JP2004058894A - 車両操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】適正な操舵制御が行える車両操舵装置を提供すること。
【解決手段】操舵力伝達系に伝達比可変機構を備え、その入力軸と出力軸の相対的な回転を制限するロック機構50とを備えた車両操舵装置であって、ロック機構50のロックホルダ51の凹部51aにロックアーム52を挿入することによりロック状態とする。このロック状態において、ロックアーム52が凹部51aに挿入された際の遊び角度θ1が六つの異なる検出信号を出力する際のモータの回転角度θ2より小さく設定されることにより、ロック時にロックアーム52と凹部51aとの間の遊びによってモータ30が回転しても異なる回転位置で同一の検出信号が回転センサ21から出力されることが防止され、モータの回転位置を確実に検出でき、適正な操舵制御が可能となる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロック機構を備えた車両操舵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ロック機構を備えた車両用の操舵装置としては、例えば特開2001−48032号公報に記載されるように、ハンドルに結合されるステアリングシャフトの途中に伝達比可変機構を設けてハンドル操舵量に対する車輪の転舵量を可変とし、その伝達比可変機構の入力軸と出力軸の相対的な回転を制限するロック機構を備えたものが知られている。このロック機構は、伝達比可変機構に内蔵されるモータのロータ側に設けられるロックホルダと、モータのステータ側に設けられるロックアームとを備えており、ロックホルダの周面に形成された凹部にロックアームを嵌合させることにより、ロックを行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この装置において、ロックホルダの凹部の開口幅が狭いと、ロックできない場合がある。例えば、モータの回転時にロックしようとする場合など、ロックアームの係合位置に凹部が来ていないと、うまくロックがかからない。
【0004】
このような不具合を解消するため、凹部の開口幅を広く形成することが考えられる。ところが、ロックホルダの凹部を広くすると、ロック状態となったときのロックホルダとロックアームとの間に遊びが大きくなるため、ロックホルダとロックアームとの位置関係を正確に検出することができず、操舵制御が適切に行えないこととなる。例えば、車両停止時にロック状態とし、その後ロック解除して車両始動するときに、ロックホルダとロックアームの間の遊びに起因して車両停止時と車両始動時のモータの回転位置がズレてしまうと、モータの回転位置を特定できないおそれがあり、適正な操舵制御が困難となる。
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、適正な操舵制御が行える車両操舵装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る車両操舵装置は、ハンドル側に連結される入力軸と転舵輪側に連結される出力軸とを有し、モータの回転駆動により入力軸−出力軸間の伝達比を変化させる伝達比可変手段と、モータの回転に伴って所定数の異なる検出信号を繰り返して出力し、モータの回転軸の回転位置を検出する回転検出手段と、モータの回転軸とともに回転するロックホルダの外周部に複数の凹部を形成し、モータのステータ側に取り付けた係合部材を凹部に挿入して入力軸と出力軸の相対的な回転を制限するロック機構とを備え、係合部材が凹部に挿入された際の係合部材と凹部との遊び角度が、所定数の異なる検出信号の全てが出力される際のモータの回転角度より小さいことを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、ロック機構にて係合部材が凹部に挿入されてロック状態となったときの遊び角度が所定数の異なる検出信号を全て出力する際のモータの回転角度より小さいため、ロック時に係合部材と凹部との間の遊びによってモータが回転しても異なる回転位置で同一の検出信号が回転検出手段から出力されることを防止できる。従って、回転検出手段の出力に基づいてモータの回転位置を検出でき、適正な操舵制御が可能となる。
【0007】
また本発明に係る車両操舵装置において、前述の遊び角度は、所定数から一つ減じた数の異なる検出信号が出力される際のモータの回転角度より小さいことが望ましい。
【0008】
この場合、遊び角度が所定数から一つ減じた数の異なる検出信号が出力される際のモータの回転角度より小さいことにより、モータの回転軸に対しロックホルダを任意に組み付けても、ロック時において異なるモータの回転位置にて同一の検出信号が回転検出手段から出力されることを防止できる。従って、ロックホルダの組み付け作業が容易となり、製造性の向上が図れる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
