JP2009241081A - フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性が高く、スケール欠陥の発生を防止または抑制し得るフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法を提供する。
【解決手段】フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造するに際し、連続鋳造後のスラブに対し、その表面温度が200℃以上500℃以下の温度範囲で、表面硬さがHv300以上且つ爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材を用いたショットブラスト加工を施す。
【選択図】図1
【解決手段】フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造するに際し、連続鋳造後のスラブに対し、その表面温度が200℃以上500℃以下の温度範囲で、表面硬さがHv300以上且つ爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材を用いたショットブラスト加工を施す。
【選択図】図1
Description
本発明は、フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法に関する。
フェライト系ステンレス鋼では、熱間圧延時に肌荒れと呼ばれるスケール欠陥が発生する場合が多く、特にCrやMoの添加量が多い鋼種で顕著に発生する傾向にある。このようなスケール欠陥が発生すると、その後の酸洗工程でもこれを完全に除去できず、冷間圧延後も微小な表面疵として残存してしまい、冷延鋼板の表面品質を劣化させることになる。その一方で、ステンレス鋼板では美麗な表面品質が要求される。そのため、このようなスケール欠陥が発生した場合、これを除去するために、酸洗工程の追加、あるいは表面研削工程の追加などが必要となり、歩留まりや生産効率の著しい低下を招いていた。
フェライト系ステンレス鋼の熱間圧延工程では、スラブを加熱炉にて、1150〜1250℃の温度域まで加熱し、熱間圧延するわけであるが、加熱中にスラブ表面に生じる一次スケールは、その厚さが部分的に不均一であり、スケールの薄い部分が、圧延中にロールとメタルタッチすることによって、焼き付きが生じることが、上記スケール欠陥の発生原因と考えられている。
そこで、従来、このようなスケール欠陥に対し、例えば特許文献1では、熱間圧延中の鋼材に、空気、酸素ガス、水蒸気などを、吹付け装置を用いて吹付けることにより、酸化を促進し、スケールを成長させることにより、メタルタッチを抑制する方法が提案されている。
そこで、従来、このようなスケール欠陥に対し、例えば特許文献1では、熱間圧延中の鋼材に、空気、酸素ガス、水蒸気などを、吹付け装置を用いて吹付けることにより、酸化を促進し、スケールを成長させることにより、メタルタッチを抑制する方法が提案されている。
また、例えば特許文献2には、加熱炉に挿入前のスラブに、グラインダ研削およびショットブラスト加工などを施し、スラブの表面粗さをRmaxで20μm以上とすることにより、スラブ表面に均一で厚いスケールを生成せしめ、しかる後に熱間圧延をすることにより、スケール欠陥の発生を抑制する方法が提案されている。同文献によれば、スケールが不均一に成長している段階ではスケール欠陥が発生し易いが、それらスケールが結合して均一な厚いスケールに成長すると、スケール欠陥が抑制できるとされている。
特開昭60−174202号公報
特開平7−284804号公報
特開昭60−2628号公報
特開2004−167546号公報
ここで、特許文献1に記載の技術では、熱間圧延の途中に特別な吹付け装置を必要とし、設備の大幅な改造が必要になるという問題がある。また、Cr添加量が20%を超える場合、あるいはMo添加量が1%を超える場合など、高温での耐食性が高い鋼種では、水蒸気などを吹付けてもスケールはほとんど発生せず、スケール欠陥を完全に抑制できないという問題がある。一方、特許文献2に記載の技術については、本願発明者らが鋭意実験した結果によれば、グラインダ研削やブレナー切削等も効果的ではあるものの、ショットブラストによる加工がスケール生成促進に最も有効であることが確認されている。また、生産性等の観点からも、ショットブラストによるスラブ表面加工が望まれる。
