JP4702254B2 - レーザー切断用厚鋼板とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザー切断用厚鋼板とその製造方法に関し、特にレーザー切断用大型厚鋼板とその製造方法に関する。本発明の鋼板は、レーザー切断機を夜間無人運転に使用した場合にも切断トラブルを起こし難く、スケール密着性に優れている。
近年レーザー切断機の技術進歩は著しく、板厚が3.2mm以下の薄板のみならず、板厚が30mmまでの厚板の切断にもレーザー切断機が適用可能になり、厚板の切断にもレーザー切断機が普及している。
レーザー切断機には、安全上の問題が少なく、夜間無人運転が可能であるため、ガス切断機などには見られない利点を有する。レーザー切断機の夜間無人運転を行うには、夜間に十分な仕事量が確保されるように、大きな鋼板を用いた作業が望ましい。従って、大きな鋼板全体が高品質であることが要求される。
しかし、夜間無人運転には、切断トラブルが起きたときにトラブルを処理する作業員が居ないために、トラブルが放置されたり、或いはトラブル品が量産されてしまうという問題点がある。
大きなトラブルとしては切断がストップするというものや、小さなトラブルでは切断面が乱れるというものなどがある。切断面の乱れは、商品価値を損なう要因となり、切断面の手直しによるコスト増や、場合によっては不良品としてスクラップにせざるを得ない場合もあるので、看過できない。
トラブル要因は、切断機側の原因と鋼板側の原因の2つに大別される。切断機側の原因としては、さまざまな要因が考えられるが、夜間の電圧変動によるレーザー出力の変化、切断機の振動などがある。これらの要因を解消すべく種々の工夫がなされているが、完全に解消することは不可能である。
そこで、近年では、切断機側にレーザー出力の変動や振動などが多少あっても、切断条件の変動に対する余裕幅が大きく、夜間無人運転を可能にする鋼板が求められるようになってきた。
従来より、レーザー切断性には鋼板の表面性状の影響が大きいことが指摘されている。特に、鋼板表面のスケールの密着性を向上させることが効果的であるといわれてきた。
スケール密着性を向上させる方法として、例えば、特許文献1には、スケールの組成をFe(マグネタイト)主体とする方法が開示されている。しかし、スケールをマグネタイト主体とするだけではスケール密着性が不十分であるため、レーザー切断を安定して行うことは困難であり、また、スケールをマグネタイト化するための処理も鋼板の製造工程においては実施困難である。
特許文献2には、スケール密着性を向上させる別の方法として、圧延を850〜720℃の温度で終了した後、鋼板表裏面に水を噴射して鋼板を600〜700℃の温度まで冷却し、その後に空冷するという、圧延後の水冷を特徴とする方法が提案されている。この方法は、高圧水デスケーリングと低温圧延によって薄スケール化するとともに、冷却によってスケール組成をコントロールしようとするものである。しかし、この方法では、スケールは薄くなりすぎてしまう。後述するように、スケールが薄くなりすぎると、たとえ密着性が良くてもスケールによる異常酸化抑制効果は無くなってしまうため、レーザー切断性改善効果は小さい。
さらに別のスケール密着性の向上方法として、鋼板にCuやNi等の合金元素を添加するという方法も開示されている。例えば、特許文献3には、スケールの表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で3.0μm以下であり、かつCu+Ni+Crが0.3重量%以上含まれていることを特徴とするレーザー切断用鋼板が開示されている。しかし、スケールの表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で3.0μm以下になるように完璧に管理することは容易なことではなく、夜間の長時間無人運転における安定したレーザー切断用という高度な課題の解決のためにはさらなる改善方法が望まれる。
また、特許文献4には、0.02≦Al+Cu+Ni≦2.0重量%を満たすレーザー切断性に優れた厚鋼板が開示されている。確かに、CuやNiの含有量が増加するほどスケールの密着性は向上するが、レーザー切断性を大きく左右するスケールそれ自体についてはなんら規定がなく、夜間の長時間無人運転に必要な、安定したレーザー切断性を保証するものではない。なお、この公報には、表面のスケール層が地鉄との界面にAl含有層を有するとスケール密着性がさらに改善されることも開示されている。
同様に、スケールの密着性向上には界面にCr、Al、Cu、Niが濃化していれば良いとの観点から、特許文献5には、スケール層と地鉄との界面の地鉄側に、Cr、Al、Cu、Niの1種または2種以上が濃化した濃化層を有し、前記濃化層の厚さが1.0μm以上であるレーザー切断性に優れる厚鋼板が開示されている。しかしながら、これも、夜間の長時間無人運転に必要な安定したレーザー切断性を保証するものではない。
