JP2735899B2 - 磁気特性の均一な一方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の均一な一方向性けい素鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、優れた磁気特性を有する一方向性けい素
鋼板の製造方法に関し、特にスラブ加熱方法に工夫を加
えることによって板幅方向における磁気特性の均一化を
図ろうとするものである。
(従来の技術) 一方向性けい素鋼板は、主として変圧器およびその他
の電気機器の鉄心材料として、いわゆる積み鉄芯、また
は巻鉄芯として使用されるもので、磁束密度や鉄損値等
の磁気特性が優れていることが基本的に重要である。該
鋼板の表面には、通常電気的絶縁被膜が被成され、鋼板
を積層して使用する場合に板の層間を電気的に絶縁し、
渦電流損失を低減する方策がとられている。
しかしながら鋼板表面に疵があって平滑性に劣る場合
は、商品価値が低下するのみならず、占積率が低下し、
また鉄芯組立時の締め付けによって絶縁性も低下し、局
所的に発熱を起こし、変圧器事故の原因になるため、変
圧器製造業者は鋼板表面の平滑性について極度に注意を
払っている。
一方向性けい素鋼板の製造において特に重要な工程
は、いわゆる最終仕上焼鈍段階で1次再結晶粒から{11
0}<001>方位の結晶粒に2次再結晶させることにあ
る。このような2次再結晶を効果的に促進させるために
は、1次再結晶粒の正常成長を抑制するインヒビターと
称する分散相を必要とする。
かかるインヒビターには、MnS,MnSe,AlNおよびVNのよ
うな硫化物や窒化物等の、鋼中への溶解度が極めて小さ
い物質が主に用いられている。さらに、Sb,Sn,As,Pb,G
e,CuおよびMo等の粒界偏析型元素もインヒビターとして
利用されている。これらインヒビターの効果は、最終仕
上焼鈍前までに均一かつ適正なサイズにインヒビターを
分散させることによって達成される。そのためには、熱
間圧延前にスラブを高温加熱して、インヒビター元素を
十分に固溶させておき、熱間圧延から2次再結晶までの
工程にて析出分散状態を制御すること、さらに1回また
は2回以上の冷間圧延および1回または2回以上の焼鈍
によって得られる1次再結晶粒組織は、板厚方向全体に
わたって適当な大きさの結晶粒が均一な大きさで分布し
ていることが肝要である。
従来の一方向性けい素鋼板の製造方法においては、厚
さ100〜300mmのスラブを1250℃以上の温度に長時間保持
してインヒビターを固溶させた後、熱間圧延を施し、つ
いで熱延板を1回ないし中間焼鈍をはさむ2回以上の冷
間圧延によって最終板厚とし、脱炭焼鈍を施したのち、
鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、その後2次再結晶およ
び純化を目的として最終仕上げ焼鈍を行うのが一般的で
ある。
ところで、近年の鉄鋼製造工程においては、スラブ製
造の大半が造塊・分塊圧延法から連続鋳造法に移行して
いる。連続鋳造スラブは幅が厚さの数倍以上の偏平な鋳
型内で急冷されるため、表面から厚さ方向に長く伸び
た、いわゆる柱状晶が生じ易い。とくに連続鋳造法を一
方向性けい素鋼板の製造に単純に適用した場合には、分
塊圧延による結晶組織の微細化工程が省略されるため、
結晶組織は連続鋳造法固有の急冷凝固による柱状晶とな
る。
柱状晶の発生を抑止する手段としては、電磁撹拌また
は超音波振動を加える方法が知られている。これらの方
法は、操業が容易である利点があるが、柱状晶の発生に
ついては軽減する程度で、完全に防止することは難し
い。一方鋳込み速度を液相線近傍にまで下げれば、柱状
晶の発生を完全に防ぐことが可能であるが、介在物の浮
上性が低下したり、ノズルが詰まること等によって、鋳
造の続行が不可能となる。このように柱状晶の発生を防
止するのは難しく、連続鋳造において柱状晶の発生は不
可避であった。
さてこの柱状晶粒は、前記スラブ加熱で異常成長を起
こしやすく、熱間圧延後に粗大な伸粒として残る。この
粗大な延伸粒は冷間圧延および焼鈍を経た後も再結晶し
にくく、インヒビターによる抑制力効果が十分であって
も、延伸粒部分での最終仕上げ焼鈍による{110}<001
>方位の2次再結晶は、不完全となって、いわゆる帯状
細粒組織となり、磁気特性を劣化を招く。
製品磁気特性は通常JISに基づき、幅30×長さ280mmの
試片約500g(0.30mm厚で24または28枚)をコイル幅方向
に採取したもので行われる。仮に前記試片中に幅30mm程
