JP2021053724A - Si含有熱延鋼板の脱スケール方法とSi含有冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

Si含有熱延鋼板の脱スケール方法とSi含有冷延鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ショットブラストで粉塵爆発を起こすことなく、かつ、脱スケール性を低下することなく、双晶変形による冷間圧延での板破断を防止することができる脱スケール方法を提案する。【解決手段】冷間圧延前のSi含有熱延鋼板を酸洗して脱スケールする方法において、上記酸洗前の鋼板温度を150℃以上とし、該鋼板表面にステンレス鋼製のショット粒子、好ましくは、平均粒子径が0.3mm以上0.7mm以下のものを用いてショットブラストを施すことを特徴とするSi含有熱延鋼板の脱スケール方法。【選択図】図4

Description

本発明は、電磁鋼板のようにSiを多量に含有する熱延鋼板の脱スケール方法に関し、特に無方向性電磁鋼板や方向性電磁鋼板の素材となる熱延焼鈍後の熱延鋼板の脱スケール方法に関するものである。
主に電気機器の鉄心材料として用いられる電磁鋼板は、無方向性電磁鋼板と方向性電磁鋼板に大別されるが、いずれも鉄損を低減するため、鋼の固有抵抗を高めるSiやAlを多量に含有しているのが普通である。上記無方向性電磁鋼板は、所定の成分組成に調整した鋼を溶製し、連続鋳造法等で鋼素材(スラブ)とした後、該スラブを熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍し、酸洗し、再結晶させる仕上焼鈍を施すことで、また、方向性電磁鋼板は、所定の成分組成に調整した鋼を溶製し、連続鋳造法等で鋼素材(スラブ)とした後、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍し、酸洗し、冷間圧延し、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、焼鈍分離剤を塗布した後、二次再結晶させる仕上焼鈍を施すことで製造するのが一般的である。
ここで、上記熱延板焼鈍は、熱間圧延後の鋼板(熱延鋼板)に均一化熱処理を施すことで、熱延板の再結晶不足を解消したり、冷間圧延前の結晶粒を粗大化や整粒化することで、冷間圧延前の鋼板の集合組織を磁気特性に有利なものに改善したり、リジングを防止したりするために行われており、Si添加量が多いいわゆる高級電磁鋼板では、熱延板焼鈍を施すことが通常である。
また、酸洗は、熱間圧延や熱延板焼鈍によって鋼板表面に形成された酸化スケールが残存したままの鋼板を冷間圧延すると、圧延ロールによって酸化スケールが鋼板表面に押し込まれたり、剥離した酸化スケールがロール表面に付着し、転写することで表面欠陥を引き起こしたりして、最終製品の表面品質を著しく損なうため、冷間圧延の前に鋼板表面から酸化スケールを除去する(脱スケール)工程である。上記の酸洗液としては、塩酸や硫酸、弗酸およびそれらの酸を混合した混酸のいずれかの酸が用いられている。
SiやAlを多量に含有する電磁鋼板用の熱延鋼板の酸化スケールは、Feが鋼板内部から外部へ拡散することによって形成されるFeOやFe、Fe等の外部スケールと、酸素が外部から鋼板内部へ拡散することで形成されるSiOやFeSiO等のSi酸化物やAl等からなるサブスケールとで構成されており、脱スケール性が悪く、特にAlを含むサブスケールは、脱スケール性が著しく悪いことが知られている。そのため電磁鋼板用の熱延鋼板の脱スケールでは、酸洗前にショットブラスト等のメカニカルデスケーリングを施すことで、脱スケール性を向上することが行われている。
しかしながら、Si含有量が多い高級電磁鋼板では、磁気特性を確保するために熱延板焼鈍を施すと、結晶粒径が大きくなって、鋼板が脆化することが問題となる。特にSi含有量が2.5mass%を超えると、脱スケール性を改善するために行うショットブラストによって、鋼板表面が双晶変形し、この双晶変形を起点にして冷間圧延時に板破断や耳割れ等のトラブルを引き起こし易くなるという問題がある。
上記の問題を解決する方法として、特許文献1には、ショットブラストで投射するショット粒子径を0.35mm未満と小さくし、鋼板表面に衝突する粒子のエネルギーを小さくすることで、鋼板表面に導入されるひずみ量を軽減し、双晶変形を抑制する技術が開示されている。また、特許文献2には、2.5〜3.5mass%のSiを含有する電磁鋼板にショットブラストを行うに際して、鋼板温度TをSi含有量に応じて以下の(1)式;
