JP2004076159A - 連続処理における高Cr系高炭素鋼帯の破断防止処理方法および鋼帯の連続処理設備 - Google Patents

連続処理における高Cr系高炭素鋼帯の破断防止処理方法および鋼帯の連続処理設備 Download PDF

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Abstract

【課題】 高Cr系高炭素鋼帯を連続処理設備で連続処理するに際し、ストリップ破断を防止できる、高Cr系高炭素鋼帯の破断防止処理方法および連続処理設備を提案する。
【解決手段】 質量%で、C:0.8 %以上、Cr:1.0 %以上を含有する高Cr系高炭素鋼帯の先尾端部を溶接により接合し、該高Cr系高炭素鋼帯を連続処理設備で処理するに際し、溶接が完了したのち、溶接接合部を所定の冷却温度以下まで冷却した後、該接合部を昇温し所定の温度以上の再加熱温度に所定時間以上保持する。所定の冷却温度は400 ℃、所定の再加熱温度は500 ℃、所定時間は5秒とすることが好ましい。また、鋼帯の連続処理設備において、溶接装置内あるいはその出側に加熱手段を配設することが好ましい。
【選択図】 図3

Description

 本発明は、高Cr系高炭素鋼帯に係り、とくに連続処理設備で連続処理するに際し発生するストリップの破断防止に関する。
 鋼帯等の金属ストリップは、熱間圧延後、水冷または空冷により50℃程度乃至常温まで冷却されたのち、例えば、図4に示すような酸洗ライン100に通帯されることがある。
 このような酸洗ラインをはじめとする各種の連続処理設備では、何本もの金属ストリップを連続的に処理するため、酸洗等の連続処理に先立って設備入側で、先行する金属ストリップ尾端および後行する金属ストリップ先端をシャー5等の切断装置により矩形切断したのち、先行する金属ストリップ尾端と後行する金属ストリップ先端とをレーザー、プラズマ等を利用した溶接機で溶接している。
 例えば図4に示す酸洗ライン100では、ペイオフリール(巻出しリール)20から巻き出された金属ストリップ1は、その先尾端をシャー5により矩形切断され、溶接機10で溶接接合され、しかるのち酸洗槽40(プロセス設備)で処理され、巻取りリール(テンションリール)30で巻き取られる。これら一連の鋼帯の通過経路の途中にて、金属ストリップ1は、多数のブライドルロール50や、複数のルーパーロール60等の金属帯に曲げを作用させるロールを通過する。
 金属ストリップが、成分的に特殊な鋼、例えばJIS G 4401やJIS G 3311等に規定される、C含有量が質量%で0.3%以上1.5%以下のSK4、SK5等といった高炭素鋼の場合には、連続処理のために溶接接合した溶接接合部が、溶接完了直後の大気中自然冷却によりマルテンサイト組織を生成し脆化しやすい。このため、金属ストリップが、例えば、図4に示す酸洗ライン100でブライドルロール50、ルーパーロール60を通過する際に受ける曲げにより、溶接接合部に割れが生じ、金属ストリップ1の溶接接合部で破断する可能性がある。このように、金属ストリップ溶接接合部で破断が生じると、連続処理設備の操業が長時間停止してしまう。
 このような溶接接合部のマルテンサイト化を防止し、溶接接合部の割れ発生を防止する手段として、溶接部を200 〜250℃に予熱し乍ら溶接する板継ぎ溶接方法が提案されている。連続処理設備における板継ぎ溶接において、溶接接合部を予熱する装置として、例えば特許文献1には、突合せ溶接部に下方から絶縁部材を介して当接させたバックバーと、絶縁部材およびバックバーを囲繞して被溶接鋼板を板厚方向に貫く磁束を発生させるコイルとを有する鋼板の板継溶接装置が開示されている。この装置を用いて、予熱を必要とする部位を効率よく昇温することにより、溶接接合部のマルテンサイト化を防止でき、レーザ(もしくはプラズマ)等を利用した高炭素鋼の板継ぎ溶接が連続して可能となるとしている。