特許文献6には、質量%で表される鋼成分が、「Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14」と定義される炭素当量Ceqが0.40%以下となる鋼片または鋳片を、1150℃以下の温度に再加熱後、最終圧延パスの噛込温度が870〜980℃の温度で圧延を終了し、圧延後2分以内かつ720℃以上の温度から水冷を開始して、600℃以上の温度でかつ圧延開始温度から50℃以上冷却して水冷を停止することによって、スケール性状の良好な引張強さ400N/mm級厚鋼板を製造する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献6で開示されている広範な製造方法では、近年の顧客の厳しい切断品質への要求に応えるには十分ではない。特許文献6でのスケール密着性についての評価は、定性的評価または半定量評価に止まっているにすぎない。実際のレーザー切断においては、鋼板流通段階で鋼板を運搬するときにクレーンでの荷扱い時に鋼板表面にはさまざまな外力が加えられる場面がある。近年の厳しい切断品質要求に応えるためには、そのような場合においてもスケールの剥離が生じない強固なスケール密着性が要求される。
特開2003−221640号公報 特開平8−218119号公報 特開平8−3692号公報 特開平11−323478号公報 特開平11−343541号公報 特開平2004−204346号公報
本発明は、レーザー切断機を夜間無人運転に使用した場合にも切断トラブルを起こし難く、スケール密着性に優れているレーザー切断用厚鋼板とその製造方法を提供することを目的とする。特に、板厚が15〜35mmの厚鋼板、より具体的には、幅1m以上、長さ3m以上の大型の厚鋼板を想定して、レーザー切断機の夜間無人運転を可能にする、優れたレーザー切断性を安定して示すレーザー切断用の鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明にかかるレーザー切断用厚鋼板は次の(1)〜(6)に示すとおりである。また、本発明にかかるレーザー切断用厚鋼板の製造方法は、次の(7)に示すとおりである。
(1) 質量%で、C:0.02〜0.17%、Si:0.02〜0.4%、Mn:0.40〜1.60%、Cu:0.03%未満、Ni:0.05%以下、P:0.025%以下、S:0.015%以下、Al:0.08%以下及びN:0.009%以下を含有し、残部が鉄及び不純物からなる鋼組成を有し、表面に10〜60μmのスケール層を有する板厚15〜35mmの厚鋼板であって、曲げ歪を3%加えた時のスケール層の残存量が80%以上であることを特徴とするレーザー切断用厚鋼板。
(2) スケール層中のFeが50%以上であることを特徴とする、上記(1)のレーザー切断用厚鋼板。
(3) 質量%で、さらに、Cr:0.2%以下を含有することを特徴とする、上記(1)又は(2)のレーザー切断用厚鋼板。
(4) 質量%で、さらに、Mo:0.4%以下、Nb:0.04%以下、V:0.08%以下、Ti:0.08%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする、上記(1)(3)のいずれかのレーザー切断用厚鋼板。
(5) 質量%で、さらに、B:0.003%以下を含有することを特徴とする、上記(1)(4)のいずれかのレーザー切断用厚鋼板。
(6) 質量%で、さらに、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下、REM:0.005%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする、上記(1)(5)のいずれかのレーザー切断用厚鋼板。
(7) 下記工程により、鋼板の表面に10〜60μmのスケール層を形成することを特徴とする板厚15〜35mmのレーザー切断用厚鋼板の製造方法。
工程1 上記(1)〜(6)のいずれかの鋼組成を有するスラブを形成する工程、
工程2 スラブを1100〜1200℃に加熱する工程、
工程3 スラブ表面に形成されたスケールを除去する工程、
工程4 スラブの圧延を開始し、900〜950℃の仕上圧延温度で圧延を終了して、厚鋼板を形成する工程、
工程5 850〜950℃で厚鋼板の水冷を開始し、650℃以上で水冷を停止する工程、
工程6 600℃以上の温度で厚鋼板の平坦度の調整を開始する工程、
工程7 厚鋼板を570℃以上の温度から放冷する工程。


