JP2004081059A - 生鮮肉加工食品用の油脂組成物及びこれを含む生鮮肉加工食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】生鮮肉に油脂分を混合する生鮮肉加工食品において、油脂分が生鮮肉となじみ、生鮮肉加工食品から油脂分の流出が抑制され、また、外観が改善され、摂食に際して違和感のない生鮮肉加工食品を得ることができる、生鮮肉加工食品用の油脂組成物、及び、生鮮肉加工食品を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリソルベート及び食用油脂を配合することを特徴とする生鮮肉加工食品用の油脂組成物及び、こ生鮮肉加工食品用の油脂組成物を含む生鮮肉加工食品。
【選択図】なし
【解決手段】ポリソルベート及び食用油脂を配合することを特徴とする生鮮肉加工食品用の油脂組成物及び、こ生鮮肉加工食品用の油脂組成物を含む生鮮肉加工食品。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生鮮肉加工食品用の油脂組成物及びこの油脂組成物を用いた生鮮肉加工食品に関する。より詳細には、生食に供する生鮮魚肉や生鮮畜肉等の生鮮肉に油脂を含有させる加工食品において、油脂分と肉とがなじみ、油脂分の流出が抑制される生鮮肉加工食品用の油脂組成物及びこれを用いた生鮮水畜産加工食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の流通の充実に伴い、生鮮魚肉や生鮮畜肉が多く消費されるようになっている。特に、回転鮨ブームもあり、生鮮魚肉においては、刺身や寿司種や丼の具材等として大量に消費されている。
【0003】
生食用の生鮮魚肉には、刺身や寿司種及び丼の具材などとして好まれる魚種があり、また好まれる魚種であっても、特に好まれる部位と食味が劣るため好まれない部位がある。例えば、マグロや鮭の大トロと呼ばれる部位や、鰤、カンパチ、シマアジなどの魚種で脂ののった部位が特に好まれる。そのためにこの様な魚種及びその部位は他の魚種及び部位に比べて高価である。脂ののった部位は魚体に対して1/3〜1/4の割合しかなく希少価値が重要視されている。一方、脂肪含有量の少ない赤身は淡白な風味でコク味がなく、魚体に対しての割合が多く価値が低い状況にある。
【0004】
これは脂身の組成と赤身の組成を対比すると、魚肉の場合、赤身は水分65〜70重量%、脂肪分1〜10重量%に対して、脂身は水分50〜60重量%、脂肪分10〜30重量%であり、これらの組成の相違により、魚体に対しての割合が少ない脂身のほうがコク味、ウマ味ともに良好である。
【0005】
そのため、生食では食味が劣るために好まれない魚種や好まれる魚種であっても好まれない部位を加工し、食味を向上させ生食用として有効利用する生鮮魚肉加工食品が試みられており、例えば、ミンチ状生鮮魚肉に、その融点が15〜40℃であり、かつ20℃の固体脂指数が5〜25であるコーン硬化油とコーン白絞油の混合系のショートニングを1〜30重量%含ませる方法(特許2503471号)、マグロの粉砕肉100重量部あたりガス量が100g中20ml以下である急冷練り合わせをしたショートニングを5〜25重量部加えて練り合わせる方法(特許2570298号)、ミンチ状生鮮魚肉に、魚介類からの抽出液で呈味成分を含有し油脂の融点が15〜40℃でかつ固体脂指数が20℃で5〜25である油中水分散型エマルジョンを1〜30重量%混合する方法(特許2570298号)、食用油脂に対しポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル及びグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルの内から選ばれた1種又は2種以上の乳化剤を配合する方法(特開2000−60495号)等が提案されている。
【0006】
しかし、これらの方法では、生鮮魚肉加工食品において、生鮮魚肉と油脂分とが充分になじまず、生鮮魚肉加工食品から油脂分が流出したり、また、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の安定剤を配合すると、生鮮魚肉加工食品にポリグリセリン脂肪酸エステル由来の油くささが呈されることがあり問題となっていた。