図1は第一実施形態に係る車両操舵装置の構成概要図である。
【0011】
本図に示すように、車両操舵装置1には、ハンドル2の操舵力を転舵輪3に伝達させる操舵伝達系に伝達比可変機構4が設けられている。伝達比可変機構4は、ハンドル2の操舵角と転舵輪3の転舵角の伝達比を可変とするものである。伝達比可変機構4の入力軸5は、ハンドル2に接続されている。また、伝達比可変機構4の出力軸6は、ラックアンドピニオンなどで構成されるギヤ装置7を介して転舵輪3、3に接続されている。ギヤ装置7は、出力軸6の回転入力によりタイロッド8を移動させて転舵輪3、3を転舵させる。
【0012】
入力軸5には、操舵角センサ10が設けられている。操舵角センサ10は、入力軸5の回転状態に基づいて、ハンドル2の操舵角度を検出する操舵角検出手段として機能する。
【0013】
伝達比可変機構4には、モータ30、減速機40及びロック機構50が収容されている。モータ30は、操舵制御器20の駆動制御信号を受けて駆動する電動機である。モータ30のステータ31は、伝達比可変機構4のハウジング4aに取り付けられている。モータ30のロータ32は、減速機40を介して出力軸6に接続されている。減速機40は、モータ30の回転出力を減速して出力する減速手段である。減速機40の出力とハウジング4aを介して伝達される操舵力とが出力軸6に出力される。減速機40としては、例えば遊星歯車機構が用いられる。
【0014】
また、伝達比可変機構4には、回転センサ21が設けられている。回転センサ21は、モータ30の回転軸33の回転位置を検出する回転検出手段として機能する。
【0015】
操舵角センサ10及び回転センサ21の検出信号は、操舵制御器20に入力される。操舵制御器20は、車両操舵装置1の装置全体の制御を行うものであり、例えばCPU、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成される。また、操舵制御器20には、車両に設置される車速センサ22の検出信号が入力される。操舵制御器20は、操舵角センサ10、車速センサ22などの検出信号に基づいて伝達比可変機構4に駆動信号を出力して伝達比を調整し操舵制御を行う。
【0016】
図2にロック機構50の断面図を示す。
【0017】
本図に示すように、ロック機構50は、伝達比可変機構4の入力軸5と出力軸6の相対的な回転を制限するものであり、ロックホルダ51とロックアーム52を備えている。ロックホルダ51は、モータ30のロータ32側に取り付けられている。
【0018】
例えば、ロックホルダ51は、モータ30の回転軸33に取り付けられ、ロータ32の回転に伴って回転する。回転軸33に対するロックホルダ51の取り付けは、完全に固定でなく、所定以上のトルクが作用したときに回転軸33に対するロックホルダ51の回転を許容するように行うことが望ましい。この場合、取付部分をトルクリミッタとして機能させることができ、ロック機構50のロック時に所定以上のトルクが作用してもロックホルダ51、ロックアーム52などの構成部品が破損することを防止できる。
【0019】
ロックホルダ51の外周には、その周方向に沿って複数の凹部51aが形成されている。凹部51aは、ロックホルダ51の外周に等間隔おいて形成することが望ましい。凹部51aとしては、例えば四つ形成される。凹部51aと凹部51aとの間は、外周から突出した状態となり、突起部51bが形成されている。
【0020】
ロックアーム52は、ロックホルダ51に対し接近及び離間可能に構成され、その接近の動作によりロックホルダ51の凹部51aに係合可能とした係合部材である。ロックアーム52は、モータ30のステータ31側に取り付けられ、例えばステータ31が取り付けられるハウジング4aに取り付けられている。
【0021】
ロックアーム52の先端には、鉤状の掛止部52aが形成されている。ロックアーム52の中間位置にはピン52bが設けられ、このピン52bを中心にロックアーム52が回動可能となっている。また、ロックアーム52の基端位置には、ソレノイド52cが取り付けられている。ソレノイド52cの作動によりロックアーム52の基端位置が移動してロックアーム52が回動する。これにより、掛止部52aが凹部51aに挿入され、ロックアーム52とロックホルダ51が係合し、ロック状態となる。
【0022】
図3に回転センサ21の構成概要図を示す。
【0023】
本図に示すように、回転センサ21は、モータ30の回転軸33と一体に回転するロータ部25と、そのロータ部25の周囲に配される検出部26とを備えて構成されている。ロータ部25は、リング状を呈し、回転軸33に外装され回転軸33と一体に回転するように設置されている。ロータ部25には、周方向に沿って複数のマグネット25aが配設され、例えば八つのマグネット25aが配設される。回転センサ21のロータ部25とロック機構50のロックホルダ51は回転軸33を介して一体的に回転し、通常状態では相対回転を生じることはない。
【0024】
