JP2004077959A - 焦点調節方法およびカメラ - Google Patents

焦点調節方法およびカメラ Download PDF

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Abstract

【課題】合焦位置がレンズ駆動領域の端点近傍にあっても焦点調節を高精度に行うことができるカメラの提供。
【解決手段】フォーカスレンズの駆動領域全域にわたって焦点評価値をサンプリングする最初のサーチL31によって、無限側端点の焦点評価値P17が最大焦点評価値であった場合には、三点内挿法により合焦レンズ位置D1を算出できないのでより詳細な2回目のサーチL32を行う。2回目のサーチL32では、1回目のサーチL31の場合よりもレンズ移動速度を遅くするので、1回目サーチよりもサンプリング間隔が狭くなって詳細な焦点評価値サンプリングができる。2回目サーチL32でサンプリング点P22の焦点評価値が最大であったならば、サンプリング点P21〜P23の焦点評価値を用いた三点内挿法により合焦レンズ位置D1を算出する。
【選択図】    図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像装置から出力される映像信号から焦点評価値を算出し、その焦点評価値が最大となるように撮影レンズの焦点調整を行う焦点調節方法およびカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
CDD等の撮像素子により被写体像を撮像する電子カメラにおいては、撮像信号からコントラスト信号に対応する高周波成分を抽出し、この高周波成分が最大となるレンズ位置にフォーカスレンズを移動させる焦点調整方法が知られている。高周波成分は焦点評価値と呼ばれ、上記焦点調整方法は山登りAFと呼ばれている。
【0003】
一般的に、焦点評価値が最大となるレンズ位置を算出する場合には、フォーカスレンズを駆動領域内の一部または全域に移動させ、異なる複数のレンズ位置に関して各々焦点評価値を取得する。レンズ駆動領域に対して焦点評価値が十分多数取得できる場合には、焦点評価値の最大のものを選び、その最大焦点評価値が得られた合焦レンズ位置へフォーカスレンズを移動させるようにしている。
【0004】
一方、焦点評価値の取得個数が少ない場合には、焦点評価値が実質最大になると推測される合焦レンズ位置を内挿演算(例えば、3点内挿演算)等により算出するようにしている。内挿演算を行う場合には、最大焦点評価値と少なくともその前後に位置する焦点評価値とを用いて合焦レンズ位置を算出する。この演算方法では、演算に用いるデータ数が多いほど内挿演算精度が良くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レンズ駆動領域の端点に最も近い焦点評価位置が上記最大焦点評価値であった場合、その前後に位置する焦点評価値の一方が存在しないことになる。そのため、端点近傍に合焦位置が存在する場合には、精度良く焦点調節ができないという欠点があった。
【0006】
本発明の目的は、焦点評価値に基づいて焦点調節を行う焦点調節方法およびカメラにおいて、合焦位置がレンズ駆動領域の端点近傍にあっても焦点調節を高精度に行うことができる焦点調節方法およびカメラを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、撮影光学系で結像された被写体像を撮像装置で撮像し、撮像信号の高周波成分から算出される焦点評価値に基づいて撮影光学系の合焦位置を算出する焦点調節方法に適用され、撮影光学系の焦点調節領域において粗いサンプリング間隔で焦点評価値を取得する粗サーチを行い、粗サーチで取得された焦点評価値の最大値のサンプリング位置が焦点調節領域の端点であった場合には、端点を含む近傍領域において粗サーチよりも密なサンプリング間隔で焦点評価値を取得する細密サーチを行い、その細密サーチで取得された焦点評価値に基づいて合焦位置を算出することにより上述の目的を達成する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明によるカメラの一実施の形態を示したものであり、AF(オートフォーカス)デジタルカメラのブロック図である。