しかしながら、Cr添加量が20%を超えるようなフェライト単相系ステンレスでは、高温での耐食性が高く、加熱炉でのスラブ加熱時に均一で厚いスケールを生成し難い。そのため、熱間圧延時のスケール欠陥の発生が特に問題となるのに対し、フェライト単相系ステンレスでは、連続鋳造のスラブを常温まで冷却するのが事実上困難であり、スケール生成促進に有効なショットブラスト加工が粉体爆発の問題から施せない。そのため、より一層、熱間圧延時のスケール欠陥の抑制が困難となっているのである。
詳しくは、フェライト単相系ステンレス鋼は、C、Nの添加量が少なく、且つCrの添加量が多い。つまり、フェライト単相系ステンレス鋼とは、オーステナイトポテンシャルの低いフェライト系ステンレスであり、鋳造温度から冷却後の常温までの間は変態せず、フェライト単相である。そのため、フェライト単相系ステンレスでは、連続鋳造のスラブを常温まで冷却すると、低温脆性の影響により、熱間圧延中にスラブが割れ易くなるという問題がある。
ここで、このスラブ割れを防止する方法として、スラブを常温まで徐冷却することにより、熱応力を低減する方法(例えば、特許文献3参照)、あるいは、スラブが常温まで冷却されないうちに、例えば200〜500℃程度の温度でスラブを加熱炉に挿入する方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。前者のスラブを常温まで徐冷却する方法は、800℃から100℃までの間、1〜9℃/min.の狭レンジで温度管理する必要がある。そのため、生産性、コスト、納期の観点から事実上、採用が困難であり、後者の200℃以上のスラブ温度で加熱炉に挿入する方法を採らざるを得ないのが現状である。しかし、後者の場合、200℃以上の温片スラブに対し、通常用いられるスチールショットによるショットブラスト加工を施すことは、粉体爆発が生じるという安全面の問題がある。
つまり、通常、ショットブラスト加工では、粒径0.3mm〜2.0mm程度のスチールショット、スチールグリット、スチールカットワイヤなど、炭素鋼の投射材が用いられる。ここで、炭素鋼の投射材を用いたショットブラスト加工では、投射材はスラブとの衝突時に部分的に破砕、摩耗して、微細な摩耗粉が発生する。この微細な摩耗粉は、粒径数μm以下のものが多く、この微細な摩耗粉は活性な鉄粉なので、着火元があれば、発火、爆発する可能性のある危険物である。このため、ショットブラスト設備周辺は、通常、火気厳禁であり、200℃以上の温片スラブに炭素鋼の投射材でショットブラスト加工を施すことは、事実上困難であり、スケール欠陥を十分に抑制する上で未だ解決すべき課題が残されているのである。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造するに際し、安全性が高く、スケール欠陥の発生を防止または抑制し得るフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願発明者らは、フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造するに際し、スケール生成促進に有効なショットブラスト加工の適用可能性について鋭意検討を行った結果、投射材の物性が所定のものを採用すれば、上述したような粉体爆発の虞がなく、スケール欠陥の発生を防止または抑制し得るという知見を得た。
具体的には、本願発明者らは、図1に示すように、通常用いられるスチールショットなどの炭素鋼の投射材は、その活性度が高いために、爆発粉塵濃度が低く、それ故、熱間圧延鋼帯を製造するに際して火災の懸念があり、その採用が困難となっていると考えた。さらに、本願発明者らは、フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造するに際しては、その操業上、同図に示す粉体爆発実験時の爆発粉塵濃度が5000g/m2以上になることは現実的には起こり得ない点に着目し、この観点から種々の投射材を用いて粉体爆発実験を繰り返し実施した。その結果、図1に示す爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材を選定してこれを用いれば、実質的に粉体爆発を回避することができるという知見を得たのである。
一方、仮に粉体爆発を回避したとしても、ショットブラスト加工に用いる投射材が軟らかすぎれば、スラブ表面を十分に凹凸化できず、スケール欠陥の発生を防止または抑制する上で不十分である。そこで、本願発明者らは、上記爆発粉塵濃度の検討に加えて、図1に示すように、種々の表面硬さの投射材を用いて、スケール生成促進に有効な硬さについても実験を重ねた。その結果、投射材の表面硬さがHv300未満であると(例えば同図でのマグネシウムカットワイヤやナイロンショット)、スラブ表面を効果的に凹凸化できず、スケール成長が期待できないが、投射材の表面硬さがHv300以上であれば、スケール生成促進に有効な状態にスラブ表面を凹凸化可能であり、これにより、スケール欠陥の発生を防止または抑制し得るという知見を得るに至った。