また、ユッケ等の生鮮畜肉と油脂分を混合する加工食品においても、生鮮畜肉と油脂分とがなじまず、生鮮畜肉加工食品から油脂分が流出することがあり問題となっていた。
【0007】
そこで、生鮮魚肉や生鮮畜肉と油脂分とが充分になじみ、生鮮魚肉や生鮮畜肉を加工した、生鮮肉加工食品からの油脂分の流出が抑制され、食味、食感の劣る肉類の食味、食感を改善し、かつ、安定剤由来の油くささを呈さない生鮮肉加工食品用の油脂組成物や生鮮肉加工食品が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題に鑑み、生食に供する生鮮肉の食味向上等の目的で生鮮肉に油脂分を混合する生鮮肉加工食品において、油脂分が生鮮肉となじみ、生鮮肉加工食品から油脂分の流出が抑制され、また、外観が改善され、摂食に際して違和感のない生鮮肉加工食品を得ることができる、生鮮肉加工食品用の油脂組成物、及び、生鮮肉加工食品を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、生鮮肉への混合用に使用される食用油脂に対して、ポリソルベートを配合することにより、当該油脂と生鮮肉とのなじみが大きく改善され、特に、生鮮魚肉においては、油脂の魚肉表面への均一な付着あるいは魚肉組織内への浸透により食味の改善がはかられると同時に外観上も優れたものに改善されることを見いだした。また、得られた生鮮肉加工食品は、油脂分の流出が抑制されており、安定剤に由来する臭いも呈さ無いことを見いだし、本発明をするに到った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記項1及び項2に掲げる生鮮肉加工食品用の油脂組成物である。
項1:ポリソルベート及び食用油脂を配合することを特徴とする生鮮肉加工食品用の油脂組成物。
項2:ポリソルベートが、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート65から選ばれる1種以上のポリソルベートである請求項1に記載の生鮮肉加工食品用の油脂組成物。
【0011】
また、本発明は、下記項3に掲げる生鮮肉加工食品である。
項3:項1又は2に記載の生鮮肉加工食品用の油脂組成物を含む生鮮肉加工食品。
項4:生鮮肉加工食品用の油脂組成物の配合量が5〜30重量%である項3に記載の生鮮肉加工食品。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の生鮮肉加工食品用の油脂組成物とは、ポリソルベート及び食用油脂を含む油脂組成物をいう。
【0013】
本発明の生鮮肉加工食品に用いられる生鮮肉としては、生食が可能である生鮮魚肉、生鮮畜肉であればよく、その種類や部位には限定されない。生鮮魚肉においては、“すき身”や“中落ち”と呼ばれるそのまま摂食されるのに適した大きさの切り身と、“たたき”と呼ばれる細かく裁断された形態のものがあるが、その大きさや裁断方法は特に限定されるものではない。また、生鮮魚肉や生鮮畜肉を湯通ししたものや、生鮮魚肉や生鮮畜肉の表面を軽く焙ったものも本発明の生鮮肉加工食品用の生鮮肉とすることができる。
【0014】
本発明で用いるポリソルベートとは、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシド20モルを付加させた親水性の非イオン界面活性剤で、優れた乳化性、可溶化性、分散性を示すため化粧品、医薬品をはじめ幅広い分野で使用されているものであればよいが、効果の点より、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート65 (ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート)を用いることが望ましい。
【0015】
本発明において使用されるポリソルベートは油脂に容易に溶解することができ、且つ、その油脂を親水性に改質して表面が親水性である生鮮肉表面への付着あるいは生鮮肉の組織内への浸透性を高める作用を有することができる。ポリソルベートの添加量としては、食用油脂に対して1〜10重量%で使用することが望ましい。1%よりポリソルベートの添加量が少ないと充分に油脂分の流出を抑制することができず、10%より多いとポリソルベートの味がでるため好ましくない。
