JP2003066024A - 可変色色素を担持した高吸水性ポリマー微粒子を含む可変色色素組成物、その製法およびそれを用いた偽造防止用シート - Google Patents

可変色色素を担持した高吸水性ポリマー微粒子を含む可変色色素組成物、その製法およびそれを用いた偽造防止用シート

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JP2003066024A
JP2003066024A JP2001261537A JP2001261537A JP2003066024A JP 2003066024 A JP2003066024 A JP 2003066024A JP 2001261537 A JP2001261537 A JP 2001261537A JP 2001261537 A JP2001261537 A JP 2001261537A JP 2003066024 A JP2003066024 A JP 2003066024A
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JP2001261537A
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Akira Hirasawa
朗 平澤
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Toppan Forms Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で保存性もよく、対象物に印刷などで容
易に塗布できる上、酸素ガスの有無を検知したり、特別
な真贋判定装置を使用せずに真贋判定などを行うのに使
用できる組成物、その製法およびそれを用いた偽造防止
用シートの提供。 【解決手段】 酸素の有無によって可逆的に色調が変化
する可変色色素の溶液および/または分散液を吸収した
高吸水性ポリマー微粒子を油性分散媒体中に分散させた
可変色色素組成物を用いる。この可変色色素組成物を基
材の少なくとも一方の面の所定部に真贋判定用識別符号
を施す。酸素の有無による色調変化を視認ないし光学的
機械読取にて確認する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変色色素を担持
した高吸水性ポリマー微粒子を含む可変色色素組成物、
その製法およびそれを用いた偽造防止性の高い偽造防止
用シート(例えば領収書、有価証券などのフォーム、I
Cカード、磁気カード、リライトカードなど)に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、偽造を困難とする目的で、フォー
ムやカード類の基材面の特定部分にホログラムラベルや
光輝ラベルなどを貼付したり、チタンコーテイングマイ
カなどの高輝度顔料を含有したインク(パールインクな
ど)を印刷したりしたものなどがある。これらは容易に
偽造されず、特別な真贋判定装置を必要としない点で優
れているが、高価であり、したがって製造コストがアッ
プする問題があった。一方、特殊な蛍光インクでマーク
などを印刷する方法があり、この方法によれば製造コス
トのアップや製造工程の煩雑さを伴わず、通常状態では
マークが隠蔽されるために、使用者に意識させないとい
う点で優れているが、この種の特殊な蛍光インクは色調
が淡く、判別し難い場合が起こる可能性があり、加え
て、真贋判定にブラックライト照射装置が必要である。
これらの真贋判定の技術は、技術的に確立されてから年
月日が経過し、一般に認知され、公知化されるようにな
ると逆に偽造され易くなる可能性が高くなるという問題
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、酸素の有無によって可逆的に色調が変化する可変色
色素を含む組成物であって可変色色素を安定して保持す
るとともに、対象物に印刷するなどして塗膜を形成で
き、その塗膜が酸素の有無によって可逆的に色調が変化
することを利用して酸素ガスの有無を検知したり、前記
対象物の真贋判定などに利用したりできる組成物を提供
することであり、本発明の第2の目的は、そのような組
成物を容易に作る製法を提供することであり、本発明の
第3の目的は、そのような組成物を用いて基材の所定部
に真贋判定用識別符号を形成した偽造防止用シートであ
って、真贋判定の際に、視認ないし光学的機械読取によ
って簡便かつ容易に確認が行え、さらに、真贋判定用識
別符号の隠蔽性に優れ、加えて、偽造品の作成や真正品
の改竄などの困難性が高いといった、コスト面や生産性
に優れた新たな方式の偽造防止用シートを提供すること
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意研究した結果、従来、密封包装内の酸
素状態を確認するための酸素インジケーターに利用され
ている、酸素の有無に伴い可逆的に色調が変化する可変
色色素の溶液や分散液を高吸水性ポリマー微粒子に吸収
させ、この高吸水性ポリマー微粒子を油性分散媒体中に
分散させることにより、可変色色素を安定して保持する
可変色色素組成物が得られることを見いだし、そしてこ
の組成物を用いて各種フォーム、カード類に真贋判定用
識別符号を印刷などの方法で形成することにより偽造防
止効果の高い偽造防止用シートを提供できることを見い
だし、本発明を成すに到った。
【0005】すなわち、このような可変色色素組成物を
もって形成した真贋判定用識別符号は、通常状態では、
空気中の酸素の存在により、その色調を有酸素状態にお
ける色調に維持されるが、この真贋判定用符号を、酸素
が無い(あるいは極めて低い)雰囲気中に露呈すること
で、その色調を有酸素状態における色調から無酸素状態
における色調へと変化させ、この色調変化を視認ないし
光学的機械読取にて確認する方式が、真贋判定の有効な
手段となることを確認した。
【0006】また、前記真贋判定用識別符号を、その色
調を無酸素状態における色調に維持するように、酸素不
透過性の透明フィルムによって被覆し、真贋判定時に
は、この透明フィルムを剥離ないし破損させ、大気中の
酸素と前記可変色色素組成物とを接触させることによ
り、真贋判定用符号の色調を有酸素状態における色調へ
と変化させ、この色調変化を視認ないし光学的機械読取
にて確認する方式が、真贋判定の有効な手段となること
を確認した。
【0007】本発明の請求項1記載の可変色色素を担持
した高吸水性ポリマー微粒子を含む可変色色素組成物
