤は、脱墨剤として古くから知られており、例えば、古紙をフローテーション方式によって脱インキする際の脱インキ剤として、RO−(XO)−H(式中Rは炭素数8〜22のアルキル基など、XOはオキシエチレンおよびオキシプロピレンのランダム付加重合物で、オキシエチレンを50〜95%含有、nは8〜100の整数)(特許文献1)、RO−(CO)(XO)−H(式中Rは炭素数8〜22のアルキル基など、mは1〜50の整数、XOはオキシエチレンおよびオキシプロピレンのランダム付加重合物で、8〜100の整数)(特許文献2)、天然油脂と多価アルコールの混合物にアルキレンオキシドを付加して得られる反応生成物および、RO−(AO)−H(式中Rは炭素数12〜18のアルキル基など、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基で、nは5以上の数)を一定の割合で含有(特許文献3)、RO−(PO)(AO)(PO)−H(式中Rは炭素数8〜22のアルキル基など、AOはオキシアルキレン基で、xは1〜20、yは1〜50、zは1〜50の数)(特許文献4)、RO−(AO)−H(式中R1は炭素数18を超え36以下の炭化水素基、AOはオキシエチレンおよびオキシプロピレンのランダム付加重合物で、nは1〜1000の数)(特許文献5)、RO−(EO)(AO)×1(EO)−H、RO−(EO)(AO)×2(XO)−H、RO−(XO)(AO)×3(EO)−H、RO−(XO)(AO)×4(XO)−Hの混合物(式中Rは炭素数8〜36のアルキル基など、AOはオキシアルキレン基、XOはオキシプロピレン基かオキシブチレン基で、×1〜×4オキシアルキレン基の付加モル数(特許文献6)、RO−(AO)−H(式中R1は炭素数10〜14のアルキル基、AOはオキシアルキレン基で、pは1〜100の整数)と、RO−(PO)(EO)(XO)−R(式中R2は炭素数16〜22のアルキル基など、Rは水素または炭素数2〜24のアシル基、XOはオキシアルキレン基で、mは1〜8、nは10〜40、kは重合XOの炭素数の合計が3〜120の数)(特許文献7)などが開示されている。何れの場合も、フローテーションでインキを除去する際の脱インキ剤として添加されているため、フローテーターで発泡しないものは、単独では利用できず、単独でも発泡するもの、もしくは、起泡性の高い剤との混合物になっている。
なお、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表す。(以下同様)
また、フローテーション法、洗浄法、折衷法何れの脱インキ法においても使用できる脱インキ剤として、RO−(AO)−H(式中Rは炭素数8〜24のアルキル基などの混合物、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基で、nは0または1以上の整数)(特許文献8)が開示されているが、これも、フローテーション適性も持たせた汎用タイプにするために、1種類ではなく、起泡性の高い成分など、いくつかのものを混合させた脱インキ剤である。
一方、オフィス古紙処理剤として、RO−(AO)−X(式中Rは炭素数8〜22の炭化水素基、AOはオキシアルキレン基で、nは5〜59の数、Xは水素原子、アルキル基またはアシル基)(特許文献9)が開示されているが、対象古紙はオフィス古紙に限定されている上、フローテーション適性も持たせているため、比較例よりも発泡量は増加しており、操業上問題がある。
また、フローテーション処理により、印刷古紙を脱墨する方法において、フローテーション処理温度よりも曇点の高い脱墨剤と低い脱墨剤を併用する方法(特許文献10)が開示されているが、これも、フローテーション適性を持たせるため、曇点が高く、起泡性の高い脱墨剤と併用することが必須であり、曇点が低く、発泡性の弱い脱墨剤単独では処理していない。
脱墨剤として、特定の疎水基の末端に、オキシエチレン、オキシプロピレンの順にブロック付加させた、RO−(PO)(EO)(XO)−R(式中Rは炭素数12〜22のアルキル基など、R2は水素または炭素数2〜24のアシル基、XOはオキシアルキレン基で、mは1〜8、nは10〜40、kは重合XOの炭素数の合計が3〜120の数)(特許文献11)を用い、フローテーションによって脱墨する方法が開示されているが、フローテーターで発泡することが必須であり、曇点が低く、処理温度では発泡しない脱墨剤を用いることは困難である。
また、RO−(AO)−H(式中R1は炭素数14〜24のアルキル基など、AOはオキシエチレン基、オキシプロピレン基で、EOの平均付加モル数が30〜160、EO/PO付加モル比が1.5〜4.5)と、R[−COO−(AO)−R]n(式中nは1以上の整数、R2はn個の−COOHを有する総炭素数14〜24のカルボン酸から全ての−COOHを除いた残基、R3は水素または炭素数1〜20のアルキル基など、AOはオキシエチレン基、オキシプロピレン基で、EOの平均付加モル数が30〜160、EO/PO付加モル比が1.5〜4.5)から選ばれる一種以上の脱墨剤でインキ剥離を行い、フローテーション後、40〜80℃の温水で洗浄する脱墨方法(特許文献12)が開示されているが、この方法もフローテーションを前提としているため、曇点が低く、処理温度では発泡しない脱墨剤は用いておらず、フローテーション後の温水洗浄が必須となっている。