本発明によれば、通常の熱間圧延による鋼板の製造方法において、鋼組成の調整と、スラブの加熱温度、デスケーリング方法および圧延仕上げ温度を調節するだけで、レーザー切断機の夜間無人運転に必要な安定したレーザー切断性を備えた鋼板を提供することが可能になる。従って、本発明は、従来と同様の鋼板の製造工程を利用し、著しいコスト増を招かずに、レーザー切断機の夜間無人運転を可能にすることができ、それによって、造船、建築、産業機械、橋梁などに大量に使われる厚板の加工コストを大幅に低減するという経済効果をもたらすことができる。もちろん、レーザー切断機を有人運転した場合にも、トラブル発生の頻度が大幅に低減するという効果が得られる。
レーザー切断機を用いて鋼板を切断する際の不良原因のうち、鋼板側の不良原因は、主に鋼板表面に存在するスケールが関係している。即ち、レーザー切断の進行過程で、スケールが割れたり剥がれたりすると、切断ノッチなどの切断不良を起こす。
この原因は次の様に考えられる。厚鋼板のレーザー切断では、アシストガスとして酸素を用いる。すなわち、レーザー光が集中する鋼板上部はレーザーによって鋼板を溶融させ、鋼板下部は鋼板の酸化反応熱によって溶融切断している。ここで、鋼板表面のスケールは、上部での酸化反応抑制している。スケールが無いと、鋼板表面で酸化反応が始まり、溶融が断面方向では無く、表面方向に進行し、切断ノッチやガウジングといった切断不良につながる。したがって、スケールが割れたり剥がれたりした部分が存在すると、その部分で切断ノッチやガウジングを発生する。
スケールの割れや剥がれは、レーザー切断を行う直前まで発生しないことが要求される。すなわち、レーザー切断時に加わる熱応力による剥離だけではなく、鋼板流通段階で鋼板を運搬するときにクレーンでの荷扱い時に鋼板表面に外力が加えられた場面にも剥離しないことが必要である。また、平坦矯正等の外力によってスケールの割れが発生しないように、板の平坦度を向上させる必要がある。
スケールの割れや剥がれは、スケール厚やスケールの構造などのスケール特性で決まる。本発明によれば、クレームに規定するスケール層を有する厚鋼板によって、上記課題を解決することができる。
次に本発明に係る厚鋼板の特徴について述べる。ここで、成分含有量を表す%は、特に断らない限り質量%を意味する。
(A)Si含有量について
Si:0.02〜0.4%
スケール特性は、鋼板の組成に大きく依存する。鋼板の組成の中でも、特にSiはスケール特性に大きく影響する。Siを適正量含有する場合には、スケール層中に適度のFeSiO(ファイアライト)が生成するためである。本発明に係る厚鋼板においては、Si含有量を0.02〜0.4%と規定する。
Si含有量が多すぎると、圧延中のスケールが剥離しにくくなり、スケールをコントロールすることが難しくなる。よって、Si含有量の上限を0.4%とした。
一方、Si含有量が少なすぎると、スケール層中のFeSiO(ファイアライト)の生成が困難となる。FeSiO(ファイアライト)はSiが高温で酸化されると生成する酸化物である。FeSiOの共晶温度は1173℃であり、FeOの融点1369℃よりもはるかに低い。したがって、レーザー切断時に生成したスケール中にFeSiOが存在すれば、1173℃まで液相であるため、低温度域ので酸化物排出が容易になる。しかしながら、母材中のSi量が0.02%未満になるとFeSiOの生成量が少なくなり、酸化物排出が困難になるため、切断面の溶融が進み、「えぐれ」と呼ばれる現象が発生する。よって、Si含有量の下限を0.02%とした。
(B)スケール層の厚みについて
スケール層はレーザー切断時に鋼板の酸化を防止する役割を果たす。スケール層の厚みが薄いと酸化抑制効果を得られないため、スケール層の厚みは10μm以上必要である。一方、スケール層の厚みが10μmを超えると、外力が鋼板に加わった場合にスケール層が剥離しやすくなる。例えば、製造中や搬送中にクレーンで吊り上げた際などに外力が加わると、スケールは部分的に剥離する。スケールが剥離すると、酸化抑制効果を得られなくなり、その部分で異常燃焼が発生するため、切断不良が生じてしまう。
よって、スケール層の厚みは10〜60μmと規定した。
(C)厚鋼板の板厚について
厚鋼板の板厚(レーザー切断断面の厚み)は15〜35mmとする。板厚15mm未満の鋼板について本発明で規定するスケール層が形成されていたとしても、レーザー切断は可能である。よって、下限値は特に規定する必要はないが、レーザー切断用厚鋼板としての意義をもたせるために下限値を15mmと規定した。一方、レーザー切断設備の板厚が35mm超となると、現在のレーザー切断設備では切断できない。このため、上限値を35mmと規定した。
(D)厚鋼板に曲げ歪を3%加えた時のスケール層の残存量について
レーザー切断を行うとスケールに熱歪が生じる。この熱歪により切断前方(レーザー進行方向)のスケールに剥離が生じると、その剥離部ではスケールによる酸化抑制効果を得ることができなくなる。よって、レーザー切断時の熱歪に十分耐えうる密着性を有することが必要になる。
