JP2004068042A - 導電性プレコートアルミニウム合金板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム合金板よりなる基板2と,基板2の片面又は両面に形成した化成皮膜3と,化成皮膜3上に形成した導電層4とよりなる導電性プレコートアルミニウム合金板1である。導電層4は,Zr化合物を含有する導電性の合成樹脂塗膜よりなると共に,その膜厚が0.5μm以下である。導電層4におけるZr化合物を構成するZrの含有量は,導電層全体の乾燥重量を100重量部とした場合,10重量部〜80重量部であることが好ましい。導電層4の電気抵抗は10Ω以下であることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【技術分野】
本発明は,例えば電気機器用筐体等に用いられる導電性に優れたプレコートアルミニウム合金板に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,アルミニウム合金板の表面を合成樹脂塗料にてコーティングしてなるプレコートアルミニウム合金板は,耐食性に優れ,軽量であり,かつ,成形後に塗装を施す必要がないという優れた特性を有している。そのため,プレコートアルミニウム合金板は,家電製品やOA機器の筐体等の材料として広く用いられている。
【0003】
しかしながら,上記合成樹脂塗料(有機樹脂系塗料)は電気的絶縁性を有している。そのため,従来のプレコートアルミニウム合金板は,導電性に劣り,帯電防止性能が不十分であった。
それ故,従来より,以下のような導電性を持たせた種々の金属塗装板が提案されている。
【0004】
特開平5−309331号公報及び特開平5−311454号公報には,りん化鉄,グラファイト,カーボンブラック等の導電性物質を所定割合含む有機皮膜が形成された複合被覆アルミニウム板が開示されている。
特開平7−313930号公報には,金属酸化物を含有する塗膜が形成された導電性プレコート金属板が示されている。
特開平7−90604号公報には,カーボンブラックを所定割合含有する有機樹脂層が形成されたアルミニウム合金板が示されている。
【0005】
特開平7−211131号公報,特開平7−314601号公報,特開平8−267656号公報,特開2001−205730号公報には,フレーク状,鱗片状ないし球状のNiフィラーを塗膜中に含有することが提案されている。
特開平5−320934号公報,特開平5−65664号公報,特開平7−246679号公報では,Ni微粒子を塗膜中に含有させたアルミニウム板が提案されている。
【0006】
【解決しようとする課題】
ところで,上述したいずれの従来技術においても,有機樹脂中に,上記のごとき様々な導電性物質を多量に含有させる必要がある。一方,これら導電性物質は,有機樹脂中においてはその塗膜性能を低下させる異物となってしまう。即ち,塗膜中における多量の異物の存在によって,バインダーの役割を担う有機樹脂の割合が低下し,塗膜の密着性及び成形性は大きく低下する。
また,電気的導電性についても,導電性物質の分布のばらつきなどにより,その値が安定しないという問題があった。
【0007】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,塗膜の密着性及び成形性に優れ,かつ,優れた導電性を有する導電性プレコートアルミニウム合金板を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
本発明は,アルミニウム合金板よりなる基板と,該基板の片面又は両面に形成した化成皮膜と,該化成皮膜上に形成した導電層とよりなり,
該導電層は,Zr化合物を含有する導電性の合成樹脂塗膜よりなると共に,その膜厚が0.5μm以下であることを特徴とする導電性プレコートアルミニウム合金板にある(請求項1)。
【0009】
本発明においては,上記導電層として,上記のごとく厚みが0.5μm以下と非常に薄く,Zr化合物を含有する導電性の合成樹脂塗膜を用いている。そして,この合成樹脂塗膜は,従来のような導電性物質を多量に分散させる構造ではなく,上記合成樹脂塗膜そのものが導電性を有している。そのため,塗膜の密着性や加工性の低下を抑制しつつ導電性を得ることができる。
