JP2009004065A - 垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性結晶粒子が互いに面内方向で空隙により分離された構成の記録層を有する垂直磁気記録媒体において、粒径分散と結晶配向分散の双方を抑制し、高いS/Ntと狭ライトコア幅を実現する。
【解決手段】垂直磁気記録媒体(10)は、基板(11)上に形成される軟磁性裏打ち層(12)と、前記軟磁性裏打ち層上に形成されたRu又はRu合金の下地層(14.15)と、前記下地層上に形成され、基板面と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含んだ多層あるいは単層構造の記録層(16)と、前記軟磁性裏打ち層と前記下地層の間に挿入され、Ru又はRu合金からなる結晶構造体膜(21)および多結晶膜(25)と、他の多結晶膜(22)とを少なくとも含む積層体(30、30A〜30E)を含む。
【選択図】図10

Description

本発明は、垂直磁気記録媒体とその製造方法に関し、特に、垂直磁気記録媒体の結晶の粒径分散と配向分散を低減し、性能を改善する技術に関する。
ハードディスクドライブ装置は、1ビット当りのメモリ単価が安く、大容量化が図れるデジタル信号記録装置であるので、パーソナルコンピュータを筆頭にして近年、大量に使用されている。さらに、ユビキタス時代を迎えて、デジタルAV関連機器での利用が牽引役となって、記録装置として飛躍的な需要の増大が予想される。したがって、ビデオ信号の記録のために、さらなるハードディスクドライブ装置の記録容量の増大が必要になる。
このような大容量化とともに、一般家庭用製品を対象とするため、メモリ単価をより宇安くする必要も生ずる。メモリ単価の低価格化には、ハードディスクドライブ装置を構成する部品数の削減が有効な手段となる。具体的には、磁気記録媒体(磁気ディスク)の高記録密度化を図ることにより、磁気記録媒体の必要枚数を増やすことなく、記録容量を増大させることができる。さらには飛躍的な高記録密度化が実現すれば、記録容量を増大させる一方で、磁気記録媒体の必要枚数を削減することも可能になり、使用する磁気ヘッド数も削減できる。この結果、メモリ単価の飛躍的な低減が可能になる。
このような事情から、磁気記録媒体の高記録密度化が命題となり、高分解能力化(高出力化)と低ノイズ化に基づいて、より高いSN比(出力対ノイズ比)を達成することが課題となっている。これを実現するために、磁気記録層を構成する磁性粒の微細化、粒サイズの均一化、および磁気的な孤立性が試みられている。
ところで、垂直磁気記録媒体の製造では、従来から基板加熱を併用したスパッタ法によりCoCr基合金膜を形成して、磁気記録層としていた。このCoCr基合金膜では、CoCr基合金磁性結晶粒の結晶粒界に、非磁性のCrを偏析させて、磁性粒間の磁気的な孤立化を図っている。しかし、垂直磁気記録媒体では、磁区形成に起因するスパイクノイズの発生を抑制するために、下部層に非晶質化した軟磁性層を配置する必要がある。この軟磁性層を非晶質に保つために、磁性層形成の際に、Cr偏析に必要な基板加熱処理を行うことができない状況になった。
このため、加熱処理を用いるCr偏析技術に代わって、CoCr基合金にSiO2が添加された磁性膜を磁気記録層として用いる垂直磁気記録媒体の開発が行なわれている。この磁性膜では、CoCr基合金磁性結晶粒(たとえばCoCrPt)が非磁性材料であるSiO2によって相互に空間的に隔てられ、磁気的な孤立化が図られている。
磁性粒子をSiO2等の非磁性体で取り囲んだ構造(グラニュラー構造)の磁気記録層を形成するには、磁気記録層の直下に連続膜の形態で、厚膜のルテニウム(Ru)膜を配置している。この厚膜Ru膜では、その結晶粒界部が適度な深さを持った溝形状を取ることで、磁性結晶粒がSiO2によって互いに空間的に隔てられた構造の磁気記録層が形成される。
しかし、磁気記録層と裏打ち層の間に挿入されるRu下地層の膜厚が厚いと、書き込みに必要なライトヘッド磁力が増大し、書き滲みが発生するという問題が生じる。また、下地Ru膜の膜厚が増大すると、結晶粒径の肥大化が起こる。
これを解決するために、図1に示すように、磁気記録層16の下地となるRu下地層15を、Ru結晶粒15aが空隙部15bによって相互に空間的に隔てられた間隙構造とする方法が提案されている(たとえば特許文献1参照)。図1の例では、基板11上に、軟磁性裏打ち層12、配向制御層13を配置し、配向制御層13の上に、連続膜である第1下地層14と、間隙構造の第2下地層15を介して、記録層16が設けられる。記録層16はキャップ層17で保護される。第2下地層15の間隙構成により、第1下地層14と第2下地層15のトータルの膜厚を抑制しつつ、均一な結晶粒径が、上層の記録層16に引き継がれる。
特開2005−353256号公報
しかし、間隙構造の下地Ru膜15を採用して、トータルのRu下地層の膜厚を抑制しつつグラニュラー構造の磁気記録層を実現しても、高記録密度化に不可欠なライトコア幅(WCW)の低減と、高S/Ntの達成を両立することは実現していない。
そこで、本発明は高記録密度化に不可欠なライトコア幅(WCW)の低減と高S/Nt化の両立を図ることのできる垂直磁気記録媒体とその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、軟磁性裏打ち層と下地層の間に、Ru又はRu合金からなる結晶構造体膜および多結晶膜と、他の多結晶膜とを少なくとも含む積層体を挿入する。Ru又はRu合金からなる結晶構造体により、結晶粒径の分散を低減することができる。この結晶構造体に他の多結晶膜を組み合わせることにより、上層の結晶配向の分散を低減し、高いS/Nt比を安定して得ることができる。また、従来と同じS/Nt比を達成するのに、ライトコア幅(WCW)を大幅に低減することができ、高記録密度化が実現される。
具体的には、第1の側面では、垂直磁気記録媒体を提供する。垂直磁気記録媒体は、
(a)基板上に形成される軟磁性裏打ち層と、
(b)前記軟磁性裏打ち層上に形成されたRu又はRu合金の下地層と、