図1に示したデジタルカメラは、撮影レンズ1と、固体撮像素子2と、A/D変換器3と、メモリ4と、画像処理回路5と、外部記憶回路6と、コントロール回路8と、モータ13により駆動されるフォーカス制御機構14と、CPU12と、絞り19とを備えている。CPU12には、AE/AWB処理回路7,バンドパスフィルタ(BPF)9,積算回路10およびAF回路11が設けられている。外部記憶媒体6は、デジタルカメラに対して着脱可能に設けられている。
【0009】
図1では撮影レンズ1を簡略化して示したが、撮影レンズ1は1枚または複数枚のレンズで構成され、フォーカス制御機構14によりフォーカスレンズを駆動して焦点調節を行う。すなわち、フォーカス制御機構14により撮影レンズ1のフォーカスレンズを光軸方向に駆動して、固体撮像素子2の撮像面上に結像される被写体像のピント調整を行う。なお、撮影レンズ1は単一焦点距離(固定焦点)のレンズであっても良いし、ズームレンズやステップズームレンズのように焦点距離が可変なレンズであっても良い。
【0010】
固体撮像素子2は2次元型の撮像デバイスであり、このような撮像デバイスにはCCD型、MOS型、CID型など様々な形態がある。本実施の形態ではCCD撮像素子が用いられている。撮影レンズ1を通過した被写体光は、絞り19の開口を通って固体撮像素子2の撮像面上に結像される。固体撮像素子2の撮像面上に被写体像が結像されると、被写体像の光の強弱に応じて画素毎に信号電荷が蓄積される。固体撮像素子2は、コントロール回路8からのシャッターゲートパルスによって、各画素に蓄積される電荷の蓄積時間(シャッタースピード)が制御される。これは、電子シャッターと呼ばれる機能である。
【0011】
固体撮像素子2の各画素に蓄積された信号電荷は映像出力信号として順次読み出され、A/D変換器3によってデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された映像信号は、画像データとして一旦メモリ4に格納される。画像処理回路5は、輝度(Y)信号生成回路や色差(C)信号生成回路やデータ圧縮解凍回路などの信号処理回路を備えている。また、画像処理回路5はメモリ4から画像データを読み込んで各種信号処理を行った後に、所定の形式(例えば、JPEG形式)の画像データに変換し、その画像データをメモリ4またはメモリカード等の外部記憶回路6に記憶させる。
【0012】
CPU12はコントロール回路8やメモリ4などと接続され、所定のアルゴリズムに従って露出値やフォーカス状態等の各種演算を行うとともに、AE/AWB処理回路7やAF回路11等の制御を総括的に管理している。BPF9には、被写体画像の中のAFエリア内の画像に対応するAF用画像データがメモリ4から読み込まれる。BPF9は読み込まれたAF用画像データから高周波成分を抽出し、抽出された高周波成分の絶対値は積分回路10により積算される。この積算結果は焦点評価値と呼ばれている。
【0013】
なお、上述した説明では、メモリ4に記憶した画像データに基づいて、バンドパスフィルタ9および積分回路10により焦点評価値を算出する構成としたが、A/D変換器3の出力を逐次バンドパスフィルタ9へ送り、データ転送と同時に焦点評価値を算出するような構成としても良い。また、本実施の形態では、上述したBPF9および積分回路10の処理は、実際にはCPU12においてソフトウェアにより処理されているが、ハードウェアによってこれらの機能を実現するようにしても良い。
【0014】
図2は、撮影レンズ1に設けられたフォーカスレンズの位置と焦点評価値との関係を示す図である。図2において、横軸はフォーカスレンズの光軸方向の位置であり、縦軸は焦点評価値である。図2においてはレンズ位置D1で焦点評価値が最大となっており、このレンズ位置D1にフォーカスレンズを移動するとピントの合った被写体像が固体撮像素子2の撮像面に結像される。以下では、焦点評価値が最大となるレンズ位置D1を合焦レンズ位置と呼ぶことにする。フォーカスレンズは、無限側端点(図の原点O)と至近側端点(D0)との間の駆動領域を移動することができる。