また,上記塗膜そのものが導電性を有しているので,導電率のばらつき等もほとんどなく非常に優れた導電性が得られる。
【0010】
なお,上記合成樹脂塗膜が優れた導電性を発揮するメカニズムは十分に解明されていない。しかしながら,少なくとも,上記のごとく,合成樹脂塗膜中にZr化合物を含有させ,かつ,その膜厚を0.5μm以下にするという構成を積極的に採用することにより,後述する実施例にも裏付けられるように,優れた導電性が得られるのである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における上記基板となるアルミニウム合金としては,用途に応じて様々なアルミニウム合金を適用することができる。具体的には,5000系,6000系その他の種々の合金系がある。
【0012】
また,上記基板上に形成される化成皮膜としては,リン酸クロメート,クロム酸クロメート等のクロメート処理,クロム化合物以外のリン酸チタンやリン酸ジルコニウム,リン酸モリブデン,リン酸亜鉛等によるノンクロメート処理等の化学皮膜処理,いわゆる化成処理により得られる皮膜が採用される。
【0013】
この化成皮膜よりなる下地処理層の存在によって,アルミニウム合金板よりなる基板と導電層としての合成樹脂塗膜との密着性を効果的に向上させることができる。また,優れた耐食性が実現されて,水,塩素化合物等の腐食性物質がアルミニウム合金板の表面に浸透した際に惹起される塗膜下腐食が抑制され,塗膜割れや塗膜剥離の防止を図ることができる。
なお,上記クロメート処理やノンクロメート処理等の化成処理方法には,反応型及び塗布型があるが,本発明においてはいずれの手法が採用されても何ら差し支えない。
【0014】
また,上記導電層を構成する上記合成樹脂塗膜中に含有されるZr化合物としては,例えば,フッ化ジルコニウム(III),フッ化ジルコニウム(IV),塩化ジルコニウム(III),塩化ジルコニウム(IV),酸化ジルコニウム(IV),硫酸ジルコニウム(IV)四水和物,硝酸ジルコニウム(IV)五水和物,二硝酸酸化ジルコニウム(IV)二水和物,ケイ酸ジルコニウム(IV),二水素化ジルコニウム,ヘキサフルオロジルコニウム(IV)酸カリウム,ヘキサフルオロジルコニウム(IV)ナトリウム,酢酸ジルコニウム(IV)を例示できる。
【0015】
また,上記合成樹脂塗膜を構成する合成樹脂塗料としては,Zrとの相性が良く,柔軟性,密着性および耐食性が良好である各種の合成樹脂塗料を適用することができる。例えば,ポリアクリル樹脂系塗料,ポリエステル樹脂系塗料,エポキシ樹脂系塗料,フッ素樹脂系塗料,ウレタン樹脂系塗料等がある。
【0016】
また,上記合成樹脂塗料を塗装する方法としては,特に制限されるものではないが,ロールコート法,バーコート法,浸漬塗布法,スプレー法等の公知の各種手法を採用しうる。また,この合成樹脂塗料を塗布した後,硬化させて合成樹脂塗膜よりなる導電層を得るための硬化条件,即ち焼き付け条件等についても,各合成樹脂塗料の種類等に応じて種々の条件を選択することができる。
【0017】
また,上記導電層を構成する上記合成樹脂塗膜の膜厚は,上記のごとく0.5μm以下とする。この膜厚が0.5μmを超える場合には,上記合成樹脂塗膜の電気抵抗が大きくなって導電性が低下すると共に,プレス成形性等の塗膜の成形性が低下するおそれがある。なお,上記膜厚の下限値は,耐食性を維持するという理由から0.05μmとすることが好ましい。
【0018】
次に,上記導電層における上記Zr化合物を構成するZrの含有量は,上記導電層全体の乾燥重量を100重量部とした場合,10重量部〜80重量部であることが好ましい(請求項2)。Zr含有量が10重量部未満の場合には,上記合成樹脂塗膜の電気抵抗が大きくなって導電性が低下するおそれがある。一方,Zr含有量が80重量部を超える場合には,導電性は向上するものの,塗膜の耐食性が低下し,さらに,化成皮膜と塗膜との間の密着性が低下するおそれがある。
【0019】
また,上記導電層の電気抵抗は10Ω以下であることが好ましい(請求項3)。即ち,上記Zr含有量等を調整して,導電層の電気抵抗を10Ω以下に調整することが好ましい。これにより,導電性を必要とする様々な用途に好適に利用することができる。
なお,上記電気抵抗値の測定は,後述するごとく,針状電極法により行うことができる。
【0020】
