JP2004079062A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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    • G11B5/62Record carriers characterised by the selection of the material
    • G11B5/64Record carriers characterised by the selection of the material comprising only the magnetic material without bonding agent
    • G11B5/66Record carriers characterised by the selection of the material comprising only the magnetic material without bonding agent the record carriers consisting of several layers
    • G11B5/672Record carriers characterised by the selection of the material comprising only the magnetic material without bonding agent the record carriers consisting of several layers having different compositions in a plurality of magnetic layers, e.g. layer compositions having differing elemental components or differing proportions of elements

Abstract

【課題】これまで以上に高い周波数の書き込み信号に十分に対応することができる磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】基板21の表面には多結晶構造膜22が形成される。多結晶構造膜22では、第2磁性層29は第1磁性層31に比べて大きな飽和磁束密度を有することから、第1磁性層31単独で磁気記録層が提供される場合に比べて大きな残留磁化が積層体の磁気記録層には確保される。積層体全体の膜厚が縮小されても、十分な大きさのtBr(膜厚と残留磁化との積)は確保される。十分な大きさの再生出力は確保される。膜厚の縮小に伴い第1および第2磁性層29、31では磁性結晶粒の微小化は実現される。記録再生分解能特性は高められる。十分に高い周波数で磁気情報は書き込まれることができる。しかも、十分な保磁力は確保される。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばハードディスク駆動装置(HDD)に組み込まれる磁気ディスクといった磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、磁気ディスクでは基板の表面に記録用の磁性層が積層される。こういった磁性層は、Co原子に基づき形成される磁性結晶粒で構成される。周知の通りに、磁性層では結晶粒界に沿ってCr原子の偏析が実施される。その結果、磁性結晶粒同士の間にはCr非磁性壁が形成される。Cr非磁性壁は磁性結晶粒同士の相互作用を抑制する。こうして磁性結晶粒同士の相互作用が抑制されると、磁気情報の読み出しにあたってノイズは低減される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
記録密度の向上にあたって磁性層内では磁性結晶粒の微小化が要求される。一般に、磁性層の膜厚が十分に薄膜化されれば磁性結晶粒の微小化は実現されることが広く知られる。しかしながら、磁性層の膜厚が減少すると、tBr(膜厚と残留磁化との積)の減少に伴い磁性層から漏れ出る磁界の強さは弱まる。したがって、十分な大きさの再生出力は確保されることができない。しかも、磁性層の膜厚の減少は保磁力Hcの低下を引き起こす。保磁力Hcが過度に低下すると、磁性層に記録された磁気情報は熱攪乱などに起因して容易に破壊されてしまう。
【0004】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、これまで以上に高い周波数の書き込み信号に十分に対応することができ、かつ、保磁力の低下を伴わずに十分に磁性層の薄膜化を実現することができる磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、第1飽和磁束密度を有する第1磁性層と、第1磁性層上に積層されて、第1飽和磁束密度よりも大きい第2飽和磁束密度を有する第2磁性層とを備えることを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
