JP2006155865A - 垂直磁気記録媒体および垂直磁気記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層、配向制御層、垂直磁性層、保護層を有する垂直磁気記録媒体であって、配向制御層は複数層から構成され、基板側からシード層および中間層を含む。シード層の平均結晶粒径は8〜20nmで、シード層および中間層が共に六方最密構造であることが好ましい。シード層はMgを主成分とするのが好ましく、中間層はRuを主成分とするのが好ましい。
【選択図】図1
Description
このように、磁気記録媒体については今後更に高記録密度化を達成することが要求されており、そのために磁気記録層の高保磁力化と高信号対雑音比(S/N比)、高分解能を達成することが要求されている。これまで広く用いられてきた長手磁気記録方式においては、線記録密度が高まるにつれて、隣接する記録磁区同士がお互いの磁化を弱めあおうとする自己減磁作用が支配的になるため、それを避けるために磁気記録層をどんどん薄くして形状磁気異方性を高めてやる必要がある。
このような中、長手磁気記録方式の線記録密度改良に答える技術として最近ではAFC(Anti Ferro Coupling)媒体が提案され、長手磁気記録で問題となる熱磁気緩和の問題を回避しようという努力がなされている。
そのような中、今後一層の面記録密度を実現するための有力な技術として注目されているのが垂直磁気記録技術である。従来の長手磁気記録方式が、媒体を面内方向へ磁化させるのに対し、垂直磁気記録方式では媒体面に垂直な方向に磁化させることを特徴とする。
このことにより、長手磁気記録方式で高線記録密度を達成する妨げとなる自己減磁作用の影響を回避することができ、より高密度記録に適していると考えられている。また一定の磁性層膜厚を保つことができるため、長手磁気記録で問題となっている熱磁気緩和の影響も比較的少ないと考えられている。
軟磁性層と垂直磁気記録層との間に、非晶質部を含む配向制御層と、粒径制御層と、六方最密構造および面心立方構造のうちの一つを有する下地層を設けた垂直磁気記録媒体が記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
以上のように、優れた結晶構造をもつ垂直磁気記録媒体を得るために、成膜プロセスにさまざまな工夫がなされてきたが、より優れた記録再生特性を得るためにはさらに一層の技術的改良が求められている。
すなわち上記課題を解決するため、本発明は以下に掲げた
(1) 非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層、配向制御層、垂直磁性層、保護層を有する垂直磁気記録媒体であって、配向制御層は複数層から構成され、基板側からシード層および中間層を含み、シード層および中間層が共に六方最密構造である垂直磁気記録媒体、
(2) 非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層、配向制御層、垂直磁性層、保護層を有する垂直磁気記録媒体であって、配向制御層は複数層から構成され、基板側からシード層および中間層を含み、該シード層の平均結晶粒径は8nm〜20nmの範囲内であり、中間層は六方最密構造である垂直磁気記録媒体、
(3) シード層が六方最密構造または面心立方構造である(2)に記載の垂直磁気記録媒体、
(4) ルテニウムの接触角が50度〜120度の範囲となるような元素を主成分とするシード層を持つことを特徴とする(1)から(3)のいずれか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(6) 中間層の少なくとも1層が、ルテニウムまたはルテニウムを主成分とする層である(1)から(5)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(7) 中間層の少なくとも1層が、(002)配向している(1)から(6)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(8) 上記(1)から(7)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体を用いた垂直磁気記録再生装置、の各発明を提供する。
本発明の垂直磁気記録媒体10は、図1に示すように、非磁性基板1上に少なくとも軟磁性裏打ち層2、直上の膜の配向性を制御する配向制御層を構成するシード層3及び中間層4、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性層5、保護層6を有する垂直磁気記録媒体であって、配向制御層は複数層から構成され、基板側からシード層3および中間層4を含む構造である。
本発明の磁気記録媒体に使用される非磁性基板としては、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、通常のソーダガラス、アルミノシリケート系ガラス、非結晶ガラス類、シリコン、チタン、セラミックス、各種樹脂からなる基板など、非磁性基板であれば任意のものを用いることができる。中でもAl合金基板や結晶化ガラス、アモルファスガラス等のガラス製基板を用いられることが多い。
磁気ディスクの製造工程においては、まず基板の洗浄・乾燥が行われるのが通常であり、本発明においても各層の密着性を確保する見地からもその形成前に洗浄、乾燥を行うことが望ましい。また、基板サイズも特に限定しない。
軟磁性裏打ち層は多くの垂直磁気記録媒体に設けられている。媒体に信号を記録する際、ヘッドからの記録磁界を導き、磁気記録層に対して記録磁界の垂直成分を効率よく印加する働きをする。材料としてはFeCo系合金、CoZrNb系合金、CoTaZr系合金などいわゆる軟磁気特性を有する材料ならば使用することができる。また、これら軟磁性層単層の場合だけでなく、途中にRuなどの極薄い非磁性薄膜をはさみ、軟磁性層間に反強磁性結合をもたせたものも多く用いられるようになっている。膜厚は2nm〜20nm程度であるが、記録再生特性とOW特性とのバランスにより適宜決定される。一般的には5nm〜15nm程度である。
本発明では、シード層を六方最密構造または面心立方構造とするのが好ましく、シード層の平均結晶粒径は8nm〜20nmの範囲内とするのが好ましい。
中間層は六方最密構造とする。シード層および中間層を共に六方最密構造とすることもできる。
このような構造とすることにより、その上に成膜される中間層、磁気記録層の結晶構造をhcp(002)面に配向させることができ、優れた記録再生特性を有する垂直磁気記録媒体を得ることができる。
