JP2007234164A - 垂直磁気記録媒体、その製造方法および磁気記憶装置 - Google Patents

垂直磁気記録媒体、その製造方法および磁気記憶装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高密度記録が可能であると共に、生産歩留まりの低下を回避し、さらには磁気記憶装置の信頼性を向上可能な垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置を提供する。
【解決手段】基板11と、基板11上に、軟磁性裏打ち層12、シード層13、下地層14、記録層15、保護膜16、および潤滑層18を順次積層した構成とし、下地層14は、RuまたはRu合金からなる複数の結晶粒子14aからなり、結晶粒子14a同士を互い離隔する空隙部14bを介して基板面内方向に配置され、記録層15は下地層14の結晶粒子14a上に堆積した複数の磁性粒子15aからなり、磁性粒子15a同士を互い離隔する空隙部15bを介して基板面内方向に配置される。記録層15の磁性粒子15aは、下地層14の結晶粒子14a上に成長した構成を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置に係り、特に磁性粒子が互いに離隔された記録層を備えた垂直磁気記録媒体に関する。
磁気記憶装置、例えば、ハードディスクドライブ装置は、1ビット当りのメモリ単価が安く、大容量化が図れるデジタル信号記録装置であるので、近年、パーソナルコンピュータ等に大量に使用されている。さらに、デジタル音響画像関連機器での利用が牽引役となって、飛躍的な需要の増大と共に、ビデオ信号の記録のためにさらなるハードディスクドライブ装置の大容量化が望まれている。
大容量化および低価格化を両立するためには、磁気記録媒体の高記録密度化を図ることにより、磁気記録媒体の枚数を削減し、それに伴って磁気ヘッド数を削減し、部品数の削減により低価格化が図れる。
磁気記録媒体の高記録密度化の手法として、高分解能化と低ノイズ化による信号対雑音比(SN比)の向上が挙げられる。低ノイズ化は、従来、記録層を構成する磁性粒子の微細化と磁性粒子の磁気的な孤立化により促進されてきた。
垂直磁気記録媒体は、基板上に軟磁性材料からなる軟磁性裏打ち層と、その上に記録層が積層されて構成されている。記録層は通常、CoCr基合金からなり、基板を加熱した状態でCoCr基合金をスパッタ法により形成することで、CoリッチなCoCr基合金の磁性粒子と、磁性粒子の粒界に非磁性であるCrが偏析して磁性粒子間に存在することで磁性粒子を互いに離隔して磁気的な孤立化を図っている。
一方、軟磁性裏打ち層は再生の際に磁気ヘッドに流れ込む磁束の磁路を形成し、結晶質軟磁性材料では磁区の形成によりスパイクノイズを発生する。そのため、軟磁性裏打ち層は磁区を形成し難い非晶質あるいは微結晶体により構成されるので、結晶化を回避するため記録層を形成する際の加熱温度が制限される。
記録層の磁性粒子を非磁性材料により互いに離隔して磁性粒子同士の磁気的相互作用を低減することで、SN比を向上させる記録層が提案されている。この記録層は、CoCr基合金からなる磁性粒子が基板面に垂直に成長した柱状構造を有し、磁性粒子の周囲をSiO2やZrO2等の非磁性の酸化物で充填されている。このような記録層の構造は一般にグラニュラ構造あるいは柱状グラニュラ構造と呼ばれている。
さらに、下地層の結晶粒子を互いに空間的に離隔してその上に成長するグラニュラ構造の記録層の磁性粒子をさらに互いに均一に離隔させた垂直磁気記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−353256号公報
ところで、グラニュラ構造の記録層の形成は、スパッタ法により成膜室内でCoCr基合金およびSiO2等の酸化物からなるスパッタターゲットを使用して、それぞれのスパッタターゲットをスパッタして行う。SiO2等の酸化物は粒子状あるいはクラスタ状になり易い。粒子状あるいはクラスタ状になると、成膜室内を浮遊し易くなり、基板表面に付着して汚染してしまう。この場合、各層を成膜した後の垂直磁気記録媒体の表面には突起状の欠陥が生じ、生産歩留まりの低下を招き、さらには、磁気記憶装置のヘッドクラッシュ等の障害を引き起こす原因となり、信頼性の低下を招くおそれがある。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、高密度記録が可能であると共に、生産歩留まりの低下を回避し、さらには磁気記憶装置の信頼性を向上可能な垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置を提供することである。
本発明の一観点によれば、基板と、前記基板上にRuまたはRu合金からなる下地層と、前記下地層上に形成された記録層と、を備え、前記下地層は、基板面に対して垂直方向に延びる複数の結晶粒子を有し、該結晶粒子が互いに空隙部を介して離隔して配置されてなり、前記記録層は、前記下地層の結晶粒子上に堆積した磁性粒子を有し、該磁性粒子が互いに空隙部を介して離隔して配置されてなる垂直磁気記録媒体が提供される。
本発明によれば、下地層の結晶粒子が空隙部により互い離隔して配置されて成長し、さらにその上に記録層の磁性粒子が成長しているので、磁性粒子が互い離隔して配置される。各々の磁性粒子と磁性粒子との間に働く磁気的な相互作用を抑制して媒体ノイズを低減することができる。その結果、垂直磁気記録媒体のSN比の向上が図れ、よりいっそうの高密度記録が可能となる。一方、記録層は磁性粒子が空隙部によって互いに離隔されているので、従来の酸化物、窒化物、および酸窒化物(以下、本願明細書では「酸化物等」と称する。)が記録層に含まれる垂直磁気記録媒体と比較して、酸化物等による記録層表面の汚染を回避できるため、信頼性の高い垂直磁気記録媒体が実現できる。さらに、垂直磁気記録媒体は記録層の材料に起因する生産歩留まりの低下を回避できる。
