JP4059028B2 - 回転角検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多回転軸の絶対回転角を検出する回転角検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
通例、回転角検出センサの測定範囲は1回転(360°)以内である。このような回転角検出センサを用いて、多回転型の回転軸の絶対回転角を検出する回転角検出装置が提供されている。
例えば、特開平11−500828号公報や特表2001−505667号公報に示される回転角検出装置がある。この回転角検出装置では、多回転体を取り囲む大径歯車に、相異なる歯数を持つ一対の小径歯車を噛み合わせ、各小径歯車の回転角を対応する回転角検出センサにより検出することで、小径歯車間の位相差に基づいて、絶対回転角を検出する。
【0003】
しかしながら、この回転角検出装置では、絶対回転角の検出が、多回転体の回転角に対して何れも加速される一対の小径歯車の回転角の偏差に基づくので、検出精度を高くするには、2個の回転角検出センサがともに高精度を要求される。
また、特開2000−9415号公報に示される回転角検出装置がある。この回転角検出装置では、多回転体の回転角を第1および第2の速比で加速する第1および第2のセンサによる検出角を組み合わせて、絶対回転角を得る。この場合にも、絶対回転角の検出が、多回転体の回転角を何れも加速する一対のセンサの検出角に基づくので、検出精度を高くするには、2個のセンサがともに高精度を要求される。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、検出精度の高い多回転型の回転角検出装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、回転可能な被測定軸の同軸上に配置される第1の歯車と、この第1の歯車に噛み合う第2の歯車と、この第2の歯車よりも小径であって第2の歯車の同軸上で第2の歯車に一体回転する小径の第3の歯車と、この第3の歯車よりも大径であって第3の歯車に噛み合う第4の歯車と、第2の歯車の回転角を検出するための第1の回転角検出手段と、第4の歯車の回転角を検出するための第2の回転角検出手段と、第1および第2の回転角検出手段によって検出された回転角に基づいて上記被測定軸の絶対回転角を演算する演算手段と、第1のケースと第2のケースとを組み合わせてなるケースとを備え、第3の歯車は、第2の歯車の一側面から突出するように形成され、第3の歯車から第2の歯車と共通の支軸が突出されており、第1のケースに形成された支持孔に、第2および第3の歯車の上記共通の支軸が回転自在に支持され、第1の歯車および第4の歯車が、第1のケースに形成された対応する支持孔に回転自在に支持され、第1および第2のケースに、相対向するボスが形成され、これらのボスの端面間に、位置決め部材が挟持され、各ボスの挿通孔および上記位置決め部材の挿通孔に、スリーブが挿通され、位置決め部材は環状の位置決め突起を有しており、この位置決め突起の端面からなる受け面によって、第2の歯車の他側面が受けられており、第2の歯車の他側面には、第2の歯車の回転軸線を中心とする環状突起が形成され、この環状突起が上記位置決め突起に回転自在に嵌められていることを特徴とする回転角検出装置を提供する。
【0006】
本発明では、被測定軸が多回転すると、第4の歯車は減速される。第1の回転角検出手段が、高精度ではあるが被測定軸の回転角に応じて周期的に反復する検出信号を出力する。この第1の回転角検出手段の検出信号がどの周期内での検出信号であるかを、第2の回転角検出手段により第4の歯車の回転角に基づいて検出し、被測定軸の絶対回転角を精度良く検出することができる。
特に、第2の歯車の同軸上の小径の第3の歯車に大径の第4の歯車を噛み合わせるので、第2および第4の歯車を軸方向からみて互いの一部が相重なるようにレイアウトでき、小型化を図ることができる。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1において、上記第2およびび第3の歯車が一体の部材からなることを特徴とするものである。本発明では、製造コストを安くすることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2において、上記第1および第2の回転角検出手段はそれぞれ相対向する固定部および可動部を備え、第1および第2の回転角検出手段の可動部は対応する歯車の同側に配置され、第1および第2の回転角検出手段の固定部は共通の基板に設けられることを特徴とするものである。本発明では、各回転角検出手段のための基板を共通化でき、製造コストを安くすることができる。