又、アニオン性界面活性剤も古くから脱墨で使用されるが、一般的には発泡を目的としてフローテーション工程で添加される。脱墨で用いられるアニオン性界面活性剤は親水性が強く水中に溶解していると考えられ、インキとの相互作用も少なくインキ剥離性及びインキ捕集性いずれも弱い。用いるフローテーション工程では起泡量を増加させ気泡を安定化しフローテーターでのフロス排出を助ける働きを行っていると考えられる。
アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を併用してインキ剥離性を向上させる技術としては、非イオン性界面活性剤の曇点を上昇させる為にアニオン性界面活性剤を助剤として用いるものが開示されている(特許文献13)。この技術は、非イオン性界面活性剤を高曇点とする事により親水性が増しインキとの親和力が低下しフローテーションでのインキ排出量が低下する為、アニオン界面活性剤で非イオン性界面活性剤の曇点を上昇させながらフローテーション時の泡量を確保しフローテーションでのインキ排出量の向上を狙ったものである。
上記、何れの方法においても、強アルカリ条件下で界面活性剤の効果を最大限に出す設計になっているため、強アルカリ性で可溶化している必要があり、疎水基を小さくして、曇点を上げている。従って、弱アルカリ性から中性領域の条件で使用した場合には、水に溶けすぎて、界面活性は低下し、浸透力は小さくなる傾向がある。
以上のように非イオン性界面活性剤に関する従来技術は、フローテーションでの起泡量最適化によるインキ排出を優先したものであり、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の併用においてもフローテーションでの発泡性を優先するものである。
特開昭55−51891号公報 特開昭55−51892号公報 特開昭63−165592号公報 特開平5−263379号公報 特開平10−72789号公報 特開2001−200484号公報 特許第3225143号公報 特開平5−25789号公報 特開2003−166186号公報 特開平6−257081号公報 特開平6−257083号公報 特許第3313046号公報 特開2002−88670号公報
印刷古紙からインキを除去し高品質のパルプを得ようとする場合、パルプから十分にインキを剥離し分散する必要があるが、排水負荷を軽減する目的で、脱インキ処理を弱アルカリ性から中性領域の条件で実施した場合、パルプ繊維の膨潤が十分でなく、印刷インキの剥離が不十分となり問題となる。また、フローテーション工程での脱インキ効率を向上させるため、パルプからのインキ剥離、分散力と、フローテーターにおけるインキの泡への吸着性、インキ同士の凝集性という、相反する効果のバランスを取った脱墨剤を添加しているため、インキ剥離工程で、パルプへの浸透性やインキ剥離性を著しく高めた界面活性剤は添加できず、印刷インキの剥離が不十分となる問題を有する。即ち、本発明は、インキ剥離工程の後工程に洗浄工程を有する印刷古紙の脱インキパルプの製造方法において、未剥離インキの少ない脱インキパルプの製造法を提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明者等は、弱アルカリ性から中性領域の条件における脱インキ処理方法、特に、インキ剥離工程の後工程に洗浄工程を有する印刷古紙の脱インキ処理方法について鋭意検討した。
その結果、処理温度より曇点が低く、発泡性が著しく低い非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の混合物を使用することで、効果的に目的を達成できることを見出した。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)印刷古紙に対して脱インキ剤を用いるインキ剥離工程の後に洗浄工程を有する脱インキパルプの造方法であって、脱インキ剤が、下記一般式(I)で表される、曇点15〜45℃の非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を含有し、インキ剥離工程でpH7.0〜9.5にて脱インキ剤を存在させる脱インキパルプの製造方法。
R−O−(AO)−H ・・・・ (I)
(式中、Rは炭素数が12〜18のアルキル基、AOは炭素数が2〜4のオキシアルキレン基を示し、nは平均モル数であり5〜100である。
(2)前記アニオン界面活性剤が、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である(1)記載の脱インキパルプの製造方法。
(3)前記非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の質量比(非イオン界面活性剤/アニオン界面活性剤)が99/1〜70/30である(1)記載の脱インキパルプの製造方法。