前記基板と下地層との間に他の下地層をさらに備え、前記他の下地層は、RuまたはRu合金からなる他の結晶粒子と該他の結晶粒子同士が結晶粒界部を介して結合した多結晶膜から構成されてもよい。基板と下地層との間に、RuまたはRu合金からなる結晶粒子と結晶粒界部からなる他の下地層が設けられている。他の下地層は、連続多結晶膜なので結晶性配向性が良好である。したがって、下地層の結晶粒子の結晶配向性が促進され、記録層の磁性粒子の結晶配向性がいっそう向上される。その結果、垂直保磁力や角形比等の磁気特性が向上して高記録密度での再生出力が増加して記録再生特性が向上する。よって、いっそうの高密度記録が可能である。
本発明のその他の観点によれば、磁気ヘッドを有する記録再生手段と、上記いずれかの垂直磁気記録媒体と、を備える磁気記憶装置が提供される。本発明によれば、SN比が良好で、信頼性の高い磁気記憶装置が提供できる。
本発明のその他の観点によれば、基板上に下地層を形成する工程と、前記下地層上に記録層を形成する工程とを含み、前記下地層を形成する工程は、RuあるいはRu合金からなるスパッタターゲットを使用して堆積速度を2nm/秒以下で、かつ、雰囲気ガス圧力を2.66Pa以上に設定してスパッタ法により行い、前記記録層を形成する工程は、強磁性材料からなる材料のみを堆積させることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法が提供される。
本発明によれば、記録層を酸化物等の非磁性材料を使用せずにグラニュラ構造を形成するので、酸化物等による成膜室内の汚染が回避される。したがって、酸化物等による記録層表面の汚染が防止され、垂直磁気記録媒体の表面欠陥検査における歩留まりの低下が回避される。よって、生産歩留まりの低下を回避できる。また、記録層表面が酸化物等により汚染されることを防止できるので、信頼性の高い垂直磁気記録媒体を提供できる。
本発明によれば、SN比の向上を図ると共に、生産歩留まりの低下を回避し、さらには磁気記憶装置の信頼性を向上可能な垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置を提供できる。
以下図面を参照しつつ実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る第1例の垂直磁気記録媒体の断面図である。図2は、第1例の垂直磁気記録媒体の要部の模式的拡大図である。
図1および図2を参照するに、第1の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体10は、基板11と、基板11上に、軟磁性裏打ち層12、シード層13、下地層14、記録層15、保護膜16、および潤滑層18を順次積層してなる。垂直磁気記録媒体10は、後ほど詳しく説明するように、下地層14の結晶粒子14aが基板面内方向に空隙部14bを介して配置され、その上に記録層15の磁性粒子15aが基板面内方向に空隙部15bを介して配置された構成を有する。
基板11は、例えば、プラスチック基板、結晶化ガラス基板、強化ガラス基板、Si基板、アルミニウム合金基板などから構成され、垂直磁気記録媒体10がテープ状である場合はポリエステル(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、耐熱性に優れたポリイミド(PI)などのフィルムを用いることができる。本発明では基板加熱を必要としないので、これらの樹脂製基板を用いることができる。
軟磁性裏打ち層12は、例えば、膜厚が50nm〜2μmであり、Fe、Co、Ni、Al、Si、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Nb、C、およびBから選択された少なくとも1種の元素を含む非晶質もしくは微結晶の軟磁性材料からなる。さらに、軟磁性裏打ち層12は、1層に限定されず、複数層を積層してもよい。
また、軟磁性裏打ち層12は、記録磁界を集中することができる点で飽和磁束密度Bsが1.0T以上の軟磁性材料が好ましい。このような軟磁性材料として、例えば、FeSi、FeAlSi、FeTaC、CoNbZr、CoCrNb、NiFeNb、Co等が挙げられる。また、軟磁性裏打ち層12は、高転送レートでの書込性の点では高周波透磁率が高い方が好ましい。軟磁性裏打ち層12は、めっき法、スパッタ法、蒸着法、CVD(化学的気相成長)法等により形成する。
シード層13は、例えば膜厚が2.0nm〜10nmであり、Ta、Ti、C、Mo、W、Re、Os、Hf、Mg、Pt、およびこれらの合金のうち少なくとも1種の材料、あるいはNiPから選択される非晶質金属からなる。シード層13は、この上に形成される下地層14の結晶粒子のc軸を膜厚方向に配向させる。さらに、シード層13は、下地層14の結晶粒子を基板面内方向に一様に分布させる。
また、シード層13は、下地層14の結晶配向性が良好な点でTaからなることが好ましい。シード層13は、軟磁性裏打ち層12と記録層15とを近接させる点で、上記の材料の単層膜であることが好ましく、膜厚が1.0nmから5.0nmであることが好ましい。シード層13は上記の材料の膜を複数積層させた積層体としてもよい。なお、シード層は設けた方が上述したように好ましいが省略してもよい。
