JP2000127606A - インク受容層用感光性樹脂組成物および物品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】インクの吸収速度が速く、耐水性に優れ、かつ
インクドットの形状がシャープでインクの発色性に優れ
たインク受容層用感光性樹脂組成物の開発。 【解決手段】Ｎ−アルコキシメチル（メタ）アクリルア
ミド（Ａ）、光重合開始剤（Ｃ）及びポリマー（Ｄ）を
含有することを特徴とするインク受容層用感光性樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インク受容層用感光性
樹脂組成物および物品に関する。本発明の感光性樹脂組
成物は、硬化物の薄膜がインクの吸収性に優れた高品位
の画像を与え、かつ印字画像の耐水性に優れるので、特
にインクジェット用被記録媒体のインク受容層に適した
ものである。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々のイン
ク（記録液）吐出方式、例えば静電吸引方式、圧電素子
を用いてインクに機械的振動または変位を与える方式、
インクを加熱して発泡させ、その圧力を利用する方式等
により、インクの小滴を発生、飛翔させ、それらの一部
若しくは全部を紙などの被記録媒体に付着させて記録を
行うものであるが、作動音が少ないこと、高速記録が可
能であること、フルカラー化が容易でハードコピーが容
易に得られること、さらにカラー化が低コストで行える
等の理由から、近年各種ファクシミリやプリンターへの
応用が急速に普及している。このインクジェット記録方
式に適した被記録媒体としては、紙面にシリカ等の顔料
をコーティングして多孔質層を形成したものや溶解ある
いは膨潤によってインクを吸収する樹脂をプラスチック
基材（例えばポリエステル、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリカーボネート等の成型物やフィルム等）にコー
ティングあるいは印刷によって塗布したもの、例えばイ
ンクジェット用ＯＨＰ（オーバーヘッドプロジェクタ
ー）フィルム、光ディスク等がある。

【０００３】これら上述の表面には、親水性基を有する
ポリマーを塗工したインク吸収層もまたは紫外線硬化型
樹脂もしくは熱硬化型樹脂で硬化され被覆されたインク
吸収層があるが、水に対して溶解性のある場合が多く、
画像に水がかかった場合には容易に画像は破壊されてし
まう。また、インク吸収層自体は水に溶解しない場合に
も水中に浸積された場合にはインク吸収層が膨潤し、画
像を形成している染料が容易に水中に逃げだし、画像の
耐水性が得られないという欠点があった。

