JP2004056864A - リニアモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】リニアモータの固定子の熱変位を防止し、該固定子に配置された磁石列を利用した位置検出の精度を向上させるようにしたリニアモータを提供する。
【解決手段】リニアモータ1は、固定子10に、高剛性の非磁性材料で形成された本体11と、磁性材料で形成されたバックヨーク16と、熱膨張率の小さなセラミック材料で形成されたそれぞれ複数の永久磁石片21及びスペーサ22とを交互に配置して構成される磁石列20A、20Bと、前記固定子10の両端に配置された一対の保持部材17、17とを有している。そして、保持部材17、17と前記本体11及びバックヨーク16との間に伸縮許容間隙を設けて構成される。本体11やバックヨーク16の伸縮が、磁石列20A、20Cに影響することがなく、移動子30の位置を高精度に検出することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】リニアモータ1は、固定子10に、高剛性の非磁性材料で形成された本体11と、磁性材料で形成されたバックヨーク16と、熱膨張率の小さなセラミック材料で形成されたそれぞれ複数の永久磁石片21及びスペーサ22とを交互に配置して構成される磁石列20A、20Bと、前記固定子10の両端に配置された一対の保持部材17、17とを有している。そして、保持部材17、17と前記本体11及びバックヨーク16との間に伸縮許容間隙を設けて構成される。本体11やバックヨーク16の伸縮が、磁石列20A、20Cに影響することがなく、移動子30の位置を高精度に検出することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータに係り、詳しくは、該リニアモータの固定子を構成する磁石列を用いて移動子の位置を検出し得るようにしたリニアモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
環状に配置された複数の磁石列が所定の間隔で配列された本体を有する固定子と、前記磁石列と対向する電機子が軸心方向に複数列所定の間隔で配列された移動子とを有し、該移動子を、前記固定子と該移動子との間の磁気相互作用により前記軸方向に移動駆動自在に設けたリニアモータが知られている。そして、このようなリニアモータにおいて、固定子の磁石列を構成する永久磁石片を利用して、移動子の位置を検出するようにしたものも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなリニアモータで移動子を移動駆動した場合、移動子の電機子で発生するジュール熱や、該電機子で発生する磁気と固定子の永久磁石片の磁気の相互作用によって発生する渦電流による発熱等、大きな熱が発生する。そして、この発熱により固定子や移動子に熱膨張による熱変位が発生する。この熱変位は、リニアモータ(特に、軸心方向の長さが長い固定子)全体が均一に変位するのではなく、発熱した部位とその近傍の変位量が大きくなり、発熱部から遠くなるにしたがってその変位量が小さくなる。
【0004】
このため、固定子に配置された磁石列の磁気作用によって電機子の電磁コイル側に発生する誘導電流を検出して、移動子の位置を検出するようにしたリニアモータでは、検出された移動子の位置の検出精度が低下することになる。従って、このようなリニアモータを加工装置に適用した場合、ワークの加工精度が低下するなどの原因となる。
【0005】
上記の事情に鑑み、本発明は、リニアモータの固定子の熱変位を防止し、該固定子に配置された磁石列を利用した位置検出精度を向上させるようにしたリニアモータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、外周面に磁石列(20)の取付け部(15)が軸心(CL1)方向と平行に形成された筒状の本体(11)と、前記取付け部(15)に配置され、前記磁石列(20)を構成するそれぞれ複数の永久磁石片(21)及びスペーサ(22)と、を備えた固定子(10)と、前記磁石列(20)と対向するように複数の電機子(35)が前記軸心(CL1)方向に配列された移動子(30)とを有し、該移動子(30)を、前記磁石列(20)と電機子(35)との間の磁気相互作用により該固定子(10)に沿って前記軸心(CL1)方向に移動駆動自在に設けたリニアモータにおいて、
前記本体(11)は、高剛性の非磁性材料から形成されると共に、
前記複数の永久磁石片(21)及びスペーサ(22)は、セラミック材料から形成されており、
更に、前記リニアモータは、
磁性材料で形成され、前記本体(11)の取付け部(15)に、該本体(11)と該取付け部(15)に取付けられる前記磁石列(20)との間に位置するように配置されたバックヨーク(16、25)と、
前記固定子(10)の両端に配置され、前記本体(11)に対し前記磁石列(20)を保持する一対の保持部材(17、17)と、を設け、
前記保持部材(17、17)とバックヨーク(16、25)及び本体(11)間に、前記軸心(CL1)方向に伸縮許容間隙(G、g)をそれぞれ設けて構成される。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、
前記保持部材(17、17)は、
前記本体(11)に対して前記軸心(CL1)方向に相対移動自在に嵌合し、前記伸縮許容間隙(G、g)は、少なくとも一方の前記保持部材(17、17)と該本体(11)の端面(11a)との間に形成して構成される。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の発明において、
前記バックヨーク(16)は、前記軸心(CL1)方向に移動可能に配設され、前記伸縮許容間隙(G、g)は、少なくともその一端(16a)と前記保持部材(17、17)との間に形成されている。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1記載のリニアモータにおいて、
