JP2005035194A - カード - Google Patents

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Abstract

【課題】シート基材に形成された画像に重ねてインク受容層が形成されたカードであっても、光沢感やシート基材の画像の視認性を良好にし、さらには表面強度も良好にする。
【解決手段】少なくとも一方の面に第1の画像を有するシート基材を有し、該第1の画像の少なくとも一部に重なる位置に、インク受容層と被覆層とを該シート基材側からこの順に有し、該インク受容層の少なくとも一部に第2の画像を有することを特徴とするカード。
【選択図】図1

Description

本発明は、会員証やクレジットカードなどに用いられる、画像が形成されたカードに関する。より詳しくは、インク受容層を有するプラスチック等のカードに関する。
従来、インクジェットインクを使用するインクジェットプリンタによる記録形態は、高速、低騒音、機構が簡単で小型軽量、マルチカラー化が容易で、画像の大型化が容易、現像定着が不要、記録パターンの融通性が大きいなど多くの特徴があり、文字を含めた画像のハードコピーを得る方法として広く普及している。紙や紙カードへの印字技術については古くから実用化されているが、インクジェットインクを使用して印字可能なプラスチックフィルムやプラチックカードが求められていた。
インクジェットインクを使用するインクジェットプリンタでは、ジェットノズル部においてインクの乾燥によりインクの粘度が上昇して噴出不良となるのを防ぐため、比較的乾燥し難いインクが用いられており、しかも、インクジェットインクは一般に水溶性の染料や親水性顔料、バインダ、添加剤などを水に溶解したものからなるため、プラスチックフィルムやプラチックカードはインクジェットインクの受容性がなく乾燥や定着が不良となり印字困難である。そこで、印字可能なプラスチックフィルムやプラスチックカードの特性としては、(1)インクの定着が速やかで、かつ良好であり、印刷後インクの液だれなどが起こらないこと、(2)印字濃度が高く、発色性に優れていること、(3)インク液滴が拡散してドットの径が必要以上に大きくならないこと、などが求められる。
一般的にインクジェットインクの印字性向上のための技術として、通常の紙やインクジェット記録用紙と称されるシート基材上に非晶質シリカなどの微粒子とポリビニルアルコールなどの水溶性バインダ樹脂からなる多孔質のインクジェットインク受容層を設けてなる記録材料が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしこれらの記録材料は何れも通常の紙やインクジェット記録用紙などをシート基材として用いるものであり、プラスチックフィルムやプラチックカードなどのシート基材に対しては適用できない。
そこで、透明な合成樹脂シート表面に、ポリビニルピロリドンを含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用シート(特許文献2参照)、透明な熱可塑性樹脂フィルム上に、ポリビニルアルコールやゼラチンなどの水溶性樹脂とコロイダルシリカとを含有する透明なインク受容層を設けた記録用シート(特許文献3参照)、透明なプラスチックフィルム上に、平均粒径1〜100μmの超微粒子と平均粒径1〜20μmの微粒子とを含有する水溶性高分子の薄膜を設けた記録用シート(特許文献4参照)、透明フィルム上に粒径5〜50μm程度の透明性微粒子(ガラスビーズや合成樹脂球状マイクロビーズなど)を含有させた透明性接着剤を塗布したオーバーヘッドプロジェクタ用フィルム(特許文献5参照)、水溶性高分子化合物(例えば、ポリビニルピロリドン)と水不溶性高分子化合物(例えば、ソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合生成物)を含む少なくとも2種の成分と、一方の成分に対して良溶媒であり、他方の成分に対して貧溶媒である溶媒とを含む加熱溶液を基材に直接塗布し、溶媒を高温で乾燥除去してインク受容層を形成する方法(特許文献6参照)、などが提案されている。
特開昭64−11877号公報 特開昭61−32788号公報 特開昭61−19389号公報 特開昭61−280983号公報 特開昭61−24494号公報 特許第2694042号公報
しかし、ポリビニルピロリドンを含有するインク受容層は、インク液滴の付着により膨潤する膨潤型であるため、インクの固化能力が不十分であり、印字後の経時変化により画像のシャープさが低下する問題があり、また、膨潤型のインクジェット記録媒体は吸湿によりインク受容層が粘着性を持つようになるためブロッキングして取扱性が低下し易い問題がある。
コロイダルシリカやアルミナなどの無機粒子を高比率で混入した水溶性高分子からなるインク受容層は、インク液滴を吸収する吸収型であるため、インクの固化能力は良好であるものの、透明性が不十分であったり、脆くて割れ易い問題がある。
ガラスビーズや合成樹脂球状マイクロビーズなどを水溶性高分子バインダで結合固定してなるインク受容層は、インクの吸収性は良好であるが、定着性に劣り、滲みが多く、しかも脆くて割れ易い問題がある。