(4)前記非イオン界面活性剤の分子量が、2000〜3000である(1)記載の脱インキパルプの製造方法。
(5)前記非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の総添加率が、絶乾パルプに対して0.01〜2質量%である(1)記載の脱インキパルプの製造方法。
(6)前記インキ剥離工程が、20〜80℃にて行われる請求項1記載の脱インキパルプの製造方法。
アルカリ性薬品の使用量を大幅に削減した上で、未剥離インキの少ない脱インキパルプ製造方法を提供することが可能となる。
弱アルカリ性から中性領域の条件における脱インキ処理方法、特に、インキ剥離工程の後工程に洗浄工程を有する、印刷古紙の脱インキ処理方法において、発泡性が著しく低い非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の混合物を作用させる本発明による方法が、従来の方法より高白色度の脱インキパルプが得られる理由について、本発明者等は以下のように考えている。
即ち、印刷古紙からインキを除去し高品質のパルプを得ようとする場合、パルプから十分にインキを剥離し分散する必要があるが、排水負荷を軽減する目的で、脱インキ処理を弱アルカリ性から中性領域の条件で実施した場合、パルプ繊維の膨潤が十分でなく、印刷インキの剥離が不十分となり問題となる。また、フローテーション工程での脱インキ効率を向上させるため、パルプからのインキ剥離、分散力と、フローテーターにおけるインキの泡への吸着性、インキ同士の凝集性という、相反する効果のバランスを取った脱墨剤を添加しているため、インキ剥離工程で、パルプへの浸透性やインキ剥離性を著しく高めた界面活性剤は添加できず、印刷インキの剥離が不十分となる問題を有する。
従って、弱アルカリ性から中性領域の条件で、インキ剥離処理を行い、しかも、フローテーターにおける脱インキ性のバランスを考慮した脱インキパルプを得るには、インキとパルプ、あるいはインキと塗工層との結合力を弱め、かつフローテーション適性に影響を与えない何らかの処理が必要であり、このような目的に適した薬剤、即ちパルプからのインキ剥離、洗浄を促進するための処理が不可欠である。本発明者等は、このような化合物として、発泡性が著しく低い非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の混合物がインキ剥離性に好適であり、かつインキ剥離工程の後工程に、フローテーターの代わりに、洗浄工程を有する脱インキ処理を行う方法が、極めて好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
非イオン性界面活性剤は、疎水性が強く、浸透性も高いため、インキの剥離力、洗浄性に優れるものと推測される。しかしながら、これら非イオン性界面活性剤は疎水性が強い為に水中での分散性が悪く古紙表面への均一な作用が起こりにくい。そこで、アニオン性界面活性剤を併用する事により非イオン性界面活性剤の水中での分散性が向上し、古紙表面に均一に作用する事ができるようになり本来非イオン性界面活性剤が持つインキ剥離性能を効率良く発現する事ができるものと推測される。又、剥離された遊離インキの分散性も上がる為、洗浄性は更に向上すると推測される。一般的に使用されている脱インキ剤は、強アルカリ性で可溶化している必要があるため、インキ剥離工程を、pH7〜9の弱アルカリ性から中性領域の条件で行った場合、水に溶けすぎて、界面活性は低下し、浸透力は小さくなる傾向がある。
さらに、インキ剥離工程の後工程で、強力な洗浄工程を有することにより、フローテーターにおける脱墨剤の影響を考慮する必要がなく、従来では使用できなかった、パルプへの浸透性、インキ剥離・分散性の高い界面活性剤を使用できることが挙げられる。
また、中質紙や下級紙、板紙など、パルプ歩留を重視する脱インキパルプ、あるいは離解パルプについては、フローテーション処理や、強力な洗浄処理を行わず、インキは化学的、機械的処理で分散して、目立たなくさせる場合が多く、このようなフローについても、後述する一般式(I)で表される界面活性剤を用いることにより、インキの分散性は向上するため、アルカリ性薬品の低減や、機械的なシェアの電力低減を図ることができる。
一般に脱墨剤として知られる界面活性剤は、フローテーターにおける発泡性の観点から、処理温度と同等か、わずかに低い温度に曇点を持つものが有効であるとされており、本発明のような、処理温度より曇点が5〜25℃低く、発泡性が著しく低い曇点15℃〜45℃である非イオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤との混合物を用いている例はない。
本発明が対象としている古紙としては、新聞紙、チラシ、雑誌、書籍、事務用紙、その他複写機、OA機器から生ずる印刷紙などを含む。
