JP3454020B2 - フラッシュ溶接性およびアプセット溶接性に優れた熱延鋼板およびこの熱延鋼板を素材として製造した無方向性電磁鋼板 - Google Patents

フラッシュ溶接性およびアプセット溶接性に優れた熱延鋼板およびこの熱延鋼板を素材として製造した無方向性電磁鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラッシュ溶接性
に優れた熱延鋼板およびこの熱延鋼板を素材として製造
した無方向性電磁鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】無方向性電磁鋼板は、発電機、電動機、
中小型変圧器等の広範囲な電気機器に使用されている。
【0003】無方向性電磁鋼板には、鋼板メーカーにお
いて仕上げ焼鈍などを施し、鋼板メーカーから出荷され
る時点で既に最終的な磁気特性を具備しているフルプロ
セス製品と、仕上げ焼鈍後の鋼板に対し、需要家で打ち
抜き・せん断などの加工を施した後、磁性焼鈍を行い、
加工歪みの除去と結晶粒の粗大化を図り、所定の磁気特
性を得るように配慮されたセミプロセス製品がある。
【0004】通常、無方向性電磁鋼板は、転炉あるいは
電気炉等で溶製された鋼スラブを熱間圧延し、次いで酸
洗した後、熱延板焼鈍を施し、あるいは熱延板焼鈍を施
すことなく、冷間圧延−焼鈍、あるいは中間焼鈍を挟ん
だ2回以上の冷間圧延、仕上げ焼鈍を施して製造され
る。また、必要に応じて、さらに、打ち抜き加工や剪断
加工後に磁性焼鈍が施される。
【0005】前記の無方向性電磁鋼板の製造に際し、熱
間圧延された鋼板は、通常、酸洗ラインの入側に設置さ
れた溶接機で接合されて、後続する各製造ラインに通板
され、所定の処理が施される。
【0006】製造ライン内では、溶接部は溶接部以外の
鋼板の正常部と同様の処理が施される。従って、溶接部
強度が低い場合、製造ライン内、特に大きな圧延荷重と
張力が付与される冷間圧延ラインで、溶接部破断が発生
しやすい。溶接部破断が発生した場合、製造効率の大幅
な低下や、破断材による圧延ロール損傷などの設備損傷
による製造コストの大幅な増加を招く。したがって、溶
接部は、前記した製造ライン内で破断しない強度を有す
ることが必要である。
【0007】熱間圧延された鋼板の接合には、種々の溶
接方法が用いられるが、その中でフラッシュ溶接、アプ
セット溶接は、レーザ溶接などに比較して設備コスト、
ランニングコストが安い。しかし、これらの方法によ
り、Si、Mn、Al等の介在物を形成しやすい合金成分を含
有した鋼板を溶接すると、溶接界面に介在物が残留し、
それが起点となって割れが生じ、溶接部強度が低下しや
すい。
【0008】フラッシュ溶接は、比較的高効率であるこ
とから、酸洗ラインの入側における先行鋼板と後行鋼板
との接続に使用されることが多い。したがって、以下、
フラッシュ溶接による場合について説明する。
【0009】フラッシュ溶接は、以下の3段階の過程に
より被溶接材に溶接部を形成して接続する溶接方法であ
る。
【0010】被溶接材両端に電圧を印加した状態で、
突き合わせ端面を適切な速度で接近させ、局部的な接触
部を生じさせる。
【0011】この接触部に流れる高電流密度の短絡電
流による抵抗発熱と、接触短絡部の溶融破断に伴い発生
するアークによって端面を局部的に集中加熱する。この
時、アークによって、端面の溶融金属が飛散する。この
溶融金属の飛散現象をフラッシングという。(フラッシ
ュ過程)
【0012】フラッシングによって端面全面の温度を
上昇させ、突き合わせ端面の全面にほぼ一様な溶融層を
形成させた時点で、急速に被溶接材を前進させ、溶接部
を加圧・変形して、被溶接材同志を接合する。(アプセ
ット過程) 前記したように、Si、Mn、Al等の介在物を形成しやすい
合金成分を含有した鋼板を溶接すると、溶接界面に介在