【0016】
本発明で用いる食用油脂としては、大豆油、菜種油、トウモロコシ油、綿油、ヒマワリ油、サフラワー油、パーム油、または植物性油脂及びそれらに水素添加された硬化油、豚脂、牛脂、鶏脂、魚脂等の動物性油脂及びそれらの水素添加された硬化油、あるいはこれらの油脂類のエステル交換油及びそれらの水素添加された硬化油等があり、生鮮肉に混合して摂食したときに違和感がないものであれば食用として一般に用いられている油脂は全て利用できる。これらの油脂は単独で、あるいは、2種以上の混合物として使用できるが、低温での生鮮肉のとのなじみ、生鮮肉の組織中への浸透性、あるいは摂食時の食味等から融点の高すぎる油脂は好ましくなく、使用する油脂の融点は35℃以下であることが望ましい。
【0017】
本発明の生鮮肉加工食品用の油脂組成物は、油脂及びポリソルベートの融点以上の温度での両成分の攪拌混合により調製できる。また、必要に応じて、油脂組成物に調味料を加えることもできる。調味料を含む油脂組成物は、油脂及びポリソルベートの混合された油脂組成物中に調味料水溶液を添加し攪拌混合または必要に応じてホモゲナイズすることにより調製される。油脂組成物の魚肉に対しての添加量としては5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%で使用することが望ましい。5重量%より少ないと良好な食味を得ることができず、30重量%より多いと脂感が強くなりすぎるため好ましくない。
【0018】
本発明の生鮮肉加工食品は、本発明の生鮮肉加工食品用の油脂組成物を生鮮魚肉や生鮮畜肉といった生鮮肉に添加することにより調製される。生鮮肉加工食品用の油脂組成物の生鮮肉への添加方法は、常法により行われるが、例えば、本発明の生鮮肉加工食品用の油脂組成物を、裁断した生鮮魚肉や生鮮畜肉に添加し、フードカッター等を用いて混合し、本発明の生鮮肉加工食品を得ることができる。生鮮魚肉を用いて得られた生鮮肉加工食品は、各種鮨種や丼の具材として用いられ、生鮮畜肉を用いて得られた生鮮肉加工食品は、ユッケ等として用いられる。
【0019】
又、本発明の生鮮肉加工品には、その効果を妨げない範囲において、醤油、ラー油等の調味料、ネギ、しそ、キュウリ等の野菜加工品、コハク酸塩、グルタミン酸塩等の調味料、クエン酸、コハク酸等の酸味料、グリシン、酢酸塩等の日持向上剤、ε−ポリリジン等の保存料、リゾチーム等の酵素、pH調整剤、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン等の乳化剤、香料、色素、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸ナトリウム等の増粘多糖類、膨張剤、乳清たん白質、大豆たん白質等のたん白質、ショ糖、果糖、還元デンプン糖化物、エリスリトール、キシリトール等の糖類、スクラロース、ソーマチン等の甘味料、澱粉、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類、鉄、カルシウム等のミネラル類、サトウキビ抽出物等のマスキング剤等を添加することができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
実験例1(まぐろのたたき)
トウモロコシ油70重量部及び魚油30重量部の混合油にポリソルベート80を下記に示す重量部添加混合し本発明の油脂組成物を得た。この油脂組成物1kgにマグロ赤身をたたき状にしたもの5kgを混合機にいれ攪拌し、実施例1〜5の生鮮魚肉加工食品(まぐろのたたき)を得た。また、ポリソルベートを添加すること以外は実施例1〜5と同様の処方により調製し、本発明の油脂組成物を含まない比較例1の生鮮魚肉加工食品(まぐろのたたき)を得た。得られた実施例1〜5および比較例1の生鮮魚肉加工食品(まぐろのたたき)に関して、外観、食感および乳化性に関して評価した。その結果を表1に示す。乳化性の評価は6gの魚肉加工品を半径2.7cmの円柱の容器に注入し、ろ紙(直径9cm)の上に静置し、染み出す油の泳動距離によって評価した。
【0022】
【表1】
【0023】