下地層14は、Ru、あるいはhcp(六方細密充填)結晶構造を有するRu−X合金(XはCo、Cr、Fe、Ni、およびMnからなる群のうち少なくとも1種からなる。)からなる多数の結晶粒子14aからなる。結晶粒子14aは、シード層13の表面から基板面に対して垂直方向に成長し、記録層15との界面に達する柱状構造を有する。さらに、結晶粒子14aは、互いに基板面内方向に空隙部14bにより離隔されている。一つの結晶粒子14a内は、一つの単結晶からなる。なお、一つの結晶粒子14a内が複数の単結晶が形成されていてもよいが、結晶配向性の点では、一つの単結晶からなる方が好ましい。
下地層14の空隙部14bは、結晶粒子14aの底面から上方に、基板面に平行な断面形状が略一定のままで記録層15との界面まで形成されている。なお、下地層14の空隙部14bは、結晶粒子14aの上部に向かって広がるように形成されてもよい。本願発明者の検討によれば、垂直磁気記録媒体10の断面TEM(透過電子顕微鏡)像から、結晶粒子14aの上半分の周囲に下半分よりも広い空隙部14bが観察される場合が多い。このような下地層14を形成することにより、結晶粒子14aの表面に形成される記録層15の磁性粒子15a同士を適度に離隔することができる。下地層14は、後ほど詳述するが、Arガス等の不活性ガスの雰囲気ガス圧力、および、下地層14の堆積速度を所定の範囲に設定することで形成することができる。
結晶粒子14aの面内方向の平均粒径D1は、2nm〜10nm(さらに好ましくは5nm〜10nm)の範囲に設定することが好ましい。このように設定することにより結晶粒子14a上に成長する記録層15の磁性粒子15aの粒径の制御性が良好となる。また、空隙部14bの平均幅X1は1nm〜2nmの範囲に設定することが好ましい。記録層15の磁性粒子同士の間隙の制御性が良好となる。
また、下地層14の結晶粒子14aは、RuやRu−X合金の(0001)面が成長方向となり、記録層15がhcp結晶構造を有する磁性粒子15aからなる場合は、磁性粒子のc軸(磁化容易軸)を基板面に対して垂直方向に配向性させることができる。なお、下地層14は、結晶成長が良好な点で純Ruが好ましい。
また、下地層14の膜厚は5nm〜30nmの範囲に設定されることが好ましい。下地層14の膜厚を2nmよりも薄くすると結晶性が劣る。下地層14の膜厚を30nmよりも厚くすると、軟磁性裏打ち層12の表面から潤滑層18の表面までの厚さが増大し、記録再生におけるスペーシングロスが増加する。また、記録の際の書き滲み等の障害が生じ易く傾向にある。また、下地層14は、結晶粒子14aの孤立化が良好な点で膜厚が3nm〜16nmの範囲であることが好ましく、スペーシングロスの増大をいっそう回避する点で3nm〜10nmであることがさらに好ましい。
記録層15は、Ni、Fe、Co、Ni系合金、Fe系合金、CoCr、CoPt、およびCoCr合金からなる群のうち、いずれかの強磁性材料からなる多数の磁性粒子15aからなる。CoCr合金としては、CoCrTa、CoCrPt、およびCoCrPt−Mが挙げられる。ここで、Mは、B、Mo、Nb、Ta、W、およびCuからなる群のうち少なくとも1種から選択される。磁性粒子15aは、下地層14の結晶粒子14aの表面から基板面に対して略垂直方向に成長する柱状構造を有する。さらに、磁性粒子15aは、互いに基板面内方向に空隙部15bにより離隔されている。記録層15の磁性粒子15aは、下地層14の結晶粒子14aの上にエピタキシャル成長しており、1個の結晶粒子14a上に1個の磁性粒子15aが形成されている。したがって、記録層15の空隙部15bは、下地層14の空隙部14bに連通して形成されている。
記録層15の磁性粒子15aは、CoCr、CoCrTa、CoPt、CoCrPt、およびCoCrPt−Mからなる群のうち、いずれかの強磁性材料からなることが好ましい。これらの強磁性材料は、hcp結晶構造を有し、下地層14の結晶粒子14aの(0001)面上に、(0001)面方向に成長する。すなわち、磁性粒子15aのc軸(磁化容易軸)が基板面に対して垂直に配向する。
さらに、記録層15の磁性粒子15aは、特にCoPt、CoCrPtおよびCoCrPt−Mからなる群のうち、いずれかの強磁性材料からなることが好ましい。
磁性粒子15a、17aがCoCrPt−Mからなる場合は、Co含有量が50原子%〜80原子%、Pt含有量が15原子%〜30原子%、M濃度が0原子%よりも多くかつ20原子%以下、残りがCr含有量となるように設定する。このようにPt含有量を従来の垂直磁気記録媒体と比較して多く含有させることにより、異方性磁界を増加して基板面に対して垂直方向の保磁力を高めることができる。
記録層15の膜厚は高記録密度化に適する点で3nm〜15nmの範囲に設定されることが好ましく、5nm〜10nmの範囲に設定されることがさらに好ましい。
図1に戻り、保護膜16は、特に限定されないが、例えば膜厚が0.5nm〜15nmのアモルファスカーボン、水素化カーボン、窒化カーボン、および酸化アルミニウム等から選択される。
潤滑層18は、特に限定されないが、例えば膜厚が0.5nm〜5nmのパーフルオロポリエーテルが主鎖の潤滑剤を用いることができる。潤滑層18は、保護膜16の材料に応じて設けてもよく、設けなくともよい。
第1例の垂直磁気記録媒体10は、下地層14の結晶粒子14aが空隙部14bにより互い離隔して配置されて成長し、さらにその上に記録層15の磁性粒子15aが成長しているので、磁性粒子15aが互い離隔して配置される。各々の磁性粒子15aと磁性粒子15aとの間に働く磁気的な相互作用を抑制して媒体ノイズを低減することができる。その結果、垂直磁気記録媒体10のSN比の向上を図れる。一方、記録層15は磁性粒子15aが空隙部15bによって互いに離隔されているので、従来の酸化物等が記録層に含まれる垂直磁気記録媒体と比較して、酸化物等による記録層表面の汚染を回避できるため、信頼性の高い垂直磁気記録媒体10が実現できる。さらに、垂直磁気記録媒体10は記録層15の材料に起因する生産歩留まりの低下を回避できる。