スケール層の熱膨張係数は約11.5×10−6である。レーザー切断箇所の近傍、すなわちレーザースポット近傍では、厚鋼板の溶融点以上に温度が上昇するため、計算上、約2%の歪みがスケール-鋼界面に加わることになる。このため、厚鋼板に2%の歪を加えた際に、剥離が起こらなければ、確実な酸化抑制効果を得ることができる。
しかし、スケール層中には微細な欠陥が含まれるため、スケール層が剥離しないということはない。
以上の点を考慮し、熱による歪みを機械的な曲げ歪で評価したところ、厚鋼板に曲げ歪を3%加えた時のスケール層の残存量が80%以上あれば、レーザー切断時のスケール層の剥離をほぼ抑制することができ、酸化抑制効果を得ることができることが判明した。
したがって、本発明では、厚鋼板に曲げ歪を3%加えた時のスケール層の残存量を80%以上とすることが必要である。
(E)スケール層中のFeの含有量について
上述のように、本発明の厚鋼板では、スケール層中にFeSiO(ファイアライト)を生成させるために、Si含有量を規定することが必要であるが、さらに、スケール層中にFeを50%以上含有させることが好ましい。スケール層中のFeを50%以上含有させると、厚鋼板とスケールの間の密着性をより向上させることができるので、鋼板流通段階のスケール剥離を防止することが可能となるからである。
具体的に密着性が向上する理由については、以下のとおりである。すなわち、本発明に係る厚鋼板の製造工程中には常にスケールが生成する。スケール層はいわゆる酸化物層であり、上述のFeSiO(ファイアライト)以外にも、FeOなどが生成する。FeOは高温で安定であるが、570℃以下となると、FeとFeに分解される。この分解は温度が高いほど進行するため、実際の製造では、厚鋼板を急冷するとスケール中にFeOが多く残留し、厚鋼板を徐冷(放冷)するとFeOの分解が進む。このとき、分解により生成したスケール層中のFeは厚鋼板の母材中のFeと結びつく。言い換えれば、スケール層中のFeは船のアンカー(錨)のような役割を果たし、母材との密着性を向上させることができる。
(F)厚鋼板の鋼組成について
次に、本発明に係る厚鋼板の好ましい鋼組成について説明する。ここで、鋼組成に関する%は、全て質量%である。
C:C:0.02〜0.17%
Cは、強度元素のため、0.02%以上を含有させるのが好ましい。ただし、0.17%を超えると鋼板の靱性を劣化させるので、0.17%を上限とするのが好ましい。なお、Cは安価な元素であり、切断時に酸素と鋼中のCとの反応熱による切断性の向上効果も期待できるので、C含有量は0.05%以上とするのが好ましい。
Si:0.02〜0.4%
Siは、前述したとおり、スケール層中のFeSiO(ファイアライト)を生成させるために含有させる。Siの上限および下限については前述したとおりである。なお、Si含有量は、好ましくは0.05〜0.2%である。
Mn:0.40〜1.60%
Mnはレーザー切断性を大きく劣化させずにスケール密着性を向上させる元素である。ただし、1.60%を超えると溶接性を劣化させるため、1.60%を上限とするのが好ましい。ただし、スケール密着性を確実に得るためには、0.40%以上とするのが好ましい。なお、Mn含有量は、好ましくは0.50%以上である。
Cu:0.03%未満
Cuは、不純物として不可避的に存在する。Cuの含有量が多いと、Cuチェッキングを生成する懸念がある。このため、その含有量を一定量以下に抑えるのが好ましい。したがって、Cu含有量を0.03%未満とするのが好ましい。
Ni:0.05%以下
Niも、不純物として不可避的に存在する。0.05%以下であれば、鋳片の品位に悪影響を及ぼさない。したがって、Ni含有量を0.05%以下とするのが好ましい。
P:0.025%以下
Pは、不純物として不可避的に存在する。レーザー切断性には殆ど影響を及ぼさないが、材質面からはその含有量が低いほど好ましい。このため、P含有量を0.025%以下とするのが好ましい。
S:0.015%以下
Sは、Pと同様に、不純物として不可避的に存在する。レーザー切断性には殆ど影響を及ぼさないが、材質面からはその含有量が低いほど好ましい。このため、S含有量を0.015%以下とするのが好ましい。
Al:0.08%以下
Alは、脱酸のために必要な元素であり、不純物として不可避的に存在する。その含有量が低いほど好ましい。このため、Al含有量を0.08%以下とするのが好ましい。
N:0.009%以下
Nは、不純物として不可避的に存在するが、0.009%以下であれば、溶接性や鋳片品位に悪影響を及ぼさない。したがって、N含有量を0.009%以下とするのが好ましい。
