JP2004065029A - 根菜収穫機の泥落し装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】根菜作物をベルトで挟んで引き抜くとともに、吊り下げて搬送する根菜収穫機において、根菜部の底面に生えている鬚根に付着している泥を効果的に落とす。
【解決手段】挟持搬送装置9で圃場に植生されている根菜作物3の葉茎部3aを挟持して根菜部を引き抜くとともに、吊り下げて後方搬送し、泥落し装置22で根菜部とその底面に生えている根に付いている泥を落し、根切断装置によって根を所定長さで切断する根菜収穫機において、上記泥落し装置を、搬送経路を挟んで縦回転する第1回転体21と、第1回転体の前方に設けられる第2回転体52とで構成するとともに、第1回転体は、根に対して上から下に、第2回転体は、下から上に回転させることを特徴とする根菜収穫機の泥落し装置。
【選択図】 図1
【解決手段】挟持搬送装置9で圃場に植生されている根菜作物3の葉茎部3aを挟持して根菜部を引き抜くとともに、吊り下げて後方搬送し、泥落し装置22で根菜部とその底面に生えている根に付いている泥を落し、根切断装置によって根を所定長さで切断する根菜収穫機において、上記泥落し装置を、搬送経路を挟んで縦回転する第1回転体21と、第1回転体の前方に設けられる第2回転体52とで構成するとともに、第1回転体は、根に対して上から下に、第2回転体は、下から上に回転させることを特徴とする根菜収穫機の泥落し装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大蒜、玉葱、百合根或いは人参といった根菜部の底面に鬚根を有する根菜作物を収穫する根菜収穫機の泥落し装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圃場に植生されたこの種の根菜作物を後傾斜の平面内で対向面が共に後方回動する左右一対のベルトからなる挟持搬送装置でその葉茎部を挟持して根菜部を地中から引き抜き、引き抜いた根菜部を吊り下げて後上方に搬送する間、搬送途中に設けられた根切断装置によって根菜部の底面に生えている鬚根(以下、根)を切断するとともに、葉茎部切断装置によって葉茎部を切断して収穫する根菜収穫機は知られている(特開2001−69833)。
【0003】
この場合、根を長く残しておくと、後の処理がやり難くなるし、又、通気性が悪くて収穫後の乾燥を阻害するから、短い長さでの切断が求められる。従って、切断刃を根菜部に近づけて作用させなければならず、このとき、根菜部を傷付けないようにしなければならない。ところが、根には泥が付着しているから、この泥を落とさなければ、正確な位置での良好な切断性は得られない。このため、根切断装置の前方には、回転体を根に作用させてこれに付着している泥をふるい落とす泥落し装置が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この泥落し装置として、搬送経路を挟んで左右一対の回転ブラシのようなものを設け、この回転ブラシで根菜部の根の両側を叩いて泥を落とすものが適用されている。しかし、根は底面一杯に繁生しており、これに付いている泥は量も多くて強固にこびり付いていることから、単に叩いただけでは泥落しが十分でない場合がある。又、泥の付着の態様にも、根の周囲に付いているものばかりではなく、多数の根の間に抱き込まれたようなものもあり、このような泥に対しては、上記のような方法では十分でないことがある。本発明は、このような課題を解決するものであり、根に対して異なった作用をさせる泥落しを行なうことで、泥落しをより完全にできるようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、挟持搬送装置で圃場に植生されている根菜作物の葉茎部を挟持して根菜部を引き抜くとともに、吊り下げて後方搬送し、泥落し装置で根菜部とその底面に生えている根に付いている泥を落し、根切断装置によって根を所定長さで切断する根菜収穫機において、上記泥落し装置を、搬送経路を挟んで縦回転する第1回転体と、第1回転体の前方に設けられる第2回転体とで構成するとともに、第1回転体は、根に対して上から下に、第2回転体は、下から上に回転させることを特徴とする根菜収穫機の泥落し装置を提供したものである。
【0006】
以上の手段をとることにより、即ち、第1回転体は、根に対して上から下に、第2回転体は、下から上に回転させたものであるから、それぞれ根に対してのすごき方向が異なり、根がほぐし作用と絞り作用の両方を受けることになって、根に付着している泥及び根の間に抱え込まれている泥の双方を効果的に落とすことができる。この場合において、根は最初にほぐし作用を受け、次いで、絞り作用を順次に受けるから、泥落しは一層効果的である。
【0007】
この場合において、請求項2に記載した、第1回転体をブラシで、第2回転体をスターホイルで形成する手段によれば、ブラシとスターホイルと異なった作用を受けて泥落しは一層高まる。更に、請求項3に記載した、第1回転体の前方に、スターホイルからなる前方第1回転体を挿設した手段によれば、第1回転体による泥落し機能が更に高まる。
【0008】