物が残留し、それが起点となって割れが生じ、溶接部強
度が低下しやすい。無方向性電磁鋼板は、電磁特性向上
のために添加されたSi、Mn、Al等の介在物を生成しやす
い合金成分を多く含んでいるので、無方向性電磁鋼板の
製造に用いる熱延鋼板をフラッシュ溶接により溶接する
場合、前記合金成分に起因する介在物の溶接界面への残
存を回避することが重要である。
【0013】介在物の溶接界面への残存を回避する方法
としては、まず前記したアプセット過程において溶接界
面から介在物を完全に排出できるように溶接条件を最適
化し、それを厳密に管理、実施していくことが挙げられ
る。しかし、介在物を形成しやすい合金元素を多く含有
した鋼板の場合、適正な溶接条件範囲自体が存在しない
か、存在しても条件範囲は著しく狭くなっている。ま
た、たとえ適正な溶接条件範囲が存在するとしても、フ
ラッシュ電流の大きさやフラッシュ時間、アプセット電
流の大きさやアプセット時間、さらにはフラッシュ代や
アプセット代などの多数の要素が交絡した複雑な溶接条
件を厳密に管理し、安定した操業を行うことは、工業的
に極めて困難である。
【0014】そこで、溶接時における介在物の生成、特
に介在物中で、最も容易に生成する酸化物の生成を抑制
し、介在物の残存を回避する方法が提案されている。
【0015】特開昭49-96947号公報には、溶接部近傍で
還元性ガスを含むガスを燃焼させることにより、大気中
酸素を遮断する方法、特開昭56-50789号公報には、突き
合わせ溶接部分を気密化し、不活性ガスでシールドして
溶接する方法が提案されている。
【0016】また、特開昭59-118282号公報には、溶接
部近傍に炭素重合体、有機化合物、有機珪素化合物や亜
鉛、亜鉛粉末含有物、カルシウム、マグネシウム合金や
その含有物などの保護ガス発生物質を、特開昭62-27558
1号公報にはグリースを、それぞれ溶接部近傍に塗布
し、溶接時の熱により保護ガスを発生させる方法、ま
た、特開昭63-203281号公報には、グリースの塗布方法
が提案されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記に提案さ
れる技術には、以下に述べる問題点がある。
【0018】特開昭49-96947号公報に提案の技術は、ガ
スの燃焼を利用するため、ガス燃焼設備設置とその運用
によるコスト増加や、火炎による周辺設備への熱的影響
の増大という問題があり、実用的ではない。特開昭56-5
0789号公報に提案の技術は、気密化に伴う設備改造やそ
の運用によるコスト増加、溶接機にこれら設備を取り付
けることにより微妙な調整を必要とする突き合わせ部周
辺の保守作業に支障がでるといった問題が生じる。
【0019】さらに、Si、Mn、Alなど酸化性の強い合金
元素が多く含有されている場合、酸化物などの介在物が
溶接界面に残存していることがあり、溶接部強度につい
て必ずしも十分な信頼性を得ることができない。
【0020】特開昭59-118282号公報、特開昭62-275581
号公報、特開昭63-203281号公報に提案の技術は、比較
的容易に適正な溶接条件範囲を広げることができるが、
溶接中の溶接部周辺を大気からシールドする効果は必ず
しも完全ではなく、また、Si、Mn、Alなど酸化性の強い
合金元素が多く含有されている場合、酸化物などの介在
物が溶接界面に残存していることがあり、溶接部強度に
ついて必ずしも十分な信頼性を得ることができない。
【0021】また、鋼板へのグリースなどの塗布工程が
増えることになり、効率面の低下、設備コストの増加を
引き起こす。
【0022】さらに、これらの方法を使用した場合、グ
リース等が溶接機などに付着、残存し、スパッタなどが
付着しやすくなる。スパッタが電極表面に付着した場
合、電極と鋼板の接触が局部的になり、ダイバーンなど
の溶接欠陥を発生する。また、鋼板通板中にスパッタが