以上に述べた鋼板成分の範囲でレーザー切断性に優れた鋼板を製造することが可能であるが、特性を損なわずに、更に高い強度を得るため、以下の元素を含有させることができる。
Cr:0.2%以下
Crを含有させると、鋼板の強度を高めることが可能である。しかし、Cr酸化物が形成され、その融点が高いため、湯流れ性を悪化させるので、切断表面の粗さの悪化および切断ノッチ形成につながるおそれがある。このため、そのCr含有量の上限を0.2%に抑えるのが好ましい。
Mo:0.4%以下
Moを含有させると、鋼板の強度を高めることが可能である。Moは固溶強化により強度を高めるが、この効果を得るためには、0.1%以上含有させることが好ましい。しかし、多量の添加は、コスト面で不利である上、溶接性も害するおそれがあるため、Moの含有量の上限を0.4%とするのが好ましい。
Nb:0.04%以下
Nbを含有させると、鋼板の強度を高めることが可能である。Nbは析出強化により強度を高めるが、この効果を得るためには0.005%以上含有させることが好ましい。しかし、多量に含有させると、コスト面で不利である上、溶接部の靱性を劣化させるおそれがあるため、Nb含有量の上限を0.04%とするのが好ましい。
V:0.08%以下
Vを含有させると、Nbと同様に、鋼板の強度を高めることが可能である。Vは析出強化により強度を高めるが、この効果を得るためにはVで0.02%以上含有させることが好ましい。しかし、多量に含有させると、コスト面で不利である上、溶接部の靱性を劣化させるおそれがあるため、Vの含有量の上限を0.08%とするのが好ましい。
Ti:0.08%以下
Tiを含有させると、NbやVと同様に、鋼板の強度を高めることが可能である。Tiは析出強化により強度を高めるが、この効果を得るためにはTiで0.005%以上含有させることが好ましい。しかし、多量に含有させると、コスト面で不利である上、溶接部の靱性を劣化させるおそれがあるため、Tiの含有量の上限を0.08%とするのが好ましい。
B:0.003%以下
Bを含有させると、焼入れ性を高めることが可能である。この効果を得るためには、0.0005%以上含有させることが好ましい。しかし、0.003%を超えて含有させると溶接性を劣化させるおそれがあるため、Bの含有量の上限を0.003%とするのが好ましい。
Ca:0.005%以下
Caは、溶接部HAZ靱性を改善するため、必要に応じて含有させることができる。この効果を得るためには、0.001%以上含有させることが好ましい。しかし、Caの含有量が0.005%を超えるとレーザー切断性が損なわれるおそれがあるため、Caの含有量を0.005%以下とするのが好ましい。
Mg:0.005%以下
Mgは、溶接部HAZ靱性を改善するため、必要に応じて含有させることができる。この効果を得るためには、0.001%以上含有させることが好ましい。しかし、Mgの含有量が0.005%を超えるとレーザー切断性が損なわれるおそれがあるため、Mgの含有量を0.005%以下とするのが好ましい。
REM:0.005%以下
REMは、溶接部HAZ靱性を改善するため、必要に応じて含有させることができる。この効果を得るためには、0.001%以上含有させることが好ましい。しかし、REMの含有量が0.005%を超えるとレーザー切断性が損なわれるおそれがあるため、REMの含有量を0.005%以下とするのが好ましい。
なお、本発明でいうREMは、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を指す。
(G)厚鋼板の製造方法について
以上のようなスケール層を有する厚鋼板は、下記の工程を経ることで製造することができる。
工程1 質量%でSi:0.02〜0.4%を含有するスラブを形成する工程、
工程2 スラブを1100〜1200℃に加熱する工程、
工程3 スラブ表面に形成されたスケールを除去する工程、
工程4 スラブの圧延を開始し、900〜950℃の仕上圧延温度で圧延を終了して、厚鋼板を形成する工程、
工程5 850〜950℃で厚鋼板の水冷を開始し、650℃以上で水冷を停止する工程、
工程6 600℃以上の温度で厚鋼板の平坦度の調整を開始する工程、
工程7 厚鋼板を570℃以上の温度から放冷する工程。
ただし、前述したスケール層が形成できれば、上記の方法に限らず、他の方法によって、本発明に係る厚鋼板を製造することも可能である。
以下、各工程について詳述する。
工程1(質量%でSi:0.02〜0.4%を含有するスラブを形成する工程)について
工程1は、所定の組成を有するスラブを準備する工程である。これを以降の工程により加工することによってスケール層を有する厚鋼板を製造できる。なお、スラブは、具体的には連続鋳造法で製造すればよいが、必ずしもこの方法で製造する必要はない。
工程2(スラブを1100〜1200℃に加熱する工程)について