【0006】
こういった磁気記録媒体では、第1磁性層および第2磁性層の積層体で磁気記録層は形成される。第2磁性層は第1磁性層に比べて大きな飽和磁束密度を有することから、第1磁性層単独で磁気記録層が提供される場合に比べて大きな残留磁化が積層体の磁気記録層には確保されることができる。したがって、積層体全体の膜厚が縮小されても、十分な大きさのtBr(膜厚と残留磁化との積)は確保されることができる。十分な大きさの再生出力は確保されることができる。
【0007】
しかも、こういった第1および第2磁性層の積層体では十分な保磁力が確保されることができる。膜厚の減少にも拘わらず保磁力の低下は回避されることができる。その結果、第1および第2磁性層に記録された磁気情報は確実に記録磁性層内に保持されることができる。
【0008】
第1磁性層には、例えば、Co原子に基づき形成される磁性結晶粒と、磁性結晶粒同士の間に形成されるCr非磁性壁とが含まれればよい。同様に、第2磁性層には、Co原子に基づき形成される磁性結晶粒と、磁性結晶粒同士の間に形成されるCr非磁性壁とが含まれればよい。このとき、第2磁性層に含まれるCr原子の含有量は第1磁性層に含まれるCr原子のそれよりも小さく設定されればよい。ただし、第2磁性層の飽和磁束密度は0.5[T]以上に確保されることが要求される。
【0009】
前述のように十分な大きさのtBrが確保されつつ第1および第2磁性層の膜厚が縮小されると、第1および第2磁性層では磁性結晶粒の微小化は実現されることができる。記録再生分解能特性は高められる。第1および第2磁性層には十分に高い周波数で磁気情報は書き込まれることができる。こうして書き込み信号の周波数が高められれば、磁気記録媒体の記録密度は高められることができる。
【0010】
本発明者の検証によれば、第2磁性層の膜厚は0.5〜3.0nmの範囲で設定されることが望まれる。第2磁性層では、第1磁性層に比べて例えばCrといった非磁性原子の含有量が小さいことから、磁性結晶粒同士の間に十分な非磁性壁が形成されることはできない。第2磁性層では磁性結晶粒同士の間で磁気的相互作用が十分に断ち切られることができない。第2磁性層の膜厚が3.0nmを越えると、第1および第2磁性層の積層体では第1磁性層の特性に比べて第2磁性層の特性が大きく影響してしまう。磁気情報の読み出しにあたってノイズは十分に低減されることができない。
【0011】
その他、第1磁性層は下地磁性層上に積層されてもよい。この下地磁性層には、例えば、Co原子に基づき形成される磁性結晶粒と、磁性結晶粒同士の間に形成されるCr非磁性壁とが含まれればよい。こういった下地磁性層の働きによれば、第1磁性層ではいわゆる面内方向に良好に磁化容易軸が確立されることができる。ただし、下地磁性層の膜厚は0.1〜3.5nmの範囲で設定されることが望まれる。本発明者の検証によれば、下地磁性層の膜厚がこの範囲から逸脱すると、磁気情報の読み出しにあたってノイズは十分に低減されることができなくなってしまう。
【0012】
さらに、下地磁性層は非磁性下地層上に積層されてもよい。この非磁性下地層には例えばCrといった非磁性原子が含まれればよい。この非磁性下地層にCr層が用いられる場合には、非磁性下地層の膜厚は例えば0.5〜7.0nm程度に設定されればよい。
【0013】
なお、以上のような磁気記録媒体には、例えばハードディスク駆動装置(HDD)に組み込まれる磁気ディスクのほか、様々な磁気記録媒体が含まれることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
図1は磁気記録媒体駆動装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)11の内部構造を概略的に示す。このHDD11は、例えば平たい直方体の内部空間を区画する箱形の筐体本体12を備える。収容空間には、記録媒体としての1枚以上の磁気ディスク13が収容される。磁気ディスク13はスピンドルモータ14の回転軸に装着される。スピンドルモータ14は例えば7200rpmや10000rpmといった高速度で磁気ディスク13を回転させることができる。筐体本体12には、筐体本体12との間で収容空間を密閉する蓋体すなわちカバー(図示されず)が結合される。
【0016】