これらの水溶性高分子を含有するインク受容層は、耐水性および耐候性が不十分であり、水との接触により水溶性高分子が溶解してインク受容層が破壊され易く、また厳しい環境下に置かれると画像が変化したり、インク受容層の劣化が進み易い。そのため水溶性高分子を含有するインク受容層が形成されたインクジェット記録媒体は屋外におけるサイン用途や自動車への貼付など、耐水性および耐候性が要求される用途分野への適用に制限があった。
吸収型のインク受容層の場合には、水溶性高分子を架橋することにより耐水性および耐候性を向上することができるものの十分でなく、屋外では1ケ月程度でインク受容層が劣化して割れが発生することが多い。
水溶性高分子化合物と水不溶性高分子化合物を含むインク受容層は、水不溶性高分子化合物の配合により耐ブロッキング性が改善されるものの、インク吸収性を水溶性高分子化合物や水溶性有機化合物により得ており、インク受容性、耐水性および耐候性が不十分である。
また、以上に記載した従来のインク受容層形成用インクは基材に対して全面塗工を行うものであり、プラスチックフィルムやプラチックカードなどの基材の必要な部分に部分的にインク受容層を形成することはできなかった。
このような状況に鑑みて、本発明者らは、疎水性を有するバインダ樹脂、前記バインダ樹脂と相溶性のある有機溶剤、親水性多孔質微粒子を含むことを特徴とするインクジェットインク受容層形成用インクと、シート基材(カード基材)の少なくとも一方の面の所定部にこのインクジェットインク受容層形成用インクを用いて形成されたインクジェットインク受容層を有してなることを特徴とするシートとを先に提案した(特願2003−11427)。このインクジェットインク受容層形成用インクは、印刷インク適性に優れるため印刷機でシート基材の必要な所定の箇所に容易にインク受容層を形成でき、しかもこのインクを用いて形成されたインク受容層は、(1)インクジェットインクの吸収、定着が速やかで、かつ良好であり、インクジェット印刷後インクの液だれなどが起こらず、(2)印字濃度が高く、発色性に優れており、(3)インクジェットインク滴が拡散してドットの径が必要以上に大きくならないなど特性を有する上、耐ブロッキング性、耐ひび割れ性、耐水性や耐候性に優れるので屋外におけるサイン用途や自動車への貼付など、耐水性および耐候性が要求される用途分野への適用が可能である。
ところでカードは、大別して二種類の画像を有することが多い。第1の画像は例えばカードの名称、サービスマーク、地模様など典型的には一つの種類のカードにおいて全てのカードに共通な画像であり(以下、この画像を「共通画像」と称す。)、第2の画像は例えば会員番号やカード発行日など典型的には個々のカード毎に異なる画像である(以下、この画像を「個別画像」と称す。)。
このような二種類の画像を形成するためには、共通画像は予めプラスチック等のシート基材に形成しておき、個別画像はシート基材上に形成されたインク受容層にインクジェット法などで形成するのが好適である。
しかしながら、シート基材に共通画像が形成されている場合、その上にインク受容層を設けると、インク受容層に含まれる微粒子などによって光が乱反射し、共通画像の視認性が悪くなる場合があり、またカード表面の光沢感が失われる場合がある。またインク受容層は表面が必ずしも堅牢とは言えない。なお、インク受容層を設ける位置を限定し共通画像とインク受容層とが重ならないようにすることも考えられるが、この場合カードデザインの自由度が制限されることにもなる。
本発明の目的は、シート基材に形成された画像に重ねてインク受容層が形成されたカードであっても、光沢感やシート基材の画像の視認性を良好にすることであり、さらには表面強度も良好にすることである。
本発明により、少なくとも一方の面に第1の画像を有するシート基材を有し、
該第1の画像の少なくとも一部に重なる位置に、インク受容層と被覆層とを該シート基材側からこの順に有し、
該インク受容層の少なくとも一部に第2の画像を有する
ことを特徴とするカードが提供される。
前記インク受容層が親水性多孔質微粒子を含むことが好ましい。
前記インク受容層が疎水性を有するバインダ樹脂および親水性多孔質微粒子を含むことが好ましい。
前記被覆層が紫外線硬化樹脂を含むことが好ましい。
前記被覆層がレベリング剤を含むことが好ましい。
前記第2の画像がインクジェットインクにより形成されたことが好ましい。
本発明のカードは、シート基材に形成された画像に重ねてインク受容層が形成されていても、光沢感やシート基材の画像の視認性が良好であり、さらには表面強度も良好である。
本発明のカードは、一般的なカードのみならず、磁気カード、ICカード、リライトカードなど各種カードに適用できる。その大きさは、典型的にはクレジットカード程度の大きさであるが、これに限定されるものではない。
図1は、本発明のカードの実施形態の一例について、断面を模式的に説明する図である。
カード1は、共通画像10が形成されたシート基材2、個別画像11が形成されたインク受容層3、被覆層4をこの順に有する。インク受容層と被覆層とはこれらが組み合わさった状態で透明または半透明であり、共通画像と個別画像は被覆層側から視認可能である。
