JP2004063708A - 欠陥発生状態の監視方法およびその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造装置の異常を早期に感知し、警告を発することによって不良作り込みを防止する。
【解決手段】基板を順次処理して薄膜デバイスを形成する薄膜デバイスの製造工程において同一の検査工程にて時系列に得られた欠陥の前記基板面内での分布情報を解析する方法において、前記欠陥の基板面内での分布の局所的な粗密変動を判定基準として前記製造工程において異常が発生したことを判定するようにした。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体、液晶、磁気ヘッド、プリント基板などの薄膜デバイスの検査データの処理方法および処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜デバイスとして、例えば、半導体デバイスの製造は、多数のプロセスにより構成されている。大きくは、基板上にトランジスタ素子を作り込む基板工程と、素子間を接続する配線を作り込む配線工程に分けられる。それぞれは、薄膜形成プロセス、ホトリソグラフィプロセス、エッチングプロセス、不純物導入プロセス、熱処理プロセス、平坦化プロセス、洗浄プロセス等の複数プロセスの組合せにより構成される。このような加工工程数は時には数百工程に及ぶ。
【0003】
加工装置の製造条件の不備や異常によって半導体デバイスが作り込まれる半導体ウェハ上に欠陥が発生した場合、製品に不良が発生する確率が高くなり、歩留りを下げてしまうことになる。そこで主要なプロセスごとに異物検査や外観検査等の検査が実施され、加工が正常に行われているか監視が行われ、異常発生時には該当装置に対策が施される。このとき、加工プロセスごとに全てのウェハの検査を実施するのは時間と手間の制約から不可能であるため、通常はいくつかの一連の工程ごとに、サンプリングされたロットやウェハに対して検査が実施される。
【0004】
検査装置では、ウェハ表面をレーザでスキャンし、散乱光の有無を検出したり、あるいはパターンの形状を画像として取り込み、他の同一パタン領域の画像と比較することにより、パターンの欠陥(ショート欠陥、断線欠陥、欠け欠陥、形状欠陥など)や異物(以下、これらを総称して欠陥という)の位置、個数等に関する情報を得ることができる。
【0005】
装置異常の監視は、検査装置により検出される欠陥の個数や密度を管理指標として行われることが多い。欠陥の個数が予め設定された基準値を越えると装置に異常が発生していると判定し、欠陥のウェハ面内の位置情報であるウェハマップや別途行われる欠陥レビュー等の情報をもとに不具合の発生した装置や不具合内容の特定が実施される。
【0006】
しかし、前記示した代表数値による管理では、異常が検知された時点で不良となる製品を相当数作り込んでしまっている例が少なくない。
【0007】
ここで、装置に異常が発生した場合、欠陥の発生数が増えると共に、ウェハ上の欠陥の分布に特徴的な傾向が現れる場合がある。例えば直線状・同心円状、放射線状などウェハマップに特定のパタンが現れたり、特定の領域の密度が高くなることがある。そこで、検査にて検出される個数や密度のみを管理するだけでなく、このような欠陥発生の偏りに注目すると製造装置の問題発生の兆候をとらえることができ、より早期に対策へのトリガをかけることが可能となる。
【0008】
このような、検査データの欠陥のウェハマップに注目した従来技術として特開平11―67853号公報に記載されているような、検査装置により得られたウェハマップを、ユーザの閲覧が容易になるよう表示する解析補助システムに関する技術がある。
【0009】
また、特開2001−85491号公報には、“On−The Fly”自動欠陥分類により検査を実行しつつ重要な欠陥の情報を獲得して、欠陥の種類ごとに予め設定した許容数を超えたか否かを判定し、許容数を超えた場合にはアラームを発生することが記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
製品の歩留り低下を回避するためには装置の異常を高感度に感知することが重要である。例えば装置異常に対する検知感度が低く、ある装置にて発塵が生じたままで製造を継続してしまうと、不良となる製品を大量に作り込んでしまうことになる。そのため、検査装置から得られる欠陥のウェハマップを監視し、装置異常によって起こり得る分布の偏りを監視するのは有効な方法と考えられる。
【0011】