【０００４】その理由としてインクジェット用のインク
の染料としては、水溶性直接染料あるいは酸性染料が用
いられていることが多いためである。これらの欠点を解
消するために通常、インク受容層中にカチオン性の染料
固着剤等を含有させることが提案されている（特開昭６
１−２６１０８９号公報）。ところが、水溶性樹脂に含
有させることができる染料固着剤は、それ自体水溶性で
あり染料と結合した部分は非水溶性となるものの、他の
部分は水溶性であり、インク受容層の皮膜の耐水性を得
ることは難しい。また、特開昭６１−１０４３８号公報
には、インク受容層中に水溶性高分子としてポリビニル
アルコールをカチオン変性したもの（以下「カチオン性
ＰＶＡ」という）、あるいはその架橋物を含有させるこ
とが提案されている。この場合、単にカチオン性ＰＶＡ
を含有させただけでは、カチオン性染料固着剤の場合と
同様、インク受容層自体の耐水性が得られず、一方カチ
オン性ＰＶＡの架橋物を使用する場合にインク受容層お
よび画像の両方の耐水性が得られるものの水溶性樹脂と
して必ずカチオン性ＰＶＡを用いなくてはならず、材料
の選択範囲が狭い上にインク受容層におけるカチオン性
基の割合を多くすることが難しく、記録に用いられるイ
ンクの量が多いフルカラー対応等において十分なインク
の乾燥性、耐水性が得られなくなる。さらに、特開昭６
１−１４１５８４号公報において水溶性樹脂中に無定型
シリカを含有させることによりインクの吸収を向上させ
ることが提案されている。この他にも多孔質物質、例え
ば、クレー、タルク、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫
酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、合
成ゼオライト、アルミナ、酸化亜鉛、リトボン、チタン
ホワイト等の無機質顔料粒子が提案されている（特開昭
６１−２２８９８４号公報、特公平４−１７０６号公報
等）。しかしながら、上記の方法ではインクの吸収性は
向上するがフルカラー対応においてはまだ不十分であっ
た。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、インクの吸
収速度が速く、耐水性に優れ、かつインクドットの形状
がシャープでインクの発色性に優れたインク受容層に好
適な感光性樹脂組成物の開発を目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、（１）Ｎ−ア
ルコキシメチル（メタ）アクリルアミド（Ａ）、光重合
開始剤（Ｃ）及びポリマー（Ｄ）を必須成分として含有
することを特徴とするインク受容層用感光性樹脂組成
物、（２）Ｎ−アルコキシメチル（メタ）アクリルアミ
ド（Ａ）がＮ−メトキシメチル（メタ）アクリルアミド
又はＮ−エトキシメチル（メタ）アクリルアミド（Ａ）
である（１）に記載のインク受容層用感光性樹脂組成
物、（３）４級窒素を含むエチレン性不飽和基含有化合
物（Ｂ）を含有する（１）または（２）に記載のインク
受容層用感光性樹脂組成物、（４）４級窒素を含むエチ
レン性不飽和基含有化合物（Ｂ）が（メタ）アクロイル
オキシエチルトリメチルアンモニウム塩である（３）に
記載のインク受容層用感光性樹脂組成物、（５）（メ
タ）アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩
が（メタ）アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニ
ウムメチルサルフェイトである（４）に記載のインク受
容層用感光性樹脂組成物、（６）充填剤(Ｅ)を含有する
（１）ないし（５）のいずれか一項に記載のインク受容
層用感光性樹脂組成物、（７）充填剤(Ｅ)が小麦粉であ
る（６）に記載のインク受容層用感光性樹脂組成物、
（８）（１）ないし（７）のいずれか一項に記載の硬化
物の薄膜を表面に有する物品、（９）硬化物の薄膜の膜
厚が１〜１００μｍである（８）の物品、（１０）物品
が被記録媒体である（８）または（９）に記載の物品、
（１１）被記録媒体がインクジェット用紙、ＯＨＰまた
はディスク状電子記録媒体である（１０）に記載の物
品、（１２）被記録媒体がディスク状電子記録媒体であ
る（１０）に記載の物品、（１３）薄膜部分が水性イン
クで印刷されていることを特徴とする（８）ないし（１
２）のいずれか一項に記載の物品、に関する。

【０００７】本発明において使用するＮ−アルコキシメ
チル（メタ）アクリルアミド（Ａ）としては、例えばＮ
−メトキシメチル（メタ）アクリルアミドまたはＮ−エ
トキシメチル（メタ）アクリルアミド等が挙げられる。
これらは単独もしくは併用し使用する事ができる。これ
らを使用することによりインク受容層へのインクジェッ
ト用インクの印字性、乾燥性、耐水性を上げることがで
きる。この時、インクの印字性、乾燥性、耐水性の観点
から、４級窒素を含むエチレン性不飽和基含有化合物
（Ｂ）を除く他のエチレン性不飽和基含有化合物は併用
しない方が好ましい。

【０００８】本発明においては、４級窒素を含むエチレ
ン性不飽和基含有化合物（Ｂ）を樹脂中に含有すること
によりインク受容層へのインクジェット用インクの耐水
性を上げることができる。４級窒素を含むエチレン性不
飽和基含有化合物（Ｂ）としては、例えば（メタ）アク
リロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、（メタ）アクリロイルオキシエチルトリメチルアン
モニウムメチルサルフェイト、（メタ）アクリロイルオ
キシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェ
イト、（メタ）アクリロイルオキシエチルトリメチルア
ンモニウムｐ−トルエンサルフォネイト、（メタ）アク
リロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニ
ウムクロライド、（メタ）アクリロイルオキシヒドロキ
シプロピルトリメチルアンモニウムアセテート、（メ
タ）アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムク
ロライド、（メタ）アクリルアミドプロピルトリメチル
アンモニウムメチルサルフェイト、（メタ）アクリルア
ミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム
アセテート、（ジメチルメタアクリルアミドプロピルグ
リシン）ベタイン等の４級窒素を含むアクリル基含有化
合物があげられる。ディスク状電子記録媒体等の金属層
を有するものに適用する場合には、ハロゲン原子以外の
対アニオンが好ましい。