【0015】
[合焦レンズ位置の算出方法]
図3は合焦レンズ位置の算出方法を説明する図であり、ここでは三点内挿演算について説明する。図3に示した黒丸は焦点評価値のサンプリング点を示しており、レンズ駆動領域の両端(無限側端点および至近側端点)を含めて7箇所の焦点評価値が取得されている。破線L0は焦点評価値のプロファイルを示しており、レンズ位置D1にピークを有している。
【0016】
取得された7個の焦点評価値においては、焦点評価値P2が最大となっている。三点内挿演算では、最大値の焦点評価値P2とその前後に位置する焦点評価値P1,P3とを用いて合焦レンズ位置(レンズ位置D1)を算出する。まず、点P2および点P3を通る直線L11を算出する。この直線L11の傾きを−Kとしたとき、傾きがKで点P1を通る直線L12を算出する。そして、直線L11と直線L12との交点IPを求める。交点IPの座標はレンズ位置と焦点評価値とで表され、この交点IPのレンズ位置を合焦レンズ位置D1とする。
【0017】
しかし、図4に示す焦点評価値P11〜P17のように端点(無限側端点)の焦点評価値P17が最大となっている場合には、図4のような焦点評価値プロファイルL2だけでなく、図5に示すような焦点評価値プロファイルL3になっている可能性がある。図4のプロファイルL2の場合には無限側端点の外側近傍に合焦レンズ位置が存在することになり、図5のプロファイルL2の場合には無限側端点の内側近傍に合焦レンズ位置D1が存在することになる。すなわち、合焦レンズ位置が精度良く算出できないおそれがあった。
【0018】
[合焦動作の説明]
本発明では、図4に示すように端点位置の焦点評価値P17が最大焦点評価値であっても、合焦レンズ位置を精度良く算出できるようにした。図6および図7は本実施の形態における合焦動作の処理手順を示すフローチャートである。図6のステップS1では、AF動作に必要なデータや合焦フラグなどを初期化する。ステップS2では、レンズ駆動領域(無限側端点から至近側端点まで)全域の焦点評価値を取得するにために、まず、フォーカスレンズを第1サーチ開始位置へ移動させる。第1サーチ開始位置としては無限側端点でも良いし、至近側端点でも良い。この場合、サーチ開始時点でより近い方の端点に移動させれば、そのときの移動に要する時間を短縮することができる。
【0019】
ステップS3ではサーチの際のレンズ移動速度を第1速度V1に設定する。このレンズ移動速度の大きさによって焦点評価値のサンプリング数が変化する。固体撮像素子2では所定時間間隔で被写体画像が撮像されるので、レンズ移動速度を速くするとサンプリング数は減少し、逆にレンズ移動速度を遅くするとサンプリング数は増加する。言い換えると、レンズ移動速度を遅くするほどサンプリング点間のレンズ移動量が小さくなってより細かく焦点評価値をサンプリングできるが、サーチ時間が長くなるという欠点もある。
【0020】
ステップS4では焦点評価値の演算を行う。ステップS3からステップS4へ進んだ最初の演算では、第1サーチ開始位置(端点)における焦点評価値が算出される。ステップS5では、ステップS3で設定した第1速度V1でフォーカスレンズを他端へ向けて移動させる。ステップS6では、駆動領域全域に対して焦点評価値のサーチが終了したか否か、すなわち、フォーカスレンズがサーチ開始時の端点とは逆の端点に到達して、その位置での焦点評価値が取得されたか否かを判定する。ステップS6でサーチ終了と判定されるとステップS7へ進み、サーチが終了していないと判定されるとステップS4へ戻る。
【0021】
ステップS4からステップS6までの処理はフォーカスレンズが他端に達する間で繰り返し行われ、繰り返し回数と同一個数の焦点評価値がサンプリングされる。サンプリングされた焦点評価値は、図1の記憶部15に記憶される。ステップS7では、サンプリングされた焦点評価値に所定レベル以上の焦点評価値があるか否かを判定する。コントラストの低い被写体の場合、本来の合焦位置とは異なる位置に焦点評価値の最大値が現れる擬合焦と呼ばれる現象が生じる場合がある。そのため、本実施の形態ではそのような擬合焦を避けるために、ステップS7で所定レベル以上の焦点評価値があると判定された場合にのみ合焦レンズ位置の演算を行うようにした。