(c)前記下地層上に形成され、基板面と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含んだ多層あるいは単層構造の記録層と、
(d)前記軟磁性裏打ち層と前記下地層の間に挿入され、Ru又はRu合金からなる結晶構造体膜および多結晶膜と、他の多結晶膜とを少なくとも含む積層体と、
を有する。
良好な構成例では、前記積層体に含まれる他の多結晶膜は、NiAl合金またはNiAl合金に単元素物質を添加した合金材料である。このような膜を便宜上、「NiAl系の多結晶膜」と称する。
NiAl系の多結晶膜は、前記積層体の積層方向において前記Ru又はRu合金の多結晶膜の上方に位置する構成としてもよいし、前記Ru又はRu合金の多結晶膜の下方に位置する構成としてもよい。
別の構成例では、前記積層体は、Ru又はRu合金で構成される第2の結晶構造体膜をさらに含む。
第2の側面では、垂直磁気記録媒体は、
(a)基板上に形成される軟磁性裏打ち層と、
(b)前記軟磁性裏打ち層上に形成されたRu又はRu合金の下地層と、
(c)前記下地層上に形成され、基板面と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含んだ多層あるいは単層構造の記録層と、
(d)前記軟磁性裏打ち層と前記下地層の間に挿入され、Ru又はRu合金の第1の結晶構造体膜と、前記第1の結晶構造体膜の直上に位置するNiAl系の多結晶膜と、Ru又はRu合金の第2の結晶構造体膜とを少なくとも含む積層体と、
を有する。
第3の側面では、上述した垂直磁気記録媒体を適用した磁気記憶装置を提供する。磁気記憶装置は、磁気ヘッドを含む記録再生手段と、上記の垂直磁気記録媒体とを備える。
第4の側面では、垂直磁気記録媒体の製造方法を提供する。この製造方法は、
(a)基板上に、Ru又はRu合金からなる結晶構造体膜および多結晶膜と、他の多結晶膜とを少なくとも含む積層体を形成し、
(b)前記積層体上に、間隙により互いに空間的に分離されるRu又はRu合金の結晶粒子で構成される下地層を形成し、
(c)前記下地層上に、前記基板と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含む多層あるいは単層構造の記録層を形成する、
工程を含む。
第5の側面では、垂直磁気記録媒体の製造方法は、
(a)基板上に、Ru又はRu合金からなる第1および第2の結晶構造体膜と、他の材料で構成される多結晶膜とを少なくとも含む積層体を形成し、
(b)前記積層体上に、間隙により互いに空間的に分離されるRu又はRu合金の結晶粒子で構成される下地層を形成し、
(c)前記下地層上に、前記基板と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含む多層あるいは単層構造の記録層を形成する、
工程を含む。
良好な実施例では、前記結晶構造体は、Ru又はRu合金ターゲットを用い、7Pa〜8.5PaのArガス圧力下で、0.5nm/sec以下の堆積速度で形成される。
上記の構成と方法により、結晶配向分散を良好な範囲に抑え、高いS/Nt比を達成することができる。また、ライトコア幅(WCW)を低減することができる。この結果、磁気記録媒体の記録密度が向上する。
図2は、実施形態1の垂直磁気記録媒体10の概略断面図、図3は図2の要部の詳細な構成図である。垂直磁気記録媒体10は、基板11上に、軟磁性裏打ち層12、配向制御層13、結晶構造体テンプレート21、多結晶膜22、第1下地層14、第2下地層15、記録層16、キャップ層17をこの順に有する。結晶構造体テンプレート21は、後述するように、Ru又はRu合金からなる結晶構造体のランダムかつ一様な配置膜であり、明細書ではこれを便宜上、「テンプレート」と称することとする。軟磁性裏打ち層12と下地層(14又は15)の間に挿入される結晶構造体テンプレート21と多結晶膜22とで積層体30を構成する。
基板11は、プラスチック基板、ガラス基板、Si基板、セラミクス基板、耐熱性樹脂基板等、磁気記録媒体の基板として適切に用いることのできる任意の基板である。実施形態1では、ガラスディスク基板とする。
軟磁性裏打ち層(SUL:soft magnetic underlayer)12は、非晶質または微結晶の任意の軟磁性材料で構成され、膜厚は50nm〜2μm程度である。軟磁性裏打ち層12は単層であっても、積層であってもよい。軟磁性裏打ち層12は、記録ヘッドからの磁束を吸収するためのもので、飽和磁束密度Bsと膜厚の積の値が大きいほうが好ましい。飽和磁束密度Bsが1.0T以上の軟磁性材料として、FeSi、FeAlSi、FeTaC、CoZrNb、CoCrNb、NiFeNb、Co等が良好に用いられる。
配向制御層13は、膜厚1.0nm〜10nm程度であり、上層に形成される下地層14、15の結晶粒子のc軸を膜厚方向に配向させるとともに、下地層14,15の結晶粒子を基板面内方向に一様に分布させる。配向制御層13は、たとえば、非晶質のTa、Ti、C、Mo、W、Re、Os、Hf、Mg、Pt、およびこれらの合金の中から選択される少なくとも1種の材料で構成される。配向制御層13の膜厚は、軟磁性裏打ち層12と記録層16の距離を近接させる必要性と、上層の結晶配向の制御機能の確保という観点から、好ましくは2.0nm〜5.0nmの範囲に設定される。
結晶構造体テンプレート21を構成するRu又はRu合金の結晶構造体は、上層の結晶粒径の分散を抑制する作用を有する。一方、結晶構造体テンプレート21上の多結晶膜22は、結晶の配向分散を抑制するための膜である。多結晶膜22は、記録層16と軟磁性裏打ち層12との間の距離を極力小さくする必要性と、結晶質の結晶性を確保するという観点から、膜厚は2nm〜4nmに設定される。実施例では、膜厚3nmのNiAl多結晶膜を用いる。詳細は後述するが、Ru又はRu合金からなる結晶構造体にNiAl多結晶膜22を組み合わせることによって、上層の結晶粒径分散と、結晶配向分散を効果的に抑制することができる。