度の帯状細粒が1〜2条混入しても大幅な磁気特性の劣
化が起こらず、したがって不良部の存在を知ることは難
しい。しかも最終仕上焼鈍において、2次再結晶、純化
およびフォルステライト被膜の形成を同一工程で行うた
め、一旦製品化したものは外見上からも区別はできず、
不良部は容易に除去できない。特に通常の製品コイル幅
約1000mmを50mmまたは100mm程度の板幅に切断して巻鉄
芯用材とする場合には、帯状細粒がスリット板幅全体に
占める割合が極端に増加して鉄心の磁気特性を著しく悪
化させるので、変圧器製造時にはとくに注意を払ってい
る。
一般的にインヒビターの固溶は、高温かつ長時間にす
るほど完全状態に近づくが、その反面スラブ結晶粒の粗
大化が進行することはよく知られている。そのため、両
者の関係をうまく両立させることを狙った方策、例えば
低温鋳造あるいは溶鋼の電磁的撹拌によって鋳造スラブ
組織を微細化する方法、鋳造後スラブに予め歪を加えて
粗大な柱状晶を破壊しておき、スラブ加熱時に再結晶さ
せる方法またはスラブ加熱時の急速昇温により特定の結
晶粒の成長を抑制する方法等が既に提案されている。と
ころが、それらいずれの方策もスラブ加熱温度が極めて
高い領域では効果が不十分な問題が残っていた。
帯状細粒の防止策として特公昭54−27820号、特公昭5
0−37009号および特開昭62−130217号各公報には、それ
ぞれ連続鋳造スラブを加熱固溶する前に予め5〜50%、
30〜60%または10〜50%の圧延を施した後、1260〜1420
℃に再加熱し、最終の熱間圧延を行う方法が提案されて
いる。これらの方法は連鋳スラブに予め歪を加えておく
ことによりスラブ加熱で再結晶させ、結晶粒粗大化を抑
えようとするものである。しかしながら、通常連鋳スラ
ブには中心部近傍に濃厚偏析帯が存在し、その濃厚偏析
帯におけるインヒビターも固溶するには1380℃以上の高
温域でのかなり長い保持を要する。そのためスラブ結晶
粒は表層部から中心部まで著しく粗大化し、粗大結晶粒
に起因した帯状細粒が発生し、期待した磁気特性改善効
果は得られない問題があった。一方、スラブを比較的に
低温・短時間の結晶粒を粗大化させない条件で加熱した
場合には、濃厚偏析部のインヒビターに未固溶部分を生
じ、熱間圧延工程での分散状態が不均一となって抑制力
を強められず、磁気特性はむしろ大幅に劣化してしまう
問題があった。
また特公昭56−18654号公報には、1260℃以上のスラ
ブ加熱に際し、1250〜1310℃までの温度範囲を平均昇温
速度150℃/h以上で加熱する方法が提案されている。こ
の方法は、スラブ加熱温度1370℃以下の条件では結晶粒
粗大化の抑制効果をあらわすが、概ね1380℃以上の高温
側において粒成長抑制効果が急激に弱まり、1400℃以上
では著しい表層の酸化と結晶粒の粗大化とが起こり、所
期した磁気特性や表層疵のない鋼板は得られないところ
に問題が残る。
特開昭63−109115号公報には、スラブ中心温度が1350
℃以上になるように加熱し、この加熱に際して表面温度
1420〜1495℃で5〜60分保持するとともに、表面温度が
1320℃以上において1420〜1495℃に達するまて8℃/min
以上で急速昇温して結晶粒の粗大化を抑制する方法が提
案されている。この方法は、スラブ温度が従来のガス加
熱炉のみの方式より著しく高く、かつ保持時間が比較的
短い。しかしながら、このような高温領域では顕著な粒
成長が起こり、製品に帯状細粒が発生する。この高温領
域では、著しい表面酸化や粒界の選択酸化により、製品
価値がなくなるほどの穴や表面疵が多発することの不利
があった。
特開昭62−103322号公報は、誘導加熱炉においてスラ
ブ中心温度を1300〜1400℃に加熱保持する際、表皮効果
によるオーバーヒートを防ぎ、均一加熱をめざして周波
数を50〜200Hzに変えるもので、インヒビターの完全固
溶について触れるところはない。
さらに特開昭62−10214号公報には鋼板表面と内部の
温度差を利用して効率よく加熱する方法について、特開
昭62−100128号公報にはスラブの中心温度を1300〜1450
℃に加熱し、後工程の粗圧延段階で生じる線状ヘゲごと
きの表面欠陥を防止するために粗圧延開始温度を規制す
ることについて、それぞれ記載があるが、帯状細粒の発
生を防止することに関しての記載はない。
(発明が解決しようとする課題) この発明は、上述の問題点を解決することを目的と
し、とくに鉄心材料に対する需要家の要請に応え、表面
疵がなく、しかも均一でかつ良好な磁気特性を有する鉄
