JP5958114B2 - レーザ切断性に優れた厚鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶接構造物、海洋構造物、ラインパイプ、造船、建設機械、橋梁、建築等の部材用として好適な厚鋼板に係り、とくにレーザ切断性の向上に関する。なお、ここでいう「厚鋼板」とは板厚6mm以上の鋼板をいうものとする。
従来から、厚鋼板の切断はガス切断が主流であった。しかし、近年のレーザ加工技術の発達に伴い、高出力のレーザ加工(切断)機が開発され、厚鋼板の切断用として利用されるようになってきた。レーザによる切断は、従来のガス切断に比べ、切断面精度に優れ、切断幅、熱影響部が小さく、さらに自動化、無人化が可能であるといった利点を有する。しかしながら、厚鋼板をレーザ切断するに際しては、レーザ出力、レンズ焦点、切断速度など切断条件の適正範囲が狭く、ガス切断に比べ、切断安定性が低いという問題を有している。さらに、厚鋼板をレーザ切断するにあたっては、切断性が厚鋼板の表面性状、とくにスケール性状に大きく影響されることが明らかとなってきている。
例えば、特許文献1、特許文献2には、レーザ切断性に優れた厚鋼板の製造方法が記載されている。
特許文献1に記載された技術は、重量%で、C:0.03〜0.06%、Si:0.05〜0.3%、Mn:0.5〜1.5%(但し、Si+Mn=0.8〜1.5%の条件を満足する)、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:0.03%以下、Ni:0.05〜0.40%、Cr:0.05〜0.6%、N:0.006%以下を含有する鋼をスラブとした後、加熱炉で950〜1250℃で加熱し、圧延中に100kg/mm2(98MPa)以上の圧力で鋼板表面に水を噴射してデスケーリングを3回以上実施し、圧延を750〜850℃で終了し常温まで空冷して鋼板表面の光沢を15%以下とするレーザ切断性に優れた厚鋼板の製造方法である。これにより、鋼板表面の光沢が低減して、鋼板表面のレーザ吸収率が上がり、レーザ切断性が向上するとしている。
また、特許文献2に記載された技術は、重量%で、C:0.06〜0.25%、Si:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜1.5%(但し、Si+Mn=1.24〜1.7%の条件を満足する)、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:0.03%以下、N:0.006%以下を含有する鋼をスラブとした後、加熱炉で950〜1250℃で加熱し、圧延中に100kg/mm2(98MPa)以上の圧力で鋼板表面に水を噴射してデスケーリングを3回以上実施し、圧延を750〜850℃で終了し常温まで空冷して、鋼板表面の光沢を15%以下とするレーザ切断性に優れた厚鋼板の製造方法である。これにより、鋼板表面の光沢が低減して、鋼板表面のレーザ吸収率が上がり、レーザ切断性が向上するとしている。
また、特許文献3には、素材鋼のSi含有量を0.5重量%以下とし、仕上圧延の最終3パスにおける合計非ロール時間を10秒以上確保した熱間圧延を施し、850℃以上の温度で圧延を仕上げ、平均スケール厚s(μm)を熱間圧延仕上温度Tf(℃)との関係で、s≦(Tf−790)/2 の範囲に制御し、表面に付着するスケールの平均色度a*が「a*<1」である、レーザ切断性に優れた鋼板の製造方法が記載されている。これにより、鋼板表面でのヘマタイトの生成が抑制され、黒色化されたスケールが生成してレーザ吸収率が向上し、切断性が向上するとしている。
また、特許文献4にはレーザガス切断用鋼材が、特許文献5にはレーザ切断用鋼板が、特許文献6にはレーザ切断用鋼板がそれぞれ記載されている。
特許文献4に記載された鋼材は、重量%で、C:0.03〜0.25%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.05〜1.60%、Mo:0.005〜0.1%を含み、10〜60μmの厚みのスケール層を有するレーザガス切断用鋼材である。特許文献4に記載された技術では、微量Moを含有させ、スケール厚さを適正化することにより、レーザ切断性が顕著に改善されるとしている。
特許文献5に記載された鋼板は、好ましくはCu:0.10〜0.30重量%を含み、スケールの表面粗さがRaで3.0μm以下であるレーザ切断用鋼板である。これにより、レーザを表面に照射した場合に乱反射の度合が少なくなり、レーザ切断性が向上するとしている。また、微量のCuを含有することにより、さびにくく安定した表面スケールが生成され、スケールの定着性が向上するとしている。
特許文献6に記載された鋼板は、(Cu+Ni+Cr)を0.3重量%以上含み、スケールの表面粗さがRaで3.0μm以下であるレーザ切断用鋼板である。これにより、レーザを表面に照射した場合に乱反射の度合が少なくなり、また高密度の表面スケールが得られ、スケールの定着性が向上するとしている。
また、特許文献7、特許文献8には、レーザ切断性が優れた厚鋼板の製造方法が記載されている。
