JP2008273116A - 摺動性に優れた導電性プレコートアルミニウム合金板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板2の表面に形成した化成皮膜3とその上に形成した導電層4とよりなる。導電層4は、ベース塗膜40と、0.2〜5μmの厚さ及び1〜100μmの長径を有する鱗片状のNiフィラー45又は0.3〜20μmの直径を有する球状のNiフィラー45の1種あるいは2種と、インナーワックスよりなる。導電層4の乾燥後全体重量は0.3〜5g/m2である。導電層4の乾燥後全体重量100重量部に対し、Niフィラー45の含有量は3〜70重量部、インナーワックスの含有量は0.01〜10重量部である。塗膜表面のNiフィラー数が走査型電子顕微鏡による観察で1mm2あたり900個超え10000個以下である。導電層4は、その表面の平均粗さRaが0.1〜0.9μmであり、摩擦係数が0.03〜0.5である。
【選択図】図1
Description
例えば、0.1〜10μm厚さのポリエステル系、エポキシ系、フェノール系、アルキド系の樹脂に、最大長径0.1〜100μmの球状、スパイク状、鱗片状のNiを、樹脂100重量部に対して2〜60質量部含有させたものが提案されている(特許文献1参照)。
また、塗膜中にNi微粒子を含有させたものもある(例えば、特許文献4〜6)。
該導電層は、合成樹脂よりなるベース塗膜と、該ベース塗膜中に含有された、0.2〜5μmの厚さ及び1〜100μmの長径を有する鱗片状のNiフィラー、又は0.3〜20μmの直径を有する球状のNiフィラーの1種あるいは2種と、上記ベース塗膜中に含有されたインナーワックスとよりなり、
上記導電層の乾燥後全体重量は、0.3〜5g/m2であり、
上記Niフィラーの含有量は、上記導電層の乾燥後全体重量100重量部に対し、3〜70重量部(上記Niフィラーを2種含有する場合にはその合計量)であり、
上記インナーワックスの含有量は、上記導電層の乾燥後全体重量100重量部に対し、0.01〜10重量部であり、塗膜表面のNiフィラー数が、走査型電子顕微鏡による観察で1mm2あたり900個超え10000個以下であり、
かつ、上記導電層は、その表面の平均粗さRaが0.1〜0.9μmであると共に、摩擦係数が0.03〜0.5であることを特徴とする摺動性に優れた導電性プレコートアルミニウム合金板にある(請求項1)。
そして、この特定のNiフィラー数、平均粗さ及び摩擦係数特性を具備することによって、上記導電層は、導電性と摺動性とを合わせ持つことができるのである。
なお、上記クロメート処理やノンクロメート処理等の化成処理方法には、反応型及び塗布型があるが、本発明においてはいずれの手法が採用されても何ら差し支えない。
鱗片状の場合、厚さは0.2〜5μm、長径は1〜100μmとする。厚さが0.2μm未満あるいは長径が1μm未満の場合には、導電性が低下すると共に、塗膜表面の平均粗さRaを0.1μm以上にすることが困難となり、摺動性が低下する。厚さが5μmを超える、あるいは長径が100μmを超える場合には、導電層表面の平均粗さRaを0.9μm以下に保つことが困難となり、この場合にも摺動性が低下する。より好ましいサイズは、厚さ0.5〜3μm、長径5〜30μmである。
ここで、上記インナーワックスとしては、例えば、ラノリン、カルナバ、ポリエチレン等がある。
本例では、表3及び表4に示すごとく、本発明品としての19種類の試料E1〜E19と、比較品としての14種類の試料C1〜C14を作製し、種々の性能評価試験を実施した。
これらの試料E1〜E19、試料C1〜C14を作製するに当たっては、まず、アルミニウム合金板よりなる基板2として、板厚1.0mmの5052−H34材を準備した。
化成処理aは、リン酸クロメート処理によって、クロム量が20mg/m2となるように反応型クロメート皮膜を形成するものである。具体的には、化成処理液に試料を浸漬するどぶ漬け法により化成処理を行い、その後、約100℃の雰囲気で乾燥させた。
化成処理dは、塗布型ジルコニウム処理によって、ジルコニウム量が20mg/m2となるように塗布型ノンクロメート皮膜を形成するものである。処理方法は上記化成処理cと同様である。
また、表3及び表4に示すごとく、各試料によって、ベース塗膜となる合成樹脂塗料の種類、含有させるNiフィラーの種類、含有量、数、インナーワックスの含有量、塗膜量(乾燥時)等を変化させた。
合成樹脂塗料Aはポリアクリル樹脂系塗料、合成樹脂塗料Bはポリエステル樹脂系塗料、合成樹脂塗料Cはエポキシ樹脂系塗料、合成樹脂塗料Dはフッ素樹脂系塗料、合成樹脂塗料Eはウレタン樹脂系塗料である。
また、上記インナーワックスとしては、ポリエチレンを用いた。
代表例として、図4に、図面代用写真として、上記試料E6の塗膜表面を日本電子製走査型電子顕微鏡JSM−5500により倍率500倍で撮影した写真を示す。これより計測された試料E6のNiフィラー数は、1mm2あたり6300個であった。
摺動性は、図2に示されるバウデン試験にて行った。即ち、荷重100gで直径1/4インチの硬球51を、サンプル台59上に載置した試料50の導電層の表面において摺動させ、摺動1回、10回、50回、100回目のひずみ量と摩擦力から摩擦係数を計算し、平均値をもって摩擦係数とした。実際の摩擦係数を表3及び表4に示す。