芯用材料を安定して製造する方法を提供するものであ
る。
(課題を解決するための手段) 製品の磁気特性および表面外観がともにすぐれた一方
向性けい素鋼板を製造するために、発明者らは誘導式加
熱炉を用いスラブ加熱方法を種々検討したところ、昇温
パターン、加熱温度および炉内雰囲気を改善し、目標を
達成することができた。
すなわちこの発明は、含けい素鋼スラブを加熱した
後、熱間圧延を施し、その後1回または中間焼鈍をはさ
む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げたの
ち、脱炭焼鈍を施し、次いで鋼板表面に焼鈍分離剤を塗
布してから、仕上げ焼鈍を施す一連の工程によって一方
向性けい素鋼板を製造するに当たり、上記のスラブ加熱
に先立って、スラブに圧下率1〜10%の圧下を加え、次
いで保護ガス雰囲気中でスラブを粒界偏析の少なくとも
一部が溶融する温度域に達するまで加熱し、その後1380
〜1440℃の温度域に加熱し、この温度域に5〜60min保
持することを特徴とする磁気特性の均一な一方向性けい
素鋼板の製造方法である。
なおスラブ温度が低い場合は、予めガス燃焼型加熱炉
で1000〜1300℃に加熱した後、誘導加熱炉に装入して加
熱することが好ましい。
(作 用) 発明者らは一方向性けい素鋼板用の連鋳スラブから帯
状細粒のない均一にして磁気特性のすぐれた製品を得る
ためのスラブ加熱方法に関して鋭意研究し、スラブ加熱
の温度と保持時間とが帯状細粒および表面疵の発生に深
い関係のあることを見いだした。
次に上記知見を得るに至った実験結果について詳細に
説明する。
第1図は、C:0.035wt%(以下単に%で示す)、Si:3.
35%、Mn:0.075%およびS:0.018%を含み残部実質的にF
eからなる、厚さ210mmの連鋳スラブを徐冷後、該スラブ
から210×200×200mmの試片を切り出し、小型誘導式加
熱炉にて酸素濃度3000ppmの保護ガス中で平均10℃/min
の昇温速度で所定温度まで加熱し、結晶粒径と加熱温度
および保持時間との関係について調査した結果を示す。
同図から、1430℃以下の温度域においては加熱温度が
高く、または保持時間が長くなるほど結晶粒は粗大化
し、昇温速度10℃/minのような急速昇温を行った場合で
も結晶粒の粗大化はまぬがれないことがわかる。ところ
が1450℃以上の温度域では、従来の知見と異なって長時
間保持しても結晶粒の粗大化は抑制されていることが新
たに判明した。なお発明者らは、スラブ結晶粒径が20mm
以下であれば、熱間圧延、冷間圧延および焼鈍工程にお
いて微細組織となり、製品板に帯状細粒が発生しないこ
とを予め確認し、この実験を行った。
したがってインヒビターを完全に固溶させるための温
度域に加熱保持するに先立ち、上記した高温域に一旦加
熱すれば、結晶粒の粗大化を回避できるわけである。
しかしながら初期粒径が20mmをこえるスラブにおいて
は、上記の高温加熱にてその結晶粒を微細化することは
できない。そこで初期粒径が20mmをこえるスラブに対し
ても上記のスラブ高温加熱を有効に作用させる方途につ
いて、様々な検討を行った。
すなわち第1図に結果を示した実験に用いたスラブと
同一成分のスラブから結晶粒径が27〜35mmのものを選び
出し、これらのスラブに1000〜1200℃の温度域で圧下率
1〜20%の圧下を加え、その後第1図の実験と同様に、
1430℃で30分間の保持(1次加熱)または1450℃で3分
間の保持後1430℃で30分間の保持(2次加熱)を行って
から、結晶粒径を調べた。その結果を第2図に示すよう
に、スラブ加熱後の結晶粒径を20mm以下とするには、1
次加熱では圧下率15%以上、2次加熱では圧下率1〜10
%の圧下を加えればよいことがわかる。
ここでスラブ加熱に先立つ圧下は比較的に軽い圧下率
で行うことが好ましく、例えば15%以上の圧下率では次
の点で不利である。すなわちスラブ厚が薄くなり、粗圧
延率を下げて対処した場合には組織の微細化不足を生じ
易いこと、仕上熱延率を下げて対処した場合には、集合
組織の形成やインヒビターの分散制御に問題を生じるこ
と、予めスラブ厚を大きくする方法は偏析を増大させる
こと等の不利益がある。したがって軽圧下で結晶粒の微
細化が実現されることが望ましく、それにはスラブを一
旦高温域に加熱する2次加熱との組み合わせが有効であ
るのは、第2図に示すとおりである。なお理由は不明で
あるが、2次加熱において15%以上の圧下を加えた場合
は、平均粒径が小さくなるのに対し最大粒径は逆に大き