すなわち、本発明は、フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造する方法であって、連続鋳造後のスラブに対し、その表面温度が200℃以上500℃以下の温度範囲で、表面硬さがHv300以上且つ爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材を用いたショットブラスト加工を施すことを特徴としている。
すなわち、本発明は、フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造する方法であって、連続鋳造後のスラブに対し、その表面温度が200℃以上500℃以下の温度範囲で、表面硬さがHv300以上且つ爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材を用いたショットブラスト加工を施すことを特徴としている。
本発明に係るフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法によれば、上記知見に述べたように、爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材を用いているので、フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造するに際し、その操業上、実質的に粉体爆発を回避することができる。そして、この投射材はその表面硬さがHv300以上のものを用いているので、スケール生成促進に有効な状態にスラブ表面を凹凸化可能であり、これにより、スケール欠陥の発生を防止または抑制することができる。なお、スラブ温度を200℃以上500℃以下に限定した理由は、スラブが200℃未満まで冷却されると、スラブ割れの懸念が高くなるためであり、また、500℃以下に限定した理由は、鋳造後のスラブを搬送する際、通常、スラブ温度は500℃以下にまで温度が低下するためである。
ここで、本発明に係るフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法において、前記投射材は、ステンレス製であることは好ましい。このような構成であれば、表面硬さがHv300以上且つ爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材として、入手性やコスト等の点で好適である。
また、本発明に係るフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法において、前記ショットブラスト加工を、ショットブラスト後のスラブ表面の算術平均粗さ(Ra)が5μm以上となるように施すことは好ましい。このような構成であれば、スケール生成促進に有効な状態とするスラブ表面の凹凸化の程度として好適である。
また、本発明に係るフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法において、前記ショットブラスト加工を、ショットブラスト後のスラブ表面の算術平均粗さ(Ra)が5μm以上となるように施すことは好ましい。このような構成であれば、スケール生成促進に有効な状態とするスラブ表面の凹凸化の程度として好適である。
上述のように、本発明に係るフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法によれば、フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造するに際し、安全性が高く、スケール欠陥の発生を防止または抑制することができる。
以下、本発明に係るフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
ここで、本発明でいうフェライト単相系ステンレス鋼とは、鋳造温度から常温までの冷却過程でオーステナイトに変態しない鋼のことであり、代表鋼種として、21mass%Cr−0.5mass%Cu−0.3mass%Ti鋼、18mass%Cr−1.2mass%Mo−0.3mass%Ti鋼などが挙げられる。これらの鋼種では、鋳造されたスラブの状態では、延性−脆性遷移温度が200℃程度であり、このため、鋳造温度から常温まで冷却した場合、熱応力によってスラブは割れやすくなる。一方、加熱炉内でのスケール生成は、Cr添加量とMo添加量に大きく依存するわけであるが、これらの鋼種では、Cr添加量、あるいはMo添加量が多く、スケールが成長し難いため、熱延時のスケール欠陥の発生が問題となる。