前記バックヨーク(25)は、
前記軸心(CL1)に対し所定の角度傾斜する切断線により、該軸心(CL1)方向に、前記伸縮許容間隙(G1)を介して少なくとも2個に分割されたバックヨーク片(26a、26b、26c、26d)を有している。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4記載のリニアモータにおいて、
前記バックヨーク(25)は、
前記分割された位置においても、前記永久磁石片(21)によって飽和磁束密度となる厚さを有する。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1記載のリニアモータにおいて、
前記取付け部(15)は、前記磁石列(20)の取付け位置に、前記本体の外側に向けて開口する蟻溝状に形成されている。
【0012】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであり、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであって、特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によると、磁石列の両端に保持部材を配置し、該保持部材と固定子の本体及びバックヨークとの間に伸縮許容間隙を設けたので、リニアモータの温度変化による前記本体及びバックヨークの伸縮にかかわらず、前記磁石列を用いて移動子の位置検出を正確に行なうことができる。
【0014】
請求項2に係る発明によると、磁石列を保持する保持部材と固定子の本体を軸心方向に相対移動自在に設けたので、リニアモータの温度が変化して本体がその軸心CL1方向に伸縮したとしても、該本体の軸心方向への伸縮は、伸縮許容間隙によって吸収され、保持部材や磁石列に影響を及ぼすことがなく、従って、固定子と移動子の相対位置を変化させることがないので、移動子の位置を高精度で検出することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によると、バックヨークは、保持部材との間に固定子の軸心に沿って伸縮自在に配置されているので、リニアモータの温度が変化してバックヨークがその軸心CL1方向に伸縮したとしても、該バックヨークの軸心方向への伸縮は、伸縮許容間隙によって吸収され、保持部材や磁石列に影響を及ぼすことがなく、従って、固定子と移動子の相対位置を変化させることがないので、移動子の位置を高精度で検出することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によると、バックヨークは、固定子の軸心に対し所定の角度傾斜する切断線により、該軸心方向に少なくとも2個に分割されたバックヨーク片で構成されているので、バックヨークを構成する個々のバックヨーク片の長さを短くすることができ、幅や厚さに比較して長さが極めて長いバックヨークを容易に製造することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によると、バックヨークは、前記分割された位置においても、前記永久磁石片によって飽和磁束密度となる厚さを有するので、リニアモータの性能を低下させることなく、バックヨークを容易に製造することができる。
【0018】
請求項6に係る発明によると、固定子の本体に蟻溝状の取付け部を形成し、該取付け部にバックヨーク及び磁石列を取付けるようにしたので、本体及びバックヨークが熱膨張により伸縮しても、本体、バックヨーク及び磁石列の相対位置を安定した状態で保持することが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0020】
図1乃至図5は、本発明の実施の形態を示すもので、図1は、本発明によるリニアモータの側面断面図、図2は、図1における固定子の側面断面図、図3は、図2のIII−III断面図、図4は、図2における固定子の分解斜視図、図5は、図2に示す固定子の本体部分周辺における磁石列の配列態様をを示す展開図である。
【0021】
リニアモータ1は、図1に示すように、全体が細長い筒状に形成された固定子10と、該固定子10上を固定子10の軸心CL1方向に移動駆動自在に設けられた移動子30とからなる。
【0022】
前記固定子10は、高剛性を有する非磁性材料(例えば、炭素繊維やアラミド繊維をエポキシ樹脂などの樹脂で固めた高性能繊維固化材料)で細長い筒状に形成された本体11を有し、該本体11には、前記軸心CL1方向に貫通する中空部12が形成されている。前記本体11は、図3及び図4に示すように、断面外周部が略矩形(中空部12も略矩形)の細長い筒状に形成されており、その外周を構成する平面13(13A、13B、13C、13D)には、蟻溝状の取付け部15(15A、15B、15C、15D)が形成されている。なお、前記本体11の断面形状は、図3及び図4に示すような略矩形(四角形)に限らず、六角形、八角形などの多角形でもよい。
【0023】
前記取付け部15(15A、15B、15C、15D)には、図2及び図3に示すように、それぞれバックヨーク16(16A、16B、16C、16D)と磁石列20(20A、20B、20C、20D)が配設される。
【0024】
前記バックヨーク16(16A、16B、16C、16D)は、強磁性材料で、図3に示すように、その断面が、前記取付け部15(15A、15B、15C、15D)の底部に嵌合する台形に形成され、図4に示すように、前記本体11の端面11aから該取付け部15(15A、15B、15C、15D)に装着される。なお、前記バックヨーク16(16A、16B、16C、16D)は、図2に示すように、前記本体11の長さより所定の長さ2(G−g)分だけ短く形成されている。
【0025】