【0022】
ステップS7において所定値レベル以上の焦点評価値が無いと判定された場合には、焦点調節ができないほどコントラストが低いので、ステップS9へ進んでフォーカスレンズを予め定められた所定レンズ位置、例えば至近端へ移動させる。ステップS9の処理が終了したならば、一連の合焦動作処理を終了する。一方、ステップS7で所定レベル以上の焦点評価値が有ると判定されると図7のステップS8へ進む。
【0023】
図7のステップS8では、サンプリングされた焦点評価値から合焦レンズ位置が内挿演算で算出可能か否かを判定する。例えば、本実施の形態のように三点内挿方式により合焦レンズ位置を算出する場合、最大焦点評価値が図4,5のように端点にある場合にはデータ不足により算出が不可能となる。よって、ステップS8の判定は、図4,5のように最大焦点評価値P17がサンプリング点の最初または最後にあるか否かで判定することができる。
【0024】
ステップS8でYESと判定された場合にはサンプリングされた焦点評価値で合焦レンズ位置が算出可能なので、ステップS17に進んで三点内挿方式により合焦レンズ位置を算出する。その後、ステップS18へ進んで算出された合焦レンズ位置へフォーカスレンズを移動し、一連の合焦動作を終了する。
【0025】
一方、ステップS8でNOと判定されるとステップS10へ進む。ステップS10では、レンズ移動速度をステップS3で設定した第1速度V1よりも遅い第2速度V2に設定する。例えば、V2=V1/2に設定する。ステップS11では、さらに詳細なサーチを行うための第2サーチ開始位置にフォーカスレンズを移動する。
【0026】
例えば、最初の焦点評価値サンプリングにおいてフォーカスレンズを無限側端点から至近側端点へと移動させ、図4に示すような焦点評価値P11〜P17がサンプリングされた場合を考える。この場合、最大焦点評価値P17の位置は無限側端点であるが、サーチ終了時のフォーカスレンズ位置は至近側端点になっている。合焦レンズ位置算出に際しては、焦点評価値P16のレンズ位置x16と無限側端点(座標原点)との間の焦点評価値がさらに必要となる。そのためには、少なくともレンズ位置x16と無限側端点との間の領域を更に詳細にサーチする必要がある。よって、ステップS11では、第2サーチ開始位置としてレンズ位置x16を選び、フォーカスレンズを至近側端点からレンズ位置x16へと移動させる。
【0027】
ステップS12では焦点評価値の演算を行う。ステップS11からステップS2へ進んだ最初の演算では、第2サーチ開始位置(レンズ位置x16)における焦点評価値が算出される。ステップS13では、ステップS10で設定した第2速度V2でフォーカスレンズを無限側端点へ向けて移動させる。ステップS14では、第2サーチ領域全域に対して焦点評価値のサーチが終了したか否か、すなわち、フォーカスレンズが無限側端点に到達して、その位置での焦点評価値が取得されたか否かを判定する。ステップS14でサーチ終了と判定されるとステップS15へ進み、サーチが終了していないと判定されるとステップS12へ戻る。
【0028】
ステップS15では、2回目のサーチでサンプリングされた焦点評価値から合焦レンズ位置が内挿演算で算出可能か否か、すなわち、焦点評価値の最大焦点評価値が端点位置か否かを判定する。ステップS15で最大焦点評価値が端点位置に有って合焦レンズ位置が算出できないと判定されると、ステップS16へ進んでフォーカスレンズを焦点評価値が最大である端点へ移動させる。例えば、図4の状態であれば、フォーカスレンズを無限側端点へ移動させる。
【0029】
一方、ステップS15で最大焦点評価値が端点位置でなく合焦レンズ位置が算出できると判定されるとステップS17へ進む。ステップS17では、2回目のサーチでサンプリングされた焦点評価値に基づいて合焦レンズ位置を算出する。そして、ステップS18において、ステップS17で算出された合焦レンズ位置へフォーカスレンズを移動させる。ステップS18の処理が終了すると、一連の合焦動作を終了する。