しかし、従来技術ではウェハマップより装置異常を自動的に感知する方法に関する記載はされていない。人手によって行う場合、基準が曖昧となるため、信頼性、再現性に問題がある。また、大量のウェハマップを常に監視することは困難である。
【0012】
本発明の目的は、上記課題を解決し、製造装置の異常を自動的に早期に感知し、警告を発することによって不良作り込みを防止する手段を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、
基板を順次処理して薄膜デバイスを形成する薄膜デバイスの製造工程において欠陥の発生の状態を監視する方法であって、薄膜デバイスの製造工程のうちの所定の処理工程で処理された薄膜デバイスを検査して該所定の処理工程で処理したことにより発生した前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報を得、該欠陥の分布の情報から前記薄膜デバイス上の着目領域を決め、前記薄膜デバイスの前記所定の処理工程で順次処理された薄膜デバイスを検査して前記所定の処理工程で処理したことにより前記着目領域内に発生した欠陥の数の時間的推移を監視し、 前記着目領域内に発生した欠陥の数が所定の量を超えたときには警報を発するようにした。
また、本発明では、基板を順次処理して薄膜デバイスを形成する薄膜デバイスの製造工程において欠陥の発生の状態を監視する方法であって、所定の処理工程で処理された薄膜デバイスを検査して得た欠陥の発生に関する情報を用いて着目領域を設定し、前記薄膜デバイスの製造工程の所定の処理工程で順次処理された薄膜デバイスを順次検査して欠陥を検出することにより前記所定の処理工程で前記着目領域内に発生した欠陥の数の時間的推移を監視し、前記着目領域内の欠陥の発生量が所定の量を超えたときには前記薄膜デバイスの製造工程の所定の処理工程において異常が発生したことを通報するようにした。
【0014】
また、本発明では、基板を順次処理して薄膜デバイスを形成する薄膜デバイスの製造工程において欠陥の発生の状態を監視する方法であって、薄膜デバイスの製造工程のうちの第1の処理工程で処理された薄膜デバイスを検査して前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報を得、前記薄膜デバイスを前記製造工程のうちの第2の処理工程で処理した後に再度検査して前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報を得、前記第1の処理工程で処理された薄膜デバイスを検査して得た前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報と前記第2の処理工程で処理された薄膜デバイスを検査して得た前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報とから前記第2の処理工程で処理することにより新たに発生した前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報を得、該第2の処理工程で処理することにより新たに発生した前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報から前記薄膜デバイス上の着目領域内を決め、前記第2の処理工程で順次処理された薄膜デバイスを検査して前記第2の処理工程で処理することにより前記着目領域内に発生した欠陥の数の時間的推移を監視し、前記着目領域内の欠陥の発生量が所定の量を超えたときには警報を発するようにした。
【0015】
更に、本発明では、基板を順次処理して薄膜デバイスを形成する薄膜デバイスの製造工程において欠陥検査装置で検出した欠陥のデータを用いて欠陥の発生状態を監視する装置を、前記欠陥検査装置で複数の薄膜デバイスを検査して得た欠陥のデータから前記薄膜デバイス面内で前記欠陥の密度が相対的に高い領域を特定する演算手段と、該演算手段で特定した領域の位置情報を記憶する記憶手段と、前記欠陥検査装置で薄膜デバイスを検査して得た欠陥のデータから前記記憶手段に記憶した前記演算手段で特定した領域における欠陥の密度を算出する密度算出手段と、該密度算出手段で算出した密度の値と予め定めたしきい値との大小を判定する判定手段と、該判定手段で前記算出した密度の値が前記予め設定したしきい値よりも大きいと判定したときに前記密度の値がしきい値を越えたことを発信する出力手段とを備えて構成した。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0017】