特許文献7に記載された技術では、重量%で、C:0.06〜0.3%、Si:0.5%以下、Mn:0.4〜1.5%、Al:0.05%以下、O:0.0035%以下、N:0.006%以下を含有する鋼を連続鋳造法でスラブとし、その後900℃以上1100℃以下のスラブ加熱温度Tsに再加熱後、圧延開始時にデスケーリングによりスケールを排除し、圧延をスラブ加熱温度Tsとの関係で(1.25Ts−440℃)±20℃の温度で終了し、放冷または水冷して鋼板のスケール中の空孔(ボイド)率とスケールと地鉄界面との剥離割合の合計が15%以下で、スケール厚みが16〜36μmとするレーザ切断が優れた厚鋼板の製造方法である。このように圧延の仕上温度を調整することにより、スケール中の空孔(ボイド)率とスケールと地鉄界面との剥離割合とが低減し、鋼板のレーザ切断性が向上するとしている。
特許文献8に記載された技術では、重量%で、C:0.06〜0.30%、Si:0.50%以下、Mn:0.4〜1.5%、Al:0.05%以下、O:0.0035%以下、N:0.006%以下を含有する鋼を連続鋳造法でスラブとし、その後1100℃超〜1200℃の温度で再加熱後、圧延開始時に高圧水の噴射により鋼板のスケールを排除し、鋼板の温度を950℃以下とし、圧延を920±25℃の温度で終了し、水冷し650〜700℃で水冷を停止し、鋼板のスケール中の空孔(ボイド)率とスケールと地鉄界面との剥離割合の合計が15%以下とするレーザ切断が優れた厚鋼板の製造方法である。このように圧延の仕上温度を調整することにより、スケール中の空孔(ボイド)率とスケールと地鉄界面との剥離割合とが低減し、鋼板のレーザ切断性が向上するとしている。
第3218166号公報 特許第3262971号公報 特許第3760742号公報 特開平09−279305号公報 特開平07−155975号公報 特開平08−3692号公報 特許第4205933号公報 特許第4299709号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載された技術では、鋼板冷却方法が空冷に限定されているため、鋼板の製造工程で大きな制約があるという問題がある。また、特許文献1、2に記載された技術では、表面光沢を低減するだけであり、レーザ切断性の向上が不十分であるという問題が残されていた。
また、特許文献3に記載された技術では、仕上圧延の最終3パスにおける合計非ロール時間が長くする必要があり、生産効率が低下するうえ、仕上圧延の温度範囲が狭い場合には、適用できないという問題がある。さらに、所望の優れたレーザ切断性を確保するためには、色度a*の調整のみでは不十分であるという問題がある。
また、特許文献4に記載された技術では、高価なMoを含有する必要があり、製造コストを上昇させるという問題に加えて、スケール厚さを調整するため、熱間圧延の圧下率や、冷却を適正範囲に調整する必要があり、製造工程における制約が多いという問題がある。
また、特許文献5,6に記載された技術では、高価なCu、Ni、Cr等の含有を必要とし、材料コストが上昇するという問題に加えて、スケール表面の粗さを低減するために、頻繁な圧延ロールの交換を必要とし、生産性の低下を招くという問題があった。
また、特許文献7,8に記載された技術では、複雑な条件で仕上圧延を施す必要があり、生産性の低下を招くという問題がある。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、レーザ切断性に優れた厚鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、厚鋼板のレーザ切断性に及ぼす各種要因について鋭意研究した。その結果、本発明者らは、まず、照射されたレーザビームの吸収率が、厚鋼板のレーザ切断性を決定する重要な要因であると考えた。
レーザビームは、可視光と同様の特性を持っており、鋼板表面に照射されたレーザビームは鋼板表面で反射されるものと、吸収されるものに分かれる。このため、照射されたレーザビームのうち、鋼板表面で反射されるレーザビームの割合(レーザビーム反射率)を低減すること、すなわち、吸収されるレーザビームの割合(レーザビーム吸収率)を高め、効率よく熱エネルギーとして吸収することが、厚鋼板のレーザ切断性を向上させるために肝要となる。
鋼板表面でのレーザビーム反射率は、厚鋼板表面に生成されるスケールの光沢度を低減することにより、ある程度低減することができる。しかしそれだけではレーザ切断性の顕著な向上は得られない。というのは、スケール表面の光沢度だけを低減しても、レーザ反射率の低減は少ないためである。
そこで、更なる検討の結果、レーザ切断性の向上のためには、厚鋼板表面に生成されるスケールの光沢度を低減することに加えてさらに、スケールの色調を黒色化することが必要であることを知見した。すなわち、厚鋼板表面に生成されるスケールを、JIS Z 8741に規定される鏡面光沢度Gs(60°)が15%以下にしたうえ、さらにJIS Z 8729に規定される明度L*を40以下に低減して黒色化することが、レーザ切断性の顕著な向上のために肝要であることを見出した。これにより、レーザビーム吸収率が向上して、照射されたレーザービームが持つエネルギーを効率良く熱エネルギーとして吸収でき、レーザ切断性が顕著に向上する。