通常の脱インキパルプの製造においては、アルカリ性薬品、および界面活性剤を添加して古紙の離解を行い、該パルプを希釈してフローテーション処理、および/または洗浄処理を行い、パルプ繊維から灰分、インキを分離し、一般的には10〜35質量%のパルプ濃度に脱水した後、アルカリ性薬品、過酸化水素および界面活性剤を添加してアルカリソーキングを行う。さらに、次工程で該パルプを希釈してフローテーション処理、および/または洗浄処理を行い、インキを分離する方法がとられる。本発明の方法においては、少なくともインキ剥離工程の後工程に洗浄方式を有する方法であって、非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の混合物は、インキを、該剥離工程以前であれば、何れの工程で添加されても良いが、アルカリ性薬品の添加率を抑制し、pH7.0〜9.5の弱アルカリ性から中性領域の条件で、アルカリ性薬品の代替として、インキ剥離を促進する目的で添加することを考えた場合、離解工程で添加するのが好ましい。
高白色度の脱インキパルプを製造する場合には、インキ剥離工程の後工程で、強力な洗浄工程を有することが必須であるが、中質紙や下級紙、板紙など、パルプ歩留を重視する脱インキパルプ、あるいは離解パルプについては、通常の脱水処理程度の洗浄で問題ない。
なお、処理pHが9.5を超える場合には、インキ剥離効果としてはアルカリ性薬品の効果が高くなるため、界面活性剤の添加効果は減少し、排水負荷の低減効果は期待できない上、界面活性剤の溶解性が低下するため、界面活性剤の疎水性が低いものを選択する必要がある。また、pHが7.0より低い場合には、古紙の離解性やインキ剥離性が著しく低下するため、望ましくない。
本発明に使用する非イオン界面活性剤としては、パルプからのインキ剥離、塗工層の分散を促進する非イオン界面活性剤であり、下記一般式(I)の構造を有する。
R−O−(AO)−H ・・・・ (I)
(式中、Rは炭素数が12〜18のアルキル基、AOは炭素数が2〜4のオキシアルキレン基を示し、nは平均付加モル数であり5〜100である。)
一般式(I)でオイリエチレングルコール型非イオン界面活性剤を更に具体的に例示すれば、高級アルコールのオキシアルキレン基付加体である。これはインキの剥離力や浸透力が良好であるため、中性から弱アルカリ性でインキ剥離処理を行い、低発泡性で、かつ未剥離インキの少ない脱インキパルプを得るのに好適である。なお、アルキル基の炭素数は、利用する場合コスト的の点から12以上が好ましい。また、アルキル基の分子量に対するオキシアルキレン基の分子量が低くなってくると、水溶性に乏しくなり、反応系内での分散性が悪化して、浸透力が低下するばかりか、操作性の観点から、アルキル基の炭素数は18以下が好ましい。オキシアルキレン基としては、炭素数が2〜4が好ましく、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が一般的であり、アルキル基の分子量に応じて、最適な曇点になるよう、平均付加モル数を変えることが望ましい。平均付加モル数は5〜100であり、好ましくは5〜50が好ましく、さらには5〜35が好ましい。
また、一般式(I)で表される界面活性剤の曇点は、低いほど疎水性が大きく、浸透性も高くなるが、反応系内で溶解せず、分散性が悪化するため、浸透性は低下し、剥離インキの洗浄性も悪化する。一方、曇点が高いものは、親水性が大きくなり、浸透性は低下する。インキ剥離工程や洗浄工程における処理温度に、曇点が依存する理由としては、処理温度が高い場合には、上記の理由から、界面活性剤の分散性を考慮して、曇点は高め、つまりやや親水性を強くする必要があり、逆に処理温度が低い場合には、疎水性を強めて曇点を下げ、浸透力を上げることが効果的であるからである。処理温度としては、20℃以下では、古紙の離解性やインキ剥離性が著しく低下するため、望ましくない。一方、80℃以上では、蒸気などのコスト面、および界面活性剤の曇点を高くする必要があり、浸透性は著しく低下するため、望ましくない。処理温度より曇点が5〜25℃低い界面活性剤が望ましいことから曇点は15℃〜45℃である。一般的な処理温度である、45℃近辺で効果的な曇点としては、20〜40℃がより好ましい。
一般式(I)で表される界面活性剤の分子量としては、小さいほど浸透性は高いが、分散性、洗浄性は分子量が大きい方が優れるため、原料古紙、処理フローに応じて変えることが望ましく、一般的には、分子量2000〜3000が好ましい。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で、標準物質:ポリエチレンで測定する。
アニオン界面活性剤は、親水基の種類によりカルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型に分類される。pH7付近の中性領域での溶解性と、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを比較的多く多量に溶かしている硬水中での不溶性の金属石鹸を形成しないことが望ましい。よって本発明では、pHおよびカルシウムイオン、マグネシウムイオンの影響を受けにくい、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤を使用することが望ましい。
