JP2004074595A - インクジェットインクを用いた印刷物の差し替え偽造防止方法及びその方法による印刷物シート組並びにその方法に用いるプリンタ - Google Patents

インクジェットインクを用いた印刷物の差し替え偽造防止方法及びその方法による印刷物シート組並びにその方法に用いるプリンタ Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェットインクを用いた印刷物シート組の差し替え偽造防止方法及びその方法による印刷物シート組並びにその方法に用いるプリンタを提供する。
【解決手段】インクジェットインクを用いた複数のシート1からなる印刷物シート組2の各シート1の所定部1aに、シート1と同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報を、肉眼で視認できないか又は肉眼では視認困難な状態で印字する。又、シートにプリント員数関係のID情報を印字するために、当該シートと同色のインクジェットインクを用いた印字ユニットをプリンタに備える。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットインクを用いた印刷物の差し替え偽造防止方法、及びその方法による印刷物シート組並びにその方法に用いるプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時パソコンが一般家庭に広く普及し、それに伴いインクジェットインクを用いるプリンタの性能が飛躍的に向上してきた。インクジェット方式は、カラー性能に優れておりしかも解像度が高く、ランニングコストが低価格であり、用途の広がり(個人ユースから業務用大判化まで対応できる)があることから、今後益々発展する方式と言われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記インクジェット方式のプリンタで複数のシート組からなる文書等を印刷した場合、その印刷物シート組のいずれかのシートが、内容を改ざんしたシートに差し替えられてしまうと文書偽造という問題が発生する。このようなシート差し替えによる文書偽造を防止するために、従来では例えば有色インキでシートにカウント員数を付したり、或は特定の波長光を当てることにより可視化するIRインキ等を用いてシートにカウント員数を付したりしている。しかしながら、有色インキでは誰でも視認できるためセキュリティ性に欠け、IRインキ等では特殊なステルスインキを使用する必要があり、近時ではその特殊インキそのものが一般的になってきているため文書偽造を完全に食い止めることが不可能な状況にある。
【0004】
そこで、本発明は、上記のような従来の事態に鑑みてなされ、インクジェットインクを用いた印刷物の差し替え偽造防止方法、及びその方法による印刷物シート組並びにその方法に用いるプリンタを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、インクジェットインクを用いた印刷物の差し替え偽造防止方法であって、複数のシートからなる印刷物シート組の各シートの所定部に、シートと同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報を視認困難に施すことを特徴とする。
【0006】
この請求項1の発明では、インクジェット方式のプリンタで印刷した複数のシートからなるシート組には、各シートの所定部にシートと同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報が施されているため、偽造目的でシート組中の一部のシートを差し替えても、その差し替えシートにはプリント員数関係のID情報が付されていないため、文書偽造を容易に発見することができる。又、シートと同色のインクジェットインク(通常シートは白色紙であるため、白色のインクジェットインクが用いられるが、シートが有色紙である場合はそれと同色のインクジェットインク)が用いられるため、プリント員数関係のID情報を容易に視認することができず、セキュリティ性を高めることができる。
【0007】
本発明に係る請求項2の発明は、インクジェットインクを用いた複数のシートからなる印刷物シート組であって、各シートの所定部にシートと同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報が視認困難に施されていることを特徴とする。
【0008】
この請求項2の発明では、インクジェット方式で印刷されたシート組の各シートの所定部には、シートと同色のインクジェットインクでプリント員数関係のID情報が視認困難に施されているため、内容を改ざんした他のシートをもって差し替えられた場合に、プリント員数関係のID情報の有無及び内容を確認することで偽造シートを容易に発見することができる。
【0009】
本発明に係る請求項3の発明は、請求項2の発明において前記シートの所定部にインクジェットインク受容層を設け、このインクジェット受容層の上に当該インクジェット受容層と同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報を印字することを特徴とする。