図3は、図2の垂直磁気記録媒体10の要部を示す図である。結晶構造体テンプレート21は、配向制御層13上にランダムかつ一様に分布するRu又はRu合金からなる結晶構造体21aで構成される。Ru又はRu合金の結晶構造体21aは、第1下地層14の粒径より小さく、高密度に形成されている。結晶構造体21aの高さは1nm〜2nm、好ましくは1.5nmである。結晶構造体21aは、配向制御層13としての非晶質のTa膜13上に、Ru又はRu合金ターゲットを用い、7Pa〜8.5Paの高いArガス圧力下で、DCスパッタリングによる室内堆積により、非常に小さい堆積速度、たとえば0.5nm/sec以下の堆積速度で形成することができる。この条件で、高さ1.5nm程度のRuまたはRu合金の結晶構造体21aを形成した場合、結晶構造体21aの粒径(サイズ)は2nm以下である。
図4は、結晶構造体21aの成長過程を示す概略図である。ここでは、便宜上、Ru結晶構造体を例にとる。まず、図4(A)に示すように、Ruの成長核21nが、Ta配向制御膜13上に、ランダムかつ一様に形成され、図4(B)に示すように、成長核21nからRu結晶粒21aが成長する。Ru結晶粒21aの粒径が小さいうちは、互いに合体し、やがて図4(C)に示すように、ほぼ均一な粒径でランダムかつ一様に存在する結晶構造体としてのRu結晶粒21aが得られる。上述のように、このような結晶構造体21aの配置構成を、便宜上「テンプレート」21と称している。Ru(又はRu合金)の結晶構造体21aにより、上層の粒径分散が効果的に抑制される。
Ru又はRu合金からなる結晶構造体21aを覆って位置するNiAl膜22のうち、直接非晶質のTa膜上に堆積するNiAlは非晶質22bとなるが、結晶粒である結晶構造体21a上に堆積するNiAlは結晶質22aとなり、全体として、結晶質22aがドミナント(主要領域)となる。この意味で、NiAl膜22を多結晶膜22と称する。NiAl多結晶膜22は、Ru又はRu合金からなる結晶構造体21aの構造を反映しており、結晶粒の粒径の均一性を上層へ引き継ぐことができる。また、主要領域が結晶質であることから、上層のRu下地層14の結晶配向性が良くなる。
結晶構造体テンプレート21をRu合金で構成する場合は、Ru合金はRuを主成分とするRu−Xで表わされ、XはCo、Cr、Fe、Ni、W、Mnから選択される少なくとも1種である。
NiAl多結晶膜22に代えて、NiAl合金に単元素物質を添加した合金材料で多結晶膜22を構成してもよい。この場合は、単元素物質として、B、Pt、W、Ag、Au、Pd、Nb、Ta、Cr、Si、Geの中から1種以上を選択することができる。
図3に戻って、多結晶膜22上の第1下地層14は、Ru、又はhcp(六方細密充填)結晶構造を有するRu合金の連続多結晶膜として形成され、結晶粒子14aと結晶粒界14bを含む。第2下地層14は、結晶粒子14a同士が結晶粒界14bを介して結合された連続多結晶膜なので、結晶性が良好であり、その(001)面の結晶配向は基板11に対して垂直方向となっている。第1下地層14は必須ではないが、上層の第2下地層15や記録層16の結晶性や配向性を向上させる観点から、第1下地層15の直下に挿入するのが望ましい。
第2下地層15は、第1下地層14の上に位置し、基板11と垂直方向に延びる結晶粒子15aと、結晶粒子15a同士を面内方向で互いに隔てる空隙部15bを含む。
第2下地層15の上に、記録層16が位置する。記録層16は、膜厚が例えば6nm〜20nmで、基板11と垂直に延びる柱状の磁性結晶粒子16aと、磁性結晶粒子16aを取り囲んで、磁性結晶粒子16a同士を面内方向で互いに隔てる非磁性体16bで構成される。磁性結晶粒子16aは、hcp結晶構造を有する強磁性材料であり、CoCr、CoCrTa、CoPt、CoCrPt、CoCrPt−MなどのCo基合金を用いるのが望ましい。非磁性体16bは、磁性結晶粒子16aと固溶あるいは化合物を形成しない任意の非磁性体を用いることができ、SiO2、Al2O3、Ta2O5等の酸化物や、Si3N4、AlN、TaNなどの窒化物や、SiC、TaC等の炭化物等を用いることができる。図3の例では、磁性結晶粒子16aと、これを取り囲む非磁性体16bで構成される層が1層のみ図示してあるが、この例に限定されず、このような構造の層を少なくとも1層含む多層または単層構造を採用してもよい。
キャップ層17は、例えばCoCrPt磁性膜である。キャップ層17上に、図示しない保護膜や、必要に応じて潤滑層を設けてもよい。
次に、上述した垂直磁気記録媒体10の製造方法の一例を説明する。まず、基板11の表面を洗浄・乾燥後、基板11上に、軟磁性裏打ち層12として、膜厚200nmのCoZrNb膜12を形成する。CoZrNb裏打ち層12上に、配向制御層13として、膜厚3nmの単層のTa膜13を形成する。CoZrNb膜12とTa膜13の成膜条件は、いずれも0.5PaのArガス圧力下で、DCスパッタ法により室温で形成する。
配向制御層13上に、8PaのArガス圧力下で、DCスパッタ法による室内堆積により、1.5nm厚のRu又はRu合金からなる結晶構造体21aを形成する。堆積速度は0.5nm/secとする。
Ru又はRu合金からなる結晶構造体21a上に、0.5PaのArガス圧力下でDCスパッタ法による室温堆積により、3nm厚のNiAl多結晶膜22を形成する。堆積速度は2.5nm/secとする。このNiAl多結晶膜22は連続膜の形態をとる。
続いて、第1のRu下地層14と第2のRu下地層15を、それぞれ0.5Paと7PaのArガス圧力下で、DCスパッタ法による室内堆積により、それぞれ7.5nmと10nmの膜厚で形成する。第2のRu下地層15は、高圧力下で堆積速度を制御することによって間隙構造を得ることができる。この第2のRu下地層15には、結晶構造体21aの粒径の均一性が反映されており、また、NiAl多結晶膜22の結晶配向性が、第1下地層14を介して反映されている。
第2下地層15上に、記録層16として10nm厚のCoCrPt−SiO2膜を、4PaのArガス圧力下で、RF又はDCスパッタ法による室内堆積により形成する。より具体的には、基板11と垂直方向に容易軸を有するCoCrPt結晶粒16aと、これを取り囲むSiO2(非磁性層)16bを、0.5nm/secの堆積速度で形成する。