アニオン界面活性剤を更に具体的に例示すれば、疎水基の種類により、硫酸エステル塩型は、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン等が、スルホン酸塩型は、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、コハク酸ジエステルスルホン酸塩等が、リン酸エステル塩型は、高級アルコールリン酸エステル塩等が知られており、何れのアニオン界面活性剤を使用しても良い。
非イオン界面活性剤の分散性を向上する事ができれば、構造を限定するものではないが、疎水基と親水基のバランスから、特に好ましくは、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、コハク酸ジエステルスルホン酸塩を使用するのが良好である。
これらのインキ剥離、塗工層の分散を促進し、発泡し難い能力を有する本発明の界面活性剤の添加率は、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤合計で絶乾パルプに対して0.01〜2質量%であり、好ましくは0.1〜1質量%である。非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の質量比(非イオン界面活性剤/アニオン界面活性剤)は99/1〜70/30が良好であり、好ましくは98/2〜80/20である。添加する工程は、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の混合物をインキ剥離工程で存在させればよく、インキ剥離工程以前の工程で添加してもよい。インキ剥離工程にはフローテーション工程を含まない。具体的にはインキ剥離を行うと考えられる離解工程、ディスパージング工程、漂白工程、洗浄を行うと考えられる洗浄工程が好ましく、更に好ましくは、離解工程、ディスパージング工程、洗浄工程である。本発明の脱インキパルプの製造法方法では、フローテーション工程が無くてもよい。
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、実施例は本発明をなんら限定するものではない。本実施例中では、百分率(%)は白色度及び残インキ面積率以外はすべて質量%を意味し、また、薬品添加率は、対絶乾パルプあたりの質量%で示した。
脱インキパルプの品質は、JIS P−8148の紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法によるパルプ白色度及び残インキ面積率で評価し、パルプ製造時の操業については、脱インキ工程に伴う発生CODで評価した。ここで、残インキ面積率(%)とは、王子計測(株)社製の画像解析装置(ドットアナライザー)を用い、得られた脱インキパルプのパルプシート中に残存しているインキを主体とする着色物の総面積をパルプシートの総面積で割った値を%で表示したもの、COD(%)は、対生産パルプ質量当たり発生するCOD質量%である。
<実施例1>
印刷後、2ヶ月経過したオフセット印刷新聞古紙60%、チラシ古紙40%からなる印刷古紙に、30℃の温水を加えて、試験用パルパーで以下のような条件で20分離解した。離解後のpHは9.0であった。
パルプ濃度・・・・・・・3.5 %
苛性ソーダ添加率・・・・0.15%
界面活性剤添加率・・・・0.3 %
(非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、混合比を表1に示す)
次に、パルプ濃度を1%に希釈し、40メッシュワイヤーを用いて10%まで脱水した。その後、パルプを325メッシュワイヤー上で、イオン交換水を用いて、ワイヤーを抜ける成分が完全になくなるまで洗浄した後、TAPPI標準法により、脱水後と洗浄後の手抄シートを作成し、風乾した。手抄シートは残インキ面積率を測定し、実施例1として表2に示した。
<実施例2>
表1に示すアニオン界面活性剤とした他は、全て実施例1と同様に処理した。結果を実施例2として表2に示した。
<比較例1>
実施例1において、離解処理で、非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に処理した。結果を比較例1として表2に示した。
<比較例2>
実施例1において、アニオン界面活性剤を添加しなかったこと以外は、全て実施例1と同様に処理した。結果を比較例2として表2に示した。
<比較例3>
実施例1において、離解処理の温度を47℃とした他は、全て実施例1と同様に処理した。結果を比較例3として表2に示した。
<比較例4>
比較例3において、離解処理で、非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を添加しなかったこと以外は比較例3と同様に処理した。結果を比較例4として表2に示した。
<実施例3>
印刷後、1年経過したオフセット印刷新聞古紙60%、チラシ古紙40%からなる印刷古紙に、30℃の温水を加えて、試験用パルパーで以下のような条件で20分離解したこと以外は実施例1と同様に処理した。離解後のpHは8.0であった。