また、本発明者らは、更なる検討により、厚鋼板のレーザ切断性の向上には、厚鋼板表面に形成されるスケール層の密着性も重要な要因となることを見出した。というのは、レーザ切断時には鋼板表面に大きな熱応力が発生するため、この熱応力によりスケール層が鋼板表面から剥離すると、レーザー切断性の劣る地鉄表面が露出し、レーザ切断時の切断安定性が著しく低下する。そこで、レーザー切断時の切断安定性を確保するには、発生する熱応力によるスケール剥離を防止できる高いスケール密着性を保持するスケール層を形成することが肝要となる。
そして本発明者らは、高いスケール密着性を確保するためには、スケール厚の低減がまず必要であり、スケール層を薄くできれば、スケール成長時に厚鋼板表面で生じる脱ガス反応に起因した空孔や、スケール内部に生じる応力に起因した割れ、剥離等のスケール層中の欠陥を低減できることに思い至った。
そこで、本発明者らは、仕上げ圧延後に実施するデスケーリングを、高衝突圧のデスケーリングとすることに着目した。このような高衝突圧のデスケーリングによれば、加熱、圧延中に生成した空孔や、スケール層と地鉄との界面が剥離するといった欠陥を多数含む厚いスケールを、冷却直前に完全に除去でき、その後の冷却で欠陥の少ない密着性の優れた薄スケールが簡便に得られるという利点があることを知見した。
また、厚鋼板のC含有量が0.3質量%を超えて高い場合には、スケール成長時に鋼板表面の脱炭によるCO、CO2等のガスの発生が多くなり、スケール層中の空孔が増加する。このため、薄スケール化した場合においてもスケール密着性が低下する。そこで、本発明者らは、スケール厚の低減に加えてさらに、厚鋼板のC含有量を0.3質量%以下に限定する必要があることに想到した。
また、本発明者らの更なる検討により、厚鋼板表面に形成されるスケール層の密着性は、上記した事項以外に、スケール層と地鉄との界面の粗さ(凹凸)によっても影響され、更なるスケール層の密着性を向上させるためには、スケール層と地鉄との界面を、JIS B 0601−2001で規定される算術平均粗さRaで2.5μm以上の粗さとすることが必要となることを知見した。
一般的に、Si、Cu、Niといったスケールの不均一成長を助長する元素を含有する鋼板の表面に生成するスケール層では、スケールと地鉄との界面は、圧延が加えられたスケール層表面に比べて凹凸の多い、粗い形状となる。そこで、本発明者らは、厚鋼板に、Si、Cu、Niを含有させ、仕上げ圧延後、高衝突圧のデスケーリングを施すことを思い付いた。高衝突圧のデスケーリングを施すことにより、加熱、圧延中に生成した厚いスケールが除去されスケールと地鉄との界面が露出し、その後の冷却で、比較的粗い形状を保ったまま、新らたにスケールが生成し、表面粗さが粗いスケール層が薄く形成されることになる。また、表面粗さが粗いスケール層を形成することにより、スケール層表面の光沢度は容易に低減できるという利点もある。
しかし、スケール層表面の光沢度を低減したのみでは、レーザ切断性を顕著に向上することはできない。そこで、スケール層の組織を調整して、スケール層表面の明度を低くする必要があることに思い至った。明度の低いスケール層とするためには、圧延後の冷却において、酸化鉄のうち最も黒色度の高いFe3O4に変態する温度域での保持時間を長くする必要のあることを思い付いた。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)表面にスケール層を有し、該スケール層の平均厚さが15μm以下であり、該スケール層表面がJIS Z 8741に規定される60°鏡面光沢度Gs(60°)で15%以下で、JIS Z 8729に規定される明度L*が40以下であり、かつ該スケール層と地鉄との界面が、JIS B 0601−2001で規定される算術平均粗さRaで2.5μm以上である粗さを有する厚鋼板の製造方法であって、
鋼素材を加熱し、熱間圧延を施して厚鋼板とするに当たり、前記鋼素材が、質量%でC:0.3%以下を含み、さらにSi:0.05〜2.0%、Ni:0.02〜2.0%、Cu:0.03〜2.0%を、次(1)式
0.10%≦Si+Ni+Cu≦3.00% ‥‥(1)
ここで、Si、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%)
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、前記熱間圧延を終了した後、前記厚鋼板の表面温度で700〜950℃の範囲で、衝突圧が1MPa以上となる高圧水によるデスケーリングを行い、ついで、前記厚鋼板の表面温度で300〜650℃の温度範囲で500s以上滞留するように、室温まで冷却することを特徴とするレーザー切断性に優れた厚鋼板の製造方法。
(2)表面にスケール層を有し、該スケール層の平均厚さが15μm以下であり、該スケール層表面がJIS Z 8741に規定される60°鏡面光沢度Gs(60°)で15%以下で、JIS Z 8729に規定される明度L*が40以下であり、かつ該スケール層と地鉄との界面が、JIS B 0601−2001で規定される算術平均粗さRaで2.5μm以上である粗さを有する厚鋼板の製造方法であって、