鋼板上に落下すると、鋼板表面に傷を生じるため、グリ
ースなどを除去する煩雑な清掃を行わねばならない。以
上のような理由から、これらもその実施を極力避けたい
方法である。
【0023】このため、実際の製造ラインでは、Si、Al
等を大量に含有し、酸化物による介在物を生成しやすい
合金成分を含む無方向性電磁鋼板素材のような難溶接材
の場合、酸化性成分元素を多く含有しない軟鋼ストリッ
プなどを難溶接材間に挿入して溶接して交互通板するこ
とも行われている。
【0024】本発明は、前記した事情を考慮してなされ
たものであり、グリース等の塗布、酸化性成分元素を多
く含有しない材料との交互通板などを行うことなく、製
造ライン内で溶接部破断を発生させない溶接部強度を得
ることができるフラッシュ溶接性およびアプセット溶接
性に優れた熱延鋼板およびこの熱延鋼板を素材として製
造する無方向性電磁鋼板を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の、本発明の特徴とする構成は以下のとおりである。
【0026】第1 発明は、重量%で、Si :0.7%
超3.5%以下、Al:0.1〜1.0%、Mn:0.
1〜0.8%を含有し、S:0.02%以下、C:0.
005%以下、N:0.005%以下、残部がFeおよ
び不可避不純物からなる鋼板であって、鋼板中に含まれ
る直径0.1〜1.0μmの介在物が4000個/mm
2以下、直径1.0μm超の介在物が、( 4.5−[S
i(%)] )×100 個/mm2以下であるフラッシュ
溶接性およびアプセット溶接性に優れた熱延鋼板であ
る。
【0027】第2 発明は、重量%で、Si :0.7%
超3.5%以下、Al:0.1〜1.0%、Mn:0.
1〜0.8%を含有し、S:0.02%以下、C:0.
005%以下、N:0.005%以下、残部がFeおよ
び不可避不純物からなる鋼板であって、鋼板中に含まれ
る直径0.1〜1.0μmの介在物が2000個/mm
2以下、直径1.0μm超の介在物が、( 4.5−[S
i(%)] )×100 個/mm2以下であるフラッシュ
溶接性およびアプセット溶接性に優れた熱延鋼板であ
る。
【0028】第3 発明は、前記第1 発明または第2 発明
の熱延鋼板をフラッシュ溶接またはアプセット溶接した
後、少なくとも1回の冷間圧延と焼鈍を施して製造した
無方向性電磁鋼板である。
【0029】以下、本発明について説明する。本発明者
等は、Si、Mn、Alなど酸化性の強い合金元素を多く含有
する熱延鋼板をフラッシュ溶接した場合、溶接時の酸化
物の生成を抑制しても、溶接界面に介在物が残存し、そ
のために溶接部強度が低下する場合がある点に着目し、
鋼板成分組成や鋼板中の介在物とフラッシュ溶接性の関
係について詳細に調査した。
【0030】その結果、フラッシュ溶接性は、鋼板成分
組成により直接影響されるのではなく、鋼板中の介在物
により大きく影響を受けること、さらに、鋼板中の介在
物は、その大きさによってフラッシュ性に及ぼす影響が
異なっていることを見出した。
【0031】本発明はこの知見に基づき、鋼板中の介在
物の大きさと個数を適切な範囲にすることにより、良好
なフラッシュ溶接性とアプセット溶接性を得ることを可
能とした点に大きな特徴がある。
【0032】以下、前記した点について詳述する。ま
ず、表1に示す成分組成の板厚2.8〜3.0mm 、板幅1400mm
の熱延鋼板を突き合わせ、フラッシュ溶接を行った。な
お、表1の鋼板の成分組成の表示しない残部はFeおよび
不可避不純物である。このときの溶接条件は、フラッシ
ュ時間8.5秒、フラッシュ長さ12mm、アプセット代3.5mm
である。溶接部から排出されたフラッシュメタルは、バ
イトにより母材表面と同じ高さになるまで研削した。
【0033】フラッシュ溶接性は、溶接部の機械的品質
により評価した。溶接部の機械的品質は、1400mm幅の溶