は、酸素の有無によって可逆的に色調が変化する可変色
色素の溶液および/または分散液を吸収した高吸水性ポ
リマー微粒子を油性分散媒体中に分散させたことを特徴
とする。
【0008】本発明の請求項2記載の可変色色素を担持
した高吸水性ポリマー微粒子を含む可変色色素組成物
は、請求項1記載の可変色色素組成物において、高吸水
性ポリマー微粒子が球状微粒子であることを特徴とす
る。
【0009】本発明の請求項3は、下記の工程(1)〜
(3)により製造することを特徴とする可変色色素を担
持した高吸水性ポリマー微粒子を含む可変色色素組成物
の製法である。 (1)酸素の有無によって可逆的に色調が変化する可変
色色素を溶媒に溶解および/または分散させた溶液およ
び/または分散液を作る。 (2)工程(1)で作った溶液および/または分散液を
高吸水性ポリマー微粒子に吸収させる。 (3)工程(2)で作った高吸水性ポリマー微粒子を油
性分散媒体中に分散させて可変色色素を担持した高吸水
性ポリマー微粒子を含む可変色色素組成物を作る。
【0010】本発明の請求項4は、基材の少なくとも一
方の面の所定部に請求項1あるいは請求項2記載の可変
色色素組成物を用いて形成された真贋判定用識別符号が
施されていることを特徴とする偽造防止用シートであ
る。
【0011】本発明の請求項5は、請求項4記載の偽造
防止用シートにおいて、前記真贋判定用識別符号の少な
くとも一部が、酸素不透過性の透明フィルムによって無
酸素状態となるように被覆され、当該被覆された領域の
前記可変色色素組成物の色調が、その無酸素状態におけ
る色調を呈していることを特徴とする。
【0012】本発明の請求項6は、請求項4記載の偽造
防止用シートにおいて、真贋判定に際し、前記真贋判定
用識別符号が、酸素を含まない雰囲気に露呈されると、
前記可変色色素組成物の色調が有酸素状態における色調
から無酸素状態における色調へと変化し、その色調変化
を視認ないし光学的機械読取可能とされてなることを特
徴とする。
【0013】本発明の請求項7は、請求項5記載の偽造
防止用シートにおいて、真贋判定に際し、前記酸素不透
過性の透明フィルムによって無酸素状態となるように被
覆された領域が、酸素を含む雰囲気に露呈されると、当
該被覆された領域の前記可変色色素組成物の色調が無酸
素状態における色調から有酸素状態における色調へと変
化し、その色調変化を視認ないし光学的機械読取可能と
されてなることを特徴とする。
【0014】本発明の可変色色素を担持した高吸水性ポ
リマー微粒子を含む可変色色素組成物は、例えば、酸素
の有無によって可逆的に色調が変化する可変色色素の溶
液を吸収させた高吸水性ポリマー微粒子を油性分散媒体
中に分散させたものであるので、安価で保存性もよく、
対象物に印刷などの公知の方法で容易に塗布できる上、
塗膜中の高吸水性ポリマー微粒子に吸収された可変色色
素が酸素の有無によって可逆的に色調が変化することを
利用して酸素ガスの有無を検知したり、前記対象物の真
贋判定などに利用できる。
【0015】本発明の製法により、本発明の可変色色素
を担持した高吸水性ポリマー微粒子を含む可変色色素組
成物を容易に製造できる。
【0016】本発明の偽造防止用シートは、安価で保存
性もよく、基材の少なくとも一方の面の所定部に可変色
色素組成物を用いて真贋判定用識別符号が形成されてお
り、、酸素を含まない雰囲気に露呈されると、前記可変
色色素組成物の色調が有酸素状態における色調から無酸
素状態における色調へと変化し、その色調変化を視認な
いし光学的機械読取が可能である。かかる構成の本発明
の偽造防止用シートによれば、真贋判定用識別符号が、
空気中の酸素の存在により、その有酸素状態における色
調を呈しているが、真贋判定時には、真空チャンバー内
に偽造防止用シートを積置させたり、窒素ガスなどを真
贋判定用識別符号に選択的に吹きかけることで、この真
贋判定用識別符号を、酸素が無い(あるいは極めて低
い)雰囲気中に露呈させ、その色調を有酸素状態におけ
る色調から無酸素状態における色調へと変化させる。し
たがって、この色調変化を視認ないし光学的機械読取に
よって確認することにより真正品を確認できる。換言す
れば、通常の印刷インクにて真贋判定用識別符号を形成
したような偽造品では、このような現象が生じないた
め、偽造品であることが即座に確認できる。
【0017】また、真贋判定用識別符号に特別の処置を
施すことで、その隠蔽性を向上させることも可能であ
る。例えば、真贋判定用識別符号主要部の有酸素状態に
おける色調と、その周囲領域を、この色調と同一色の一
般インキを用いて彩色を施すことで、大気中に置かれた
状態においては、符号の輪郭形状は識別不能となり、隠
蔽性は高まる。
【0018】本発明の他の偽造防止用シートは、前記真
贋判定用識別符号の少なくとも一部が、酸素不透過性の
透明フィルムによって無酸素状態となるように被覆さ
れ、当該被覆された領域の前記可変色色素組成物の色調
が、その無酸素状態における色調を呈しており、真贋判
定に際し、前記酸素不透過性の透明フィルムによって無
酸素状態となるように被覆された領域が、透明フィルム
を剥離したり破壊したりして酸素を含む雰囲気に露呈さ
れると、当該被覆された領域の前記可変色色素組成物の
色調が無酸素状態における色調から有酸素状態における
色調へと変化し、その色調変化を視認ないし光学的機械
読取可能となる。通常の印刷インクにて真贋判定用識別
符号を形成したような偽造品では、このような現象が生
じないため、透明フィルムを剥離ないし破損させても色
調が変化せず、偽造品であることが即座に確認できる。
さらに、この可変色色素組成物自体が、従来の蛍光イン
キに含まれる蛍光物質に比べて一般的でなく特殊性が高
いという点と、無酸素状態で透明フィルムを貼ることの
困難性から、偽造品の作成は非常に困難なものとなる。
また、真正品を改竄しようとして、一旦、透明フィルム
を剥離すると、真贋判定用符号は有酸素状態の色調に変
化してしまうので、前述の偽造品の作成と同様に、再
度、真贋判定用識別符号を無酸素状態の色調に戻した状
態で透明フィルムを貼り直すことの難しさから、改竄に
よる偽造も極めて困難になる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に本発明を実施の形態に基づい
て詳細に説明する。本発明で用いる高吸水性ポリマーと
しては、でんぷん系、セルロース系あるいはアクリルア
ミド、アクリル酸、アクリル酸塩、メタアクリル酸塩、
スチレン、ビニルエーテル等のポリマー、コポリマー、