くなる傾向を示した。
さらに第1図と同一成分スラブを同一の方法で加熱
し、2.5mm厚の熱延板とした後、公知の中間焼鈍をはさ
む2回の冷間圧延により0.30mm厚の製品とし、1m2当り
の表面疵の発生個数を調査した結果を、第3図に示す。
同図から、表面疵は高温そして長時間保持になるほど多
発することがわかる。
すなわち結晶粒粗大化の抑制には、予め第2図に示し
た軽圧下を加えた後第1図に示した高温域での加熱保持
を行うことが有利であるが、この高温域で長時間保持す
ることは表面疵の発生回避の観点からは不利となること
がわかる。したがってスラブの高温域での加熱保持は、
短時間とすることが好ましい。
そこでインヒビターの完全固溶、スラブ結晶粒粗大化
の抑制、および表面疵防止を満足させるべく、さらにス
ラブ加熱方法について鋭意検討した。
すなわちC:0.037%、Si:3.40%、Mn:0.072%およびS:
0.017%を含み残部実質的にFeからなる、厚さ210mmの連
鋳スラブを徐冷した後、初期粒径が5mmおよび25〜30mm
のスラブを選び出し、各スラブから210×200×200mm寸
法の試験片を切り出し、初期粒径が25〜30mmのスラブに
ついては1150℃で1または3%の圧下を加えた後、予め
不活性ガス雰囲気中で1000℃に予熱し、次いで周波数変
化機能と試験片に保護冷却ガスを吹き付ける機能とを備
えた誘導加熱炉に装入し、次に示すパターンaおよびb
で加熱した後抽出し、引続き冷却して得られた鋼板の結
晶粒の成長度合を調査した。
a:所定温度(1430℃)まで平均昇温速度10℃/minで加熱
し、5〜120分間保持するヒートパターンを実施。
b:所定の1次加熱温度(1445〜1480℃)まで平均昇温速
度10℃/minで加熱し、2次加熱は1420〜1430℃にて5〜
120分間保持するヒートパターンを実施。
第4図に、スラブ加熱温度および保持時間と最大結晶
粒径との関係を示す。
同図から、最大結晶粒径を20mm以下に抑えられる条件
は、1次加熱温度を1445℃以上に加熱しかつ2次加熱の
保持時間を60分以内にとどめた場合であることがわかっ
た。
なお上記した成分組成になるけい素鋼スラブにおい
て、一旦1445℃以上に加熱することによって結晶粒粗大
化を抑制できる理由は明確になっていないが、次のこと
が推定される。
すなわち、連続鋳造されたスラブは通常マクロ的な偏
析(スラブを幅20mm、厚さ1mmで切出した試料の化学分
析によってわかる偏析とミクロ的な偏析(顕微鏡で数十
倍〜数百倍に拡大して確認できる数ミクロン〜数十ミク
ロンオーダーの偏析で、以下ミクロ偏析と証する)とが
存在するが、特にミクロ偏析が集中する結晶粒界は結晶
粒内に比べて偏析量が多く、融点は低くなっている。
したがってスラブをある温度以上に加熱した場合、粒
界偏析の一部が優先的に溶け、この溶融した粒界偏析が
粒界移動を抑制し、すなわち結晶粒の粗大化を妨げる役
割を果すものと考えられる。さらにこの働きは、粒界偏
析が部分的に溶けていればよいと考えられる。
また、このような温度域に達する加熱を繰り返して行
うことも、当然有効な方法である。
ところで粒界偏析が溶け始める温度(溶融開始温度)
は、一般に鋼を組成する成分の種類およびその含有量だ
変化するが、とくに鋼の組成が炭化物、窒化物等の析出
物またはこれらの複合析出物であるミクロ偏析を生成す
る成分系では、成分元素の種類およびその含有量のほ
か、鋳造後の熱履歴によっても析出物の析出状態が影響
を受けるため、溶融開始温度は変化する。
したがって1次加熱温度の下限は、一義的に決めるこ
とが困難であり、例えばCやSiを含有する場合はその含
有量に応じて溶融開始温度は次のとおりに変化する。
C :0.01%当り3℃ Si:0.1%当り2.5℃ 因みに、前記第4図に示した実験に供した鋼の成分系
における溶融開始温度を実験にて求めたところ、1445℃
と、結晶粒粗大化を抑制し得る1次加熱温度の下限とな
った。
さらにスラブの1次加熱温度は、第3図に示したよう
に、結晶粒抑制の観点よりも表面疵防止の観点から、14
70℃をこえないことが好ましい。
また第4図に結果を示した実験と同様の連鋳スラブ
を、次の条件で処理して磁気特性評価用の試験片に供し
た。すなわち前記と同様の方法でスラブを、1次加熱ま
たは2次加熱にて処理した後、板厚2.5mmまで熱間圧延
し、酸洗にてミルスケールを除いた後、1次冷間圧延で
0.72mmの中間厚としてから、水素中で950℃、2分間の
中間焼鈍を施した。ついで2次冷間圧延にて0.30mmの最