この他、請求項5に記載の、泥落し装置の前方に、搬送中の根菜部の肩に作用して根菜部を挟持搬送装置から一定高さに引き下げる肩揃え装置が設けられるものであり、第2回転体が肩揃え装置の下方に設けられるものであれば、肩揃え装置によって根菜部の上昇が規制されているときに第2回転体による泥落しが行なわれるから、根菜部が上方に逃げず、確実な泥落しができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図5は本発明の一例を示す根菜収穫機の側面図であるが、この根菜収穫機(以下、収穫機という)は、クローラ形の走行装置1を有して自走機能を有する自走車体(機体)2で構成されている。大蒜等の根菜作物3は、畝に条植えされていることは上述したが、この収穫機は、まず、根菜作物3の葉茎部3aを挟持して根菜部3bごと引き抜き、これをその吊り下げ姿勢を保ったままで後上方に搬送する間、根菜部3bの底面に生えている根3cと葉茎部3aを切断し、残った根菜部3bを収穫するものであり、これを機体2が畝に沿う方向に走行しながら行なうものである。
【0010】
それには、後傾斜の垂直面内でタイン4を後方回動させる分葉装置5で収穫する葉茎部3aと収穫しない葉茎部3aとを分け、後傾斜の平面内で後方回動するタイン6からなる掻込装置7で収穫する葉茎部3aのみを後方に掻き込む。掻込装置7で掻き込まれた葉茎部3aは、その後方に設けられている後傾斜の平面内で対向面によって葉茎部3aを挟持しながら共に後方回動する一対のベルト8からなる挟持搬送装置9で挟持されて根菜部3bを地中から引き抜く。このとき、挟持搬送装置9の始端下部には、サブソイラ10が土中に差し込まれて根菜部3bの周りの土を緩める振動装置11が設けられており、これにより、ベルト8の挟持力をあまり強くしなくても、引抜きが可能になる。
【0011】
引き抜かれた根菜部3bは、葉茎部3aと一緒に挟持搬送装置9によって後上方へと搬送されて行くが、このときの根菜作物3は、挟持搬送装置9によってほぼ垂直に吊り下げられた姿勢となっている。尚、葉茎部3aの挟持位置は、挟持搬送装置9の始端高さによることになり、この高さは適宜変更できる必要がある。そこで、この挟持搬送装置9と後述する肩揃え装置、根切断装置、葉茎部切断装置等を一つの後部セット12に構成しておき、この後部セット12を機体2に設けられる支点軸13の回りに上下に回動して調整するようにしている。
【0012】
後部セット12の設定高さ、即ち、挟持搬送装置9の始端高さは、機体2の前部に設けられて畝底を走行するゲージホイル14の高さを調整することで行なう。挟持搬送装置9の中程には、図5で反時計方向に回転させられる二つのローラ15、16を有する肩揃え装置17が設けられており、ローラ15、16が搬送中の根菜部3bの肩を押えてこれを所定高さに押し下げる。尚、本例では、この肩揃え装置17の前方に、複数の回転可能なローラ18‥を有する前方肩揃え装置19も設けられており、肩揃え装置17に至る前の根菜部3bの肩を押えてこれを所定高さにする。この他、前方肩揃え装置19の前方には、葉茎部3a及び根菜部3bをそのローラ18‥に誘導する左右一対のガイド棒20も設けられている。
【0013】
肩揃え装置17の後下方には、挟持搬送装置9のベルト8に略平行に設置されて回転する左右一対の回転体21を有する泥落し装置22が設けられており、肩揃えされた根菜部3bや根3cに作用してこれに付いた泥を落とす。更に、本発明では、泥落し装置22の前方、肩揃え装置17の下方に、図5で時計方向に回転させられる回転体23を有する前方泥落し装置24も設けられており、泥落し装置22に至る前の根菜部3bの底面や根3cに作用してこれに付いている泥を前以って落とす。
【0014】
本例の後部セット12には、この他に、根切断装置25、根切断装置25への誘導装置26、葉茎部切断装置27、排葉装置28等が設けられている。このうち、根切断装置25は、略水平面内で交差して回転する二つのカッター29を主体とするものであり、泥落し装置22で泥を落とされた根3cを切断する。誘導装置26は、根切断装置25の前上方に存在して略水平面内で対向面が共に後方回動する二つのベルト30を主体とするものであり、ベルト30で葉茎部3aを挟んで上下の位置決めをして後方移送させ、根切断装置25のカッター29に誘導する。このとき、誘導装置26のベルト30は、根3cが切断される根菜部3bの直上の葉茎部3aを保持しており、この切断を確実なものにする。
【0015】
葉茎部切断装置27は、根切断装置25の後上方に在って略水平面内で交差して回転する二つのカッター31を主体とするものであり、根切断装置25で根3cを切断された根菜部3bの葉茎部3aを所定長さに切断する。排葉装置28は、葉茎部切断装置27の上方に設けられて略水平面内で対向面が共に後方回動するベルト32を主体とするものであり、葉茎部3aの比較的上方を挟持して葉茎部切断装置27からその後方へ移送する。尚、切断された葉茎部3aは、圃場に放出される。
【0016】
このようにして圃場に植生された根菜作物3は、収穫される過程で根3cと葉茎部3aがそれぞれ所定長さに切断されて根菜部3bを主体とするものに整姿され、且つ、根菜部3bや根3cに付着した泥も落とされた状態で収穫されることになる。そして、このように整姿された根菜部3bは、機体2後部に搭載されたコンテナ33に落下されて収容される。尚、以上のようにして収穫された根菜部3cは、所定の水分含量になるまで乾燥され、再度、根3cと葉茎部3aを調製されて出荷される。