工程2は、スラブを加熱する工程である。加熱雰囲気は、一般に燃焼排ガス雰囲気であるため、CO、HO、O及びNの混合雰囲気であるが、鋼が酸化する雰囲気であればよい。スラブの加熱は連続熱処理炉で行ってもよいし、バッチ炉で行ってもよい。いずれの炉を使用するにしても、スラブ全体がほぼ均一になるように1100〜1200℃に加熱する。工程4において仕上圧延温度を900〜950℃とするために、工程3および工程4を経ることを考慮すると、加熱温度の下限は1100℃とすることが必要である。また、1200℃を超えて加熱すると、FeSiOが溶融することにより、圧延開始前のスケール剥離性が悪化しスケール押込み疵を発生させる原因となるので、加熱温度の上限を1200℃とする。
工程3(スラブ表面に形成されたスケールを除去する工程)について
工程3は、スラブは加熱されたことにより、その表面に形成されたスケールを除去する工程である。本発明は厚鋼板にスケール層が形成されたものであるが、この時点で、一度スケールは除去しておく必要がある。これは、スラブ段階でのスケールは非常に厚いため、この段階でのスケールを残しておくとスケールの密着性に悪影響を及ぼしたり、スケール押込み疵を発生させ鋼板の品質を損ねたりするためである。
スケールの除去は、具体的には、スラブに高圧水を噴射しその圧力によりスケールを剥離させることにより行うことができる。このときの水圧は、100kg/cm以上とすることが望ましい。この際、完全にスラブ表面からスケールを除去する必要はなく、概ね除去されていればよい。
また、スケールの除去には水を使用するが、過度に水を使用すると、スラブの冷却が進み過ぎるので、以降の工程における温度条件を満足し得なくなる。このため、スケールの除去は手際よく行うことが必要である。
工程4(スラブの圧延を開始し、900〜950℃の仕上圧延温度で圧延を終了して、厚鋼板を形成する工程)について
工程4はスラブを圧延し、板厚15〜35mmの厚鋼板を得る工程である。スラブの圧延は複数回行われ、スラブの組成や求める厚鋼板の厚みにもよるが、通常、5〜10回程度の圧延を一のスラブについて加える。
このとき、最終の圧延、すなわち仕上圧延をする際には、スラブの温度を900〜950℃とし、圧延を終了させることが必要である。900℃以上の温度で仕上げ圧延を行うと、スケール層の延性が高いので、スケールの割れを防止することができる。一方、950℃を超える温度で仕上圧延を行うと、スケールの成長が大きすぎて、スケール厚が過大となって密着性を害するため、好ましくない。
実際の圧延に当たっては、圧延と圧延の間の待ち時間を極力少なくすることが好ましい。具体的には、30秒以下とすることが好ましい。このようにすれば、スケール成長を抑制することができ、スケール層と厚鋼板(母材)の界面に適切な粗さが形成でき、スケール層と厚鋼板の密着性の向上が図れる。
本発明では、最終的に鋼板表面に10〜60μmのスケール層が形成されればよいが、スラブの圧延中もスラブ自体は高温下にあるため、常にスケールの成長が進行する。したがって、スケール層の成長が60μm以上となる場合もある。このため、圧延と圧延の間でスケール除去を行ってもよい。ただし、仕上圧延前の1〜4パス前(1〜4回前の圧延)から仕上圧延まではスケール除去を行わないことが好ましい。仕上圧延前にスケール除去を行わないと、スケールを厚鋼板(母材)に食い込ませることができるので、スケールと厚鋼板(母材)の密着性を向上させることができる。
このようにして密着性を向上させれば、製造中におけるスケールの剥離を防止することができる。
工程5(850〜950℃で厚鋼板の水冷を開始し、650℃以上で水冷を停止する工程)について
工程5は、水冷工程である。工程4の仕上圧延後、すぐに水冷を開始することで、仕上圧延後のスケール成長を抑制し、スケール層の厚みを制御することができる。
水冷開始温度が850℃未満であると、スケールの成長が過大になり、レーザー切断用鋼としては好ましくない厚鋼板となる。一方、水冷開始温度の上限は工程4の仕上圧延温度の上限との関係で950℃となる。
また、水冷は、厚鋼板の温度が650℃以上で停止する必要がある。650℃未満の温度で水冷を停止すると、スケール層の延性が確保できず、後の工程6において、平坦度を調整する際に、スケールが破損しやすくなる。
工程6(600℃以上で厚鋼板の平坦度の調整を開始する工程)について
工程6は、いわゆるレベラーにより平坦度を調整する工程である。レーザー光は、レンズにより集光され、鋼板が局部的に溶融温度以上の高温になることにより切断が行われる。鋼板の平坦度が悪いと、鋼板の切断面とレンズ焦点の間にズレが生じ、切断面の乱れの原因となるうえ、著しい場合には切断がストップする。そこで、鋼板の切断面とレンズ焦点のズレが生じないように鋼板の平坦度を確保する必要がある。このとき、局部歪みで1m当たり2mm以内となるように矯正することが好ましい。