接部から50mm幅の試験片を25片取り出し、6Rポンチによ
る180度曲げ試験を行い、曲げ試験後、溶接部に発生し
た割れ長さを測定し、割れ長さが溶接部全体の長さに占
める割合を、割れ長さ率(%、割れ長さ(mm)/50 ×100)と
して求め、この値により評価した。表1に、割れ長さ率
の調査結果を併せて示す。
【0034】なお、通常の酸洗ラインまたは冷間圧延ラ
インでは、割れ長さ率が10%以下であれば、ライン内で
溶接部破断が発生することがなく、安定した通板が可能
である。
【0035】
【表1】
【0036】全体的にはSiやAlの増加とともに割れ長さ
率が増加する傾向が認められるが、ほぼ同一成分組成の
鋼板であっても割れ長さ率にかなりのばらつきがある。
したがって、鋼板成分組成のみではフラッシュ溶接性の
良否を判断できないので、鋼板成分組成のみの限定では
フラッシュ溶接性の改善を行えないことがわかった。
【0037】引き続き検討を行い、溶接前後の鋼板中の
介在物の観察結果と溶接性の調査結果から、以下のこと
がわかった。
【0038】円相当直径(直径、以下同様)1.0 μm
超の介在物 フラッシュ溶接時において、これら介在物は、溶融金属
中ではその大半が溶融しているのに対し、溶融界面近傍
では溶融せず、逆に温度上昇により成長する。このよう
な介在物の成長は、溶融界面に近いほど著しくなってい
る。
【0039】溶融金属自身はアプセット過程さえ適正に
行えば、比較的容易に排出される。しかし、溶融界面近
傍で成長した介在物は、アプセット時に排出されにく
く、溶接界面に残留して割れの起点となる。
【0040】0.1〜1.0μmの介在物 フラッシュ溶接時において、溶融金属中ではこれらの介
在物はほぼ完全に溶融している。溶融界面近傍では、凝
集して大きくなるものも一部存在するが、溶接時におけ
る温度上昇により大半は溶融する。
【0041】溶融金属自身はアプセット過程さえ適正に
行えば、比較的容易に排出される。しかし、溶融界面近
傍で溶融した介在物は、溶接終了後の急冷時に溶接界面
に微細に再生成し、フラットスポットを形成する。この
フラットスポットが溶接界面に広く存在すると、界面強
度は低下する。特に、き裂が発生した場合、その伝播を
容易にする。
【0042】従って、これらの介在物の大きさと量を規
定することにより、グリース等の塗布、酸化性成分元素
を多く含有しない材料との交互通板などを行うことな
く、製造ライン内で溶接部破断を発生させない溶接部強
度を得ることができるフラッシュ溶接性がより安定した
鋼板を得ることができるのではないかと考えた。
【0043】このような知見に基づき、介在物の量およ
び大きさとフラッシュ溶接性の関係について引き続き調
査を実施した。
【0044】図1は鋼板のSi含有率、直径1.0μm超の介
在物個数とフラッシュ溶接性の関係を示した図である。
介在物観察は、直径1.0μm超の介在物観察は光学顕微鏡
で、直径0.1〜1.0μmの介在物観察は走査型電子顕微鏡
で行った。なお、図中の鋼板の0.1〜1.0μmの介在物個
数は700〜1500個/mm2としている。
【0045】図から明らかなように、割れ長さ率が10%
以下となる直径1.0μm超の介在物個数の上限はSi含有率
と相関があり、直径1.0μm超の介在物が( 4.5-[Si(%)]
)×100 個/mm2以下であれば、割れ長さ率がライン通板
時の許容範囲内の10%以下となることがわかる。
【0046】以上の結果から、本発明では直径1.0μm超
の介在物個数を( 4.5-[Si(%)] )×100 個/mm2以下に限
定する。
【0047】次に、直径1.0μm超の介在物個数を( 4.5-
[Si(%)] )×100 個/mm2以下として、0.1〜1.0μmの介在
物の個数を変化させた場合について検討を行った。
【0048】介在物の影響を調査するため表2に示す成
分組成の鋼板A 、B を下記のようにして製造した。な