次に、図1を参照しつつ、第1の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の製造方法を説明する。
最初に、基板11の表面を洗浄・乾燥後、基板11上に上述した軟磁性裏打ち層12を、無電解めっき法、電気めっき法、スパッタ法、真空蒸着法等により形成する。
次いで、軟磁性裏打ち層12上にスパッタ装置を用いて、上述した材料からなるスパッタターゲットを用いてシード層13を形成する。スパッタ装置は予め10-7Paまで排気可能な超高真空スパッタ装置を用いることが好ましい。具体的には、シード層13は、例えばDCマグネトロン法によりArガス雰囲気中で圧力0.4Paに設定して形成する。この際、基板11の加熱は行わない方が好ましい。軟磁性裏打ち層12の結晶化あるいは微結晶の肥大化を抑制することができる。もちろん、軟磁性裏打ち層12の結晶化あるいは微結晶の肥大化を伴わない程度の温度である150℃以下の温度に加熱してもよい。基板温度の下限は、加熱装置や冷却装置が必要ない点で20℃に設定することが好ましい。さらに、基板11を冷却して成膜してもよく、例えば−100℃としてもよい。さらに、装置上の制約がなければ−100℃よりも低い温度に冷却してもよい。なお、基板11の温度条件は、下地層14、および記録層15を形成する工程においてもシード層13の形成工程と同様である。
次いで、シード層13上にスパッタ装置を用いて、上述したRuあるいはRu−X合金からなるスパッタターゲットを用いて下地層14を形成する。具体的には、下地層14は、例えばDCマグネトロン法により不活性ガス、例えばArガス雰囲気で成膜する。成膜の際の堆積速度を2nm/秒以下でかつ雰囲気ガス圧力を2.66Pa(20mTorr)以上に設定する。このように堆積速度および雰囲気ガス圧力を設定することで、上述した結晶粒子14aと空隙部14bからなる下地層14を形成することができる。ここで、堆積速度を2nm/秒よりも大きくすると、空隙部14bが形成されず結晶粒子と結晶粒界部からなる連続体(第2の実施の形態で説明する。)が形成される。また、雰囲気ガス圧力を2.66Pa(20mTorr)よりも低く設定した場合も空隙部が形成されず結晶粒子と結晶粒界部からなる連続体が形成される。
なお、堆積速度を生産効率が過度に低下しない点で0.1nm/秒以上に設定することが好ましい。また、雰囲気ガス圧力を26.6Pa(200mTorr)以下に設定することが好ましい。雰囲気ガス圧力が26.6Paよりも高い場合、不活性ガスが結晶粒子14a中に取り込まれ、その結晶性が低下する傾向にある。なお、上述した理由と同様に下地層14を形成する際に基板11の加熱は行わない方が好ましい。
次いで、下地層14上にスパッタ装置を用いて、上述した材料からなるスパッタターゲットを用いて記録層15を形成する。具体的には、例えばDCマグネトロン法により、磁性粒子15aの磁性材料のスパッタターゲットを用い、不活性ガス雰囲気、例えばArガス雰囲気で成膜する。記録層15の磁性粒子15aは下地層14の結晶粒子14aの表面に成長し、磁性粒子15aの周囲には空隙部15bが形成される。したがって、磁性粒子15a同士は互いに空隙部15bによって離隔される。成膜の際、雰囲気ガス圧力を2.00Pa〜8.00Paの範囲に設定することが好ましい。また、記録層15の堆積速度は、記録層15の磁性粒子15aが孤立化が促進して形成される点で0.5nm/秒以下に設定することが好ましい。さらに、記録層15の堆積速度は、記録層15の磁性粒子15aがいっそうの孤立化が促進して形成される点で0.2nm/秒以下に設定することが好ましい。
なお、上述したシード層13を形成する工程から記録層15を形成する工程までは、その表面に各層を形成した状態で真空中あるいは成膜雰囲気に保持することが、表面の清浄性の点で好ましい。
次いで、記録層15上に、スパッタ法、CVD法、FCA(Filtered Cathodic Arc)法等を用いて保護膜16を形成する。次いで、保護膜16の表面に、引き上げ法、スピンコート法、液面低下法等により塗布される。以上により、第1の実施の形態に係る第1例の垂直磁気記録媒体10が形成される。
なお、上述したシード層13、下地層14、および記録層15の形成工程ではDCマグネトロン法を例に説明したが、他のスパッタ法(例えばRFスパッタ法)や真空蒸着法を用いることができる。
第1例の垂直磁気記録媒体10の製造方法では、下地層14を形成する際の堆積速度および雰囲気ガス圧力を所定の範囲に設定することにより、下地層14の結晶粒子14aを空隙部14bにより互いに離隔して形成することで、記録層15の磁性粒子15aを空隙部15bにより離隔した構造を形成できる。したがって、SiO2等の酸化物等を用いることなく、磁性粒子15aを空隙部15bにより離隔した構造の記録層15を形成できるので、記録層15を形成するスパッタ装置の成膜室内の酸化物等による汚染を防止できる。その結果、記録層15表面の汚染を防止できるので、生産歩留まりの低下を回避し、さらには信頼性の高い垂直磁気記録媒体を製造できる。
次に第1の実施の形態に係る第2例の垂直磁気記録媒体を説明する。第2例の垂直磁気記録媒体は、シード層と下地層との間にさらに他の下地層を設けた以外は第1例の垂直磁気記録媒体と同様である。
図3は、第1の実施の形態に係る第2例の垂直磁気記録媒体の断面図、図4は、第2例の垂直磁気記録媒体の要部の模式的拡大図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。なお、第2例の垂直磁気記録媒体において第2下地層は、第1例の垂直磁気記録媒体における下地層14(図1および図2に示される。)と同一であるので同じ符号を用い、第2下地層の説明を省略する。