(℃)≧80×Si(mass%)−180 ・・・(1)
を満たすように加熱することで、低温高歪速度条件で発生し易い双晶変形を抑制する技術が開示されている。
特開昭61−126919号公報 特開昭62−048463号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、ショット粒子径を細粒化し、衝突エネルギーが小さくすることで、双晶変形を抑制することができるが、逆に、脱スケール性が悪化するという問題がある。また、上記特許文献2の技術では、鋼板温度を高めることで双晶変形を抑制することができるが、Si含有量が高いほど必要な鋼板温度は高くなるため、圧延可能限界と言われている4.0mass%のSiを含有する鋼板では、(1)式から得られる加熱温度Tは140℃となり、ショット粒子による粉塵爆発の危険性が高くなるという問題がある。そのため、上記特許文献1および2の技術は、いずれも実生産に適用するのは難しいのが実情である。
そこで、本願発明の目的は、ショットブラストで粉塵爆発を起こすことなく、かつ、脱スケール性を低下することなく、冷間圧延での双晶変形による板破断を防止することができる脱スケール方法を提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記課題を解決するべく、ショットブラストに用いるショット粒子の材質に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、ステンレス鋼製のショット粒子を用いてショットブラストすることで、鋼板温度を150℃以上に高めても粉塵爆発を起こすおそれがなくショットブラストを実施することができ、かつ、脱スケール性を低下することなく、双晶変形による冷間圧延での板破断を防止することができることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、冷間圧延前のSi含有熱延鋼板を酸洗して脱スケールする方法において、鋼板温度を150℃以上とし、鋼板表面にステンレス鋼製のショット粒子を用いてショットブラストを施し、その後に酸洗することを特徴とするSi含有熱延鋼板の脱スケール方法を提案する。
本発明のSi含有熱延鋼板の脱スケール方法に用いる上記ショット粒子の平均粒子径は、0.3mm以上0.7mm以下であることを特徴とする。
また、本発明のSi含有熱延鋼板の脱スケール方法における上記Si含有熱延鋼板は、Siを2.5〜4.0mass%の範囲で含有することを特徴とする。
また、本発明のSi含有熱延鋼板の脱スケール方法における上記Si含有熱延鋼板は、熱延板焼鈍後の鋼板であることを特徴とする。
また、本発明のSi含有熱延鋼板の脱スケール方法は、上記ステンレス鋼製のショット粒子に替えて代えて、セラミックス製のショット粒子を用いることを特徴とする。
本発明によれば、電磁鋼板のように多量のSiを含有する熱延鋼板であっても、ステンレス鋼製のショット粒子を用いることで、鋼板温度が高温でも粉塵爆発等の安全性を損なうことなく、ショットブラストを実施することができるので、脱スケール性を低下することなく、ショットブラストで鋼板表層に導入される双晶変形を防止し、次工程の冷間圧延における板破断等の圧延トラブルを防止することが可能となる。
本発明を適当可能な連続焼鈍−酸洗ラインの設備構成を示す図である ショットブラストによる鋼板表層の組織変化に及ぼす鋼板温度の影響を示す写真である。 吹上式粉塵爆発試験装置の模式図である。 ショットブラスト時の鋼板温度と、冷間圧延における板破断発生率との関係を示すグラフである。
図1は、本発明を適用することができる設備の一例として、熱延鋼帯の連続焼鈍−酸洗ラインの設備構成を示したものである。このラインは、入側で熱延鋼帯のコイルを巻き戻して鋼帯1を払い出すペイオフリール2、先行鋼帯と後行鋼帯を溶接する溶接機3、鋼帯を加熱する加熱帯4、鋼帯を所定の温度に保持する均熱帯5、鋼帯を冷却する冷却帯6、焼鈍後の鋼帯にメカニカルデスケーリングを施すショットブラスト装置7、酸液により脱スケールする酸洗槽8、および、鋼帯をコイルに巻き取るテンションリール9から構成されている。
通常、ペイオフリール2から払い出された電磁鋼板用熱延鋼帯1は、加熱帯4の後半から均熱帯5において900〜1100℃程度の温度で均質化焼鈍が施された後、冷却帯6で水冷あるいは空冷によって100℃以下の温度まで冷却され、その後、ショットブラスト装置7でショットブラストが施される。ショットブラストによって機械的に脱スケールされた鋼帯1は、その後、酸洗槽8における酸洗によって完全に脱スケールされた後、テンションリール9でコイルに巻き取られ、次の冷間圧延工程へと送られる。