【0017】
次に、上記した肩揃え装置17について補足すると、図1はこれらの拡大側面図、図2は平面図、図3は図1のAーA断面図、図4は図1のBーB断面図であるが、肩揃え装置17は、機体2に固定される取付軸34に回転可能に嵌着されて前後に延出する取付けアーム35、36で保持される前後二つのローラ15、16からなるものである。この場合、各ローラ15、16は、強制回転させられるものであり、その構成を本例では、挟持搬送装置9のベルト8の反対向面側の下面に押当されて駆動される駆動ローラ37、38から上記のローラ15、16を相手側に延出する構成をとっている。
【0018】
この構成によると、ベルト8の対向面は共に後方へ向かうから、反対向面は逆に前方に向かうことになり、この下面に押当された駆動ローラ37、38及びローラ15、16は図1で反時計方向に回転することになる。従って、根菜部3bに対する押当面(作用面)となる下側外周面は、根菜部3bを後方へ押しやって搬送を補完する作用を果たす。このときのローラ15、16の周速は、挟持搬送装置9のベルト8の移動速度とほぼ等しく設定されており、根菜部3bの肩を押えるときも、その吊り下げ姿勢を変えないようにしている。
【0019】
以上のセットは左右一対設けられており、ローラ15、16は、搬送経路39を挟んで所定の間隔で対称に並設される。この場合、二つの駆動ローラ37、38は、前後でその径が違っており(後方のローラ38の方が大きい、但し、ローラ15、16は同じものにして共用化している)、ローラ15、16の下側外周面のベルト8からの長さは後方のローラ16の方が前方のローラ15よりも長くなっている。
【0020】
従って、ベルト8で挟持されて後方移送される葉茎部3aは、その移動に伴って、まず、前方のローラ15の外周が根菜部3bの両肩に当たってこれを所定量押し下げる。次いで、後方のローラ16の外周が根菜部3bの両肩に当たってこれを更に所定量押し下げる。このように、根菜部3bを所定量押し下げることで(大きさや地下深さの異なるすべての根菜部3bにこのことができるように、ベルト8による挟持位置と根菜部3bまでの長さは、この長さよりも短く設定してある)、高さ揃えを行なうのであり、これにおいて、二度に亘って押し下げるから、一回当たりの押し下げ量も小さくて足り、作用力も小さいし、押し下げも確実になり、高さ揃えが正確になる。
【0021】
これが可能になるには、挟持搬送装置9のベルト8から葉茎部3aがずり下がらなければならないが、ベルト8は弾性材で、しかも、適度な挟持力で葉茎部3aを弾性挟持しているから、このずり下がりを可能にする。更に、各ローラ15、16は、以上の作用をするときに根菜部3bの肩に付いている泥も落とすから、泥落しも兼ねることになる。特に、大蒜等の根菜部3bは完全に地中に埋まっているから、これを強制的に引き抜くと、その肩には多量の泥が付着している。従って、この泥を落としておくことは、その後の根3cや葉茎部3aの切断を良好に行なうためには、非常に重要である。そして、このときのローラ15、16は、その外周が根菜部3bの両肩に当たるから、これを傷付けないように、ゴムや樹脂の軟質部材で構成されている。
【0022】
以上により、後方のローラ16から出た根菜部3bは、ベルト8からの吊下長さが一定、即ち、高さが揃えられた状態となり、後続する根切断装置25等に送られる。この設定された高さは、ローラ15、16の径やその取付位置で設定するが、根菜部3bの大きさ等は、品種、時期、地域等で異なっているから、本例では、取付軸34自体の機体2に対する取付位置を上下、左右に調整できるようにしてこれに対処している。
【0023】
更に、泥落し装置22について説明すると、この泥落し装置22は、挟持搬送装置9のベルト8の下方位置に、搬送経路39を挟んでベルト8と平行に左右一対の第1回転軸40を配置し、この第1回転軸40に第1回転体21を装着したものである。本例の第1回転体21は、ドラムの外周にナイロン毛等を植設したブラシによっているが、弾性変形が可能な円筒体状をしたものである限り、例えば、スターホイルや多角形ローラのようものであってもよい。この場合、第1回転軸40を前後に二本、中間軸41で接続し(これを軸受42で受けて機体2に止めて第1回転軸40の保持機構としている)、第1回転体(以下、回転ブラシ)21を相当長い範囲で設けて十分な泥落しを図っている。
【0024】
加えて、第1回転軸40の前方に前方第1回転軸43を接続し、この前方第1回転軸43に前方第1回転体44を装着している。本例の前方第1回転体44は、突起部44aと凹陥部44bとで星形をしたスターホイルを複数枚(本例では3枚)装着しているものを示しており、この場合、前方第1回転軸43と第1回転軸40とはユニバーサルジョイント45で接続し、前方第1回転軸43に対して第1回転軸40の角度を変更可能にしている。
【0025】
前方第1回転体(以下、第1スターホイル)44、回転ブラシ21共に、搬送面内で縦回転して根菜部3bの根3cに作用するものであるが、この場合において、第1スターホイル44は、その外周が根菜部3bの底面すれすれに作用するように設定されており、又、回転ブラシ21は、上記したユニバーサルジョイント45によって後方ほど根菜部3bを取り込む範囲が拡大するように(後方ほど持ち上げて)設定されている。即ち、回転ブラシ21は、側面視で、根菜部3bの移動軌跡46に対して後方ほど重複範囲が大きくなるようにしている。徐々に広い範囲で泥落しができるようにするためであり、この重複範囲は、第1回転軸40の角度を変更することで調整できる。
