JP2004073060A - 根菜収穫機の根切断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】根菜作物をベルトで挟んで引き抜き、吊り下げて搬送する過程で根菜部の底面に生えている鬚根を円板カッターで切断する根菜収穫機において、根菜部を滑らせて傷付けることなく、円板カッターに送り込む簡単な構造の搬送装置を具現する。
【解決手段】前低後高に斜設される挟持搬送装置で圃場に植生されている根菜作物の葉茎部を挟持して根菜部を引き抜いて後方搬送する過程で、上方に付勢されて上下動可能に設けられる根切断装置によって根菜部の底面に生えている根を所定の切断根長を残して切断する根菜収穫機において、上記根切断装置を、根菜部の底面に切断根長を確保して接触し、交差して水平回転する二つの円板カッターを搬送経路の両側に配置したもので構成するとともに、各円板カッターの下方に、合わせ面が根を挟持しながら弾性変形して始端が円板カッターの前方交差点より前方に位置する線状部を有して回転する搬送リングを取り付けたことを特徴とする根菜収穫機の根切断装置。
【選択図】 図1
【解決手段】前低後高に斜設される挟持搬送装置で圃場に植生されている根菜作物の葉茎部を挟持して根菜部を引き抜いて後方搬送する過程で、上方に付勢されて上下動可能に設けられる根切断装置によって根菜部の底面に生えている根を所定の切断根長を残して切断する根菜収穫機において、上記根切断装置を、根菜部の底面に切断根長を確保して接触し、交差して水平回転する二つの円板カッターを搬送経路の両側に配置したもので構成するとともに、各円板カッターの下方に、合わせ面が根を挟持しながら弾性変形して始端が円板カッターの前方交差点より前方に位置する線状部を有して回転する搬送リングを取り付けたことを特徴とする根菜収穫機の根切断装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大蒜、玉葱、百合根或いは人参といった根菜部の底面に鬚根を有する根菜作物を収穫する根菜収穫機に装備される根切断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圃場に植生されたこの種の根菜作物を後傾斜の平面内で対向面が共に後方回動する左右一対のベルトからなる挟持搬送装置でその葉茎部を挟持して根菜部を地中から引き抜き、引き抜いた根菜部を吊り下げて後上方に搬送する間、搬送途中に設けられた二枚の円板カッターからなる根切断装置によって根菜部の底面に生えている鬚根(以下、根)を切断するとともに、葉茎部切断装置によって葉茎部を切断して収穫する根菜収穫機は知られている(特開2001−69833)。
【0003】
この場合、根を長く残しておくと、後の処理がやり難くなる上に、通気性が悪くて収穫後の乾燥を阻害するから、短い長さでの切断が求められる(所謂、零カット)。このため、カッターを根菜部にできるだけ近づけて作用させる必要があり、これには、カッターとこれに作用する根菜部との相対高さを厳重に管理する必要がある。そこで、挟持搬送装置で搬送される間、ローラ等で根菜部の上面(肩)を押え、これで高さを一定にするようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、根菜部の大きさはまちまちであるから、上記した肩基準では、カッターと根菜部の底面の間隔は一定にならず、零カットを常に安定して行なうには無理があった。そこで、本出願人は、根切断装置を上方に付勢して上下動可能に構成し、その所定部材を根菜部の底面に当ててカッターの高さの位置決めをする底面基準の方式を提案している(特願2001−175326)。
【0005】
本発明は、これを更に改善したものであり、根切断に際して底面基準を採用するものの、このとき、根菜部が固定部材に擦れないようにして根菜部の底面に傷が付くのを防ぐとともに、併せて、根菜部がカッターへ良好に送り込まれるようにして切断性を向上させたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、前低後高に斜設される挟持搬送装置で圃場に植生されている根菜作物の葉茎部を挟持して根菜部を引き抜いて後方搬送する過程で、上方に付勢されて上下動可能に設けられる根切断装置によって根菜部の底面に生えている根を所定の切断根長を残して切断する根菜収穫機において、上記根切断装置を、根菜部の底面に切断根長を確保して接触し、交差して水平回転する二つの円板カッターを搬送経路の両側に配置したもので構成するとともに、各円板カッターの下方に、合わせ面が根を挟持しながら弾性変形して始端が円板カッターの前方交差点より前方に位置する線状部を有して回転する搬送リングを取り付けたことを特徴とする根菜収穫機の根切断装置を提供したものである。
【0007】
以上の手段をとることにより、即ち、各円板カッターの下方に、合わせ面が根を挟持しながら弾性変形して始端が円板カッターの前方交差点より前方に位置する線状部を有して回転する搬送リングを取り付けたものであるから、この搬送リングを設ける構成のみで根を円板カッターに送り込める。そして、この間、根菜部が滑らされる部材は存在しないから、傷付きがない。従って、滑りの摩擦抵抗による移送遅れも生じないから、根の姿勢が直立して切断性も良くなる。この場合において、請求項2に記載した、搬送リングの下方に、互いに相手方の回転軌跡内に入り込む突起を有する突起付きリングを取り付けると、搬送リングへの根の取込みが一層確実になる。
【0008】
更に、請求項3に記載した、根切断装置に対する根菜作物の通過が、挟持搬送装置から引き継いだ第二挟持搬送装置による葉茎部を挟持しての後水平方向への搬送によって行なわれるものであり、搬送リングの線状部の速度が第二搬送装置の速度よりも速く設定されるものにすれば、円板カッターに作用するときに根が先行した状態になるから、円板カッターと線状部とによる根の緊張が増すとともに、円板カッターの食付きが良くなり、切断性が増す。
【0009】
この他、請求項4に記載した、搬送リングの前方に、根菜部の根の両側の底面に接触して根菜部を線状部に送り込む水平回転可能な誘導ディスクを設けると、根菜部を固定部材に対して擦らしたりすることなく、根菜部を線状部に送り込めるし、請求項5に記載した、誘導ディスクと円板カッターとが平面視で重合しており、線状部の始端がこの重合する前後幅の中に設けられていると、根菜部の誘導ディスクから円板カッターへの乗り移りが容易であるし、根の線状部への取込みが確実になる。更に、請求項6に記載した、誘導ディスクの前方の搬送経路を挟む両側に、搬送される根菜部の底面に接触して略垂直回転可能なガイドローラを設けると、根菜部の根切断装置への持上げが確実なものとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図8は本発明の一例を示す根菜収穫機の側面図であるが、この根菜収穫機(以下、収穫機という)は、クローラ形の走行装置1を有して自走機能を有する自走車体(機体)2で構成されている。大蒜等の根菜作物3は、畝に条植えされていることは上述したが、この収穫機は、まず、根菜作物3の葉茎部3aを挟持して根菜部3bごと引き抜き、これをその吊り下げ姿勢を保ったままで後上方に搬送する間、根菜部3bの底面に生えている根3cと葉茎部3aを切断し、残った根菜部3bを収穫するものであり、これを機体2が畝に沿う方向に走行しながら行なうものである。
【0011】
それには、後傾斜の垂直面内でタイン4を後方回動させる分葉装置5で収穫する葉茎部3aと収穫しない葉茎部3aとを分け、後傾斜の平面内で後方回動するタイン6からなる掻込装置7で収穫する葉茎部3aのみを後方に掻き込む。掻込装置7で掻き込まれた葉茎部3aは、その後方に設けられている後傾斜の平面内で対向面によって葉茎部3aを挟持しながら共に後方回動する一対のベルト8からなる挟持搬送装置9で挟持されて根菜部3bを地中から引き抜く。このとき、挟持搬送装置9の始端下部には、サブソイラ10が土中に差し込まれて根菜部3bの周りの土を緩める振動装置11が設けられており、これにより、ベルト8の挟持力をあまり強くしなくても、引抜きが可能になる。