鋼素材を加熱し、熱間圧延を施して厚鋼板とするに当たり、前記鋼素材が、質量%でC:0.3%以下を含み、さらにSi:0.05〜2.0%、Ni:0.02〜2.0%、Cu:0.03〜2.0%を、次(1)式
0.10%≦Si+Ni+Cu≦3.00% ‥‥(1)
こで、Si、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、前記熱間圧延を終了した後、前記厚鋼板の表面温度で700〜950℃の範囲で、衝突圧が1MPa以上となる高圧水によるデスケーリングを行い、ついで、室温まで冷却したのち、300〜650℃の温度領域に加熱し、該温度領域で500s以上保持する焼戻処理を施ことを特徴とするレーザー切断性に優れた厚鋼板の製造方法。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Mn:0.15〜2.5%、およびAl:0.01〜0.10%を含む組成とすることを特徴とする厚鋼板の製造方法。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに質量%で、Mo:1.0%以下、V:0.1%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、レーザ切断性に優れた厚鋼板を、鋼板製造上の制約も少なく容易に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、スケールの密着性が高く、レーザ切断を行うまでに表層スケールに剥離が少ないため、優れたレーザ切断性を長期間にわたり安定して保持できるという効果もある。
スケール層の平均厚さの測定方法を模式的に示す説明図である。
本発明厚鋼板は表面に、平均厚さが15μm以下で、表面がJIS Z 8741に規定される60°鏡面光沢度Gs(60°)で15%以下、JIS Z 8729に規定される明度L*で40以下であるスケール層を有し、かつスケール層と地鉄との界面が、JIS B 0601−2001で規定される算術平均粗さRaで2.5μm以上である粗さを有する。
スケール層の平均厚さ:15μm以下
一般的に、スケール層の厚さが薄いほど、スケール自体の密着性は向上するが、レーザ切断性向上という観点からは、15μm以下にする必要がある。スケール層の平均厚さが15μmを超えて厚くなると、レーザ切断性時にスケール剥離が多くなるため、レーザ切断性が著しく低下する。このようなことから、スケール層の平均厚さを15μm以下に限定した。なお、好ましくは10μm以下である。
スケール層の平均厚さは、図1に模式的に示す要領で測定するものとする。すなわち、スケール層を含む厚鋼板の表層断面(圧延方向断面)を研磨し、断面を光学顕微鏡また走査型電子顕微鏡で観察し、画像解析により断面の評価部長さLにおけるスケール層の面積Sを測定する。そして、次式
スケール層平均厚さ=(スケール面積S)/(評価部長さL)
を用いてスケール層平均厚さを算出するものとする。なお、ここでは、スケール層の面積は、空孔が存在する領域をも含むものとする。
スケール層表面の60°鏡面光沢度Gs(60°):15%以下
本発明では、スケール層表面の光沢度は、JIS Z 8741に規定される60°鏡面光沢度Gs(60°)で評価する。Gs(60°)が15%を超えて大きくなると、照射されたレーザビームの反射率が高くなりすぎて、熱エネルギーとしてレーザ切断に有効に寄与する割合が低下し、レーザ切断性が顕著に低下する。このため、スケール層表面のGs(60°)を15%以下に限定した。なお、好ましくは10%以下である。
スケール層表面の明度L*:40以下
本発明では、スケール層表面の明度は、JIS Z 8729に規定される明度L*で評価する。スケール層表面の明度L*を40以下に低明度化し、スケール層を黒色化することが、レーザ切断性の顕著な向上のために有効である。明度L*が40を超えて大きくなるとスケール層の黒色度が低下し、レーザビームエネルギーの吸収率が低下し、レーザ切断性が顕著に低下する。このため、明度L*を40以下に限定した。なお、好ましくは35以下である。
スケール層と地鉄との界面の算術平均粗さRa:2.5μm以上
スケール層と地鉄との界面の粗さ(凹凸)が大きくなるほど、スケール自体の密着性が向上する。界面の粗さは、JIS B 0601−2001で規定される算術平均粗さRaで評価する。界面のRaが2.5μm未満では、レーザ切断性を向上させるまでのスケール密着性を確保できない。このようなことから、スケール層と地鉄との界面の粗さを、算術平均粗さRaで2.5μm以上に限定した。なお、好ましくはRaで3.5μm以上である。
なお、スケール層と地鉄との界面の粗さは、測定対象の鋼板を10%塩酸水溶液500mlにヘキサメチレンテトラミン1g、ヒビロンA-5(商品名:スギムラ化学工業(株)製)
2mlを加えた酸洗溶液(液温:60℃)に、5min間浸漬し、鋼板表面のスケール層を除去したのち、例えば3次元粗さ解析装置(小坂研究所製SPA-11)を用いて、測定するものとする。