評価点は5段階とし、0.03〜0.09の場合を5点、0.1〜0.19の場合を4点、0.2〜0.5の場合を3点、0.6〜0.8の場合を2点、0.9以上の場合を1点とし、3点以上を合格とした。
導電性は、5mmφの球面状の先端を有する純銅製の端子を、導電層の表面に載せ、端子先端に50gの荷重を付与し、この状態で、脱膜して露出させた基板と端子との間を導通させることにより、端子が接触している部分の導電層の電気抵抗値を任意の20点測定した。
評価は6段階とし、測定した電気抵抗値が20Ω以下を示した割合が100%の場合を5点、80〜99%を4点、60〜79%を3点、40〜59%を2点、20〜39%を1点、0〜19%を0点とし、3点以上を合格とした。
プレス加工性は、図3に示されるように、各試料50に対して、それぞれ曲げ加工を繰り返して行い、曲げ加工部の導電層の塗膜割れが消滅する曲げ回数で評価した。
評価点は5段階とし、曲げ回数1回の場合を5点、曲げ回数2回の場合を4点、曲げ回数3回の場合を3点、曲げ回数4回の場合を2点、曲げ回数5回の場合を1点とし、3点以上を合格とした。
塗膜密着性は、試料を沸騰水に2時間浸漬させた後、JIS K5400に規定された碁盤目テープ剥離試験を行い、1mm×1mmの碁盤目総数100個中の塗膜の残存数により評価した。
評価点は5段階とし、残存数100個の場合を5点、残存数90個以上100個未満の場合を4点、残存数80個以上90個未満の場合を3点、残存数60個以上80個未満の場合を2点、残存数60個未満の場合を1点とし、3点以上を合格とした。
耐食性は、試料の導電層の表面から、カッターナイフを用いてクロスカットを入れ、JIS K5400に規定された塩水噴霧試験に準拠し、噴霧時間を720時間として行った後、試料の外観を観察した。
評価点は5段階とし、外観上変化ない場合を5点、0.5mm未満の塗膜膨れがあった場合を4点、0.5mm以上1mm未満の塗膜膨れがあった場合を3点、1mm以上3mm未満の塗膜膨れがあった場合を2点、3mm以上の塗膜膨れがあった場合を1点とし、3点以上を合格とした。
表5より知られるごとく、本発明品としての試料E1〜E19は、すべての評価項目において合格であった。
一方、比較品としての試料C1〜C14は、すべて、いずれかの評価項目で不合格となった。
2 基板
3 化成皮膜
4 導電層
45 Niフィラー
50 試料
51 剛球
Claims (1)
- アルミニウム合金板よりなる基板と、該基板の片面又は両面に形成した化成皮膜と、該化成皮膜上に形成した摺動性に優れた導電層とよりなり、
該導電層は、合成樹脂よりなるベース塗膜と、該ベース塗膜中に含有された、0.2〜5μmの厚さ及び1〜100μmの長径を有する鱗片状のNiフィラー、又は0.3〜20μmの直径を有する球状のNiフィラーの1種あるいは2種と、上記ベース塗膜中に含有されたインナーワックスとよりなり、
上記導電層の乾燥後全体重量は、0.3〜5g/m2であり、
上記Niフィラーの含有量は、上記導電層の乾燥後全体重量100重量部に対し、3〜70重量部(上記Niフィラーを2種含有する場合にはその合計量)であり、上記インナーワックスの含有量は、上記導電層の乾燥後全体重量100重量部に対し、0.01〜10重量部であり、塗膜表面のNiフィラー数が、走査型電子顕微鏡による観察で1mm2あたり900個超え10000個以下であり、
かつ、上記導電層は、その表面の平均粗さRaが0.1〜0.9μmであると共に、摩擦係数が0.03〜0.5であることを特徴とする摺動性に優れた導電性プレコートアルミニウム合金板。
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JP2007121717A JP2008273116A (ja) | 2007-05-02 | 2007-05-02 | 摺動性に優れた導電性プレコートアルミニウム合金板 |
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JP2007121717A Pending JP2008273116A (ja) | 2007-05-02 | 2007-05-02 | 摺動性に優れた導電性プレコートアルミニウム合金板 |
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JP2011235448A (ja) * | 2010-05-01 | 2011-11-24 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | 耐摩耗性及び成形性に優れた樹脂被覆金属材及びその製造方法 |
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JP2005001171A (ja) * | 2003-06-10 | 2005-01-06 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | 摺動性に優れた導電性プレコートアルミニウム合金板 |
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2007
- 2007-05-02 JP JP2007121717A patent/JP2008273116A/ja active Pending
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