図3および図4を参照するに、第2例の垂直磁気記録媒体20は、基板11と、基板11上に、軟磁性裏打ち層12、シード層13、第1下地層21、第2下地層14、記録層15、保護膜16、および潤滑層18を順次積層した構成からなる。垂直磁気記録媒体20は、シード層13と第2下地層14との間に、第2下地層14と同様の材料からなり結晶粒子同士が密接した連続した多結晶体膜の第1下地層21が設けられている。第1下地層21は連続した多結晶体膜のため結晶性が良好であるので、第2下地層14の結晶粒子14aの結晶配向性を向上し、記録層15の磁性粒子15aの結晶配向性がいっそう向上される。
第1下地層21は、第2下地層14と同様の材料からなり、結晶粒子21aと結晶粒界部21bから構成される。結晶粒子21aは第2下地層14の結晶粒子14aと略同様であり、結晶粒界部21bは結晶粒子21aの結晶粒界であり、すなわち結晶粒界部21bはRuまたはRu−X合金(X=Co、Cr、Fe、Ni、およびMnのうち少なくとも1種)の原子(非晶質あるいは微結晶体)から構成される。このように第1下地層21は、結晶粒子14a同士を結晶粒界部14bを介して結合した連続膜を形成しているので、結晶性が良好であり、その(0001)面の結晶配向は基板面に対して垂直方向となっている。したがって、第1下地層21との界面付近の第2下地膜14の結晶性が良好となり、第2下地層14の結晶粒子14aの結晶性および結晶配向性が向上し、さらに、記録層15の磁性粒子15aの結晶性および結晶配向性が向上する。
第1下地層21の膜厚は、2nm〜14nmの範囲に設定され、第1下地層21と第2下地層14の総膜厚は、4nm〜16nmの範囲に設定され、スペーシングロスの点で、4nm〜11nmの範囲に設定されることが好ましい。
次に、図3および図4を参照しつつ第1下地層21の形成方法を次に説明する。第1下地層21は、シード層13上にスパッタ装置を用いて、上述したRuあるいはRu−X合金からなるスパッタターゲットを用いて形成する。具体的には、第1下地層21は、例えばDCマグネトロン法により不活性ガス、例えばArガス雰囲気で、堆積速度を2nm/秒よりも大きく、あるいは、雰囲気ガス圧力を2.66Pa未満に設定する。このように堆積速度あるいは雰囲気ガス圧力を設定することで、上述した結晶粒子21aと結晶粒界部21bからなる多結晶体の第1下地層21を形成することができる。なお、堆積速度は、第2下地層14を形成する際の膜厚の制御性が良好な点で8nm/秒以下に設定することが好ましい。また、雰囲気ガス圧力は、スパッタ装置のプラズマ放電が安定な点で0.26Pa以上に設定することが好ましい。なお、第1下地層21を形成する際は、上述した第1例の垂直磁気記録媒体の場合と同様の理由によりに基板11の加熱は行わない方が好ましい。
なお、第1下地層21を形成する際に、スパッタ装置内に希薄な活性ガスを供給し、シード層13の表面に活性ガスの分子を吸着させてもよい。活性ガスとしては、酸素ガス、N2Oが挙げられる。活性ガスの吸着分子の量は、吸着分子がシード層13表面に互いに離隔して吸着する程度とする。これにより、吸着分子が第1下地層21の結晶粒子14aの成長核となる。このような成長核が形成されていると、各々の結晶粒子14aが略同時に粒成長を開始するため、結晶粒子14aの粒径が均一化する。その結果、均一な粒径が第2下地層14、さらに記録層15に引き継がれ、粒径の揃った記録層15が形成される。
活性ガスのシード層13表面への吸着処理は、具体的には、シード層13の表面を1ラングミュア(L)単位未満の範囲で活性ガスに暴露することが好ましい。ここで、1L単位は、圧力1×10-6Torrの活性ガスに1秒間暴露することを意味する。
なお、吸着分子は、シード層13の表面を酸化あるいは窒化させてシード層13の材料を変換させてもよく、単にシード層13の表面に吸着していてもよい。吸着分子により酸化あるいは窒化された表面、または、吸着分子自体が粒成長核として機能する。
第2例の垂直磁気記録媒体20では、シード層13と第2下地層14との間に、結晶粒子21aと結晶粒界部21bからなる連続多結晶膜の第1下地層21が設けられている。第1下地層21は連続多結晶膜なので結晶性配向性が良好である。したがって、第1下地層21により第2下地層14の結晶粒子14aの結晶配向性が促進され、さらに記録層15の磁性粒子15aの結晶配向性がいっそう向上される。その結果、垂直保磁力や角形比等の磁気特性が向上して高記録密度での再生出力が増加して記録再生特性が向上する。よって、いっそうの高密度記録が可能である。なお、垂直保磁力は基板面に対して垂直方向に磁界を印加して振動試料型磁力計やカー効果測定装置によって磁化あるいはカー回転角のヒステリシスループを測定して得られる保磁力である。また、角形比は、かかるヒステリシスループの残留磁化と飽和磁化との比(=残留磁化÷飽和磁化)である。
また、第1下地層21の膜厚に第2下地層14の膜厚の膜厚を加えた総膜厚が、第1例の垂直磁気記録媒体の場合の第2下地層14の膜厚よりも薄膜化でき、軟磁性裏打ち層12の表面と潤滑層18の表面とを近接することができる。したがって、記録の際に必要なヘッド磁界強度を低減すると共にサイドイレーズ等の書き滲みを抑制することができる。
また、第2例の垂直磁気記録媒体20では、第2下地層14の膜厚を図1に示す第1例の垂直磁気記録媒体10の下地層14の膜厚よりも薄膜化を図れるので、第2下地層14の表面の表面性を向上できる。記録層15および保護膜16は、第2下地層14の表面性を引き継ぐので、表面性の良好な垂直磁気記録媒体20が実現できる。したがって、磁気ヘッドと垂直磁気記録媒体20とのスペーシングを低減してよりいっそうの高密度記録が可能となる。