収容空間にはヘッドアクチュエータ15がさらに収容される。このヘッドアクチュエータ15は、垂直方向に延びる支軸16に回転自在に支持されるアクチュエータブロック17を備える。アクチュエータブロック17には、支軸16から水平方向に延びる剛体のアクチュエータアーム18が規定される。アクチュエータアーム18は磁気ディスク13の表面および裏面ごとに配置される。アクチュエータブロック17は例えば鋳造に基づきアルミニウムから成型されればよい。
【0017】
アクチュエータアーム18の先端にはヘッドサスペンション19が取り付けられる。ヘッドサスペンション19は、アクチュエータアーム18の先端から前方に向かって延びる。周知の通り、ヘッドサスペンション19の前端には浮上ヘッドスライダ21が支持される。こうして浮上ヘッドスライダ21はアクチュエータブロック17に連結される。浮上ヘッドスライダ21は磁気ディスク13の表面に向き合わせられる。
【0018】
浮上ヘッドスライダ21にはいわゆる磁気ヘッドすなわち電磁変換素子(図示されず)が搭載される。この電磁変換素子は、例えば、スピンバルブ膜やトンネル接合膜の抵抗変化を利用して磁気ディスク13から情報を読み出す巨大磁気抵抗効果素子(GMR)やトンネル接合磁気抵抗効果素子(TMR)といった読み出し素子(図示されず)と、薄膜コイルパターンで生成される磁界を利用して磁気ディスク13に情報を書き込む薄膜磁気ヘッドといった書き込み素子(図示されず)とで構成されればよい。
【0019】
浮上ヘッドスライダ21には、磁気ディスク13の表面に向かってヘッドサスペンション19から押し付け力が作用する。磁気ディスク13の回転に基づき磁気ディスク13の表面で生成される気流の働きで浮上ヘッドスライダ21には浮力が作用する。ヘッドサスペンション19の押し付け力と浮力とのバランスで磁気ディスク13の回転中に比較的に高い剛性で浮上ヘッドスライダ21は浮上し続けることができる。
【0020】
アクチュエータブロック17には例えばボイスコイルモータ(VCM)といった動力源22が接続される。この動力源22の働きでアクチュエータブロック17は支軸16回りで回転することができる。こうしたアクチュエータブロック16の回転に基づきアクチュエータアーム17およびヘッドサスペンション19の揺動は実現される。浮上ヘッドスライダ21の浮上中に、支軸16回りでアクチュエータアーム18が揺動すると、浮上ヘッドスライダ21は半径方向に磁気ディスク13の表面を横切ることができる。周知の通り、複数枚の磁気ディスク13が筐体本体12内に組み込まれる場合には、隣接する磁気ディスク13同士の間で2本のアクチュエータアーム18すなわち2つのヘッドサスペンション19が配置される。
【0021】
図2は磁気ディスク13の断面構造を詳細に示す。この磁気ディスク13は、支持体としての基板21と、この基板21の表裏面に広がる多結晶構造膜22とを備える。基板21は、例えば、ディスク形のAl本体23と、Al本体23の表裏面に広がるNiP膜24とで構成されればよい。ただし、基板21にはガラス基板が用いられてもよい。多結晶構造膜22に磁気情報は記録される。多結晶構造膜22の表面は例えばダイヤモンドライクカーボンといった炭素保護膜25や潤滑膜26で被覆される。
【0022】
多結晶構造膜22は、基板21の表面に広がる下地結晶層27を備える。この下地結晶層27は、NiP膜24の表面に積層形成される第1非磁性下地層27aと、この第1非磁性下地層27aの表面に積層形成される第2非磁性下地層27bとを備える。第1および第2非磁性下地層27a、27bは例えばCrといった非磁性材料から構成されればよい。ただし、第2非磁性下地層27bにはCrよりも大きい格子定数を有するMoやWが添加される。
【0023】
第2非磁性下地層27bの表面には下地磁性層28が広がる。下地磁性層28は例えばCoCrTa合金といったhcp構造(六方細密構造)のCo系合金から構成されればよい。下地磁性層28には、Cr、Ta、Mo、Mn、ReおよびRuの少なくともいずれか1つが添加されればよい。下地磁性層28ではCo原子に基づき磁性結晶粒は形成される。磁性結晶粒同士の間にはCr非磁性壁が形成される。Cr非磁性壁は磁性結晶粒同士の磁気的相互作用を断ち切ることができる。下地磁性層28の膜厚は例えば0.1〜3.5nmの範囲で設定されればよい。
【0024】
下地磁性層28の表面には第1磁性層29が広がる。この第1磁性層29は例えばCoCrPtB合金の積層体29a、29bから構成されればよい。このとき、例えば下側のCoCrPtB層29aでは上側のCoCrPtB層29bよりも大きな含有量でPtが含まれればよく、上側のCoCrPtB層29bでは下側のCoCrPtB層29aよりも小さな含有量でCrが含まれればよい。第1磁性層29ではCo原子に基づき磁性結晶粒は形成される。磁性結晶粒同士の間にはCr非磁性壁が形成される。Cr非磁性壁は磁性結晶粒同士の磁気的相互作用を断ち切ることができる。その他、第1磁性層29は単層のCo系合金から構成されてもよい。