【0010】
この請求項3の発明では、シートの所定部に設けられたインクジェットインク受容層の上に、それと同色のインクジェットインクでプリント員数関係のID情報を印字するため、インクジェットインクの定着性が良好となり、しかもプリント員数関係のID情報をインクジェットインク受容層の中に視認困難な状態で隠蔽することができる。
【0011】
更に、本発明に係る請求項4の発明は、インクジェットインクを用いるプリンタであって、シートにプリント員数関係のID情報を印字するために、当該シートと同色のインクジェットインクを用いた印字ユニットを備えてなることを特徴とする。
【0012】
この請求項4の発明では、インクジェットインクを用いるプリンタに、シートと同色のインクジェットインクでプリント員数関係のID情報を印字するための印字ユニットを備えているため、シートにプリントする際に視認困難なプリント員数関係のID情報を付すことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施形態に付いて説明する。
図1は、インクジェット方式のプリンタにより印刷された複数のシート1からなる印刷物シート組2を示している。シート1は白色の紙であり、各シート1の所定部1aには白色インクによるプリント員数関係のID情報が施されている。尚、所定部1aは各シート1の右上隅部となっているが、この部分に限定されずシート1の周囲余白部の任意箇所でよい。
【0014】
上記白色インクは、発像成分(白色色材)と水溶性有機溶媒を主成分とし、インクジェット方式の複写機で用いられるインクジェットインクであって、発像成分を白色色材のみとし、有色顔料や有色染料等、白色単色以外の有色の発像成分を含んでいないものである。
【0015】
本発明で用いる白色色材としては、白色の顔料又は染料であって、天然品及び/又は合成品を用いることができる。具体的には、例えば二酸化チタン(アナターゼやルチル)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、鉛顔料(炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、塩基性シリコ硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛等)、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、ジルコン、カオリン、粘土、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸塩(ステアタイト、アスベスチン等から得られるタルク等)、雲母、水和アルミナ、軽石、アスベスト、硫酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸ナトリウムカリウム等を挙げることができる。これらは2種以上混合して用いることもできる。尚、この他にpH調整剤、粘度調剤、表面張力調整剤等を含有させることができる。
【0016】
上記のように白色の紙からなるシート1の所定部1aに、このシート1と同色の白色インクジェットインクによってプリント員数関係のID情報が印字されているため、印刷物シート組2中の一部のシートを、内容を改ざんした虚偽のシートに差し替えて文書を偽造することができなくなる。その虚偽のシートにはプリント員数関係のID情報が印字されていないか、又は印字されていても前後シートのプリント員数関係のID情報とは連続性が遮断されるからである。
【0017】
プリント員数関係のID情報としては、例えば複写枚数カウントの通し番号、印刷物シート組2の頁番号、複写時の日付や時間、複写機を特定できる製造番号、その他暗証番号等が挙げられる。
【0018】
図1において、所定部1aは実線で枠状に表してあるが、実際は何もなくその所定部1aの存在を容易に視認することはできない。尚、有色の紙の場合には、その紙と同色の有色インクジェットインクによって所定部1aにプリント員数関係のID情報を印字すればよい。有色インクジェットインクを形成するには、前記白色色材に代えて有色の顔料又は染料を選択し、或は2種以上混合して有色の紙の色に酷似した有色インクジェットインクを調製する。
【0019】
図2は、本発明の他の実施形態におけるシート11の所定部11aを示す概略断面図である。この実施形態では、シート11は上記と同様に白い紙が用いられ、所定部11aの表面にインクジェットインク受容層13が形成されており、このインクジェットインク受容層13上にプリント員数関係のID情報14が印字されることに特徴を有している。
【0020】
インクジェットインク受容層13は、上記白色インクジェットインクの発像成分(白色色材)と同一種類の発像成分(白色色材)を含有するものが好ましく、インクジェット方式のプリンタで印刷する際にインクジェットインク受容層13の所定部に白色インクジェットインクによるプリント員数関係のID情報14が印字される。インクジェットインク受容層13面に印字されたプリント員数関係のID情報14はインクジェットインク受容層13との定着性が高く、しかも視認困難性が高く、肉眼で見えないか又は肉眼では見え難い。
【0021】