パルプ濃度・・・・・・・3.5 %
苛性ソーダ添加率・・・・0.05%
界面活性剤添加率・・・・0.3 %
結果を実施例3として表3に示した。
<実施例4>
実施例2のアニオン界面活性剤とした他は、全て実施例3と同様に処理した。結果を実施例4として表3に示した。
<比較例5>
実施例3において、離解処理で、非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を添加しなかったこと以外は実施例3と同様に処理した。結果を比較例5として表3に示した。
<比較例6>
実施例3において、アニオン界面活性剤を添加しなかったこと以外は、全て実施例3と同様に処理した。結果を比較例6として表3に示した。
<実施例5>
印刷後、2ヶ月経過したオフセット印刷新聞古紙80%、チラシ古紙20%からなる印刷古紙に、40℃の温水を加えて、試験用パルパーで以下のような条件で10分離解したこと以外は実施例1と同様に処理した。離解後のpHは7.5であった。
パルプ濃度・・・・・・・3.5 %
界面活性剤添加率・・・・0.5 %
手抄シートは、離解後洗浄前のパルプ白色度と、洗浄後の残インキ面積率ならびに発生CODを測定し、実施例5として表4に示した。
<実施例6>
実施例5において、界面活性剤添加率を0.3%とした他は、全て実施例5と同様に処理した。結果を実施例6として表4に示した。
<実施例7>
実施例5において、界面活性剤添加率を0.1%とした他は、全て実施例5と同様に処理した。結果を実施例7として表4に示した。
<比較例7>
実施例5において、界面活性剤を添加しなかったこと以外は、全て実施例5と同様に処理した。結果を比較例7として表4に示した。
<比較例8>
実施例5において、離解処理のpHを6.0となるように硫酸で調整した他は、全て実施例5と同様に処理した。結果を比較例8として表4に示した。
<比較例9>
実施例5において、離解処理のpHを10.5となるように苛性ソーダで調整した他は、全て実施例5と同様に処理した。結果を比較例9として表4に示した。
Figure 2007314894
表中、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示し、EOとPOの付加形態はランダム付加である。
高級アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩は、構造式R−O−(EO)nSO・Naであり、式中、Rは炭素数が10〜16の混合アルキル基、EOはオキシエチレン基を示し、nは2である。
コハク酸ジエステルスルホン酸ナトリウム塩は、コハク酸と炭素数8アルコールのジエステル化物のスルホン酸ナトリウム塩である。
Figure 2007314894
Figure 2007314894
Figure 2007314894

Claims (6)

  1. 印刷古紙に対して脱インキ財を用いるインキ剥離工程の後に洗浄工程を有する脱インキパルプの造方法であって、脱インキ剤が、下記一般式(I)で表される、曇点15〜45℃の非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を含有し、インキ剥離工程でpH7.0〜9.5にて脱インキ剤を存在させる脱インキパルプの製造方法。
    R-O-(AO)-H ・・・・ (I)
    (式中、Rは炭素数が12〜18のアルキル基、AOは炭素数が2〜4のオキシアルキレン基を示し、nは平均付加モル数であり5〜100である。)
  2. 前記アニオン界面活性剤が、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である請求項1記載の脱インキパルプの製造方法。
  3. 前記非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の質量比(非イオン界面活性剤/アニオン界面活性剤)が99/1〜70/30である請求項1記載の脱インキパルプの製造方法。
  4. 前記非イオン界面活性剤の分子量が、2000〜3000である請求項1記載の脱インキパルプの製造方法。
  5. 前記非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の総添加率が、絶乾パルプに対して0.01〜2質量%である請求項1記載の脱インキパルプの製造方法。
  6. 前記インキ剥離工程が、20〜80℃にて行われる請求項1記載の脱インキパルプの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103132357A (zh) * 2013-02-28 2013-06-05 刘长如 一种物理方法废纸脱墨工艺
US11560672B2 (en) 2018-03-29 2023-01-24 Nippon Paper Industries Co., Ltd. Methods for deinking UV prints

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