【0012】
引き抜かれた根菜部3bは、葉茎部3aと一緒に挟持搬送装置9によって後上方へと搬送されて行くが、このときの根菜作物3は、挟持搬送装置9によってほぼ垂直に吊り下げられた姿勢となっている。尚、葉茎部3aの挟持位置は、挟持搬送装置9の始端高さによることになり、この高さは適宜変更できる必要がある。そこで、この挟持搬送装置9と後述する肩揃え装置、根切断装置、葉茎部切断装置等を一つの後部セット12に構成しておき、この後部セット12を機体2に設けられる支点軸13の回りに上下に回動して調整するようにしている。
【0013】
後部セット12の設定高さ、即ち、挟持搬送装置9の始端高さは、機体2の前部に設けられて畝底を走行するゲージホイル14の高さを調整することで行なう。挟持搬送装置9の中程には、図8で反時計方向に回転させられる二つのローラ15、16を有する肩揃え装置17が設けられており、ローラ15、16が搬送中の根菜部3bの肩を押えてこれを所定高さに押し下げる。尚、本例では、この肩揃え装置17の前方に、複数の回転可能なローラ18‥を有する前方肩揃え装置19も設けられており、肩揃え装置17に至る前の根菜部3bの肩を押えてこれを所定高さにする。この他、前方肩揃え装置19の前方には、葉茎部3a及び根菜部3bをそのローラ18‥に誘導する左右一対のガイド棒20も設けられている。
【0014】
肩揃え装置17の後下方には、挟持搬送装置9のベルト8に略平行に設置されて回転する左右一対の回転体21を有する泥落し装置22が設けられており、肩揃えされた根菜部3bや根3cに作用してこれに付いた泥を落とす。更に、本例では、泥落し装置22の前方、肩揃え装置17の下方に、図4で時計方向に回転させられる回転体23を有する前方泥落し装置24も設けられており、泥落し装置22に至る前の根菜部3bの底面や根3cに作用してこれに付いている泥を前以って落とす。
【0015】
本例の後部セット12には、この他に、根3cを切断する根切断装置25、葉茎部3aの挟持搬送を挟持搬送装置9から引き継いで根切断装置25へ誘導する第二挟持搬送装置26、葉茎部3aを切断する葉茎部切断装置27、切断後の葉茎部3aを排出する排葉装置28等が設けられている。このうち、根切断装置25は、略水平面内で交差して回転する二つの円板カッター29を主体とするものであり、泥落し装置22で泥を落とされた根3cを切断する。本発明は、この根切断装置25に関するものであるが、これの詳細については後述する。
【0016】
第二挟持搬送装置26は、根切断装置25の前上方に存在して略水平面内で対向面が共に後方回動する二つのベルト30を主体とするものであり、ベルト30で葉茎部3aを挟んで上下の位置決めをして後方移送し、根切断装置25の円板カッター29に誘導する。このとき、第二挟持搬送装置26のベルト30は、根3cが切断される根菜部3bの直上の葉茎部3aを保持しており、この切断を確実なものにする。
【0017】
葉茎部切断装置27は、根切断装置25の後上方に在って略水平面内で交差して回転する二つのカッター31を主体とするものであり、根切断装置25で根3cを切断された根菜部3bの葉茎部3aを所定長さに切断する。排葉装置28は、葉茎部切断装置27の上方に設けられて略水平面内で対向面が共に後方回動するベルト32を主体とするものであり、葉茎部3aの比較的上方を挟持して葉茎部切断装置27からその後方へ移送する。尚、切断された葉茎部3aは、圃場に放出される。
【0018】
このようにして圃場に植生された根菜作物3は、収穫される過程で根3cと葉茎部3aがそれぞれ所定長さに切断されて根菜部3bを主体とするものに整姿され、且つ、根菜部3bや根3cに付着した泥も落とされた状態で収穫されることになる。そして、このように整姿された根菜部3bは、機体2後部に搭載されたコンテナ33に落下されて収容される。尚、以上のようにして収穫された根菜部3cは、所定の水分含量になるまで乾燥され、再度、根3cと葉茎部3aを調製されて出荷される。
【0019】
ところで、上記した肩揃え装置17及び泥落し装置22について補足しておくと、図4はこれらの拡大側面図、図5は平面図、図6は図4のAーA断面図、図7は図4のBーB断面図であるが、肩揃え装置17は、機体2に固定される取付軸34に回転可能に嵌着されて前後に延出する取付けアーム35、36で保持される前後二つのローラ15、16からなるものである。この場合、各ローラ15、16は、強制回転させられるものであり、その構成を本例では、挟持搬送装置9のベルト8の反対向面側の下面に押当されて駆動される駆動ローラ37、38から上記のローラ15、16を相手側に延出する構成をとっている。
【0020】
この構成によると、ベルト8の対向面は共に後方へ向かうから、反対向面は逆に前方に向かうことになり、この下面に押当された駆動ローラ37、38及びローラ15、16は図8で反時計方向に回転することになる。従って、根菜部3bに対する押当面(作用面)となる下側外周面は、根菜部3bを後方へ押しやって搬送を補完する作用を果たす。このときのローラ15、16の周速は、挟持搬送装置9のベルト8の移動速度とほぼ等しく設定されており、根菜部3bの肩を押えるときも、その吊り下げ姿勢を変えないようにしている。
【0021】
以上のセットは左右一対設けられており、ローラ15、16は、搬送経路39を挟んで所定の間隔で対称に並設される。この場合、二つの駆動ローラ37、38は、前後でその径が違っており(後方のローラ38の方が大きい、但し、ローラ15、16は同じものにして共用化している)、ローラ15、16の下側外周面のベルト8からの距離は後方のローラ16の方が前方のローラ15よりも長くなっている。
【0022】
従って、ベルト8で挟持されて後方移送される葉茎部3aは、その移動に伴って、まず、前方のローラ15の外周が根菜部3bの両肩に当たってこれを所定量押し下げる。次いで、後方のローラ16の外周が根菜部3bの両肩に当たってこれを更に所定量押し下げる。このように、根菜部3bを所定量押し下げることで(大きさや地下深さの異なるすべての根菜部3bにこのことができるように、ベルト8による挟持位置と根菜部3bまでの長さは、この長さよりも短く設定してある)、高さ揃えを行なうのであり、これにおいて、二度に亘って押し下げるから、一回当たりの押し下げ量も小さくて足り、作用力も小さいし、押し下げも確実になり、高さ揃えが正確になる。
【0023】
これが可能になるには、挟持搬送装置9のベルト8から葉茎部3aがずり下がらなければならないが、ベルト8は弾性材で、しかも、適度な挟持力で葉茎部3aを弾性挟持しているから、このずり下がりを可能にする。更に、各ローラ15、16は、以上の作用をするときに根菜部3bの肩に付いている泥も落とすから、泥落しも兼ねることになる。特に、大蒜等の根菜部3bは完全に地中に埋まっているから、これを強制的に引き抜くと、その肩には多量の泥が付着している。従って、この泥を落としておくことは、その後の根3cや葉茎部3aの切断を良好に行なうためには、非常に重要である。そして、このときのローラ15、16は、その外周が根菜部3bの両肩に当たるから、これを傷付けないように、ゴムや樹脂の軟質部材で構成されている。
【0024】
以上により、後方のローラ16から出た根菜部3bは、ベルト8からの吊下長さが一定、即ち、高さが揃えられた状態となり、後続する根切断装置25等に送られる。この設定された高さは、ローラ15、16の径やその取付位置で設定するが、根菜部3bの大きさ等は、品種、時期、地域等で異なっているから、本例では、取付軸34自体の機体2に対する取付位置を上下、左右に調整できるようにしてこれに対処している。
【0025】