白色インクジェットインクと同一種類の白色色材を含有するインクジェットインク受容層13を形成する方法や手段等は特に限定されるものではない。例えば特定の溶剤を主として含むビヒクルを用い、このビヒクルに対してカチオン性樹脂、多孔質微粒子を配合したインクジェットインク受容層形成用インクを用いることができ、基材面(紙面に限らない)にオフセット印刷等により容易に形成できるので好ましく使用できる。
【0022】
このインクジェットインク受容層形成用インクを用いることにより、特別な乾燥装置(例えば、熱風乾燥装置、高周波乾燥装置、赤外線乾燥装置)やUV照射装置等が不要となり、そして基材に形成されたインクジェットインク受容層へのインクジェットインクの受容性が優れ、印字画像の滲みが起こらず、印字したインクジェットインクの耐水性が改善でき、インクジェット印字の品質を向上できる。更に、オフセット印刷適性に優れるため、基材の必要な箇所に容易にインクジェットインク受容層を形成することができる。
【0023】
インクジェットインク受容層形成用インクは、沸点100℃以上のグリコール系溶剤を主として含有するビヒクルを用いることができ、このビヒクルに対してカチオン樹脂及び/又は多孔質微粒子、及びマイクロカプセルを配合して調製される。このようなグリコール系溶剤を用いることにより特別な乾燥装置やUV照射装置等が不要となる。
【0024】
本発明で用いるグリコール系溶剤は、中沸点及び高沸点溶剤(沸点が100℃以上のもの)であり、具体的には、例えばグリコール(グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、)やグリコール誘導体(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)等、及びこれらの2つ以上の混合物を挙げることができる。
【0025】
本発明で用いるカチオン樹脂は、1級〜3級アミン又は4級アンモニウム塩のオリゴマ、ポリマである。特に好ましいカチオン性樹脂の例としては、具体的に例えばジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物等、或はこれらの2種以上の混合物等を挙げることができる。
【0026】
本発明で使用するグリコール系溶剤を主成分として含むビヒクルとカチオン性樹脂との質量比(ビヒクル:カチオン性樹脂)は1:1〜1:0.1の範囲が好ましい。カチオン性樹脂がこの範囲を超えて多いと印刷特性が劣る恐れがあり、逆にカチオン性樹脂がこの範囲未満であると耐水性が劣る恐れがあり、いずれも好ましくはない。
【0027】
本発明においては前記カチオン性樹脂を単独で用いることもできるが、カチオン性樹脂の代わりに多孔質微粒子を単独で用いることができ、又カチオン性樹脂と多孔質微粒子を併用することもできる。多孔質微粒子の配合量は、ビヒクル100質量部に対して、多孔質微粒子を5〜60質量部、好ましくは10〜50質量部配合することが望ましい。5質量部未満ではべたつきの抑制、耐水性や印字画像の滲みを改善できない恐れがあり、60質量部を超えると印刷インク適性が低下する恐れがあるので、いずれも好ましくない。
【0028】
多孔質微粒質としては、無機系微細粒子でも、有機系微細粒子でも、或は両者の混合物でもよく、特に限定されるものではない。中でも無機系微細粒子は好ましく使用できる。
本発明で用いる無機系微細粒子の具体例としては、例えば、シリカ微粒子では、ミズカシルP−526、P−801、P−527、P−603、P832、P−73、P−78A、P−78F、P−87、P−705、P−707、P−707D(水沢化学社製)、Nipsil E200、E220、SS−10F、SS−15、SS−50(日本シリカ工業社製)、SYLYSIA730、310(富士シリシア化学社製)など、炭酸カルシウム微粒子では、Brilliant−15、Brilliant−S15、Unibur−70、PZ、PX、ツネックスE、Vigot−10、Vigoto−15、Unifant−15FR、Brilliant−1500、ホモカルD、ゲルトン50(白石工業社製)などを、スルホ・アルミン酸カルシウム微粒子では、サチンホワイトSW、SW−B、SW−BL((白石工業社製)などを、アルミナ微粒子では、AL−41G、AL−41、AL−42、AL−43、AL−44、AL−41E、AL−42E、AL−M41、AL−M42、AL−M43、AL−M44、AL−S43、AM−21、AM−22、AM−25、AM−27(住友化学社製)、酸化アルミニウムC(日本アエロジル社製)などを、二酸化チタン微粒子では二酸化チタンT805、P25(日本アエロジル社製)などを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
インクジェットインク受容層形成用インクは、上記のグリコール系インクに限らず、例えばアクリル系インクを用いることができる。インクジェットインク受容層形成用アクリル系インクは、アクリル系光硬化性成分を主成分として含む体積収縮率10〜25%のビヒクルを用いることが肝要である。このようなアクリル系光硬化性成分として熱硬化型、紫外線硬化型及び/又は電子線硬化型は好ましく使用できる。体積収縮率が10%未満では硬化時に有効な多数の微細なクラックが発生しない恐れがあり、25%を超えると大きなクラックが生じ、有効な多数の微細なクラックが発生しない恐れがある。