図1は本発明の装置構成の一例を示す図である。101は成膜装置や露光装置、エッチング装置などの製造装置、102は異物検査装置や外観検査装置などの検査装置、103は製造装置の製造条件やメンテナンス情報および検査情報を保管するデータベース、104は検査装置からの情報や製造装置からの情報を基に製造装置の不具合を検出するデータ解析エンジン、105はネットワークである。
【0018】
製造装置101において、同一の加工を行う製造装置が複数ある場合はその装置識別コード、加工に用いるチャンバが複数ある場合はチャンバ識別コード、および清掃日時や清掃内容といったメンテナンス情報はネットワーク105を介してデータベース103に送られる。また、検査装置102より得られる異物・欠陥検出数情報や欠陥サイズ等欠陥に付随して得られる情報、および異物・欠陥の検出欠陥マップの情報もネットワーク105を介してデータベース103に送られる。解析エンジン104では、該検査情報を処理することにより装置の清掃・調整等を促す警告を発信する。
【0019】
図2は本発明による欠陥データ解析方法の概念を示す図である。半導体デバイスの製造プロセスは、一つあるいは複数の工程、検査、の繰り返しにより構成される。ここで、例えばある工程群Bの後の検査における解析フローを示す。まず、検査装置により、刻々と変化する時系列のウェハマップを取得する。これは図1において、データベース103より取得されるものである。取得した時系列ウェハマップにおいて、まず第一に後述する領域特定手法により、欠陥の集中的な発生が予想される領域を限定する。第二に、限定された領域内の欠陥に関する特徴量、例えば密度を算出し、その推移を監視する。第三に、前記監視中の数値が、後述する基準値特定手法により定められた基準値を超えているか否かを判定し、越えた場合に警告を発信する。
【0020】
警告は製造装置を管理するスタッフに伝えられ、スタッフは工程群Bに対する対策を実施する。このとき、図中点線で示した、従来多く用いられていたウェハ全体、あるいは検査領域全体を数値算出の対象とする方法では時間t4において装置の異常が判明するのに対し、本方法では、より早期の時間t3において異常を感知することができる。
【0021】
このように、異物・欠陥マップの局所的な時系列粗密変動を監視することにより装置異常を兆候の段階でとらえることが可能となり、装置異常に伴う不良品の作り込みを未然に防ぐことができる。
【0022】
次に、注目領域特定方法の詳細について説明する。
【0023】
図3は注目領域の特定方法の一実施例を示した流れ図である。図2の検査にて得られたウェハマップは、工程群Aで処理することにより発生した欠陥を含んでいる可能性がある。そこで、STEP301においてまず工程群Bを経た後の検査により得られた欠陥の位置データより、工程群Aを経た後の検査により得られた欠陥の位置データ近傍にある欠陥の位置データを削除する。近傍か否かの判定は、検査装置の異物・欠陥座標算出精度やウェハのアライメント精度より計算により求めてもよく、ユーザにより任意に設定してもよい。このようにすることで、工程群Bで処理することにより発生した欠陥のみを処理対象とすることができる。
【0024】
次にSTEP302において、ある異物・欠陥点を基準として、最も近い距離にある異物・欠陥点を探索し、その距離Rを算出する。STEP303において予め定めたしきい値とSTEP302にて求めたRを比較し、距離Rがしきい値より小さければSTEP304にて基準の欠陥・座標点を中心とした半径Rの円領域を注目領域として登録する。
STEP305にて、まだ基準点としていない異物・欠陥点があるか判定をし、ある場合はSTEP306にて基準点を変更しSTEP302から同様の手順をたどる。STEP303にて距離Rがしきい値以上であればSTEP304を行わずSTEP305を実施する。STEP305にて、全ての欠陥点を基準とした演算が終了しているならば、STEP307に進む。
【0025】
STEP307では、STEP304にて登録した注目領域群において領域が重なり合うか否かを判定し、重なり合う注目領域については同一の領域として統合する。STEP307にて前記統合された領域の面積を、予め設定されたしきい値と比較し、しきい値以下であればSTEP309にて注目領域とはせず、しきい値以上であればSTEP310にて注目領域として確定する。
【0026】
この手法により、異物・欠陥点間の距離が近い領域、すなわち、密度の高い領域を注目領域として特定することができる。注目領域は1つである必要はなく、複数存在しても構わない。
【0027】
また、注目領域を特定する手法は、精密工学会第6回知能メカトロニクスワークショップ―人間を支援するメカトロニクス技術―講演論文集「欠陥分布パターン識別手法の検討」pp.279−284 (平成13年8月)に開示されているパターン検出手法を用いてもよい。