【0026】
又、第1スターホイル44は、一方の突起部44aが搬送経路39を越えて他方の凹陥部44bに突入する径、芯間距離、位相で配されており、両方の突起部44aで確実に根3c全体を叩くようになっている。更に、回転ブラシ21は、互いに相手方の回転半径内に入り込む径、芯間距離に設定されており、両者で根3cを挟み込んですり潰すようになっている。加えて、両者の回転方向は、根3cを上から下にすごくように設定されており、これによって、特に、回転ブラシ21ですり潰された根3cは細く絞られることになり、後続する切断に都合の良いように形が整えられている。これらのことから、第1スターホイル44や回転ブラシ21は、軟質樹脂やゴムといった根菜部3bを傷付けない素材で構成されている。
【0027】
第1スターホイル44や回転ブラシ21に以上の作用をさせるには、どちらも共に強制回転させられる必要があるが、本例における駆動構成は、後部セット12の高さを変えてもその位置は不変である支点軸13の動力をプーリ・ベルト機構47で前方第1回転軸43の前方に機体2に対して直角に設けられる中間駆動軸48まで導いている。そして、中間駆動軸48に伝えられた動力を、これと前方第1回転軸43との間に設けられるベベルギア機構49によって前方第1回転軸43に伝えている。
【0028】
本発明は、更に、前方第1回転軸43の前方延長上に第2回転軸50を設け、中間駆動軸48の動力を上記したベベルギア機構49に対設される別のベルギア機構51によって第2回転軸50に伝えている。そして、この第2回転軸50に第2回転体52を装設し、第2回転体52で第1スターホイル44に作用する前の根3cに作用させている。この場合、第2回転体52は、ベベルギア機構49によって第1スターホイル44とは逆の回転になっており、根3cに対して下から上に作用することになる。尚、第2回転体52を設置するとき、上記した前方泥落し装置24が邪魔になることがあるが、そのときは、これを外すか、取付け位置を変えるか、邪魔にならない大きさのものにするかしておく。
【0029】
この第2回転体52も、その外周が根菜部3bの底面すれすれに作用するように設定されており、これで根3cを叩く。本例では、第2回転体52は上記した第1スターホイル44と同じ形状をした複数枚(本例では3枚)のスターホイルで構成しているが、これは、その突起部52aが相手方の凹陥部52bに入り込むことができて確実に根3cを叩くことができるからである。尚、このとき、各スターホイルの位相を変えておくこともでき、こうすると、根3cに違った動きをさせることになり、泥落しが一層促進する(上記した第1スターホイル44の場合も同じ)。この他、第2回転体52については、弾性変形できるブラシやローラといったものも考えられる。
【0030】
又、第2回転体52を取り付ける位置は、上記した肩揃え装置17の下方に設定するのが適する。こうすると、肩揃え装置17の作用と第2回転体52との作用を同時に受けることになるから、根菜部3bが肩揃え装置17で上方へ逃げるのを規制しているときに第2回転体52が根3cを叩くことになり、根菜部3bが上に持ち上がって根3cを十分に叩けないといったことを阻止する。特に、第2回転体52は、根3cを下から上に叩くから、このことの持つ意義は大きい。
【0031】
以上より、搬送される根菜部3bの根3cは、まず、第2回転体52によって下から上に叩かれるが、同時に、その回転方向によって拡散されてほぐされることになり、根3cに付着している泥だけでなく、根3cの間に抱え込まれている泥も落とされることになる。尚、このとき、第2回転体52の突起部52aは相手形の凹陥部52bに入り込む径、芯間距離、位相に設定されているから、根3cは突起部52aが当たる度に完全に横に揺すぶられ又は中を分けられ、泥落しが完全になる。次いで、第1スターホイル44や回転ブラシ21の作用を受けて泥落しされるのは上記と同じであるが、このように、泥落しが二段、三段と行なわれるから、その効果が高い。
【0032】
【発明の効果】
以上、本発明は、上記したものであるから、即ち、泥落しに際して第1回転体と第2回転体との作用を受けるから、泥落しが確実になる。このとき、第1回転体と第2回転体とによる作用方向は互いに逆に設定されているから、ほぐし作用やすり潰し作用を受けてより完全になるし、すり潰し作用によって後続する根切断に都合の良いように整えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す前方泥落し装置の要部側面図である。
【図2】本発明の一例を示す前方泥落し装置の要部平面図である。
【図3】本発明の一例を示す図1のAーA断面図である。
【図4】本発明の一例を示す図1のBーB断面図である。
【図5】本発明の一例を示す根菜収穫機の側面図である。
【符号の説明】
3 根菜作物
3a 〃 の葉茎部
3b 〃 の根菜部
3c 根菜部の根
9 挟持搬送装置
17 肩揃え装置
21 第1回転体
22 泥落し装置