更に、泥落し装置22について補足すると、この泥落し装置22は、挟持搬送装置9のベルト8の下方位置に、搬送経路39を挟んでベルト8と平行に左右一対の第1回転軸40を配置し、この第1回転軸40に第1回転体21を装着したものである。本例の第1回転体21は、ドラムの外周にナイロン毛等を植設したブラシによっているが、弾性変形が可能な円筒体状をしたものである限り、例えば、スターホイルや多角形ローラのようものであってもよい。この場合、第1回転軸40を前後に二本、中間軸41で接続し(これを軸受42で受けて機体2に止めて第1回転軸40の保持機構としている)、第1回転体(以下、回転ブラシ)21を相当長い範囲で設けて十分な泥落しを図っている。
【0026】
加えて、第1回転軸40の前方に前方第1回転軸43を接続し、この前方第1回転軸43に前方第1回転体44を装着している。本例の前方第1回転体44は、突起部44aと凹陥部44bとで星形をしたスターホイルを複数枚(本例では3枚)装着しているものを示しており、この場合、前方第1回転軸43と第1回転軸40とはユニバーサルジョイント45で接続し、前方第1回転軸43に対して第1回転軸40の角度を変更可能にしている。
【0027】
前方第1回転体(以下、第1スターホイル)44、回転ブラシ21共に、搬送面内で縦回転して根菜部3bの根3cに作用するものであるが、この場合において、第1スターホイル44は、その外周が根菜部3bの底面すれすれに作用するように設定されており、又、回転ブラシ21は、上記したユニバーサルジョイント45によって後方ほど根菜部3bを取り込む範囲が拡大するように(後方ほど持ち上げて)設定されている。即ち、回転ブラシ21は、側面視で、根菜部3bの移動軌跡46に対して後方ほど重複範囲が大きくなるようにしている。徐々に広い範囲で泥落しができるようにするためであり、この重複範囲は、第1回転軸40の角度を変更することで調整できる。
【0028】
又、第1スターホイル44は、一方の突起部44aが搬送経路39を越えて他方の凹陥部44bに突入する径、芯間距離、位相で配されており、両方の突起部44aで確実に根3c全体を叩くようになっている。更に、回転ブラシ21は、互いに相手方の回転半径内に入り込む径、芯間距離に設定されており、両者で根3cを挟み込んですり潰すようになっている。加えて、両者の回転方向は、根3cを上から下にすごくように設定されており、これによって、特に、回転ブラシ21ですり潰された根3cは細く絞られることになり、後続する切断に都合の良いように形が整えられる。これらのことから、第1スターホイル44や回転ブラシ21は、軟質樹脂やゴムといった根菜部3bを傷付けない素材で構成される。
【0029】
第1スターホイル44や回転ブラシ21に以上の作用をさせるには、どちらも共に強制回転させられる必要があるが、本例における駆動構成は、後部セット12の高さを変えてもその位置は不変である支点軸13の動力をプーリ・ベルト機構47で前方第1回転軸43の前方に機体2に対して直角に設けられる中間駆動軸48まで導いている。又、中間駆動軸48に伝えられた動力を、これと前方第1回転軸43との間に設けられるベベルギア機構49によって前方第1回転軸43に伝えている。
【0030】
更に、前方第1回転軸43の前方延長上に第2回転軸50を設け、中間駆動軸48の動力を上記したベベルギア機構49に対設される別のベルギア機構51によって第2回転軸50に伝えている。そして、この第2回転軸50に第2回転体52を装設し、第2回転体52で第1スターホイル44に作用する前の根3cに作用させている。この場合、第2回転体52は、ベベルギア機構49によって第1スターホイル44とは逆の回転になっており、根3cに対して下から上に作用することになる。尚、第2回転体52を設置するとき、上記した前方泥落し装置24が邪魔になることがあるが、そのときは、これを外すか、取付け位置を変えるか、邪魔にならない大きさのものにするかしておく。
【0031】
第2回転体52も、その外周が根菜部3bの底面すれすれに作用するように設定されており、これで根3cを叩く。本例では、第2回転体52は上記した第1スターホイル44と同じ形状をした複数枚(本例では3枚)のスターホイルで構成しているが、これは、その突起部52aが相手方の凹陥部52bに入り込むことができて確実に根3cを叩くことができるからである。尚、このとき、各スターホイルの位相を変えておくこともでき、こうすると、根3cに違った動きをさせることになり、泥落しが一層促進する(上記した第1スターホイル44の場合も同じ)。この他、第2回転体52については、弾性変形できるブラシやローラといったものも考えられる。
【0032】
又、第2回転体52を取り付ける位置は、上記した肩揃え装置17の下方に設定するのが適する。こうすると、肩揃え装置17の作用と第2回転体52との作用を同時に受けることになるから、根菜部3bが肩揃え装置17で上方へ逃げるのを規制しているときに第2回転体52が根3cを叩くことになり、根菜部3bが上に持ち上がって根3cを十分に叩けないといったことを阻止する。特に、第2回転体52は、根3cを下から上に叩くから、この効果は重要である。
【0033】
以上により、搬送される根菜部3bの根3cは、まず、第2回転体52によって下から上に叩かれるが、同時に、その回転方向によって拡散されてほぐされることになり、根3cに付着している泥だけでなく、根3cの間に抱え込まれている泥も落とされることになる。尚、このとき、第2回転体52の突起部52aは相手形の凹陥部52bに入り込む径、芯間距離、位相に設定されているから、根3cは突起部52aが当たる度に完全に横に揺すぶられ又は中を分けられ、泥落しが完全になる。次いで、第1スターホイル44や回転ブラシ21の作用を受けて泥落しされるのは上記と同じであるが、このように、泥落しが二段、三段と行なわれるから、その効果が高い。
【0034】
次に、本発明に係る根切断装置25について説明すると、図1は根切断装置25の側面図、図2は平面図、図3は図2のCーC断面図であるが、この根切断装置25は、泥落し装置22の後方に設けられるものであり、搬送経路46を挟んで左右対象に設けられて水平面内で互いに交差して回転させられる二枚の円板カッター29を主体とするものであることは上述したが、この円板カッター29の上面には、根菜部3bに当たったとしても、これを傷付けることがない樹脂やゴム等の側面視で台形をした円板カッター29よりやや小さい防傷カバー55が取り付けられている。
【0035】
そして、本発明では、各円板カッター29の下方に、合わせ面が根3cを挟持しながら弾性変形して始端aが円板カッター29の前方交差点bより前方に位置する線状部Sを有して回転する搬送リング56を取り付けている。これには、搬送リング56を大きな弾性変形ができるスポンジ等で構成し、その径を円板カッター29の径よりも大きくしておく。この場合、合わせ面は、線状部Sを形成し、線状部Sの始端aは、円板カッター29の前方交差点bよりも前方に在ることが条件である。尚、搬送リング56をこのように変形させたままで長期間放置しておくと、その弾性が失われることもあるから、シーズンオフ等には、一方又は両方の搬送リング56は外しておくのが適する。
【0036】
これにより、線状部Sの始端aと円板カッター29の前方交差点bまでが導入部Rとなり、この導入部Rで根3cを挟持して円板カッター29に送り込む。尚、この線状部Sの形状は、厳密な意味での直線である必要はなく、ジクザクや曲線であってもよいが、その中心(合わせ面)は搬送経路46と一致しているのが適する。又、搬送リング56は、ある程度厚みのあるものが適する。これらのことは、二つの搬送リング56を同じ大きさ、同じ材質で構成しておけば、達成できる。
【0037】
更に、本例では、搬送リング56の下方に、根3cの線状部Sへの取込みをより完全にするために、互いに相手方の回転軌跡内に入り込む突起57aを有する突起付きリング57を取り付けている。尚、本例の突起付きリング57の突起57aの先端は、搬送リング56の径よりもかなり大きくして大きな重合代を有するものにしているから、上下にずらせて干渉を避けている。
【0038】