前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)は、熱膨張率(線膨張率)の小さなセラミックス(例えば、熱膨張率が実質0の低膨張ガラスセラミックス)で形成された永久磁石片21とスペーサ22を交互に配置して構成される。前記永久磁石片21とスペーサ22は、図3に示すように、その断面が、前記取付け部15(15A、15B、15C、15D)の外周部に嵌合する台形に形成され、図4に示すように、前記本体11の端面11aから該取付け部15(15A、15B、15C、15D)にそれぞれ交互に装着される。なお、前記磁石列20は、図2に示すように、前記本体11の長さより所定の長さ2gだけ長く形成され、該本体11の両端から突出する。
【0026】
なお、前記本体11の取付け部15(15A、15B、15C、15D)と、前記バックヨーク16、磁石列20(永久磁石片21及びスペーサ22)との前記軸心CL1の直交断面における隙間g1(図3参照、1個所のみ表示)は、固定子10全体が熱膨張、熱収縮したときでも、前記本体11、バックヨーク16及び磁石列20が前記軸心CL1方向に相対移動し得るように設定されている。
【0027】
前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)の両端部20aには、例えば、前記本体11と同じ材料で形成された保持部材17、17のフランジ部17aが固定されている。前記保持部材17、17のフランジ部17aから前記本体11側に向けて突出する軸部17bは、前記本体11の中空部12に摺動自在に嵌合し、該本体11を保持している。
【0028】
そして、前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)に保持手段17、17を介して前記本体11を保持したとき、前記フランジ部17aと前記本体11の端面11aとの間には、間隙gが、前記フランジ部17a、17aと前記バックヨーク16(16A、16B、16C、16D)端面16aとの間には、間隙Gがそれぞれ軸心CL1方向に形成される。この間隙g、Gの大きさ(図2の場合は、両側にあるので、2g、2G)は、リニアモータ1の温度上昇が最大になっても、熱膨張によって伸長する前記本体11の端部11a及びバックヨーク16(16A、16B、16C、16D)の端部16aが前記保持部材17、17のフランジ部17aに当接しない大きさとする。
【0029】
前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)は、図2に示すように、前記本体11の内外方向に磁化された複数の永久磁石片21と、複数のスペーサ22で構成され、図5に示すように、それぞれ前記軸心CL2方向に隣接する前記永久磁石片21の極性が逆(S−N−S−N−…)になるように交互に配置されている。また、前記本体11の外周に環状に配置された前記永久磁石片21の各段(図5の上下方向)L1、L2、L3、L4、L5ごとの極性は、段L1は全てS極、段L2は全てN極のように同一になるように配置されている。
【0030】
各磁石列20A、20B、20C、20Dを構成する前記永久磁石片21は、図5に示すように、軸心CL1方向の幅がH1で、軸心CL1方向に所定角度傾斜するように形成されている。そして、前記永久磁石片21は、前記スペーサ22を含め前記軸心CL1方向にピッチP2で配列されている。また、前記各磁石列20A、20B、20C、20Dの内、前記本体11の外周方向に隣接する磁石列20Aと磁石列20B、磁石列20Bと磁石列20C、磁石列20Cと磁石列20D、磁石列20Dと磁石列20Aの間の位相が、それぞれ軸心CL1方向にピッチP1だけずれるように配置されているので、コギングトルクを抑制することができる。相対向する磁石列20Aと磁石列20C、磁石列20Bと磁石列20Dは軸心CL2方向において同じ位相になっている。なお、隣接する磁石列20Aと20B、20Bと20C、20Cと20D、20Dと20Aの間の位相は、P1=P2/4のピッチだけずれるように配置してもよい。
【0031】
前記移動子30は、図1に示すように、図示しない適宜な支持手段によって前記軸心CL1方向に移動自在に支持された被駆動対象物31(例えば、工作機械のテーブルなど)に固定され、前記固定子10に移動自在に外嵌する形で装着されている。
【0032】
前記移動子30は、全体箱状に形成された本体32を有し、該本体32の軸心CL1方向の両端には、前記固定子10が相対移動可能に貫通する貫通穴32aが形成され、内部に電機子装着空間32bが形成されている。該電機子装着空間32bには、前記固定子10の外周を取り囲み、かつ前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)と対向するように複数の電機子列33(33A、33B、33C、33D)(電機子列33B、33Dは図示せず)が装着されている。
【0033】
前記電機子列33(33A、33B、33C、33D)は、それぞれ鉄心36の周囲に巻設された複数の電磁コイル37を前記軸心CL1方向に、前記固定子10の磁石列20における永久磁石片21のピッチP2(図5参照)とは異なるピッチP3(P3<P2)で、その基端部を前記本体32に接続した形で配設されている。
【0034】
リニアモータ1は、前記のような構成を有するので、前記移動子30の電機子35を構成する電磁コイル37を、公知の手法で順次励磁し、その際の前記電機子35の鉄心36を通る磁束と前記固定子10の磁石列20を構成する永久磁石片21の磁束とによって、前記鉄心36と永久磁石片21の間に作用する吸引力と反発力により、前記移動子30は、前記固定子10の軸心CL1方向に移動駆動され、前記移動子30に固着された被駆動対象物15も同方向に駆動される。
【0035】
このとき、前記移動子30の前記軸心CL1方向の移動により、該移動子30の電機子35を構成する電磁コイル37が、前記永久磁石片21の磁束を横切ることにより、該電磁コイル37に誘導電流が発生する。この誘導電流を検出することにより公知の手法で前記移動子30(即ち、被駆動対象物31)の位置を検出することができる。