また,上記導電層には,該導電層の表面の摩擦係数を低減させるためのインナーワックスが含有されていることが好ましい(請求項4)。この場合には,インナーワックスの存在によって,表面の摩擦係数が低減し,耐傷付き性向上や成形性の向上を図ることができ,また,油分や水分の接触角低減や,指紋がつきにくくなるという耐指紋性向上等を図ることができる。
【0021】
また,上記導電層における上記インナーワックスの含有量は,上記導電層全体の乾燥重量を100重量部とした場合,0.05重量部〜3重量部であることが好ましい(請求項5)。上記インナーワックスの含有量が0.05重量部未満の場合には,プレス成形性の向上効果があまり得られないという問題がある。一方,3重量部を超える場合には,上記導電性プレコートアルミニウム合金板を量産する際の製造過程においてコイルアップ等した場合に,インナーワックスが染み出して生産性を低下させる等の問題がある。
ここで,上記インナーワックスとしては,例えば,ラノリン,カルナバ,ポリエチレン等がある。
【0022】
また,上記導電層の表面の表面粗さRaは0.05μm〜0.4μmであることが好ましい(請求項6)。上記導電層の表面の表面粗さRaが0.05μm未満の場合には,耐傷付き性や耐指紋性が低下するという問題があり,一方,0.4μmを超える場合には,粗さの山の頂上部の膜厚が薄くなり易い傾向にあり,耐食性が劣化するという問題がある。
【0023】
また,上記化成皮膜下にある上記基板の表面粗さRaは0.1μm〜0.5μmであることが好ましい(請求項7)。上記基板の表面粗さRaが0.1μm未満の場合には,導電層表面における,耐傷付き性や耐指紋性が低下すると共に,いわゆるアンカー効果が得られず上記合成樹脂塗膜の密着性が低下するという問題がある。一方,表面粗さRaが0.5μmを超える場合には,上記合成樹脂塗膜が基板を覆いきれない塗膜切れ現象が発生し,耐食性やプレス加工性等が低下するという問題がある。
【0024】
また,上記導電性プレコートアルミニウム合金板は,電気機器用筐体あるいは電子機器用筐体に用いられることが好ましい(請求項8)。この場合には,上述した優れた導電性,成形性等を生かして,優れた電気機器用筐体あるいは電子機器用筐体を得ることができる。
【0025】
なお,上記電気機器用筐体あるいは電子機器用筐体としては,例えば,パソコン本体,CD−ROM,DVD,PDA等の電子機器の筐体,テレビ等の電気機器の筐体,FDD,MD,MO等の記憶媒体ケースのシャッター部分,その他様々なものがある。
【0026】
【実施例】
本発明の実施例に係る導電性プレコートアルミニウム合金板につき,さらに具体的に説明する。
本例では,表4に示すごとく,本発明品としての5種類の試料E1〜E5と,比較品としての4種類の試料C1〜C4を作製し,種々の性能評価試験を実施した。
【0027】
試料E1〜E5の導電性プレコートアルミニウム合金板1は,いずれも,図1に示すごとく,アルミニウム合金板よりなる基板2と,該基板2の片面又は両面に形成した化成皮膜3と,該化成皮膜3上に形成した導電層4とよりなる。導電層4は,Zr化合物を含有する導電性の合成樹脂塗膜よりなると共に,その膜厚が0.5μm以下である。
試料C1〜C4は,基本的な構成は試料E1〜E5と同様であるが,少なくとも導電層となる合成樹脂塗膜の厚みを0.5μmを超える厚みとし,さらに,その他の構成を変化させたものである。
【0028】
これらの試料E1〜E5,C1〜C4を作製するに当たっては,まず,アルミニウム合金板よりなる基板2として,板厚1.0mmの5052−H34材を準備した。この基板2としては,表4に示すごとく,表面粗さRaを0.07〜0.5の範囲内で変化させた。
【0029】
次に,この基板2に,化成皮膜3を形成する化成皮膜処理を施した。表1には,本例で採用した5種類の化成処理(a〜e)を示す。
化成処理aは,リン酸クロメート処理によって,クロム量が20mg/m2となるように反応型クロメート皮膜を形成するものである。具体的には,化成処理液に試料を浸漬するどぶ漬け法により化成処理を行い,その後,約100℃の雰囲気で乾燥させた。
【0030】
化成処理bは,クロム酸クロメート処理によって,クロム量が100mg/m2となるように反応型クロメート皮膜を形成するものである。処理方法は上記化成処理aと同様である。