つぎに、表面に上記したスケール層を有する本発明厚鋼板の好ましい組成について説明する。表面に上記したスケール層を有する本発明厚鋼板は、質量%で、C:0.3%以下、Si:0.05〜2.0%、Ni:0.02〜2.0%、Cu:0.03〜2.0%を、(Si+Ni+Cu)が0.10〜3.00%を満足するように調整して含み、あるいはさらに、Mn:0.15〜2.5%、およびAl:0.01〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する。なお、とくに断わらない限り質量%は単に%で記す。
C:0.30%以下
Cは、過剰に含有すると、スケール成長時に鋼板表面からの脱炭により、CO、CO2等のガスを生成し、スケール層中に空孔を生成させ、スケール密着性を低下させる。このような悪影響は、0.30%を超える含有で顕著となる。このため、厚鋼板中のCは0.30%以下に限定した。なお、好ましくは0.20%以下である。
Si:0.05〜2.0%
Siは、スケール成長時にスケール/地鉄界面に濃化することでスケールの不均一成長を助長し、スケール/地鉄界面の粗さを粗くし、スケール密着性を向上させる作用を有する。このような効果を確保するためには、0.05%以上含有する必要がある。一方、2.0%を超える過剰の含有は、溶接性を低下させる。このため、Siは、0.05〜2.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.1〜1.5%である。
Ni:0.02〜2.0%
Niは、Siと同様に、スケール成長時にスケール/地鉄界面に濃化することでスケールの不均一成長を助長し、スケールと地鉄との界面の粗さを粗くし、スケール密着性を向上させる作用を有する。このような効果を確保するためには、0.02%以上含有する必要がある。一方、2.0%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。このため、Niは、0.02〜2.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.1〜1.5%である。
Cu:0.03〜2.0%
Cuは、Ni、Siと同様に、スケール成長時にスケールと地鉄との界面に濃化することでスケールの不均一成長を助長し、スケールと地鉄との界面の粗さを粗くし、スケール密着性を向上する作用を有する。このような効果を確保するためには、0.03%以上含有する必要がある。一方、2.0%を超える過剰の含有は、熱間圧延性を低下させる。このため、Cuは、0.03〜2.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.1〜1.5%である。
本発明厚鋼板では、Si、Ni、Cuは、上記した範囲で、かつ次(1)式
0.10%≦Si+Ni+Cu≦3.00% ‥‥(1)
(ここで、Si、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%))
を満足するように含有する。
(Si+Ni+Cu)が、0.10%未満では、スケールと地鉄との界面の粗さが小さくなり、形成されるスケール層の表面粗さが所望のRaを確保できなくなり、またスケール層表面の光沢度を所望の光沢度を確保できなくなる。一方、(Si+Ni+Cu)が3.00%を超えると、スケール密着性が高くなりすぎ、デスケーリング時にデスケ取れ残り部分が生じ、均一薄スケール化を達成できなくなる。このようなことから、(Si+Ni+Cu)を(1)式を満足するように調整することにした。なお、(Si+Ni+Cu)は0.2〜1.5%の範囲内に調整することが好ましい。
上記した成分が基本の成分であり、上記した基本の組成に加えて、さらに選択元素として必要に応じて、Mn:0.15〜2.5%、および、Al:0.01〜0.10%、および/または、Mo:1.0%以下、V:0.1%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、を含有できる。
Mn:0.15〜2.5%
Mnは、固溶して鋼板の焼入れ性を向上させ、鋼板強度の増加に寄与するとともに、Sと結合しMnSとしてSの悪影響を防止する作用も有する元素であり、必要に応じて含有できる。このような効果を得るためには0.5%以上含有する必要がある。一方、2.5%を超えて含有すると、偏析を助長し、鋼板強度のばらつきを大きくする。このため、含有する場合には、0.15〜2.5%の範囲に限定することが好ましい。
Al:0.01〜0.10%
Alは、脱酸剤として作用するとともに、Nと結合して結晶粒の微細化に寄与する元素であり、必要に応じて含有できる。このような効果を得るためには、0.01%以上含有する必要がある。一方、0.10%を超えて多量に含有すると、アルミナ系介在物を増加させ、延性、靭性が低下する。このため、含有する場合には0.01〜0.10%の範囲に限定することが好ましい。
Mo:1.0%以下、V:0.1%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Mo、V、Nb、Tiはいずれも、析出強化により鋼板の強度増加に寄与する元素であり、必要に応じ選択して1種または2種以上を含有できる。