インク受容層により乱反射などがおきる様子を図2に模式的に示す。例えばインク受容層が微粒子を含む場合などにおいて、図2(a)に示すように、共通画像10と重なる位置にインク受容層3が形成された状態では、微粒子20がインク受容層の表面に存在し、これによって表面が凸凹になるため光の乱反射が起こり、したがってインク受容層を通して共通画像を視認することが難しくなったり、光沢感が損なわれたりする。また、インク受容層表面をこすった場合やインク受容層表面に水が付着した場合などに、個別画像11が流れや滲みが生じることもある。さらにインク受容層はインクを吸収する機能を有するがゆえに表面強度が必ずしも高いとは言えない。
本発明では、図2(b)に示すように、インク受容層の上に被覆層4を設けることにより微粒子20を被覆層で覆い、カード表面(被覆層表面)を平坦な状態とすることができるので、共通画像の視認性やカードの光沢感を良好にすることができ、また画像の流れや滲みも防止することができる。さらに被覆層に保護層の機能を持たせることもでき、カードの表面強度を良好にすることもできる。
次に、図3を用いてカードの製造過程について説明する。まず、シート基材2に、使用されるシートに画像形成可能で大量に画像形成するに適した公知の画像形成方法により共通画像10を形成する(図3(a))。
この共通画像の形成方法としては、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ドライオフセット印刷、ウエットオフセット印刷、UG(ウルトラグラフィック)、などの印刷方法が適用できる。共通画像は必ずしも印刷によって形成される必要はなく、シート基材自体が模様を持つ場合、その模様も共通画像に含まれる。
次にその上にインク受容層3を形成し、インク受容層に個別画像11を形成する(図3(b))。個別画像の画像形成方法としては、インクジェット印字、UG、スクリーン印刷等である。なかでも個別の情報を高速、高品位、かつ低コストで記録できるインクジェット法が好ましい。インクジェットインクとしては、たとえばアントラキノン系、ベンゾキノン系、ナフトキシキノン系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、キノリン系、インジゴイド系、アジン系、オキサジン系、チアジン系およびメチン系染料からなる群から選ばれた少なくとも1種のアニオン性インクが好適に用いられる。このインクに使用する媒体としては、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いることができる。このほかに、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤などを含有させることができる。
この段階で、インク受容層表面に存在する微粒子などの影響により、共通画像とインク受容層とが重なった個所では、前述のように共通画像の視認性が悪化する等の現象がおきることがあるが、共通画像とインク受容層が重なった位置にさらに被覆層を設けることにより視認性が回復し、共通画像、個別画像とも良好に視認できるカードが得られる(図3(c))。
ここではインク受容層をカードの一面のほぼ全域に形成し、被覆層をそのカード面の全域に形成している。この形態は、共通画像も個別画像もカードのほぼ全域に形成することができ、カードのデザインの自由度が極めて高い点で好ましい。また光沢感や表面強度もカード全域において一様にすることができる点でも好ましい。しかしこのような形態に限らず、カードの一面の一部のみにインク受容層を設けることもできる。また被覆層もインク受容層の全部を覆わなければならないわけではない。例えば、カードの個別画像を形成する領域のみにインク受容層を設け、そのインク受容層を被覆層で覆う形態もあり得る。さらにカードの両面を上記のような構成とすることもできる。
〔シート基材〕
シート基材としては、カードの基材として公知のものを適宜用いることができる。特にシート基材自体が印字適性に劣る場合に本発明の効果が顕著である。例えばプラスチックカードの基材として従来公知のものを適宜用いることができる。また、プラスチックに限らず、アート紙やコート紙なども挙げられる。
プラスチック製のシート基材であるプラスチック基材の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど、あるいはこれらの2種以上を組み合わせたものを用いることができる。
シート基材は単一のシート状であることもできるが、シート基材自体が積層構造を有していても良い。その場合、シート基材の表面に画像を有していても良いが、積層構造の内部に画像を有していても良い。このような形態の例を図4に示す。シート基材2が、コア層2bと、コア層を挟む二つのオーバーシート層2aおよび2cとを有する三層ラミネート構造を有する。コア層は共通画像10を有し、オーバーシート層2aは共通画像の視認性確保のために透明または半透明とされる。図4に示すカードは、シート基材がこのような形態である以外は図1に示す形態のカードと同様である。オーバーシートの材料としては例えばポリ塩化ビニル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PET−G、などを用いることができる。コア層の材料としては、ラミネート型のシート基材のコア層として公知の材料を適宜選ぶことができる。例えばコア層にシート基材と同様のものを用いることができ、また普通紙なども用いることができる。