終板厚とした後、湿水素中で820℃、3分間の脱炭焼鈍
を施し、引続きMgOを主成分とする焼鈍分離剤を鋼板表
面に塗布して乾燥後、水素中で1180℃、5時間の最終仕
上げ焼鈍を施し、試験片とした。
第5図に、JISに準拠した磁気特性の測定を、30×280
mm試験片一枚づつについて行った結果を示す。なお2次
加熱におけるスラブ加熱温度は、2次加熱温度を示す。
同図から、スラブ2次加熱にて得られた鋼板は、従来
の1次加熱によるものと比べ、磁気特性レベルが高く、
かつ磁気特性差の小さいものが得られた。なお1450℃あ
るいは1470℃でのスラブ1次加熱によるものは、2次加
熱と同程度の磁気特性が得られたが、前述のように表面
疵が発生し、製品価値が劣るものであった。
また第6図に、上記の実験における、2次加熱を施し
た際の保持時間と磁気特性との関係について示す。
同図から、良好な磁気特性を安定して得るには、1380
〜1440℃の温度域に5〜60分間保持する必要のあること
がわかる。加熱温度が180℃未満であるか、または適性
温度域でも保持時間が5分間未満である場合には磁気特
性の劣化がみられるが、これはインヒビター未固溶部の
残存が原因であった。一方保持時間が60分間をこえる場
合の磁気特性の劣化は、すでに第4図にて示したよう
に、20mm以上のスラブ粒発生に起因する帯状細粒の出現
が原因であった。
以上に示した第1図〜第6図から、表面疵を防ぎ、か
つ優れた磁気特性を均一に得るためには、次の条件お
よびに従う必要のあることが判明した。
スラブの1次加熱は、粒界偏析の少なくとも一部が溶
融する温度域に達するまで行う。
スラブの2次加熱は、1380〜1440℃の範囲内で保持時
間は5〜60分間の範囲とする。
この発明の素材である含けい素鋼としては、従来公知
の成分組成のものいずれもが適合するが、代表組成を掲
げると次のとおりである。
C:0.01〜0.10% Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化のみ
ならず、ゴス方位の発達に有用な元素であり、少なくと
も0.01%以上の添加が好ましい。しかしながら0.10%を
超えて含有されるとかえってゴス方位に乱れが生じるの
で上限は0.10%程度が好ましい。
Si:2.0〜4.5% Siは、鋼板の比抵抗を高め鉄損の低減に有効に寄与す
るが、4.5%を上回ると冷延性が損なわれ、一方2.0%に
満たないと比抵抗が低下するだけでなく、2次再結晶・
純化のために行われる最終高温焼鈍中にα−γ変態によ
って結晶方位のランダム化を生じ、十分な鉄損改善効果
が得られないので、Si量は2.0〜4.5%程度とするのが好
ましい。
Mn:0.02〜0.12% Mnは、熱間脆化を防止するため少なくとも0.02%程度
を必要とするが、あまりに多すぎると磁気特性を劣化さ
せるので上限は0.12%程度に定めるのが好ましい。
インヒビターとしては、いわゆるMnS,MnSe系とAlN系
とがある。MnS,MnSe系の場合は、Se,Sのうちから選ばれ
る少なくとも1種:0.005〜0.06% Se,Sはいずれも、方向性けい素鋼板の2次再結晶を制
御するインヒビターとして有力な元素である。抑制力確
保の観点からは、少なくとも0.005%程度を必要とする
が、0.06%を超えるとその効果が損なわれるので、その
下限、上限はそれぞれ0.01%,0.06%程度とするのが好
ましい。
AlN系の場合は、 Al:0.005〜0.10%,N:0.004〜0.0.015% AlおよびNの範囲についても、上述したMnS,MnSe系の
場合と同様な理由により、上記の範囲に定めた。ここに
上記したMnS,MnSe系およびAlN系はそれぞれ併用が可能
である。
インヒビター成分としては上記したS,Se,Alの他、Cu,
Sn,Cr,Ge,Sb,Mo,Te,BiおよびPなども有利に適合するの
で、それぞれ少量併せて含有させることもできる。ここ
に上記成分の好適添加範囲はそれぞれ、Cu,Sn,Cr:0.01
〜0.15%、Ge,Sb,Mo,Te,Bi:0.005〜0.1%、P:0.01〜0.2
%であり、これらの各インヒビター成分についても、単
独使用および複合使用いずれもが可能である。
なおスラブは、連続鋳造されたものもしくはインゴッ
トより分塊されたものを対象とするが、連続鋳造された
後に、分塊再圧されたスラブも対象に含まれることはい
うまでもない。
上記した成分条件を満たすスラブは、スラブ加熱でイ
ンヒビターを固溶する必要がある。通常インヒビターの