最後に、膜厚5nmのCoCrPt磁性膜キャップ層17を、0.5PaのArガス圧力下で、DCスパッタ法による室内堆積により、0.5nm/secの堆積速度で形成する。これらの一連の過程では、一貫して真空環境が保持されている。
図5〜図8は、Ru又はRu合金からなる結晶構造体21aと、NiAl多結晶膜22とを組み合わせて用いることの効果を示す図である。図5は、NiAl多結晶膜22を配置せずに、結晶構造体21aの材料を変えたとき、および、結晶構造体21aを省略したときのRu(002)面でのXRDロッキングカーブを示す。図6は、NiAl多結晶膜22を配置して、結晶構造体21aの材料を変えたとき、および結晶構造体21aを省略したときのRu(002)面でのXRDロッキングカーブを示す。
図5(a)および図6(a)のXRDロッキングカーブの測定に先立ち、図5(b)および図6(b)に示すサンプルを、上述した垂直磁気記録媒体の作製手順と同じ条件で作製した。図5と図6の双方において、3種類のサンプル、すなわち、結晶構造体21aをPtで形成したもの(with Pt-TL)、Ruで形成したもの(with Ru-TL)、および結晶構造体21a自体を省略したもの(without TL)を準備した。図5の場合、NiAl多結晶膜22を形成しないので、結晶構造体21a上に、直接第1のRu下地層14と第2のRu下地層15が堆積されることになる。図6の場合、膜厚3nmのNiAl多結晶膜22の上に、第1および第2のRu下地層14、15が堆積される。第1および第2のRu下地層の厚さは、それぞれ7.5nmと10nmである。
図5(a)において、下地層14、15と軟磁性裏打ち層12の間に、Ru結晶構造体21aのみを挿入した場合、XRDロッキングカーブの半値幅FWHM(Δθ50)は、4.5°である。Pt結晶構造体のみを挿入した場合のFWHMは4.6°、結晶構造体を省略した場合(すなわち図1に示す従来構造の場合)のFWHMは、4.7°である。FWHM(Δθ50)は、結晶配向分散の度合いを表わす指標であり、小さいほど結晶配向性がよい。図5のようにNiAl多結晶膜22を挿入しない場合は、結晶構造体を挿入してもしなくても、あるいは結晶構造体をRuで形成してもPtで形成しても大差はないことがわかる。
一方、図6(a)では、結晶構造体上にNiAl多結晶膜22が配置されており、下層の結晶構造体がRuで形成される場合(with Ru-TL)に、FWHMが4.3°と改善される。これに対して、結晶構造体をPtで形成する場合(with Pt-TL)は、FWHMが6.0°、結晶構造体を省略した場合(without TL)はFWHMが8.7°と、大幅に劣化する。これは、プラチナ(Pt)も配向制御層13を構成するタンタル(Ta)も非晶質であるところ、非晶質上に形成されるNiAl膜全体が非晶質となるため、第1のRu下地層14や第2のRu下地層15の結晶配向性が悪くなるためと考えられる。
実施形態1では、Ru又はRu合金でランダムかつ一様な結晶構造体21aの配置を実現するため、結晶構造体21a上に堆積する結晶質部分22aが支配的な領域となる。結晶構造体21aの間隙部分では、NiAlは非晶質のTa配向制御層13上に成長するので非晶質22bとなるが、全体として結晶質22aが優位な多結晶膜22となる。この多結晶膜22は、第2のRu下地層15の結晶配向性を改善する。さらに、NiAl膜22で支配的な多結晶部分22aは、ほぼ均一なサイズの結晶構造体21aの配置構成を反映しているので、第2のRu下地層15の結晶粒径のばらつきも抑制することができる。第2のRu下地層15の結晶粒径の均一と結晶配向の良好さは、最終的に記録層16に引き継がれる。
図7および図8では、図5および図6と同様のサンプルについて、第1のRu下地層14の膜厚を15nmに、第2のRu下地層15の膜厚を5nmに変えている。それぞれの測定で、準備したサンプルは、結晶構造体21aをRuで構成したもの(with Ru-TL)、結晶構造体21aをPtで構成したもの(with Pt-TL)、結晶構造体21a自体を省略したもの(without TL)の、3種類である。
図7(a)に示すように、NiAl膜22を配置しない場合は、Ru結晶構造体、Pt結晶構造体、結晶構造体なしの各構成で、FWHMはそれぞれ4.3°、4.1°、4.2°となり、大差はない。
これに対し、図8(a)のようにNiAl膜22を配置した場合は、Ru結晶構造体21aを用いたときだけ、FWHMが3.9°と改善され、Pt結晶構造体を用いた場合や、結晶構造体を省略した場合は、FWHMが劣化することがわかる。これも、図6(b)と関連して述べたのと同様の理由によると考えられる。また、第1のRu下地膜14の膜厚を厚くすると、結晶の配向性はさらに改善されることがわかるが、記録層16と軟磁性裏打ち層12との間の距離をできるだけ短くするという観点と、第2のRu下地層15の結晶配向性を維持するという観点から、第1および第2のRu下地層14、15のトータルの膜厚を適切に選択する必要がある。良好な構成例では、Ru下地層14,15のトータルの膜厚は20nm以下である。このうち、第2のRu下地層は、薄すぎると結晶性が悪く、厚すぎると配向性が劣化するので、5nm〜10nmの範囲の膜厚であることが望ましい。
これらの結果から、記録層16の下方に配置される下地層14,15と軟磁性裏打ち層12の間、より具体的には、第1の連続下地層14を併用する場合は、第1のRu下地層14と軟磁性裏打ち層12の間、第1の下地層14を用いない場合は、第2のRu下地層15と軟磁性裏打ち層12の間に、Ru又はRu合金からなる結晶構造体21a(またはその配置構成としてのテンプレート21)とNiAl等の多結晶膜22の積層体30を挿入することによって、記録層16における結晶粒径の分散と結晶配向の分散の双方を抑制することができる。