マグネット25aは、ロータ部25が回転した際に、検出部26に向けて交互に異なる磁界を形成するように設けられ、例えば異なる方向の磁界が形成されるように設けられている。このため、回転軸33と共にロータ部25が回転することにより、検出部26周囲の磁界が変化する。その際、八つのマグネット25aによりロータ部25を構成する場合、回転角90度で一周期として磁界が変化する。
【0025】
検出部26は、磁界変化に基づいて回転軸33の回転位置を検出するものであり、例えば三つの磁気センサ26a〜26cを備えている。磁気センサ26a〜26cは、ロータ部25の周方向に沿って配列され、それぞれ操舵制御器20(図1参照)に接続されている。磁気センサ26a〜26cは、一つのマグネット25aの外周部を三等分するような間隔で配置されている。
【0026】
このため、ロータ部25がマグネット25aの幅の3分の1だけ回転すると、検出部26の出力が変化する。従って、回転軸33が15度(360/(8・3)度)回転する毎に検出部26の出力が変化し、回転センサ21によって回転軸33の回転角(回転位置)を15度の分解能で検出することが可能となる。
【0027】
図4に回転センサ21の検出信号を具体的に示す。
【0028】
本図に示すように、回転センサ21は、モータ30の回転に伴って所定数、例えば六つの異なる出力パターンで検出信号を順次繰り返して出力する。図3において、磁気センサ26a〜26cの位置にロータ部25の同一マグネット25aが位置するときに、磁気センサ26a〜26cの出力は同一出力となり、例えば全てH(ハイ)となる(図4の出力パターン1)。そして、モータ30の回転によりロータ部25が回転すると、センサ26aの近傍に隣りのマグネット25aが移動してくるため、センサ26aの出力のみL(ロー)となる(出力パターン2)。更に、ロータ部25が回転すると、センサ26b、センサ26cの出力も順次Lとなる(出力パターン3)。
【0029】
そして、ロータ部25の回転により、磁気センサ26a〜26cの出力が変化し、検出部26の出力パターンは、図4の出力パターン5,6のようになる。そして、更にロータ部25が回転すると、検出部26の出力パターンは、出力パターン1に戻り、順次出力パターン2、3、…と変化する。
【0030】
この出力パターン1〜6の変化周期は、ロータ部25のマグネット25aの設置状態に依存する。図3のように、ロータ部25のS極とN極の二つのマグネット25a、25aを90度の範囲で配設する場合には、検出部26の出力パターン変化はロータ部25の90度の回転で一周期となる。
【0031】
次にロック機構50の取り付けについて説明する。
【0032】
ロック機構50は、図2に示すように、ロックアーム52がロックホルダ51に挿入された状態で組み付けられる。組み付け後、初期化を行い、ロックアーム52が突起部51b−1、51b−2、51b−3、51b−4のうち、どの突起部51b間に位置しているか、又は四カ所にある凹部51aのどの凹部51aにあるかを操舵制御器20に記憶する。
【0033】
初期化後は、制御中に回転センサ21によってモータ30の回転位置は常にモニターされ、例えば時計回りにどれだけ回ったか、反時計回りにどれだけ回ったかを記憶しておく。これにより、ロックアーム52が凹部51aに入ったとき、ロックアーム52が突起部51b−1、51b−2、51b−3、51b−4の何れの間に位置しているか検出できる。
【0034】
制御開始時ではロックアーム52が突起部51b−1、51b−2、51b−3、51b−4のうちどの間に位置した状態から制御を行ったかが分かり、制御終了時にはセンサ信号に基づいてロックアーム52がどの突起部間に位置しているか分かるため、再び制御を開始した時点のモータ30の回転位置が明確になる。これにより、操舵機構の制御連続性、精度を高く保つことができる。
【0035】
例えば図5において、制御終了時点でロックアーム52が突起部51b−1、51b−2の間に位置しセンサ検出位置が「3」であり、制御開始時点ではセンサ検出位置が「5」であった場合、ロックアーム52が突起部51b−1、51b−2を越えて移動することはないので、突起部51b−1、51b−2の間で「5」であると判断して制御を開始することとなる。
【0036】
制御終了時点は、ロックアーム52が凹部51aから外れた状態から凹部51aまで移動する時間を予め調べておくことにより、突起部51bの通過後どの時点でロックアーム52を凹部51aに移動させればいいかが分かる。制御によりロックアーム52が突起部51b−1、51b−2、51b−3、51b−4のうちどの間に入って制御終了したかが明確に分かる。例えば、モータ30が時計回りに回転している場合、突起部51b−2を通過して所定時間の経過後又は突起部51b−2を通過してセンサ検出位置が「5」、「4」、「3」となったときに、ロックアーム52を移動させると、ロックアーム52が突起部51b−1、51b−2の間に入っていることが分かる。
【0037】
図5はロック機構50の拡大図である。
【0038】