固溶処理には、1250℃以上で、しかも比較的低温では長
時間保持し、高温では短時間保持が利用されている。こ
れに対してこの発明法ではスラブに圧下率1〜10%の圧
下を加えた後、スラブ加熱で結晶粒が粗大化して起こる
弊害を防ぐために、粒界偏析の少なくとも一部が溶融す
る超高温域に達するまで1次加熱し、次いで1380〜1440
℃の温度範囲で5分以上60分以内の2次加熱を行う。
この2段階方式の加熱には、密閉構造にしやすく容易
に酸素濃度を下げられること、保護ガスによって酸化を
防止できること、温度制御が可能であることおよび高温
に効率よく加熱できること、等の理由から、誘導加熱炉
や抵抗加熱炉などの電気的過熱炉を用いるのが有利で、
この場合以下のことを考慮することが好ましい。すなわ
ち誘導加熱では表皮効果により周波数の違いで程度差は
あっても表層部分から加熱される。したがって1次加熱
前後においては周波数と投入電力の組み合わせを制御
し、1次加熱温度到達後にはさらにスラブ表面に保護冷
却ガスを吹き付けることによってオーバーヒートを防止
し、かつスラブ中心部分の高温化も達成する。
次に5〜60分の短時間加熱でインヒビターを固溶する
には、1380℃が下限であり、1445℃をこえると部分的に
液体を生じ、30分以上の長時間保持にて表面疵の発生や
スラブ形状の変化をまねくので上限を1440℃とした。
スラブ加熱でインヒビターを固溶処理後、1.4〜3.5mm
厚の熱延鋼帯とする。熱延鋼帯を酸洗後、1回の冷間圧
延または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延とそれに
続く脱炭焼鈍、焼鈍分離剤塗布および仕上焼鈍の工程
は、公知の手段を用いることができる。
(実施例) 実施例1 C:0.037%、Si:3.02%、Mn:0.073%およびS:0.018%
を含有し残部実質的にFeよりなる鋼を、連続鋳造によっ
て厚み210mmのスラブとした。その際一部のスラブに
は、連続鋳造機のピンチロールにて1.5%の圧下を加え
た。なおスラブの先後端から予めサンプルを採取して結
晶粒径を調べ、最大粒径が20mmをこえるスラブについて
以下の処理に供した。
次いで各スラブを、予めガス加熱炉にて1250℃で3時
間加熱し、その後誘導加熱炉に装入し、周波数、投入電
力量、保護ガス吹き付け温度を変え、以下に示すA〜E
の5条件でインヒビターを固溶処理した後、粗圧延機と
仕上げ圧延機で2.4mm厚の熱延鋼板とした。
A:圧下を加えないスラブについて、昇温速度9℃/minで
1430℃まで加熱し、20分間保持して抽出した。
B:圧下を加えたスラブについて、昇温速度9℃/minで14
30℃まで加熱し、20分間保持して抽出した。
C:圧下を加えないスラブについて、昇温速度9℃/minで
1460℃まで加熱し2分間保持した後、1430℃に下げて20
分間保持して抽出した。
D:圧下を加えたスラブについて、昇温速度9℃/minで14
60℃まで加熱し、2分間保持した後1430℃に下げて20分
間保持して抽出した。
E:圧下を加えたスラブについて、昇温速度9℃/minで14
80℃まで加熱し、2分間保持した後、1430℃に下げて20
分間保持して抽出した。
該熱延鋼板を酸洗し、1次冷間圧延で0.70mm厚とし、
ついで950℃で2分間の中間焼鈍を施し、2次冷間圧延
で0.30mmの最終厚みに仕上げた。引続き、湿水素中で82
0℃、3分間の脱炭焼鈍を施したのち、MgOを主成分とす
る焼鈍分離材を塗布し、水素中で1200℃、5時間の仕上
げ焼鈍を施して方向性電磁鋼板とした。得られた1030mm
幅のコイルから両エッジ15mmを除去した後、100mm幅の
サンプル10枚を切り出し磁気特性を測定し、また表面疵
の有無と2次再結晶状況を調査した。得られた結果を第
1表に示す。
第1表から明らかなように、この発明に従った軽圧下
およびスラブ加熱を実施することにより表面疵および帯
状細粒を発生させず、磁気特性の改善と均一化が図れ
る。
実施例2 C:0.042%、Si:3.38%、Mn:0.075%、Se:0.020%、S
b:0.030%、Mo:0.015%含有し残部実質的にFeよりな
る、240mm厚の連鋳スラブに、分塊圧延機で4%の圧下
を加えた。また比較として、圧下を加えないスラブも用
意した。なおスラブの先後端から予めサンプルを採取し
て結晶粒径を調べ、最大粒径が20mmをこえるスラブにつ
いて以下の処理に供した。
次いでガス加熱炉にて1230℃、3時間予熱処理し、引
続き誘導加熱炉に装入し、周波数、投入電力量および保