【0025】
第1磁性層29の表面には第2磁性層31が広がる。この第2磁性層31は例えばCoCrTa合金といったhcp構造のCo系合金から構成されればよい。第2磁性層31ではCo原子に基づき磁性結晶粒は形成される。磁性結晶粒同士の間にはCr非磁性壁が形成される。Cr非磁性壁は磁性結晶粒同士の磁気的相互作用を断ち切ることができる。第2磁性層31の膜厚は例えば0.5〜3.0nmの範囲で設定されればよい。ここで、第2磁性層31には、前述の第1磁性層29に比べて大きな飽和磁束密度Bsが与えられる。こういった飽和磁束密度Bsの実現にあたって第2磁性層31には第1磁性層29に比べて小さい含有量(原子%)でCr原子が含まれればよい。第2磁性層31には0.5[T]以上の飽和磁束密度Bsが確保されればよい。
【0026】
以上のような多結晶構造膜22では、第1および第2磁性層29、31の積層体で磁気記録層は形成される。第2磁性層31は第1磁性層29に比べて大きな飽和磁束密度Bsを有することから、第1磁性層29単独で磁気記録層が提供される場合に比べて大きな残留磁化Brが積層体の磁気記録層には確保されることができる。したがって、積層体全体の膜厚が縮小されても、十分な大きさのtBr(膜厚と残留磁化との積)は確保されることができる。十分な大きさの再生出力は確保されることができる。
【0027】
こうして十分な大きさのtBrが確保されつつ第1および第2磁性層29、31の膜厚が縮小されると、第1および第2磁性層29、31では磁性結晶粒の微小化は実現されることができる。記録再生分解能特性は高められる。第1および第2磁性層29、31には十分に高い周波数で磁気情報は書き込まれることができる。こうして書き込み信号の周波数が高められれば、磁気ディスク13の記録密度は高められることができる。記録再生分解能Resは次式で表現される。
【0028】
【数1】
Figure 2004079062
ここで、VF2、VF8は記録磁性層から読み出される再生出力の大きさを示す。VF2の検出にあたって記録磁性層には最高周波数の2分の1の周波数で磁気情報は書き込まれる。VF8の検出にあたって記録磁性層には最高周波数の8分の1の周波数で磁気情報は書き込まれる。最高周波数は任意の周波数に設定されればよい。広く知られるように、記録磁性層の記録再生分解能Resの値が大きいほど、高い周波数で書き込まれる磁気情報の再生出力は増大する。それだけ磁気ディスク13には高い周波数で磁気情報は書き込まれることができる。
【0029】
しかも、こういった第1および第2磁性層29、31の積層体では十分な保磁力Hcが確保されることができる。膜厚の減少にも拘わらず保磁力Hcの低下は回避されることができる。その結果、第1および第2磁性層29、31に記録された磁気情報は確実に記録磁性層内に保持されることができる。
【0030】
次に磁気ディスク13の製造方法を簡単に説明する。まず、ディスク形の基板21は用意される。基板21の表面には予めNiP膜24が積層形成される。NiP膜24の形成にあたって例えば無電解めっき法は用いられる。基板21は例えばスパッタリング装置に装着される。このスパッタリング装置内で基板21の表面には多結晶構造膜22が形成される。形成方法の詳細は後述される。その後、多結晶構造膜22の表面には炭素保護膜25や潤滑膜26が形成される。炭素保護膜25は例えばCVD法(化学的気相蒸着法)に基づき積層形成されればよい。
【0031】
スパッタリング装置ではいわゆるDCマグネトロンスパッタリング法に基づき多結晶構造膜22は成膜される。成膜にあたってスパッタリング装置のチャンバ内にはArガスが導入される。チャンバ内は例えば0.67[Pa]の圧力下に保持される。Arガスの導入に先立ってチャンバ内には4.0×10−5[Pa]程度の真空環境が確立される。
【0032】
成膜に先立って基板21は摂氏220度程度に加熱される。加熱に基づき基板21の表面に付着する不純物は除去される。ここでは、基板21は少なくとも摂氏200度以上に加熱されることが望まれる。ただし、摂氏270度を超えると、NiP膜24の結晶化に基づきNiP膜24で磁化が確立されてしまう。したがって、基板21の温度は摂氏270度以下に留められる。
【0033】
図3に示されるように、基板21の表面には第1非磁性下地層27aが成膜される。成膜にあたってCrターゲットは用いられる。Cr原子33は基板21の表面に堆積する。Cr原子33は基板21上で結晶粒を形成する。基板21は高温に維持されることから、基板21上に形成されるCr層34では所定の向きに結晶の配向は揃えられる。Cr層34は例えば膜厚5.0nm程度に成膜される。