本図に示すように、ロックホルダ51の凹部51aの周方向の開口幅は、突起部51bの幅より大きく形成されている。望ましくは、凹部51aの開口幅は、突起部51bの幅の2倍以上の幅で形成される。そして、凹部51aの開口幅は、ロックアーム52の掛止部52aの幅より大きく形成されている。これにより、ロックアーム52の掛止部52aが凹部51aに嵌り込みやすく、ハンドル操作中などにロックする場合でも、ロックアーム52とロックホルダ51を確実に係合させてロックすることができる。
【0039】
また、ロックアーム52が凹部51aに挿入された際のロックアーム52と凹部51aとの遊び角度θ1は、六つの異なる出力パターン1〜6として検出信号が出力されるモータ30の回転角度θ2より小さく設定されている。図5中のロックホルダ51の外周位置に記載される符号1〜6は、回転センサ21の出力パターンであり、例えばロックアーム52の掛止部52aの係合位置に対応する出力パターンが回転センサ21から出力されるように構成される。
【0040】
ロックアーム52と凹部51aとの遊び角度θ1は、突起部51bの厚みと掛止部52aの厚みの分だけ突起部51b、51bの形成角度である90度より小さい角度となっている。図5では、遊び角度θ1は70度程度であり、モータ30の回転角度θ2は90度である。すなわち、遊び角度θ1は、モータ30の回転角度θ2より小さく設定されている。
【0041】
このように、遊び角度θ1を設定することにより、ロック機構50のロック時において、ロックアーム52と凹部51aとの間の遊びによってモータ30が回転移動しても異なる回転位置で同一の検出信号が回転センサ21から出力されることを防止できる。
【0042】
例えば、ロックアーム52と凹部51aとの間に遊びがあるために、モータ30の回転移動が許容され、モータ30の回転位置が変化する。その後、車両始動する場合など回転センサ21の出力が変化することになるが、モータ30が回転しても異なる回転位置で同一の検出信号が回転センサ21から出力されることが防止できるので、回転センサ21の出力に基づいてモータ30の回転位置を特定することができる。従って、車両始動時などでも制御の連続性が保たれ、適正な操舵制御が可能となる。
【0043】
また、遊び角度θ1は、六つの出力パターンから一つ減じた五つの出力パターンの異なる検出信号が出力される際のモータ30の回転角度θ3より小さく設定することが望ましい。
【0044】
この場合、モータ30の回転軸33に対しロックホルダ51を任意の回転位置に組み付けても、ロック時において異なるモータ30の回転位置にて同一の検出信号が回転センサ21から出力されることを防止できる。例えば、回転軸33に対しロックホルダ51をどのような回転位置で組み付けたとしても、同一の凹部51a内にロックアーム52が挿入されているときには、そのロック時においてモータ30が回転しても異なる回転位置で同一の検出信号が出力されることはなく、回転センサ21の出力に基づいてモータ30の回転位置を確実に検出することができる。このように、任意の組み付け後に初期化を行い、ロックアーム52が突起部51b−1、51b−2、51b−3、51b−4のどの間に入っているかが分かれば、ロックホルダ51を任意の位置に取り付けることができるので、ロックホルダ51の組み付け作業が容易となる。
【0045】
遊び角度θ1が大きすぎる場合、ロックアーム52の挿入によるロックの確実性が向上するが、同一の凹部51aの範囲の中で異なる位置で同一の検出信号が出力される。このようになると、モータ30の回転位置が正確に分からないため、制御の連続性が確保できないという問題がある。一方、遊び角度θ1が小さすぎる場合、ロックアーム52によるロックの確実性が低下するが、モータ30の回転位置検出が正確になり、制御の連続性が確保できる。上記の方法では、ロックアーム52によるロックの確実性と、モータ位置検出の正確性という二つの条件を満たすことが可能になる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る車両操舵装置1によれば、ロック機構50にて係合部材であるロックアーム52が凹部51aに挿入されてロック状態となったときの遊び角度θ1を、所定数の異なる検出信号を出力する際のモータ30の回転角度θ2より小さくすることにより、ロック時にロックアーム52と凹部51aとの間の遊びによってモータ30が回転しても異なる回転位置で同一の検出信号が回転センサ21から出力されることを防止できる。従って、モータ30の回転位置を確実に検出でき、適正な操舵制御が可能となる。
【0047】
また、検出部出力パターンの並び方が図4に示すように特定されていることから、ロックアーム52の位置が突起部51b、51bの間のどこにあるかが判別可能となる。
【0048】
また、遊び角度θ1が所定数から一つ減じた数の異なる検出信号を出力する際のモータ30の回転角度θ3より小さくすることにより、モータ30の回転軸33に対しロックホルダ51を任意に組み付けても、ロック時において異なるモータ30の回転位置にて同一の検出信号が回転センサ21から出力されることを防止できる。従って、ロックホルダ51の組み付け作業が容易となり、装置の製造性の向上が図れる。