次に、第1の実施の形態に係る実施例を説明する。
[実施例1〜実施例3]
実施例1の垂直磁気記録媒体は、先の図3に示す第2例の垂直磁気記録媒体と同様の構成とした。
まず、非晶質Si酸化膜が表面に形成されたSi基板の表面に、スパッタ法によりArガス雰囲気、雰囲気ガス圧力0.399Paに設定して、膜厚200nmのCoZrNb膜、および膜厚3nmのTa膜を順次形成した。
次いで、スパッタ法によりArガス雰囲気、雰囲気ガス圧力0.133Pa、堆積速度0.6nm/秒に設定して、膜厚9nmの第1下地層のRu膜を形成した。
次いで、スパッタ法によりArガス雰囲気、雰囲気ガス圧力5.32Pa、堆積速度0.3nm/秒に設定して、膜厚15nmの第2下地層のRu膜を形成した。
次いで、スパッタ法によりArガス雰囲気、圧力5.32Pa、堆積速度0.2nm/秒に設定して、膜厚10nmのCo80Pt20膜を形成した。
次いで、スパッタ法により膜厚3nmのカーボン膜を形成した。なお、CoZrNb膜からカーボン膜までの成膜の際にSi基板の加熱を行わなかった。
実施例2および実施例3の垂直磁気記録媒体は、各々、実施例1の第2下地層のRu膜の膜厚を20nm、25nmに代えた以外は実施例1と同様にして形成した。
また比較のため、比較例は、実施例1の第2下地層のRu膜を設けない以外は実施例1と同様にして形成した。
図5は、実施例1〜3および比較例の垂直磁気記録媒体の磁気特性を示す図である。
図5を参照するに、比較例に対して実施例1〜3は、垂直保磁力Hcが大幅に増加し、さらに核形成磁界Hnが負側でかつその絶対値が大きく、ヒステリシスループがより矩形に近くなっており、好ましい磁気特性になっていることが分かる。実施例1〜3では、第2下地層のRu膜がより厚い方が垂直保磁力が増加し、ヒステリシスループがより矩形に近くなっていることが分かる。
さらに記録層の磁性粒子同士の相互作用の程度を表すα値は、磁化の値が0になる位置での減磁曲線の傾きであるが、比較例の場合は減磁曲線が磁化の値が0になる位置で直線とならずα値が得られなかった。これは比較例では記録層が磁性粒子同士が密接した連続膜になっているためである。一方、実施例1〜3ではα値は2.0〜2.8程度であるので、磁性粒子が互いに離隔した構造を有し、結晶粒子の孤立化が促進されていることが分かる。
また、実施例1〜3では一軸異方性定数Kuが1.15erg/cm3となり、基板加熱行わない製造条件にもかかわらず、従来の垂直磁気記録媒体、例えば基板加熱温度を700℃として形成したCo50Pt50の記録層のKu値が得られていることが分かる。
したがって、実施例1〜3および比較例によれば、上述した条件で第2下地層を形成し、さらに記録層を酸化物等を使用しないで強磁性材料のみにより形成することで、記録層の磁性粒子が互いに離隔して形成されていることが分かる。すなわち、実施例1〜3は、記録層の孤立化が図られていることが分かる。
なお、上述したヒステリシスループはカー効果測定装置を用いてカー回転角と印加磁界との関係を測定して得られたものである。印加磁界は基板面に垂直方向に印加した。
図6(A)は実施例の垂直磁気記録媒体の断面TEM写真、(B)は(A)の説明図である。
図6(A)および(B)を参照するに、1個の柱状の結晶粒子(下地層の結晶粒子14aと記録層の磁性粒子15aからなる。)が他の結晶粒子(焦点がずれているためぼやけて見える。)と空隙部15bを介して離隔して成長していることが分かる。なお、結晶粒子と他の結晶粒子との間に充填されて見える部分は試料固定用の樹脂であり、垂直磁気記録媒体由来のものではない。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に係る第1例あるいは第2例の垂直磁気記録媒体を備えた磁気記憶装置に係るものである。
図7は、本発明の実施の第2の実施の形態に係る磁気記憶装置の要部を示す図である。図7を参照するに、磁気記憶装置50は大略ハウジング51からなる。ハウジング51内には、スピンドル(図示されず)により駆動されるハブ52、ハブ52に固定され回転される垂直磁気記録媒体53、アクチュエータユニット54、アクチュエータユニット54に取り付けられ垂直磁気記録媒体53の半径方向に移動するアーム55およびサスペンション56、サスペンション56に支持された磁気ヘッド58が設けられている。
磁気ヘッド58は、例えば、単磁極型記録ヘッドとGMR(Giant Magneto Resistive)素子を備えた再生ヘッドから構成される。
単磁極型記録ヘッドは、垂直磁気記録媒体53に記録磁界を印加するための、軟磁性材料からなる主磁極と、主磁極に磁気的に接続されたリターンヨークと、主磁極とリターンヨークに記録磁界を誘導するための記録用コイルなどから構成されている。単磁極型記録ヘッドは、主磁極から記録磁界を垂直磁気記録媒体に対して垂直方向に印加して、垂直磁気記録媒体に垂直方向の磁化を形成する。
また、再生ヘッドはGMR素子を備え、GMR素子は、垂直磁気記録媒体53の磁化が漏洩する磁界の方向を抵抗変化として感知して垂直磁気記録媒体53の記録層に記録された情報を得ることができる。なお、GMR素子の代わりにTMR(Ferromagnetic Tunnel Junction Magneto Resistive)素子等を用いることができる。
垂直磁気記録媒体53は、第1の実施の形態に係る第1例あるいは第2例の垂直磁気記録媒体である。垂直磁気記録媒体53はSN比が良好であるので高密度記録が可能な磁気記憶装置50が実現される。