25 根切断装置
24 前方泥落し装置
25 根切断装置
44 前方第1回転体
52 第2回転体
【発明の属する技術分野】
本発明は、大蒜、玉葱、百合根或いは人参といった根菜部の底面に鬚根を有する根菜作物を収穫する根菜収穫機の泥落し装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圃場に植生されたこの種の根菜作物を後傾斜の平面内で対向面が共に後方回動する左右一対のベルトからなる挟持搬送装置でその葉茎部を挟持して根菜部を地中から引き抜き、引き抜いた根菜部を吊り下げて後上方に搬送する間、搬送途中に設けられた根切断装置によって根菜部の底面に生えている鬚根(以下、根)を切断するとともに、葉茎部切断装置によって葉茎部を切断して収穫する根菜収穫機は知られている(特開2001−69833)。
【0003】
この場合、根を長く残しておくと、後の処理がやり難くなるし、又、通気性が悪くて収穫後の乾燥を阻害するから、短い長さでの切断が求められる。従って、切断刃を根菜部に近づけて作用させなければならず、このとき、根菜部を傷付けないようにしなければならない。ところが、根には泥が付着しているから、この泥を落とさなければ、正確な位置での良好な切断性は得られない。このため、根切断装置の前方には、回転体を根に作用させてこれに付着している泥をふるい落とす泥落し装置が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この泥落し装置として、搬送経路を挟んで左右一対の回転ブラシのようなものを設け、この回転ブラシで根菜部の根の両側を叩いて泥を落とすものが適用されている。しかし、根は底面一杯に繁生しており、これに付いている泥は量も多くて強固にこびり付いていることから、単に叩いただけでは泥落しが十分でない場合がある。又、泥の付着の態様にも、根の周囲に付いているものばかりではなく、多数の根の間に抱き込まれたようなものもあり、このような泥に対しては、上記のような方法では十分でないことがある。本発明は、このような課題を解決するものであり、根に対して異なった作用をさせる泥落しを行なうことで、泥落しをより完全にできるようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、挟持搬送装置で圃場に植生されている根菜作物の葉茎部を挟持して根菜部を引き抜くとともに、吊り下げて後方搬送し、泥落し装置で根菜部とその底面に生えている根に付いている泥を落し、根切断装置によって根を所定長さで切断する根菜収穫機において、上記泥落し装置を、搬送経路を挟んで縦回転する第1回転体と、第1回転体の前方に設けられる第2回転体とで構成するとともに、第1回転体は、根に対して上から下に、第2回転体は、下から上に回転させることを特徴とする根菜収穫機の泥落し装置を提供したものである。
【0006】
以上の手段をとることにより、即ち、第1回転体は、根に対して上から下に、第2回転体は、下から上に回転させたものであるから、それぞれ根に対してのすごき方向が異なり、根がほぐし作用と絞り作用の両方を受けることになって、根に付着している泥及び根の間に抱え込まれている泥の双方を効果的に落とすことができる。この場合において、根は最初にほぐし作用を受け、次いで、絞り作用を順次に受けるから、泥落しは一層効果的である。
【0007】
この場合において、請求項2に記載した、第1回転体をブラシで、第2回転体をスターホイルで形成する手段によれば、ブラシとスターホイルと異なった作用を受けて泥落しは一層高まる。更に、請求項3に記載した、第1回転体の前方に、スターホイルからなる前方第1回転体を挿設した手段によれば、第1回転体による泥落し機能が更に高まる。
【0008】
この他、請求項5に記載の、泥落し装置の前方に、搬送中の根菜部の肩に作用して根菜部を挟持搬送装置から一定高さに引き下げる肩揃え装置が設けられるものであり、第2回転体が肩揃え装置の下方に設けられるものであれば、肩揃え装置によって根菜部の上昇が規制されているときに第2回転体による泥落しが行なわれるから、根菜部が上方に逃げず、確実な泥落しができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図5は本発明の一例を示す根菜収穫機の側面図であるが、この根菜収穫機(以下、収穫機という)は、クローラ形の走行装置1を有して自走機能を有する自走車体(機体)2で構成されている。大蒜等の根菜作物3は、畝に条植えされていることは上述したが、この収穫機は、まず、根菜作物3の葉茎部3aを挟持して根菜部3bごと引き抜き、これをその吊り下げ姿勢を保ったままで後上方に搬送する間、根菜部3bの底面に生えている根3cと葉茎部3aを切断し、残った根菜部3bを収穫するものであり、これを機体2が畝に沿う方向に走行しながら行なうものである。
【0010】
それには、後傾斜の垂直面内でタイン4を後方回動させる分葉装置5で収穫する葉茎部3aと収穫しない葉茎部3aとを分け、後傾斜の平面内で後方回動するタイン6からなる掻込装置7で収穫する葉茎部3aのみを後方に掻き込む。掻込装置7で掻き込まれた葉茎部3aは、その後方に設けられている後傾斜の平面内で対向面によって葉茎部3aを挟持しながら共に後方回動する一対のベルト8からなる挟持搬送装置9で挟持されて根菜部3bを地中から引き抜く。このとき、挟持搬送装置9の始端下部には、サブソイラ10が土中に差し込まれて根菜部3bの周りの土を緩める振動装置11が設けられており、これにより、ベルト8の挟持力をあまり強くしなくても、引抜きが可能になる。