【０００９】本発明で使用する光重合開始剤（Ｃ）は、
公知のどのような光重合開始剤であってもよく、例えば
２−ヒドロキシ−２−メチルプロピオフェノン、４−イ
ソプロピル−２−ヒドロキシ−２−メチルプロピオフェ
ノン、ベンジルジメチルケタール、１−ヒドロキシシク
ロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、２−メチ
ル−１−［４−（メチルチオ）フェニル］−２−モルフ
ォリノプロパンー１、２，４，６−トリメチルベンゾイ
ルフェニルホスフィンオキサイド、ビス（２，６−ジメ
トキシベンゾイル）−２，４，４−トリメチルペンチル
ホスフィノキサイド等を挙げることができ、これらの光
重合開始剤は３級アミン類等の重合開始助剤と併用する
こともできる。

【００１０】本発明の感光性樹脂組成物にはポリマー
（Ｄ）を必須成分とする。ポリマー（Ｄ）としては、親
水性ポリマーおよび非親水性ポリマーがあるが、親水性
ポリマーを含有する事が望ましく、例えば変性ポリビニ
ルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体、
ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリビニ
ルアセトアミド等があげられる。また、これらの他に、
前記の三級窒素もしくは水酸基含有の親水性モノマーを
公知の溶液重合法を用いて合成したコポリマーおよびホ
モポリマーも使用できる。この中で好ましい物としては
変性ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドンもし
くはポリビニルアセトアミドが挙げられる。さらに、特
に好ましい物としては、変性ポリビニルアセテートが挙
げられ、例えば日本合成化学工業（株）製のゴーセラン
Ｌ−０３０１が挙げられる。これらのポリマーは一種類
もしくは二種類以上を溶解もしくは分散させて使用する
事ができる。

【００１１】本発明の感光性樹脂組成物には充填剤
（Ｅ）を含有することができる。充填剤（Ｅ）として
は、例えば従来から用いられている着色顔料、蓄光性顔
料、シリカ、クレー、タルク、ケイソウ土、炭酸カルシ
ウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニ
ウム、合成ゼオライト、スメクタイト、モンモリロナイ
ト群鉱物、合成雲母、アルミナ等の多孔質粒子等があげ
られる。また、無機質顔料粒子、例えば酸化亜鉛、チタ
ンホワイト等も併用してもよい。

【００１２】さらに、本発明においてインクの固着性、
吸水性をより向上させるために、充填剤（Ｅ）として小
麦粉を添加、分散することが好ましい。小麦粉は単独も
しくは他の充前記載の填剤と併用することができる。小
麦粉の粒径として、好ましくは０．０１〜７０μｍ、よ
り好ましくは０．０１〜５０μｍ、特に好ましくは０．
０１〜４０μｍである。

【００１３】本発明の感光性樹脂組成物中の各成分の使
用割合としては、（Ａ）成分は好ましくは１０〜８０重
量％、より好ましくは２０〜７０重量％、特に好ましく
は３０〜６５重量％、（Ｂ）成分は好ましくは０〜１０
重量％であり、より好ましくは０．１〜８重量％、特に
好ましくは０．１〜５重量％、（Ｃ）成分は好ましくは
０．０１〜１５重量％、より好ましくは１〜１３重量
％、特に好ましくは２〜１０重量％、ポリマー（Ｄ）成
分は好ましくは０．１〜４５重量％、より好ましくは５
〜４０重量％、特に好ましくは１０〜３５重量％、充填
剤（Ｅ）は好ましくは０〜７０重量％、より好ましくは
０〜６０重量％、特に好ましくは０〜５０重量％であ
る。

【００１４】本発明の感光性樹脂組成物には、更に必要
に応じて、例えば酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、
光安定剤、重合禁止剤等の添加剤類を添加することもで
きる。酸化防止剤としては、例えばＢＨＴスワノックス
（精工化学（株）製）、消泡剤としては、例えばＢＹＫ
−０５７（ビックケミー製）、レベリング剤としては、
例えばＢＹＫ−３５４（ビックケミー製）、光安定剤と
しては、例えばＬＡ−８２（旭電化工業（株）製）、重
合禁止剤としては、例えばメチルヒドロキノン（東京化
成工業（株）製）等があげらる。

【００１５】本発明の感光性樹脂組成物は、例えば上記
の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、および（Ｄ）成分を３０〜
８０℃程度の加温下に混合し、さらに（Ｅ）成分、およ
び酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤、重合
禁止剤等の添加剤類を加え均一に混合、分散することに
より、通常液状品として得ることができる。

【００１６】本発明の硬化物は上記の感光性樹脂組成物
に電子線、紫外線や可視光線等のエネルギー線を照射す
ることによって得ることができる。光源としては、例え
ばメタハライドランプ、高圧水銀ランプ等をあげること
ができる。