 図5に、特許文献1に記載された鋼板の板継溶接装置の主要部(予熱装置の部分)を示す。
 端面を相対向させた鋼板(金属ストリップ)1,1の突合せ溶接部に、レーザ(もしくはプラズマ)によるビーム70を照射して溶接する。一方、コイル80に高周波電流が流れることにより、鋼板(金属ストリップ)1,1を板厚方向に貫く磁束が形成され、突合せ溶接部に印加される結果、突合せ溶接部の鋼板(金属ストリップ)1,1同士の対向する端部に誘導電流が集中的に発生し、そのジュール発熱により端部が予熱される。この予熱部分は突合せ位置を挟んで鋼板の長さ方向に前後数10mmとするのが一般的である。なお、90はバックバーであり、絶縁板91を介し突合せ溶接部に下方から当接させた裏当て金である。また、95はクランプであり、溶接時に鋼板(金属ストリップ)1,1を固定し保持する。
特開平6-312285号公報
 しかし、特許文献1に記載された鋼板の板継溶接装置を用いて予熱を施しながら、連続処理設備における鋼帯の板継ぎ溶接を行なっても、焼入れ性向上のためにCrのような特殊成分を含有するJIS G 4805に規定されるSUJ2のような鋼種(鋼帯)では、依然として連続処理設備中のブライドルロール、ルーパーロール等により曲げが作用する箇所を鋼帯が通過する際に、ストリップ破断する場合があるという問題があった。
 本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、高Cr系高炭素鋼帯を連続処理設備で連続処理するに際し、安定してしかも確実に、ストリップ破断を防止できる、高Cr系高炭素鋼帯溶接接合部の破断防止処理方法および連続処理設備を提案することを目的とする。
 本発明者らは、上記した目的を達成するために、高Cr系高炭素鋼であるSUJ 2 鋼帯について、連続処理ラインである酸洗ラインで連続処理するに際し発生するストリップ破断の原因について鋭意検討した。
 まず、本発明者らが行なった本発明の基礎になった実験結果について説明する。
 表1に示す組成のSUJ 2 鋼帯(鋼A)(板厚:2.2 mm、板幅:830 mm)の先端にサービステール(材質:SPHC鋼)(鋼B)(板厚:2.3 mm、板幅:900 mm)の尾端を突合せ、突合せ部を250 ℃に予熱しながらレーザ溶接機を用いて板継ぎ溶接して、図4に示す酸洗ラインで連続処理した。サービステールとは、ここで対象としている連続処理ラインとは異なる可逆圧延機等のバッチ(1本単位で)処理を行うラインを、ここで対象としているこれから通過しようとする該連続処理ラインよりも後で通過する予定がある場合に、それよりも前の通過ラインで(この場合は連続処理ラインである酸洗ライン)で、前もって先端、尾端に溶接して付着する端板のことで可逆圧延機が後に通過予定のラインの場合で言えば、先端、尾端とも、圧延機から巻取り(巻出し)リールまでの機械長とそれらリールに1巻あるいはそれ以上の、巻取りに際しスリップしないだけの必要最小長さ以上に必要になるものである。このようにすることで先端、尾端のサービステールに挟まれた中間の鋼帯は全長可逆圧延が可能になり、最終通過ラインにてサービステールを切除すれば全長オーダー厚の範囲に収まって歩留まりがよいため、付着するものである。なお、使用した酸洗ラインでは、直径:1400mmφのブライドルロールを用いた。
 しかし、このように先尾端を溶接接合した鋼帯では、酸洗ラインのブライドルロールによる曲げにより、溶接接合部でストリップ破断した。そこで、破断部近傍について、ビッカース硬さ測定、および光学顕微鏡による断面組織観察を行った。
 ビッカース硬さは、ごく小さな鋼塊などのごく表層の硬さを調べるときによく用いられる、所謂マイクロビッカース硬さを測定した。それに際し、質量300gの分銅を用いて2.94Nの力で圧痕を付与するようにした(HMV300gとして表した)。