【0028】
また、これらの手法以外でも、欠陥密度が高い局所領域を検出できる方法であればどのような方法でも構わない。
【0029】
次に、異常判定しきい値の設定方法の詳細について説明する。
【0030】
ある工程の通常レベルのウェハマップの密度変動が正規分布に則った変動をすると近似できる場合における一実施例を示す。ある時刻においてウェハマップに注目領域が設定されたとする。すると、データベース上に蓄積されている、該ウェハマップより以前に取得された同一検査工程に於けるウェハマップについて、該設定された注目領域内の欠陥密度を算出する。ここで算出された欠陥密度は、装置に異常がない状態における欠陥密度と考えることができる。次に、前記欠陥密度算出値について、予め定められた期間における平均値と標準偏差を算出する。この、得られた平均値および標準偏差は通常状態の平均欠陥密度および標準偏差を表すと考えることができる。そこで、下記(1)式で表される値を異常判定のしきい値として設定する。
【0031】
しきい値=平均欠陥密度+a×標準偏差 (1)
aはある定数
そして、注目領域の欠陥密度算出値が該しきい値を越えた場合、警告を出力するよう判定する。
【0032】
このように、通常状態の平均値、およびばらつき具合を考慮したしきい値を設定することで統計的に妥当性のある判定を行うことができる。例えばa=2としてしきい値を設定したとき、装置異常と判定されたときの確からしさは正規分布の性質から97.7%であるということができる。
【0033】
また、このとき、注目領域が設定された時間近辺のウェハは通常レベルよりも欠陥密度が高くなっている可能性を考慮して、図4に示すようにToffの時間オフセットを加え、該Toff以前のデータを通常レベル算出に用いても良い。また、通常レベルのウェハマップの密度変動が正規分布に則った変動しない、あるいは不明の時にはユーザによって任意の定数をしきい値としても良い。また、虚報を低減するために、予め定めた回数だけ連続してしきい値を越えたら警告を発するように判定しても良い。また、通常レベルの欠陥密度の計算を、注目領域のみに限定せずにウェハ全面や検査を実施した領域を対象にして計算してもよい。
【0034】
通常レベル算出に用いる期間の指定は、検査を実施した日付で行ってもよく、ウェハの枚数で行ってもよく、また、ロットの数で行ってもよい。また、時系列に得られる該密度データに対し、平滑化を行ったり、回帰曲線の当てはめ等を実施することで小さな周期で発生する変動を滑らかにした後、該変動の微分値を監視し、同様にして定めた基準値を越えたら警告を出すようにしてもよい。
【0035】
図5は、解析エンジンにおける処理手順を示したフローチャートの一例である。まず、STEP501においてデータベース103より時系列のウェハマップデータを取得する。次に、STEP502において、前述した前工程データ除去を行う。次に、STEP503にて、前述した欠陥局在性の評価を行う。次に、STEP504にて、注目領域の継続、更新を行う。ここでは、STEP503の結果を受けて新規に注目領域を設定する。また、注目領域としていた領域が、例えば予め定めた枚数の複数ウェハ連続で注目領域と判定する基準に満たなくなった場合に注目領域から除外する。また、従来の注目領域を含んだ領域に注目領域が設定された場合は、その論理積により定まる領域を新規注目領域としてもよい。
【0036】
次に、STEP505にて前記注目領域の欠陥密度を算出する。STEP506において注目領域が更新されたか否かの判定を行い、更新されたと判定された場合はSTEP509にて前述した通常密度レベルを推定し、警告しきい値を設定する。次に、STEP507にて既設定の警告しきい値との大小を判定する。警告しきい値未満であればSTEP501からループを繰り返す。警告しきい値以上であればSTEP508にて警告を発信する。
【0037】
ここで、STEP503以降のステップにて実施される演算は、ウェハ1枚のデータを用いることに限定する必要はない。例えば同一ロット内の全ウェハ、あるいは任意の複数ウェハを重ね合わせて作成したウェハマップデータを用いてもよい。また、複数ロットの全ウェハ、あるいは任意の複数枚を重ね合わせて作成したウェハマップデータを用いてもよい。この場合、重ね合わせに用いたウェハの同一の領域に欠陥が発生する傾向があれば、その傾向をより顕在化することができる。
【0038】