シート基材の表面にマット処理、コロナ処理などの表面処理を施すこともできる。
〔インク受容層〕
インク受容層としては、水性インクを受容するインク受容層として公知のものを採用することができ、例えばインクジェットインクのインク受容層として公知のものを好適に用いることができる。
インク受容層に親水性多孔質微粒子が含まれる場合、良好なインク受容性が得られると共に、被覆層がこの微粒子に起因する乱反射等を抑制するため、本発明の効果が顕著に発揮される。
親水性多孔質微粒子は、疎水性多孔質微粒子が水に分散し難く、水に分散させても、静置して放置すると、沈殿して、2層に分離してしまうのに対して、水に容易に分散でき、分散させた後、静置して放置しても沈殿が起きず、均一な懸濁状態を維持するような多孔質微粒子である。
親水性多孔質微粒子としては、親水性無機酸化物多孔質微粒子と親水性樹脂多孔質微粒子が挙げられる。親水性多孔質微粒子の具体例としては、例えば、アルミナ微粒子、各種デンプン系微粒子、微粒状アクリル樹脂、微粒状メタクリル樹脂、天然ゼオライト微粒子、合成ゼオライト微粒子、炭酸カルシウム微粒子、活性白土微粒子、シリカ微粒子などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
親水性多孔質微粒子としてシリカ微粒子はインクジェットインク等の水性インクの吸収性、定着性などの特性により優れるとともに、入手が容易で安価である点で好ましい。
シリカ微粒子の平均粒径としては、インクの吸収性の観点から1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。また、よりにじみなく画線部を形成する観点から50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
シリカ微粒子の比表面積としては、インク中の色剤(染料・顔料)等の定着の観点から100m2/g以上が好ましく、200m2/g以上がより好ましい。またインク受容層用シリカの強度の観点から500m2/g以下が好ましく、400m2/g以下がより好ましい。
インク受容層は、シート基材上にインク受容層形成用インクをオフセット印刷機、シルクスクリーン印刷機、グラビアコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗工手段によりシート基材の少なくとも一方の面の所定部に塗工し、必要に応じて乾燥することにより得ることができる。
インク受容層形成用インクは、例えばインク受容層を形成する成分を溶剤に溶解あるいは分散して得ることができる。親水性多孔質微粒子を用いる場合、この微粒子とバインダ樹脂と、溶剤もしくは分散剤を混合して得ることができる。
インク受容層形成用インクには、さらに、所望に応じて慣用されている添加成分、例えば、反応性希釈剤、粘着付与剤、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、消泡剤、各種安定剤、着色剤、滑剤、増感剤などを含有させることもできる。
シート基材面へのインク受容層形成用インクの塗工量は特に限定されないが、例えば1〜30g/m2、好ましくは3〜20g/m2、さらに好ましくは5〜15g/m2とする。
インク受容層の上に形成された被覆層は、インク受容層の存在によって定着性が良好になる。すなわち、インク受容層は被覆層の定着性を向上させる機能を発揮する。なお、この定着性をもたらす原理はインク受容層中のシリカ等の微粒子によるアンカー効果であり、好ましい強度は、保護層インキを塗工し、傷を付け(カッター等で行う)、粘着剤の付着した紙またはフィルムでピッキングを行った場合に、剥がれのない程度である。
〔好適なインク受容層形成用インク〕
インクジェットインクのような水性インクを用いてインク受容層に画像を形成する場合、疎水性を有するバインダ樹脂、このバインダ樹脂と相溶性のある有機溶剤、および親水性多孔質微粒子を含むインク受容層形成用インク(以下、「インク受容層形成用インク(A)」という。)を用いてインク受容層を形成することが特に好ましい。このインク受容層形成用インク(A)を用いることにより、疎水性を有するバインダ樹脂と親水性多孔質微粒子を含むインク受容層が得られるが、得られるインク受容層が、(1)画像形成用インクの吸収、定着が速やかで、かつ良好であり、画像形成後に画像形成用インクの液だれなどが起こらず、(2)印字濃度が高く、発色性に優れており、(3)インクジェット法で画像形成した場合にインクジェットインク滴が拡散してドットの径が必要以上に大きくならないなどの特性を有する上、耐ブロッキング性、耐ひび割れ性、耐水性や耐候性に優れるからである。また、インク受容層形成用インク(A)は、印刷インク適性に優れるため公知の印刷機でシート基材の必要な所定の箇所に容易にインク受容層を形成できる。