お、表2の鋼板の成分組成の表示しない残部はFeおよび
不可避不純物である。
【0049】
【表2】
【0050】鋼板中に存在する介在物は、溶鋼の溶製段
階で生成する一次脱酸生成物と、凝固冷却時に溶解度の
低下により晶出する二次脱酸生成物とに分かれる。そこ
で、表2 の成分組成に溶製した鋼を、真空溶解炉を用
い、スラグの塩基度・組成の調整、脱ガス処理時間の調
整、さらに溶鋼凝固時の冷却速度の調整を行って、介在
物のサイズおよび個数を調整した鋳片を製造した。これ
らの鋳片を熱間圧延し、板厚2.0mm、板幅110mmの試料を
製造した。
【0051】この試料について介在物観察およびフラッ
シュ溶接を行い、溶接後、50mm幅のサンプルを切り出
し、前記した曲げ試験・評価法により機械的品質を評価
した。介在物観察については、直径1.0μm超の介在物観
察は光学顕微鏡で、直径0.1〜1.0μmの介在物観察は走
査型電子顕微鏡で行った。
【0052】図2は、鋼板Aについて、直径1.0μm超の介
在物個数を( 4.5-[Si(%)] )×100個/mm2以下にして、0.
1〜1.0μmの介在物の個数を変化させた場合の介在物個
数と割れ長さ率の関係を示したものである。また図3
は、同じく鋼板Bについて同様の関係を示したものであ
る。
【0053】図2 および図3 に示されるとおり、直径0.
1〜1.0μmの介在物の個数が4000個/mm2以下の範囲で割
れ長さ率が10%以下となっており、介在物個数が2000個/
mm2以下では割れ長さ率がさらに低位で安定して優れて
いる。
【0054】このことから本発明では、直径0.1〜1.0μ
mの介在物の個数を4000個/mm2以下、より好ましい範囲
を2000個/mm2以下に限定する。
【0055】次に、本発明の化学成分の限定理由につい
て述べる。 Si : 鋼板の固有抵抗を上げ、鉄損を少なくするのに有
効な成分であるので、0.7%以上とする。ただし、3.5%を
超えると溶接時に酸化物が生成しやすくなることや冷間
加工性が低下することなどから、上限を3.5%とする。
【0056】Al : 微細なAlNの形成による結晶粒の成長
を阻害するので、その防止のため、および鋼板の固有抵
抗を上げ、鉄損を少なくするのに有効は成分であるの
で、0.1%以上とする。ただし、1.0%を超えると溶接時に
酸化物が生成しやすくなること、磁束密度が低下するこ
となどから、上限を1.0%とする。
【0057】Mn : 鋼板の固有抵抗を上げて鉄損を少な
くするのに有効な成分であり、かつ熱間圧延時の赤熱脆
性を防止するために0.1%以上必要である。ただし、過剰
な添加は、飽和磁束密度を低下させるので上限を0.8%と
する。
【0058】S : 溶接部のメタルフローに沿った割れの
原因や磁気特性を低下させる原因となるMnSなどの硫化
物の生成を助長するので、極力低い方がよいが、製造コ
ストの面から0.02%以下とする。
【0059】C : 鉄損を多くする有害な成分で磁気時効
の原因となるので0.005%以下とする。
【0060】N : 焼鈍時の結晶粒の成長を阻害するAlN
の形成を助長し、鉄損を高めるため、0.005%以下とす
る。
【0061】
【発明の実施の形態】本発明の熱延鋼板の製造方法は、
直径1.0μm超の介在物の個数と、直径0.1〜1.0μmの介
在物の個数の両方を所定の範囲内に調整するものであれ
ば、どのような形態でもかまわない。
【0062】例えば、真空溶解炉、転炉または電気炉で
所定の成分範囲に溶製した溶鋼を、脱ガス処理などを施
し、造塊鋳造、連続鋳造あるいはストリップキャスタに
よって鋳造し、熱片状態での直送圧延あるいは鋼片再加
熱後に熱間加工を行って、熱延鋼板を製造するに際し
て、主に一次脱酸生成物である直径1.0μm超の介在物の
制御は、例えば、溶鋼脱ガス時間を長くするとか、また
はスラグ組成の調整によりスラグからの再酸化を防止す