ターポリマー等の合成樹脂系などが挙げられる。市販の
ものでは、例えば、ノニオン型ポリアルキレンオキサイ
ド系の高吸水性ポリマー「AQUACALK」(住友精化社製)
は、塩に対しても吸水性が変化しないため、好適に利用
できる。高吸水性ポリマーの中には吸水した時、水溶性
で糊状になったり、あるいは水膨潤性で細片状、破砕
状、粒状、粉状のものがあるが、本発明においてはこれ
らのいずれでも使用できる。
【0020】細片状を示す高吸水性ポリマーとしては、
具体的にはアクリル酸とアクリル酸のアンモニウム塩ま
たはアルカリ金属塩とを含むモノマーの溶液に、0.1
〜10質量%の多価有機金属イオン架橋剤を加えて溶液
重合し、乾燥することによって得られる適度に架橋され
た高吸水性ポリマー、あるいはアクリル酸とアクリル酸
のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩との共重合体に
0.1〜10質量%の多価有機金属イオン架橋剤を用い
てポスト架橋することによって得られる適度に架橋され
た高吸水性ポリマーなどを挙げることができる。
【0021】破砕状、粒状状、粉状を示す高吸水性ポリ
マーとしては、上記高吸水性ポリマーを粉砕して所定の
粒子形状に加工する方法、上記高吸水性ポリマーの原料
化合物から重合または縮合して粒状の形で高分子化合物
とする方法などが挙げられる。中でも、有機溶剤中で逆
相懸濁重合して得られる球状あるいは粒状のポリアクリ
ル酸塩、ビニルアルコールとアクリル酸塩共重合体また
はイソブチレンと無水マレイン酸との共重合体をケン化
する方法で得られる高吸水性ポリマー(例えば、平均粒
径約0.005〜5mm)は、水を吸水しても粒子が互
いに非粘着性を維持し、保水した状態で独立した粒子を
維持するので好ましく使用できる。
【0022】保水した状態でも独立した粒子を維持する
高吸水性ポリマ−であると、高吸水性で多量の溶液ある
いは分散液を急速に吸収できるとともに、吸収してもべ
とついたり、塊になったりせず、使用し易く、取り扱い
易い。
【0023】本発明で用いる高吸水性ポリマー微粒子の
粒径は、特に限定されるものではなく、用途、製品の種
類などに応じてnmオーダーのもの(分子分散系)でも
よく、あるいはnm〜μmオーダーのもの(コロイド分
散系)でもよく、あるいはμm以上のもの(粗粒子分散
系)でもよく、あるいはこれらの2つ以上の混合物であ
ってもよい。
【0024】本発明で用いる可変色色素は、通常の大気
中に含有される程度の酸素濃度を有する雰囲気と、無酸
素状態の雰囲気において、その呈する色調が可逆的かつ
明確に変化し、その色調変化を視認ないし光学的機械読
取装置(可視光領域対応)によって確認できるものであ
る。したがって、この色調変化が可逆的である限り、ど
のような可変色色素も利用が可能であるが、好ましく
は、従来、密封包装内の無酸素状態の確認に利用されて
いる、いわゆる酸素インジケーターに利用されるものが
良い。この酸素インジケーターに利用される可変色色素
とは、一般的には、酸化還元性色素とそれに対する還元
剤、さらに、アルカリ性物質と水とを含んでなるもので
あり、水性または油性のものに調製される。
【0025】このような可変色色素においては、酸素濃
度に伴って可逆的な色調の変化が起こるが、その主体
は、酸素濃度が高い環境では、酸化還元性色素は酸化を
受けた状態であるが、無酸素状態に置くと、一旦酸化を
受けた状態から、共存する還元剤の作用により還元され
た状態となる。この酸化・還元は可逆的であり、共存す
る還元剤が消費され、枯渇するまでの間は可逆性が持続
する。なお、アルカリ性物質と水とは、この酸化・還元
反応の場を形成し、その反応に伴う色調変化を誘起する
pH領域であるアルカリ性を維持するために利用されて
いる。
【0026】また、酸化還元性色素としては、特公昭5
5−47820号公報、特公昭56−24906号公
報、特開昭56−8647号公報などに記載される、メ
チレンブルーなどのチアジン系色素、インジコスルホン
酸カリウムなどのインジコ系色素、チオインジゴ系色素
など、さらには、特開平2−138866号公報に記載
されるインドフェノール系色素などが利用可能である。
特に、このインドフェノール系色素は、光照射下に長期
に放置された際にも、その退色の程度はメチレンブルー
系色素と比較すると大幅に少なく、より好ましいもので
ある。かかる酸化還元性色素の酸化体を還元する際に利
用される還元剤としては、グルコース、フラクトース、
キシロース、マルトースなどの還元性糖類を利用するこ
とが好ましい。なお、前記還元性糖類による還元はアル
カリ性条件下で進行するため、例えば、水酸化マグネシ
ウムなどのアルカリ性物質と若干量の水を必要とする。
【0027】ここに、下記の如く、メチレンブルー系色
素を利用した可変色色素の一例を示すが、酸化還元性色
素であるメチレンブルーと、その還元剤として、還元性
糖類のD−グルコースを用い、アルカリ性物質として
は、潮解性や高い吸水性などの性質を有さない水酸化マ
グネシウムを選択し、これに必要な水を加えた組成とし
た。
【0028】〔メチレンブルー系色素を利用した可変色
色素組成物の一例〕 水酸化マグネシウム 96.95質量部 D−グルコース 1.0質量部 メチレンブルー 0.05質量部 水 2.0質量部
【0029】さらに、下記の如く、インドフェノール系
色素を利用した可変色色素の一例を示す。酸化還元性色
素である2,6−ジクロルインドフェノール・ナトリウ
ム塩と、その還元剤として還元性糖類のD−グルコース
を用い、アルカリ性物質としては炭酸ナトリウムを加
え、これに必要な水を加えた組成とした。また、この例
では、全体を溶液とするため、メチルアルコールを溶媒
として加えてある。なお、2,6−ジクロルインドフェ
ノール・ナトリウム塩自体は、無酸素状態では、ほぼ無
色(白色)となるため、アシッドレッド(食用赤色10
6号)を指示色素として添加することにより、無酸素状
態では赤色の色調、一方、有酸素状態では青色の色調を
呈する。
【0030】 〔インドフェノール系色素を利用した可変色色素組成物の一例〕 2,6−ジクロルインドフェノールナトリウム塩 0.5質量部 アシッドレッド(食用赤色106号) 0.1質量部 炭酸ナトリウム 25.0質量部 D−グルコース 2.0質量部 水 2.0質量部 メチルアルコール 70.4質量部
【0031】本発明で用いる油性分散剤は、可変色色素
の溶液および/または分散液を吸収させた高吸水性ポリ
マー微粒子を分散させて可変色色素組成物を調製できる
ものであればヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、
クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエ
チルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒド
ロフラン、1.4−ジオキサン、酢酸エチル、N,N−
ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、
アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、
ニトロメタン、ジミチルスルホキシド、スルホランなど
の脂肪族溶媒やベンゼン、トルエン、ナフタレン、クロ
ロベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ピリジ
ン、ニトロベンゼンなどの芳香族溶媒などの低分子量有
機化合物、オリゴマーあるいはポリマーあるいはこれら
の1つ以上の混合物でよく、特に限定されるものではな
い。
【0032】本発明で用いる油性分散剤の他の例とし
て、非水系ビヒクルを挙げることができる。非水系ビヒ
クルは、前記溶媒や非水系インクなどあるいはこれらの
混合物であればよく、特に限定されない。非水系インク
としては、具体的には、例えば、アルブミン、ゼラチ
ン、カゼイン、でんぷん、アラビアゴム、アルギン酸ソ
ーダなどの天然樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポ
リアミド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチル
メタクリレート、ポリフェニルアセトアセタール、ポリ
エチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピ
リジウムハライド、メラミン樹脂、ポリウレタン、ポリ
ビニルアルコールおよびその誘導体、ポリエステル、ポ
リアクリル酸ソーダ、アクリル酸エステル共重合体など
の合成樹脂、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮
合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリ
ビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジメチル・
ジアリル・アンモニウムクロライドを主成分とする化合
物あるいはこれらの2種以上の混合物などのカチオン性
樹脂を用いたインクを挙げることができる。その他、電
子線硬化型インク、紫外線硬化型インク、スルホン酸
基、カルボキシル基、硫酸エステル基、燐酸エステル基
などのアニオン性基を有する例えばロジン変成マレイン
酸などのアニオン性樹脂なども必要に応じて使用でき
る。
【0033】本発明においてこれらの中でも電子線硬化
型インクや紫外線硬化型インクが好適に使用できる。こ
のような電子線硬化型や紫外線硬化型インクとしては、
公知のアクリル系光重合性モノマーおよび/またはアク
リル系光重合性オリゴマーから任意に選んで用いること
ができる。
【0034】光重合性モノマーとしては、例えばアクリ
ル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエ
ステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲ
ン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシア
ルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル
−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ
−アクリレート及びメタクリレート、アルキレングリコ
ール、ポリオキシアルキレングリコールのモノ又はジア
クリレート及びメタクリレート、トリメチロールプロパ
ントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリト
リットテトラアクリレート及びメタクリレートなど、ア
クリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体、例え
ばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ
置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、ジア
セトンアクリルアミド及びメタクリルアミド、N,N′
−アルキレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミド
など、アリル化合物、例えばアリルアルコール、アリル
イソシアネート、ジアリルフタレート、トリアリルイソ
シアヌレートなどを挙げることができる。
【0035】また、硬化収縮が支障となる用途の場合に
は、例えばイソボルニルアクリレート又はメタクリレー
ト、ノルボルニルアクリレート又はメタクリレート、ジ
シクロペンテノキシエチルアクリレート又はメタクリレ
ート、ジシクロペンテノキシプロピルアクリレート又は
メタクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペ
ンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタク
リル酸エステル、ポリオキシエチレン若しくはポリプロ
ピレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのア
クリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシ
クロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエ
チルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフ
マレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1
−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]
ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−
オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピ
ロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエ
チル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス
(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキ
サスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリ
レート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいはこれ
らのスピログリコールのエチレンオキシド又はプロピレ
ンオキシド付加重合体のモノ−、ジアクリレート、又は
モノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノアクリ
レート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザ
ビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート
又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘ
プテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルな
ど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリ
レート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレ
ート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエ
ニルアクリレート又はメタクリレートなどの光重合性モ
ノマーを用いることができる。これらの光重合性モノマ
ーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いて
もよい。
【0036】アクリル系光重合性オリゴマーとしては、
エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノー
ルAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ
樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物
との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチル
アクリレートとの反応生成物、グリシジルジアクリレー
トと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル
酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水
フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステ
ル、ポリビニルアルコールとN−メチロールアクリルア
ミドとの反応生成物、ポリエチレングリコールと無水マ
レイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物な
どのような不飽和ポリエステル系プレポリマーや、ポリ
ビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化した後、
グリシジルメタクリレートを付加させたものなどのよう
なポリビニルアルコール系プレポリマー、メチルビニル
エーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエ
チルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリ
シジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアク
リル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーなど、そ
のほか、ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセ
グメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその
両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイ
ル基を有するウレタン系プレポリマーなどを挙げること
ができる。これらのアクリル系光重合性オリゴマーは、
重量平均分子量凡そ2000〜30000の範囲のもの
が適当である。
【0037】また、光重合開始剤としては、従来公知の
もので良く、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル
−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1
−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−メ
チル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4
−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパ
ン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1
−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−ビス
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ
メチル−ペンチルフォスフィンオキサイド−ビス(2,
4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィ
ンオキサイドなどが挙げられる。これらの光重合開始剤
は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。その含有量は、通常ビヒクル10