請求項4記載の発明は、請求項3において、上記第1および第2のケースのボスの端面間に、上記基板が挟持されていることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は本発明の一実施の形態の回転角検出装置の模式的平面図および模式的断面図である。図1および図2を参照して、本回転角検出装置100は、回転可能な被測定軸200の周囲に同軸上に配置され被測定軸200と一体回転する第1の歯車1と、この第1の歯車1に噛み合う第2の歯車2と、この第2の歯車2と一体回転する小径の第3の歯車3と、この第3の歯車3に噛み合う大径の第4の歯車4とを備える。
【0009】
また、回転角検出装置1は、第2の歯車2の回転角を検出するための第1の回転角検出手段としての第1の回転角検出センサ5と、第4の歯車4の回転角を検出するための第2の回転角検出手段としての第2の回転角検出センサ6と、これら第1および第2の回転角検出センサ5,6によって検出された回転角に基づいて被測定軸200の絶対回転角を演算するための絶対角演算部7(電気的構成を示すブロック図である図3を参照)とを備える。
【0010】
本実施の形態では、回転角検出装置100を電動パワーステアリング装置に適用してステアリングホイール等の操舵部材(図示せず)の回転角を検出する場合に則して説明する。この場合、被測定軸200は操舵部材に一体回転する軸により構成される。ただし、本発明は一般的な多回転軸の絶対角検出に適用することが可能である。
各歯車1,2,3,4は平歯車からなる。第1および第2の歯車1,2は、例えば、同径でギヤ比が1:1に設定される。第3の歯車3は、第2の歯車2の同軸上に配置され、第2の歯車2に一体回転する。第2の歯車2と第3の歯車3とは、例えば一体の合成樹脂成形品により形成され、コストダウンが図られる。この第3の歯車3は第2の歯車2よりも小径であり、第3の歯車3の径は第2の歯車2の径の例えば1/5〜1/8に設定される。
【0011】
第4の歯車4は第3の歯車3よりも大径であり、例えば第3の歯車3の回転速度を、例えば1/8〜1/4に減速する減速ギヤとして機能する。したがって、第1および第2の歯車1,2のギヤ比が1:1である場合、第3および第4の歯車3,4による減速で、被測定軸200の回転角を例えば1/8〜1/4に減速することができる。
第3の歯車3は、第2の歯車2の一側面2aに突出するように形成される。第3の歯車3からは第2の歯車2と共通の支軸8が突出している。第4の歯車4は、第2の歯車2の上記一側面2aに相対向する一側面4aを有し、この一側面4aから突出する支軸9を有する。
【0012】
第1の回転角検出センサ5は相対向する可動部5aと固定部5bとを有する。可動部5aは、第2の歯車2の回転軸線10の同軸上で第2の歯車2の他側面2bの凹部2cに固定され、第2の歯車2と一体回転する。固定部5bは固定部材としての基板11に固定される。
同様に、第2の回転角検出センサ6は相対向する可動部6aと固定部6bとを有する。可動部6aは、第4の歯車4の回転軸線12の同軸上で第4の歯車4の支軸9の端面9aの凹部13に固定され、第4の歯車4と一体回転する。固定部6bは基板11に固定される。基板11には上記の絶対角演算部7が実装されている。
【0013】
第1の回転角検出センサ5および第2の回転角検出センサ6からの検出信号は演算手段としての絶対角演算部7に入力され、絶対角演算部7では、第1および第2の回転角検センサ5,6によって検出された第2および第4の歯車2,4の回転角に基づいて上記被測定軸200の絶対回転角を演算する。
次いで、図4は被測定軸200の回転角と各回転角検出センサ5,6の出力波形との関係を示すグラフ図である。被測定軸200としての、例えばステアリングシャフトを4回転させると、図4に示すように、第2の歯車2の回転角を検出する第1の回転角検出センサ5の出力S1(図4において、実線で示す)は、例えば180deg周期の鋸歯状の波形となる。第1の回転角検出センサ5の出力S1は検出精度は高いものの180deg周期で8回反復されるため、どの周期のものかが判らない。
【0014】
一方、第4の歯車4の回転角を検出する第2の回転角検出センサ6の出力S2は、例えば1440degまで概ねリニアに上昇する波形となる。第2の回転角検出センサ6の出力S2のレベルに基づいて、第1の回転角検出センサ5の出力値がどの周期での値であるかを判別することができる。したがって、被測定軸200の絶対回転角を精度良く検出することができる。この第2の回転角検出センサ6としては、第1の回転角検出センサ5の出力値がどの周期での値であるかを判別できれば十分であるので、それほど高い精度を要求されない。