加えて、本例では、搬送リング56の前方に、ここまで搬送されて来た根菜部3bを円板カッター29の防傷カバー55へ送り出すために、水平回転可能な誘導ディスク58も設けてある。この誘導ディスク58は、根菜部3bに当たっても、これを傷付けることのない樹脂等の軟質部材で形成されており、円板カッター29(防傷カバー55)と平面視で重合する配置で取り付けられている。更に、その上面の高さは、防傷カバー55とほぼ同じにしてある。根菜部3bが誘導ディスク58から防傷カバー55に乗り移って来ても、その高さをあまり上下させないためである。
【0039】
以上の円板カッター29や誘導ディスク58は、本体部(伝動ボックス)59に取り付けられる。本体部59には、入力プーリ(スプロケット)60が取り付けられており、この入力プーリ60には、機体2に設けられるPTO軸61からチェン・スプロケット機構62によって動力が伝達されるようになっている。入力プーリ60に伝えられた動力は、平歯車機構63によってその回転方向を変えられ、傘歯車機構64によってその向きを変えられて起立するカッター軸53に伝えられる。カッター軸53には、円板カッター29と防傷カバー55とが重ねられて嵌合されており、ナット53aで締め付けて固定される。尚、このナット53aは、袋ナットを使用してできるだけ防傷カバー55内に埋まるようにしており、仮に、根菜部3bが当たっても、これが傷付かないようにしている。更に、円板カッター29の下方のカッター軸53には、ドラム54を取り付け、このドラム54に搬送リング56を嵌合してビス等で固定している。これに対して、誘導ディスク58は、本体部59から回転可能に起立させられる支持軸65に取り付けられている。
【0040】
ところで、この本体部59は、上記したPTO軸61の後方付近に設けられた支点66を中心に上下に回動可能なアーム67の先端に取り付けられており、この本体部59は、スプリング68によって常時上方に付勢されている。更に、本体部59の先端側で、誘導ディスク58の前方には、搬送経路46を挟む両側で前面視ハ形をした傾斜面内で回転可能なガイドローラ69が取り付けられている。本例のガイドローラ69は、上下に二段取り付けられており、後方のものが前方のものよりも後上方になるように設定されている。これらガイドローラ69は、本体部59から前延する取付板70に位置調整可能に取り付けられている。尚、泥落し装置22の回転ブラシ21は、後部が詰められており、ガイドローラ69に干渉しないようにされている。
【0041】
根切断装置25の上方には、第二挟持搬送装置26が設けられている。第二挟持搬送装置26は、機体2に吊支される伝動筒71に固定される駆動プーリ72と伝動筒71から前延するステー73で吊支される従動プーリ74に対向面が共に水平面内で後方回動させられるようにベルト30を張り掛けたものであるが、このときのベルト30は水平に張られており、対向面はきわめて接近して設けてある。これにより、挟持搬送装置9による葉茎部3aの後上方の斜め搬送は、この第二挟持搬送装置26に引き継がれて水平に搬送される。
【0042】
以上により、根菜作物3は、挟持搬送装置9で後上方に搬送される間、肩揃え装置17で根菜部3bの肩の高さが揃えられ、泥落し装置22で根菜部3b及び根3cの泥を落とされて搬送されるが、根切断装置25に近づいて来ると、まず、葉茎部3aの挟持搬送が第二挟持搬送装置26による水平方向の挟持搬送へと引き継がれる。この場合、挟持搬送装置9のベルト8の挟持力は、第二挟持搬送装置26のベルト30の挟持力よりも若干強く設定されており、両者で共に挟持しているときには、葉茎部3aは、第二挟持搬送装置26のベルト30から根菜部3bの上面がベルト30の下端に当たるまで引き抜かれて高さが一定するようになっている。
【0043】
この状態になると、挟持搬送装置9による挟持は解放され、後は第二挟持搬送装置26のみで後方へ水平搬送されるようになっている。根菜部3bがガイドローラ69の上方に来ると、ガイドローラ69は、上方付勢されつつ上下動可能に設けられている本体部59に取り付けられている関係で、根菜部3bの底面に当たるから、ガイドローラ69が回転して送り込みを確実なものにするが、同時に、本体部59、即ち、根切断装置25の上方移動はこれによって規制され、その高さが決まることになる。以後、根切断装置25は、誘導ディスク58や円板カッター29が根菜部3bの底面に追従する高さで推移する。
【0044】
次に、根菜部3bの底面は誘導ディスク58にかかるから、根菜部3bは、誘導ディスク58を回転させて円板カッター29側へ送られる。このとき、誘導ディスク58は樹脂やゴムといった軟質部材で構成されているから、根菜部3bを傷付けない。次いで、根3cは線状部Sに銜え込まれ、導入部Rを経て円板カッター29に導入されるが、このとき、突起付きリング57でも銜え込まれ、導入漏れがないようになっている。根菜部3bが円板カッター29(防傷カバー55)の上に乗ると、根3cが切断されるが、このとき、根菜部3bの底面は、防傷カバー55で若干持ち上げられており、零カットを含む所望の切断根長で切断できる。尚、この切断根長の長さは、この防傷カバー55の高さ(形状)を変えることで調整できる。
【0045】
以上の根3cの切断において、根3cは、線状部Sで挟持されて搬送されているから、防傷カバー55との間で緊張され、円板カッター29による切断が確実である。ところで、このとき、線状部Sの搬送速度を第二挟持搬送装置26の搬送速度よりも速くするのが適する。このようにしても、線状部Sの長さはそれほど長くはないから、根3cが先行する時間は些少であって問題はない。むしろ、こうすることによって、円板カッター29の回転速度を速くして切削速度を上げることができるし、円板カッター29と線状部Sとによる根3cの緊張が増して円板カッター29の食付きも良くなる。又、切り口も鋭敏で綺麗になる。
【0046】
以上のようにして根3cを切断された根菜作物3は、葉茎部切断装置27で葉茎部3aも切断されるが、このときの葉茎部3aの切断長は、その後の乾燥処理等に適した長さに設定されている。そして、切断後の葉茎部3a及び根菜部3bは、根切断装置25の後方に設けられるシュート75でコンテナー33に導かれて収容され、先端側の葉茎部3aは排葉装置28から機外に排出される。
【0047】
【発明の効果】
以上、本発明は、上記したものであるから、即ち、各円板カッターの下方に、合わせ面が根を挟持しながら弾性変形して始端が円板カッターの前方交差点より前方に位置する線状部を有して回転する搬送リングを取り付けたものであるから、この搬送リングを設ける構成のみで根を円板カッターに送り込める。そして、この間、根菜部が滑らされる部材は存在しないから、傷付きがない。従って、滑りの摩擦抵抗による移送遅れも生じないから、根の姿勢が直立して切断性も良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す根切断装置の側面図である。
【図2】本発明の一例を示す根切断装置の平面図である。
【図3】本発明の一例を示す図8のCーC断面図である。
【図4】本発明に係る根菜収穫機に装備される前方泥落し装置の要部側面図である。
【図5】本発明に係る根菜収穫機に装備される前方泥落し装置の要部平面図である。
【図6】図4のAーA断面図である。
【図7】図4のBーB断面図である。
【図8】本発明の一例を示す根菜収穫機の側面図である。
【符号の説明】
3 根菜作物
3a 〃 の葉茎部
3b 〃 の根菜部
3c 根菜部の根
9 挟持搬送装置
22 泥落し装置
25 根切断装置
26 第二挟持搬送装置
29 円板カッター
46 搬送経路
55 防傷カバー
56 搬送リング
57 突起付きリング
57a 突起部
58 誘導ディスク