護ガス吹き付け温度を調節して、以下に示すF〜Jの5
条件でインヒビターを固溶処理した後、2.0mm厚の熱延
板とした。
F:圧下を加えないスラブについて、昇温速度7℃/minで
1420℃まで加熱し、30分間保持して抽出した。
G:圧下を加えたスラブについて、昇温速度7℃/minで14
20℃まで加熱して2分間保持した後1410℃に下げて30分
間保持して抽出した。
H:圧下を加えないスラブについて、昇温速度7℃/minで
1450℃まで加熱して3分間保持した後、1420℃に下げて
30分間保持して抽出した。
I:圧下を加えたスラブについて、昇温速度7℃/minで14
50℃まで加熱し、3分間保持した後、1420℃に下げて30
分間保持して抽出した。
J:圧下を加えないスラブについて、昇温速度7℃/minで
1475℃まで加熱して3分間保持した後、1420℃に下げて
30分間保持して抽出した。
該熱延鋼板に950℃、1分間の熱延焼鈍を施し、1次
冷間圧延で0.60mm厚とし、次に水素中1000℃2分間の中
間焼鈍を施し、2次冷間圧延で0.23mm厚の最終板厚に仕
上げた。引続き湿水素中830℃、3分間の脱炭焼鈍を施
したのち、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、水
素中で1200℃、5時間の仕上焼鈍を施して方向性けい素
鋼板とした。得られた1030mm幅のコイルから両エッジ15
mmを除去した後、100mm幅のサンプル10枚を取り出し磁
気特性、表面疵の有無および2次再結晶状況を調査し
た。得られた結果を第2表に示す。
第2表から明らかなように、この発明法に従えば、製
品厚みの薄いものでも効果のあることがわかる。
実施例3 C:0.065%、Si:3.20%、Mn:0.075%、Se:0.019%、S
b:0.025%、Al:0.025%およびN:0.075%を含有し残部実
質的にFeよりなる、240mm厚のスラブに、実施例2と同
一条件の圧下および加熱処理を施し、1.8mm厚の熱延板
とした。
該熱延鋼板に1050℃、1分間の焼鈍を施した後、冷間
圧延によって0.23mm厚に仕上げ、引続き840℃で3分間
の湿水素中での脱炭焼鈍を施したのち、MgOを主成分と
する焼鈍分離剤を塗布し、水素中で1200℃、20時間の仕
上げ焼鈍を施して方向性けい素鋼板とした。得られた10
30mm幅のコイルから両エッジ15mmを除去した後、100mm
幅のサンプル10枚を切り出し、磁気特性、表面疵の有無
および2次再結晶状況を調査した。得られた結果を第3
表に示す。
第3表から明らかなように、この発明法に従ってスラ
ブ加熱を実施することにより、冷延1回法においても表
面疵がなく、均一な磁気特性の製品が得られることがわ
かる。
実施例4 C:0.070%、Si:3.15%、Mn:0.073%、Se:0.020%、A
l:0.030%、およびN:0.0080%を含有し残部実質的にFe
よりなる、200mm厚のスラブを、全湾曲タイプの連続鋳
造機を用いて鋳造するに際し、一方の片ストランドにピ
ンチロールにて1.5%の圧下を加え、他方の片ストラン
ドには圧下を加えなかった。なおスラブの先後端から予
めサンプルを採取して結晶粒径を調べ、最大粒径が20mm
をこえるスラブについて以下の処理に供した。
次いで各スラブを予めガス加熱炉で1200℃、3時間加
熱しておき、引続き誘導加熱炉で周波数、投入電力量お
よび保護ガス吹き付け温度を適切に選び、次に示すK〜
Pの6条件にてインヒビターの固溶処理を実施した後、
熱間圧延して3.0mm厚の熱延板とした。
K:圧下を加えたスラブについて、昇温速度8℃/minで13
40℃まで加熱し、20分間保持して抽出した。
L:圧下を加えたスラブについて、昇温速度8℃/minで14
20℃まで加熱し、20分間保持して抽出した。
M:圧下を加えないスラブについて、昇温速度8℃/minで
1420℃まで加熱し、20分間保持して抽出した。
N:圧下を加えたスラブについて、昇温速度8℃/minで14
50℃まで加熱して2分間保持した後、1420℃に下げて20
分間保持して抽出した。
O:圧下を加えたスラブについて、昇温速度8℃/minで14
75℃まで加熱して2分間保持した後、1420℃に下げて20
分間保持して抽出した。
P:圧下を加えないスラブについて、昇温速度8℃/minで
1475℃まで加熱して2分間保持した後、1420℃に下げて
20分間保持して抽出した。
該熱延鋼板を1次冷間圧延で2.0mm厚とし、次に水素
中1100℃、2分間の中間焼鈍を行い、2次冷間圧延で0.