【0036】
前記のように、前記移動子30を移動駆動する際に、前記移動子30は、前記電磁コイル37に印加される電流によるジュール熱と、前記鉄心36が前記固定子10の永久磁石片21が発生する磁束を横切ることにより前記鉄心36に発生する渦電流よる発熱とにより該鉄心36及び電磁コイル37の温度が上昇する。しかし、前記移動子30は、前記固定子10に比べ、軸心CL1方向の長さが短く、しかも、本体32及び被駆動対象物31を通して放熱することができるので、移動子10全体の温度上昇を低く押え、熱膨張を小さくすることができる。
【0037】
一方、前記固定子10側では、前記電磁コイル37で発生し、前記鉄心36を介して放射される磁束の変動により、前記永久磁石片21及びバックヨーク16に渦電流が発生し、該渦電流による発熱により該永久磁石片21とバックヨーク16の温度が上昇する。前記バックヨーク16で発生した熱の一部は、前記永久磁石片21及びスペーサ22に伝達され、該永久磁石片21及びスペーサ22を通して大気中に放出され、他の一部は前記本体11に伝達されて、該本体11を加熱する。
【0038】
前述したように、前記永久磁石片21及びスペーサ22は、熱膨張率が実質0の低膨張ガラスセラミックスで形成されているため、温度上昇があっても前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)は、熱膨張しない状態で維持される。一方、前記本体11とバックヨーク16は、温度上昇によりそれぞれの熱膨張率に応じて軸心CL1方向に伸長する。
【0039】
このとき、前述したように、前記磁石列20の両端に固定された保持部材17、17の軸部17b、17bと、前記本体11の中空部12は軸心CL1方向に摺動可能に嵌合しているので、本体11は該軸部17b、17bに沿って軸心CL1方向に伸長する。これにより、本体11の軸心CL1方向の熱膨張は軸部17b、17bとの相対移動により吸収され、保持部材17、17間の距離Lxは、熱膨張の無視できる磁石列20によってのみその長さが規定されるので、熱による距離Lxの変化は無視することができ、常に一定の距離Lxを保持することができる。
【0040】
また、図2に示すように、前記保持部材17のフランジ部と前記本体11の端部11a及びバックヨーク16の端部16aとの間に、それぞれ間隙g、間隙Gが形成されているので、前記本体11とバックヨーク16が熱膨張により軸心CL1方向に伸長しても、該本体11の両端部11a、11a、バックヨーク16の両端部16a、16aが同時に保持部材17、17と当接することはない。即ち、本体11とバックヨーク16の熱膨張が磁石列20の寸法や位置に影響を与えることはない。従って、前記磁石列20を基準として移動子30の位置を検出することにより、移動子30の位置を高精度に検出することができる。
【0041】
図6は、本発明によるリニアモータの固定子に使用するバックヨークの第2の実施の形態を示す平面図である。
【0042】
同図において、図3、図5と同じものは同じ符号を付けて示し、説明を省略する。固定子10の本体11に形成された取付け部15(15A、15B、15C、15D)に装着されるバックヨーク25(25A、25B、25C、25D)は、前記固定子10の軸心CL1に対し角度α傾斜した切断線で切断された複数のバックヨーク片26a、26b、26c、26dで構成され、各バックヨーク片26a、26b、26c、26dは、前記本体11の取付け部15(15A、15B、15C、15D)に装着したとき、バックヨーク片26aとバックヨーク片26bとの間、バックヨーク片26bとバックヨーク片26cとの間、バックヨーク片26cとバックヨーク片26dとの間に、それぞれ間隙G1を軸心CL1方向に形成するように、それぞれ中央部が、例えば、ねじ27により前記本体11に固定され、軸心CL1方向に移動しないように係止される。
【0043】
前記間隙G1の大きさは、リニアモータの温度上昇が最大になったとき、熱膨張によって伸長するバックヨーク片26a(26b、26c)とバックヨーク片26b(26c、26d)が互いに当接しない寸法に設定されている。
【0044】
また、各バックヨーク片26a、26b、26c、26dは、前記分割位置においても、前記永久磁石片21によって飽和磁束密度となる厚さを有し、隣接する永久磁石片21間の磁気回路を構成する。
【0045】
このような構成としても前記実施の形態と同様の作用、効果を得ることができ、しかも、厚さや幅に比較して軸心CL1方向の長さが極めて長いバックヨーク25を複数のバックヨーク片26(26a、26b、26c、26d)に分けて作ることができるので、その製造を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリニアモータの側面断面図。
【図2】図1における固定子の側面断面図。
【図3】図2のIII−III断面図。
【図4】図2における固定子の分解斜視図。
【図5】図2に置ける固定子の磁石列を示す側面図。
【図6】本発明によるリニアモータの固定子に使用するバックヨークの第2の実施の形態を示す平面図。
【符号の説明】
10…固定子
11…本体
11a…端面
15(15A、15B、15C、15D)…取付け部
16(16A、16B、16C、16D)…バックヨーク
17…保持部材
20(20A、20B、20C、20D)…磁石列
21…永久磁石片
22…スペーサ
25…バックヨーク
26(26a、26b、26c、26d)…バックヨーク片
30…移動子
35…電機子
CL1…軸心
CL2…軸心
G…伸縮許容間隙
G1…伸縮許容間隙
g…伸縮許容間隙
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータに係り、詳しくは、該リニアモータの固定子を構成する磁石列を用いて移動子の位置を検出し得るようにしたリニアモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