ショットブラストは、一般に遠心ローター式の機械式投射装置を用いて行われており、ローターの回転数を調整することで、鋼板表面に投射するショット粒子のエネルギーを制御している。また、ライン速度や鋼帯幅の変化に応じて、単位時間あたりに投射するショット粒子の質量を調整することで、鋼帯表面に対する投射密度が一定になるよう制御している。鋼板表面に投射するショット粒子は、一般に、安価なFe系(炭素鋼系)で、平均粒子径が0.5〜1.0mmのものが多く用いられている。
ここで、本発明は、上記ショットブラストを行うときに、鋼板温度を150℃以上とすること、および、ショット粒子としてステンレス鋼製のものを用いることに特徴がある。以下、その理由について具体的に説明する。
図2は、Siを3.4mass%含有する電磁鋼板用の熱延鋼板に920℃×30secの熱延板焼鈍を施した鋼板から試験片を採取し、この試験片表面に、平均粒子径が0.45mmのスチール粒子をショット粒子に用いて、投射速度60m/sec、投射密度12.5kg/mの条件でショットブラストを施したときの鋼板表層近傍の断面組織を観察した写真である。この際、鋼板温度を20℃、100℃および150℃の3水準に変化させた。ここで、上記平均粒子径とは、JIS Z 8819−2:2001で規定された、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した体積基準頻度のヒストグラムから計算したものである。この図から、鋼板温度が20℃と100℃の条件では、表層部分に双晶変形が起こっているのに対し、鋼板温度を150℃の条件では、双晶変形の発生が抑制されていることがわかる。
特許文献2の(1)式から求められるSiを3.4mass%含有する鋼板の双晶変形防止可能な温度は92℃であるが、上記実験では、100℃の温度でも双晶変形が生じている。これは、特許文献2にはショットブラスト条件(投射速度や投射密度)が明示されていないため断定はできないが、特許文献2は、上記実験より小さい投射エネルギーでショットブラストを行っていたためと考えられる。これから、脱スケール性を向上するためにショット粒子の投射エネルギーを大きくした場合、特許文献2の(1)式を満たすだけでは双晶変形防止に十分な効果が得られない可能性があることがわかった。
次に、表1は、Si含有量を2.5〜4.0mass%の範囲で6水準に変化させた熱延鋼板の試験片を150℃の温度に加熱した後、図1に示した実験と同じ投射条件でショットブラストを実施し、鋼板表層部近傍の断面を観察して、双晶変形の発生状況を調査した結果を示したものである。この表から、鋼板温度を150℃とすることで、Si含有量が2.5〜4.0mass%の全範囲で双晶変形の発生を抑止できていることがわかった。そこで、本発明は、上記の実験結果に基づき、Si含有量が2.5〜4.0mass%の熱延鋼板を対象とし、ショットブラストを行う際の鋼板温度の下限を150℃とした。なお、鋼板温度の上限は、後述するように、ショットブラストでの粉塵爆発を防止するため、250℃に設定することとした。
Figure 2021053724
次に、本発明のもう一つの特徴であるショットブラストに使用するショット粒子の材質をステンレス鋼とする理由について説明する。
通常のショットブラストでは、鋼板温度を100℃以下に制限している場合が多い。これは、ショットブラストでの粉塵爆発を防止するという防災上の制約によるものである。すなわち、特許文献2の技術は、鋼板温度を高くすることで、双晶変形を抑制しているが、粉塵爆発を起こすリスクを抱えている。
そこで、発明者らは、ショット粒子の材質が粉塵の爆発性に及ぼす影響を調査する実験を行った。
図3は、粉体の粉塵爆発の可能性を評価する吹上式粉塵爆発試験(JIS Z 8818)の試験装置の模式図である。この試験装置は、透明のガラス容器の下部に設置された試験粉体をコンプレッサーから供給されるエアーによってガラス容器内で飛散させ、ガラス容器内に設置されたスパーク電極で着火したときに認められる爆発による閃光が所定の高さ以上になったときに、その粉体に爆発性があると判定するものであり、粉体の粒子径や設置する粉体の質量を変えることで、ガラス容器内の粉塵濃度を種々に変更することが可能である。