表1の結果に示すように、実施例1〜5の生鮮魚肉加工食品(まぐろのたたき)においては、油分の流出が比較例1に比して抑制されており良好なものであった。特に実施例2〜4の生鮮魚肉加工食品においては、外観上もピンクの乳白色(ネギトロ状)となり、油脂分の分離がみられず、食した際においても、おいしいものであった。比較例1においては、油脂分と魚肉との分離がみられ、外観上も優れず、また、食した際においても、油脂分の味が際だち、風味、食感とも優れないものであった。
【0024】
実験例2(さけのたたき)
コーン硬化油50重量部及びコーン白絞油50重量部の混合油にポリソルベート80を対油3重量部添加混合し本発明の油脂組成物を得た。この油脂組成物0.8kgにさけをたたき状にしたもの5kgを混合機にいれ攪拌し、実施例6の生鮮魚肉加工食品(さけのたたき)を得た。また、ポリソルベートを添加すること以外は実施例6と同様の処方により調製し、本発明の油脂組成物を含まない比較例2の生鮮魚肉加工食品(さけのたたき)も得た。得られた実施例6および比較例2のさけのたたきに関して、外観及び食感に関して観察し、その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
実施例6のさけのたたきは油脂分の分離がみられず、食した際においても、旨味、コク味が増強され、おいしいものであったのに対し、比較例2のさけのたたきは油脂分と魚肉との分離がみられ、外観上も優れず、また、食した際においても、油脂分の味が際だち、風味、食感とも優れないものであった。
【0027】
実施例1(ユッケ)
コーン硬化油50重量部、コーン白絞油45重量部、ごま油5重量部の混合油にポリソルベート80を対油5重量部加え、混合し、本発明の油脂組成物を得た。本発明の油脂組成物1kgを細切りにした牛バラ肉10kg、醤油1kg、砂糖500g、おろしニンニク1kg、ゴマ500g、ねぎ500gに添加混合しユッケを得た。得られたユッケは、油脂分の流出がみられずおいしいものであった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、生鮮肉加工食品用の油脂組成物及びこの油脂組成物を用いた生鮮肉加工食品に関する。より詳細には、生食に供する生鮮魚肉や生鮮畜肉等の生鮮肉に油脂を含有させる加工食品において、油脂分と肉とがなじみ、油脂分の流出が抑制される生鮮肉加工食品用の油脂組成物及びこれを用いた生鮮水畜産加工食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の流通の充実に伴い、生鮮魚肉や生鮮畜肉が多く消費されるようになっている。特に、回転鮨ブームもあり、生鮮魚肉においては、刺身や寿司種や丼の具材等として大量に消費されている。
【0003】
生食用の生鮮魚肉には、刺身や寿司種及び丼の具材などとして好まれる魚種があり、また好まれる魚種であっても、特に好まれる部位と食味が劣るため好まれない部位がある。例えば、マグロや鮭の大トロと呼ばれる部位や、鰤、カンパチ、シマアジなどの魚種で脂ののった部位が特に好まれる。そのためにこの様な魚種及びその部位は他の魚種及び部位に比べて高価である。脂ののった部位は魚体に対して1/3〜1/4の割合しかなく希少価値が重要視されている。一方、脂肪含有量の少ない赤身は淡白な風味でコク味がなく、魚体に対しての割合が多く価値が低い状況にある。
【0004】
これは脂身の組成と赤身の組成を対比すると、魚肉の場合、赤身は水分65〜70重量%、脂肪分1〜10重量%に対して、脂身は水分50〜60重量%、脂肪分10〜30重量%であり、これらの組成の相違により、魚体に対しての割合が少ない脂身のほうがコク味、ウマ味ともに良好である。
【0005】
そのため、生食では食味が劣るために好まれない魚種や好まれる魚種であっても好まれない部位を加工し、食味を向上させ生食用として有効利用する生鮮魚肉加工食品が試みられており、例えば、ミンチ状生鮮魚肉に、その融点が15〜40℃であり、かつ20℃の固体脂指数が5〜25であるコーン硬化油とコーン白絞油の混合系のショートニングを1〜30重量%含ませる方法(特許2503471号)、マグロの粉砕肉100重量部あたりガス量が100g中20ml以下である急冷練り合わせをしたショートニングを5〜25重量部加えて練り合わせる方法(特許2570298号)、ミンチ状生鮮魚肉に、魚介類からの抽出液で呈味成分を含有し油脂の融点が15〜40℃でかつ固体脂指数が20℃で5〜25である油中水分散型エマルジョンを1〜30重量%混合する方法(特許2570298号)、食用油脂に対しポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル及びグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルの内から選ばれた1種又は2種以上の乳化剤を配合する方法(特開2000−60495号)等が提案されている。