69 ガイドローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、大蒜、玉葱、百合根或いは人参といった根菜部の底面に鬚根を有する根菜作物を収穫する根菜収穫機に装備される根切断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圃場に植生されたこの種の根菜作物を後傾斜の平面内で対向面が共に後方回動する左右一対のベルトからなる挟持搬送装置でその葉茎部を挟持して根菜部を地中から引き抜き、引き抜いた根菜部を吊り下げて後上方に搬送する間、搬送途中に設けられた二枚の円板カッターからなる根切断装置によって根菜部の底面に生えている鬚根(以下、根)を切断するとともに、葉茎部切断装置によって葉茎部を切断して収穫する根菜収穫機は知られている(特開2001−69833)。
【0003】
この場合、根を長く残しておくと、後の処理がやり難くなる上に、通気性が悪くて収穫後の乾燥を阻害するから、短い長さでの切断が求められる(所謂、零カット)。このため、カッターを根菜部にできるだけ近づけて作用させる必要があり、これには、カッターとこれに作用する根菜部との相対高さを厳重に管理する必要がある。そこで、挟持搬送装置で搬送される間、ローラ等で根菜部の上面(肩)を押え、これで高さを一定にするようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、根菜部の大きさはまちまちであるから、上記した肩基準では、カッターと根菜部の底面の間隔は一定にならず、零カットを常に安定して行なうには無理があった。そこで、本出願人は、根切断装置を上方に付勢して上下動可能に構成し、その所定部材を根菜部の底面に当ててカッターの高さの位置決めをする底面基準の方式を提案している(特願2001−175326)。
【0005】
本発明は、これを更に改善したものであり、根切断に際して底面基準を採用するものの、このとき、根菜部が固定部材に擦れないようにして根菜部の底面に傷が付くのを防ぐとともに、併せて、根菜部がカッターへ良好に送り込まれるようにして切断性を向上させたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、前低後高に斜設される挟持搬送装置で圃場に植生されている根菜作物の葉茎部を挟持して根菜部を引き抜いて後方搬送する過程で、上方に付勢されて上下動可能に設けられる根切断装置によって根菜部の底面に生えている根を所定の切断根長を残して切断する根菜収穫機において、上記根切断装置を、根菜部の底面に切断根長を確保して接触し、交差して水平回転する二つの円板カッターを搬送経路の両側に配置したもので構成するとともに、各円板カッターの下方に、合わせ面が根を挟持しながら弾性変形して始端が円板カッターの前方交差点より前方に位置する線状部を有して回転する搬送リングを取り付けたことを特徴とする根菜収穫機の根切断装置を提供したものである。
【0007】
以上の手段をとることにより、即ち、各円板カッターの下方に、合わせ面が根を挟持しながら弾性変形して始端が円板カッターの前方交差点より前方に位置する線状部を有して回転する搬送リングを取り付けたものであるから、この搬送リングを設ける構成のみで根を円板カッターに送り込める。そして、この間、根菜部が滑らされる部材は存在しないから、傷付きがない。従って、滑りの摩擦抵抗による移送遅れも生じないから、根の姿勢が直立して切断性も良くなる。この場合において、請求項2に記載した、搬送リングの下方に、互いに相手方の回転軌跡内に入り込む突起を有する突起付きリングを取り付けると、搬送リングへの根の取込みが一層確実になる。
【0008】
更に、請求項3に記載した、根切断装置に対する根菜作物の通過が、挟持搬送装置から引き継いだ第二挟持搬送装置による葉茎部を挟持しての後水平方向への搬送によって行なわれるものであり、搬送リングの線状部の速度が第二搬送装置の速度よりも速く設定されるものにすれば、円板カッターに作用するときに根が先行した状態になるから、円板カッターと線状部とによる根の緊張が増すとともに、円板カッターの食付きが良くなり、切断性が増す。
【0009】
この他、請求項4に記載した、搬送リングの前方に、根菜部の根の両側の底面に接触して根菜部を線状部に送り込む水平回転可能な誘導ディスクを設けると、根菜部を固定部材に対して擦らしたりすることなく、根菜部を線状部に送り込めるし、請求項5に記載した、誘導ディスクと円板カッターとが平面視で重合しており、線状部の始端がこの重合する前後幅の中に設けられていると、根菜部の誘導ディスクから円板カッターへの乗り移りが容易であるし、根の線状部への取込みが確実になる。更に、請求項6に記載した、誘導ディスクの前方の搬送経路を挟む両側に、搬送される根菜部の底面に接触して略垂直回転可能なガイドローラを設けると、根菜部の根切断装置への持上げが確実なものとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図8は本発明の一例を示す根菜収穫機の側面図であるが、この根菜収穫機(以下、収穫機という)は、クローラ形の走行装置1を有して自走機能を有する自走車体(機体)2で構成されている。大蒜等の根菜作物3は、畝に条植えされていることは上述したが、この収穫機は、まず、根菜作物3の葉茎部3aを挟持して根菜部3bごと引き抜き、これをその吊り下げ姿勢を保ったままで後上方に搬送する間、根菜部3bの底面に生えている根3cと葉茎部3aを切断し、残った根菜部3bを収穫するものであり、これを機体2が畝に沿う方向に走行しながら行なうものである。
【0011】
それには、後傾斜の垂直面内でタイン4を後方回動させる分葉装置5で収穫する葉茎部3aと収穫しない葉茎部3aとを分け、後傾斜の平面内で後方回動するタイン6からなる掻込装置7で収穫する葉茎部3aのみを後方に掻き込む。掻込装置7で掻き込まれた葉茎部3aは、その後方に設けられている後傾斜の平面内で対向面によって葉茎部3aを挟持しながら共に後方回動する一対のベルト8からなる挟持搬送装置9で挟持されて根菜部3bを地中から引き抜く。このとき、挟持搬送装置9の始端下部には、サブソイラ10が土中に差し込まれて根菜部3bの周りの土を緩める振動装置11が設けられており、これにより、ベルト8の挟持力をあまり強くしなくても、引抜きが可能になる。
【0012】
引き抜かれた根菜部3bは、葉茎部3aと一緒に挟持搬送装置9によって後上方へと搬送されて行くが、このときの根菜作物3は、挟持搬送装置9によってほぼ垂直に吊り下げられた姿勢となっている。尚、葉茎部3aの挟持位置は、挟持搬送装置9の始端高さによることになり、この高さは適宜変更できる必要がある。そこで、この挟持搬送装置9と後述する肩揃え装置、根切断装置、葉茎部切断装置等を一つの後部セット12に構成しておき、この後部セット12を機体2に設けられる支点軸13の回りに上下に回動して調整するようにしている。
【0013】
後部セット12の設定高さ、即ち、挟持搬送装置9の始端高さは、機体2の前部に設けられて畝底を走行するゲージホイル14の高さを調整することで行なう。挟持搬送装置9の中程には、図8で反時計方向に回転させられる二つのローラ15、16を有する肩揃え装置17が設けられており、ローラ15、16が搬送中の根菜部3bの肩を押えてこれを所定高さに押し下げる。尚、本例では、この肩揃え装置17の前方に、複数の回転可能なローラ18‥を有する前方肩揃え装置19も設けられており、肩揃え装置17に至る前の根菜部3bの肩を押えてこれを所定高さにする。この他、前方肩揃え装置19の前方には、葉茎部3a及び根菜部3bをそのローラ18‥に誘導する左右一対のガイド棒20も設けられている。
【0014】
肩揃え装置17の後下方には、挟持搬送装置9のベルト8に略平行に設置されて回転する左右一対の回転体21を有する泥落し装置22が設けられており、肩揃えされた根菜部3bや根3cに作用してこれに付いた泥を落とす。更に、本例では、泥落し装置22の前方、肩揃え装置17の下方に、図4で時計方向に回転させられる回転体23を有する前方泥落し装置24も設けられており、泥落し装置22に至る前の根菜部3bの底面や根3cに作用してこれに付いている泥を前以って落とす。