【0030】
図8は合焦動作時におけるフォーカスレンズ位置の時間的変化を示す図であり、縦軸はレンズ位置、横軸は時刻をそれぞれ表している。図8に描かれた折れ線によって各時刻におけるフォーカスレンズの位置が表されている。折れ線の直線部L31は最初のサーチを表しており、直線部L32は2回目のサーチを表している。直線部L31,L32に表示された黒丸P11〜P17,P21〜P23はサンプリング点を表しており、時間的には等間隔となっている。
【0031】
時刻t1に、サーチ開始位置である至近側端点へのフォーカスレンズの駆動を開始する(ステップS2)。そして、時刻t2に至近側端点に到達する。最初のサーチは時刻t3に開始され(ステップS4)、フォーカスレンズは至近側端点から無限側端点へと第1速度V1で移動し、時刻t4に無限側端点に到達する(ステップS6)。このサーチにより7つのサンプリング点P11〜P17において焦点評価値が取得される。前述した図4は、サンプリング点P11〜P17の焦点評価値の大きさを示したものであり、サンプリング点P17の焦点評価値が最大となっている。
【0032】
図3に示した例では、最初のサーチが終了した時点でフォーカスレンズは無限側端点に位置している。そのため、2回目のサーチではサーチ開始位置を無限側端点とし、サンプリング点P16が得られたレンズ位置x16までフォーカスレンズを移動させる。2回目のサーチは時刻t5に開始され時刻t6に終了する。2回目のサーチの移動速度V2は最初のサーチの移動速度V1よりも低速に設定されているので、直線部L32の傾きの大きさは直線部L31のそれよりも小さく、サンプリング点間の移動距離も直線部L31の場合に比べて小さくなっている。そのため、2回目のサーチでは3つのサンプリング点P21〜P23が得られる。
【0033】
2回目のサーチでは、合焦レンズ位置に最も近いサンプリング点P22の焦点評価値が最大となる。そこで、サンプリング点P21〜P23の焦点評価値を用いた三点内挿演算により合焦レンズ位置D1を算出する。算出後、時刻t7に合焦レンズ位置D1へのフォーカスレンズの移動を開始し、時刻t8に合焦レンズ位置D1に達したならば移動を停止する。
【0034】
[変形例]
上述した実施の形態では、2回目のサーチで合焦レンズ位置が算出不可の場合には、最大焦点評価値が取得された端点に移動するようにしたが、更にレンズ移動速度を低速にして3回目のサーチを行っても良い。この場合、上述した図7のフローチャートに代えて図9のフローチャートを用いれば良い。なお、図9のフローチャートにおいて、図7と同一処理を行うステップには同一の符号を付した。
【0035】
図9のステップS10〜ステップS14までの処理は2回目のサーチに関する処理であり、図7に示したものと同一である。2回目のサーチが終了したならば、ステップS15に進んで2回目のサーチでサンプリングされた焦点評価値から合焦レンズ位置が算出可能か否かを判定する。ステップS15で合焦レンズ位置が算出可能と判定されると、図7の場合と同様にステップS17で合焦レンズ位置を算出した後に、ステップS18で算出された合焦レンズ位置へフォーカスレンズを移動させる。
【0036】
一方、ステップS15で合焦レンズ位置が算出可能でないと判定されると、ステップS30に進んで3回目のサーチが終了したか否かを判定する。ステップS30で3回目のサーチが終了したと判定されると、ステップS16へ進んでフォーカスレンズを焦点評価値が最大である端点へと移動させ、一連の合焦動作を終了する。ステップS30で3回目のサーチが終了していないと判定されると、ステップS31へ進んでレンズ移動速度を第2速度V2よりも低速の第3速度V3に設定する。
【0037】