またここで、STEP503以降のステップにて実施される演算は、例えばウェハのロット内での位置や加工装置の号機といったウェハの履歴ごとに分別して行ってもよい。例えば、ロット内のウェハ番号ごとに演算を実施してもよい。また、ある工程にて同一の加工を施す製造装置が複数ある場合は、データベース103に集められる装置の着工情報を参照し、着工された製造装置ごとに演算を実施してもよい。また、ある工程にて使用される製造装置が複数のチャンバを持つ場合は、前記情報を参照し、チャンバごとに演算を実施してもよい。この場合、特定の装置あるいはチャンバに異常があった場合に、他の正常な装置あるいはチャンバの影響を排除できるため、該装置あるいはチャンバの異常を高感度に感知できる。また、異常の発生した装置あるいはチャンバを容易に絞り込むことができる。
【0039】
またここで、STEP503以降のステップにて実施される演算は、欠陥に付与される属性ごとに分別して行ってもよい。ここでいう属性とは、検査装置あるいは他の装置にて、欠陥個々に付与される欠陥のサイズや分類カテゴリ等のことを指す。例えば、あるサイズ以上の欠陥のみを演算の対象としてSTEP503以降を実施してもよい。これは、上記設定したサイズ未満の欠陥が歩留りに大きな影響を与えないことがわかっている場合には、上記設定したサイズ未満の欠陥が主因で発信される警告を排除することができ、有効である。
【0040】
また、ある特定のカテゴリのみを演算の対象としてSTEP503以降を実施してもよい。これは、上記設定したカテゴリ以外の欠陥が歩留りに大きな影響を与えないことがわかっている場合には、上記設定したカテゴリ以外の欠陥が主因で発信される警告を排除することができ、有効である。加えて、分類カテゴリと発生要因の関係が既知の場合は、警告発生時の多発カテゴリを参照することにより対策を迅速に行うことが可能となる。
【0041】
また、前記述べた複数の実施例を組み合わせて演算を行ってもよい。
【0042】
解析エンジンに関わるGUIについて、監視条件の入力画面の一実施例を図6に示す。ユーザは監視条件を設定するときに画面601を呼び出す。画面601は定常レベル算出条件を設定するエリア602と、注目領域を算出する条件を設定するエリア603と、監視レベルを設定するエリア604に分かれている。通常レベル算出条件設定エリア603には、通常レベルの算出を指定されたロット番号の範囲、あるいは指定された期間のロットから固定値として算出する固定モードと、注目領域が設定された時点で過去のウェハマップから通常レベルを算出する動的モードのどちらかが選択でき、それぞれ605,606のエリアにおいて詳細条件を入力することができる。
【0043】
エリア605ではロット番号の範囲と計算に用いる期間の指定ができる。また、エリア606では図4において説明したオフセットと計算対象期間を入力できる。加算オプションはエリア607にてロット間の加算およびロット内加算を実施するか否かを指定できる。ロット間の項目では何ロットを加算するか、またロット内の項目ではどのウェハ番号のウェハを加算するかを指定できる。分別オプションはエリア608にて指定できる。加算オプションの指定内容をうけ、矛盾が生じないように選択できる項目が変化する。例えば加算オプションにてロット内を選択したとき、チャンバごとの分別は不可能になるため、分別オプションのチャンバは選択できないようにする。
【0044】
注目領域算出条件の詳細はエリア603にて設定できる。同一領域と判定するための隣接する欠陥点間の距離しきい値や、注目領域として採用する最小面積を指定できる。
【0045】
警告を発するしきい値である監視レベルの設定はエリア604にて行う。エリア604では前述した(1)式におけるaの値を入力することができる。また、aの値ではなく、統計理論より換算した別指標、例えば算出された平均、標準偏差により定義される正規分布の全面積に対する、平均±aσに含まれる面積割合を入力値としてもよい。あるいは大中小など独自の指標を設けて入力してもよい。ここに示した全てのデータをユーザに入力させなくてもよく、いくつかはあらかじめ妥当な値を与えることでユーザに入力させないようにしてもよい。入力されたウェハマップデータは前記通常レベル算出条件に準じた条件にてマップの加算処理や注目領域算出に用いる欠陥座標点のフィルタリングが行われ、注目領域の計算が行われる。
【0046】
出力の画面の一実施例を図7に示す。ユーザはウェハマップの密度変動を確認する場合に画面701を呼び出す。画面701は、検査装置、加算条件、分別条件などを表示するエリア702とウェハマップと注目領域を示すエリア703と、注目領域の欠陥密度推移を示すエリア704から構成される。エリア702では分別条件として選択した項目について、分別した項目ごとに表示条件を選択することが出来る。例えば、カテゴリの部分に「はがれ状」とあるが、これはウェハマップ上の欠陥の中で「はがれ状」と分類された点のみが表示されている。ここで、プルダウンメニューには他のカテゴリ名が登録されており、メニューより他のカテゴリを選択すると選択されたカテゴリに関するウェハマップ、注目領域、密度推移データが表示される。