環状に配置された複数の磁石列が所定の間隔で配列された本体を有する固定子と、前記磁石列と対向する電機子が軸心方向に複数列所定の間隔で配列された移動子とを有し、該移動子を、前記固定子と該移動子との間の磁気相互作用により前記軸方向に移動駆動自在に設けたリニアモータが知られている。そして、このようなリニアモータにおいて、固定子の磁石列を構成する永久磁石片を利用して、移動子の位置を検出するようにしたものも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなリニアモータで移動子を移動駆動した場合、移動子の電機子で発生するジュール熱や、該電機子で発生する磁気と固定子の永久磁石片の磁気の相互作用によって発生する渦電流による発熱等、大きな熱が発生する。そして、この発熱により固定子や移動子に熱膨張による熱変位が発生する。この熱変位は、リニアモータ(特に、軸心方向の長さが長い固定子)全体が均一に変位するのではなく、発熱した部位とその近傍の変位量が大きくなり、発熱部から遠くなるにしたがってその変位量が小さくなる。
【0004】
このため、固定子に配置された磁石列の磁気作用によって電機子の電磁コイル側に発生する誘導電流を検出して、移動子の位置を検出するようにしたリニアモータでは、検出された移動子の位置の検出精度が低下することになる。従って、このようなリニアモータを加工装置に適用した場合、ワークの加工精度が低下するなどの原因となる。
【0005】
上記の事情に鑑み、本発明は、リニアモータの固定子の熱変位を防止し、該固定子に配置された磁石列を利用した位置検出精度を向上させるようにしたリニアモータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、外周面に磁石列(20)の取付け部(15)が軸心(CL1)方向と平行に形成された筒状の本体(11)と、前記取付け部(15)に配置され、前記磁石列(20)を構成するそれぞれ複数の永久磁石片(21)及びスペーサ(22)と、を備えた固定子(10)と、前記磁石列(20)と対向するように複数の電機子(35)が前記軸心(CL1)方向に配列された移動子(30)とを有し、該移動子(30)を、前記磁石列(20)と電機子(35)との間の磁気相互作用により該固定子(10)に沿って前記軸心(CL1)方向に移動駆動自在に設けたリニアモータにおいて、
前記本体(11)は、高剛性の非磁性材料から形成されると共に、
前記複数の永久磁石片(21)及びスペーサ(22)は、セラミック材料から形成されており、
更に、前記リニアモータは、
磁性材料で形成され、前記本体(11)の取付け部(15)に、該本体(11)と該取付け部(15)に取付けられる前記磁石列(20)との間に位置するように配置されたバックヨーク(16、25)と、
前記固定子(10)の両端に配置され、前記本体(11)に対し前記磁石列(20)を保持する一対の保持部材(17、17)と、を設け、
前記保持部材(17、17)とバックヨーク(16、25)及び本体(11)間に、前記軸心(CL1)方向に伸縮許容間隙(G、g)をそれぞれ設けて構成される。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、
前記保持部材(17、17)は、
前記本体(11)に対して前記軸心(CL1)方向に相対移動自在に嵌合し、前記伸縮許容間隙(G、g)は、少なくとも一方の前記保持部材(17、17)と該本体(11)の端面(11a)との間に形成して構成される。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の発明において、
前記バックヨーク(16)は、前記軸心(CL1)方向に移動可能に配設され、前記伸縮許容間隙(G、g)は、少なくともその一端(16a)と前記保持部材(17、17)との間に形成されている。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1記載のリニアモータにおいて、
前記バックヨーク(25)は、
前記軸心(CL1)に対し所定の角度傾斜する切断線により、該軸心(CL1)方向に、前記伸縮許容間隙(G1)を介して少なくとも2個に分割されたバックヨーク片(26a、26b、26c、26d)を有している。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4記載のリニアモータにおいて、
前記バックヨーク(25)は、
前記分割された位置においても、前記永久磁石片(21)によって飽和磁束密度となる厚さを有する。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1記載のリニアモータにおいて、
前記取付け部(15)は、前記磁石列(20)の取付け位置に、前記本体の外側に向けて開口する蟻溝状に形成されている。
【0012】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであり、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであって、特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によると、磁石列の両端に保持部材を配置し、該保持部材と固定子の本体及びバックヨークとの間に伸縮許容間隙を設けたので、リニアモータの温度変化による前記本体及びバックヨークの伸縮にかかわらず、前記磁石列を用いて移動子の位置検出を正確に行なうことができる。
【0014】