【0015】
特に、第2の歯車2の同軸上の小径の第3の歯車3に、大径の第4の歯車4を噛み合わせるので、図1に示すように、第2および第4の歯車2,4を軸方向からみて互いの一部が相重なるようにレイアウトすることができ、小型化を図ることができる。
また、第2および第3の歯車2,3を一体の部材により構成するので、製造コストを安くすることができる。さらに、第1および第2の回転角センサ5,6のための基板11を共通化することができるので、製造コストをより安くすることができる。
【0016】
次いで、図5は、略図として示した図1〜図4の実施の形態の回転角検出装置1を実際にパッケージする場合の一例を示す。
図5を参照して、本回転角検出装置100のケース14は、合成樹脂製の第1のケース15と第2のケース16とを組み合わせてなり、ねじ17を用いて取付対象18に固定される。第1のケース15には支持孔19が形成され、この支持孔19に、第2および第3の歯車2,3の共通の支軸8が回転自在に支持される。図示していないが他の歯車1,4に関しても同様にして第1のケース15の対応する支持孔に支持される。
【0017】
第1および第2のケース15,16に相対向するボス20,21が形成され、これらのボス20,21の端面22,23間に、基板11および位置決め部材24が挟持される。各ボス20,21のそれぞれの挿通孔25,26、基板11の挿通孔27および位置決め部材24の挿通孔28に、金属製のスリーブ29が挿通されている。このスリーブ29は、第1のケース15の挿通孔25に芯合わせした状態に圧入されている。ただし、スリーブ29を第1のケース15にインサート成形しても良いし、またいわゆる狭クリアランス挿入であっても良い。
【0018】
上記スリーブ29に上記のねじ17が挿通され、該ねじ17の先端部が取付対象18のねじ孔30にねじ込まれている。これにより、取付対象18の受け面31とねじ17の頭部32との間に、第1および第2のケース15,16、基板11および位置決め部材24が一体的に挟持される。これら一体的に挟持される部材15,16,11,24の累積長さよりも、スリーブ29の長さを所定量L(例えば0.5mm)だけ短くしてある。
【0019】
これにより、ねじ17を締め付けたときに、各部材15,16,11,24を確実に押圧して、ガタのない状態で取り付けることができる。スリーブ29の軸方向に関しての各部材15,16,11,24間の位置決め精度を高くすることができる。また、スリーブ29を介して第1および第2のケース15,16、基板11および位置決め部材24をスリーブ29の径方向に位置決めすることができ、各部材15,16,11,24間の位置決め精度を高くすることができる。
【0020】
また、このようにして位置決め精度を高くされる位置決め部材24は環状の位置決め突起33を有しており、この位置決め突起33の端面からなる受け面34によって、第2の歯車2の他側面2bが受けられている。第2の歯車2が軸方向に位置決めされている。位置決め突起33は第2および第3の歯車2,3のためのスラスト軸受として機能している。
また、第2の歯車2の他側面2bには第2の歯車2の回転軸線10を中心とする環状突起35が形成されている。この環状突起35が上記の環状の位置決め突起33内に回動自在に嵌められており(この嵌め合いはルーズであっても良い)、これにより、第2の歯車2が径方向に位置決めされている。このようにして、位置決め部材24を介して第2および第3の歯車2,3の位置決め精度を高くすることができる。
【0021】
また、上記のようなスリーブ29を用いる締結構造は複数箇所、例えば4箇所用いられる。取付対象18としての相手ハウジングや相手ブラケットに直接固定できるので、組み付け性が向上し、ひいては組み付けコストを低減することができる。
図5および図6を参照して、位置決め部材24は例えば合成樹脂の一体成形品からなり、スリーブ29用の挿通孔28を形成するボス36と、上記の環状の位置決め突起33とを連結アーム37にて互いに連結している。また、上記ボス36と同様の構成のボスと位置決め突起33とを連結したり、位置決め突起33と同様の構成の、第4の歯車4用の位置決め突起と上記位置決め突起33とを連結したりするための連結アーム38,39が設けられている。
【0022】
本回転角検出装置100を自動車の操舵角センサに適用する場合、図7に示すように操舵角センサとしての回転角検出装置100にはCAN(Controller Area Network)通信部を備えずに、EPS(Electric Power Steering System :電動パワーステアリング装置)用のECU(Electronic Control Unit : 電子制御ユニット)51に備えられているCAN通信部52を介してCANに接続することが好ましい。CANは自動車に設けられている各種ECU間のLAN通信を行うためのものである。