【００１７】本発明の物品は上記の感光性樹脂組成物の
硬化物の薄膜を表面に有するものである。物品として
は、例えば被記録媒体があげられる。被記録媒体として
は、例えばインクジェット専用紙やＯＨＰ用シート等の
インクジェット用紙、ＣＤ−Ｒ（追記型コンパクトディ
スク）、ＤＶＤ（デジタル ビデオ ディスク）等のデ
ィスク状記録媒体があげられる。本発明の物品は、物品
の基材上にインク受容層として本発明の感光性樹脂組成
物を膜厚１〜１００μｍに、スクリーン印刷法、バーコ
ーター法等の方法により、塗布し、紫外線等のエネルギ
ー線を照射して硬化させ、本発明の感光性樹脂組成物の
硬化物の薄膜からなるインク受容層を形成させることに
より得ることができる。物品の基材としては、例えば
紙、シート状もしくは板状プラスチック（材質は、例え
ばポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリカー
ボネート等）等があげられる。紙、シート状もしくは板
状プラスチックは上記インク受容層を形成させる表面が
プライマーやオーバーコート剤で処理されたものでもよ
い。プライマーやオーバーコート剤はポリカーボネート
等の基板上に厚さ約３〜８μｍになるように塗工され
る。この時、プライマーやオーバーコート剤の表面張力
は２５℃において２５ｄｙｎｅ／ｃｍ以上であることが
望ましい。また、プライマーやオーバーコート剤の塗膜
と基板との密着性はＪＩＳ規格Ｋ５４００ ８．５．１
において評価点数１０となることが望ましい。

【００１８】本発明で使用する水性インクには、水中に
水溶性染料が好ましくは０．１〜２０重量％、より好ま
しくは０．５〜１０重量％、更に好ましくは１〜８重量
％程度含有する。水性インクには、さらに水溶性有機溶
剤０〜３０重量％、インク調製剤０〜５重量％含有して
いても良い。

【００１９】水溶性染料としては、例えばC.I.ダイレク
トイエロー８６、C.I.アシッドレッド３５、C.I.ダイレ
クトブルー８６、C.I.フードブラック２等があげられ
る。

【００２０】水溶性有機溶剤としては、例えばメタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタ
ノール等のＣ₁〜Ｃ₄アルコール、Ｎ，Ｎ−ジメチルホル
ムアミド又はＮ，Ｎ−ジメチルアセトアミド等のカルボ
ン酸アミド、ε−カプロラクタム、Ｎ−メチルピロリジ
ン−２−オン等のラクタム、尿素、１，３−ジメチルイ
ミダゾリジン−２−オン又は１，３−ジメチルヘキサヒ
ドロピリミド−２−オン等の環式尿素、アセトン、メチ
ルエチルケトン、２−メチル−２−ヒドロキシペンタン
−４−オン等のケトン又はケトアルコール、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル、Ｃ ₂〜Ｃ₆アルキレ
ン単位を有するモノー、オリゴー又はポリアルキレング
リコール又はチオグリコール、例えばエチレングリコー
ル、１，２−又は１，３−プロピレングリコール、１，
２−又は１，４−ブチレングリコール、１，６−ヘキシ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のＣ₂〜Ｃ₆アルキレン単位を有するモノー、オリゴ
ー又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール、
グリセリン、ヘキサン−１．２．６−トリオール等の別
のポリオール（トリオール）、エチレングリコールモノ
メチルー又はモノエチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノメチル又はモノエチルエーテル又はトリエチレン
グリコールモノメチル又はモノエチルエーテル等の多価
アルコールのＣ１〜Ｃ４アルキルエーテル、γーブチロ
ラクトン又はジメチルスルホキシド等があげられる。

【００２１】有利な水と混和可能な有機溶媒は、例えば
Ｎ−メチルピロリジン−２−オン、Ｃ₂〜Ｃ₆アルキレン
単位を有するモノ、ジ又はトリアルキレングリコール、
特に、モノ、ジ又はトリエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、ジメチルスルホキシドである。特に、
Ｎ−メチルピロリジン−２−オン、ジエチレングリコー
ル、ジメチルスルホキシドが好ましい。