30mmの最終板厚に仕上げた。引続き湿水素中840℃、3
分間の脱炭焼鈍を施したのち、MgOを主成分とする焼鈍
分離剤を塗布し、水素中で1200℃、20時間の仕上焼鈍を
施して方向性けい素鋼板とした。得られた1030mm幅のコ
イルから両エッジ15mmを除去した後、100mm幅のサンプ
ル10枚を切り出し磁気特性、表面疵の有無および2次再
結晶状況を調査した。得られた結果を第4表に示す。
第4表から明らかなように、この発明に従ってスラブ
加熱を実施することにより、インヒビターの複合添加に
おいても、先の実施例と同様に効果のあることがわか
る。
実施例5 C:0.035〜0.038%、Si:3.13〜3.25%、Mn:0.070〜0.0
78%を含み、さらに第5表に示すインヒビター成分を含
有し残部実質的にFeよりなる過熱度50℃の鋼を、1.5m/m
inで連続鋳造し、240mm厚のスラブとした。該スラブに
分塊圧延機にて7%の圧下を加え、次いで予めガス加熱
炉にて1250℃で3時間加熱し、その後誘導加熱炉に装入
し、周波数、投入電力量、保護ガス吹き付け温度を変
え、8℃/minで1465℃まで加熱して5分間保持した後、
1420℃に下げて30分間保持して抽出し、その後3.0mm厚
の熱延板とした。
該熱延鋼板に1050℃で1分間の焼鈍を施した後、1次
冷間圧延で0.80mm厚とし、ついで1000℃、1分間の中間
焼鈍を施し、2次冷間圧延で0.30mmの最終厚みに仕上げ
た。引続き湿水素中で820℃、3分間の脱炭焼鈍を施し
たのち、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、水素
中で1200℃、10時間の仕上焼鈍を施して方向性けい素鋼
板とした。得られた1030mm幅のコイルから両エッジ15mm
を除去した後、100mm幅のサンプルを10枚切り出し磁気
特性を測定した。同一サンプルについて表面疵の有無お
よび2次再結晶状況を調査した。得られた結果を第6表
に示す。
第6表から明らかなように、この発明に従って軽圧下
および加熱を実施することにより表面疵および帯状細粒
を発生させずに、磁気特性の均一化が図れる。
(発明の効果) 以上説明したようにこの発明は、スラブ加熱に先立つ
圧下によってスラブの粗大粒を破壊して微細化し、続く
熱間圧延前のスラブ加熱においてインヒビターを固溶す
るに際し、スラブを固体と液体とが共存する温度域に一
旦入れ、結晶粒の粗大化を抑制するようにしたので、帯
状細粒が発生しなくなり、優れた磁気特性を均一に得る
ことができ、また表面疵の発生も防止できるところか
ら、製品品質の向上に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】 第1図はスラブ加熱条件とスラブ最大結晶粒径との関係
を示すグラフ、 第2図はスラブ加熱に先立つ圧下とスラブ加熱後の結晶
粒径との関係を示すグラフ、 第3図はスラブ加熱条件と製品板の表面疵との関係を示
すグラフ、 第4図はスラブ加熱条件と表面疵発生限界との関係を示
すグラフ、 第5図はスラブ加熱条件とスラブ最大結晶粒径との関係
において、この発明のスラブ二段階加熱の下限温度を示
すグラフ、 第6図はスラブ加熱条件と製品の磁束密度B8との関係を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小出 正人 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含けい素鋼スラブを加熱した後、熱間圧延
    を施し、その後1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の
    冷間圧延を施して最終板厚に仕上げたのち、脱炭焼鈍を
    施し、次いで鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから、仕
    上げ焼鈍を施す一連の工程によって一方向性けい素鋼板
    を製造するに当たり、 上記のスラブ加熱に先立って、スラブに圧下率1〜10%
    の圧下を加え、次いで保護ガス雰囲気中でスラブを粒界
    偏析の少なくとも一部が溶融する温度域に達するまで加
    熱し、その後1380〜1440℃の温度域に加熱し、この温度
    域に5〜60min保持することを特徴とする磁気特性の均
    一な一方向性けい素鋼板の製造方法。
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