前記疎水性を有するバインダ樹脂としては、溶剤インク、赤外線、紫外線、電子線などの活性エネルギー線を照射して硬化する放射線硬化型インク、特殊インクなど公知のインクに用いられている疎水性を有するバインダ樹脂を用いることができる。疎水性を有するバインダ樹脂としては、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ハロゲン化ポリオレフィン系、ポリイミド系、アクリル系、エチレン・ビニルアルコール共重合体系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリスチレン系、ポリカーボネート系、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系、ポリエーテルスルホン系などの1つ以上のバインダ樹脂を挙げることができる。なかでもポリエステル系、ハロゲン化ポリオレフィン系、アクリル系、ポリ塩化ビニル系から選ばれる樹脂はバインダ樹脂としての特性により優れるとともに、入手が容易で安価である点で好ましい。
アクリル系バインダの例として疎水性を有するアクリル系光硬化性成分を挙げることができる。親水性を有するアクリル系光硬化性成分は常温の水によく溶解し放置しても分離したり沈殿を生じたりない、例えばエチレングリコール単位を分子内にもつポリエチレングリコール(nは3以上であり、およそ14以下)ジアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性(nは3以上であり、およそ14以下)トリアクリレートなどのアクリル系光硬化性成分であるのに対し、疎水性を有するアクリル系光硬化性成分は常温の水に溶解したりしない疎水性を有するものであって、公知の疎水性を有するアクリル系光重合性モノマーおよび/または疎水性を有するアクリル系光重合性オリゴマーから任意に選んで用いることができる。なおEOはエチレンオキサイドを表す。
例えば、エチレングリコール単位を分子内にもたないか、あるいは持っていてもn=2以下のポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性(nは2以下)(nは、エチレンオキサイド単位の繰り返しの数である)トリアクリレートなどのアクリル系光硬化性成分を挙げることができる。また、ノニルフェノールEO変性(nは2以下)アクリレートも挙げることができる。
疎水性を有するアクリル系光重合性モノマーとしては、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−アクリレート及びメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びメタクリレートなど、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体などを挙げることができる。
また、硬化収縮が支障となる用途の場合には、例えばイソボルニルアクリレート又はメタクリレート、ノルボルニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノアクリレート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレートなどの光重合性モノマーを用いることができる。
これらの光重合性モノマーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
疎水性を有するアクリル系光重合性オリゴマーとしては、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーなど、そのほか、ウレタン結合を介して飽和ポリエステルセグメントが連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマーなどを挙げることができる。
これらのアクリル系光重合性オリゴマーは、重量平均分子量凡そ2000〜30000の範囲のものが適当である。
従来公知の光重合開始剤を用いることができ、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド−ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その含有量は、通常アクリル系光硬化性成分100質量部当り、5〜15質量部の範囲で選ばれるのが好ましい。
前記インク受容層形成用インク(A)で用いる有機溶剤は前記バインダ樹脂と相溶性のある有機溶剤であればよく、特に限定されるものではない。しかし、有機溶剤として沸点50〜200℃の有機溶剤を用いることにより安全性、乾燥性、作業性などのバランスに優れるインクジェットインク受容層形成用インクが得られるので好ましい。沸点50℃未満では引火防止の対策が煩雑となる点で不利であり、沸点200℃を超えると乾燥性が悪くなり乾燥温度を高くしたり、乾燥時間を長くしたり、減圧にするなどの必要があるので作業性に劣り、コストアップとなる恐れがある点で不利である。
前記有機溶剤の配合量は特に限定されないが、インク受容層形成用インク全体に対して30〜80質量%であることが印刷インク適性、取り扱い性、作業効率を向上できるので望ましい。30質量%未満では粘度が高くなって印刷インク適性が劣る恐れがある点で不利であり、80質量%を超えると粘度が低くなって取り扱い性や乾燥性が低下し、また作業効率に劣り、コストアップとなる恐れがある点で不利である。
前記インク受容層形成用インク(A)においても前述の親水性多孔質微粒子、特にはシリカ微粒子を好適に用いることができる。