【0047】
エリア703では、欠陥のウェハマップにおいて相対的に密度が高い領域を注目領域としてウェハマップと重ねて表示する。注目領域は線で囲んでもよく、また、色を変えて表示してもよく、他の領域と区別できればよい。また、注目領域が複数存在する場合は、それぞれが区別できるよう表示する。
【0048】
エリア704では、エリア703で表示されている注目領域ごとの欠陥密度推移が日付順にグラフに表示される。同時に、各注目領域ごとに通常状態として算出された平均密度、および前記601画面により設定された条件に従って算出された警告基準値が表示される。ここで、グラフの折れ線上を指定するとその時刻に取得されたウェハマップをエリア703に表示するようにしてもよい。また、エリア703の一部を指定することによってウェハマップの一覧をポップアップされた別ウィンドウに表示するようにしてもよい。また、エリア704のグラフに、加工装置のメンテナンス情報、例えば清掃時期や部品の交換時期を重ねて表示するようにしてもよい。
【0049】
注目領域の欠陥密度が基準値を超えた場合は、図示しないメールシステム等でスタッフに対して警告を発信する。その際、製品名、検査工程名、欠陥密度、異常発生日時、および、エリア702に示した検査装置、加算条件、分別条件などをメールと併せて送付してもよい。また、同時に、レビュー点を指定する出力を行ってもよい。例えば、異常と判定された注目領域に含まれる欠陥座標のうち、ランダムに予め与えられた個数の欠陥ID番号を抽出し、データベース103にデータを送る。
【0050】
ユーザは欠陥をレビューするためにデータベース103からレビュー対象ウェハの欠陥座標をダウンロードする際、前記欠陥ID番号を併せてダウンロードし、指定された欠陥ID番号の座標をレビューすることで問題となっている欠陥を効率的にレビューできる。これは、ウェハマップを複数重ね合わせた時に分布の偏りが顕在化する場合、一枚のウェハマップからは問題となる欠陥の位置が判断しにくいため、有効である。
【0051】
装置構成の一実施例を図8に示す。101は半導体ウェハに対して様々な加工を行う製造装置、例えばCVDスパッタ装置といった加工装置である。102は異物・欠陥を検査する検査装置、例えば日立製作所製IS−2600のような異物検査装置である。107はウェハ表面の状態を詳細に観察できるレビュー装置、例えば日立製作所製レビューSEM、RS−3000のような電子顕微鏡である。108はウェハ表面の所定の領域の組成を分析する装置、例えばEDX(Energy Dispersive X−ray Spectrometer)を搭載した成分分析装置である。
【0052】
105はネットワークである。106はデータ処理機能を有したデータサーバであり、データベース部103と解析エンジン部104から構成される。データベース部103には、ネットワーク105に接続されている各装置から得られる情報、例えば、製造装置101からは装置識別コード、清掃時期、部品交換時期、着工した半導体ウェハのロットやウェハ番号に付随して着工チャンバコード、検査装置102からはウェハごとの欠陥個数や位置、あるいは大きさ、分類コードといった検査情報、レビュー装置からは欠陥の外観画像、分類コード、組成分析装置からは分析対象とした欠陥ID、分析結果コードなどが蓄積される。解析エンジン部104は、データベース部103に蓄えられた情報を用いてこれまで説明した手法を用いたデータ解析を行い、製造装置の状態を監視する。装置に異常があると判定された場合には図示しないメールシステム等によりスタッフに警告が発信される。
【0053】
装置構成の別の実施例を図9に示す。ネットワーク105に接続されている製造装置101、検査装置102、レビュー装置107、組成分析装置108の構成は前記実施例と同一である。データベース103と解析エンジン104は独立しており、共にネットワーク105に接続されている。各装置101、102、107、108から得られる前記実施例にて示した情報はデータベース103に蓄積される。解析エンジン104はネットワーク105を介してデータベース103より情報を取得し、これまで説明した手法を用いたデータ解析を行い、製造装置の状態を監視する。装置に異常があると判定された場合には図示しないメールシステム等によりスタッフに警告が発信される。ここで、図8,図9に示した実施例において、各装置101、102、107、108は必ずしも全て接続されていなくてもよく、少なくとも検査装置102が接続されていればよい。