【0006】
しかし、これらの方法では、生鮮魚肉加工食品において、生鮮魚肉と油脂分とが充分になじまず、生鮮魚肉加工食品から油脂分が流出したり、また、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の安定剤を配合すると、生鮮魚肉加工食品にポリグリセリン脂肪酸エステル由来の油くささが呈されることがあり問題となっていた。
また、ユッケ等の生鮮畜肉と油脂分を混合する加工食品においても、生鮮畜肉と油脂分とがなじまず、生鮮畜肉加工食品から油脂分が流出することがあり問題となっていた。
【0007】
そこで、生鮮魚肉や生鮮畜肉と油脂分とが充分になじみ、生鮮魚肉や生鮮畜肉を加工した、生鮮肉加工食品からの油脂分の流出が抑制され、食味、食感の劣る肉類の食味、食感を改善し、かつ、安定剤由来の油くささを呈さない生鮮肉加工食品用の油脂組成物や生鮮肉加工食品が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題に鑑み、生食に供する生鮮肉の食味向上等の目的で生鮮肉に油脂分を混合する生鮮肉加工食品において、油脂分が生鮮肉となじみ、生鮮肉加工食品から油脂分の流出が抑制され、また、外観が改善され、摂食に際して違和感のない生鮮肉加工食品を得ることができる、生鮮肉加工食品用の油脂組成物、及び、生鮮肉加工食品を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、生鮮肉への混合用に使用される食用油脂に対して、ポリソルベートを配合することにより、当該油脂と生鮮肉とのなじみが大きく改善され、特に、生鮮魚肉においては、油脂の魚肉表面への均一な付着あるいは魚肉組織内への浸透により食味の改善がはかられると同時に外観上も優れたものに改善されることを見いだした。また、得られた生鮮肉加工食品は、油脂分の流出が抑制されており、安定剤に由来する臭いも呈さ無いことを見いだし、本発明をするに到った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記項1及び項2に掲げる生鮮肉加工食品用の油脂組成物である。
項1:ポリソルベート及び食用油脂を配合することを特徴とする生鮮肉加工食品用の油脂組成物。
項2:ポリソルベートが、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート65から選ばれる1種以上のポリソルベートである請求項1に記載の生鮮肉加工食品用の油脂組成物。
【0011】
また、本発明は、下記項3に掲げる生鮮肉加工食品である。
項3:項1又は2に記載の生鮮肉加工食品用の油脂組成物を含む生鮮肉加工食品。
項4:生鮮肉加工食品用の油脂組成物の配合量が5〜30重量%である項3に記載の生鮮肉加工食品。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の生鮮肉加工食品用の油脂組成物とは、ポリソルベート及び食用油脂を含む油脂組成物をいう。
【0013】
本発明の生鮮肉加工食品に用いられる生鮮肉としては、生食が可能である生鮮魚肉、生鮮畜肉であればよく、その種類や部位には限定されない。生鮮魚肉においては、“すき身”や“中落ち”と呼ばれるそのまま摂食されるのに適した大きさの切り身と、“たたき”と呼ばれる細かく裁断された形態のものがあるが、その大きさや裁断方法は特に限定されるものではない。また、生鮮魚肉や生鮮畜肉を湯通ししたものや、生鮮魚肉や生鮮畜肉の表面を軽く焙ったものも本発明の生鮮肉加工食品用の生鮮肉とすることができる。
【0014】