 図6に、溶接接合部(破断部)近傍のビッカース硬さ(マイクロビッカース硬さ)分布を示す。なお、本発明でいう「溶接接合部」は、溶接時に溶融し凝固した溶融凝固部および溶融はしないが溶接熱の影響を受けた溶接熱影響部とからなる。溶融凝固部は、溶接材料を使用しないため、接合する鋼帯のそれぞれの突合せ部が溶融し混合して凝固した、平均した組成を有する領域である。
Figure 2004076159
 図6から、SUJ 2 鋼帯側の熱影響部では、250 ℃で予熱を実施したにもかかわらず、最高硬さ:HMV300gで850 という高い値を示し、著しく硬化している。一方、サービステール側の熱影響部ではたかだかHMV300gで200 である。なお、溶融凝固部では両者の硬さの中間的値を示している。また、破断部近傍の断面組織観察から、破断は、SUJ 2 鋼帯側の熱影響部で生じており、破断部近傍の組織はマルテンサイト組織となっていた。
 このような実験結果に基づき、本発明者らは、高Cr系高炭素鋼帯の連続処理におけるストリップ破断防止処理方法について種々検討した。その結果、高Cr系高炭素鋼帯の連続処理においては、板継ぎ溶接の溶接接合部におけるマルテンサイト生成を防止するのではなく、生成したマルテンサイトの高靭性化を促進することがストリップ破断防止に有効であることに想到した。
 上記した考えに基づき、本発明者らは、さらに、生成したマルテンサイトを高靭性化する方法について、検討した。
 表1に示す鋼Aの鋼帯(板厚:2.2 mm、板幅:830 mm)を、サービステール(鋼B、板厚:2.3 、mm、板幅:900 mm)の尾端にレーザ溶接機を用いて板継ぎ溶接を行い接合して、図1に示す連続処理設備で連続(酸洗)処理を行ない、ストリップ破断の有無を調査した。なお、板継ぎ溶接では、溶接完了からの時間と自然冷却により降温した溶接接合部の温度との関係を測定した。溶接接合部の温度は、サーモビュアーにより測定し、画面視野内での最大値を採用した。
 また、板継ぎ溶接完了後、表2に示す種々の時間自然冷却したのち、溶接接合部を誘導加熱による加熱手段11で、表2に示す種々の再加熱温度に昇温し、その温度で表2に示す種々の時間保持する処理(水準1〜6)を行い、連続処理設備で連続処理を施し、ストリップ破断の有無を調査した。
 得られた結果を表2に示す。また、これら溶接接合した鋼帯の溶接接合部から試験片を採取して、硬さ測定、および断面組織の観察を行った。
 また、水準4で処理した場合の溶接接合部について、鋼帯長手方向の硬さ分布を図2に示す。
Figure 2004076159
 表2から、溶接完了から30秒以上経過することにより、溶接接合部の温度は確実にマルテンサイトが生成すると思われる400 ℃以下まで降下することがわかった。また、表2からストリップ破断を防止するためには、溶接接合部の温度を確実にマルテンサイトが生成すると思われる400 ℃以下まで冷却したのち、500℃以上の再加熱温度に再加熱し、その温度で5秒以上保持する(水準4、5、6)ことが必要であることを見出した。これらの条件のうちひとつでも外れるとストリップ破断が発生する。水準1では冷却温度が高く、水準2では再加熱温度が低く、水準3では保持時間が不足している。
 図2からは、水準4(溶接完了後に溶接接合部の最高温度で400 ℃まで自然冷却したのち、再加熱し500℃に昇温し、その温度で5秒間保持する)の場合には、溶接接合部の硬さは最大でもHMV300gで500 と低くなっていることがわかる。また、組織観察から、溶接接合部(鋼A側熱影響部)の組織は、焼戻しマルテンサイトになっていた。
 このような知見から、本発明者らは、SUJ2のみならず、質量%で、C:0.8%以上、Cr:1.0%以上を含有する高Cr系高炭素鋼帯を連続処理設備で連続処理するにあたり、溶接接合部でのストリップ破断を防止するためには、