【００２２】インク調製剤としては、例えば防腐防黴
剤、ＰＨ調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線
吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤
などがあげられる。防腐防黴剤としては、例えばデヒド
ロ酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ、２ピリジンチオール
−１−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペ
ンタクロロフェノールナトリウム等があげられる。ＰＨ
調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさず
に、インクのＰＨを８．０〜１１．０の範囲に制御でき
るものであれば任意の物質を使用することができる。そ
の例として、例えばジエタノールアミン、トリエタノー
ルアミンなどのアルカノールアミン、水酸酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ
金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、炭酸リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムムなどのアルカリ金
属の炭酸塩などが挙げられる。キレート試薬としては、
例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三
酢酸ナトリウム、ヒドロキシチルエチレンジアミン三酢
酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウ
ム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。防錆
剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウ
ム、チオグルコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモ
ニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシ
クロヘキシルアンモニウムニトライトなどがあげられ
る。

【００２３】

【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明するが、実施例の範囲に限定されるものではな
い。尚、文中の「部」および「％」は特に断らない限り
は、それぞれ「重量部」および「重量％」を示す。尚、
表１は全て重量％である。

【００２４】実施例１、２、３および４、比較例１、２
および３ 表１に示す配合組成に従って、各成分を配合し、組成物
を調製した。この組成物を、オーバーコート層を有する
厚さ約１ｍｍのポリカーボネート基板上に、３５０メシ
ュ／インチのスクリーンにて硬化後の膜厚が５〜１５μ
ｍになるように印刷し、紫外線を照射し塗膜を硬化させ
被記録媒体を作成し、この被記録媒体を用いて、種々の
テストを行った。

【００２５】尚、この被記録媒体に以下のプリンターを
用いてインクジェット記録方式にて絵や文字を印字し
た。 使用プリンター：ＦＡＲＧＯ社製ＣＤ ＣＯＬＯＲ Ｐ
ＲＩＮＴＥＲＳｉｇｎａｔｕｒｅ

【００２６】評価方法 １）印字性 インクジェット記録方式により印字した被記録媒体を室
温（２０℃、６５％ＲＨ）にて絵や文字の鮮明さを目視
にて下記の要領にて判断した。 ○・・・絵や文字ににじみが全くない。 △・・・絵や文字の縁がややにじむ。 ×・・・絵や文字がにじみ原形をとどめない。

【００２７】２）インク乾燥性 インクジェット記録方式により印字した被記録媒体を室
温（２０℃、６５％ＲＨ）に放置し、印字画像に指触し
た時に、インクが乾燥して指に付着しなくなるまでに時
間を測定し、下記の要領にて判定した。 ○・・・乾燥して指に付着しなくなるまでの時間が３０
秒以内。 △・・・乾燥して指に付着しなくなるまでの時間が３０
秒〜１分の間。 ×・・・乾燥して指に付着しなくなるまでの時間が１分
以上。

【００２８】３）耐水性 インクジェト記録方式により印字した被記録媒体を流水
に１分間つけた後外観を観察した。 ○・・・印字画像に全く変化が無い。 △・・・印字画像に若干のにじみ、色あせが発生した。 ×・・・印字画像がほとんど消えた。

【００２９】

【表１】 表１ 実施例 比較例 １ ２ ３ ４ １ ２ ３ Ａ成分 （１） 59.33 36.10 ---- 36.63 ---- 36.10 34.44 （２） ---- ---- 36.10 ---- ---- ---- ---- （３） ---- ---- ---- ---- 36.10 ---- ---- （４） ---- ---- ---- ---- ---- ---- 4.59 Ｂ成分 2.37 1.44 1.44 ---- 1.44 1.44 1.38 Ｃ成分 （１） 4.75 2.89 2.89 2.93 2.89 2.89 2.75 （２） 1.19 0.72 0.72 0.73 0.72 0.72 0.69 （３） 0.59 0.36 0.36 0.37 0.36 0.36 0.34 Ｄ成分 （１） 31.65 19.25 19.25 19.53 19.25 ---- 18.37 （２） ---- ---- ---- ---- ---- 19.25 ---- Ｅ成分 （１） ---- 12.03 12.03 12.21 12.03 12.03 11.48 （２） ---- 2.41 2.41 2.44 2.41 2.41 2.30 （３） ---- 24.06 24.06 24.41 24.06 24.06 22.96 添加剤 （１） ---- 0.60 0.60 0.61 0.60 0.60 0.57 （２） ---- 0.07 0.07 0.07 0.07 0.07 0.07 （３） 0.12 0.07 0.07 0.07 0.07 0.07 0.07 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 印字性 ○ △ ○ ○ × × × インク乾燥性 ○ ○ ○ ○ × × × 耐水性 ○ ○ ○ × × × ×