前記インク受容層形成用インク(A)においては、前記バインダ樹脂と前記親水性多孔質微粒子の混合比は特に限定されないが、前記バインダ樹脂と前記親水性多孔質微粒子の質量比が4:1〜1:4であることが望ましい。バインダ樹脂と親水性多孔質微粒子の質量比を特定の範囲内にすることにより優れたインクの吸収性や定着性、印刷インク適性が得られるとともに、耐滲み性、耐ひび割れ性を有するインク受容層を形成できる。前記バインダ樹脂の配合比が前記親水性多孔質微粒子の質量に対して4を超えるとインクの吸収性、定着性、耐滲み性が低下する恐れがある点で不利であり、前記親水性多孔質微粒子の配合比が前記バインダ樹脂の質量に対して4を超えると印刷インク適性が低下する恐れがある点で不利である。
前記インク受容層形成用インク(A)に、吸水性、定着性、耐水性をさらに向上するなど吸水性、定着性、耐水性を調整するために、固体の1級〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩のオリゴマー、ポリマーなどのカチオン性樹脂を適宜添加することができる。
特に好ましいカチオン性樹脂の例として、具体的には、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物などあるいはこれらの2種以上の混合物などである。カチオン性樹脂としては市販のものを好適に利用できる。
市販の粉末状微細粒子のカチオン性樹脂の具体例としては、例えば、三洋化成工業(株)製ポリアミン系のサンフィクス555、サンフィクス555C、サンフィクス555NK、サンフィクス555US、第一工業製薬(株)製のレオックスAS(特殊カチオン樹脂)、シャロールDM−254P(メタクリル酸エステルクロライド4級塩ポリマー)、シャロールDM−283P(メタクリル酸エステルクロライド4級塩ポリマー)、日東紡績(株)製のPAA−HCI−3S(ポリアリルアミン塩酸塩)、PAA−HCI−10S(ポリアリルアミン塩酸塩)などを挙げることができる。
前記インク受容層形成用インク(A)中へのカチオン性樹脂の配合量は、特に限定されないが、バインダ樹脂成分100質量部に対してカチオン性樹脂1〜40質量部が好ましく、より好ましくは5〜35質量部である。カチオン性樹脂がこの範囲を超えて多いとプラスチック等のシート基材との接着性が劣る恐れがある点で不利であり、逆にカチオン性樹脂がこの範囲未満であると画像形成用水性インクの吸着性、吸収性、定着性、耐水性に劣る恐れがある点で不利である。
前記インク受容層形成用インク(A)から得られるインク受容層は数々の点で優れたものであるが、本発明のカードのインク受容層は、これに限られるものではない。例えば、インク受容層の全てを被覆層で覆う場合には、インク受容層については耐ブロッキング性、耐水性などは必要ではなくなるため、このような点についてはインク受容層形成用インク(A)より劣るインク受容層も好適に用いることが可能となる。
〔被覆層〕
被覆層は共通画像、個別画像を視認可能とするために透明性を有する(透明または半透明)ことができる。典型的には無色透明であるが、場合によっては有色であってもよい。
被覆層の材料としては、使用するシート基材、インク受容層に積層可能で、所望の透明性を有し、所望の表面強度や耐水性などを満足する材料を、公知の材料から選択して利用することができる。
被覆層の材料として、前記インク受容層形成用インク(A)の一成分である疎水性を有するバインダ樹脂と同様のものを好ましく用いることができる。
なかでも短時間で硬化する点などから紫外線硬化樹脂がより好ましい。その例として、前述のポリエステル系、ハロゲン化ポリオレフィン系、アクリル系、ポリ塩化ビニル系から選ばれる樹脂はプラスチック基材(塩化ビニル、PET−G、PET、ABS)への定着性が優れ、入手が容易で安価である点で好ましい。さらに、アクリル系樹脂として前述の疎水性を有するアクリル系光硬化性成分を挙げることができ、前述のようにエチレングリコール単位を分子内にもたないか、あるいは持っていてもn=2以下のポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性(nは2以下)トリアクリレートなどのアクリル系光硬化性成分を挙げることができる。また、ノニルフェノールEO変性(nは2以下)アクリレートも挙げることができる。さらに、前述のアクリル系光重合性モノマー、アクリル系光重合性オリゴマーも被覆層に用いることができる。光重合開始剤も前述のものを用いることができる。
これらの樹脂材料に必要に応じて有機溶剤を混合して塗工液を得ることができる。有機溶剤としてこれら樹脂材料と相溶性のあるものを適宜選択できるが、インク受容層形成用インク(A)について述べたのと同様、沸点50〜200℃の有機溶剤を用いることが好ましい。塗工液中の有機溶剤の配合量は、インク受容層形成用インク(A)について述べたのと同様、塗工液全体に対して30〜80質量%であることが好ましい。被覆層の形成は、インク受容層の形成と同様、オフセット印刷などにより行うことができる。