【0034】
続いて図4に示されるように、Cr層34の表面には第2非磁性下地層27bが成膜される。成膜にあたってCrMoターゲットが用いられる。CrMoターゲットには所定の含有量でMoが添加される。こうしてCr層34の表面にはCrMo合金層35が形成される。CrMo合金層35内では前述のCr層34に基づきエピタキシャル成長が確立される。CrMo合金層35は膜厚2.0nm程度に成膜される。
【0035】
続いて図5に示されるように、CrMo合金層35の表面には下地磁性層28が成膜される。成膜にあたってCoCrTaターゲットは用いられる。CrMo合金層35の表面にはCoCrTa合金層36が形成される。CoCrTa合金層36内では前述のCrMo層35に基づきエピタキシャル成長が確立される。CoCrTa合金層36の膜厚は0.1〜3.5nm程度の範囲で設定されればよい。
【0036】
続いて図6に示されるように、CoCrTa合金層36の表面には第1磁性層29および第2磁性層31が相次いで成膜される。第1磁性層29の成膜にあたってCoCrPtBターゲットが用いられる。同様に、第2磁性層31の成膜にあたってCoCrTaターゲットは用いられる。このとき、CoCrTaターゲットでは、CoCrPtBターゲットに比べてCrの含有量(原子%)は抑制される。CoCrTa合金層36の表面にはCoCrPtB合金層37、38が相次いで形成される。各CoCrPtB合金層37、38ではエピタキシャル成長に基づき磁性結晶粒が確立される。前述のCr層34の働きでCoCrPtB合金層37、38では面内方向に良好に磁化容易軸が確立される。基板21が高温に維持されることから、磁性結晶粒同士の間にはCr原子39が偏析する。Cr原子39は非磁性壁を作り出す。CoCrPtB合金層38の表面にはCoCrTa合金層41が形成される。CoCrTa合金層41では0.5[T]程度の飽和磁束密度Bsが確保されればよい。第1および第2磁性層29、31の積層体の膜厚tはtBr=5.5[nTm]程度を目安に設定されればよい。
【0037】
本発明者は、以上のように製造された多結晶構造膜22の磁気特性を検証した。第1非磁性下地層27aすなわちCr層34の膜厚は5.0nmに設定された。第2非磁性下地層27bすなわちCrMo合金層35の膜厚2.0nmに設定された。第2磁性層31すなわちCoCrTa合金層41の飽和磁束密度Bsは0.5[T]に設定された。この設定にあたって第2磁性層31に含まれるCr原子の含有量(原子%)は調整された。第1および第2磁性層29、31の積層体ではtBrは5.5[nTm]に設定された。
【0038】
本発明者は多結晶構造膜22の記録再生分解能Resを測定した。測定にあたってGMR(巨大磁気抵抗効果)ヘッドは用いられた。このとき、下地磁性層28すなわちCoCrTa合金層36の膜厚は1.0nm、2.0nmおよび3.0nmといった具合に変更された。同様に、用意された1比較例では下地磁性層28の形成は省略された。図7から明らかなように、下地磁性層28の膜厚が2.0nm付近で記録再生分解能Resは最大値を記録した。下地磁性層28の膜厚が0.1〜3.5nmの範囲で設定されると、記録再生分解能Resは十分に高められることが確認された。
【0039】
同様に、本発明者は多結晶構造膜22の記録再生分解能Resを測定した。ここでは、下地磁性層28の膜厚は2.0nmに固定された。その一方で、第2磁性層31すなわちCoCrTa合金層41の膜厚は0.5nm、1.0nm、1.5nm、2.0nmおよび4.0nmといった具合に変更された。第2磁性層31の膜厚の変更に伴い第1磁性層29の膜厚は調整された。調整にあたって第1および第2磁性層29、31の積層体ではtBrは5.5[nTm]に設定された。用意された1比較例では第2磁性層31の形成は省略された。図8から明らかなように、第2磁性層31の膜厚が2.0〜2.5nm付近で記録再生分解能Resは最大値を記録した。第2磁性層31の膜厚が0.5〜3.0nmの範囲で設定されると、記録再生分解能Resは十分に高められることが確認された。
【0040】
さらに、本発明者は、前述と同様に第2磁性層31の膜厚を変化させながら多結晶構造膜22の保磁力Hcを測定した。測定にあたってVSM(振動サンプル磁力計)は用いられた。図9から明らかなように、第2磁性層31の膜厚の大きさに拘わらず、一定の保磁力Hcが確保されることが確認された。すなわち、第2磁性層31の膜厚の増加に伴い第1および第2磁性層29、31の積層体で膜厚が減少しても十分な保磁力Hcが確保されることが確認された。
【0041】