【0011】
引き抜かれた根菜部3bは、葉茎部3aと一緒に挟持搬送装置9によって後上方へと搬送されて行くが、このときの根菜作物3は、挟持搬送装置9によってほぼ垂直に吊り下げられた姿勢となっている。尚、葉茎部3aの挟持位置は、挟持搬送装置9の始端高さによることになり、この高さは適宜変更できる必要がある。そこで、この挟持搬送装置9と後述する肩揃え装置、根切断装置、葉茎部切断装置等を一つの後部セット12に構成しておき、この後部セット12を機体2に設けられる支点軸13の回りに上下に回動して調整するようにしている。
【0012】
後部セット12の設定高さ、即ち、挟持搬送装置9の始端高さは、機体2の前部に設けられて畝底を走行するゲージホイル14の高さを調整することで行なう。挟持搬送装置9の中程には、図5で反時計方向に回転させられる二つのローラ15、16を有する肩揃え装置17が設けられており、ローラ15、16が搬送中の根菜部3bの肩を押えてこれを所定高さに押し下げる。尚、本例では、この肩揃え装置17の前方に、複数の回転可能なローラ18‥を有する前方肩揃え装置19も設けられており、肩揃え装置17に至る前の根菜部3bの肩を押えてこれを所定高さにする。この他、前方肩揃え装置19の前方には、葉茎部3a及び根菜部3bをそのローラ18‥に誘導する左右一対のガイド棒20も設けられている。
【0013】
肩揃え装置17の後下方には、挟持搬送装置9のベルト8に略平行に設置されて回転する左右一対の回転体21を有する泥落し装置22が設けられており、肩揃えされた根菜部3bや根3cに作用してこれに付いた泥を落とす。更に、本発明では、泥落し装置22の前方、肩揃え装置17の下方に、図5で時計方向に回転させられる回転体23を有する前方泥落し装置24も設けられており、泥落し装置22に至る前の根菜部3bの底面や根3cに作用してこれに付いている泥を前以って落とす。
【0014】
本例の後部セット12には、この他に、根切断装置25、根切断装置25への誘導装置26、葉茎部切断装置27、排葉装置28等が設けられている。このうち、根切断装置25は、略水平面内で交差して回転する二つのカッター29を主体とするものであり、泥落し装置22で泥を落とされた根3cを切断する。誘導装置26は、根切断装置25の前上方に存在して略水平面内で対向面が共に後方回動する二つのベルト30を主体とするものであり、ベルト30で葉茎部3aを挟んで上下の位置決めをして後方移送させ、根切断装置25のカッター29に誘導する。このとき、誘導装置26のベルト30は、根3cが切断される根菜部3bの直上の葉茎部3aを保持しており、この切断を確実なものにする。
【0015】
葉茎部切断装置27は、根切断装置25の後上方に在って略水平面内で交差して回転する二つのカッター31を主体とするものであり、根切断装置25で根3cを切断された根菜部3bの葉茎部3aを所定長さに切断する。排葉装置28は、葉茎部切断装置27の上方に設けられて略水平面内で対向面が共に後方回動するベルト32を主体とするものであり、葉茎部3aの比較的上方を挟持して葉茎部切断装置27からその後方へ移送する。尚、切断された葉茎部3aは、圃場に放出される。
【0016】
このようにして圃場に植生された根菜作物3は、収穫される過程で根3cと葉茎部3aがそれぞれ所定長さに切断されて根菜部3bを主体とするものに整姿され、且つ、根菜部3bや根3cに付着した泥も落とされた状態で収穫されることになる。そして、このように整姿された根菜部3bは、機体2後部に搭載されたコンテナ33に落下されて収容される。尚、以上のようにして収穫された根菜部3cは、所定の水分含量になるまで乾燥され、再度、根3cと葉茎部3aを調製されて出荷される。
【0017】
次に、上記した肩揃え装置17について補足すると、図1はこれらの拡大側面図、図2は平面図、図3は図1のAーA断面図、図4は図1のBーB断面図であるが、肩揃え装置17は、機体2に固定される取付軸34に回転可能に嵌着されて前後に延出する取付けアーム35、36で保持される前後二つのローラ15、16からなるものである。この場合、各ローラ15、16は、強制回転させられるものであり、その構成を本例では、挟持搬送装置9のベルト8の反対向面側の下面に押当されて駆動される駆動ローラ37、38から上記のローラ15、16を相手側に延出する構成をとっている。
【0018】
この構成によると、ベルト8の対向面は共に後方へ向かうから、反対向面は逆に前方に向かうことになり、この下面に押当された駆動ローラ37、38及びローラ15、16は図1で反時計方向に回転することになる。従って、根菜部3bに対する押当面(作用面)となる下側外周面は、根菜部3bを後方へ押しやって搬送を補完する作用を果たす。このときのローラ15、16の周速は、挟持搬送装置9のベルト8の移動速度とほぼ等しく設定されており、根菜部3bの肩を押えるときも、その吊り下げ姿勢を変えないようにしている。
【0019】