図9(a)は、NiAl膜22を用いた各サンプルの、信号対ノイズ比(S/Nt)のライトコア幅(WCW)依存性を示すグラフ、図9(b)は比較のため、Ru結晶構造体21aにNiAl膜22を組み合わせた場合と、NiAl膜22を配置しない場合のS/NtのWCW依存性を示すグラフである。図9(a)において、丸印は、NiAl膜22の直下にRu結晶構造体21aを配置したときの特性値、四角印はNiAl膜の直下にPt結晶構造体を配置したときの特性値、三角印は結晶構造体を配置しないときの特性値である。それぞれの構成で、WCWの変化にともなって、キャップ層17の膜厚を5.5nm、7.5nm、9.5nmと変えている。
結晶構造体を配置しないときは、FWHMは8.5°で信号特性(S/Nt)が悪く、WCWが狭くなるにつれて、S/Nt特性は、さらに劣化する。Pt結晶構造体とRu結晶構造体を比べると、Ru結晶構造体のほうが、同じS/Ntを達成するのに狭WCWとすることができ、またWCWのサイズにかかわらず安定したS/Ntを達成できることがわかる。
図9(b)において、Ru結晶構造体21aにNiAl膜22を配置した場合は、図9(a)と同様に、WCW依存性が少なく、安定したS/Ntを実現できることがわかる。また、製造中のキャップ層17の膜厚のばらつきによらず均一なS/Ntを達成するので、マージンを大きく設定することができる。
これに対して、NiAl膜22を用いることなく、Ru結晶構造体21aのみを配置した構成では、ライトコア幅の低減にしたがって、S/Ntが急激に劣化する。また、製造中のキャップ層17の膜厚のばらつきによっては性能(S/Nt)に大きなばらつきが生じることが分かる。
以上の結果から、実施形態1のようにRu又はRu合金からなる結晶構造体21aと、NiAl多結晶膜22を組み合わせることによって、WCWの低減(高記録密度化)と高S/Ntの達成を両立することが可能になる。
なお、Ru又はRu合金からなる結晶構造体21aに積層される多結晶膜22は、NiAlに限定されず、NiAl基合金であってもよい。
図10は、実施形態2の垂直磁気記録媒体20Aの構成を示す概略断面図である。実施形態2では、Ru又はRu合金の結晶構造体テンプレート21と、NiAl又はNiAl基合金の多結晶膜22(本実施形態では、NiAl多結晶膜22とする)の間に、Ru又はRu合金の多結晶連続膜25(実施形態では、Ru多結晶膜25とする)を挿入する。この場合、積層体30Aは、結晶構造体テンプレート21、Ru多結晶膜25、NiAl多結晶膜22が、この順に積層された構成となる。
実施形態1のように、Ta配向膜13上に形成された結晶構造体テンプレート21上に直接NiAl多結晶膜22を形成すると、Ru又はRu合金の結晶構造体21a上に成長するNiAlは多結晶質22aとなるが、非晶質のTa配向膜13上に成長するNiAlは非晶質22bとなる(図3参照)。この場合、NiAl多結晶膜22上の第1下地層(Ru連続膜)14のうち、非晶質22b上に成長する部分の結晶配向性が劣化する可能性もあり得る。
そこで、実施形態2では、NiAl多結晶膜22とRu結晶構造体テンプレート21の間に、連続膜状態のRu多結晶膜25(第2の多結晶膜)を介在させて、磁性記録層16の下地となる第1下地層14の結晶配向分散を小さく維持する。
この場合、Ta配向膜13上に、8PaのArガス圧力下でDCスパッタ法による室温堆積により、0.5nm/secの堆積速度で、1.5nm膜厚のRu結晶構造体テンプレート21を形成し、次いで0.5PaのArガス圧力下で、DCスパッタ法により堆積速度3.0nm/secでRu多結晶膜25を3nmに成長する。続いて、ターゲットを変えて、NiAl多結晶膜22を、0.5PaのArガス圧力下でDCスパッタ法による室温堆積により、2.5nm/secの堆積速度で3nm厚の連続膜として形成する。その後の工程は、実施形態1と同様である。
この構成では、NiAl多結晶膜22は、非晶質のTa配向膜13上に直接成長しないので、全体が多結晶状態となり、その上に成長する連続膜としてのRu第1下地層14の結晶配向分散が均一になる。
図11は、実施形態3の垂直磁気記録媒体20Bの構成を示す概略断面図である。実施形態3では、Ru又はRu合金の結晶構造体テンプレート21の下地層として、Ru多結晶膜25を配置する。この場合、積層体30Bは、Ru多結晶膜25、Ru結晶構造体テンプレート21、NiAl多結晶膜22が、この順に積層された構成となる。
この構成においても、NiAl多結晶膜22は、非晶質のTa配向膜13上に直接に成長しないので、均一な多結晶膜となる。
図12、図13、及び図14は、それぞれ実施形態4、5、及び6の垂直磁気記録媒体20C、20D、20Eの構成を示す概略断面図である。これらの実施形態では、NiAl多結晶膜22上にRu結晶構造体テンプレート21を配置する。NiAl多結晶膜22が直接、非晶質のTa配向膜13上に成長しない構成は、実施形態2、3と同様である。
図12の実施形態4では、Ta配向膜13上の積層体30Cは、積層方向に沿って、第1のRu結晶構造体テンプレート21−1(膜厚1.5nm)、Ru多結晶膜25(膜厚3nm)、NiAl多結晶膜22(膜厚3nm)、第2のRu結晶構造体テンプレート21−2(膜厚1.5nm)を、この順に含む。この構成は、実施形態2の積層体30AのNiAl多結晶膜22上に、第2のRu結晶構造体テンプレート21−2を追加したものである。第2のRu結晶構造体テンプレート21−2を、第1下地層14の直下に挿入することによって、結晶配向分散が改善される。
図13の実施形態5では、Ta配向膜13上の積層体30Dは、積層方向に沿って、Ru多結晶膜25(膜厚3nm)、第1のRu結晶構造体テンプレート21−1(膜厚1.5nm)、NiAl多結晶膜22(膜厚3nm)、第2のRu結晶構造体テンプレート21−2(膜厚1.5nm)を、この順に含む。この構成は、実施形態3の積層体30BのNiAl多結晶膜22上に、第2のRu結晶構造体テンプレート21−2を追加したものである。実施形態4と同様に、NiAl多結晶膜22上に成長した第2のRu結晶構造体テンプレート21−2を第1下地層14の直下に挿入することによって、結晶配向分散が改善される。