表2は、上記試験装置を用いて、平均粒子径が0.3mmで、素材が炭素鋼、SUS304およびSUS430と異なる3種類のショット粒子について、粉塵濃度を段階的に500〜6000g/mの範囲で変化させて、粉塵爆発性を評価した結果を示したものである。なお、粉塵爆発性の評価は、粉塵濃度が小さな条件から開始し、同一条件で2回連続して粉塵爆発が発生しないときは「粉塵爆発性無し」と判定した。この表から、炭素鋼を素材としたショット粒子では粉塵濃度が1500g/m以上で粉塵爆発を起こすが、代表的なステンレス鋼であるSUS304とSUS430では、粉塵濃度が6000g/mでも爆発性は無いこと、したがって、ショット粒子としてステンレス鋼製のものを用いることで、鋼板温度を高めても粉塵爆発の危険性を大きく低減できることがわかった。
Figure 2021053724
ステンレス鋼製のショット粒子を用いてショットブラストすることで粉塵爆発を抑止できる理由は、ショット粒子の温度が上昇しても、ステンレス鋼中に含まれるCr成分によって、粒子表面に緻密で極めて薄いクロム酸化物が形成され、それが保護被膜となってその後の酸化を抑制するので酸化による発熱が小さく抑えられるためと考えられる。
したがって、上記ショット粒子の素材となるステンレス鋼は、Crを10mass%以上含有するものであれば、JISに規定されたSUS304に代表されるフェライト系ステンレス鋼、SUS430に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼の他に、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼等、いずれであってもよい。より好ましいCrの含有量は16mass%以上である。
さらに、本発明で用いるショット粒子は、ステンレス鋼製であることに加えて、平均粒子径が0.3mm以上0.7mm以下のものであることが好ましい。0.3mm未満では、衝突エネルギーが小さ過ぎて、十分な脱スケール性が得られない。一方、0.7mmを超えると、逆に衝突エネルギーが大きくなり過ぎるため、鋼板温度を150℃以上にしても鋼板表層への双晶変形の導入を抑止することができず、冷間圧延での板破断を防止できなくなるからである。好ましい平均粒子径は、0.3〜0.5mmの範囲である。
なお、本発明の上記説明では、ショットブラストに使用するショット粒子としてステンレス鋼製のものを用いているが、粉塵爆発の抑止効果を奏する材質であれば、他の材質であってもよく、例えば、Ni基超合金や、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)などのセラミックス製のものを用いてよい。ただし、コスト面で最も優れるのは汎用ステンレス鋼製のショット粒子である。
なお、発明者らは、セラミックス製のショット粒子を用いてショットブラストを行う場合であっても、鋼板温度を150℃以上の温度に加熱し、かつ、平均粒子径が0.3〜0.7mmのセラミックス製のショット粒子を用いることで、ステンレス鋼製のショット粒子と同様、粉塵爆発を起こすことなく、かつ、脱スケール性を低下することなく、冷間圧延時の板破断を防止することができることを確認している。
上述したように、本発明は、ステンレス鋼製のショット粒子を用いることで、高温でのショットブラストが可能となるので、鋼板表層の双晶変形を抑止することができ、冷間圧延における板破断等を効果的に防止することできる。本発明が対象とする熱延鋼板には、熱間圧延ままの鋼板と、上記鋼板に熱延板焼鈍を施した鋼板とがあるが、前述したように、熱延板焼鈍後の鋼板の方が、脆性破断を起こし易く、また、鋼板表面の酸化スケールも強固である。そのため、本発明は、上記効果を十分に発現させるため、熱延板焼鈍後の鋼板に適用することが好ましい。
図1に示した電磁鋼板用熱延鋼帯の連続焼鈍−酸洗ラインにおいて、C:0.002mass%、Si:3.7mass%、Mn:0.5mass%を含有し、板厚が2.2mmのSi含有熱延鋼板に、均熱条件が920℃×30sの熱延板焼鈍を施した。この際、均熱処理後の熱延鋼帯は、冷却帯において冷却ガスの流量を制御することで、ショットブラスト前の鋼板温度を80℃から250℃間の種々の温度に変化させた。その後、上記鋼板表面に、高温での粉塵爆発を防止するため、SUS304製のショット粒子を用い、粒子速度55m/sec、投射密度12.5kg/mの条件でショットブラストを施した。この際、ショット粒子の平均粒子径を0.1mm、0.3mm、0.7mmおよび1.0mmの4種類のものを用いた。なお、このショットブラストでは、鋼板温度が250℃の高温でも、粉塵爆発を起こすことなく安定して操業することができることを確認した。
次いで、上記ショットブラスト後の鋼板を、温度85℃の塩酸水溶液(5mass%HCl)に10sec間浸漬する条件で酸洗し、酸洗後鋼板表面のスケール残りの有無を光学顕微鏡を用いて確認した。