【0030】
本発明で用いるアクリル系光硬化性成分としては、公知のアクリル系光重合性モノマーおよび/またはアクリル系光重合性オリゴマーから任意に選んで用いることができる。
このような光重合性モノマーとしては、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−アクリレート及びメタクリレート、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びメタクリレートなど、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド及びメタクリルアミド、N,N′−アルキレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミドなどを挙げることができる。
これらの光重合性モノマーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0031】
本発明においてはこれらのアクリル系光重合性モノマーとともに、アリル化合物、例えばアリルアルコール、アリルイソシアネート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレートなど、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸又はそのエステル、例えばアルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシアルキルのモノ又はジマレエート及びフマレートなど、その他の不飽和化合物、例えばスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどを適宜適量配合して用いることができる。
【0032】
また、ビヒクルの体積収縮率が大きすぎるような場合には、体積収縮率が小さい、例えばイソボルニルアクリレート又はメタクリレート、ノルボルニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、ポリオキシエチレン若しくはポリプロピレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいはこれらのスピログリコールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加重合体のモノ−、ジアクリレート、又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノアクリレート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレートなどの光重合性モノマーを適量混合して用いることができる。
【0033】
光重合性オリゴマーとしては、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、エポキシ樹脂のジグリシジルエーテルとジアリルアミンとの反応生成物などのエポキシ樹脂系プレポリマーや、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物などのような不飽和ポリエステル系プレポリマーや、ポリビニルアルコールとN−メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化した後、グリシジルメタクリレートを付加させたものなどのようなポリビニルアルコール系プレポリマー、ピロメリット酸二無水物のジアリルエステル化物に、p,p′−ジアミノジフェニルを反応させて得られるプレポリマーのようなポリアミド系プレポリマーや、エチレン−無水マレイン酸共重合体とアリルアミンとの反応生成物、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーなど、そのほか、ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマーなどを挙げることができる。
これらの光重合性オリゴマーは、重量平均分子量凡そ2000〜30000の範囲のものが適当である。
【0034】
本発明で用いる光重合開始剤には、熱によって分解しラジカルを生成する過酸化物やアゾ化合物などの熱分解型ラジカル重合開始剤[例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、キュメンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸塩(カリ塩、アンモニウム塩)、還元剤を加えることによりラジカル生成速度を大にするレドックス系触媒など]の他に、例えば、ベンゾインやベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾイン−イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチル−エーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノンなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その含有量は、通常光硬化成分100質量部当り、5〜15質量部の範囲で選ばれるのが好ましい。