【0054】
また、装置構成の別の実施例を図10に示す。装置情報やメンテナンス情報および検査情報が蓄積されるデータベース103に加え、過去事例を蓄積するデータベース109が構成要素となる。データベース109には、例えば警告発生時のウェハマップおよびレビューによる欠陥詳細情報、図示しない入力端末により入力された対策方法に関する資料が蓄積される。解析エンジン104にて異常が感知されると、異常発生時のウェハマップと過去事例データベース109に登録されているウェハマップとの類似度を比較し、似ていると判定された事例について対策方法に関する資料とともに画面に表示される。類似度評価は、例えば異常が感知されたウェハマップにおける注目領域と過去事例データベースに蓄積されているウェハマップにおける注目領域の重複する面積と重複しない面積の比を算出することで行うことができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、検査により発見された欠陥の分布から装置異常を計算機による数値演算により感知できるため、人手により分布の異常を判定する方法に比べ安定した検出が可能となる。
【0056】
また、本発明によれば、検査により発見された欠陥の分布において、密度の高い領域に限定して密度変化を監視するため、欠陥個数により演算される指標値に比べ装置異常感知の高感度化を図ることができ、装置異常感知が迅速化することにより装置異常起因の不良作り込みを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の欠陥データ解析方法の概念を示す図である。
【図3】本発明の注目領域の特定方法の一実施例を示した流れ図である。
【図4】本発明の検査データの通常レベル算出方法の一例を示す図である。
【図5】本発明の解析エンジンにおける処理手順の一実施例を示したフローチャートである。
【図6】本発明の監視条件の入力画面の一実施例を示す図である。
【図7】本発明の監視状態の出力画面の一実施例を示す図である。
【図8】本発明の解析エンジンを含んだ装置構成の一実施例を示す図である。
【図9】本発明の解析エンジンを含んだ装置構成の一実施例を示す図である。
【図10】本発明の解析エンジンを含んだ装置構成の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
101…製造装置  102…検査装置  103…データベース  104…解析エンジン
105…ネットワーク  106…データ処理機能を有したデータサーバ
107…レビュー装置  108…組成分析装置  109…過去事例データベース
601…監視条件設定画面  602…通常レベル算出条件設定エリア
603…注目領域算出条件設定エリア  604…監視レベル設定エリア
605…通常レベル算出条件固定オプション選択時詳細設定エリア
606…通常レベル算出条件動的オプション選択時詳細設定エリア
607…通常レベル算出条件加算オプション詳細設定エリア
608…通常レベル算出条件分別オプション詳細設定エリア
701…監視状態出力画面  702…監視条件表示エリア
703…マップ・注目領域表示エリア  704…欠陥密度推移データ表示エリア

Claims (10)

  1. 基板を順次処理して薄膜デバイスを形成する薄膜デバイスの製造工程において欠陥の発生の状態を監視する方法であって、
    薄膜デバイスの製造工程のうちの所定の処理工程で処理された薄膜デバイスを検査して該所定の処理工程で処理したことにより発生した前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報を得、
    該欠陥の分布の情報から前記薄膜デバイス上の着目領域を決め、
    前記薄膜デバイスの前記所定の処理工程で順次処理された薄膜デバイスを検査して前記所定の処理工程で処理したことにより前記着目領域内に発生した欠陥の数あるいは密度の時間的推移を監視し、
    前記着目領域内に発生した欠陥の数が所定の量を超えたときには警報を発することを特徴とする欠陥発生状態の監視方法。
  2. 基板を順次処理して薄膜デバイスを形成する薄膜デバイスの製造工程において欠陥の発生の状態を監視する方法であって、
    所定の処理工程で処理された薄膜デバイスを検査して得た欠陥の発生に関する情報を用いて着目領域を設定し、
    前記薄膜デバイスの製造工程の所定の処理工程で順次処理された薄膜デバイスを順次検査して欠陥を検出することにより前記所定の処理工程で前記着目領域内に発生した欠陥の数の時間的推移を監視し、