【0015】
本例の後部セット12には、この他に、根3cを切断する根切断装置25、葉茎部3aの挟持搬送を挟持搬送装置9から引き継いで根切断装置25へ誘導する第二挟持搬送装置26、葉茎部3aを切断する葉茎部切断装置27、切断後の葉茎部3aを排出する排葉装置28等が設けられている。このうち、根切断装置25は、略水平面内で交差して回転する二つの円板カッター29を主体とするものであり、泥落し装置22で泥を落とされた根3cを切断する。本発明は、この根切断装置25に関するものであるが、これの詳細については後述する。
【0016】
第二挟持搬送装置26は、根切断装置25の前上方に存在して略水平面内で対向面が共に後方回動する二つのベルト30を主体とするものであり、ベルト30で葉茎部3aを挟んで上下の位置決めをして後方移送し、根切断装置25の円板カッター29に誘導する。このとき、第二挟持搬送装置26のベルト30は、根3cが切断される根菜部3bの直上の葉茎部3aを保持しており、この切断を確実なものにする。
【0017】
葉茎部切断装置27は、根切断装置25の後上方に在って略水平面内で交差して回転する二つのカッター31を主体とするものであり、根切断装置25で根3cを切断された根菜部3bの葉茎部3aを所定長さに切断する。排葉装置28は、葉茎部切断装置27の上方に設けられて略水平面内で対向面が共に後方回動するベルト32を主体とするものであり、葉茎部3aの比較的上方を挟持して葉茎部切断装置27からその後方へ移送する。尚、切断された葉茎部3aは、圃場に放出される。
【0018】
このようにして圃場に植生された根菜作物3は、収穫される過程で根3cと葉茎部3aがそれぞれ所定長さに切断されて根菜部3bを主体とするものに整姿され、且つ、根菜部3bや根3cに付着した泥も落とされた状態で収穫されることになる。そして、このように整姿された根菜部3bは、機体2後部に搭載されたコンテナ33に落下されて収容される。尚、以上のようにして収穫された根菜部3cは、所定の水分含量になるまで乾燥され、再度、根3cと葉茎部3aを調製されて出荷される。
【0019】
ところで、上記した肩揃え装置17及び泥落し装置22について補足しておくと、図4はこれらの拡大側面図、図5は平面図、図6は図4のAーA断面図、図7は図4のBーB断面図であるが、肩揃え装置17は、機体2に固定される取付軸34に回転可能に嵌着されて前後に延出する取付けアーム35、36で保持される前後二つのローラ15、16からなるものである。この場合、各ローラ15、16は、強制回転させられるものであり、その構成を本例では、挟持搬送装置9のベルト8の反対向面側の下面に押当されて駆動される駆動ローラ37、38から上記のローラ15、16を相手側に延出する構成をとっている。
【0020】
この構成によると、ベルト8の対向面は共に後方へ向かうから、反対向面は逆に前方に向かうことになり、この下面に押当された駆動ローラ37、38及びローラ15、16は図8で反時計方向に回転することになる。従って、根菜部3bに対する押当面(作用面)となる下側外周面は、根菜部3bを後方へ押しやって搬送を補完する作用を果たす。このときのローラ15、16の周速は、挟持搬送装置9のベルト8の移動速度とほぼ等しく設定されており、根菜部3bの肩を押えるときも、その吊り下げ姿勢を変えないようにしている。
【0021】
以上のセットは左右一対設けられており、ローラ15、16は、搬送経路39を挟んで所定の間隔で対称に並設される。この場合、二つの駆動ローラ37、38は、前後でその径が違っており(後方のローラ38の方が大きい、但し、ローラ15、16は同じものにして共用化している)、ローラ15、16の下側外周面のベルト8からの距離は後方のローラ16の方が前方のローラ15よりも長くなっている。
【0022】
従って、ベルト8で挟持されて後方移送される葉茎部3aは、その移動に伴って、まず、前方のローラ15の外周が根菜部3bの両肩に当たってこれを所定量押し下げる。次いで、後方のローラ16の外周が根菜部3bの両肩に当たってこれを更に所定量押し下げる。このように、根菜部3bを所定量押し下げることで(大きさや地下深さの異なるすべての根菜部3bにこのことができるように、ベルト8による挟持位置と根菜部3bまでの長さは、この長さよりも短く設定してある)、高さ揃えを行なうのであり、これにおいて、二度に亘って押し下げるから、一回当たりの押し下げ量も小さくて足り、作用力も小さいし、押し下げも確実になり、高さ揃えが正確になる。
【0023】
これが可能になるには、挟持搬送装置9のベルト8から葉茎部3aがずり下がらなければならないが、ベルト8は弾性材で、しかも、適度な挟持力で葉茎部3aを弾性挟持しているから、このずり下がりを可能にする。更に、各ローラ15、16は、以上の作用をするときに根菜部3bの肩に付いている泥も落とすから、泥落しも兼ねることになる。特に、大蒜等の根菜部3bは完全に地中に埋まっているから、これを強制的に引き抜くと、その肩には多量の泥が付着している。従って、この泥を落としておくことは、その後の根3cや葉茎部3aの切断を良好に行なうためには、非常に重要である。そして、このときのローラ15、16は、その外周が根菜部3bの両肩に当たるから、これを傷付けないように、ゴムや樹脂の軟質部材で構成されている。
【0024】
以上により、後方のローラ16から出た根菜部3bは、ベルト8からの吊下長さが一定、即ち、高さが揃えられた状態となり、後続する根切断装置25等に送られる。この設定された高さは、ローラ15、16の径やその取付位置で設定するが、根菜部3bの大きさ等は、品種、時期、地域等で異なっているから、本例では、取付軸34自体の機体2に対する取付位置を上下、左右に調整できるようにしてこれに対処している。
【0025】
更に、泥落し装置22について補足すると、この泥落し装置22は、挟持搬送装置9のベルト8の下方位置に、搬送経路39を挟んでベルト8と平行に左右一対の第1回転軸40を配置し、この第1回転軸40に第1回転体21を装着したものである。本例の第1回転体21は、ドラムの外周にナイロン毛等を植設したブラシによっているが、弾性変形が可能な円筒体状をしたものである限り、例えば、スターホイルや多角形ローラのようものであってもよい。この場合、第1回転軸40を前後に二本、中間軸41で接続し(これを軸受42で受けて機体2に止めて第1回転軸40の保持機構としている)、第1回転体(以下、回転ブラシ)21を相当長い範囲で設けて十分な泥落しを図っている。
【0026】
加えて、第1回転軸40の前方に前方第1回転軸43を接続し、この前方第1回転軸43に前方第1回転体44を装着している。本例の前方第1回転体44は、突起部44aと凹陥部44bとで星形をしたスターホイルを複数枚(本例では3枚)装着しているものを示しており、この場合、前方第1回転軸43と第1回転軸40とはユニバーサルジョイント45で接続し、前方第1回転軸43に対して第1回転軸40の角度を変更可能にしている。
【0027】
前方第1回転体(以下、第1スターホイル)44、回転ブラシ21共に、搬送面内で縦回転して根菜部3bの根3cに作用するものであるが、この場合において、第1スターホイル44は、その外周が根菜部3bの底面すれすれに作用するように設定されており、又、回転ブラシ21は、上記したユニバーサルジョイント45によって後方ほど根菜部3bを取り込む範囲が拡大するように(後方ほど持ち上げて)設定されている。即ち、回転ブラシ21は、側面視で、根菜部3bの移動軌跡46に対して後方ほど重複範囲が大きくなるようにしている。徐々に広い範囲で泥落しができるようにするためであり、この重複範囲は、第1回転軸40の角度を変更することで調整できる。
【0028】