図14の実施形態6では、Ta配向膜13上の積層体30Eは、積層方向に沿って、膜厚3nmのRu多結晶膜25、膜厚3nmのNiAl多結晶膜22、膜厚1.5nmのRu結晶構造体テンプレート21を、この順に含む。この構成は、実施形態3の積層体30BのRu結晶構造体テンプレート21とNiAl多結晶膜22の配置を入れ替えたものである。実施形態4及び5と同様に、NiAl多結晶膜22上に成長したRu結晶構造体テンプレート21を、第1下地層14の直下に配置することによって、磁性体記録層16の結晶配向分散が改善される
図15は、実施形態1〜6の垂直磁気記録媒体の磁性体記録層16の結晶配向分散値Δθ50を示す表である。比較例として、図1の従来構造の垂直磁気記録媒体の結晶配向分散値も示している。測定用のサンプルとして、図8と同様に、Ru第1下地層14の膜厚を15nmで作製したものを用い、Ru(002)面でのXRDロッキングカーブを測定した。
図15の表に示されるように、Ru多結晶膜25を、NiAl多結晶膜22とRu結晶構造体テンプレート21の間に挿入する(実施形態2、4)よりも、Ru結晶構造体テンプレート21の下方に配置する(実施形態3、5、6)ほうが、結晶配向分散がよくなることがわかる。また、実施形態5のように、2層以上のRu結晶構造体テンプレート21−1、21−2を用いると、結晶配向分散がよくなることがわかる。
結晶配向分散値Δθ50だけを見ると、実施形態6のように、Ru第1下地層14の直下に、Ru多結晶構造体テンプレート21を一層だけ配置するほうが効果的であるように見えるが、後述するように、リードライト(read/write)特性を考慮するならば、実施形態4及び5のように、Ru結晶構造体テンプレート21を2層以上用いる構成が、すぐれている。もっとも、軟磁性裏打ち層12と磁性記録層16の間隔が大きくなりすぎると、書き込みに必要な磁力が大きくなるので、垂直磁気記録媒体の全体の構造から適切なテンプレートの層数を決めるのが望ましい。
図16は、実施形態2〜5の垂直磁気記録媒体の保持力(Hc)を、グラニュラー構造の磁性記録層(CoCrPt-SiO2)16の膜厚の関数として示すグラフである。白丸と点線でプロットしたラインが実施形態2の特性、三角と実線でプロットしたラインが実施形態3の特性、黒丸と実線でプロットしたラインが実施形態4の特性、小さい菱形と実線でプロットしたラインが実施形態5の特性である。比較例として、図1の従来構成の保持力を菱形と点線でプロットした。
いずれの構成においても、従来構成と比較して保持力が改善されていることがわかる。磁性記録層16の膜厚が7nmを越えた領域においては、実施形態2、3と比較して、実施形態4、5のように複数のRu結晶構造体テンプレート21―1、21−2を配置するほうが、保持力に優れていることがわかる。しかし、磁性記録層16の膜厚が厚くなりすぎると、信号対ノイズ比(S/Nt)が劣化するため、実施形態4、5の構成に適した磁性記録層16の膜厚を検討する。
図17は、実施形態4及び5の垂直磁気記録媒体の信号対ノイズ比(S/Nt)を、グラニュラー構造磁性記録層(CoCrPt-SiO2)16の膜厚の関数として示すグラフである。比較例として、図1の従来構造の垂直磁気記録媒体の信号対ノイズ比を示す。このグラフから、磁性記録層16の膜厚は、7〜10nm、より望ましくは7〜9nmである。
図18は、実施形態4及び5の垂直磁気記録媒体のオーバーライト特性を、グラニュラー構造の磁性記録層(CoCrPt-SiO2)16の膜厚の関数として示すグラフである。比較例として、図1の従来構造の垂直磁気記録媒体のオーバーライト特性を示す。このグラフから、磁性記録層16の膜厚が7nm以上、より好ましくは8nm以上で、良好なオーバーライト特性が得られることがわかる。
図15〜図18の結果を総合すると、実施形態5の構成が最も良好な特性を示すと言える。実施形態5の構成を採用した場合の磁性記録層の良好な膜厚は7〜10nm、より好ましくは8〜9nmである。もっとも、実施形態2〜5の構成でも、十分に保持力が改善される。特に、実施形態4の構成では、結晶配向分散は実施形態5よりもやや劣るが、保持力や信号対ノイズ比、オーバーライト特性に優れている。
図19は、実施形態1〜6の垂直磁気記録媒体10、20A〜20Eのいずれかをハードディスクドライブなどの磁気記憶装置に適用した例を示す図である。磁気記憶装置40は、ハウジング41内に収容され、スピンドル(不図示)により駆動されるハブ42、ハブ42に固定されスピンドルにより回転される磁気記録媒体43、アクチュエータユニット44、アクチュエータユニット44に支持され磁気記録媒体43の径方向に駆動されるアーム45およびサスペンション46、およびサスペンション46に支持される磁気ヘッド48を有する。磁気記録媒体43は、1以上の垂直磁気記録媒体10(又は20A〜20Eのいずれか)を多段に構成したものであり、それぞれの垂直磁気記録媒体10に対応する磁気ヘッド48が設けられる。磁気ヘッド98は、磁気記録再生手段の少なくとも一部に含まれる。このような磁気記憶装置40は、垂直磁気記録媒体10ごとに高いS/Ntと、狭いライトコア幅を有し、全体として高性能かつ高記録密度の磁気記憶装置が実現する。
最後に、以上の説明に関して、以下の付記を開示する。
(付記1)
基板上に形成される軟磁性裏打ち層と、
前記軟磁性裏打ち層上に形成されたRu又はRu合金の下地層と、
前記下地層上に形成され、基板面と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含んだ多層あるいは単層構造の記録層と、
前記軟磁性裏打ち層と前記下地層の間に挿入され、Ru又はRu合金からなる結晶構造体膜および多結晶膜と、他の多結晶膜とを少なくとも含む積層体と、
を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
(付記2)
前記積層体の他の多結晶膜は、NiAl合金またはNiAl合金に単元素物質を添加したNiAl系の多結晶膜であることを特徴とする付記1に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記3)