請求項2に係る発明によると、磁石列を保持する保持部材と固定子の本体を軸心方向に相対移動自在に設けたので、リニアモータの温度が変化して本体がその軸心CL1方向に伸縮したとしても、該本体の軸心方向への伸縮は、伸縮許容間隙によって吸収され、保持部材や磁石列に影響を及ぼすことがなく、従って、固定子と移動子の相対位置を変化させることがないので、移動子の位置を高精度で検出することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によると、バックヨークは、保持部材との間に固定子の軸心に沿って伸縮自在に配置されているので、リニアモータの温度が変化してバックヨークがその軸心CL1方向に伸縮したとしても、該バックヨークの軸心方向への伸縮は、伸縮許容間隙によって吸収され、保持部材や磁石列に影響を及ぼすことがなく、従って、固定子と移動子の相対位置を変化させることがないので、移動子の位置を高精度で検出することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によると、バックヨークは、固定子の軸心に対し所定の角度傾斜する切断線により、該軸心方向に少なくとも2個に分割されたバックヨーク片で構成されているので、バックヨークを構成する個々のバックヨーク片の長さを短くすることができ、幅や厚さに比較して長さが極めて長いバックヨークを容易に製造することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によると、バックヨークは、前記分割された位置においても、前記永久磁石片によって飽和磁束密度となる厚さを有するので、リニアモータの性能を低下させることなく、バックヨークを容易に製造することができる。
【0018】
請求項6に係る発明によると、固定子の本体に蟻溝状の取付け部を形成し、該取付け部にバックヨーク及び磁石列を取付けるようにしたので、本体及びバックヨークが熱膨張により伸縮しても、本体、バックヨーク及び磁石列の相対位置を安定した状態で保持することが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0020】
図1乃至図5は、本発明の実施の形態を示すもので、図1は、本発明によるリニアモータの側面断面図、図2は、図1における固定子の側面断面図、図3は、図2のIII−III断面図、図4は、図2における固定子の分解斜視図、図5は、図2に示す固定子の本体部分周辺における磁石列の配列態様をを示す展開図である。
【0021】
リニアモータ1は、図1に示すように、全体が細長い筒状に形成された固定子10と、該固定子10上を固定子10の軸心CL1方向に移動駆動自在に設けられた移動子30とからなる。
【0022】
前記固定子10は、高剛性を有する非磁性材料(例えば、炭素繊維やアラミド繊維をエポキシ樹脂などの樹脂で固めた高性能繊維固化材料)で細長い筒状に形成された本体11を有し、該本体11には、前記軸心CL1方向に貫通する中空部12が形成されている。前記本体11は、図3及び図4に示すように、断面外周部が略矩形(中空部12も略矩形)の細長い筒状に形成されており、その外周を構成する平面13(13A、13B、13C、13D)には、蟻溝状の取付け部15(15A、15B、15C、15D)が形成されている。なお、前記本体11の断面形状は、図3及び図4に示すような略矩形(四角形)に限らず、六角形、八角形などの多角形でもよい。
【0023】
前記取付け部15(15A、15B、15C、15D)には、図2及び図3に示すように、それぞれバックヨーク16(16A、16B、16C、16D)と磁石列20(20A、20B、20C、20D)が配設される。
【0024】
前記バックヨーク16(16A、16B、16C、16D)は、強磁性材料で、図3に示すように、その断面が、前記取付け部15(15A、15B、15C、15D)の底部に嵌合する台形に形成され、図4に示すように、前記本体11の端面11aから該取付け部15(15A、15B、15C、15D)に装着される。なお、前記バックヨーク16(16A、16B、16C、16D)は、図2に示すように、前記本体11の長さより所定の長さ2(G−g)分だけ短く形成されている。
【0025】
前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)は、熱膨張率(線膨張率)の小さなセラミックス(例えば、熱膨張率が実質0の低膨張ガラスセラミックス)で形成された永久磁石片21とスペーサ22を交互に配置して構成される。前記永久磁石片21とスペーサ22は、図3に示すように、その断面が、前記取付け部15(15A、15B、15C、15D)の外周部に嵌合する台形に形成され、図4に示すように、前記本体11の端面11aから該取付け部15(15A、15B、15C、15D)にそれぞれ交互に装着される。なお、前記磁石列20は、図2に示すように、前記本体11の長さより所定の長さ2gだけ長く形成され、該本体11の両端から突出する。
【0026】
なお、前記本体11の取付け部15(15A、15B、15C、15D)と、前記バックヨーク16、磁石列20(永久磁石片21及びスペーサ22)との前記軸心CL1の直交断面における隙間g1(図3参照、1個所のみ表示)は、固定子10全体が熱膨張、熱収縮したときでも、前記本体11、バックヨーク16及び磁石列20が前記軸心CL1方向に相対移動し得るように設定されている。
【0027】
前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)の両端部20aには、例えば、前記本体11と同じ材料で形成された保持部材17、17のフランジ部17aが固定されている。前記保持部材17、17のフランジ部17aから前記本体11側に向けて突出する軸部17bは、前記本体11の中空部12に摺動自在に嵌合し、該本体11を保持している。
【0028】