化成処理cは,ジルコニウム処理によって,ジルコニウム量が20mg/m2となるように反応型ノンクロメート皮膜を形成するものである。処理方法は上記化成処理aと同様である。
【0031】
化成処理dは,塗布型クロメート処理によって,クロム量が20mg/m2となるように塗布型クロメート皮膜を形成するものである。具体的には,基板の脱脂処理を行った後,バーコート法により処理剤を塗布し,その後,約100℃の雰囲気で乾燥させた。
化成処理eは,塗布型ジルコニウム処理によって,ジルコニウム量が20mg/m2となるように塗布型ノンクロメート皮膜を形成するものである。処理方法は上記化成処理dと同様である。
【0032】
次に,化成皮膜3の上に,導電層4としての合成樹脂塗膜を形成した。合成樹脂塗料の塗装方法としては上述した様々な方法があるが,本例では,バーコート法により行い,その後,基板の表面温度が約230℃となる雰囲気に40秒保持する焼き付け処理を行って硬化させた。
また,表4に示すごとく,各試料によって,ベースとなる合成樹脂塗料の種類,含有させるZr化合物の種類,塗膜厚(乾燥時),インナーワックスの含有量等を変化させた。
【0033】
上記合成樹脂塗料としては,表2に示すごとく,5種類のもの(A〜E)を準備した。
合成樹脂塗料Aはポリアクリル樹脂系塗料,合成樹脂塗料Bはポリエステル樹脂系塗料,合成樹脂塗料Cはエポキシ樹脂系塗料,合成樹脂塗料Dはフッ素樹脂系塗料,合成樹脂塗料Dはウレタン樹脂系塗料である。
また,上記インナーワックスととしては,ポリエチレンを用いた。
【0034】
また,含有させるZr化合物としては,表3に示すごとく,3種類のZr化合物(α,β,γ)を準備した。
Zr化合物αはフッ化ジルコニウム(III),Zr化合物βは酸化ジルコニウム(IV),Zr化合物γは硝酸ジルコニウム(IV)である。
【0035】
また,表4に示すごとく,合成樹脂塗膜の膜厚は0.005〜0.79μmの範囲で変化させ,Zr含有量は導電層(合成樹脂塗膜)全体の乾燥重量を100として,10〜85の範囲で変化させ,インナーワックス量は導電層(合成樹脂塗膜)全体の乾燥重量を100として,0.02〜3の範囲で変化させ,導電層の表面粗さRaは,0.03〜0.5μmの範囲で変化させた。
【0036】
次に,本例では,表4に示す9種類の試料(E1〜E5及びC1〜C4)に対して,表5に示すごとく,各種の評価試験等を行った。
<導電性>
導電性は,針状電極法により電気抵抗値を測定することにより評価した。針状電極法は,0.2mmφの球面状の針先を有する純銅製の針を,導電層の表面に載せ,針先が導電層を貫通しない荷重である50〜200gの荷重を針に付与し,この状態で,脱膜して露出させた基板と針との間を導通させることにより,針先が接触している部分の導電層の電気抵抗値を測定する方法である。本例では,針に付与する荷重を一律100gとして行った。
【0037】
<プレス加工性>
プレス加工性は,図2に示されるように,各試料50に対して,それぞれ曲げ加工を繰り返して行い,曲げ加工部の導電層の塗膜割れが消滅する曲げ回数で評価した。
評価点は5段階とし,曲げ回数1回の場合を5点,曲げ回数2回の場合を4点,曲げ回数3回の場合を3点,曲げ回数4回の場合を2点,曲げ回数5回の場合を1点とした。
【0038】
<塗膜密着性>
塗膜密着性は,試料を沸騰水に2時間浸漬させた後,JIS K5400に規定された碁盤目テープ剥離試験を行い,1mm×1mmの碁盤目総数100個中の塗膜の残存数により評価した。
評価点は5段階とし,残存数100個の場合を5点,残存数90個以上100個未満の場合を4点,残存数80個以上90個未満の場合を3点,残存数60個以上80個未満の場合を2点,残存数60個未満の場合を14点とした。
【0039】
<耐食性>
耐食性は,試料の導電層の表面から,カッターナイフを用いてクロスカットを入れ,JIS K5400に規定された塩水噴霧試験に準拠し,噴霧時間を720時間として行った後,試料の外観を観察した。
評価点は5段階とし,外観上変化ない場合を5点,0.5mm未満の塗膜膨れがあった場合を4点,0.5mm以上1mm未満の塗膜膨れがあった場合を3点,1mm以上3mm未満の塗膜膨れがあった場合を2点,3mm以上の塗膜膨れがあった場合を1点とした。
【0040】
<耐傷付き性>