ステップS31の移動速度設定が終了するとステップS11へ進む。ステップS11では、3回目のサーチを行うために第2サーチ開始位置(図8の無限側端点)にフォーカスレンズを移動する。ここでは、3回目のサーチの場合も2回目のサーチと同一のレンズ駆動領域をサーチするとして、第2サーチ開始位置へフォーカスレンズを移動するようにした。しかし、図8に示す例では、2回目のサーチ終了時点ではフォーカルレンズはレンズ位置x16に停止しているので、この位置x16を3回目のサーチ開始位置としても良い。
【0038】
また、焦点評価値のピークはサンプリング点P21とP22との間に存在すると推定されるので、サーチ開始位置をサンプリング点P22のレンズ位置としても良い。その後、ステップS12からステップS14までの処理を繰り返し実行して3回目のサーチが終了したならば、2回目サーチ終了の場合と同様にステップS15以降の処理を実行する。
【0039】
上述したように、本実施の形態では、1回目のサーチで合焦レンズ位置が不可能な場合には、サンプリング間隔を短くしたより詳細な2回目のサーチを行うようにしたので、合焦レンズ位置がレンズ駆動領域の端点近傍に有る場合でも精度良く焦点調節を行うことができる。特に、変形例では2回目に加えて3回目のサーチを行うようにしたので、合焦レンズ位置を確実に算出することが可能となる。
【0040】
また、従来のカメラでは1回のサーチで合焦レンズ位置を算出しているため、合焦位置が端点近傍にある場合も精度良く検出するためには、サンプリング間隔の細かなサーチを駆動領域全域にわたって実行しなければならなかった。そのため、焦点調節に要する時間が長くなる欠点があった。しかし、本実施の形態では、1回目の全域サーチでは粗いサンプリングを高速で行い、2回目および3回目のサーチでは端点付近の狭い領域で詳細なサンプリングを行うようにしている。この場合、焦点評価値ピークが端点近傍以外にある場合には1回目のサーチで合焦レンズ位置の計算ができ、ピークが端点近傍にあるときにのみ2回目、3回目のサーチが実行される。その結果、高精度に焦点調節ができるだけでなく、焦点調節動作の高速化も図れる。
【0041】
上述した実施の形態ではデジタルカメラを例に説明したが、本発明は、撮像素子により被写体を撮像し、その撮像信号に基づいて算出される焦点評価値を用いて焦点調節を行うカメラであれば適用可能である。
【0042】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、固体撮像素子2は撮像装置を、バンドパスフィルター9および積算回路10は評価値演算手段を、モータ13およびフォーカス制御機構14は移動手段を、CPU12は第1,第2,第3評価値取得手段、第1,第2評価値判定手段および制御手段をそれぞれ構成する。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、最初に行われる粗サーチで取得された焦点評価値の最大値が焦点調節領域の端点であった場合には、端点を含む近傍領域において細密サーチを行い、その細密サーチで取得された焦点評価値に基づいて合焦位置を算出するようにした。その結果、合焦位置が焦点調節領域の端点近傍にある場合でも、精度良く焦点調節を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカメラの一実施の形態を示したものであり、AF(オートフォーカス)デジタルカメラのブロック図である。
【図2】撮影レンズ1に設けられたフォーカスレンズの位置と焦点評価値との関係を示す図である。
【図3】合焦レンズ位置の算出方法を説明する図である。
【図4】焦点評価値のサンプリング例を示したものであり、合焦点が駆動領域外にある場合の焦点評価値プロファイルL1を示す図である。
【図5】焦点評価値のサンプリング例を示したものであり、合焦点が駆動領域内にある場合の焦点評価値プロファイルL2を示す図である。
【図6】サーチ動作を説明するフローチャートである。
【図7】図6に続く処理手順を示すフローチャートである。
【図8】合焦動作時におけるフォーカスレンズ位置の時間的変化を示す図である。
【図9】変形例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 撮影レンズ
2 固体撮像素子
5 画像処理回路
9 バンドパスフィルター