0質量部当り、5〜15質量部の範囲で選ばれるのが好
ましい。
【0038】本発明の可変色色素を担持した高吸水性ポ
リマー微粒子を含む可変色色素組成物は、下記の工程
(1)〜(3)により容易に製造することができる。先
ず工程(1)で、可変色色素を溶媒に溶解および/また
は分散させた溶液および/または分散液を作る。本発明
においては可変色色素を溶媒中に分散する場合に、界面
活性剤を使用する場合があるが、界面活性剤の種類、H
LB、使用量などは特に限定されず、陰イオン性界面活
性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、
両性界面活性剤などを何れも使用できる。可変色色素の
溶媒に対する添加量は安定に長時間にわたり維持できる
ような添加量であれば特に限定されず、また、安定に分
散状態を保つことができるような添加量であればよい。
溶媒に溶解させたり分散させる方法や装置なども特に限
定されず公知のものを用いることができる。
【0039】次いで工程(2)で、工程(1)で作った
溶液および/または分散液を高吸水性ポリマー微粒子に
吸収させる。吸収量は安定に長時間にわたり安定して維
持できるような吸収量であれば特に限定されない。吸収
させる方法や装置なども特に限定されず公知のものを用
いることができる。
【0040】次いで、工程(3)で、工程(2)で作っ
た高吸水性ポリマー微粒子を油性分散媒体中に分散させ
て可変色色素を担持した高吸水性ポリマー微粒子を含む
可変色色素組成物を作る。この際、分散量は安定に維持
できるような分散量であれば特に限定されない。分散さ
せる方法や装置なども特に限定されず公知のものを用い
ることができる。
【0041】本発明の可変色色素組成物に、本発明の効
果を損なわない範囲で、公知のシリカ、アルミナ、マイ
カなどのフィラー、炭素粉、顔料、染料、重合禁止剤、
増粘剤、チキソトロピー剤、沈殿防止剤、酸化防止剤、
分散剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0042】本発明の可変色色素組成物は、例えば、刷
毛塗り、ロールコーテイング法、キスコート、ホイラー
コート、スプレー法、カーテン塗装法、浸漬法、静電塗
装法、グラビアコーター、グラビアオフセットコータ
ー、平板オフセットコーター、ダイリソコーター、フレ
キソ、エアナイフコーター、バーコーター、凸版印刷、
凹版印刷、シルクスクリーン印刷などの塗工手段により
対象物の面の所定部あるいは全部に塗工し、必要に応じ
て乾燥、硬化して、対象物に密着した塗膜、図柄、模様
などを形成することができる。
【0043】本発明で用いる対象物としては、有機物で
も無機物でもあるいはこれらの組み合わせでもよく、天
然由来のものでも、合成品でもあるいはこれらの組み合
わせでもよく、具体的には、例えば、通常の紙の他に、
合成紙、あるいはポリエチレン、透明性を有するポリエ
チレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニルな
どの合成フィルムを用いることもでき、また、カーボ
ン、ガラス、セラミックス、金属、木、あるいはこれら
の組み合わせ、およびこれらの加工製品などを挙げるこ
とができる。塗膜の密着性を向上するためにこれらの対
象物の表面をマット処理、コロナ処理などの表面処理を
施すことができる。また、対象物面への塗工量は、特に
限定されないが、例えば約1〜30g/m2 の例を挙げ
ることができる。
【0044】本発明の可変色色素組成物を用いて、凸版
印刷、グラビア印刷法などの凹版印刷、オフセット方式
などの平板印刷、スクリーン印刷およびインクジェット
方式その他の通常用いられる印刷方法で基材の少なくと
も一方の面の所定部に塗工し、必要に応じて乾燥して、
紫外線などの光を照射して硬化させた真贋判定用識別符
号を有する本発明の偽造防止用シートを形成することが
できる。
【0045】本発明で用いる基材としては、上質紙、ア
ート紙、コート紙、ミラーコート紙、コンデンサー紙、
パラフィン紙、その他の紙の他に、それにオーバーコー
ト層(保護層)をもつ用紙やフィルムなどの他に、合成
紙、あるいはポリエチレン、透明性を有するポリエチレ
ンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの
合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィ
ルムを用いる場合には基材の表面をマット処理、コロナ
処理などの表面処理を施すのが好ましい。また基材面へ
の塗工量は、特に限定されないが、例えば1〜30g/
2 、好ましくは3〜20g/m2 、さらに好ましくは
5〜15g/m2 とする。
【0046】以下、図面により本発明をさらに詳細に説
明する。図1は本発明の酸素の有無に伴って可逆的に色
調が変化する可変色色素を担持した高吸水性ポリマー微
粒子を含む可変色色素組成物を基材に塗布して真贋判定
用識別符号を施した本発明の偽造防止用シート(領収
書)の一例を示す説明図である。図1において、本発明
の偽造防止用シート1は、基材の用紙2に所定の事項3
および全体の装飾を目的とするデザイン化された模様4
が印刷されているとともに、本発明の可変色色素組成物
を用いて印刷して模様4と同じ模様の真贋判定用識別符
号5が施され、真贋判定用識別符号5はその可変色色素
組成物の有酸素状態における色調を呈している。なお、
模様4の色調は可変色色素組成物の有酸素状態における
色調と同じ色調を呈する一般インキにて地紋印刷してい
る。すなわち、通常状態では、模様4と真贋判定用識別
符号5が同じ色調であるため目視では区別がつかず、こ
の状態では真贋判定用識別符号5は隠蔽状態にある。
【0047】偽造防止用シート1の真贋判定時、有酸素
状態から無酸素状態への転換方法としては、例えば、図
示しない真空チャンバー内に偽造防止用シート1を積置
させたり、窒素ガスなどを真贋判定用識別符号5に選択
的に吹きかけたりして、無酸素状態の環境を具現させた
り、あるいはスポット的に真贋判定用識別符号5を含む
領域の酸素濃度を極めて低い状態にすると、真贋判定用
識別符号5は有酸素状態の色調から無酸素状態の色調へ
と変化し、模様4の色調との差異が明確になり顕在化す
る。この顕在化は視認によっても確認できるが、光学的
機械読取装置にて読み取ることもできる。このような真
贋判定方法は、比較的高価な債権証書や、即座に大量に
真贋判定を行う必要のある入場券など、偽造防止用シー
トの性格や使用状況に応じ、適宜、適切なものを選択す