    前記着目領域内の欠陥の発生量が所定の量を超えたときには前記薄膜デバイスの製造工程の所定の処理工程において異常が発生したことを通報する
    ことを特徴とする欠陥発生状態の監視方法。
  3. 基板を順次処理して薄膜デバイスを形成する薄膜デバイスの製造工程において欠陥の発生の状態を監視する方法であって、
    薄膜デバイスの製造工程のうちの第1の処理工程で処理された薄膜デバイスを検査して前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報を得、
    前記薄膜デバイスを前記製造工程のうちの第2の処理工程で処理した後に再度検査して前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報を得、
    前記第1の処理工程で処理された薄膜デバイスを検査して得た前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報と前記第2の処理工程で処理された薄膜デバイスを検査して得た前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報とから前記第2の処理工程で処理することにより新たに発生した前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報を得、該第2の処理工程で処理することにより新たに発生した前記薄膜デバイス上の欠陥の分布の情報から前記薄膜デバイス上の着目領域内を決め、
    前記第2の処理工程で順次処理された薄膜デバイスを検査して前記第2の処理工程で処理することにより前記着目領域内に発生した欠陥の数の時間的推移を監視し、
    前記着目領域内の欠陥の発生量が所定の量を超えたときには警報を発する
    ことを特徴とする欠陥発生状態の監視方法。
  4. 前記着目領域を、特定の特徴量を有する欠陥の分布に基いて決め、前記着目領域における前記欠陥の数の時間的推移を、前記特定の特徴量を有する欠陥について監視することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥発生状態の監視方法。
  5. 前記着目領域における欠陥の発生の時間的変化のデータを、画面上に表示することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥発生状態の監視方法。
  6. 前記着目領域内に発生した欠陥の数の時間的推移を監視したデータとして、発生した欠陥の密度の時間的推移と前記所定の工程又は前記第2の処理工程に該当する製造装置のメンテナンス情報を時間軸を同一にして画面上に同時に表示することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥発生状態の監視方法。
  7. 前記欠陥が、パターンの欠陥又は異物によるものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥発生状態の監視方法。
  8. 基板を順次処理して薄膜デバイスを形成する薄膜デバイスの製造工程において欠陥検査装置で検出した欠陥のデータを用いて欠陥の発生状態を監視する装置であって、
    前記欠陥検査装置で複数の薄膜デバイスを検査して得た欠陥のデータから前記薄膜デバイス面内で前記欠陥の密度が相対的に高い領域を特定する演算手段と、該演算手段で特定した領域の位置情報を記憶する記憶手段と、
    前記欠陥検査装置で薄膜デバイスを検査して得た欠陥のデータから前記記憶手段に記憶した前記演算手段で特定した領域における欠陥の密度を算出する密度算出手段と、
    該密度算出手段で算出した密度の値と予め定めたしきい値との大小を判定する判定手段と、
    該判定手段で前記算出した密度の値が前記予め設定したしきい値よりも大きいと判定したときに前記密度の値がしきい値を越えたことを発信する出力手段と、を備えたことを特徴とする欠陥発生状態の監視装置。
  9. 前記欠陥検査装置で検出した欠陥のデータが、パターンの欠陥又は異物によるものであることを特徴とする請求項8記載の欠陥発生状態の監視装置。
  10. 更に表示画面を備え、該表示手段は、前記着目領域における欠陥の発生の時間的変化のデータを、画面上に表示することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥発生状態の監視装置。
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