なお、第2の実施の形態に係る磁気記憶装置50の基本構成は、図7に示すものに限定されるものではなく、磁気ヘッド58は上述した構成に限定されず、公知の磁気ヘッドを用いることができる。また、本発明で用いる垂直磁気記録媒体53は、磁気ディスクに限定されず磁気テープであってもよい。
第2の実施の形態によれば、磁気記憶装置50は、垂直磁気記録媒体53が、媒体ノイズが低減されているのでSN比が良好なので、高記録密度化が可能となる。さらに、磁気記憶装置50は、垂直磁気記録媒体53が酸化物等による記録層表面の汚染を回避されるため信頼性が高い。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
なお、以上の説明に関してさらに以下の付記を開示する。
(付記1) 基板と、
前記基板上にRuまたはRu合金からなる下地層と、
前記下地層上に形成された記録層と、を備え、
前記下地層は、基板面に対して垂直方向に延びる複数の結晶粒子を有し、該結晶粒子が互いに空隙部を介して離隔して配置されてなり、
前記記録層は、前記下地層の結晶粒子上に堆積した磁性粒子を有し、該磁性粒子が互いに空隙部を介して離隔して配置されてなる垂直磁気記録媒体。
(付記2) 前記下地層の空隙部と記録層の空隙部が連通して形成されてなることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記3) 前記結晶粒子の平均粒径は、2nm〜10nmの範囲に設定されることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記4) 前記下地層は、その膜厚が2nm〜30nmの範囲に設定されることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記5) 前記基板と下地層との間にシード層をさらに備え、
前記シード層がTa、Ti、C、Mo、W、Re、Os、Hf、Mg、Ptおよびこれらの合金からなる群のうち少なくとも1種、あるいはNiPからなることを特徴とする付記4記載の垂直磁気記録媒体。
(付記6) 前記基板と下地層との間に他の下地層をさらに備え、
前記他の下地層は、RuまたはRu合金からなる他の結晶粒子と該他の結晶粒子同士が結晶粒界部を介して結合した多結晶膜からなることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記7) 前記基板と他の下地層との間にシード層をさらに備え、
前記シード層がTa、Ti、C、Mo、W、Re、Os、Hf、Mg、Ptおよびこれらの合金からなる群のうち少なくとも1種、あるいはNiPからなることを特徴とする付記6記載の垂直磁気記録媒体。
(付記8) 前記Ru合金はhcp結晶構造を有するRu−X合金であり、XがCo、Cr、Fe、Ni、およびMnからなる群のうち少なくとも1種であることを特徴とする付記1または6記載の垂直磁気記録媒体。
(付記9) 前記記録層の磁性粒子は、Ni、Fe、Co、Ni系合金、Fe系合金、CoCr、CoPt、およびCoCr合金からなる群からなる群のうちいずれか1種の強磁性材料からなることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記10) 前記記録層の磁性粒子は、CoCr、CoCrTa、CoPt、CoCrPt、およびCoCrPt−Mからなる群のうち、いずれかの強磁性材料からなることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体(ここで、前記Mは、B、Mo、Nb、Ta、W、Cuおよびこれらの合金からなる群のうち少なくとも1種の材料からなる。)。
(付記11) 磁気ヘッドを有する記録再生手段と、
付記1記載の垂直磁気記録媒体と、を備える磁気記憶装置。
(付記12) 基板上に下地層を形成する工程と、
前記下地層上に記録層を形成する工程とを含み、
前記下地層を形成する工程は、RuあるいはRu合金からなるスパッタターゲットを使用して堆積速度を2nm/秒以下で、かつ、雰囲気ガス圧力を2.66Pa以上に設定してスパッタ法により行い、
前記記録層を形成する工程は、強磁性材料からなる材料のみを堆積させることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記13) 前記下地層を形成する工程は、堆積速度を0.1nm/秒以上に設定することを特徴とする付記12記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記14) 前記下地層を形成する工程は、雰囲気ガス圧力を26.6Pa以下に設定することを特徴とする付記12または13記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記15) 前記下地層を形成する工程前に、前記基板上に軟磁性裏打ち層を形成する工程をさらに含み、
前記軟磁性裏打ち層形成工程後から前記記録層を形成する工程までにおいて、基板温度を150℃以下に設定することを特徴とする付記12記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記16) 前記下地層を形成する工程前に、前記基板上に軟磁性裏打ち層を形成する工程をさらに含み、
前記軟磁性裏打ち層形成工程後から前記記録層を形成する工程までにおいて、基板加熱を行わないことを特徴とする付記12記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記17) 前記下地層を形成する工程の前に、前記基板上に他の下地層を形成する工程をさらに含み、