本発明で用いるポリソルベートとは、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシド20モルを付加させた親水性の非イオン界面活性剤で、優れた乳化性、可溶化性、分散性を示すため化粧品、医薬品をはじめ幅広い分野で使用されているものであればよいが、効果の点より、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート65 (ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート)を用いることが望ましい。
【0015】
本発明において使用されるポリソルベートは油脂に容易に溶解することができ、且つ、その油脂を親水性に改質して表面が親水性である生鮮肉表面への付着あるいは生鮮肉の組織内への浸透性を高める作用を有することができる。ポリソルベートの添加量としては、食用油脂に対して1〜10重量%で使用することが望ましい。1%よりポリソルベートの添加量が少ないと充分に油脂分の流出を抑制することができず、10%より多いとポリソルベートの味がでるため好ましくない。
【0016】
本発明で用いる食用油脂としては、大豆油、菜種油、トウモロコシ油、綿油、ヒマワリ油、サフラワー油、パーム油、または植物性油脂及びそれらに水素添加された硬化油、豚脂、牛脂、鶏脂、魚脂等の動物性油脂及びそれらの水素添加された硬化油、あるいはこれらの油脂類のエステル交換油及びそれらの水素添加された硬化油等があり、生鮮肉に混合して摂食したときに違和感がないものであれば食用として一般に用いられている油脂は全て利用できる。これらの油脂は単独で、あるいは、2種以上の混合物として使用できるが、低温での生鮮肉のとのなじみ、生鮮肉の組織中への浸透性、あるいは摂食時の食味等から融点の高すぎる油脂は好ましくなく、使用する油脂の融点は35℃以下であることが望ましい。
【0017】
本発明の生鮮肉加工食品用の油脂組成物は、油脂及びポリソルベートの融点以上の温度での両成分の攪拌混合により調製できる。また、必要に応じて、油脂組成物に調味料を加えることもできる。調味料を含む油脂組成物は、油脂及びポリソルベートの混合された油脂組成物中に調味料水溶液を添加し攪拌混合または必要に応じてホモゲナイズすることにより調製される。油脂組成物の魚肉に対しての添加量としては5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%で使用することが望ましい。5重量%より少ないと良好な食味を得ることができず、30重量%より多いと脂感が強くなりすぎるため好ましくない。
【0018】
本発明の生鮮肉加工食品は、本発明の生鮮肉加工食品用の油脂組成物を生鮮魚肉や生鮮畜肉といった生鮮肉に添加することにより調製される。生鮮肉加工食品用の油脂組成物の生鮮肉への添加方法は、常法により行われるが、例えば、本発明の生鮮肉加工食品用の油脂組成物を、裁断した生鮮魚肉や生鮮畜肉に添加し、フードカッター等を用いて混合し、本発明の生鮮肉加工食品を得ることができる。生鮮魚肉を用いて得られた生鮮肉加工食品は、各種鮨種や丼の具材として用いられ、生鮮畜肉を用いて得られた生鮮肉加工食品は、ユッケ等として用いられる。
【0019】
又、本発明の生鮮肉加工品には、その効果を妨げない範囲において、醤油、ラー油等の調味料、ネギ、しそ、キュウリ等の野菜加工品、コハク酸塩、グルタミン酸塩等の調味料、クエン酸、コハク酸等の酸味料、グリシン、酢酸塩等の日持向上剤、ε−ポリリジン等の保存料、リゾチーム等の酵素、pH調整剤、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン等の乳化剤、香料、色素、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸ナトリウム等の増粘多糖類、膨張剤、乳清たん白質、大豆たん白質等のたん白質、ショ糖、果糖、還元デンプン糖化物、エリスリトール、キシリトール等の糖類、スクラロース、ソーマチン等の甘味料、澱粉、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類、鉄、カルシウム等のミネラル類、サトウキビ抽出物等のマスキング剤等を添加することができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
実験例1(まぐろのたたき)