そして、前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)に保持手段17、17を介して前記本体11を保持したとき、前記フランジ部17aと前記本体11の端面11aとの間には、間隙gが、前記フランジ部17a、17aと前記バックヨーク16(16A、16B、16C、16D)端面16aとの間には、間隙Gがそれぞれ軸心CL1方向に形成される。この間隙g、Gの大きさ(図2の場合は、両側にあるので、2g、2G)は、リニアモータ1の温度上昇が最大になっても、熱膨張によって伸長する前記本体11の端部11a及びバックヨーク16(16A、16B、16C、16D)の端部16aが前記保持部材17、17のフランジ部17aに当接しない大きさとする。
【0029】
前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)は、図2に示すように、前記本体11の内外方向に磁化された複数の永久磁石片21と、複数のスペーサ22で構成され、図5に示すように、それぞれ前記軸心CL2方向に隣接する前記永久磁石片21の極性が逆(S−N−S−N−…)になるように交互に配置されている。また、前記本体11の外周に環状に配置された前記永久磁石片21の各段(図5の上下方向)L1、L2、L3、L4、L5ごとの極性は、段L1は全てS極、段L2は全てN極のように同一になるように配置されている。
【0030】
各磁石列20A、20B、20C、20Dを構成する前記永久磁石片21は、図5に示すように、軸心CL1方向の幅がH1で、軸心CL1方向に所定角度傾斜するように形成されている。そして、前記永久磁石片21は、前記スペーサ22を含め前記軸心CL1方向にピッチP2で配列されている。また、前記各磁石列20A、20B、20C、20Dの内、前記本体11の外周方向に隣接する磁石列20Aと磁石列20B、磁石列20Bと磁石列20C、磁石列20Cと磁石列20D、磁石列20Dと磁石列20Aの間の位相が、それぞれ軸心CL1方向にピッチP1だけずれるように配置されているので、コギングトルクを抑制することができる。相対向する磁石列20Aと磁石列20C、磁石列20Bと磁石列20Dは軸心CL2方向において同じ位相になっている。なお、隣接する磁石列20Aと20B、20Bと20C、20Cと20D、20Dと20Aの間の位相は、P1=P2/4のピッチだけずれるように配置してもよい。
【0031】
前記移動子30は、図1に示すように、図示しない適宜な支持手段によって前記軸心CL1方向に移動自在に支持された被駆動対象物31(例えば、工作機械のテーブルなど)に固定され、前記固定子10に移動自在に外嵌する形で装着されている。
【0032】
前記移動子30は、全体箱状に形成された本体32を有し、該本体32の軸心CL1方向の両端には、前記固定子10が相対移動可能に貫通する貫通穴32aが形成され、内部に電機子装着空間32bが形成されている。該電機子装着空間32bには、前記固定子10の外周を取り囲み、かつ前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)と対向するように複数の電機子列33(33A、33B、33C、33D)(電機子列33B、33Dは図示せず)が装着されている。
【0033】
前記電機子列33(33A、33B、33C、33D)は、それぞれ鉄心36の周囲に巻設された複数の電磁コイル37を前記軸心CL1方向に、前記固定子10の磁石列20における永久磁石片21のピッチP2(図5参照)とは異なるピッチP3(P3<P2)で、その基端部を前記本体32に接続した形で配設されている。
【0034】
リニアモータ1は、前記のような構成を有するので、前記移動子30の電機子35を構成する電磁コイル37を、公知の手法で順次励磁し、その際の前記電機子35の鉄心36を通る磁束と前記固定子10の磁石列20を構成する永久磁石片21の磁束とによって、前記鉄心36と永久磁石片21の間に作用する吸引力と反発力により、前記移動子30は、前記固定子10の軸心CL1方向に移動駆動され、前記移動子30に固着された被駆動対象物15も同方向に駆動される。
【0035】
このとき、前記移動子30の前記軸心CL1方向の移動により、該移動子30の電機子35を構成する電磁コイル37が、前記永久磁石片21の磁束を横切ることにより、該電磁コイル37に誘導電流が発生する。この誘導電流を検出することにより公知の手法で前記移動子30(即ち、被駆動対象物31)の位置を検出することができる。
【0036】
前記のように、前記移動子30を移動駆動する際に、前記移動子30は、前記電磁コイル37に印加される電流によるジュール熱と、前記鉄心36が前記固定子10の永久磁石片21が発生する磁束を横切ることにより前記鉄心36に発生する渦電流よる発熱とにより該鉄心36及び電磁コイル37の温度が上昇する。しかし、前記移動子30は、前記固定子10に比べ、軸心CL1方向の長さが短く、しかも、本体32及び被駆動対象物31を通して放熱することができるので、移動子10全体の温度上昇を低く押え、熱膨張を小さくすることができる。
【0037】
一方、前記固定子10側では、前記電磁コイル37で発生し、前記鉄心36を介して放射される磁束の変動により、前記永久磁石片21及びバックヨーク16に渦電流が発生し、該渦電流による発熱により該永久磁石片21とバックヨーク16の温度が上昇する。前記バックヨーク16で発生した熱の一部は、前記永久磁石片21及びスペーサ22に伝達され、該永久磁石片21及びスペーサ22を通して大気中に放出され、他の一部は前記本体11に伝達されて、該本体11を加熱する。
【0038】
前述したように、前記永久磁石片21及びスペーサ22は、熱膨張率が実質0の低膨張ガラスセラミックスで形成されているため、温度上昇があっても前記磁石列20(20A、20B、20C、20D)は、熱膨張しない状態で維持される。一方、前記本体11とバックヨーク16は、温度上昇によりそれぞれの熱膨張率に応じて軸心CL1方向に伸長する。
【0039】
このとき、前述したように、前記磁石列20の両端に固定された保持部材17、17の軸部17b、17bと、前記本体11の中空部12は軸心CL1方向に摺動可能に嵌合しているので、本体11は該軸部17b、17bに沿って軸心CL1方向に伸長する。これにより、本体11の軸心CL1方向の熱膨張は軸部17b、17bとの相対移動により吸収され、保持部材17、17間の距離Lxは、熱膨張の無視できる磁石列20によってのみその長さが規定されるので、熱による距離Lxの変化は無視することができ、常に一定の距離Lxを保持することができる。