鋼板強度の増加のためには、Mo:0.05%以上、V:0.01%以上、Nb:0.005%以上、Ti:0.005%以上含有することが望ましい。一方、Mo:1.0%、V:0.1%、Nb:0.1%、Ti:0.1%を超える多量の含有は、鋼板靭性を低下させる。このようなことから、含有する場合には、Mo:1.0%以下、V:0.1%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下に限定することが好ましい。
なお、上記した成分以外に、強度確保あるいは他の特性確保のために、その他合金元素を添加しても何ら問題はない。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としては、S:0.05%以下、P:0.1%以下、N:0.05%以下、O:0.03%以下が許容できる。
つぎに、本発明厚鋼板の好ましい製造方法について説明する。
上記した組成の鋼素材を加熱し、熱間圧延を施して厚鋼板とする。
鋼素材の製造方法は、とくに限定する必要はないが、転炉等の常用の溶製方法で上記した組成の溶鋼を溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法でスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。
得られた鋼素材は、ついで熱間圧延のための加熱を施される。
鋼素材の加熱温度は、鋼素材を熱間圧延して所定寸法の厚鋼板とすることができる程度の温度が確保できればよく、特に限定する必要はなく、通常の加熱温度である、1000〜1250℃程度とすることが好ましい。
加熱された鋼素材は、ついで熱間圧延(粗圧延および仕上圧延)を施され厚鋼板とされる。
熱間圧延条件はとくに限定する必要はないが、仕上圧延終了後に行う、デスケーリング時に必要な鋼板表面温度(700〜950℃)を確保できる程度の仕上圧延終了温度とすることが好ましい。
熱間圧延(仕上圧延)終了後、厚鋼板には高圧水噴射によるデスケーリングが施され、加熱、圧延中に表面に生成したスケールが除去される。
デスケーリング時の鋼板表面温度:700〜950℃
高圧水噴射によるデスケーリングでは、噴射された高圧水により冷却された鋼板表面のスケールと高温の地鉄との間に発生する熱応力によりスケールが地鉄から剥離し、剥離したスケールが噴射された高圧水により流されて、スケールが除去される。そのため、デスケーリング時の鋼板温度が700℃より低い場合には、スケールに発生する熱応力が小さく、デスケーリングの衝突圧が1.0MPa程度では、スケールが地鉄から剥離せず、スケールが取り残される箇所が生じ、均一な薄スケール化が達成できず、レーザー切断安定性が低下する。一方、デスケーリング時の鋼板温度が950℃を超えて高温となると、デスケーリングでスケールを除去しても、その後の冷却中にスケールが厚く生成し、スケール密着性が低下して、レーザー切断性が低下する。このようなことから、デスケーリング時の鋼板表面温度は700〜950℃の範囲に限定した。
デスケーリング時に噴射される高圧水の衝突圧:1.0MPa以上
デスケーリング時に噴射される高圧水の鋼板に衝突する際の衝突圧が、1.0MPa未満では、鋼板組成によってはスケールの取り残しが生じる場合がある。そのため、均一な薄スケール化を達成できなくなる。このようなことから、デスケーリング時に噴射される高圧水の衝突圧を1.0MPa以上に限定した。なお、噴射される高圧水の衝突圧は高ければ高いほどスケールの除去能力は向上するが、デスケーリング設備が高価となり、製造コストの高騰を招くため、衝突圧は5.0MPa以下程度とすることが好ましい。
デスケーリング後、厚鋼板は室温まで冷却(空冷)される。
300〜650℃の温度域での滞留時間:500s以上
本発明では室温までの冷却(空冷)中に、鋼板表面温度が300〜650℃の温度域での滞留時間を500s以上とするように、冷却を調整する。当該温度域は、ヘマタイト(Fe3O4)変態域であり、当該温度域での滞留時間が500s未満では、鋼板表面に形成されるスケールを十分にヘマタイト(Fe3O4)に変態させることができず、黒色化が不十分となり、所望の低明度を確保できず、レーザー切断性が低下する。このため、空冷における冷却を、鋼板表面温度が300〜650℃の温度域での滞留時間が500s以上になるように調整することにした。
なお、室温までの冷却(空冷)中における上記した冷却調整に代えて、デスケーリング後、室温まで冷却(空冷または水冷)し、しかるのちに、300〜650℃の温度領域に加熱し、該温度領域で500s以上保持する焼戻処理を行っても良い。
300〜650℃の温度領域で保持する時間:500s以上
ヘマタイト(Fe3O4)変態域である300〜650℃(焼戻温度領域域)での、保持時間が500s未満では、鋼板表面に形成されるスケールを十分に、ヘマタイト(Fe3O4)に変態させることができず、黒色化が不十分となり、所望の低い明度を確保できず、レーザー切断性が低下する。このため、焼戻処理は、300〜650℃の温度領域に加熱し該温度領域で500s以上保持する処理に限定した。
以下、さらに実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