レベラーにて平坦度を調整するときにスケールが破損しないようにすることが好ましい。しかし、たとえ破損しても、厚鋼板の温度が600℃以上であれば、FeOの生成温度領域であるから、新たなスケールが生成するので破損が修復される。
工程7(厚鋼板を570℃以上の温度から放冷する工程)について
工程7は、最終的に放冷により厚鋼板を冷却する工程である。前述のように、スケール層中のFeOは、570℃以下になるとFeとFeに分解する。放冷すれば、FeOの分解は一層進むため、Feのアンカー効果により、スケール層と母材との密着性は向上する。したがって、570℃以上の温度から厚鋼板を放冷することが好ましい。
表1に示す鋼組成を有する各スラブ[サイズ:厚さ(220〜300mm)×幅(1200〜1800mm)×長さ(1200〜2800mm)]を、連続鋳造により形成(工程1)し、コークス炉排ガス燃焼雰囲気の加熱炉において加熱(工程2)した。
Figure 0004702254
本実施例では、条件を単純にするため、スラブの加熱温度は、表2に示したスラブ加熱時の表面最高温度と同じ温度に設定した。加熱時間は、一律3時間とした。
Figure 0004702254
加熱炉から抽出されたスラブを、圧力15MPaの高圧水の噴射によりデスケーリングした(工程3)。高圧水のヘッダーを圧延ライン上に2列設置し、スラブの通板速度を90mpmとした。
デスケーリングしたスラブは直ちに幅2500〜3200mm、長さ10〜25m、厚み25mmの鋼板になるように熱間圧延した(工程4)。熱間圧延の仕上げ温度(仕上圧延温度)は表2に示す通りであった。
この後、加速冷却装置により鋼板の水冷を行った(工程5)。水冷開始温度および水冷終了温度は表2に示すとおりであった。なお、このとき、熱間圧延終了から、水冷開始までの時間を20〜85秒までの間で調整し、鋼板上に形成されるスケールの厚みを調整した。ここで、熱間圧延終了から水冷開始までの時間が長いほどスケールの厚みは大きくなる。
レベラーによりスケールが形成された鋼板の平坦度の調整を開始した(工程6)。このときの温度(平坦度調整開始温度)は表2に示すとおりであった。
最後に、鋼板を放冷した(工程7)。放冷開始温度、すなわち、工程6における平坦度の調整工程の終了温度は、表2に示すとおりである。
得られた鋼板を鋸切断した後研磨し、その断面からスケール層の厚みを電子顕微鏡観察により測定した。電子顕微鏡観察は、一つのサンプルに対し無作為に3個所測定を行い、それらの平均をスケール厚とした。
スケール残存量は、鋼板から幅20mmの長尺のサンプルを切り出した後、表面を残して厚み2mmまで減厚してサンプルを作製し、曲げ歪を3%加えることにより測定した。具体的には、上記サンプルのスケール上には長さ15mm、幅5mmのビニールテープを貼り付けた上で、サンプルの一端を固定し、半径32mmの円筒の表面にサンプルを押し付けて、3%の曲げ歪を加えた。ここで、曲げ歪は下記(1)式で与えられるため、このようにサンプルを曲げることにより3%の曲げ歪を加えることができる。
曲げ歪ε={(r+t)/(r+t/2)}−1 ・・・ (1)式
ここで、r:曲げ半径(32mm)、
t:サンプル厚み(2mm)
3%の曲げ歪を加えた後は、ビニールテープをサンプルより剥がし、画像解析によりテープに付着したスケールの面積を求めることで、サンプル上に残存するスケール層の残存量を逆算した。
各鋼板のレーザー切断性については、次の要領で評価した。
レーザー切断は出力6kwのCOガスレーザー切断機を用い、鋼板にピアシングで穴を開けた後、50mm角のサンプルを切り出す方法で行った。レーザー切断の良否判定は、切断可否だけでなく、切断面の性状も含めて評価した。すなわち、切断途中で切断機が止まる場合、または、切断が完了してもサンプルを木槌で叩くぐらいでは抜け落ちない場合は、×(バーニング)の評価とした。また、切断はできても、部分的に異常溶融し、切断面の形状が乱れた場合は、×(ノッチ)と評価した。また、異常溶融した部分が、明らかに表面のスケールが剥離した部分から発生している場合には、×(スケール剥離ノッチ)と評価した。いずれの問題も発生しなかった場合には良好であり、○と評価した。以上の結果を表3に示す。
Figure 0004702254
表3からわかるように、適量のSiを含有し本発明の製造方法に従って、製造した厚鋼板は、曲げ歪を3%加えた時のスケール層の残存量が80%以上となり、いずれもレーザー切断性が良好となった。したがって、これらの厚鋼板(供試鋼No.1〜18)は、レーザー切断機の夜間無人運転が可能となる。