耐傷付き性は,図3に示されるバウデン試験にて行った。即ち,荷重100gで直径1/4インチの硬球51を,サンプル台59上に載置した試料50の導電層の表面において摺動させ,塗膜破れが発生した際の摺動回数にて評価した。
評価点は5段階とし,摺動回数100回以上の場合を5点,摺動回数75回以上100回未満の場合を4点,摺動回数50回以上75回未満の場合を3点,摺動回数25回以上50回未満の場合を2点,摺動回数25回未満の場合を1点とした。
【0041】
<耐指紋性>
耐指紋性は,各試料を50mm×50mmの面積に切り出し,その半分の面積に10mg/dm2の量のワセリンを塗布し,全体をエタノール中に1回漬けて引き上げ,その後,ワセリンの残存面積を目視観察した。
評価点は5段階とし,残存無しの場合を5点,1/4残存の場合を4点,1/2残存の場合を2点,3/4残存の場合を2点,全面残存の場合を1点とした。
【0042】
<耐溶剤性>
耐溶剤性は,1ポンドハンマーにウエスを5重に被せ,トリクロロエチレンを染み込ませ,各試料の導電層の表面に乗せて50mm長さを繰り返し摺動させ,何回目で塗膜表面が溶解し変色するかを観察した。
評価点は5段階とし,10回以上の場合を5点,7回以上10回未満の場合を4点,5回以上7回未満の場合を3点,2回以上5回未満の場合を2点,1回の場合を1点とした。
なお,上記すべての5段階評価においては,3点以上が良好であると判断できる。
【0043】
表5に評価結果を示す。
表5より知られるごとく,本発明品としての試料E1〜E5は,すべての評価項目において優れた特性を示した。
一方,比較品としての試料C1〜C4は,すべて,いずれかの評価項目であまり良くない結果が得られた。
【0044】
特に,最も基本的な特性である導電性は,合成樹脂塗膜の塗膜厚に影響されていると考えられ,0.5μm以下に押さえることが必要で,より好ましくは0.2μm以下程度に抑えることがよいと考えられる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における,導電性プレコートアルミニウム合金板の構造を示す説明図。
【図2】実施例における,プレス加工性の評価方法を示す説明図。
【図3】実施例における,耐傷付き性の評価方法であるバウデン試験方法を示す説明図。
【符号の説明】
1...導電性プレコートアルミニウム合金板,
2...基板,
3...化成皮膜,
4...導電層,
50...試料,
51...鋼球,
Claims (8)
- アルミニウム合金板よりなる基板と,該基板の片面又は両面に形成した化成皮膜と,該化成皮膜上に形成した導電層とよりなり,
該導電層は,Zr化合物を含有する導電性の合成樹脂塗膜よりなると共に,その膜厚が0.5μm以下であることを特徴とする導電性プレコートアルミニウム合金板。 - 請求項1において,上記導電層における上記Zr化合物を構成するZrの含有量は,上記導電層全体の乾燥重量を100重量部とした場合,10重量部〜80重量部であることを特徴とする導電性プレコートアルミニウム合金板。
- 請求項1又は2において,上記導電層の電気抵抗は10Ω以下であることを特徴とする導電性プレコートアルミニウム合金板。
- 請求項1〜3のいずれか1項において,上記導電層には,該導電層の表面の摩擦係数を低減させるためのインナーワックスが含有されていることを特徴とする導電性プレコートアルミニウム合金板。
- 請求項4において,上記導電層における上記インナーワックスの含有量は,上記導電層全体の乾燥重量を100重量部とした場合,0.05重量部〜3重量部であることを特徴とする導電性プレコートアルミニウム合金板。
- 請求項1〜5のいずれか1項において,上記導電層の表面の表面粗さRaは0.05μm〜0.4μmであることを特徴とする導電性プレコートアルミニウム合金板。
- 請求項1〜6のいずれか1項において,上記化成皮膜下にある上記基板の表面粗さRaは0.1μm〜0.5μmであることを特徴とする導電性プレコートアルミニウム合金板。
- 請求項1〜7のいずれか1項において,上記導電性プレコートアルミニウム合金板は,電気機器用筐体あるいは電子機器用筐体に用いられることを特徴とする導電性プレコートアルミニウム合金板。
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