又、第1スターホイル44は、一方の突起部44aが搬送経路39を越えて他方の凹陥部44bに突入する径、芯間距離、位相で配されており、両方の突起部44aで確実に根3c全体を叩くようになっている。更に、回転ブラシ21は、互いに相手方の回転半径内に入り込む径、芯間距離に設定されており、両者で根3cを挟み込んですり潰すようになっている。加えて、両者の回転方向は、根3cを上から下にすごくように設定されており、これによって、特に、回転ブラシ21ですり潰された根3cは細く絞られることになり、後続する切断に都合の良いように形が整えられる。これらのことから、第1スターホイル44や回転ブラシ21は、軟質樹脂やゴムといった根菜部3bを傷付けない素材で構成される。
【0029】
第1スターホイル44や回転ブラシ21に以上の作用をさせるには、どちらも共に強制回転させられる必要があるが、本例における駆動構成は、後部セット12の高さを変えてもその位置は不変である支点軸13の動力をプーリ・ベルト機構47で前方第1回転軸43の前方に機体2に対して直角に設けられる中間駆動軸48まで導いている。又、中間駆動軸48に伝えられた動力を、これと前方第1回転軸43との間に設けられるベベルギア機構49によって前方第1回転軸43に伝えている。
【0030】
更に、前方第1回転軸43の前方延長上に第2回転軸50を設け、中間駆動軸48の動力を上記したベベルギア機構49に対設される別のベルギア機構51によって第2回転軸50に伝えている。そして、この第2回転軸50に第2回転体52を装設し、第2回転体52で第1スターホイル44に作用する前の根3cに作用させている。この場合、第2回転体52は、ベベルギア機構49によって第1スターホイル44とは逆の回転になっており、根3cに対して下から上に作用することになる。尚、第2回転体52を設置するとき、上記した前方泥落し装置24が邪魔になることがあるが、そのときは、これを外すか、取付け位置を変えるか、邪魔にならない大きさのものにするかしておく。
【0031】
第2回転体52も、その外周が根菜部3bの底面すれすれに作用するように設定されており、これで根3cを叩く。本例では、第2回転体52は上記した第1スターホイル44と同じ形状をした複数枚(本例では3枚)のスターホイルで構成しているが、これは、その突起部52aが相手方の凹陥部52bに入り込むことができて確実に根3cを叩くことができるからである。尚、このとき、各スターホイルの位相を変えておくこともでき、こうすると、根3cに違った動きをさせることになり、泥落しが一層促進する(上記した第1スターホイル44の場合も同じ)。この他、第2回転体52については、弾性変形できるブラシやローラといったものも考えられる。
【0032】
又、第2回転体52を取り付ける位置は、上記した肩揃え装置17の下方に設定するのが適する。こうすると、肩揃え装置17の作用と第2回転体52との作用を同時に受けることになるから、根菜部3bが肩揃え装置17で上方へ逃げるのを規制しているときに第2回転体52が根3cを叩くことになり、根菜部3bが上に持ち上がって根3cを十分に叩けないといったことを阻止する。特に、第2回転体52は、根3cを下から上に叩くから、この効果は重要である。
【0033】
以上により、搬送される根菜部3bの根3cは、まず、第2回転体52によって下から上に叩かれるが、同時に、その回転方向によって拡散されてほぐされることになり、根3cに付着している泥だけでなく、根3cの間に抱え込まれている泥も落とされることになる。尚、このとき、第2回転体52の突起部52aは相手形の凹陥部52bに入り込む径、芯間距離、位相に設定されているから、根3cは突起部52aが当たる度に完全に横に揺すぶられ又は中を分けられ、泥落しが完全になる。次いで、第1スターホイル44や回転ブラシ21の作用を受けて泥落しされるのは上記と同じであるが、このように、泥落しが二段、三段と行なわれるから、その効果が高い。
【0034】
次に、本発明に係る根切断装置25について説明すると、図1は根切断装置25の側面図、図2は平面図、図3は図2のCーC断面図であるが、この根切断装置25は、泥落し装置22の後方に設けられるものであり、搬送経路46を挟んで左右対象に設けられて水平面内で互いに交差して回転させられる二枚の円板カッター29を主体とするものであることは上述したが、この円板カッター29の上面には、根菜部3bに当たったとしても、これを傷付けることがない樹脂やゴム等の側面視で台形をした円板カッター29よりやや小さい防傷カバー55が取り付けられている。
【0035】
そして、本発明では、各円板カッター29の下方に、合わせ面が根3cを挟持しながら弾性変形して始端aが円板カッター29の前方交差点bより前方に位置する線状部Sを有して回転する搬送リング56を取り付けている。これには、搬送リング56を大きな弾性変形ができるスポンジ等で構成し、その径を円板カッター29の径よりも大きくしておく。この場合、合わせ面は、線状部Sを形成し、線状部Sの始端aは、円板カッター29の前方交差点bよりも前方に在ることが条件である。尚、搬送リング56をこのように変形させたままで長期間放置しておくと、その弾性が失われることもあるから、シーズンオフ等には、一方又は両方の搬送リング56は外しておくのが適する。
【0036】
これにより、線状部Sの始端aと円板カッター29の前方交差点bまでが導入部Rとなり、この導入部Rで根3cを挟持して円板カッター29に送り込む。尚、この線状部Sの形状は、厳密な意味での直線である必要はなく、ジクザクや曲線であってもよいが、その中心(合わせ面)は搬送経路46と一致しているのが適する。又、搬送リング56は、ある程度厚みのあるものが適する。これらのことは、二つの搬送リング56を同じ大きさ、同じ材質で構成しておけば、達成できる。
【0037】
更に、本例では、搬送リング56の下方に、根3cの線状部Sへの取込みをより完全にするために、互いに相手方の回転軌跡内に入り込む突起57aを有する突起付きリング57を取り付けている。尚、本例の突起付きリング57の突起57aの先端は、搬送リング56の径よりもかなり大きくして大きな重合代を有するものにしているから、上下にずらせて干渉を避けている。
【0038】
加えて、本例では、搬送リング56の前方に、ここまで搬送されて来た根菜部3bを円板カッター29の防傷カバー55へ送り出すために、水平回転可能な誘導ディスク58も設けてある。この誘導ディスク58は、根菜部3bに当たっても、これを傷付けることのない樹脂等の軟質部材で形成されており、円板カッター29(防傷カバー55)と平面視で重合する配置で取り付けられている。更に、その上面の高さは、防傷カバー55とほぼ同じにしてある。根菜部3bが誘導ディスク58から防傷カバー55に乗り移って来ても、その高さをあまり上下させないためである。
【0039】
以上の円板カッター29や誘導ディスク58は、本体部(伝動ボックス)59に取り付けられる。本体部59には、入力プーリ(スプロケット)60が取り付けられており、この入力プーリ60には、機体2に設けられるPTO軸61からチェン・スプロケット機構62によって動力が伝達されるようになっている。入力プーリ60に伝えられた動力は、平歯車機構63によってその回転方向を変えられ、傘歯車機構64によってその向きを変えられて起立するカッター軸53に伝えられる。カッター軸53には、円板カッター29と防傷カバー55とが重ねられて嵌合されており、ナット53aで締め付けて固定される。尚、このナット53aは、袋ナットを使用してできるだけ防傷カバー55内に埋まるようにしており、仮に、根菜部3bが当たっても、これが傷付かないようにしている。更に、円板カッター29の下方のカッター軸53には、ドラム54を取り付け、このドラム54に搬送リング56を嵌合してビス等で固定している。これに対して、誘導ディスク58は、本体部59から回転可能に起立させられる支持軸65に取り付けられている。
【0040】