10 積算回路
11 AF回路
12 CPU
13 モータ
14 フォーカス制御機構

Claims (5)

  1. 撮影光学系で結像された被写体像を撮像装置で撮像し、撮像信号の高周波成分から算出される焦点評価値に基づいて前記撮影光学系の合焦位置を算出する焦点調節方法において、
    前記撮影光学系の焦点調節領域において粗いサンプリング間隔で焦点評価値を取得する粗サーチを行い、前記粗サーチで取得された焦点評価値の最大値のサンプリング位置が前記焦点調節領域の端点であった場合には、
    前記端点を含む近傍領域において前記粗サーチよりも密なサンプリング間隔で焦点評価値を取得する細密サーチを行い、その細密サーチで取得された焦点評価値に基づいて前記合焦位置を算出することを特徴とする焦点調節方法。
  2. 撮影光学系を介して被写体像を撮像する撮像装置と、
    前記撮像装置から出力される撮像信号の高周波成分に基づいて焦点評価値を算出する評価値演算手段と、
    前記撮影光学系のフォーカスレンズを所定駆動領域で移動させる移動手段と、前記フォーカスレンズを前記駆動領域の一端から他端へと一方向に移動させて、その移動動作中に、前記フォーカスレンズが第1移動量だけ移動する毎に前記評価値演算手段による焦点評価値を取得する第1評価値取得手段と、
    前記第1評価値取得手段により取得された焦点評価値の中の最大焦点評価値が、前記所定駆動領域の両端点のいずれかに最も近い焦点評価値であるか否かを判定する第1評価値判定手段と、
    前記最大焦点評価値に近い方の前記端点から前記最大焦点評価値に対応するレンズ位置までの領域を少なくとも含む部分領域において、前記フォーカスレンズを前記部分領域の一端から他端へと一方向に移動させ、その移動動作中に、前記フォーカスレンズが前記第1移動量よりも小さな第2移動量だけ移動する毎に前記評価値演算手段による焦点評価値を取得する第2評価値取得手段と、
    前記第1評価値判定手段により前記最大焦点評価値が前記最も近い焦点評価値でないと判定された場合には、前記第1評価値取得手段で取得された複数の焦点評価値に基づく合焦レンズ位置に前記フォーカスレンズを移動させ、前記第1評価値判定手段により前記最大焦点評価値が前記最も近い焦点評価値であると判定された場合には、前記第2評価値取得手段で取得された複数の焦点評価値に基づき算出される合焦レンズ位置に前記フォーカスレンズを移動させる制御手段と、を備えたことを特徴とするカメラ。
  3. 請求項1に記載のカメラにおいて、
    前記フォーカスレンズの移動速度を変更することにより、前記第1移動量および第2移動量を形成することを特徴とするカメラ。
  4. 請求項1または2に記載のカメラにおいて、
    前記第2評価値取得手段により取得された焦点評価値の中の最大焦点評価値が、前記部分領域に含まれる端点に最も近い焦点評価値であるか否かの判定を行う第2評価値判定手段を備え、
    前記制御手段は、前記第2評価値判定手段により前記最大焦点評価値が前記最も近い焦点評価値であると判定されると、前記フォーカスレンズを前記部分領域に含まれる端点へ移動させることを特徴とするカメラ。
  5. 請求項1または2に記載のカメラにおいて、
    前記第2評価値取得手段により取得された焦点評価値の中の最大焦点評価値が、前記部分領域に含まれる端点に最も近い焦点評価値であるか否かの判定を行う第2評価値判定手段と、
    前記フォーカスレンズを前記部分領域の一端から他端へと一方向に移動させ、その移動動作中に、前記フォーカスレンズが前記第2移動量よりも小さな第3移動量だけ移動する毎に前記評価値演算手段による焦点評価値を取得する第3評価値取得手段とを備え、
    前記制御手段は、前記第2評価値判定手段により前記最大焦点評価値が前記最も近い焦点評価値であると判定されると、前記第3評価値取得手段で取得された複数の焦点評価値に基づき算出される合焦レンズ位置に前記フォーカスレンズを移動させることを特徴とするカメラ。
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