るのが好ましい。
【0048】なお、本発明の偽造防止用シート1では、
真贋判定用識別符号5は、通常、雰囲気大気と密に接触
可能に形成するが、表面に何らの被覆をも設けず、その
表面が直接雰囲気に露呈される状態に形成するが、酸素
通気性の透明フィルムによる被覆を施しても構わない。
その際、該透明フィルムの少なくとも一部を、穿孔フィ
ルムで構成することもできる。例えば、微細な孔の形成
された多孔性透明フィルムで表面の被覆などを行っても
良い。
【0049】図2は本発明の他の偽造防止用シート(領
収書)の例を示す説明図であり、図3は図2に示した本
発明の他の偽造防止用シート(領収書)のA−A線断面
説明図である。図2において、本発明の偽造防止用シー
ト1Aは、基材の用紙2に所定の事項3および全体の装
飾を目的とするデザイン化された模様4が印刷されてい
るとともに、本発明の可変色色素組成物を用いて印刷し
て模様4と同じ模様の真贋判定用識別符号5が施され、
図2、3に示すように真贋判定用識別符号5は酸素不透
過性の透明フィルム6によって無酸素状態になるように
被覆され、被覆された領域の可変色色素組成物の色調は
無酸素状態における色調を呈している。図2に示すよう
に真贋判定用識別符号5は透明フィルム6の4周辺に施
された感圧性接着剤7によって基材2に接着されてお
り、被覆された部分は完全に外気雰囲気とは遮断された
状態になっている。なお、模様4の色調は可変色色素組
成物の無酸素状態における色調と同じ色調を呈する一般
インキにて地紋印刷している。すなわち、通常状態で
は、模様4と真贋判定用識別符号5が同じ色調であるた
め目視では区別がつかず、この状態では真贋判定用識別
符号5は隠蔽状態にある。酸素不透過性の透明フィルム
6としては、例えば二軸延伸フィルム(クラレ社製 エ
バールEF−XL/15μm)を用い、さらに、基材2は、
表面にロールコート・ニスインキをコート層として設
け、酸素の侵入を防止するように加工した上質紙を用い
る。
【0050】そして、真贋判定時には、透明フィルム6
を剥離するなどすると、真贋判定用識別符号5における
被覆されていた可変色色素組成物が空気中の酸素と接触
し、その色調は無酸素状態から有酸素状態における色調
に変化し、模様4との差異が明確になり、真贋判定用識
別符号5は顕在化する。この顕在化は視認によっても確
認できるが、光学的機械読取装置にて読み取ることもで
きる。
【0051】なお、透明フィルム6で被覆されている部
分に真贋判定用識別符号5が設けられているということ
は容易に推測できるものの、例えば、無酸素状態におい
て無色(白色)の可変色色素組成物を用いて真贋判定用
識別符号5を設けたり、あるいは、上記のように有色で
ある場合は、真贋判定用識別符号5の背景の色調と、真
贋判定用識別符号5自体の色調とを同じにさせることに
より、真贋判定用識別符号5の隠蔽性が図られ、その偽
造をさらに困難とすることもできる。
【0052】図4は本発明の可変色色素を担持した高吸
水性ポリマー微粒子を含む可変色色素組成物を対象物に
塗布した状態を模式的に示す説明図である。図4におい
て、10は対象物、12は対象物10上に本発明の可変
色色素組成物を塗布し形成した塗膜、13は可変色色素
14の溶液および/または分散液を吸収した高吸水性ポ
リマー微粒子を示す。塗膜12中の高吸水性ポリマー微
粒子13に担持された可変色色素14は前記のように酸
素の有無に伴って可逆的に色調が変化するので、例えば
空気中に対象物10が置かれた場合には有酸素状態にお
ける色調を呈している。したがって、図1に示した偽造
防止用シート1の場合と同じようにして対象物10の真
贋判定に利用できる他、この対象物10を例えば炭酸ガ
ス、窒素などが充満したり停滞しているようなタンクや
洞窟などの雰囲気中に入れると、その色調は有酸素状態
から無酸素状態における色調に変化し、視認によっても
確認できるので、酸素ガスの有無を検知して、危険を避
けるなどの目的に使用することも可能である。
【0053】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸
脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0054】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の可変色色素を担
持した高吸水性ポリマー微粒子を含む可変色色素組成物
は、酸素の有無によって可逆的に色調が変化する可変色
色素の溶液および/または分散液を吸収した高吸水性ポ
リマー微粒子を油性分散媒体中に分散させたので、安価
で保存性もよく、対象物に印刷などの公知の方法で容易
に塗布できる上、その塗膜が酸素の有無によって可逆的
に色調が変化することを利用して酸素ガスの有無を検知
したり、特別な真贋判定装置を使用せずに前記対象物の
真贋判定などを行うことができるという顕著な効果を奏
する。
【0055】本発明の請求項2記載の可変色色素組成物
は、請求項1記載の可変色色素組成物において、高吸水
性ポリマー微粒子が球状微粒子であるので、請求項1記
載の可変色色素組成物と同じ効果を奏するとともに、吸
水しても相互に非粘着で、取り扱い性に優れるととも
に、塗膜面の平滑性などに優れるというさらなる顕著な
効果を奏する。
【0056】本発明の請求項3記載の製法により、本発
明の可変色色素組成物を容易に製造できるという顕著な
効果を奏する。
【0057】本発明の請求項4記載の偽造防止用シート
は、基材の少なくとも一方の面の所定部に請求項1ある
いは請求項2記載の可変色色素組成物を用いて形成され
た真贋判定用識別符号が施されているので、この真贋判
定用識別符号を、その色調を有酸素状態における色調に
維持し、真贋判定時には、真贋判定用識別符号を、酸素
が無い(あるいは極めて低い)雰囲気中に露呈させるこ
とにより、真贋判定用識別符号の色調を無酸素状態にお
ける色調へと変化させ、この色調変化を視認ないし光学
的機械読取にて確認するように構成されているため、視
認ないし光学的機械読取によって簡便かつ容易に確認が
行え、また、コスト面や生産性に優れ、さらには、真贋
判定用識別符号の隠蔽性にも優れるといった様々な顕著
な効果を奏する。本発明の請求項4記載の偽造防止用シ
ートとは、領収書、有価証券などのフォーム、ICカー
ド、磁気カード、リライトカードなどを包含するもので
ある。
【0058】本発明の請求項5記載の偽造防止用シート
は、請求項4記載の偽造防止用シートにおいて、前記真