ここで、本発明でいうフェライト単相系ステンレス鋼とは、鋳造温度から常温までの冷却過程でオーステナイトに変態しない鋼のことであり、代表鋼種として、21mass%Cr−0.5mass%Cu−0.3mass%Ti鋼、18mass%Cr−1.2mass%Mo−0.3mass%Ti鋼などが挙げられる。これらの鋼種では、鋳造されたスラブの状態では、延性−脆性遷移温度が200℃程度であり、このため、鋳造温度から常温まで冷却した場合、熱応力によってスラブは割れやすくなる。一方、加熱炉内でのスケール生成は、Cr添加量とMo添加量に大きく依存するわけであるが、これらの鋼種では、Cr添加量、あるいはMo添加量が多く、スケールが成長し難いため、熱延時のスケール欠陥の発生が問題となる。
そこで、このフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法では、加熱炉内でのスケール生成促進のため、加熱炉に挿入前のフェライト単相系ステンレス鋼スラブの表面に、所定の投射材を用いたショットブラスト加工を施している。なお、このショットブラスト加工を施す設備自体については、公知のものと同様であるのでその図示および説明については省略する。
ここで、前述のように、フェライト単相系ステンレス鋼では、スラブを常温まで冷却することは、事実上困難であるため、200℃以上の温片スラブにショットブラスト加工を施す必要がある。そこで、本実施形態では、上述した知見に基づいて、連続鋳造後のスラブに対し、その表面温度が200℃以上500℃以下の温度範囲で、図1に示す好適範囲から選定した、表面硬さがHv300以上且つ爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材を用いたショットブラスト加工を施している。このショットブラスト加工の目的は、スラブ表面に歪(マイクロクラック)を導入し、酸素と地鉄部分の酸化反応を促進すること、およびスラブ表面を凹凸化し、凸部を酸化の起点とし、全体的な酸化の促進を図ることにより、均一で厚いスケールを容易に形成せしめることにある。
ここで、本実施形態の例では、表面硬さがHv300以上且つ爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材として、図1に示すステンレス(SUS)製のショットないしカットワイヤを用いている。これらステンレス製の投射材は、破砕、摩耗し難く、微細な摩耗粉が発生し難いことに加え、発生する摩耗粉が酸化し難いため、発火の危険性が低い。また、スラブもフェライト単相系ステンレス鋼であるため、スラブから発生する摩耗粉も発火性がほとんどなく、危険性が低い。これにより、常温まで冷却することが困難なフェライト単相系ステンレス鋼においても、200℃以上の温片の状態でショットブラスト加工を施すことが可能となり、その後のスラブ加熱の際、均一で厚いスケールの成長が促進されることから、スケール欠陥の発生が発生することなく熱延することが可能となる。
以下、このフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法の作用および効果、並びに検証内容について説明する。
まず、このフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法での、ショットブラスト加工の際に発生する粉塵(ショット投射材の摩耗粉、被投射材から発生する摩耗粉など)の発火性、爆発性を評価した。
まず、このフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法での、ショットブラスト加工の際に発生する粉塵(ショット投射材の摩耗粉、被投射材から発生する摩耗粉など)の発火性、爆発性を評価した。
表1に示すサンプルA(炭素鋼の投射材例)は、粒径0.5mmのスチールショットを用いてショットブラストした際に発生した粉塵を採取したものであり、また、表1に示すサンプルB(ステンレス鋼の投射材例)は、粒径0.6mmのステンレスショットを用いてショットブラストした際に発生した粉塵を採取したものである(いずれも図1に示すスチールショット、およびSUSショットが対応する)。なお、この発火性、爆発性の試験は、JISZ8818に準拠して行ったものであり、筒内に一定量の粉体を吹き上げて分散後、10Jのアーク放電火花を発生させて粉塵雲を着火し、その際の発火性、爆発性を観察したものである。表1に結果をあわせて示す。