・ 板継ぎのための溶接が完了したのち、溶接接合部を所定の冷却温度以下まで冷却した後、該溶接接合部を昇温し所定の温度以上の再加熱温度に昇温すること、さらに
・ その所定の温度以上の再加熱温度に所定時間以上保持すること、
が必要であるという結論に達した。
 これは、溶接完了後の自然冷却により生成されたマルテンサイトが焼戻しされて高靭性化されたため、連続処理における機械的曲げによるストリップ破断が防止できたもの、と考えられる。
 なお、ここにいう再加熱温度は、一定の温度であっても、多少の変動があってもよく、後者の場合は、前記の所定の温度以上であれば、昇温、降温、温度の増減があってもよい、という意味である。
 本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
 すなわち、本発明は、質量%で、C:0.8 %以上、Cr:1.0 %以上を含有する高Cr系高炭素鋼帯の先尾端部を溶接により接合し、該高Cr系高炭素鋼帯を連続処理設備で連続処理するに際し、前記溶接が完了したのち、該高Cr系高炭素鋼帯の前記溶接により形成された接合部を所定の冷却温度以下まで冷却した後、該接合部を昇温し所定の温度以上の再加熱温度に所定時間以上保持することを特徴とする連続処理における高Cr系高炭素鋼帯の破断防止処理方法であり、また、本発明では、前記所定の冷却温度が400 ℃、前記所定の温度が500 ℃、前記所定時間が5秒であることが好ましい。また、本発明では、前記所定の温度以上の再加熱温度がAc1変態点以下であることが好ましい。
 また、本発明は、ペイオフリールと、該ペイオフリールから払い出された鋼帯の先尾端を矩形切断する切断装置と、該切断装置で切断された鋼帯の先尾端同士を溶接接合する溶接装置と、該溶接装置で溶接接合された鋼帯を連続処理するプロセス設備と、処理された鋼帯を巻き取る巻取りリールと、を有し、処理される鋼帯がこれらを通帯され、一連の鋼帯の通過経路中に鋼帯に曲げを作用させるロールを有する鋼帯の連続処理設備において、前記溶接装置内あるいはその出側に加熱手段を配設することを特徴とする鋼帯、好ましくは高Cr系高炭素鋼帯の連続処理設備である。また、本発明では、前記加熱手段が誘導加熱装置であることが好ましい。
 本発明によれば、高Cr系高炭素鋼帯を連続処理設備で連続処理しても、ストリップの破断を防止でき、連続処理設備における長時間の操業停止が抑制でき、生産性が向上するという、産業上格段の効果を奏する。
 本発明で対象とする鋼帯は、質量%で、C:0.8 %以上、Cr:1.0 %以上を含有する高Cr系高炭素鋼帯である。なお、本発明で対象とする鋼帯の板厚は、通常、 連続処理される1〜8mmとすることが好ましい。
 Cが0.8 質量%未満では、板継ぎ溶接により溶接接合部に生成するマルテンサイトが脆化したマルテンサイトとなりにくく、連続処理設備でのブライドルロール等による機械的な曲げによりストリップ破断が発生しにくくなる。なお、C含有量の上限については、特に限定する必要はないが、現在汎用されている、JIS G 4401、JIS G 3311、JIS G 4805等に規定される鋼材のC量の上限である、1.5質量%程度とすることが好ましい。
 また、Crが1.0 質量%未満では、板継ぎ溶接の溶接接合部に脆化したマルテンサイトが生成しにくく、連続処理設備での機械的な曲げによりストリップ破断が発生しにくくなる。なお、Cr含有量が、通常の0.3 質量%未満である、一般的な高炭素(例えば、JIS G 4401に規定されるSK4)鋼帯では、板継ぎ溶接後の溶接熱影響部の硬さは通常HMV300gで500 以下である。
 また、Cr含有量の上限については、とくに限定する必要はない。Cr含有量の上限は現在汎用されている、JIS G 4805に規定される鋼種のCr含有量の上限である1.6 質量%程度とすることが好ましいが、本発明ではこれに限定されるものではない。