前記NiAl系多結晶膜は、前記積層体の積層方向において、前記Ru又はRu合金の多結晶膜の直上に位置し、前記Ru又はRu合金の多結晶膜の直下に、前記Ru又はRu合金の結晶構造体膜が位置することを特徴とする付記2に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記4)
前記NiAl系の多結晶膜は、前記積層体の積層方向において、前記結晶構造体膜の直上に位置し、前記結晶構造体膜の直下に前記Ru又はRu合金の多結晶膜が位置することを特徴とする付記2に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記5)
前記積層体は、前記NiAl系の多結晶膜の直上にRu又はRu合金で構成される第2の結晶構造体膜をさらに含むことを特徴とする付記3又は4に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記6)
基板上に形成される軟磁性裏打ち層と、
前記軟磁性裏打ち層上に形成されたRu又はRu合金の下地層と、
前記下地層上に形成され、基板面と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含んだ多層あるいは単層構造の記録層と、
前記難治性裏打ち層と前記下地層の間に挿入され、Ru又はRu合金の第1の結晶構造体膜と、前記第1の結晶構造体膜の直上に位置するNiAl系の多結晶膜と、Ru又はRu合金の第2の結晶構造体膜とを少なくとも含む積層体と、
を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
(付記7)
前記Ru合金は、Ruを主成分とするRu−Xで表わされ、XはCo、Cr、Fe、Ni、W、Mnから選択される少なくとも1種であることを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
(付記8)
前記NiAl合金に添加される単元素物質は、B、Pt、W、Ag、Au、Pd、Nb、Ta、Cr、Si、Geの中から選択される1種以上であることを特徴とする付記2に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記9)
前記結晶構造体の高さは、1nm〜2nmであることを特徴とする付記1〜8のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
(付記10)
前記結晶構造体の粒径は、2nm以下であることを特徴とする付記1〜9のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
(付記11)
前記NiAl多結晶膜の膜厚は、2nm〜4nmであることを特徴とする付記2又は6に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記12)
磁気ヘッドを含む記録再生手段と、
請求項1〜11のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体と
を備える磁気記憶装置。
(付記13)
基板上に、Ru又はRu合金からなる結晶構造体膜および多結晶膜と、他の多結晶膜とを少なくとも含む積層体を形成し、
前記積層体上に、間隙により互いに空間的に分離されるRu又はRu合金の結晶粒子で構成される下地層を形成し、
前記下地層上に、前記基板と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含む多層あるいは単層構造の記録層を形成する、
工程を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記14)
基板上に、Ru又はRu合金からなる第1および第2の結晶構造体膜と、他の材料で構成される多結晶膜とを少なくとも含む積層体を形成し、
前記積層体上に、間隙により互いに空間的に分離されるRu又はRu合金の結晶粒子で構成される下地層を形成し、
前記下地層上に、前記基板と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含む多層あるいは単層構造の記録層を形成する、
工程を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記15)
前記結晶構造体は、Ru又はRu合金ターゲットを用い、7Pa〜8.5PaのArガス圧力下で、0.5nm/sec以下の堆積速度で形成されることを特徴とする付記13又は14に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記16)
前記多結晶膜は、NiAl合金、又はNiAl合金に単元素物質を添加した材料の連続膜として形成されることを特徴とする付記13又は14に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
従来の垂直磁気記録媒体の概略構成図である。 実施形態1の垂直磁気記録媒体の概略構成図である。 図2の垂直磁気記録媒体の要部を示す図である。 図2の垂直磁気記録媒体で用いられるRu又はRu合金からなる結晶構造体の成長を説明するための概略図である。 NiAl多結晶膜の配置効果を説明するための図(その1)であり、NiAl膜を配置しない状態で、異なる種類の結晶構造体を用いる場合と、結晶構造体を省略した場合のXRDロッキングカーブを示す図である。 NiAl多結晶膜の配置効果を説明するための図(その2)であり、NiAl膜を配置した状態で、異なる種類の結晶構造体を用いる場合と、結晶構造体を省略した場合のXRDロッキングカーブを示す図である。 NiAl多結晶膜の配置効果を説明するための図(その3)であり、NiAl膜を配置しない状態で、Ru下地層の膜厚を変えたときの各種サンプルのXRDロッキングカーブを示す図である。 NiAl多結晶膜の配置効果を説明するための図(その4)であり、NiAl膜を配置した状態で、Ru下地層の膜厚を変えたときの各種サンプルのXRDロッキングカーブを示す図である。 各種サンプルの信号対ノイズ比(S/Nt)のライトコア幅(WCW)依存性のグラフである。 実施形態2の垂直磁気記録媒体の概略構成図である。 実施形態3の垂直磁気記録媒体の概略構成図である。 実施形態4の垂直磁気記録媒体の概略構成図である。 実施形態5の垂直磁気記録媒体の概略構成図である。 実施形態6の垂直磁気記録媒体の概略構成図である。 実施形態1〜6の垂直磁気記録媒体の結晶配向分散を示す表である。 グラニュラー磁性記録層の膜厚と保持力の関係を示すグラフである。 グラニュラー磁性記録層の膜厚と信号対ノイズ比の関係を示すグラフである。 グラニュラー磁性記録層の膜厚とオーバーライト特性の関係を示すグラフである。 実施形態の垂直磁気記録媒体を適用した磁気記憶装置の概略構成図である。