【0023】
すなわち、従来の操舵角センサでは、センサ自体にCAN通信部を設けてCANに接続している一方で、EPS用のECUにもCAN通信部が設けられている。これに対して、図7に示すように回転角検出装置100からなる操舵角センサのCAN通信部を廃止することで、操舵角センサの小型化を図り、製造コストを安くすることができる。また、操舵角センサの検出信号をECU51にいち早く取り入れてEPS制御の高速化を図ることができる。なお、図7に示すように、EPSの操舵補助用等の電動モータの回転軸の回転角を検出するためのモータ用回転角センサ53もセンサ自体にCAN通信部を設けずに、ECU51のCAN通信部52を介してCANに接続することが好ましい。
【0024】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲で種々の変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の回転角検出装置の概略構成を示す模式的平面図である。
【図2】回転角検出装置の模式的断面図である。
【図3】回転角検出装置の電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図4】被測定軸の回転角と各回転角検出センサの出力との関係を示すグラフ図である。
【図5】回転角検出装置の取付態様を示す要部の断面図である。
【図6】位置決め部材の概略平面図である。
【図7】回転角検出装置を自動車の操舵角センサに適用する場合の電気的構成の要部を示すブロック図である。
【符号の説明】
100 回転角検出装置
200 被測定軸
1 第1の歯車
2 第2の歯車
2a 一側面
2b 他側面
3 第3の歯車
4 第4の歯車
5 第1の回転角検出センサ(第1の回転角検出手段)
6 第2の回転角検出センサ(第2の回転角検出手段)
5a,6a 可動部
5b,6b 固定部
7 絶対角演算部(演算手段)
8,9 支軸
10,12 回転軸線
14 ケース
15 第1のケース
16 第2のケース
17 ねじ
18 取付対象
24 位置決め部材
25〜28 挿通孔
29 スリーブ
32 頭部
33 位置決め突起
34 受け面
Claims (4)
- 回転可能な被測定軸の同軸上に配置される第1の歯車と、
この第1の歯車に噛み合う第2の歯車と、
この第2の歯車よりも小径であって第2の歯車の同軸上で第2の歯車に一体回転する小径の第3の歯車と、
この第3の歯車よりも大径であって第3の歯車に噛み合う第4の歯車と、
第2の歯車の回転角を検出するための第1の回転角検出手段と、
第4の歯車の回転角を検出するための第2の回転角検出手段と、
第1および第2の回転角検出手段によって検出された回転角に基づいて上記被測定軸の絶対回転角を演算する演算手段と、
第1のケースと第2のケースとを組み合わせてなるケースとを備え、
第3の歯車は、第2の歯車の一側面から突出するように形成され、第3の歯車から第2の歯車と共通の支軸が突出されており、
第1のケースに形成された支持孔に、第2および第3の歯車の上記共通の支軸が回転自在に支持され、
第1の歯車および第4の歯車が、第1のケースに形成された対応する支持孔に回転自在に支持され、
第1および第2のケースに、相対向するボスが形成され、これらのボスの端面間に、位置決め部材が挟持され、
各ボスの挿通孔および上記位置決め部材の挿通孔に、スリーブが挿通され、
位置決め部材は環状の位置決め突起を有しており、この位置決め突起の端面からなる受け面によって、第2の歯車の他側面が受けられており、
第2の歯車の他側面には、第2の歯車の回転軸線を中心とする環状突起が形成され、
この環状突起が上記位置決め突起に回転自在に嵌められていることを特徴とする回転角検出装置。 - 請求項1において、上記第2および第3の歯車が一体の部材からなることを特徴とする回転角検出装置。
- 請求項1又は2において、上記第1および第2の回転角検出手段はそれぞれ相対向する固定部および可動部を備え、第1および第2の回転角検出手段の可動部は対応する歯車の同側に配置され、第1および第2の回転角検出手段の固定部は共通の基板に設けられることを特徴とする回転角検出装置。
- 請求項3において、上記第1および第2のケースのボスの端面間に、上記基板が挟持されていることを特徴とする回転角検出装置。
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