表1に示す組成の鋼素材(スラブ:肉厚250mm)に、1100℃に加熱したのち粗圧延と仕上圧延からなる熱間圧延を施し、板厚15mmの厚鋼板とした。仕上圧延終了後、表2に示す鋼板温度の厚鋼板に、表2に示す衝突圧で高圧水を噴射するデスケーリングを施した。デスケーリング後、一部の厚鋼板では空冷し、鋼板表面温度で300〜650℃の温度域での滞留時間が表2に示す値となるように、除冷炉と送風冷却装置を用いて冷却を調整し、室温まで冷却した。それ以外の厚鋼板では、デスケーリング後、水冷により室温まで冷却し、ついで表2に示す300〜650℃の温度領域で表2に示す時間保持する焼戻処理を施した。
得られた厚鋼板について、スケールの性状と、レーザ切断性について調査した。調査方法は、次のとおりとした。
(1)スケールの性状
(a)表面スケール層の平均厚さ
得られた厚鋼板の長手方向に1/4、2/4、3/4の各位置の板幅中央位置から試験片(大きさ:板厚×30×30mm)を採取し、スケール層を含む厚鋼板の圧延方向(L)断面を研磨し、光学顕微鏡(倍率:500倍)で観察し、各位置3視野について写真を撮影した。得られた各写真について、画像解析により、図1に示すように、観察断面の評価部長さLにおけるスケール層の面積Sを測定した。そして、次式
スケール層平均厚さ=(スケール面積S)/(評価部長さL)
を用いてスケール層平均厚さを算出した。得られた各位置各視野のスケール層平均厚さを算術平均して、当該厚鋼板のスケール層平均厚さとした。なお、スケール層の面積は、空孔が存在する領域をも含むものとした。
(b)スケール層と地鉄との界面の粗さ
得られた厚鋼板の長手方向に1/4、2/4、3/4の各位置の板幅中央位置から試験片(大きさ:板厚×30×30mm)を採取し、酸洗処理を施し、表層のスケールを除去した。なお、酸洗処理は、10%塩酸水溶液500mlにヘキサメチレンテトラミン1g、ヒビロンA-5(商品名:スギムラ化学工業(株)製)2mlを加えた酸洗溶液(液温:60℃)に浸
漬し、5分間保持する処理とした。
表層のスケールを除去された界面(スケールと地鉄との界面)について、3次元粗さ解析装置(小坂研究所製SPA-11)を用いて、JIS B 0601−2001に準拠して、粗さを測定し、算術平均粗さRaを求めた。各位置で得られたRaを算術平均し、その鋼板におけるスケールと地鉄との界面の粗さとした。
測定条件は次のとおりとした。
試験方向:板幅方向
評価長さ:25mmカットオフ値(λc):0.8mm
試験回数:各1回
なお、各位置で得られたRaを算術平均し、その鋼板におけるスケールと地鉄との界面の粗さとした。
(c)スケール層表面の60°鏡面光沢度Gs(60°)
得られた厚鋼板の長手方向に1/4、2/4、3/4の各位置の板幅中央位置から試験片(大きさ:板厚×30×30mm)を採取し、光沢計(日本電色製VG2000)を用いてJIS Z 8741に準拠しスケール層表面の60°鏡面光沢度Gs(60°)を測定した。なお、各位置で得られたGs(60°)を算術平均し、その鋼板におけるスケール層表面の光沢度とした。
(c)スケール層表面の明度L*
得られた厚鋼板の長手方向に1/4、2/4、3/4の各位置の板幅中央位置から試験片(大きさ:板厚×30×30mm)を採取し、分光式色差計(日本電色製SQ-2000)を用いて、JIS Z 8722の規定に準拠して、スケール層表面の明度L*を測定した。なお、各位置で得られたL*を算術平均し、その鋼板におけるスケール層表面の明度とした。
(2)レーザ切断性
得られた厚鋼板から、レーザ切断用試験板を採取した。3.0 kW出力の炭酸ガスレーザー切断機を用い、切断速度を変化し、レーザ切断長さを500mmとしてレーザ切断を実施した。レーザ切断後、板裏面側のドロス付着の有無を観察し、ドロスの付着が見られない限界切断速度を求めた。得られた限界切断速度により、レーザ切断性を5段階で評価した。評価1は限界切断速度が1.2m/min未満の場合、評価2は限界切断速度が1.2m/min以上1.4m/min未満である場合、評価3は限界切断速度が1.4m/min以上1.6m/min未満である場合、評価4は限界切断速度が1.6m/min以上1.8m/min未満である場合、評価5は限界切断速度が1.8m/min以上である場合とした。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0005958114
Figure 0005958114
Figure 0005958114
本発明例はいずれも、薄スケール層の平均厚さは15μm以下と薄く、スケールと地鉄との界面の粗さもRaで2.5μm以上と粗くなっている。また、スケール層表面の60°鏡面光沢度Gs(60°)は15%以下と低く、明度L*も40以下と小さくなっており、黒色系の色調のスケール層となり、レーザ切断性も評価3以上と、優れたレーザ切断性を有する厚鋼板となっている。
これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、レーザ切断性が評価2以下と、レーザ切断性が低下している。
厚鋼板No.7(比較例)は、鋼板のC量が0.30%を超えて高く、薄スケールが得られているにも関わらず、スケール層中に存在する気孔(空孔)が多くなっているため、スケール密着性が低い、レーザ切断性が低下している。