以上のセットは左右一対設けられており、ローラ15、16は、搬送経路39を挟んで所定の間隔で対称に並設される。この場合、二つの駆動ローラ37、38は、前後でその径が違っており(後方のローラ38の方が大きい、但し、ローラ15、16は同じものにして共用化している)、ローラ15、16の下側外周面のベルト8からの長さは後方のローラ16の方が前方のローラ15よりも長くなっている。
【0020】
従って、ベルト8で挟持されて後方移送される葉茎部3aは、その移動に伴って、まず、前方のローラ15の外周が根菜部3bの両肩に当たってこれを所定量押し下げる。次いで、後方のローラ16の外周が根菜部3bの両肩に当たってこれを更に所定量押し下げる。このように、根菜部3bを所定量押し下げることで(大きさや地下深さの異なるすべての根菜部3bにこのことができるように、ベルト8による挟持位置と根菜部3bまでの長さは、この長さよりも短く設定してある)、高さ揃えを行なうのであり、これにおいて、二度に亘って押し下げるから、一回当たりの押し下げ量も小さくて足り、作用力も小さいし、押し下げも確実になり、高さ揃えが正確になる。
【0021】
これが可能になるには、挟持搬送装置9のベルト8から葉茎部3aがずり下がらなければならないが、ベルト8は弾性材で、しかも、適度な挟持力で葉茎部3aを弾性挟持しているから、このずり下がりを可能にする。更に、各ローラ15、16は、以上の作用をするときに根菜部3bの肩に付いている泥も落とすから、泥落しも兼ねることになる。特に、大蒜等の根菜部3bは完全に地中に埋まっているから、これを強制的に引き抜くと、その肩には多量の泥が付着している。従って、この泥を落としておくことは、その後の根3cや葉茎部3aの切断を良好に行なうためには、非常に重要である。そして、このときのローラ15、16は、その外周が根菜部3bの両肩に当たるから、これを傷付けないように、ゴムや樹脂の軟質部材で構成されている。
【0022】
以上により、後方のローラ16から出た根菜部3bは、ベルト8からの吊下長さが一定、即ち、高さが揃えられた状態となり、後続する根切断装置25等に送られる。この設定された高さは、ローラ15、16の径やその取付位置で設定するが、根菜部3bの大きさ等は、品種、時期、地域等で異なっているから、本例では、取付軸34自体の機体2に対する取付位置を上下、左右に調整できるようにしてこれに対処している。
【0023】
更に、泥落し装置22について説明すると、この泥落し装置22は、挟持搬送装置9のベルト8の下方位置に、搬送経路39を挟んでベルト8と平行に左右一対の第1回転軸40を配置し、この第1回転軸40に第1回転体21を装着したものである。本例の第1回転体21は、ドラムの外周にナイロン毛等を植設したブラシによっているが、弾性変形が可能な円筒体状をしたものである限り、例えば、スターホイルや多角形ローラのようものであってもよい。この場合、第1回転軸40を前後に二本、中間軸41で接続し(これを軸受42で受けて機体2に止めて第1回転軸40の保持機構としている)、第1回転体(以下、回転ブラシ)21を相当長い範囲で設けて十分な泥落しを図っている。
【0024】
加えて、第1回転軸40の前方に前方第1回転軸43を接続し、この前方第1回転軸43に前方第1回転体44を装着している。本例の前方第1回転体44は、突起部44aと凹陥部44bとで星形をしたスターホイルを複数枚(本例では3枚)装着しているものを示しており、この場合、前方第1回転軸43と第1回転軸40とはユニバーサルジョイント45で接続し、前方第1回転軸43に対して第1回転軸40の角度を変更可能にしている。
【0025】
前方第1回転体(以下、第1スターホイル)44、回転ブラシ21共に、搬送面内で縦回転して根菜部3bの根3cに作用するものであるが、この場合において、第1スターホイル44は、その外周が根菜部3bの底面すれすれに作用するように設定されており、又、回転ブラシ21は、上記したユニバーサルジョイント45によって後方ほど根菜部3bを取り込む範囲が拡大するように(後方ほど持ち上げて)設定されている。即ち、回転ブラシ21は、側面視で、根菜部3bの移動軌跡46に対して後方ほど重複範囲が大きくなるようにしている。徐々に広い範囲で泥落しができるようにするためであり、この重複範囲は、第1回転軸40の角度を変更することで調整できる。
【0026】
又、第1スターホイル44は、一方の突起部44aが搬送経路39を越えて他方の凹陥部44bに突入する径、芯間距離、位相で配されており、両方の突起部44aで確実に根3c全体を叩くようになっている。更に、回転ブラシ21は、互いに相手方の回転半径内に入り込む径、芯間距離に設定されており、両者で根3cを挟み込んですり潰すようになっている。加えて、両者の回転方向は、根3cを上から下にすごくように設定されており、これによって、特に、回転ブラシ21ですり潰された根3cは細く絞られることになり、後続する切断に都合の良いように形が整えられている。これらのことから、第1スターホイル44や回転ブラシ21は、軟質樹脂やゴムといった根菜部3bを傷付けない素材で構成されている。
【0027】
第1スターホイル44や回転ブラシ21に以上の作用をさせるには、どちらも共に強制回転させられる必要があるが、本例における駆動構成は、後部セット12の高さを変えてもその位置は不変である支点軸13の動力をプーリ・ベルト機構47で前方第1回転軸43の前方に機体2に対して直角に設けられる中間駆動軸48まで導いている。そして、中間駆動軸48に伝えられた動力を、これと前方第1回転軸43との間に設けられるベベルギア機構49によって前方第1回転軸43に伝えている。