次いで、上記酸洗後の鋼板を、各条件について30コイルずつ、タンデム式冷間圧延機を用いて0.3mmの最終板厚まで冷間圧延し、冷間圧延における板破断の発生有無を調査した。
図4は、ショットブラスト前の鋼板温度とショット粒子の平均粒子径が冷間圧延における板破断の発生率に及ぼす影響を示したグラフである。この図から、通常の操業条件である鋼板温度80℃(比較例1)では、いずれの粒子径でも板破断の発生率が10%以上と高くなっていること、また、鋼板温度の上昇に伴い板破断の発生率が低下しているものの、鋼板温度が120℃(比較例2)では、特許文献2記載の(1)式から求められるSi含有量が3.7mass%の双晶変形防止可能な鋼板温度116℃より高いにも拘わらず、冷間圧延での板破断を完全に防止できていないことがわかる。また、鋼板温度が150℃以上(発明例)であれば、ショット粒子の平均粒子径が0.1mm、0.3mmおよび0.7mmでは、板破断を防止できているが、鋼板温度を150℃以上としても、板破断を完全には抑止できないことがわかる。これは、ショット粒子径が1.0mmでは、投射エネルギーが大きいため、鋼板表層の双晶変形を抑止できなかったためと考えられる。
また、表3は、酸洗後鋼板表面のスケール残りの有無を調査した結果を示したものであるが、ショット粒子径が0.1mmではスケール残りが観察されており、ショット粒子の小径化によって脱スケール能が低下していることがわかる。
Figure 2021053724
上記の実験結果から、鋼板温度を150℃以上の温度に加熱し、かつ、平均粒子径が0.3〜0.7mmのステンレス製のショット粒子を用いてショットブラストを行うことで、粉塵爆発を起こすことなく、かつ、脱スケール性を低下することなく、冷間圧延時の板破断を防止することができることが確認された。
本発明の技術は、Si含有熱延鋼板の脱スケールだけでなく、冷間圧延時に脆性による板破断が問題となっている、例えば、ステンレス鋼や高炭素鋼、高強度鋼板等に好ましく適用することができる。
1:熱延鋼帯
2:ペイオフリール
3:溶接機
4:加熱帯
5:均熱帯
6:冷却帯
7:ショットブラスト装置
8:酸洗槽
9:テンションリール
本発明は、電磁鋼板のようにSiを多量に含有する熱延鋼板の脱スケール方法に関し、特に無方向性電磁鋼板や方向性電磁鋼板の素材となる熱延焼鈍後の熱延鋼板の脱スケール方法と、該脱スケール方法を用いたSi含有冷延鋼板の製造方法に関するものである。
そこで、本願発明の目的は、ショットブラストで粉塵爆発を起こすことなく、かつ、脱スケール性を低下することなく、冷間圧延での双晶変形による板破断を防止することができる脱スケール方法と、該脱スケール方法を用いたSi含有冷延鋼板の製造方法を提案することにある。
すなわち、本発明は、Si含有熱延鋼板を脱スケールする方法において、鋼板温度を150℃以上とし、鋼板表面にステンレス鋼製のショット粒子を用いてショットブラストを施し、その後に酸洗することを特徴とするSi含有熱延鋼板の脱スケール方法を提案する。
また、本発明のSi含有熱延鋼板の脱スケール方法は、上記ステンレス鋼製のショット粒子に替えて代えて、セラミックス製のショット粒子を用いることを特徴とする。
また、本発明は、上記のいずれか記載のSi含有熱延鋼板の脱スケール方法により脱スケール処理した後、冷間圧延することを特徴とするSi含有冷延鋼板の製造方法を提案する。

Claims (5)

  1. 冷間圧延前のSi含有熱延鋼板を酸洗して脱スケールする方法において、
    鋼板温度を150℃以上とし、鋼板表面にステンレス鋼製のショット粒子を用いてショットブラストを施し、その後に酸洗することを特徴とするSi含有熱延鋼板の脱スケール方法。
  2. 上記ショット粒子の平均粒子径は、0.3mm以上0.7mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のSi含有熱延鋼板の脱スケール方法。
  3. 上記Si含有熱延鋼板は、Siを2.5〜4.0mass%の範囲で含有することを特徴とする請求項1または2に記載のSi含有熱延鋼板の脱スケール方法。
  4. 上記Si含有熱延鋼板は、熱延板焼鈍後の鋼板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のSi含有熱延鋼板の脱スケール方法。
  5. 上記ステンレス鋼製のショット粒子に替えて代えて、セラミックス製のショット粒子を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のSi含有熱延鋼板の脱スケール方法。
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