【0040】
また、図2に示すように、前記保持部材17のフランジ部と前記本体11の端部11a及びバックヨーク16の端部16aとの間に、それぞれ間隙g、間隙Gが形成されているので、前記本体11とバックヨーク16が熱膨張により軸心CL1方向に伸長しても、該本体11の両端部11a、11a、バックヨーク16の両端部16a、16aが同時に保持部材17、17と当接することはない。即ち、本体11とバックヨーク16の熱膨張が磁石列20の寸法や位置に影響を与えることはない。従って、前記磁石列20を基準として移動子30の位置を検出することにより、移動子30の位置を高精度に検出することができる。
【0041】
図6は、本発明によるリニアモータの固定子に使用するバックヨークの第2の実施の形態を示す平面図である。
【0042】
同図において、図3、図5と同じものは同じ符号を付けて示し、説明を省略する。固定子10の本体11に形成された取付け部15(15A、15B、15C、15D)に装着されるバックヨーク25(25A、25B、25C、25D)は、前記固定子10の軸心CL1に対し角度α傾斜した切断線で切断された複数のバックヨーク片26a、26b、26c、26dで構成され、各バックヨーク片26a、26b、26c、26dは、前記本体11の取付け部15(15A、15B、15C、15D)に装着したとき、バックヨーク片26aとバックヨーク片26bとの間、バックヨーク片26bとバックヨーク片26cとの間、バックヨーク片26cとバックヨーク片26dとの間に、それぞれ間隙G1を軸心CL1方向に形成するように、それぞれ中央部が、例えば、ねじ27により前記本体11に固定され、軸心CL1方向に移動しないように係止される。
【0043】
前記間隙G1の大きさは、リニアモータの温度上昇が最大になったとき、熱膨張によって伸長するバックヨーク片26a(26b、26c)とバックヨーク片26b(26c、26d)が互いに当接しない寸法に設定されている。
【0044】
また、各バックヨーク片26a、26b、26c、26dは、前記分割位置においても、前記永久磁石片21によって飽和磁束密度となる厚さを有し、隣接する永久磁石片21間の磁気回路を構成する。
【0045】
このような構成としても前記実施の形態と同様の作用、効果を得ることができ、しかも、厚さや幅に比較して軸心CL1方向の長さが極めて長いバックヨーク25を複数のバックヨーク片26(26a、26b、26c、26d)に分けて作ることができるので、その製造を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリニアモータの側面断面図。
【図2】図1における固定子の側面断面図。
【図3】図2のIII−III断面図。
【図4】図2における固定子の分解斜視図。
【図5】図2に置ける固定子の磁石列を示す側面図。
【図6】本発明によるリニアモータの固定子に使用するバックヨークの第2の実施の形態を示す平面図。
【符号の説明】
10…固定子
11…本体
11a…端面
15(15A、15B、15C、15D)…取付け部
16(16A、16B、16C、16D)…バックヨーク
17…保持部材
20(20A、20B、20C、20D)…磁石列
21…永久磁石片
22…スペーサ
25…バックヨーク
26(26a、26b、26c、26d)…バックヨーク片
30…移動子
35…電機子
CL1…軸心
CL2…軸心
G…伸縮許容間隙
G1…伸縮許容間隙
g…伸縮許容間隙
Claims (6)
- 外周面に磁石列の取付け部が軸心方向と平行に形成された筒状の本体と、前記取付け部に配置され、前記磁石列を構成するそれぞれ複数の永久磁石片及びスペーサと、を備えた固定子と、前記磁石列と対向するように複数の電機子が前記軸心方向に配列された移動子とを有し、該移動子を、前記磁石列と電機子との間の磁気相互作用により該固定子に沿って前記軸心方向に移動駆動自在に設けたリニアモータにおいて、
前記本体は、高剛性の非磁性材料から形成されると共に、
前記複数の永久磁石片及びスペーサは、セラミック材料から形成されており、
更に、前記リニアモータは、
磁性材料で形成され、前記本体の取付け部に、該本体と該取付け部に取付けられる前記磁石列との間に位置するように配置されたバックヨークと、
前記固定子の両端に配置され、前記本体に対し前記磁石列を保持する一対の保持部材と、を設け、
前記保持部材とバックヨーク及び本体間に、前記軸心方向に伸縮許容間隙をそれぞれ設けた、
ことを特徴とする、リニアモータ。 - 前記保持部材は、
前記本体に対して前記軸心方向に相対移動自在に嵌合し、前記伸縮許容間隙は、少なくとも一方の前記保持部材と該本体の端面との間に形成された、
ことを特徴とする、請求項1記載のリニアモータ。 - 前記バックヨークは、前記軸心方向に移動可能に配設され、前記伸縮許容間隙は、少なくともその一端と前記保持部材との間に形成された、
ことを特徴とする、請求項1記載のリニアモータ。 - 前記バックヨークは、
前記軸心に対し所定の角度傾斜する切断線により、該軸心方向に、前記伸縮許容間隙を介して少なくとも2個に分割されたバックヨーク片を有している、
ことを特徴とする、請求項1記載のリニアモータ。 - 前記バックヨークは、
前記分割された位置においても、前記永久磁石片によって飽和磁束密度となる厚さを有する、
ことを特徴とする、請求項4記載のリニアモータ。 - 前記取付け部は、前記磁石列の取付け位置に、前記本体の外側に向けて開口する蟻溝状に形成され、
前記取付け部の底部に前記バックヨークを配設した、
ことを特徴とする、請求項1記載のリニアモータ。
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