被覆層の厚さは、インク受理の観点から2μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。また、被覆層の効果はその厚さに比例して高まるわけではなく厚いとかえってコストアップ等の点において不利となることもあるため、40μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。また40μm以下であると、カードを規格(JIS規格など)に適合させることも容易である。
〔レベリング〕
被覆層がレベリング剤を含むことが好ましい。そのために被覆層形成用の塗工液がレベリング剤を含むことができる。レベリング剤によって、被覆層形成時に、被覆層の表面を短時間で平らにすることに加え、インク受容層(特には微粒子)に被覆層材料が浸透することを促進することができる。その結果、前述の乱反射防止効果が向上し、また被覆層の定着性も向上する。
レベリング剤としては、例えば、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸Na塩(フルオロアルキルの炭素数は12〜18が好ましい)、パーフルオロアルケニルベンゼンスルホン酸Na塩(パーフルオロアルケニルの炭素数は12〜18が好ましい)、フルオロアルキルホスホン酸(フルオロアルキル基の炭素数は12〜18が好ましい)、パーフルオロアルケニルベンゼンホスホン酸(パーフルオロアルケニルの炭素数は12〜18が好ましい)、パーフルオロアルケニルベンゼントリメチルアンモニウムヨージド(パーフルオロアルケニルの炭素数は12〜18が好ましい)、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸エステルNa塩等のエーテル硫酸エステル塩類を挙げることができる。
レベリング剤の配合量は塗工液全体に対して、例えば0.5〜3質量%とすることができる。
被覆層形成の際、レベリング処理を行うことが好ましい。すなわち被覆層形成用塗工液を塗工した後、必要に応じて加温して所定時間保持する。この後、適宜紫外線を照射するなどして塗工液を硬化させる。レベリング処理はアンカー効果を強めて被覆層の定着性を向上させる観点から40〜60℃程度で行うことが好ましい。またレベリング処理は被覆層の厚さを確保するために、短時間で行うことが好ましい。例えば、50〜60℃で10〜20秒程度の条件とすることができる。
〔防曇剤〕
被覆層の曇りを防止するために、被覆層が防曇剤を含むことが好ましい。そのために被覆層形成用の塗工液が防曇剤を含むことができる。
防曇剤としては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート等のソルビタンエステル類を好適に使用することができる。
防曇剤の配合量は塗工液全体に対して、例えば0.5〜3質量%とすることができる。
以下、実施例および比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
(実施例1)
まずプラスチック基材(幅54mm、長さ85mm)に共通画像を形成した。プラスチック基材は、ポリ塩化ビニル樹脂製のコア層(水色、厚さ0.56mm)の両面にポリ塩化ビニル製のオーバーシート層(無色透明、厚さ0.05mm)を設けた3層ラミネート構造を有するもので、コア層の片面に共通画像を形成したものである。共通画像は、インクジェット印字によって印刷した黒色文字と、オフセット印刷によって印刷した地模様(極小さい白色文字をカード全面に並べたもの)とした。
次に、下記の原料(1)〜(6)を高速ミルを使用して混練し、インク受容層形成用インクを調製した。
(1)塩化ポリプロピレン(重量平均分子量:約3000):30質量部
(2)エポキシ樹脂(商品名:DEN438、ダウケミカル社製):1質量部
(3)合成親水性シリカ微粒子(商品名:SYLYIA 310P、富士シリシア化学社製):14質量部
(4)キシレン(有機溶剤):30質量部
(5)セロソルブアセテート(有機溶剤):24質量部
(6)消泡剤(商品名:ダッポーSN−3667、サンノプコ社製):1質量部
得られたインク受容層形成用インクを、上記プラスチック基材の共通画像を有する面にスクリーン印刷し、75℃/1時間乾燥し、10μmのインク受容層を形成した。インク受容層は縁部0.5mmを残してカード基材の全域に設けた。
インク受容層の上にScitex社インクジェットプリンタ#6240でバーコード印字を行い、個別画像を形成した。印字部を目視で観察したところ、ひび割れ、表面欠陥(乾燥時の風紋)とも問題なく、良好な状態であった。また、印字部にPPC用紙を重ねて軽く圧着し、PPC用紙へのインクの転写を目視観察したが、転写は全くなかった。さらに印字部をバーコードテスタ(LASER CHEK II)にて、STIグレード(%)を測定することにより評価したところ、印字品質は95%と良好であった。
インク受容層が形成されたプラスチック基材の全域にわたって、フレキソ印刷により「東洋FD OPニス(商品名。東洋インキ製造(株)製。紫外線硬化樹脂を主成分とする。)」を塗工し、レベリング処理(50℃、20秒)の後、紫外線を照射して硬化させ、10μmの被覆層を形成した。
以上のようにして得たプラスチックカードについて、共通画像の視認性、カード表面の光沢感、画像の流れについて次のように評価した。結果を表1に示す。
〔共通画像の視認性〕
目視観察により、次のように評価した。
◎ インク受容層形成前の段階と比較して視認性に全く差がない。