同表に示すように、炭素鋼の投射材の場合、2000g/m2の条件で発火性が確認される(符号「×」)のに対し、ステンレス製の投射材の場合は、10000g/m2の条件であっても発火性がない(符号「○」)。これは、炭素鋼の投射材から発生する微小な摩耗粉は、まだ十分に酸化していない活性な鉄粉であり、その表面エネルギーが大きいため、発火性、爆発性があるのに対し、ステンレス製の投射材から発生する微小な摩耗粉は、大気中において安定なため、これ以上酸化することがない状態であり、発火性、爆発性がないからである。このように、ステンレス製の投射材を用いた場合、発火性、爆発性がないことから、安全性が高く、200℃以上の温片スラブにショットブラスト加工を施すことが可能となる。
次に、比較のためのグラインダ手入れ加工、ないし上記本発明に係るショットブラスト加工を、種々のスラブ表面処理条件下で実施し、その際のスケール性状との関係を調査した(表2参照)。
対象としたスラブは、21mass%Cr−0.5mass%Cu−0.3mass%Ti−0.005mass%C−0.004mass%N鋼の連連続鋳造後のスラブとした。このスラブを200℃〜400℃の温度範囲にて、表2に示すような種々の条件でショットブラスト加工、ないしグラインダ手入れ加工を施した後に、加熱炉相当のO2濃度5%、露点60℃の雰囲気で1170℃、30min.均熱し、スケール性状を観察した。また、加熱前のスラブ表面について、JISB0601−2000、JISB0651−2001に準拠し、触針式表面粗さ測定器をサンプル表面に当てて、長さ方向に移動させ、粗さ曲線用の基準長さlr(λc)を0.8mm、うねり曲線用の基準長さlw(λf)を8mm、断面曲線用の基準長さlp、すなわち評価長さlnを40mmとして算術平均粗さRa(s)を測定した。得られた結果を表2にあわせて示す。また、同表でのスケール性状(×、△、○)にそれぞれ対応するイメージを、図2に示す。
対象としたスラブは、21mass%Cr−0.5mass%Cu−0.3mass%Ti−0.005mass%C−0.004mass%N鋼の連連続鋳造後のスラブとした。このスラブを200℃〜400℃の温度範囲にて、表2に示すような種々の条件でショットブラスト加工、ないしグラインダ手入れ加工を施した後に、加熱炉相当のO2濃度5%、露点60℃の雰囲気で1170℃、30min.均熱し、スケール性状を観察した。また、加熱前のスラブ表面について、JISB0601−2000、JISB0651−2001に準拠し、触針式表面粗さ測定器をサンプル表面に当てて、長さ方向に移動させ、粗さ曲線用の基準長さlr(λc)を0.8mm、うねり曲線用の基準長さlw(λf)を8mm、断面曲線用の基準長さlp、すなわち評価長さlnを40mmとして算術平均粗さRa(s)を測定した。得られた結果を表2にあわせて示す。また、同表でのスケール性状(×、△、○)にそれぞれ対応するイメージを、図2に示す。
同表に示すように、グラインダ手入れ加工では、スケール性状が「×」ないし良くても「△」であるのに対し、本発明に係るショットブラスト加工によれば、一例を除き、スケール性状が「○」であり、均一で厚いスケールを生成する上で有効であることがわかる。したがって、本発明に係るショットブラスト加工の方が、スケール欠陥の発生を防止または抑制可能なことがわかる。なお、手入れ加工温度の影響は少ないようである。
ここで、本発明に係るショットブラスト加工による表面粗さは、均一なスケールを一層確実に生じさせる上では、算術平均粗さ(Ra)で5μm以上が好ましく、この場合において、粒径1.0mm以上のショット材を投射速度60m/sec.以上で投射することにより、算術平均粗さ(Ra)で5μm以上の表面粗さを得ることが可能である(スケール性状が全て「○」)。
以上説明したように、このフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法によれば、表面硬さがHv300以上且つ爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材としてステンレス製の投射材を用いたショットブラスト加工を施したので、これにより、フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造するに際し、安全性が高く、スケール欠陥の発生を防止または抑制することができる。