符号の説明
10、20A〜20E 垂直磁気記録媒体
11 基板
12 軟磁性裏打ち層
13 配向制御層
14 第1下地層(第1Ru層)
14a 結晶粒子
14b 結晶粒界
15 第2下地層(第2Ru層)
15a 結晶粒子
15b 空隙部
16 記録層
16a 磁性結晶粒子
16b 非磁性体
17 キャップ層
21 Ru又はRu合金の結晶構造体膜(テンプレート)
21−1 第1のRu又はRu合金結晶構造膜(テンプレート)
21−2 第2のRu又はRu合金結晶構造体膜(テンプレート)
21a 結晶構造体
22 NiAl系多結晶膜(他の多結晶膜)
25 Ru又はRu合金の多結晶膜
30、30A〜30E 積層体
40 磁気記憶装置
43 磁気記録媒体
48 磁気ヘッド

Claims (10)

  1. 基板上に形成される軟磁性裏打ち層と、
    前記軟磁性裏打ち層上に形成されたRu又はRu合金の下地層と、
    前記下地層上に形成され、基板面と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含んだ多層あるいは単層構造の記録層と、
    前記軟磁性裏打ち層と前記下地層の間に挿入され、Ru又はRu合金からなる結晶構造体膜および多結晶膜と、他の多結晶膜とを少なくとも含む積層体と、
    を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記積層体の他の多結晶膜は、NiAl合金またはNiAl合金に単元素物質を添加したNiAl系の多結晶膜であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記NiAl系多結晶膜は、前記積層体の積層方向において、前記Ru又はRu合金の多結晶膜の直上に位置し、当該Ru又はRu合金の多結晶膜の直下に前記Ru又はRu合金の結晶構造体膜が位置することを特徴とする請求項2に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記NiAl系の多結晶膜は、前記積層体の積層方向において、前記結晶構造体膜の直上に位置し、前記結晶構造体膜の直下に前記Ru又はRu合金の多結晶膜が位置することを特徴とする請求項2に記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記積層体は、前記NiAl系の多結晶膜の直上に、Ru又はRu合金で構成される第2の結晶構造体膜をさらに含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 基板上に形成される軟磁性裏打ち層と、
    前記軟磁性裏打ち層上に形成されたRu又はRu合金の下地層と、
    前記下地層上に形成され、基板面と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含んだ多層あるいは単層構造の記録層と、
    前記難治性裏打ち層と前記下地層の間に挿入され、Ru又はRu合金の第1の結晶構造体膜と、前記第1の結晶構造体膜の直上に位置するNiAl系の多結晶膜と、Ru又はRu合金の第2の結晶構造体膜とを少なくとも含む積層体と、
    を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  7. 磁気ヘッドを含む記録再生手段と、
    請求項1〜6のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体と
    を備える磁気記憶装置。
  8. 基板上に、Ru又はRu合金からなる結晶構造体膜および多結晶膜と、他の多結晶膜とを少なくとも含む積層体を形成し、
    前記積層体上に、間隙により互いに空間的に分離されるRu又はRu合金の結晶粒子で構成される下地層を形成し、
    前記下地層上に、前記基板と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含む多層あるいは単層構造の記録層を形成する、
    工程を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  9. 基板上に、Ru又はRu合金からなる第1および第2の結晶構造体膜と、他の材料で構成される多結晶膜とを少なくとも含む積層体を形成し、
    前記積層体上に、間隙により互いに空間的に分離されるRu又はRu合金の結晶粒子で構成される下地層を形成し、
    前記下地層上に、前記基板と垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、当該磁性粒子を取り巻く非磁性体とで構成される層を少なくとも1層含む多層あるいは単層構造の記録層を形成する、
    工程を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  10. 前記結晶構造体は、Ru又はRu合金ターゲットを用い、7Pa〜8.5PaのArガス圧力下で、0.5nm/sec以下の堆積速度で形成されることを特徴とする請求項8又は9に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
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