ることなどにより行い、さらに、主に二次脱酸生成物で
ある直径0.1〜1.0μmの介在物の制御は、鋳造速度、鋳
造時の加熱、補助加熱、保熱、鋳片厚さ、冷却条件など
溶鋼の凝固冷却速度を調整することにより行うことがで
きる。
【0063】Sについては溶銑、取鍋精錬などで脱Sする
か、Sの少ない原料、副原料を用いて精錬することが望
ましい。
【0064】熱間加工は、分塊圧延、粗圧延、仕上げ熱
延の内、仕上げ熱延は必須であるが、分塊圧延、粗圧延
は鋳造後の鋼塊、鋼片、鋳造板などの厚さ寸法、リジン
グ抑制などにより適宜選択して行うことができる。
【0065】このようにして製造された熱延鋼板はフラ
ッシュ溶接性、アプセット溶接性に優れるので、熱間圧
延された鋼板のまま、あるいはさらに酸洗等の脱スケー
ル等の処理を施した後、フラッシュ溶接やアプセット溶
接を施す熱延鋼板の用途に広く使用することができる。
【0066】また、前記熱延鋼板は、フラッシュ溶接等
により先行鋼板と後行鋼板を接続した後、酸洗ラインや
冷間圧延ライン等の各製造ラインを通板して処理を施し
ても、溶接部破断しないので、冷間圧延する各種鋼板の
素材として使用することができるが、特に無方向性電磁
鋼板の素材として使用することが好適である。
【0067】無方向性電磁鋼板は以下のようにして製造
する。すなわち、前記の熱延鋼板を、酸洗ライン入側で
フラッシュ溶接またはアプセット溶接後、酸洗を施した
後、少なくとも1回の冷間圧延と焼鈍を施して製造す
る。冷間圧延前に熱延板焼鈍を施してよい。冷間圧延と
焼鈍は各1回であってもよいし、中間焼鈍を挟んだ二回
以上の冷間圧延と仕上げ焼鈍であってもよい。また、必
要に応じて、さらに打ち抜き加工やせん断加工後に磁性
焼鈍を行ってもよい。このようにして、無方向性電磁鋼
板として必要な特性を得られるプロセスを経て、所定の
フルプロセスまたはセミプロセスの無方向性電磁鋼板を
製造する。
【0068】このようにして製造される無方向性電磁鋼
板は、酸洗に後続する各製造ラインで溶接部破断がない
ので、破断に伴う製造効率の低下や圧延ロール損傷など
の設備損傷による製造コストの増加を招くことなく、所
要の磁気特性を有する無方向性電磁鋼板となる。
【0069】
【実施例】鋳片を種々の精錬−鋳造条件で製造した。す
なわち、介在物の大きさと個数の調整は、スラグ組成の
調整により塩基度を変化させること、真空度・脱ガス時
間を変化させること、鋳造時の溶鋼の凝固冷却速度を変
えることにより行った。
【0070】このようにして得た鋳片を1200℃に加熱し
た後、熱間圧延で板厚3.0mm、板幅1400mmの熱延鋼板と
し、フラッシュ溶接機で溶接を行った。溶接条件は、フ
ラッシュ時間8.5秒、フラッシュ長さ12mm、アプセット
代3.5mmである。溶接部から排出されたフラッシュメタ
ルは、バイトにより母材表面と同じ高さになるまで研削
した。
【0071】フラッシュ溶接性は、溶接部の機械的品質
により評価した。溶接部の機械的品質は、1400mm幅の溶
接部から50mm幅の試験片を25片取り出し、6Rポンチによ
る180度曲げ試験を行い、曲げ試験後、溶接部に発生し
た割れ長さを測定し、割れ長さが溶接部全体の長さに占
める割合を、割れ長さ率(%、割れ長さ(mm)/50 ×100)と
して求め、この値により評価した。
【0072】鋼板の成分組成と調査結果をまとめて、表
3に示す。なお、表3の化学成分組成の表示しない残部は
Feおよび不可避不純物である。
【0073】
【表3】
【0074】本発明例の鋼板は、全て割れ長さ率が10%
以下であり、フラッシュ溶接性が非常に良好である。
【0075】また、第2 発明の構成を満足する発明例2
の鋼板は、第2 発明の構成を満足しない発明例1 の鋼板
に比べて、割れ発生率がより低下しており、フラッシュ
溶接性により優れる。
【0076】また、直径0.1 〜1.0 μm 、または直径1.