【0028】
本発明は、更に、前方第1回転軸43の前方延長上に第2回転軸50を設け、中間駆動軸48の動力を上記したベベルギア機構49に対設される別のベルギア機構51によって第2回転軸50に伝えている。そして、この第2回転軸50に第2回転体52を装設し、第2回転体52で第1スターホイル44に作用する前の根3cに作用させている。この場合、第2回転体52は、ベベルギア機構49によって第1スターホイル44とは逆の回転になっており、根3cに対して下から上に作用することになる。尚、第2回転体52を設置するとき、上記した前方泥落し装置24が邪魔になることがあるが、そのときは、これを外すか、取付け位置を変えるか、邪魔にならない大きさのものにするかしておく。
【0029】
この第2回転体52も、その外周が根菜部3bの底面すれすれに作用するように設定されており、これで根3cを叩く。本例では、第2回転体52は上記した第1スターホイル44と同じ形状をした複数枚(本例では3枚)のスターホイルで構成しているが、これは、その突起部52aが相手方の凹陥部52bに入り込むことができて確実に根3cを叩くことができるからである。尚、このとき、各スターホイルの位相を変えておくこともでき、こうすると、根3cに違った動きをさせることになり、泥落しが一層促進する(上記した第1スターホイル44の場合も同じ)。この他、第2回転体52については、弾性変形できるブラシやローラといったものも考えられる。
【0030】
又、第2回転体52を取り付ける位置は、上記した肩揃え装置17の下方に設定するのが適する。こうすると、肩揃え装置17の作用と第2回転体52との作用を同時に受けることになるから、根菜部3bが肩揃え装置17で上方へ逃げるのを規制しているときに第2回転体52が根3cを叩くことになり、根菜部3bが上に持ち上がって根3cを十分に叩けないといったことを阻止する。特に、第2回転体52は、根3cを下から上に叩くから、このことの持つ意義は大きい。
【0031】
以上より、搬送される根菜部3bの根3cは、まず、第2回転体52によって下から上に叩かれるが、同時に、その回転方向によって拡散されてほぐされることになり、根3cに付着している泥だけでなく、根3cの間に抱え込まれている泥も落とされることになる。尚、このとき、第2回転体52の突起部52aは相手形の凹陥部52bに入り込む径、芯間距離、位相に設定されているから、根3cは突起部52aが当たる度に完全に横に揺すぶられ又は中を分けられ、泥落しが完全になる。次いで、第1スターホイル44や回転ブラシ21の作用を受けて泥落しされるのは上記と同じであるが、このように、泥落しが二段、三段と行なわれるから、その効果が高い。
【0032】
【発明の効果】
以上、本発明は、上記したものであるから、即ち、泥落しに際して第1回転体と第2回転体との作用を受けるから、泥落しが確実になる。このとき、第1回転体と第2回転体とによる作用方向は互いに逆に設定されているから、ほぐし作用やすり潰し作用を受けてより完全になるし、すり潰し作用によって後続する根切断に都合の良いように整えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す前方泥落し装置の要部側面図である。
【図2】本発明の一例を示す前方泥落し装置の要部平面図である。
【図3】本発明の一例を示す図1のAーA断面図である。
【図4】本発明の一例を示す図1のBーB断面図である。
【図5】本発明の一例を示す根菜収穫機の側面図である。
【符号の説明】
3 根菜作物
3a 〃 の葉茎部
3b 〃 の根菜部
3c 根菜部の根
9 挟持搬送装置
17 肩揃え装置
21 第1回転体
22 泥落し装置
25 根切断装置
24 前方泥落し装置
25 根切断装置
44 前方第1回転体
52 第2回転体
Claims (5)
- 挟持搬送装置で圃場に植生されている根菜作物の葉茎部を挟持して根菜部を引き抜くとともに、吊り下げて後方搬送し、泥落し装置で根菜部とその底面に生えている根に付いている泥を落し、根切断装置によって根を所定長さで切断する根菜収穫機において、上記泥落し装置を、搬送経路を挟んで縦回転する第1回転体と、第1回転体の前方に設けられる第2回転体とで構成するとともに、第1回転体は、根に対して上から下に、第2回転体は、下から上に回転させることを特徴とする根菜収穫機の泥落し装置。
- 第1回転体をブラシで、第2回転体をスターホイルで形成した請求項1の根菜収穫機の泥落し装置。
- 第1回転体の前方に、スターホイルからなる前方第1回転体を挿設した請求項1又は2の根菜収穫機の泥落し装置。
- 第1回転体、前方第1回転体、第2回転体が、樹脂、ゴム、スポンジといった根菜部を傷付けない軟質部材で構成される請求項1〜3いずれかの根菜収穫機の泥落し装置。
- 泥落し装置の前方に、搬送中の根菜部の肩に作用して根菜部を挟持搬送装置から一定高さに引き下げる肩揃え装置が設けられるものであり、第2回転体が肩揃え装置の下方に設けられるものである請求項1〜4いずれかの根菜収穫機の泥落し装置。
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