【0035】
上記2つのインクジェットインク受容層形成用インクには、必要に応じて公知の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば粘度調整剤、老化防止剤、pH調節剤、消泡剤、各種安定剤、着色剤グリセリン等のロール転写性向上剤等を挙げることができる。
【0036】
又、2つのインクジェットインク受容層形成用インクは、グラビアコータ、フレキソ、エアナイフコータ、バーコーター等の塗工手段により基材の少なくとも一方の面の所定部(例えば前記シート11の所定部11a)に塗工し、インクジェットインク受容層13を形成することができる。
【0037】
本発明において用いるインクジェットインクとしては、たとえば特開平7−228808号公報、同7−228809号公報に記載のものを用いることができる。特に、アントラキノン系、ベンゾキノン系、ナフトキシキノン系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、キノリン系、インジゴイド系、アジン系、オキサジン系、チアジン系およびメチン系染料からなる群から選ばれた少なくとも1種のアニオン性インクが好適に用いられる。これらの具体例については特開平7−228809号公報の段落番号0015に例示されている。このインクに使用する媒体としては、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いることができる。このほかに、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤などを含有させることができる。
【0038】
図3は、本発明に係るインクジェットインクを用いるプリンタの要部を示す説明図である。インクジェット方式のプリンタは、構造及び機能等が公知であるため全体についての詳しい説明は省く。本発明に関連する機構としては、印刷機本体15内に上記シート1(又は11)にプリント員数関係のID情報を印字するための印字ユニット16が設けられていることに特徴を有する。この印字ユニット16はシート1(又は11)と同色のインクジェットインクを用いて前記所定部1a(又は11a)に印字する。
【0039】
インクジェット方式のプリンタには、コンティニアスフロー型とオンデマンド型がある。基本的には、小さなノズルからインクジェットインクを噴き出して定着させる方式であり、ノズルを備えたヘッドが横方向に動いて印字する。コンティニアスフロー型は、ノズルから常にインクジェットインクを噴出している方式であり、オンデマンド方式は印字の都度ノズルからインクジェットインクを噴出する方式である。上記印字ユニット16ではオンデマンド方式のものが好ましい。
【0040】
インクジェット方式のプリンタにより、例えば複数のシート1(又は11)からなる前記印刷物シート組2を得る。印刷物シート組2は、1部のみならず複数部印刷できるのは言うまでもない。印刷物シート組2における各シート1(又は11)の所定部1a(又は11a)にはインクジェットインクにより印字されたプリント員数関係のID情報14があり、このID情報14はシート1(又は11)と同色であるからシート1(又は11)中に隠蔽されている。従って、このプリント員数関係のID情報14は、肉眼で見えないか又は肉眼では視認困難である。
【0041】
これにより、印刷物シート組2は高いセキュリティ性が得られると共に、一部のシート1(又は11)の内容を改ざんした偽のシートをもって差し替えることにより偽造文書を作成できなくなる。尚、シート1(又は11)に施された視認困難なプリント員数関係のID情報14は、例えば非接触表面形状粗さ測定器、凹凸測定器、透視度測定器等の機器や装置等で瞬時に読み取ることができ、真贋判定の時間は殆ど要しない。
【0042】
前記シート11の場合には、所定部11aにシート11と同色のインクジェットインク受容層13が形成されており、そのインクジェットインク受容層13の上にプリント員数関係のID情報14が印字されているため、シート11と同色のインクジェットインクの定着性が高くなり、しかも視認困難性が高く、肉眼で見えないか又は肉眼では見え難い。
【0043】
本実施形態でシート1(又は11)は紙の場合で説明したが、基材としては通常の上質紙の他に、合成紙或はポリエチレン、透明性を有するポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル等の合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィルムを用いる場合には、基材の表面をマット処理、コロナ処理等の表面処理を施すのが好ましい。透明又は半透明の合成フィルムであっても、インクジェットインク受容層13とプリント員数関係のID情報14とを同色にすることで、プリント員数関係のID情報14をインクジェットインク受容層13の中に視認困難に隠蔽することができる。尚、基材として合成フィルムを用いる時は、前記インクジェットインク受容層形成用グリコール系インクが定着しない場合があるため、グリコール系以外のインク例えばアクリル系インクを用いて定着させるようにする。