0 μm 超の介在物の個数が本発明範囲を外れる比較例の
鋼板は、割れ発生率が10% を超えており、フラッシュ溶
接性に劣る。
【0077】なお、上記説明においてはフラッシュ溶接
についてのみを述べてきたが、フラッシュ過程のないア
プセット溶接においても同様の結果を得ることができ
る。
【0078】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の熱延鋼板
は、グリース等の塗布、酸化性成分元素を多く含有しな
い材料との交互通板などを行うことなく、良好なフラッ
シュ溶接性およびアプセット溶接性を示す。したがっ
て、フラッシュ溶接やアプセット溶接を行う熱延鋼板の
用途に広く使用することができる。また、フラッシュ溶
接やアプセット溶接で接続した熱延鋼板を、冷間圧延ラ
イン等の各製造ラインに通板して処理した場合、各製造
ライン内で溶接部破断がないので、破断に伴う製造効率
の低下や圧延ロール損傷などの設備損傷による製造コス
トの増加を招くことない。また、この熱延鋼板を素材と
して用いて製造された無方法性電磁鋼板は、前記した効
果に加えて、良好な所要の電磁特性を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板のSi含有率、直径1.0μm超の介在物の個数
と割れ長さ率の関係を示す図である。
【図2】鋼板A中の直径0.1〜1.0μmの介在物の個数と、
割れ長さ率の関係を示す図である。
【図3】鋼板B中の直径0.1〜1.0μmの介在物の個数と、
割れ長さ率の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日裏 昭 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 尾田 善彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 池尻 健太郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−74256(JP,A) 特開 昭60−152628(JP,A) 特開 平4−168217(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 303 C21D 8/12 C22C 38/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Si :0.7%超3.5%以
    下、Al:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜0.8%
    を含有し、S:0.02%以下、C:0.005%以
    下、N:0.005%以下、残部がFeおよび不可避不
    純物からなる鋼板であって、鋼板中に含まれる直径0.
    1〜1.0μmの介在物が4000個/mm2以下、直
    径1.0μm超の介在物が、( 4.5−[Si(%)]
    )×100 個/mm2以下であることを特徴とするフ
    ラッシュ溶接性およびアプセット溶接性に優れた熱延鋼
    板。
  2. 【請求項2】 重量%で、Si :0.7%超3.5%以
    下、Al:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜0.8%
    を含有し、S:0.02%以下、C:0.005%以
    下、N:0.005%以下、残部がFeおよび不可避不
    純物からなる鋼板であって、鋼板中に含まれる直径0.
    1〜1.0μmの介在物が2000個/mm2以下、直
    径1.0μm超の介在物が、( 4.5−[Si(%)]
    )×100 個/mm2以下であることを特徴とするフ
    ラッシュ溶接性およびアプセット溶接性に優れた熱延鋼
    板。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の熱延鋼板
    をフラッシュ溶接またはアプセット溶接した後、少なく
    とも1回の冷間圧延と焼鈍を施して製造した無方向性電
    磁鋼板。
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