前記他の下地層を形成する工程は、RuあるいはRu合金からなるスパッタターゲットを使用して、堆積速度を2nm/秒よりも大きく、あるいは、雰囲気ガス圧力を2.66Pa未満に設定して、スパッタ法により行うことを特徴とする付記12記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記18) 前記他の下地層を形成する工程は、堆積速度を8nm/秒以上に設定することを特徴とする付記17記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記19) 前記他の下地層を形成する工程は、雰囲気ガス圧力を0.26Pa以上に設定することを特徴とる付記17または18記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記20) 前記記録層を形成する工程は、強磁性材料からなるスパッタターゲットを使用して不活性ガス雰囲気でスパッタ法により成膜することを特徴とする付記12記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
本発明の第1の実施の形態に係る第1例の垂直磁気記録媒体の断面図である。 第1例の垂直磁気記録媒体の要部の模式的拡大図である。 第1の実施の形態に係る第2例の垂直磁気記録媒体の断面図である。 第2例の垂直磁気記録媒体の要部の模式的拡大図である。 実施例1〜3および比較例の垂直磁気記録媒体の磁気特性を示す図である。 (A)は実施例の垂直磁気記録媒体の断面TEM写真、(B)は(A)の説明図である。 本発明の第2の実施の形態の磁気記憶装置の要部平面図である。
符号の説明
10,20、53 垂直磁気記録媒体
11 基板
12 軟磁性裏打ち層
13 シード層
14 下地層(第2下地層)
14a,15a,21a 結晶粒子
14b,15b,21b 空隙部
15 記録層
15a 磁性粒子
16 保護膜
18 潤滑層
21 第1下地層
50 磁気記憶装置
58 磁気ヘッド

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上にRuまたはRu合金からなる下地層と、
    前記下地層上に形成された記録層と、を備え、
    前記下地層は、基板面に対して垂直方向に延びる複数の結晶粒子を有し、該結晶粒子が互いに空隙部を介して離隔して配置されてなり、
    前記記録層は、前記下地層の結晶粒子上に堆積した磁性粒子を有し、該磁性粒子が互いに空隙部を介して離隔して配置されてなる垂直磁気記録媒体。
  2. 前記下地層の空隙部と記録層の空隙部が連通して形成されてなることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記基板と下地層との間に他の下地層をさらに備え、
    前記他の下地層は、RuまたはRu合金からなる他の結晶粒子と該他の結晶粒子同士が結晶粒界部を介して結合した多結晶膜からなることを特徴とする請求項1または2記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記基板と他の下地層との間にシード層をさらに備え、
    前記シード層がTa、Ti、C、Mo、W、Re、Os、Hf、Mg、Ptおよびこれらの合金からなる群のうち少なくとも1種、あるいはNiPからなることを特徴とする請求項3記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記Ru合金はhcp結晶構造を有するRu−X合金であり、XがCo、Cr、Fe、Ni、およびMnからなる群のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか一項記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 磁気ヘッドを有する記録再生手段と、
    請求項1〜5のうち、いずれか一項記載の垂直磁気記録媒体と、を備える磁気記憶装置。
  7. 基板上に下地層を形成する工程と、
    前記下地層上に記録層を形成する工程とを含み、
    前記下地層を形成する工程は、RuあるいはRu合金からなるスパッタターゲットを使用して堆積速度を2nm/秒以下で、かつ、雰囲気ガス圧力を2.66Pa以上に設定してスパッタ法により行い、
    前記記録層を形成する工程は、強磁性材料からなる材料のみを堆積させることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  8. 前記下地層を形成する工程前に、前記基板上に軟磁性裏打ち層を形成する工程をさらに含み、
    前記軟磁性裏打ち層形成工程後から前記記録層を形成する工程までにおいて、基板温度を150℃以下に設定することを特徴とする請求項7記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  9. 前記下地層を形成する工程の前に、前記基板上に他の下地層を形成する工程をさらに含み、
    前記他の下地層を形成する工程は、RuあるいはRu合金からなるスパッタターゲットを使用して、堆積速度を2nm/秒よりも大きく、あるいは、雰囲気ガス圧力を2.66Pa未満に設定して、スパッタ法により行うことを特徴とする請求項7または8記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  10. 前記記録層を形成する工程は、強磁性材料からなるスパッタターゲットを使用して不活性ガス雰囲気でスパッタ法により成膜することを特徴とする請求項7〜9のうち、いずれか一項記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
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