○ インク受容層形成前の段階と比較して視認性がわずかに劣るが、比較対象が無ければわからない程度である。
△ インク受容層形成前の段階と比較して視認性が劣るが、実用上問題がない。
× もともと細かく且つ薄く印刷された地模様は判別しづらく、カードデザインの自由度が制約される。
〔光沢感〕
目視観察により、次のように評価した。
◎ インク受容層形成前の段階と比較して光沢感に全く差がない。
○ インク受容層形成前の段階と比較して光沢感がわずかに劣るが、比較対象が無ければわからない程度である。
△ インク受容層形成前の段階と比較して光沢感が劣るが、実用上問題がない。
× 表面が多少マット調になり、光沢感に対する要求が厳しい用途には適さない。
〔画像流れ〕
カードを常温の水に5分間浸漬した後、カード表面を布で強くこすり、インクの滲みを観察した。
○ 全く滲みがなかった。
× 多少の滲みが観察された。
〔表面強度〕
カードの表面(被覆層表面)を他のカードで強く擦り、画像形成面の剥がれを目視観察し次のように評価した。
○ 画像形成面は全く剥がれなかった。
× 多少の剥がれがあった。
〔実施例2〜6〕
被覆層の材料を次のように変更した以外は実施例1と同様にプラスチックカードを作成し、評価した。結果を表1に示す。ここに示した材料は、紫外線硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂を主成分とするものである。
実施例2:
東洋低黄変OPニス(商品名。東洋インキ製造(株)製。)
実施例3:
UVMC315(商品名。(株)T&K TOWA製。)
実施例4:
UV−TEMP−Varnish(商品名。ホストマン社製。)
実施例5:
NKエステル A−TMPT(商品名。新中村化学工業(株)製、トリメチロールプロパントリアクリレート。)と、アロニックスM113(商品名。東亞合成(株)製、ノニルフェノールEO変性(1モル)アクリレート)とを、質量比で3:1(A−TMP:M113)の割合で混合したもの。
実施例6:
SR9035(商品名。日本化薬(株)製、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート。)
〔比較例1〕
被覆層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にしてカードの作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2005035194
本発明のカードは、シート基材に形成された画像に重ねてインク受容層が形成されていても、光沢感やシート基材に形成された画像の視認性が良好であり、さらには表面強度も良好である。従って、シート基材に形成する共通画像およびインク受容層に形成する個別画像のそれぞれに適した画像形成方法を適用でき、低コストで高品位かつ堅牢なカードとなる。さらに、インク受容層を形成する領域を限定する必要もなく、カードのデザインにおいて自由度が制限されないという利点もある。このように低コストでデザイン性も良くすることができ、耐水性や耐候性に優れるカードは極めて利用範囲が広い。
本発明のカードの一実施形態につき断面を示す模式図である。 インク受容層の表面状態を説明する模式図である。 本発明のカードの一実施形態につき製造過程を示すための模式的平面図である。 本発明のカードの別の実施形態につき断面を示す模式図である。
符号の説明
1 カード
2 シート基材
2a オーバーシート層(共通画像形成側)
2b コア層
2c オーバーシート層
3 インク受容層
4 被覆層
10 共通画像
11 個別画像
20 微粒子

Claims (6)

  1. 少なくとも一方の面に第1の画像を有するシート基材を有し、
    該第1の画像の少なくとも一部に重なる位置に、インク受容層と被覆層とを該シート基材側からこの順に有し、
    該インク受容層の少なくとも一部に第2の画像を有する
    ことを特徴とするカード。
  2. 前記インク受容層が親水性多孔質微粒子を含む請求項1記載のカード。
  3. 前記インク受容層が疎水性を有するバインダ樹脂および親水性多孔質微粒子を含む請求項1または2記載のカード。
  4. 前記被覆層が紫外線硬化樹脂を含む請求項1〜3のいずれか一項記載のカード。
  5. 前記被覆層がレベリング剤を含む請求項1〜4のいずれか一項記載のカード。
  6. 前記第2の画像がインクジェットインクにより形成された請求項1〜5のいずれか一項記載のカード。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014054783A (ja) * 2012-09-13 2014-03-27 Ricoh Co Ltd 再生可能な被記録媒体
JP2017077728A (ja) * 2009-09-15 2017-04-27 トーンジェット リミテッド 印刷方法および液体インクジェットインク
JP2021084313A (ja) * 2019-11-27 2021-06-03 株式会社カナオカホールディングス 食品用包装袋の印刷方法および食品用包装袋

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