贋判定用識別符号の少なくとも一部が、酸素不透過性の
透明フィルムによって無酸素状態となるように被覆さ
れ、当該被覆された領域の前記可変色色素組成物の色調
が、その無酸素状態における色調を呈しているので、真
贋判定時には、この透明フィルムを剥離ないし破損さ
せ、大気中の酸素と前記可変色色素組成物とを接触させ
ることにより、真贋判定用識別符号の色調を有酸素状態
における色調へと変化させ、この色調変化を視認ないし
光学的機械読取にて確認するように構成されているた
め、真贋判定の際に、真贋判定用識別符号を顕在化する
ための特別な装置を必要とせず、視認ないし光学的機械
読取によって簡便かつ容易に確認が行え、さらに、コス
ト面や生産性に優れ、偽造品の作成や真正品の改竄など
の困難性が高く、加えて、真贋判定用符号の隠蔽性にも
優れるといった様々な顕著な効果を奏する。
【0059】本発明の請求項6記載の偽造防止用シート
は、請求項4記載の偽造防止用シートにおいて、真贋判
定に際し、前記真贋判定用識別符号が、酸素を含まない
雰囲気に露呈されると、前記可変色色素組成物の色調が
有酸素状態における色調から無酸素状態における色調へ
と変化し、その色調変化を視認ないし光学的機械読取可
能とされてなるので、請求項4記載の偽造防止用シート
と同じ効果を奏する上、偽造品の作成や真正品の改竄な
どの困難性がさらに高いというさらなる顕著な効果を奏
する。
【0060】本発明の請求項7記載の偽造防止用シート
は、請求項5記載の偽造防止用シートにおいて、真贋判
定に際し、前記酸素不透過性の透明フィルムによって無
酸素状態となるように被覆された領域が、酸素を含む雰
囲気に露呈されると、当該被覆された領域の前記可変色
色素組成物の色調が無酸素状態における色調から有酸素
状態における色調へと変化し、その色調変化を視認ない
し光学的機械読取可能とされてなるので、請求項5記載
の偽造防止用シートと同じ効果を奏する上、偽造品の作
成や真正品の改竄などの困難性がさらに高いというさら
なる顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偽造防止用シートの一例を示す説明図
である。
【図2】本発明の他の偽造防止用シートの例を示す説明
図である。
【図3】図2に示した本発明の他の偽造防止用シートの
A−A線断面説明図である。
【図4】本発明の可変色色素を担持した高吸水性ポリマ
ー微粒子を含む可変色色素組成物を対象物に塗布した状
態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1、1A 本発明の偽造防止用シート 2 基材の用紙 3 所定の事項 4 模様 5 真贋判定用識別符号 6 透明フィルム 7 感圧性接着剤 10 対象物 12 塗膜 13 高吸水性ポリマー微粒子 14 可変色色素
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 31/22 122 G01N 31/22 122 G06K 19/077 G07D 7/12 // G07D 7/12 G06K 19/00 K Fターム(参考) 2C005 HA03 HB09 HB10 JB17 KA01 KA06 LA02 LA12 2G042 AA05 BB09 CA10 CB06 DA03 DA08 EA20 FA02 FA05 FA13 FB07 FC02 FC06 FC08 GA05 HA07 2G054 AA04 CA08 CD03 CE02 EA06 FB02 GA03 GB04 GE05 JA02 JA04 3E041 AA01 AA03 BB03 BC06 DB01 5B035 AA13 BA03 BB09 CA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素の有無によって可逆的に色調が変化
    する可変色色素の溶液および/または分散液を吸収した
    高吸水性ポリマー微粒子を油性分散媒体中に分散させた
    ことを特徴とする可変色色素を担持した高吸水性ポリマ
    ー微粒子を含む可変色色素組成物。
  2. 【請求項2】 高吸水性ポリマー微粒子が球状微粒子で
    あることを特徴とする請求項1記載の可変色色素組成
    物。
  3. 【請求項3】 下記の工程(1)〜(3)により製造す
    ることを特徴とする可変色色素を担持した高吸水性ポリ
    マー微粒子を含む可変色色素組成物の製法。 (1)酸素の有無によって可逆的に色調が変化する可変
    色色素を溶媒に溶解および/または分散させた溶液およ
    び/または分散液を作る。 (2)工程(1)で作った溶液および/または分散液を
    高吸水性ポリマー微粒子に吸収させる。 (3)工程(2)で作った高吸水性ポリマー微粒子を油
    性分散媒体中に分散させて可変色色素を担持した高吸水
    性ポリマー微粒子を含む可変色色素組成物を作る。
  4. 【請求項4】 基材の少なくとも一方の面の所定部に請
    求項1あるいは請求項2記載の可変色色素組成物を用い
    て形成された真贋判定用識別符号が施されていることを
    特徴とする偽造防止用シート。
  5. 【請求項5】 前記真贋判定用識別符号の少なくとも一
    部が、酸素不透過性の透明フィルムによって無酸素状態
    となるように被覆され、当該被覆された領域の前記可変
    色色素組成物の色調が、その無酸素状態における色調を
    呈していることを特徴とする請求項4記載の偽造防止用
    シート。
  6. 【請求項6】 真贋判定に際し、前記真贋判定用識別符
    号が、酸素を含まない雰囲気に露呈されると、前記可変
    色色素組成物の色調が有酸素状態における色調から無酸
    素状態における色調へと変化し、その色調変化を視認な
    いし光学的機械読取可能とされてなることを特徴とする
    請求項4記載の偽造防止用シート。
  7. 【請求項7】 真贋判定に際し、前記酸素不透過性の透
    明フィルムによって無酸素状態となるように被覆された
    領域が、酸素を含む雰囲気に露呈されると、当該被覆さ
    れた領域の前記可変色色素組成物の色調が無酸素状態に
    おける色調から有酸素状態における色調へと変化し、そ
    の色調変化を視認ないし光学的機械読取可能とされてな
    ることを特徴とする請求項5記載の偽造防止用シート。
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