本発明ではシード層材料として、その結晶構造が面心立方構造または六方最密構造を用いるのが好ましく、シード層自身を膜にした場合の平均結晶粒径が一定以上の大きさになること、中間層材料に対する接触角が一定以上の値となることが好ましい。
特に本発明では、シード層の主成分である元素が、ルテニウムに対する接触角が50度〜120度の範囲内の元素であるのが好ましい。
ここで、平均結晶粒径とは、膜の結晶形状を例えば透過型電子顕微鏡(TEM)などで観察した場合に、明瞭に分離して観察される結晶の直径を統計的に処理して求めた平均的な直径の値で評価されるものをさし、これが8nm〜20nmの範囲内であるとき中間層の結晶粒径を微細に制御させることができる。また、接触角とはシード層に使用される材料の固体状に溶融させた中間層材料を滴下した場合に形成された雫が固体面に対する接線角度で評価される量であり、一般的に中間層材料に対する濡れ性の指標となる量である。すなわち、シード層材料に対する中間層材料の濡れ性があまり大きくないものを用いると、中間層がシード層上に堆積される際、微細な結晶粒を形成しやすい。
このような条件を満たす材料としては、例えばマグネシウム(Mg)が挙げられる。マグネシウム膜はそれ自身六方最密構造をとり、かつ、その結晶粒径は約13nmとなり、適正な範囲にある。また、Ruに対する接触角角度は80°とであり適正な範囲にある。
マグネシウムは添加物のない純粋な材料を用いてもよいが、マグネシウムを半分以上含む合金も好適である。
本発明によれば、このΔθ50の小さい垂直磁気記録媒体を容易に作製することができる。
以上の各層の成膜には通常DCスパッタリング法またはRFスパッタリング法が用いられる。そのときのスパッタリングガス圧力は各層ごとに特性が最適になるように適宜決定されるが、一般に0.1〜1.2Pa程度の範囲にコントロールされる。媒体の性能を見ながら調整される。
保護層はヘッドと媒体との接触によるダメージから媒体を保護するためのものであり、カーボン膜、SiO2膜などが用いられるが、多くの場合はカーボン膜が用いられる。
膜の形成にはスパッタリング法、プラズマCVD法などが用いられるが、近年ではプラズマCVD法が用いられることが多い。膜厚は1nm〜10nm程度であり、好ましくは2〜6nm程度、さらに好ましくは2〜4nmである。
記録再生信号処理系14は、外部から入力されたデ−タを処理して記録信号を磁気ヘッド12に送ったり、磁気ヘッド12からの再生信号を処理してデ−タを外部に送ることができるようになっている。
本発明の磁気記録再生装置に用いる磁気ヘッド12には、再生素子として異方性磁気抵抗効果(AMR)を利用したMR(Magneto Resistance)素子だけでなく、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。
HD用ガラス基板をセットした真空チャンバをあらかじめ1.0×10−5Pa以下に真空排気した。ここで使用したガラス基板はLi2Si2O5、Al2O3+K2O、MgO+P2O5、Sb2O3+ZnOを成分とする結晶化ガラスで、表面粗さRa〜5Å、外径65mm、内径20mmである。
次に、この基板上にスパッタリング法を用いて軟磁性裏打ち層CoNbZrを100nm、シード層としてMg膜、Mg−10Al膜およびTi膜(hcp構造)を4nm成膜した(実施例1,実施例2,実施例3)。また、同じ基板にスパッタリング法を用いて軟磁性裏打ち層CoNbZr100nm上にシード層としてTi(bcc構造)、Ag、Cuを各4nm成膜した(比較例1〜比較例3)。試料はそれぞれについて数枚作製した。ここで、Ti膜の(hcp構造)は基板加熱なしで成膜した。一方、Ti膜の(bcc構造)は基板温度を300℃に加熱して成膜して得た。これら実施例1、比較例1〜3について、X線回折装置を用いて結晶構造を確認した。また、その一方で、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、それぞれのシード層の結晶粒径観察を行った。
次いで、それらの残りの試料の表面に中間層としてRu膜、磁気記録層としてCo−Cr−Pt−SiO2、保護層としてC膜を成膜して磁気記録媒体とした。
次いで、それらの残りの試料の表面に磁気記録層としてCo−Cr−Pt−SiO2、保護層としてC膜を成膜して磁気記録媒体とした。
また、比較例1、4、7は、Δθ50が小さい反面、Ruの粒径が大きく、SNR、PW50の改善が十分には得られなかった。
この磁気記録再生装置は、結晶構造の乱れを少なくして面記録密度を大幅に増加させた垂直磁気記録媒体を使用しているので、安定した大容量の磁気記録再生装置となる。
Claims (8)
- 非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層、配向制御層、垂直磁性層、保護層を有する垂直磁気記録媒体であって、配向制御層は複数層から構成され、基板側からシード層および中間層を含み、シード層および中間層が共に六方最密構造であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
- 非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層、配向制御層、垂直磁性層、保護層を有する垂直磁気記録媒体であって、配向制御層は複数層から構成され、基板側からシード層および中間層を含み、該シード層の平均結晶粒径は8nm〜20nmの範囲内であり、中間層は六方最密構造であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
- シード層が六方最密構造または面心立方構造であることを特徴とする請求項2に記載の垂直磁気記録媒体。
- ルテニウムの接触角が50度〜120度の範囲となるような元素を主成分とするシード層を持つことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
- シード層の少なくとも1層が、マグネシウムまたはマグネシウムを主成分とする層であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 中間層の少なくとも1層が、ルテニウムまたはルテニウムを主成分とする層であることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 中間層の少なくとも1層が、(002)配向していることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 請求項1から請求項7の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体を用いた垂直磁気記録再生装置。
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