 なお、本発明で対象とする高Cr系高炭素鋼帯は、上記した成分以外に含有される合金元素およびその含有量については特に限定されない。
 上記した成分を含有する高Cr系高炭素鋼帯(以下、 単に鋼帯ともいう)は、例えば、図1に示す本発明方法に好適な連続処理設備を用いて連続処理されることが好ましい。
 本発明方法に好適な連続処理設備は、図1に示す形態に限るものではなく、例えばその他の酸洗ライン、連続焼鈍ライン、冷間圧延ライン等であってもよく、ペイオフリール20と、ペイオフリール20から払い出された鋼帯1の先尾端を矩形切断する切断装置5と、切断装置5で切断された鋼帯1の先尾端同士を溶接接合する溶接装置10と、溶接装置10の出側に配設された加熱手段11と、溶接接合された鋼帯1を連続処理するプロセス設備40と、処理された鋼帯1を巻き取る巻取りリール30と、を有し、さらに上記した装置、 設備間には、鋼帯1に所定の張力を付与する目的や、操業の連続性を確保するために鋼帯の速度差を吸収する目的で、複数のブライドルロール50と、複数のルーパーロール60が適宜配設される。
 ペイオフリール20から払い出された高Cr系高炭素鋼帯1は、切断装置5で先尾端を矩形切断される。切断装置はシャーとすることが好ましい。先尾端を矩形に切断された鋼帯1は、ついで、溶接装置10でこれら先尾端同士を溶接接合される。本発明では、溶接装置10はとくに限定されないが、レーザ、プラズマを利用した溶接機とすることが好ましい。
 溶接接合された鋼帯1は、ついで、溶接接合部の温度 (最高温度)が所定の冷却温度以下になるまで冷却される。なお、冷却は放冷 (自然冷却)することが好ましい。所定の冷却温度とは、高Cr系高炭素鋼帯では、マルテンサイトが確実に生成される温度のことをさす。SUJ2の場合、400 ℃とすることが好ましい。溶接接合部の冷却が所定の冷却温度を超える高い温度までしか行われない場合には、マルテンサイトの形成が十分でないため、その後の再加熱による溶接接合部の高靭性化が不十分となりストリップ破断が発生しやすくなる。
 溶接接合部の温度が所定の冷却温度以下の温度に冷却された鋼帯1は、ついで、加熱手段11により再加熱され、溶接接合部が所定の温度以上の再加熱温度に所定時間以上保持される。再加熱における所定の温度、所定時間とは、高Cr系炭素鋼帯では、生成したマルテンサイトが焼戻しマルテンサイトに確実に変化し、十分に高靭性化するような温度、時間のことをさす。加熱手段11としては誘導加熱とすることが各ストリップの幅方向の昇温均一性を確保する上で好ましい。加熱手段11は溶接装置10の出側に固定設置し、溶接後に溶接接合部をトラッキングしつつ加熱手段11の設置位置まで鋼帯を搬送して停止するようにする。
 また、好ましくは、それとは異なり、溶接装置10と加熱手段11を一体化しておき、溶接完了後にその位置から鋼帯を移動させずに加熱するようにする。
 再加熱温度が所定の温度未満、あるいは保持が所定時間未満ではマルテンサイトの十分な高靭性化が図れない。なお、再加熱における所定の温度はSUJ2の場合、500 ℃とすることが好ましく、再加熱温度はAc1変態点以下とすることが望ましい。また、保持の所定時間はSUJ2の場合、5秒とすることが好ましい。再加熱における所定の温度以上での保持時間は30秒以下とすることが連続処理ラインでの処理能率上より好ましい。
 溶接完了後、溶接接合部に上記した再加熱・保持を施された鋼帯1は、複数のブライドルロール50、ルーパーロール60を介し、酸洗槽等のプロセス設備40に送られて、連続処理される。処理後、複数のブライドルロール50を介し、巻取りリール30に巻き取られる。