【００３０】Ａ成分（１）：Ｎ−メトキシメチルアクリ
ルアミド（日東理研工業（株）製） （２）：Ｎ−エトキシメチルアクリルアミド（日東理研
工業（株）製） （３）：アクリロイルモルフォリン（興人（株）） （４）：ＰＥＴ−３０（日本化薬（株）製） Ｂ成分：メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニ
ウムメチルサルフェイト（日東理研工業（株）製） Ｃ成分（１）：Ｉｒｇ−１８４（チバガイキー製） （２）：Ｉｒｇ−９０７（チバガイキー製） （３）：ＥＰＡ（日本化薬（株）製） Ｄ成分（１）：変性ポリビニルアセテート（日本合成化
学工業（株）製） （２）：電化ブチラール＃２０００−Ｌ（電気化学工業
（株）製） Ｅ成分（１）：小麦粉（日清製粉（株）製） （２）：硫酸バリウム（堺化学（株）製） （３）：炭酸カルシウム（白石工業（株）製） 添加剤（１）：ＢＹＫ−３５４（ビックケミー製） （２）：ＢＹＫ−０５７（ビックケミー製） （３）：メチルヒドロキノン（東京化成工業（株）製）

【００３１】表１の評価結果から明らかなように、本発
明の感光性樹脂組成物の硬化皮膜はは、インクの固着
性、耐水性に優れている。この高い水分吸収性、耐水性
により本発明の感光性樹脂組成物の硬化皮膜は防曇性や
帯電防止性さらにスリップ防止性を有する。

【００３２】

【発明の効果】本発明の感光性樹脂組成物は、得られた
硬化物をインクジェット記録方式の被記録媒体のインク
受容層に用いた場合、インクの固着性、耐水性に優れて
おり、インクジェット記録方式の被記録媒体のインク受
容層として有効である。特に光ディスクレーベル印刷用
途に最適である。

Claims (13)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】Ｎ−アルコキシメチル（メタ）アクリルア
   ミド（Ａ）、光重合開始剤（Ｃ）及びポリマー（Ｄ）を
   含有することを特徴とするインク受容層用感光性樹脂組
   成物。
2. 【請求項２】Ｎ−アルコキシメチル（メタ）アクリルア
   ミド（Ａ）がＮ−メトキシメチル（メタ）アクリルアミ
   ド又はＮ−エトキシメチル（メタ）アクリルアミド
   （Ａ）である請求項１に記載のインク受容層用感光性樹
   脂組成物。
3. 【請求項３】４級窒素を含むエチレン性不飽和基含有化
   合物（Ｂ）を含有する請求項１または２に記載のインク
   受容層用感光性樹脂組成物。
4. 【請求項４】４級窒素を含むエチレン性不飽和基含有化
   合物（Ｂ）が（メタ）アクロイルオキシエチルトリメチ
   ルアンモニウム塩である請求項３に記載のインク受容層
   用感光性樹脂組成物。
5. 【請求項５】（メタ）アクロイルオキシエチルトリメチ
   ルアンモニウム塩が（メタ）アクロイルオキシエチルト
   リメチルアンモニウムメチルサルフェイトである請求項
   ４に記載のインク受容層用感光性樹脂組成物。
6. 【請求項６】充填剤(Ｅ)を含有する請求項１ないし５の
   いずれか一項に記載のインク受容層用感光性樹脂組成
   物。
7. 【請求項７】充填剤(Ｅ)が小麦粉である請求項６に記載
   のインク受容層用感光性樹脂組成物。
8. 【請求項８】請求項１ないし７のいずれか一項に記載の
   硬化物の薄膜を表面に有する物品。
9. 【請求項９】硬化物の薄膜の膜厚が１〜１００μｍであ
   る請求項８の物品。
10. 【請求項１０】物品が被記録媒体である請求項８または
    ９に記載の物品。
11. 【請求項１１】被記録媒体がインクジェット用紙、ＯＨ
    Ｐ用フィルムまたはディスク状電子記録媒体である請求
    項１０に記載の物品。
12. 【請求項１２】被記録媒体がディスク状電子記録媒体で
    ある請求項１０に記載の物品。
13. 【請求項１３】薄膜部分が水性インクで印刷されている
    ことを特徴とする請求項８ないし１２のいずれか一項に
    記載の物品。