なお、上記実施形態では、ステンレス製の投射材を用いた例で説明したが、本発明で用いるショットブラスト加工用の投射材は、ステンレス製の投射材に限るものでなく、表面硬さがHv300以上且つ爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材であれば、例えばアランダムに代表されるセラミック製の投射材や、図1に示す超硬合金製のショット材でもよく、破砕、摩耗によって発生する摩耗粉が、粉塵濃度が5000g/m2未満のときに酸化によって発火しなければよい。
[実施例]
以下、本発明の実施例および従来例により、本発明の効果を更に検証する。
本実施例では、表3に示す化学組成に溶製し、連続鋳造によってフェライト単相系ステンレス鋼の3つの鋼種A,B,Cのスラブとした。
[実施例]
以下、本発明の実施例および従来例により、本発明の効果を更に検証する。
本実施例では、表3に示す化学組成に溶製し、連続鋳造によってフェライト単相系ステンレス鋼の3つの鋼種A,B,Cのスラブとした。
そして、これら3つの鋼種A,B,Cの各スラブを常温まで冷却することなく、2.5mmのステンレスカットワイヤ(図1参照)を投射材として投射速度90m/sec.、投射密度150kg/m2の条件で、本発明に係るショットブラスト加工(本発明例)を施した後に、加熱炉に挿入し、1170℃まで各スラブを加熱後、熱間圧延を行った。ここで、このショットブラスト加工に際しては、粉体爆発等の問題はまったく発生せず、所望のショットブラスト加工を行うことができた。
また、従来例については、上記3つの鋼種A,B,Cの各スラブを、200℃以上の温度範囲で、#20の研削砥石によるグラインダ手入れ加工を施した後に、加熱炉に挿入し、1170℃まで各スラブを加熱後、熱間圧延を行った。
そして、本発明例および従来例ともに、加熱炉から抽出後、(以下不図示の)3基の圧延機からなる粗圧延ミルで30mm厚のシートバーまで圧延し、7基の圧延機からなる仕上げ圧延ミルによって、板厚3mmまで仕上げ圧延を施した。得られた熱延コイルを連続焼鈍、酸洗処理した後に、コイル全長に渡って、表面スケール疵の有無、およびその発生頻度(コイル長手1mあたりの表面疵の個数)を調査した。得られた結果を図3に示す。なお、酸洗条件は、70℃の150g/l硫酸水溶液に60sec.浸漬した後、60℃の100g/l硝酸+50g/l沸酸水溶液に30sec.浸漬した。
そして、本発明例および従来例ともに、加熱炉から抽出後、(以下不図示の)3基の圧延機からなる粗圧延ミルで30mm厚のシートバーまで圧延し、7基の圧延機からなる仕上げ圧延ミルによって、板厚3mmまで仕上げ圧延を施した。得られた熱延コイルを連続焼鈍、酸洗処理した後に、コイル全長に渡って、表面スケール疵の有無、およびその発生頻度(コイル長手1mあたりの表面疵の個数)を調査した。得られた結果を図3に示す。なお、酸洗条件は、70℃の150g/l硫酸水溶液に60sec.浸漬した後、60℃の100g/l硝酸+50g/l沸酸水溶液に30sec.浸漬した。
同図に示すように、従来例では、鋼種A,B,Cのいずれの鋼種についても10個/m2以上の多くのスケール疵が確認された。これに対し、本発明例では、いずれの鋼種についても10個/m2未満のスケール疵に抑えることができ、表面品質に優れていることがわかる。
Claims (3)
- フェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯を製造する方法であって、
連続鋳造後のスラブに対し、その表面温度が200℃以上500℃以下の温度範囲で、表面硬さがHv300以上且つ爆発粉塵濃度が5000g/m2以上の投射材を用いたショットブラスト加工を施すことを特徴とするフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法。 - 請求項1において、
前記投射材は、ステンレス製であることを特徴とするフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法。 - 請求項1または2において、
前記ショットブラスト加工を、ショットブラスト後のスラブ表面の算術平均粗さが5μm以上となるように施すことを特徴とするフェライト単相系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯の製造方法。
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