また、厚鋼板No.8(比較例)は、(Si+Ni+Cu)量が本発明の好適範囲を上側に外れ、デスケーリング時にスケールの取れ残りムラが生じ、部分的にスケール厚が厚くなり、スケール層の平均厚さが本発明範囲を高く外れ、レーザ切断時の切断安定性が低く、レーザ切断性が低下している。
厚鋼板No.9(比較例)は、(Si+Ni+Cu)量が本発明の好適範囲を低く外れ、薄スケールが得られているにも関わらず、スケールと地鉄との界面の粗さが本発明範囲を低く外れ、スケール密着性が低くレーザ切断性が低下している。
厚鋼板No.13(比較例)は、デスケーリング時の鋼板温度が本発明の好適範囲を低く外れ、デスケーリング時にスケールが除去されず、圧延時に生成した表面光沢の高い厚スケールが残存し、スケール層表面のGs(60°)が本発明の範囲を高く外れ、レーザ切断性が低下している。
厚鋼板No.14(比較例)は、デスケーリングの衝突圧が本発明の好適範囲を低く外れ、デスケーリング時にスケールが除去されず、圧延時に生成していた表面光沢の高い厚スケールが残存し、スケール層の平均厚さが本発明範囲を高く外れ、またスケール層表面のGs(60°)が本発明の範囲を高く外れて、レーザ切断性が低下している。
厚鋼板No.15(比較例)は、焼戻し時の300〜650℃の温度域での保持時間が本発明の好適範囲を低く外れ、スケール層表面の明度L*が本発明範囲を高く外れ、レーザ切断性が低下している。
厚鋼板No.16(比較例)は、冷却時の300〜650℃の温度範囲での滞留時間が本発明の好適範囲よりも短く、スケール層表面の明度L*が本発明範囲を高く外れ、レーザ切断性が低下している。
厚鋼板No.17(比較例)は、デスケーリング時の鋼板温度が発明の好適範囲よりも高く、デスケーリング後にスケールが厚く生成し、スケール密着性が低下し、レーザ切断性が低下している。

Claims (4)

  1. 表面にスケール層を有し、該スケール層の平均厚さが15μm以下であり、該スケール層表面がJIS Z 8741に規定される60°鏡面光沢度Gs(60°)で15%以下で、JIS Z 8729に規定される明度L*が40以下であり、かつ該スケール層と地鉄との界面が、JIS B 0601−2001で規定される算術平均粗さRaで2.5μm以上である粗さを有する厚鋼板の製造方法であって、
    鋼素材を加熱し、熱間圧延を施して厚鋼板とするに当たり、
    前記鋼素材が、質量%でC:0.3%以下を含み、さらにSi:0.05〜2.0%、Ni:0.02〜2.0%、Cu:0.03〜2.0%を、下記(1)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
    前記熱間圧延を終了した後、前記厚鋼板の表面温度で700〜950℃の範囲で、衝突圧が1MPa以上となる高圧水によるデスケーリングを行い、ついで、前記厚鋼板の表面温度で300〜650℃の温度範囲で500s以上滞留するように、室温まで冷却することを特徴とするレーザー切断性に優れた厚鋼板の製造方法。

    0.10%≦Si+Ni+Cu≦3.00% ‥‥(1)
    ここで、Si、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%)
  2. 表面にスケール層を有し、該スケール層の平均厚さが15μm以下であり、該スケール層表面がJIS Z 8741に規定される60°鏡面光沢度Gs(60°)で15%以下で、JIS Z 8729に規定される明度L*が40以下であり、かつ該スケール層と地鉄との界面が、JIS B 0601−2001で規定される算術平均粗さRaで2.5μm以上である粗さを有する厚鋼板の製造方法であって、
    鋼素材を加熱し、熱間圧延を施して厚鋼板とするに当たり、
    前記鋼素材が、質量%でC:0.3%以下を含み、さらにSi:0.05〜2.0%、Ni:0.02〜2.0%、Cu:0.03〜2.0%を、下記(1)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
    前記熱間圧延を終了した後、前記厚鋼板の表面温度で700〜950℃の範囲で、衝突圧が1MPa以上となる高圧水によるデスケーリングを行い、ついで、室温まで冷却したのち、300〜650℃の温度領域に加熱し、該温度領域で500s以上保持する焼戻処理を施ことを特徴とするレーザー切断性に優れた厚鋼板の製造方法。

    0.10%≦Si+Ni+Cu≦3.00% ‥‥(1)
    ここで、Si、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%)
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Mn:0.15〜2.5%、およびAl:0.01〜0.10%を含む組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の厚鋼板の製造方法。
  4. 前記組成に加えてさらに質量%で、Mo:1.0%以下、V:0.1%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の厚鋼板の製造方法。
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