【0044】
又、白色以外の有色シートの場合には、そのシートと同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報を印字すればよく、インクジェットインク受容層もシートと同色となるように実施すればよい。
【0045】
上記インクジェット式のプリンタは、コンピュータ上のソフトウエアで作製された文字・数字データ或は画像データ、又はハードディスクやCD−ROM等の媒体から読み出した上記データ、若しくはCCD等の画像記録素子から直接読み込まれたデータに基づいてプリントすることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明に係る請求項1によれば、インクジェットインクを用いた印刷物の差し替え偽造防止方法であって、複数のシートからなる印刷物シート組の各シートの所定部に、シートと同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報を視認困難に施すので、偽造目的でシート組中の一部のシートを偽のシートで差し替えても、その差し替えた偽のシートにはプリント員数関係のID情報が付されていないため、文書偽造を容易に発見することができる。又、シートと同色のインクジェットインク(通常シートは白色紙であるため、白色のインクジェットインクが用いられるが、シートが有色紙である場合はそれと同色のインクジェットインク)が用いられるため、プリント員数関係のID情報を容易に視認することができず、セキュリティ特性を高めることができる。
【0047】
本発明に係る請求項2によれば、インクジェットインクを用いた複数のシートからなる印刷物シート組であって、各シートの所定部にシートと同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報が視認困難に施されているので、内容を改ざんした偽のシートをもって差し替えられた場合に、プリント員数関係のID情報の有無及び内容を確認することで偽のシートを容易に発見することができる。
【0048】
本発明に係る請求項3によれば、前記シートの所定部にインクジェットインク受容層を設け、このインクジェット受容層の上に当該インクジェット受容層と同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報を印字することから、インクジェットインクの定着性が良好となり、しかもプリント員数関係のID情報をインクジェットインク受容層の中に視認困難な状態で隠蔽することができる。
【0049】
本発明に係る請求項4によれば、インクジェットインクを用いるプリンタであって、シートにプリント員数関係のID情報を印字するために、当該シートと同色のインクジェットインクを用いた印字ユニットを備えてなるため、シートに印刷する際に視認困難なプリント員数関係のID情報を印字することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態を示すもので、複数のシートからなる印刷物シート組の概略斜視図である。
【図2】本発明に係る他の実施形態を示すもので、シートの所定部にインクジェットインク受容層を設け、そのインクジェットインク受容層上にプリント員数関係のID情報を施した部分断面図である。
【図3】本発明に係るプリンタの要部を示す説明図である。
【符号の説明】
1…シート
1a…所定部
2…印刷物シート組
11…シート
11a…所定部
13…インクジェット受容層
14…プリント員数関係のID情報
16…印字ユニット

Claims (4)

  1. インクジェットインクを用いた印刷物の差し替え偽造防止方法であって、複数のシートからなる印刷物シート組の各シートの所定部に、シートと同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報を視認困難に施すことを特徴とするインクジェットインクを用いた印刷物の差し替え偽造防止方法。
  2. インクジェットインクを用いた複数のシートからなる印刷物シート組であって、各シートの所定部にシートと同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報が視認困難に施されていることを特徴とする印刷物シート組。
  3. 前記シートの所定部にインクジェットインク受容層を設け、このインクジェット受容層の上に当該インクジェット受容層と同色のインクジェットインクを用いてプリント員数関係のID情報を印字することを特徴とする請求項2記載の印刷物シート組。
  4. インクジェットインクを用いるプリンタであって、シートにプリント員数関係のID情報を印字するために、当該シートと同色のインクジェットインクを用いた印字ユニットを備えてなることを特徴とするプリンタ。
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