【0049】
本実施形態においては、異なる検出信号を出力する際のモータ30の回転角度θ2が90度となるが、このとき、ロックホルダ51の凹部51aの開口角度θ4が90度であるとすると、ロックホルダ51の位置を選択的に取り付ける必要がある。すなわち、図6に示すように、凹部51aの位置と検出部出力パターン1〜6の検出位置とを合わせた状態で、ロックホルダ51を取り付けなければならない。仮に、ロックホルダ51を任意に取り付けてしまうと、図7に示すように、凹部51aの両側の位置で同一の出力パターン「6」が検出されるおそれがある。このようなことが起きないようにするためには、凹部51aの開口角度θ4を一つの検出部出力パターン分の角度(90度/6)だけ減ずる必要がある。図8に示すように、凹部51aの開口角度θ4を75度とすることでロックホルダ51の任意取り付けが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態では、モータ30の回転に伴って六つの異なる検出信号を繰り返して出力する回転センサ21を備えた車両操舵装置について説明したが、六つ以外の所定数の異なる検出信号を繰り返して出力する回転センサを備えた車両操舵装置であってもよい。この場合、三つ以上の所定数の異なる検出信号を繰り返して出力する回転センサを備えることが望ましい。この場合には、遊び角度θ1を大きくとれるため、ロック動作の確実性を確保できる。
【0051】
また、本実施形態では、基本的にロック機構50のロックホルダ51と回転センサ21のロータ部25が一体的に回転するため、ロックアーム52が凹部51aに挿入されたときの位置は検出部出力パターンから正確に分かるが、何らかの影響でロック機構50のロックホルダ51と回転センサ21のロータ部25の位置がずれてしまうことが考えられる。この場合は、ロックアーム52と突起部51bの係合状態などを調べることで、又は検出部出力パターンの並びを調べることで、再度正確な位置検出が可能となる。図5の実施例では、検出部出力パターンが突起部51b、51b間で1、2、3、4、5、6となっているが、この順番が例えば、3、4、5、6、1、2となっていることを検出することで、再度正確な位置検出が可能である。
【0052】
また、本実施形態では、検出部出力パターンが90度で1周期となっているため、突起部51bは90度間隔で設けられている。検出部出力パターンが120度で1周期となっている場合は、突起部51bは120度間隔で設けられる。また、検出部出力パターンが180度で1周期となっている場合には、突起部51bが180度間隔で設けられる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、適正な操舵制御が行える車両操舵装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両操舵装置の構成図である。
【図2】図1の車両操舵装置におけるロック機構の説明図である。
【図3】図1の車両操舵装置における操舵角センサの説明図である。
【図4】図1の車両操舵装置における操舵角センサの説明図である。
【図5】図2のロック機構の拡大図である。
【図6】図1の車両操舵装置におけるロックホルダの凹部の開口角度の説明図である。
【図7】図1の車両操舵装置におけるロックホルダの凹部の開口角度の説明図である。
【図8】図1の車両操舵装置におけるロックホルダの凹部の開口角度の説明図である。
【符号の説明】
1…車両操舵装置、2…ハンドル、3…転舵輪、4…伝達比可変機構、5…入力軸、6…出力軸、10…操舵角センサ、20…操舵制御器、21…回転センサ、30…モータ、40…減速機、50…ロック機構、51…ロックホルダ、51a…凹部、51b…突起、52…ロックアーム、52a…掛止部。

Claims (2)

  1. ハンドル側に連結される入力軸と転舵輪側に連結される出力軸とを有し、モータの回転駆動により入力軸−出力軸間の伝達比を変化させる伝達比可変手段と、
    前記モータの回転に伴って所定数の異なる検出信号を繰り返して出力し、前記モータの回転軸の回転位置を検出する回転検出手段と、
    前記モータの回転軸とともに回転するロックホルダの外周部に複数の凹部を形成し、前記モータのステータ側に取り付けた係合部材を前記凹部に挿入して前記入力軸と前記出力軸の相対的な回転を制限するロック機構と、
    を備え、
    前記係合部材が前記凹部に挿入された際の前記係合部材と前記凹部との間の遊び角度が、前記所定数の異なる検出信号が全て出力される際の前記モータの回転角度より小さいこと、
    を特徴とする車両操舵装置。
  2. 前記遊び角度が、前記所定数から一つ減じた数の検出信号が全て出力される際の前記モータの回転角度より小さいこと、
    を特徴とする車両操舵装置。
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