 図1に示す連続処理設備(酸洗ライン)を用いて、表1に示す鋼Aの鋼帯(高Cr系高炭素鋼帯) (板厚:2.2 mm、板幅:830 mm)を、ペイオフリール20から払い出し、先行する表1に示す鋼Bのサービステールの尾端と後行する前記鋼Aの鋼帯の先端を切断装置5で矩形切断し、これら鋼帯の先尾端を突合わせ、レーザ溶接機 (溶接装置10)で溶接接合した。溶接完了後、自然冷却した。なお、自然冷却中、溶接接合部の温度をサーモビュアーで連続的に測定し、最高温度が400 ℃以下となった時点で、ガス加熱方式の鋼帯加熱装置(加熱手段11)で溶接接合部を再加熱(昇温速度0.3〜0.5℃/sec)し500 ℃に昇温し、その温度で8秒保持したのち、自然冷却した。
 上記した処理を施された鋼帯1は、ついで、ブライドルロール50、ルーパーロール60を通過し、プロセス設備40へ送り込まれ、連続処理(酸洗)を施された。なお、溶接完了後、溶接接合部の再加熱・保持を行なわない場合を従来の方法(従来例)とした。
 全処理本数に対するストリップ破断本数の比率(%)の月別変化を図3に示す。1〜4月は、従来の方法を適用した場合である。一方、5〜9月は、溶接完了後、所定の加熱温度に再加熱・保持を行なう本発明方法を適用した場合である。本発明方法を適用した5月以降では、ストリップ破断の発生は、皆無であった。一方、従来の方法を適用した1〜4月では、ストリップ破断が多発し、ストリップ破断本数の比率が最高で4%/月にも達している。
本発明方法の実施に好適な連続処理設備の一例を示す模式図である。 本発明方法を適用した高Cr系高炭素鋼帯溶接接合部の硬さ分布を示すグラフである。 ストリップ破断発生比率の月別変化を示すグラフである。 従来の連続処理設備の一例を示す模式図である。 従来の連続処理設備における溶接装置の主要部(予熱装置の部分)を模式的に示す概略説明図である。 従来の方法を適用した高Cr系高炭素鋼帯溶接接合部の硬さ分布を示すグラフである。
符号の説明
 1 鋼帯(金属ストリップ、高Cr系高炭素鋼帯)
 5 切断装置
 10 溶接装置 (溶接機)
 11 加熱手段
20 ペイオフリール(巻出しリール)
 30 巻取りリール(テンションリール)
 40 プロセス設備(酸洗槽)
 50 ブライドルロール
 60 ルーパーロール
 70 ビーム
 80 コイル
 90 バックバー
91 絶縁板
95 クランプ
 100 連続処理設備(酸洗ライン)

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.8 %以上、Cr:1.0 %以上を含有する高Cr系高炭素鋼帯の先尾端部を溶接により接合し、該高Cr系高炭素鋼帯を連続処理設備で連続処理するに際し、前記溶接が完了したのち、該高Cr系高炭素鋼帯の前記溶接により形成された接合部を所定の冷却温度以下まで冷却した後、該接合部を昇温し所定の温度以上の再加熱温度に所定時間以上保持することを特徴とする連続処理における高Cr系高炭素鋼帯の破断防止処理方法。
  2. 前記所定の冷却温度が400 ℃、前記所定の温度が500℃、前記所定時間が5秒であることを特徴とする請求項1に記載の高Cr系高炭素鋼帯の破断防止処理方法。
  3. ペイオフリールと、該ペイオフリールから払い出された鋼帯の先尾端を矩形切断する切断装置と、該切断装置で切断された鋼帯の先尾端同士を溶接接合する溶接装置と、該溶接装置で溶接接合された鋼帯を連続処理するプロセス設備と、処理された鋼帯を巻き取る巻取りリールと、を有し、処理される鋼帯がこれらを通帯され、一連の鋼帯の通過経路中に鋼帯に曲げを作用させるロールを有する鋼帯の連続処理設備において、前記溶接装置内あるいはその出側に加熱手段を配設することを特徴とする鋼帯の連続処理設備。
  4. 前記鋼帯が、高Cr系高炭素鋼帯である請求項3に記載の鋼帯の連続処理設備。
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