一方、供試鋼No.19は、Si含有量が0.4%を超えているため、圧延中のスケール制御が困難となり、不均一なスケールが生成した。これにより切断が不安定となり、×(スケール剥離ノッチ)に至った。
供試鋼No.20は、Si含有量が0.02%未満であったため、×(バーニング)に至った。これは、酸化物の排出が不良となり、えぐれが発生したためであると推察される。
供試鋼No.21は、熱間圧延終了から、水冷開始までの時間を85秒と長くしたため、厚鋼板に形成されたスケール厚が、70μmと厚くなった。また、スケール残存量も15%となり、スケールの剥離が激しかった。このため、レーザー切断をすると、×(ノッチ)に至った。
供試鋼No.22は、圧延後の水冷開始温度を850℃未満にしたため、スケールが成長し、スケール厚が67μmと厚くなった。また、スケール残存量も少なかった。このため、レーザー切断をすると、×(ノッチ)に至った。
供試鋼No.23は、水冷終了温度を650℃未満にしたため、結果として、平坦度調整開始温度および放冷開始温度も本発明で規定する温度以下となった。この結果、スケール残存量も少なく、さらにレーザー切断により、×(バーニング)に至った。
供試鋼No.24は、水冷後の平坦度調整を600℃未満で行ったため、放冷開始温度も本発明で規定する温度以下となった。この結果、スケール残存量も少なく、さらにレーザー切断により、×(バーニング)に至った。
供試鋼No.25は、平坦調整後、放冷を570℃未満から開始したため、スケール残存量も少なく、さらにレーザー切断により、×(ノッチ)に至った。
本発明によれば、通常の熱間圧延による鋼板の製造方法において、鋼組成の調整と、スラブの加熱温度、デスケーリング方法および圧延仕上げ温度を調節するだけで、レーザー切断機の夜間無人運転に必要な安定したレーザー切断性を備えた鋼板を提供することが可能になる。従って、本発明は、従来と同様の鋼板の製造工程を利用し、著しいコスト増を招かずに、レーザー切断機の夜間無人運転を可能にすることができ、それによって、造船、建築、産業機械、橋梁などに大量に使われる厚板の加工コストを大幅に低減するという経済効果をもたらすことができる。もちろん、レーザー切断機を有人運転した場合にも、トラブル発生の頻度が大幅に低減するという効果が得られる。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.02〜0.17%、Si:0.02〜0.4%、Mn:0.40〜1.60%、Cu:0.03%未満、Ni:0.05%以下、P:0.025%以下、S:0.015%以下、Al:0.08%以下及びN:0.009%以下を含有し、残部が鉄及び不純物からなる鋼組成を有し、表面に10〜60μmのスケール層を有する板厚15〜35mmの厚鋼板であって、曲げ歪を3%加えた時のスケール層の残存量が80%以上であることを特徴とするレーザー切断用厚鋼板。
  2. スケール層中のFeが50%以上であることを特徴とする、請求項に記載のレーザー切断用厚鋼板。
  3. 質量%で、さらに、Cr:0.2%以下を含有することを特徴とする、請求項又はに記載のレーザー切断用厚鋼板。
  4. 質量%で、さらに、Mo:0.4%以下、Nb:0.04%以下、V:0.08%以下、Ti:0.08%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項からまでのいずれかに記載のレーザー切断用厚鋼板。
  5. 質量%で、さらに、B:0.003%以下を含有することを特徴とする請求項からまでのいずれかに記載のレーザー切断用厚鋼板。
  6. 質量%で、さらに、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下、REM:0.005%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項からまでのいずれかに記載のレーザー切断用厚鋼板。
  7. 下記工程により、鋼板の表面に10〜60μmのスケール層を形成することを特徴とする板厚15〜35mmのレーザー切断用厚鋼板の製造方法。
    工程1 請求項からまでのいずれかに記載の鋼組成を有するスラブを形成する工程、
    工程2 スラブを1100〜1200℃に加熱する工程、
    工程3 スラブ表面に形成されたスケールを除去する工程、
    工程4 スラブの圧延を開始し、900〜950℃の仕上圧延温度で圧延を終了して、厚鋼板を形成する工程、
    工程5 850〜950℃で厚鋼板の水冷を開始し、650℃以上で水冷を停止する工程、
    工程6 600℃以上の温度で厚鋼板の平坦度の調整を開始する工程、
    工程7 厚鋼板を570℃以上の温度から放冷する工程。
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