ところで、この本体部59は、上記したPTO軸61の後方付近に設けられた支点66を中心に上下に回動可能なアーム67の先端に取り付けられており、この本体部59は、スプリング68によって常時上方に付勢されている。更に、本体部59の先端側で、誘導ディスク58の前方には、搬送経路46を挟む両側で前面視ハ形をした傾斜面内で回転可能なガイドローラ69が取り付けられている。本例のガイドローラ69は、上下に二段取り付けられており、後方のものが前方のものよりも後上方になるように設定されている。これらガイドローラ69は、本体部59から前延する取付板70に位置調整可能に取り付けられている。尚、泥落し装置22の回転ブラシ21は、後部が詰められており、ガイドローラ69に干渉しないようにされている。
【0041】
根切断装置25の上方には、第二挟持搬送装置26が設けられている。第二挟持搬送装置26は、機体2に吊支される伝動筒71に固定される駆動プーリ72と伝動筒71から前延するステー73で吊支される従動プーリ74に対向面が共に水平面内で後方回動させられるようにベルト30を張り掛けたものであるが、このときのベルト30は水平に張られており、対向面はきわめて接近して設けてある。これにより、挟持搬送装置9による葉茎部3aの後上方の斜め搬送は、この第二挟持搬送装置26に引き継がれて水平に搬送される。
【0042】
以上により、根菜作物3は、挟持搬送装置9で後上方に搬送される間、肩揃え装置17で根菜部3bの肩の高さが揃えられ、泥落し装置22で根菜部3b及び根3cの泥を落とされて搬送されるが、根切断装置25に近づいて来ると、まず、葉茎部3aの挟持搬送が第二挟持搬送装置26による水平方向の挟持搬送へと引き継がれる。この場合、挟持搬送装置9のベルト8の挟持力は、第二挟持搬送装置26のベルト30の挟持力よりも若干強く設定されており、両者で共に挟持しているときには、葉茎部3aは、第二挟持搬送装置26のベルト30から根菜部3bの上面がベルト30の下端に当たるまで引き抜かれて高さが一定するようになっている。
【0043】
この状態になると、挟持搬送装置9による挟持は解放され、後は第二挟持搬送装置26のみで後方へ水平搬送されるようになっている。根菜部3bがガイドローラ69の上方に来ると、ガイドローラ69は、上方付勢されつつ上下動可能に設けられている本体部59に取り付けられている関係で、根菜部3bの底面に当たるから、ガイドローラ69が回転して送り込みを確実なものにするが、同時に、本体部59、即ち、根切断装置25の上方移動はこれによって規制され、その高さが決まることになる。以後、根切断装置25は、誘導ディスク58や円板カッター29が根菜部3bの底面に追従する高さで推移する。
【0044】
次に、根菜部3bの底面は誘導ディスク58にかかるから、根菜部3bは、誘導ディスク58を回転させて円板カッター29側へ送られる。このとき、誘導ディスク58は樹脂やゴムといった軟質部材で構成されているから、根菜部3bを傷付けない。次いで、根3cは線状部Sに銜え込まれ、導入部Rを経て円板カッター29に導入されるが、このとき、突起付きリング57でも銜え込まれ、導入漏れがないようになっている。根菜部3bが円板カッター29(防傷カバー55)の上に乗ると、根3cが切断されるが、このとき、根菜部3bの底面は、防傷カバー55で若干持ち上げられており、零カットを含む所望の切断根長で切断できる。尚、この切断根長の長さは、この防傷カバー55の高さ(形状)を変えることで調整できる。
【0045】
以上の根3cの切断において、根3cは、線状部Sで挟持されて搬送されているから、防傷カバー55との間で緊張され、円板カッター29による切断が確実である。ところで、このとき、線状部Sの搬送速度を第二挟持搬送装置26の搬送速度よりも速くするのが適する。このようにしても、線状部Sの長さはそれほど長くはないから、根3cが先行する時間は些少であって問題はない。むしろ、こうすることによって、円板カッター29の回転速度を速くして切削速度を上げることができるし、円板カッター29と線状部Sとによる根3cの緊張が増して円板カッター29の食付きも良くなる。又、切り口も鋭敏で綺麗になる。
【0046】
以上のようにして根3cを切断された根菜作物3は、葉茎部切断装置27で葉茎部3aも切断されるが、このときの葉茎部3aの切断長は、その後の乾燥処理等に適した長さに設定されている。そして、切断後の葉茎部3a及び根菜部3bは、根切断装置25の後方に設けられるシュート75でコンテナー33に導かれて収容され、先端側の葉茎部3aは排葉装置28から機外に排出される。
【0047】
【発明の効果】
以上、本発明は、上記したものであるから、即ち、各円板カッターの下方に、合わせ面が根を挟持しながら弾性変形して始端が円板カッターの前方交差点より前方に位置する線状部を有して回転する搬送リングを取り付けたものであるから、この搬送リングを設ける構成のみで根を円板カッターに送り込める。そして、この間、根菜部が滑らされる部材は存在しないから、傷付きがない。従って、滑りの摩擦抵抗による移送遅れも生じないから、根の姿勢が直立して切断性も良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す根切断装置の側面図である。
【図2】本発明の一例を示す根切断装置の平面図である。
【図3】本発明の一例を示す図8のCーC断面図である。
【図4】本発明に係る根菜収穫機に装備される前方泥落し装置の要部側面図である。
【図5】本発明に係る根菜収穫機に装備される前方泥落し装置の要部平面図である。
【図6】図4のAーA断面図である。
【図7】図4のBーB断面図である。
【図8】本発明の一例を示す根菜収穫機の側面図である。
【符号の説明】
3 根菜作物
3a 〃 の葉茎部
3b 〃 の根菜部
3c 根菜部の根
9 挟持搬送装置
22 泥落し装置
25 根切断装置
26 第二挟持搬送装置
29 円板カッター
46 搬送経路
55 防傷カバー
56 搬送リング
57 突起付きリング
57a 突起部
58 誘導ディスク
69 ガイドローラ
Claims (6)
- 前低後高に斜設される挟持搬送装置で圃場に植生されている根菜作物の葉茎部を挟持して根菜部を引き抜いて後方搬送する過程で、上方に付勢されて上下動可能に設けられる根切断装置によって根菜部の底面に生えている根を所定の切断根長を残して切断する根菜収穫機において、上記根切断装置を、根菜部の底面に切断根長を確保して接触し、交差して水平回転する二つの円板カッターを搬送経路の両側に配置したもので構成するとともに、各円板カッターの下方に、合わせ面が根を挟持しながら弾性変形して始端が円板カッターの前方交差点より前方に位置する線状部を有して回転する搬送リングを取り付けたことを特徴とする根菜収穫機の根切断装置。
- 搬送リングの下方に、互いに相手方の回転軌跡内に入り込む突起を有する突起付きリングを設けた請求項1の根菜収穫機の根切断装置。
- 根切断装置に対する根菜作物の通過が、挟持搬送装置から引き継いだ第二挟持搬送装置による葉茎部を挟持しての後水平方向への搬送によって行なわれるものであり、搬送リングの線状部の速度が第二搬送装置の速度よりも速く設定される請求項1又は2の根菜収穫機の根切断装置。
- 搬送リングの前方に、根菜部の底面に接触して根菜部を線状部に送り込む水平回転可能な誘導ディスクを設けた請求項1〜3いずれかの根菜収穫機の根切断装置。
- 誘導ディスクと円板カッターとが平面視で重合しており、線状部の始端がこの重合する前後幅の中に設けられている請求項4の根菜収穫機の根切断装置。
- 誘導ディスクの前方の搬送経路を挟む両側に、搬送される根菜部の底面に接触して略垂直回転可能なガイドローラを設けた請求項4又は5の根菜収穫機の根切断装置。
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Cited By (2)
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-
2002
- 2002-08-15 JP JP2002236856A patent/JP2004073060A/ja not_active Withdrawn
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