(付記1) 第1飽和磁束密度を有する第1磁性層と、第1磁性層上に積層されて、第1飽和磁束密度よりも大きい第2飽和磁束密度を有する第2磁性層とを備えることを特徴とする磁気記録媒体。
【0042】
(付記2) 付記1に記載の磁気記録媒体において、前記第2飽和磁束密度は0.5[T]以上に設定されることを特徴とする磁気記録媒体。
【0043】
(付記3) 付記1または2に記載の磁気記録媒体において、前記第1磁性層は、Co原子に基づき形成される磁性結晶粒と、磁性結晶粒同士の間に形成されるCr非磁性壁とを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
【0044】
(付記4) 付記3に記載の磁気記録媒体において、前記第2磁性層は、Co原子に基づき形成される磁性結晶粒と、磁性結晶粒同士の間に形成されるCr非磁性壁とを含み、第2磁性層に含まれるCr原子の含有量は第1磁性層に含まれるCr原子のそれよりも小さく設定されることを特徴とする磁気記録媒体。
【0045】
(付記5) 付記1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体において、前記第2磁性層の膜厚は0.5〜3.0nmの範囲で設定されることを特徴とする磁気記録媒体。
【0046】
(付記6) 付記1に記載の磁気記録媒体において、前記第1磁性層は下地磁性層上に積層され、この下地磁性層は、Co原子に基づき形成される磁性結晶粒と、磁性結晶粒同士の間に形成されるCr非磁性壁とを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
【0047】
(付記7) 付記6に記載の磁気記録媒体において、前記下地磁性層の膜厚は0.1〜3.5nmの範囲で設定されることを特徴とする磁気記録媒体。
【0048】
(付記8) 付記6または7に記載の磁気記録媒体において、前記下地磁性層は非磁性下地層上に積層されることを特徴とする磁気記録媒体。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、磁気記録媒体はこれまで以上に高い周波数の書き込み信号に十分に対応することができる。その結果、磁気記録媒体の記録密度は高められることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体駆動装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)の内部構造を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る磁気ディスクの構造を詳細に示す拡大垂直断面図である。
【図3】第1非磁性下地層の成膜工程を概略的に示す基板の垂直部分断面図である。
【図4】第2非磁性下地層の成膜工程を概略的に示す基板の垂直部分断面図である。
【図5】下地磁性層の成膜工程を概略的に示す基板の垂直部分断面図である。
【図6】第1および第2磁性層の成膜工程を概略的に示す基板の垂直部分断面図である。
【図7】下地磁性層の膜厚と記録再生分解能との関係を示すグラフである。
【図8】第2磁性層の膜厚と記録再生分解能との関係を示すグラフである。
【図9】第2磁性層の膜厚と保磁力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
13 磁気記録媒体としての磁気ディスク、29 第1磁性層、31 第2磁性層。

Claims (4)

  1. 第1飽和磁束密度を有する第1磁性層と、第1磁性層上に積層されて、第1飽和磁束密度よりも大きい第2飽和磁束密度を有する第2磁性層とを備えることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 請求項1に記載の磁気記録媒体において、前記第1磁性層は、Co原子に基づき形成される磁性結晶粒と、磁性結晶粒同士の間に形成されるCr非磁性壁とを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 請求項2に記載の磁気記録媒体において、前記第2磁性層は、Co原子に基づき形成される磁性結晶粒と、磁性結晶粒同士の間に形成されるCr非磁性壁とを含み、第2磁性層に含まれるCr原子の含有量は第1磁性層に含まれるCr原子のそれよりも小さく設定されることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体において、前記第2磁性層の膜厚は0.5〜3.0nmの範囲で設定されることを特徴とする磁気記録媒体。
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