トウモロコシ油70重量部及び魚油30重量部の混合油にポリソルベート80を下記に示す重量部添加混合し本発明の油脂組成物を得た。この油脂組成物1kgにマグロ赤身をたたき状にしたもの5kgを混合機にいれ攪拌し、実施例1〜5の生鮮魚肉加工食品(まぐろのたたき)を得た。また、ポリソルベートを添加すること以外は実施例1〜5と同様の処方により調製し、本発明の油脂組成物を含まない比較例1の生鮮魚肉加工食品(まぐろのたたき)を得た。得られた実施例1〜5および比較例1の生鮮魚肉加工食品(まぐろのたたき)に関して、外観、食感および乳化性に関して評価した。その結果を表1に示す。乳化性の評価は6gの魚肉加工品を半径2.7cmの円柱の容器に注入し、ろ紙(直径9cm)の上に静置し、染み出す油の泳動距離によって評価した。
【0022】
【表1】
【0023】
表1の結果に示すように、実施例1〜5の生鮮魚肉加工食品(まぐろのたたき)においては、油分の流出が比較例1に比して抑制されており良好なものであった。特に実施例2〜4の生鮮魚肉加工食品においては、外観上もピンクの乳白色(ネギトロ状)となり、油脂分の分離がみられず、食した際においても、おいしいものであった。比較例1においては、油脂分と魚肉との分離がみられ、外観上も優れず、また、食した際においても、油脂分の味が際だち、風味、食感とも優れないものであった。
【0024】
実験例2(さけのたたき)
コーン硬化油50重量部及びコーン白絞油50重量部の混合油にポリソルベート80を対油3重量部添加混合し本発明の油脂組成物を得た。この油脂組成物0.8kgにさけをたたき状にしたもの5kgを混合機にいれ攪拌し、実施例6の生鮮魚肉加工食品(さけのたたき)を得た。また、ポリソルベートを添加すること以外は実施例6と同様の処方により調製し、本発明の油脂組成物を含まない比較例2の生鮮魚肉加工食品(さけのたたき)も得た。得られた実施例6および比較例2のさけのたたきに関して、外観及び食感に関して観察し、その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
実施例6のさけのたたきは油脂分の分離がみられず、食した際においても、旨味、コク味が増強され、おいしいものであったのに対し、比較例2のさけのたたきは油脂分と魚肉との分離がみられ、外観上も優れず、また、食した際においても、油脂分の味が際だち、風味、食感とも優れないものであった。
【0027】
実施例1(ユッケ)
コーン硬化油50重量部、コーン白絞油45重量部、ごま油5重量部の混合油にポリソルベート80を対油5重量部加え、混合し、本発明の油脂組成物を得た。本発明の油脂組成物1kgを細切りにした牛バラ肉10kg、醤油1kg、砂糖500g、おろしニンニク1kg、ゴマ500g、ねぎ500gに添加混合しユッケを得た。得られたユッケは、油脂分の流出がみられずおいしいものであった。
Claims (4)
- ポリソルベート及び食用油脂を配合することを特徴とする生鮮肉加工食品用の油脂組成物。
- ポリソルベートが、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート65から選ばれる1種以上のポリソルベートである請求項1に記載の生鮮肉加工食品用の油脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の生鮮肉加工食品用の油脂組成物を含む生鮮肉加工食品。
- 生鮮肉加工食品用の油脂組成物の配合量が5〜30重量%である請求項3に記載の生鮮肉加工食品。
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JP2002244806A JP2004081059A (ja) | 2002-08-26 | 2002-08-26 | 生鮮肉加工食品用の油脂組成物及びこれを含む生鮮肉加工食品 |
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KR101573407B1 (ko) | 2013-12-12 | 2015-12-01 | 주식회사 삼양사 | 저지방 마가린용 조성물, 이를 사용하여 제조된 저지방 마가린 및 마가린 제조 방법 |
-
2002
- 2002-08-26 JP JP2002244806A patent/JP2004081059A/ja active Pending
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